JP2006077879A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディスクとパワーローラとの間の当接部に予圧を付与するばねのセット高さを決める各寸法を厳しく管理しなくて済む安価なトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】本発明のトロイダル型無段変速機においては、ローディングカム46と入力側ディスク2との間に初期モーメントを与えることにより、ローディングカム46自体によってディスク2,4とパワーローラ11との間の当接部に予圧を付与する。特に、好ましい実施形態においては、ローディングカム46と入力側ディスク2との間に周方向に沿って介挿された複数のばね350により前記初期モーメントが与えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
自動車用変速機として、図2および図3に略示するようなトロイダル型無段変速機を使用することが一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に、出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸(傾転軸)5,5を中心として揺動するトラニオン6,6が設けられている。各トラニオン6,6には、パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、入力側および出力側の両ディスク2,4の間に挟持(転接)されている。
入力側および出力側の両ディスク2,4の互いに対向する内周面2a,4aの断面はそれぞれ、枢軸5を中心とする円弧或いはこのような円弧に近い曲線を回転させて得られる凹面を成している。そして、球状の凸面に形成された各パワーローラ11,11の周面11a,11aが各内周面2a,4aに当接されている。
入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置(以下、ローディング機構という)12が設けられている。このローディング機構12は、入力側ディスク2を出力側ディスク4に向けて弾性的に押圧している。また、ローディング機構12は、入力軸1と共に回転するカム板13と、保持器14により保持された複数個(例えば4個)のローラ15とから構成されている。また、カム板13の片側面(図2および図3の左側面)には、周方向に亙って凹凸面(波状面)であるカム面16が形成され、入力側ディスク2の外側面(図2および図3の右側面)にも同様のカム面17が形成されている。そして、複数個のローラ15は、入力軸1に対して放射方向に延びる軸を中心に回転できるように、支持されている。
このような構成のトロイダル型無段変速機においては、入力軸1を回転させると、その回転に伴ってカム板13が回転し、カム面16によって複数個のローラ15,15が、入力側ディスク2の外側面に設けられたカム面17に押圧される。この結果、入力側ディスク2が複数のパワーローラ11,11に押圧されると同時に、一対のカム面16,17と複数個のローラ15,15の転動面との押し付け合いに基づいて、入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、各パワーローラ11,11を介して、出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定された出力軸3が回転する。
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合であって、入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5,5を中心として各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図2に示すように、入力側ディスク2の内周面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内周面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。
反対に、増速を行なう場合には、各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図3に示すように、入力側ディスク2の内周面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内周面4aの中心寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。各変位軸9,9の傾斜角度を図2と図3との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比が得られる。
図4および図5には、より具体化されたダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の一例が示されている。なお、図2および図3と共通する構成部材に関しては、以下、同一符号を付して、その詳細な説明または図示を省略する。
