JP2006076893A - 新規な含フッ素エーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】ルイス酸存在下や高温下における耐久性に優れ、任意の形状と硬度を有する重合体を形成できる新規な含フッ素エーテルを提供する。
【解決手段】式Z−O(CHCHO)・(CHCH(OZ)CHO)−CHCFO(CFCFO)CFCHO−(CHCH(OZ)CHO)・(CHCHO)−Zで表される化合物。Zは式CH=CRC(O)−で表される基(Zの一部は水素原子であってもよい。)を、Rは水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜4のアルキル基を、mは3〜200の整数を、rおよびsはそれぞれ独立に0〜100の整数を、pおよびqはそれぞれ独立に0〜100の整数を、示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な含フッ素エーテルに関する。
−(CFCFO)−単位を含む含フッ素エーテル類は、潤滑性、撥水撥油剤等の機能性材料として有用であることが知られている。
末端部に重合性基を有する含フッ素エーテル類としては、下式(a)で表される化合物等(特許文献1および特許文献2参照。)が知られている。
CH=C(CH)COOCHCFO(CFCFO)
−(CFO)CFCHOOCC(CH)=CH (a)
ただし、式(a)で表される化合物の数平均分子量は2000であり、c/d=0.6である。
しかし、該化合物(a)を重合させた重合体は−(OCFO)−単位を必須とするため、ルイス酸存在下や高温下では耐久性が不充分であった。
また下式(b)で表される化合物も知られている(特許文献3参照。)。
HO(CHCHO)r1・(CHCH(OH)CHO)p1
−CHCFO(CFCFO)m1CFCHO−
−(CHCH(OH)CHO)q1・(CHCHO)s1H (b)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
m1:3〜200の整数を示す。
r1およびs1:それぞれ独立に、0〜100の整数。
p1およびq1:それぞれ独立に、0〜100の整数。
しかし、式(b)で表される化合物を被膜として基材上に形成させる場合、被膜の形状と硬度が不充分であった。
米国特許第3810874号公報 特表2004−523610号公報 国際公開第04/035656号パンフレット
本発明は、上記の問題を解決する目的でなされたものであり、ルイス酸存在下や高温下における耐久性に優れ、任意の形状と硬度を有する重合体を製造できる新規な含フッ素エーテルの提供を目的とする。
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
<1>下式(1)で表される化合物。
Z−O(CHCHO)・(CHCH(OZ)CHO)
−CHCFO(CFCFO)CFCHO−
−(CHCH(OZ)CHO)・(CHCHO)−Z (1)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Z:式CH=CRC(O)−(Rは、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される基または水素原子を示し、少なくとも1つは式CH=CRC(O)−(Rは、前記と同じ意味を示す。)で表される基。
m:3〜200の整数。
rおよびs:それぞれ独立に、0〜100の整数。
pおよびq:それぞれ独立に、0〜100の整数。
なお、式中の・は−(CHCHO)−単位と−(CHCH(OZ)CHO)−単位の並び方の順序が特に限定されないことを意味する。
<2>下式(11)で表される化合物。
−OCHCFO(CFCFO)CFCHO−Z (11)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
:式CH=CRC(O)−(Rは、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される基。
m:3〜200の整数。
<3>mが3〜100の整数である<1>または<2>に記載の化合物。
<4><1>〜<3>のいずれかに記載の化合物と有機溶媒とを必須とする溶液組成物。
本発明の化合物は、重合性の炭素−炭素2重結合を有するため任意の形状と硬度を有する重合体を製造できる。該重合体は、ルイス酸存在下や高温下でも耐久性に優れる。また本発明の化合物から製造された重合体は、透明性、低屈折率性、耐熱性、潤滑性、接着性、防眩性、防湿性、防汚性、撥水撥油性、耐薬品性、耐摩耗性および耐静電気性に優れる。
