JP2018003927A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スラスト力付与構造100は、入力側ディスク2のキャビティ径DIが基準キャビティ径DSより大きく設定されるとともにパワーローラが接触する入力側ディスク2のトラクション面2Aの曲率半径RIが基準曲率半径RSより小さく設定され、出力側ディスク2のキャビティ径DOが基準キャビティ径DSより小さく設定されるとともにパワーローラが接触する出力側ディスク3のトラクション面3Aの曲率半径ROが基準曲率半径RSより小さく設定されていることによって、構成されているので、パワーローラの回転数が高くなる減速側変速状態においてパワーローラのスラスト軸受において滑りによる急激な発熱を抑制できる。
【選択図】図1
Description
このダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図8および図9に示すように構成されている。図8に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転可能に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2、2と2つの出力側ディスク3、3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転可能に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a、4aには、出力側ディスク3、3がスプライン結合によって連結されている。
これを解消するために、例えば特許文献1に記載のパワーローラ支持構造が知られている。このパワーローラ支持構造は、前記挟圧力に伴う変形に起因したパワーローラと入出力側ディスクとの間の摩擦係合位置のずれを補償するようパワーローラを、入出力側ディスク回転軸線に接近するパワーローラ回転軸線方向へ突き出し、その突き出し量を、傾転状態がハイ側変速状態である時よりもロー側変速状態である時の方が大きくなるよう構成したものである。
すなわち、スラスト玉軸受を低荷重の下で高速回転させると、玉に発生するジャイロモーメントにより、スラスト玉軸受の玉に滑りが発生する。このような滑りは、摩擦抵抗の増大によりスラスト玉軸受の回転トルクや発熱量を増大させて、このスラスト玉軸受の耐久性を低下させる。
この構造は、入力側ディスクと出力側ディスクとを互いに近づけ合う方向の推力を発生させる、油圧式の推力発生装置と、この推力発生装置が発生する推力を調節するため、油圧を制御する制御器とを備えている。そして、この制御器は、入力側ディスクと出力側ディスクとの間での動力伝達(トラクション伝達)に必要な第一の目標値を求める機能と、パワーローラのスラスト玉軸受を構成する各玉が自転せずに公転する状態を阻止するために必要な第二の目標値を求める機能と、これら第一、第二の目標値を比較し、大きな目標値に応じた推力を発生させるために必要な油圧を前記油圧式の推力発生装置に導入する機能とを備えている。
このような航空機用発電機の一部としてのトロイダル型変速機は、小型軽量であるとともに、高回転数での運用が求められている。
なお、図10および図11の各グラフは、各項目の相対関係を示したものであり、実際の数値に基づくグラフではないので、横軸および縦軸に目盛や単位を記載していない。また、横軸に減速比(変速比)として減速側および増速側と記載されている図10のグラフにおいて、例えば、必ずしも最終的な変速比が1となる部分を境に減速側と増速側に分けているわけではない。ここで、図10においては、変動する入力側ディスクの回転数NIDが一定となる出力側ディスクの回転数NODより小さい場合に増速側とし、大きい場合に減速側としている。
図11に高回転時におけるパワーローラのスラスト軸受のスラスト力(Fpr:横軸)とスラスト軸受の発熱量(縦軸)の関係を示す。図11に示すように、パワーローラのスラスト軸受(PR−BRG)にかかるスラスト力(荷重)が、ある点(図11の縦の点線)より小さくなると、滑りに伴う急激な発熱が発生する。よって、設計上パワーローラのスラスト軸受のスラスト力は、滑りによる急激な発熱が発生しない値(図11の縦の点線の位置より右)とすることが求められている。
よって、バリエータの運転条件、特にパワーローラの回転数の大小によってPR−BRGへのスラスト力を変化させることで、パワーローラの回転数が高くなる減速側変速状態において、滑りによる急激な発熱を抑制することが必要とされている。
一方、ローディングカム式の押圧装置では、回転により押圧力が変化することはなく、トルクのみによって押圧力が定まる。また、ローディングカム式の押圧装置は減速比により押圧力を変えることはできない。このため、過大な押圧力が入力される虞があり、伝達効率の低下や耐力低下の虞があった。
前記パワーローラが傾転して、当該パワーローラの回転数が高くなる減速側変速状態において、前記パワーローラに、当該パワーローラのスラスト軸受の滑りを抑制するようなスラスト力を前記パワーローラの回転数が低くなる増速側変速状態より強く付与するスラスト力付与構造を備えていることを特徴とする。
前記出力側ディスクのキャビティ径が基準キャビティ径より小さく設定されるとともに前記パワーローラが接触する前記出力側ディスクのトラクション面の曲率半径が基準曲率半径より小さく設定されていることによって、構成されていてもよい。
(第1の実施の形態)
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態のトロイダル型無段変速機の要部を示すもので、入力側ディスク2と出力側ディスク3の半断面図である。なお、図1および図2において、入出力側ディスク2,3との間に挟持されるパワーローラは図示を省略している。また、図1および図2において、入力側ディスク2のトラクション面2Aと、出力側のトラクション面3Aとはそれぞれデフォルメして記載している。したがって、実際はトラクション面2Aの曲率半径RIは、基準となるトラクション面2aの曲率半径RSより僅かに小さく、トラクション面3Aの曲率半径ROは、基準となるトラクション面3aの曲率半径RSより僅かに小さくなっている。