これらの図に示すように、ケーシング101の内側には、入力軸1が回転自在に支持されている。入力軸1の両端寄り部分には、第1および第2の入力側ディスク2,2がそれぞれ、ボールスプライン96を介して支持されている。この場合、第1および第2の入力側ディスク2,2は、その内周面2a,2a同士を互いに対向させた状態で同心的に配置されるとともに、ケーシング101の内側で互いに同期して回転できる。
入力軸1の中間部の周囲には、第1および第2の出力側ディスク4,4がスリーブ109を介して支持されている。スリーブ109の中間部の外周面には、出力歯車110が一体に設けられている。この出力歯車110は、入力軸1と同心的に配置されるとともに、入力軸1の外径よりも大きな内径を有している。また、出力歯車110は、一対の転がり軸受112を介して、ケーシング101内に設けられた支持壁111に回転自在に支持されている。
第1および第2の出力側ディスク4,4は、スリーブ109の両端部にスプライン係合されている。この場合、出力側ディスク4,4は、それぞれの内周面4a,4aを互いに反対方向に向けた状態で配置されている。したがって、入力側ディスク2と出力側ディスク4は、その内周面2a,4a同士が互いに対向している。
図5に示すように、ケーシング101の内側であって、出力側ディスク4,4の側方位置には、両ディスク4,4を両側から挟む状態で一対のヨーク113a,113bが支持されている。これら一対のヨーク113a,113bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン6の両端部に設けられた枢軸5を揺動自在に支持するため、ヨーク113a,113bの四隅には、円形の支持孔118が設けられるとともに、ヨーク113a,113bの幅方向の中央部には、円形の係止孔119が設けられている。
一対のヨーク113a,113bは、ケーシング101の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト20a,20bにより、僅かに変位できるように支持されている。これらの支持ポスト20a,20bはそれぞれ、入力側ディスク2の内周面2aと出力側ディスク4の内周面4aとの間にある第1キャビティ21および第2キャビティ22にそれぞれ対向する状態で設けられている。なお、ポスト20aには、トラニオン6の傾転量を規制する傾転ストッパ150が設けられている。
したがって、ヨーク113a,113bは、各支持ポスト20a,20bに支持された状態で、その一端部が第1キャビティ21の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ22の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ21,22は同一構造であるため、以下、第1キャビティ21のみについて説明する。
第1キャビティ21には、一対のトラニオン6が設けられている。トラニオン6の両端部には同心的に枢軸5が設けられており、これらの枢軸5は一対のヨーク113a,113bの一端部に揺動且つ軸方向に変位自在に支持されている。すなわち、枢軸5は、ヨーク113a,113bの一端部に形成された支持孔118の内側に、ラジアルニードル軸受26によって支持されている。ラジアルニードル軸受26は、その外周面が球状凸面で且つその内周面が円筒面である外輪27と、複数本のニードル28とから構成されている。
トラニオン6の中間部にはそれぞれ、円孔30が設けられている。また、各円孔30には変位軸31が支持されている。変位軸31はそれぞれ、互いに平行で且つ偏心した第1の軸部33と第2の軸部34とを有している。このうち、第1の軸部33は、円孔30の内側に、ラジアルニードル軸受35を介して支持されている。また、第2の軸部34の周囲には、別のラジアルニードル軸受38を介して、パワーローラ11が支持されている。
なお、第1および第2キャビティ21,22毎に一対ずつ設けられた変位軸31は、第1および第2キャビティ21,22毎に、入力軸1に対して180度反対側に位置して設けられている。また、変位軸31の各第2の軸部34が各第1の軸部33に対して偏心している方向は、入力側ディスク2,2と出力側ディスク4,4の回転方向に関して同方向となっている。また、偏心方向は入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、パワーローラ11は、入力軸1の長手方向に沿って僅かに変位できるように支持されている。その結果、トロイダル型無段変速機により伝達されるトルクの変動に基づく構成部材の弾性変形量の変動等に起因して、パワーローラ11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、構成部材に無理な力が加わることがなく、その変位を吸収することができる。