本明細書の以下の説明においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本発明は下記化合物(1)を提供する。
Z−O(CHCHO)・(CHCH(OZ)CHO)
−CHCFO(CFCFO)CFCHO−
−(CHCH(OZ)CHO)・(CHCHO)−Z (1)。
式中のZは、式CH=CRC(O)−(ただし、Rは前記と同じ意味を示す。)で表される基または水素原子を示し、少なくとも1つは式CH=CRC(O)−(Rは、前記と同じ意味を示す。)で表される基を示す。Zは、同一であっても異なっていてもよい。Zは全てが同一の式CH=CRC(O)−で表される基であるのが好ましい。
Zとしては、式CH=CHC(O)−で表される基、式CH=CFC(O)−で表される基、式CH=C(CH)C(O)−で表される基または式CH=C(CF)C(O)−で表される基が好ましい。Zは重合性が良好である観点からは、式CH=CHC(O)−で表される基または式CH=C(CH)C(O)−で表される基が特に好ましい。またZは近紫外領域および真空紫外領域の光に対する耐光耐久性の観点からは、式CH=CFC(O)−で表される基または式CH=C(CF)C(O)−で表される基が特に好ましい。
mは、−(CFCFO)−単位の数を示し、3〜100の整数が好ましく、3〜10の整数が特に好ましい。
rおよびsは、それぞれ独立に−(CHCHO)−単位の数を示し、1〜10の整数が好ましく、1が特に好ましい。
pおよびqは、それぞれ独立に−(CHCH(OZ)CHO)−単位の数を示し、1〜10の整数が好ましく、1が特に好ましい。
rおよびpが1以上の整数である場合または、qおよびsが1以上の整数である場合、−(CHCHO)−単位と−(CHCH(OZ)CHO)−単位の並び方は特に限定されない。
また、rおよびpの一方が2以上の整数であり、かつ他方が1以上の整数である場合、もしくは、qおよびsの一方が2以上の整数であり、かつ他方が1以上の整数である場合、−(CHCHO)−単位と−(CHCH(OZ)CHO)−単位の並び方は、ブロック状であってもランダム状であってもよい。
本発明の化合物(1)は実質的に−(OCFO)−単位が存在しない。実質的に−(CFO)−単位が存在しないとは、−(OCFO)−単位が実際に存在しない化合物であるか、または該単位が仮に存在していたとしてもその量が通常の分析手法(19F−NMR等)の検出限界以下であることをいう。
化合物(1)としては、フッ素含有量が高い観点からは下記化合物(11)が好ましい。また後述する重合において高い重合密度で重合が進行しうる観点からは下記化合物(12)が好ましい。
−CHCFO(CFCFO)CFCHO−Z (11)、
Z−O(CHCH(OZ)CHO)CHCFO(CFCFO)
−CFCHO(CHCH(OZ)CHO)−Z (12)。
ただし、式中のZ、Z、m、pおよびqは前記と同じ意味を示す。化合物(12)におけるZの2以上は、Zであるのが好ましい(ただし、Zは前記と同じ意味を示す。)。
化合物(11)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる(ただし、mは前記と同じ意味を示す。)。
CH=CHC(O)OCHCFO(CFCFO)CFCHO(O)CCHCH=CH
CH=C(CH)C(O)OCHCFO(CFCFO)CFCHO(O)CC(CH)CH=CH
本発明の化合物(1)は、1種の化合物(1)としても存在しても、化合物(1)の2種以上からなる組成物として存在してもよく、入手容易性の観点から後者の組成物が好ましい。
化合物(1)が化合物(1)の2種以上からなる組成物である場合、mの平均値は、3〜100の正数が好ましく、3〜10の正数が特に好ましい。pおよびqの平均値は、0〜5の正数が好ましく、0〜1の正数が特に好ましい。rおよびsの平均値は、0〜5の正数が好ましく、0〜1の正数が特に好ましい。
本発明の化合物(1)は、下記化合物(2)と下記化合物(3)のエステル化反応により製造できる。
HO(CHCHO)・(CHCH(OH)CHO)
−CHCFO(CFCFO)CFCH
−O(CHCH(OH)CHO)・(CHCHO)H (2)、
CH=CRC(O)X (3)。
ただしXは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子または水酸基を示す。r、p、m、q、sおよびRは、前記と同じ意味を示す。
エステル化反応は公知の方法にしたがって実施するのが好ましい。