また、符号OPで示す点がパワーローラの傾転中心であり、この傾転中心OPを通り、かつ両ディスク2,3の軸線Oと直交する線が傾転軸線である。
図1および図2において、入出力側ディスク2,3のそれぞれ二点鎖線で示すトラクション面2a,3aの曲率半径が基準曲率半径RSである。この基準曲率半径RSのトラクション面2a,3aと基準キャビティ径DSを有し、かつ、入出力側ディスク2,3と等しい外径を有する従来の入出力側ディスクを基準として、キャビティ径DI、曲率半径RI、キャビティ径DO、曲率半径ROが上述のようにして設定されている。
したがって、減速側変速状態の方が増速側変速状態よりパワーローラがディスクに向けて強く押し出されるので、パワーローラに付与されるスラスト力は減速側変速状態の方が増速側変速状態より大きくなる。よって、パワーローラのスラスト軸受の滑りを抑制して、この滑りによるスラスト軸受の急激な発熱を抑制できる
また、図2に示すように、増速側変速状態の方が減速側変速状態より半頂角θが大きくなるので、パワーローラのスラスト軸受への過剰荷重の入力を防ぐことができ、耐久性確保と効率向上を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図4および図5は、本発明の第2の実施の形態のトロイダル型無段変速機の要部を示すもので、入力側ディスク2と出力側ディスク3の半断面図である。なお、図4および図5において、入出力側ディスク2,3との間に挟持されるパワーローラは図示を省略している。
本実施の形態では、パワーローラの回転数が高くなる減速側変速状態(図4に示す状態)において、パワーローラに、当該パワーローラのスラスト軸受の滑りを抑制するようなスラスト力を付与するスラスト力付与構造101の構成が第1の実施の形態と異なっているので、以下ではこの相違点について説明する。
すなわちまず、符号OPで示す点がパワーローラの基準となる傾転中心であり、この傾転中心OPを通り、かつ両ディスク2,3の軸線Oと直交する線が基準となる傾転軸線である。この傾転軸線はヨークの穴(図9に示す支持孔18)の中心位置を通っており、この穴にパワーローラを支持するトラニオンの枢軸(図9に示す枢軸14)が傾転軸線回りに傾転自在に嵌め込まれている。したがって、図4および図5において、傾転中心OPが基準となるヨークの穴の中心位置を示す。
そして、本実施の形態では、ヨークの穴の中心位置がこの基準位置OPから入力側ディスク2の軸方向において出力側ディスク3側に所定長さだけオフセットされている。このオフセットされたヨークの穴の中心位置を符号OSとする。ヨークの穴の位置をオフセットするには、図9に示すヨークに形成する支持孔18を出力側ディスク3側に所定長さだけずらして形成すればよい。
また、図5に示すように、増速側変速状態の方が減速側変速状態より半頂角θが大きくなるので、パワーローラのスラスト軸受への過剰荷重の入力を防ぐことができ、耐久性確保と効率向上を図ることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図6および図7は、本発明の第3の実施の形態のトロイダル型無段変速機の要部を示すもので、パワーローラ11を含む入力側ディスク2と出力側ディスク3の半断面図である。
本実施の形態では、パワーローラ11の回転数が高くなる減速側変速状態(図6に示す状態)において、パワーローラ11に、当該パワーローラ11のスラスト軸受24の滑りを抑制するようなスラスト力を付与するスラスト力付与構造102の構成が第1および第2の実施の形態と異なっているので、以下ではこの相違点について説明する。
要は、両ディスク2,3とパワーローラ11の接触点における法線Hと、パワーローラ11の回転軸線Sとのなす半頂角θを、パワーローラ11の回転数が低くなる増速側変速状態よりパワーローラ11の回転数が高くなる減速側変速状態の方が小さくなるように設定することができれば、どのような構成を採用してもよい。
また、図7に示すように、増速側変速状態の方が減速側変速状態より半頂角θが大きくなるので、パワーローラ11のスラスト軸受24への過剰荷重の入力を防ぐことができ、耐久性確保と効率向上を図ることができる。
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
12 押圧装置
18 支持孔(ヨークの穴)
23A,23B ヨーク
100,101,102 スラスト力付与手段
Claims (1)
- それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ回転可能に設けられた入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、前記両ディスクを互いに近づけ合う方向に押圧するローディングカム式の押圧装置とを備え、前記パワーローラを傾転軸線回りに傾転させて変速を行うともに変動する入力回転数に対して出力回転数が一定になるように変速させるためのトロイダル型無段変速機において、
前記パワーローラが傾転して、当該パワーローラの回転数が高くなる減速側変速状態において、前記パワーローラに、当該パワーローラのスラスト軸受の滑りを抑制するようなスラスト力を前記パワーローラの回転数が低くなる増速側変速状態より強く付与するスラスト力付与構造を備えていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
Priority Applications (1)
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JP2016129545A JP6729074B2 (ja) | 2016-06-30 | 2016-06-30 | トロイダル型無段変速機 |
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