また、パワーローラ11の外周面とトラニオン6の中間部内周面との間には、パワーローラ11の外側面から順に、スラスト玉軸受39と、滑り軸受あるいはニードル軸受等のスラスト軸受40とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受39は、パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11の回転を許容する。また、スラスト軸受40は、パワーローラ11からスラスト玉軸受39の外輪41に加わるスラスト荷重を支承しつつ、第2の軸部34および外輪41が第1の軸部33を中心に揺動することを許容する。
トラニオン6の一端部にはそれぞれ、駆動ロッド42が結合されている。また、これらの駆動ロッド42の中間部外周面には、駆動ピストン43が固着されている。この駆動ピストン43は、駆動シリンダ44内に油密に嵌装されている。そして、駆動ピストン43がトラニオン6を軸方向に変位させるためのアクチュエータを構成している。
図4に示すように、エンジンからの動力を伝達する駆動軸200と一方の入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置45が設けられており、この押圧装置45によって、入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け弾性的に押圧しつつ、この入力側ディスク2を回転駆動自在としている。また、この押圧装置45は、駆動軸200と共に回転するローディングカム(カム板)46と、保持器47により転動自在に保持された複数個(例えば4個)のローラ(転動体)48とから構成されている。ローディングカム46の片側面(図4の右側面)には、円周方向に亙る凹凸(波状部)であるカム面46aが形成され、入力側ディスク2の外側面(図4の左側面)にも、同様の形状を有するカム面2bが形成されている。なお、入力軸1の端部とローディングカム46との間には、スラスト荷重を支承自在なアンギュラ型の玉軸受(アンギュラ軸受)210が介挿されている。また、ローディングカム46は、その爪部46bが駆動軸200の嵌合部200aと嵌合状態で結合している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の運転時、駆動軸200の回転は、押圧装置45を介して、一方の入力側ディスク2に伝えられ、この入力側ディスク2と他方の入力側ディスク2とが互いに同期して入力軸1と共に回転する。入力側ディスク2,2の回転は、パワーローラ11を介して、出力側ディスク4,4に伝えられる。出力側ディスク4,4の回転は、出力歯車110により取り出される。
入力軸1と出力歯車110との間の回転速度比を変える場合には、制御弁(図示しない)の切換えに基づいて、第1および第2のキャビティ21,22に対応してそれぞれ一対ずつ設けられた駆動ピストン43を、各キャビティ21,22毎に互いに逆方向に同じ距離だけ変位させる。これらの駆動ピストン43の変位に伴って、一対ずつ合計4個のトラニオン6がそれぞれ逆方向に変位し、一方のパワーローラ11が下側に、他方のパワーローラ11が上側にそれぞれ変位する。その結果、各パワーローラ11の周面11a,11aと、入力側ディスク2,2の内周面2a,2a、出力側ディスク4,4の内周面4a,4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、その力の向きの変化に伴って、トラニオン6がヨーク113a,113bに枢支された枢軸5を中心として逆方向に揺動する。この結果、パワーローラ11の周面と、入力側ディスク2,2、出力側ディスク4,4との当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車110との間の回転速度比が変化する。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、図4中右側に位置する入力側ディスク2は、その背面(図4の右面)が、大きな弾力を有する第1の皿ばね310を介して、ローディングナット314に突き当てられており、入力軸1に対する軸方向(図4の左右方向)の変位が実質的に阻止されている。また、図4中左側に位置する入力側ディスク2とローディングカム46との間には、第2の皿ばね312が設けられている。これらの皿ばね310,312は、各ディスク2,2,4,4の内周面2a,2a,4a,4aとパワーローラ11,11の周面(トラクション面)11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。このように、従来においては、ローディングカム46に対して直列または並列に配置された皿ばね310,312によって予圧を発生させていた(例えば、特許文献1参照)。
特許第3440287号
ハーフトロイダル型無段変速機は、トラクションドライブ機構の一種であり、高い圧力で接触するディスク2,4とパワーローラ11との界面に介在するガラス遷移したトラクション油のせん断応力によりトルクを伝達する。