本発明の化合物(1)は、重合性基(式CH=CRC(O)−で表される基)を有する。そのため化合物(1)を重合させることにより、または該化合物(1)と他の重合性化合物を重合させることにより、重合体を製造できる。化合物(1)を重合させた重合体としては、化合物(1)の1種以上を重合させた重合体が好ましい。他の重合性化合物と化合物(1)を重合させる場合の他の重合性化合物としては、式CY=CYCOO−W−Qで表される化合物が挙げられる。ただし、Y、YおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基を、Wは炭素数1〜18の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよいアルキレン基、炭素数1〜18の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよい含フッ素アルキレン基を、Qは、水素原子、フッ素原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、スルホン酸基、シアノ基またはアミノ基を、示す。
化合物(1)の1種以上を重合させる場合、化合物(1)は、そのままを重合させてもよいが、重合における操作性の観点から有機溶媒との溶液組成物を形成させてから重合させるのが好ましい。溶液組成物中の化合物(1)は、0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜50質量%が特に好ましく、0.01〜20質量%がとりわけ好ましい。
有機溶媒としては、ペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等のペルフルオロアルキルアミン類、フロリナート(3M社製)、バートレル(デュポン社製)等のフッ素系有機溶媒およびフッ素原子を含まない有機溶媒(炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類および塩素化化炭化水素類等)が挙げられる。有機溶媒は1種のみを使用してもよく、2種以上を混合した混合溶媒として使用してもよい。混合溶媒に共沸組成が存在する場合、該共沸組成で使用するのが好ましい。
また該溶液組成物中には、さらに重合開始剤を含ませるのが好ましい。重合開始剤としては、特に限定されず、熱感応型の重合開始剤、光感応型の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は化合物(1)に対して、0.01〜5質量%を用いるのが好ましく、0.5〜2.5質量%を用いるのが特に好ましい。
本発明の化合物(1)を重合させた重合体(以下、重合体(1)と記す。)を含む被膜は、低屈折率性、防眩性、防湿性、防汚性、撥水撥油性等の機能を有することから、該被膜を基材表面に形成させて、基材表面に前記機能を付与できる。重合体(1)を含む被膜を基材表面に形成させる方法としては、前記溶液組成物を任意の基材表面に塗布し、つぎき有機溶媒を揮発させてから化合物(1)を重合させる方法が好ましい。すなわち本発明の溶液組成物は、表面処理剤として有用である。
塗布の方法としては、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法、スピンコート法、水上キャスト法、ダイコート法、ラングミュア−プロジェット法および真空蒸着法が挙げられる。重合方法としては、加熱による方法、光照射による方法等が挙げられる。
また本発明の溶液組成物は、紙、布等の防水剤、防湿コート剤、半田這い上がり防止剤等の半導体用保護コート剤、撥インク剤(インクジェットプリンタのノズル部の撥インク剤等。)等の撥水撥油剤として有用である。さらに他の用途としては、光学用接着剤(リードオンチップテープ用接着剤等の半導体素子用接着剤)等の光学材料が挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、テトラメチルシランをTMS、ジクロロペンタフルオロプロパンをR−225、CClFCClFをR−113と記す。
[例1]CH=CHC(O)OCHCFO(CFCFO)CFCHO(O)CH=CH(ただし、nの平均値は6.2である。)の製造例
HO(CHCHO)H(ただし、kの平均値は8.2である。)の25gを用いる以外は、国際公開04/035656号パンフレットに記載の方法にしたがってCHO(O)CCFO(CFCFO)CFC(O)OCH(nの平均値は6.2である。)の26.2gを得た。
つぎに撹拌子を備えた窒素ガス置換された丸底フラスコ(内容積300mL)に、CHCH(OH)CHの30g、R−225の50.0gおよびNaBHの9gを入れた。フラスコの内温を25℃に保持しながら、CHO(O)CCFO(CFCFO)CFC(O)OCHの26.2gをR−225の30gに希釈した溶液を、フラスコに滴下しながらフラスコ内を撹拌した。さらにフラスコの内温を25℃に保持しながら、8時間、激しく撹拌した。