一方、ローディングカム式の押圧装置45は、トルクに応じて、ディスク2,4とパワーローラ11とを押し付ける機構である。したがって、始動時や低トルク領域では、ローディングカム46が推力を発生しないため、接触面に介在するトラクション油をガラス遷移させるための予推力をかけておく仕組みが必要である。そのため、従来においては、前述したように、皿ばね312をローディングカム46とディスク2との間に直列または並列に配置し、この皿ばね312によって所定の推力を発生させるようにしている。
トラクション油をガラス遷移させるためには、比較的大きな接触面圧が必要である。また、変速機の小型化要求から、予圧用のばねを配置するスペースは限られている。そのため、蓄積エネルギが高く且つコンパクトで大きな荷重を発生することができる皿ばね312が必然的に用いられている。
しかしながら、このような皿ばね312は、その構造上、小さなストロークで大きな荷重を発生する(ばね定数が大きい)ため、セット寸法を厳しく管理しないと、発生荷重が大きくずれてしまう。発生荷重が所定値を下回ると、トラクション油が十分にガラス遷移せず、スリップが発生する懸念があり、一方、発生荷重が所定値を上回ると、寿命低下や、フリクション増大による動力伝達効率の低下といった問題が懸念される。
一般に、ハーフトロイダル型無段変速機の予圧用の皿ばね312のセットの高さは、複数部品の寸法によって決まるため、厳しく管理する寸法が増え、コストアップの要因になっている。更に、セット高さを決める各寸法を厳しく管理しても、関係する寸法が多い場合は、セット高さの公差範囲が広くなってしまうため、公差下限でもスリップが発生しないような大きな推力を発生する皿ばねを使用せざるを得なかった。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、ディスクとパワーローラとの間の当接部に予圧を付与するばねのセット高さを決める各寸法を厳しく管理しなくて済む安価なトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、エンジンからの回転力を伝える駆動軸と、駆動軸から回転力を受ける入力軸に結合され且つ入力軸と一体で回転する入力側ディスクと、入力側ディスクとの間に設けられたパワーローラを介して入力側ディスクの回転力を所定の変速比で受ける出力側ディスクと、入力側ディスクと駆動軸との間に配置され且つ駆動軸の回転力に応じて入力側ディスクをパワーローラに対して押圧するローディングカム式の押圧装置とを備え、前記押圧装置は、前記駆動軸と共に回転するローディングカムと、このローディングカムのカム面と前記入力側ディスクのカム面との間で保持器により転動自在に保持された転動体とを有して成るトロイダル型無段変速機であって、前記ローディングカムと前記入力側ディスクとの間に初期モーメントを与えることにより、前記ローディングカム自体によって前記ディスクと前記パワーローラとの間の当接部に予圧を付与することを特徴とする。
この請求項1に記載のトロイダル型無段変速機においては、ローディングカムと入力側ディスクとの間に初期モーメントを与えることにより、ローディングカム自体によってディスクとパワーローラとの間の当接部に予圧を付与するようにしている。そのため、予圧用のばねの設置スペースを軸方向に大きく確保してローディングカムとディスクとの間に直列または並列に予圧用のばねを配置する必要がなくなり、変速機の小型化要求に対応することができる。特に、請求項2に記載されるように、ローディングカムと入力側ディスクとの間に初期モーメントを与えるべく、ローディングカムと入力側ディスクとの間に複数のばねを周方向に沿って介挿すると、大きなスペースを確保することなく、予圧用のばねの数を増やせるため、各ばねの必要発生推力が下がり、その結果、予圧用のばねとしてコイルばね等を使用することも可能になる。コイルばねは、皿ばねに比べてばね定数が小さいため、セット高さに関係する寸法を厳しく管理しないで済む。そのため、トロイダル型無段変速機を安価に製造できる。
本発明のトロイダル型無段変速機では、ローディングカムと入力側ディスクとの間に初期モーメントを与えることにより、ローディングカム自体によってディスクとパワーローラとの間の当接部に予圧を付与するようにしているため、予圧用のばねの設置スペースを軸方向に大きく確保してローディングカムとディスクとの間に直列または並列に予圧用のばねを配置する必要がなくなり、変速機の小型化要求に対応することができる。また、この場合、ローディングカムと入力側ディスクとの間に複数のばねを周方向に沿って介挿することにより前記初期モーメントを与えれば、ばねのセット高さを決める各寸法を厳しく管理しなくて済む。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、ディスクとパワーローラとの間の当接部に予圧を付与するばねの配置形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図2〜図5と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1は、本発明の実施形態を示している。図示のように、ローディングカム46と入力側ディスク2との間には、周方向に沿って4つのコイルばね(ばね)350が配置されている。具体的には、これらのコイルばね350は、環状のローディングカム46の内周側から入力ディスク2側へと軸方向に突出したカム延出部46cと、入力側ディスク2の内周側からローディングカム46へと軸方向に突出したディスク延出部2cとの間に介挿されており、周方向に沿って伸縮するように配置されている。
したがって、本実施形態においては、これらのコイルばね350によって、ローディングカム46と入力側ディスク2との間に初期トルク(初期モーメント)が生じ、推力が発生する。なお、本実施形態では、ローディングカム46の内周側にコイルばね350を配置したが、ローディングカム46の外周部にコイルばね350を配置すれば、より弱いばねで同等の初期トルクを発生させることができる。
上記構成では、駆動軸200からローディングカム46にトルクが入力されると、コイルばね350が弾性変形するが、この変形は、コイルばね350が広がる方向にローディングカム46とディスク2とが相対回転して吸収する。したがって、コイルばね350によって発生するトルクは、駆動軸200から入力されるトルクの増大と共に減少し、コイルばね350の縮み代が0になった以降は、ローディングカム46単体の発生する推力のみとなる。
なお、以上の構成は、ローディングカム46に入力されるトルクが常に正であることを前提としている。このようなものとしては、例えば、前述した特許文献1に記載されている航空機搭載発電機の低速駆動装置や産業用機械等を挙げることができる。
以上説明したように、本実施形態では、ローディングカム46と入力側ディスク2との間に初期モーメントを与えることにより、ローディングカム46自体によってディスク2,4とパワーローラ11との間の当接部に予圧を付与するようにしている。そのため、予圧用のばねの設置スペースを軸方向に大きく確保してローディングカム46とディスク2との間に直列または並列に予圧用のばねを配置する必要がなくなり、変速機の小型化要求に対応することができる。特に、本実施形態のように、ローディングカム46と入力側ディスク2との間に初期モーメントを与えるべく、ローディングカム46と入力側ディスク2との間に複数のばね350を周方向に沿って介挿すると、大きなスペースを確保することなく、予圧用のばね350の数を増やせるため、各ばね350の必要発生推力が下がる。また、本実施形態のように、予圧用のばねとしてコイルばね350を使用すると、皿ばねに比べてばね定数が小さいため、セット高さに関係する寸法を厳しく管理しないで済む。そのため、トロイダル型無段変速機を安価に製造できる。
本発明は、ダブルキャビティ型などのハーフトロイダル型無段変速機の他、トラニオンを有さないフルトロイダル型無段変速機にも適用することができる。
(a)は本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部の断面図、(b)は(a)のA方向矢視図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大減速時の状態で示す側面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大増速時の状態で示す側面図である。 ダブルキャビティ型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図4のB−B線に沿う断面図である。
符号の説明
1 入力軸
2 入力側ディスク
4 出力側ディスク
11 パワーローラ
45 押圧装置
46 ローディングカム
200 駆動軸
350 コイルばね(ばね)

Claims (2)

  1. エンジンからの回転力を伝える駆動軸と、駆動軸から回転力を受ける入力軸に結合され且つ入力軸と一体で回転する入力側ディスクと、入力側ディスクとの間に設けられたパワーローラを介して入力側ディスクの回転力を所定の変速比で受ける出力側ディスクと、入力側ディスクと駆動軸との間に配置され且つ駆動軸の回転力に応じて入力側ディスクをパワーローラに対して押圧するローディングカム式の押圧装置とを備え、前記押圧装置は、前記駆動軸と共に回転するローディングカムと、このローディングカムのカム面と前記入力側ディスクのカム面との間で保持器により転動自在に保持された転動体とを有して成るトロイダル型無段変速機において、
    前記ローディングカムと前記入力側ディスクとの間に初期モーメントを与えることにより、前記ローディングカム自体によって前記ディスクと前記パワーローラとの間の当接部に予圧を付与することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記ローディングカムと前記入力側ディスクとの間に周方向に沿って介挿された複数のばねにより前記初期モーメントを与えることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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