つぎに、フラスコに真空ポンプと冷却管を設置してフラスコ内を減圧して溶媒を留去した。つぎにフラスコにR−225の100gを投入してから、0.2mol/Lの塩酸水溶液の500gを滴下しながら撹拌した。滴下終了後、さらに6時間、撹拌すると有機層と水層に分離した溶液を得た。
得られた有機層を、蒸留水の500gで3回水洗してから硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに濃縮して濃縮物を得た。濃縮物をNMRで分析した結果、HOCHCFO(CFCFO)CFCHOH(nの平均値は6.2である。)の生成を確認した。
濃縮物の14gをR−225の200gに溶解させた溶液に、NaCOの10gおよび1,4−ジヒドロキノンの53mgを加えた。つぎに、CH=CHCOClの11.2gを加えて、25℃で7日間、撹拌して反応粗液を得た。反応粗液をろ過し濃縮して淡黄色の液体の17.5gを得た。該液体をカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、無色の液体の7.2gを得た。液体をNMRにより分析した結果、標記化合物の生成を確認した。
HOCHCFO(CFCFO)CFCHOH(nの平均値は6.2である。)のNMRデータ。
H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS)δ(ppm):3.95。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3)δ(ppm):−54.9,−78.5,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0。
標記化合物のNMRデータ。
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):4.52,5.93,6.18,6.51。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm): −86.8,−88.2,−88.5,−88.7,−89.5,−90.9,−144.2〜−144.8。
[例2]重合体の製造例
例1と同様の方法で得た無色の液体の10gおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名:DAROCUR1173)の0.4gをイソプロピルアルコールの190gに溶解させて溶液を得た。
溶液をPETフィルム上にバーコーターでコーティングし、100℃で2分間、乾燥した。つぎに、1000mJ/cmの光(光源は高圧水銀灯)を照射した結果、PETフィルム上に薄膜(膜厚:90nm)が形成した。薄膜の屈折率は1.39であった。
本発明の化合物(1)は、ルイス酸存在下や高温下における耐久性に優れ、任意の形状と硬度を有する重合体(1)を形成できるため、低屈折率性、防眩性、防湿性、防汚性、撥水撥油性等の機能を部材表面に付与する表面処理剤として有用である。

Claims (4)

  1. 下式(1)で表される化合物。
    Z−O(CHCHO)・(CHCH(OZ)CHO)
    −CHCFO(CFCFO)CFCHO−
    −(CHCH(OZ)CHO)・(CHCHO)−Z (1)
    ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
    Z:式CH=CRC(O)−(Rは、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される基または水素原子を示し、少なくとも1つは式CH=CRC(O)−(Rは、前記と同じ意味を示す。)で表される基。
    m:3〜200の整数。
    rおよびs:それぞれ独立に、0〜100の整数。
    pおよびq:それぞれ独立に、0〜100の整数。
    なお、式中の・は−(CHCHO)−単位と−(CHCH(OZ)CHO)−単位の並び方の順序が特に限定されないことを意味する。
  2. 下式(11)で表される化合物。
    −OCHCFO(CFCFO)CFCHO−Z (11)
    ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
    :式CH=CRC(O)−(Rは、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される基。
    m:3〜200の整数。
  3. mが3〜100の整数である請求項1または2に記載の化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物と有機溶媒とを必須とする溶液組成物。
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