JP2006073820A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 活性層を構成するGaInAsP系材料の非混和性領域による相分離を抑制する。
【解決手段】 (100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくはこの面と等価な結晶面を主面とするn−GaAs基板16を共通基板として、このn−GaAs基板16上にn−GaAs基板16とそれぞれが格子整合するn導電型半導体材料の第1nクラッド層122とこの第1nクラッド層122の上に配設されたGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含むMQW活性層124とn−GaAs基板と格子整合するp導電型半導体材料の第1pクラッド層126とを有する短波長用LD12と赤色LD14を隣接配置したものである。
【選択図】 図1

Description

この発明は、半導体レーザ装置に係り、特にGaInAsP系材料を用いた半導体レーザ装置に関する。
近年、光通信のブロードバンド化が進展し、光ファイバを用いた公衆通信網の普及に伴って、安価に大量の情報量を伝送することが益々求められている。このために情報通信機器が取り扱う情報量も膨大なものとなり、高速で大容量の情報を扱うことが可能であるとともに信頼性が高く安価な情報通信機器が求められている。
情報通信機器の主要部品である半導体レーザ装置も、高い出力で、効率の高いレーザ発振が可能で、安価な半導体レーザ装置が求められている。
高速で大容量の記憶装置の一つとして最近需要が高くなっているDVD−R/RW装置は、DVD−R/RW装置に加えてCD−ROM装置をハイブリッドに内蔵し、DVD装置用の半導体レーザ(発光波長が650nm近辺の赤色レーザ)とCD装置用の半導体レーザ(発光波長が780nm近辺の短波長レーザ)との2種類の半導体レーザが使用されている。
このような記憶装置の情報処理の高速化のためには、DVD装置やCD装置の回転速度を高めることが必要で、そのためには半導体レーザの高出力化が必要である。現在200mW以上の光出力を有するAlGaInP/GaAs系半導体レーザも開発されている。 さらにこのような2つの波長で発光する半導体レーザを、単品で形成して組み付けるのではなくて、同一基板上に形成された、モノリシックな2波長半導体レーザ素子(以下モノリシック型2波長LDという)の開発が行われている。これにより、異なる発振波長の半導体レーザの発光点位置の位置合わせが高精度に行うことができ、かつ光学系の部品点数を減らすことができる。
モノリシック型2波長LDの製造方法の概略を次に示す。
まずn型GaAs基板(以下“n型”を“n−”にて、またp型”を“p−”にて、また不純物添加のないものを“i−”にて表記する。)上にn−AlGaAsバッファ層、n−AlGaAsクラッド層、i−AlGaAsの光ガイド層、バリア層およびウエル層からなる多重量子井戸(Multiple Quantum Wells、以下“MQW”と表記する。)活性層、p−AlGaAsクラッド層、およびp−GaAsキャップ層を順次形成する。このあとp−GaAsキャップ層の上にレジストマスクを形成し、n−AlGaAsバッファ層、n−AlGaAsクラッド層、i−AlGaAsMQW活性層、p−AlGaAsクラッド層、およびp−GaAsキャップ層が第1メサ状積層構造として残るようにn−GaAs基板が露呈するまで選択的にエッチングする。この第1メサ状積層構造が780nm帯の短波長レーザに対応する。
次いでn−GaAs基板上に第1メサ状積層構造に隣接して、n−GaAsバッファ層、n−AlGaInPクラッド層、i−GaInPをウエル層としi−AlGaInPを光ガイド層およびバリア層とするMQW活性層、p−AlGaInPクラッド層、p−GaInPバンド不連続緩和層およびp−GaAsキャップ層を順次形成する。
次いで、先の第1メサ状積層構造の上に形成されたn−GaAsバッファ層、n−AlGaInPクラッド層、MQW活性層、p−AlGaInPクラッド層、p−GaInPバンド不連続緩和層およびp−GaAsキャップ層を除去するとともに、n−GaAsバッファ層、n−AlGaInPクラッド層、MQW活性層、p−AlGaInPクラッド層、p−GaInPバンド不連続緩和層およびp−GaAsキャップ層の第2メサ状積層構造を形成するように選択的にエッチングを行う。この第2メサ状積層構造が650nm帯の赤色レーザに対応する。
モノリシック型2波長LDのうち、650nm帯の半導体レーザにおいては、活性層に用いるi−GaInPの自然超格子の発生を抑制するために(100)面から<011>方向へ5°ないし10°傾斜させた面を主面とするGaAs基板を用いるのが一般的である。
これは基板主面が(100)面からの傾斜角を大きくしすぎると、導波光の水平方向の光を閉じ込めるメサ状積層構造が傾くためにビーム形状の制御が困難になるためである。 特にモノリシック型2波長LDにおいては2種類の半導体レーザを使用するために、基板の傾斜角を大きくすることに起因するビーム形状の制御が一層困難になるので、通常は10°よりも大きな(100)面からの傾斜角を用いることはなかった。
このようなモノリシック型2波長LDの製造方法は、作製方法が複雑であるため工程数が非常に多くなる。このため,第1メサ状積層構造におけるp−AlGaAsクラッド層とn−AlGaAsクラッド層の代わりに,p−AlGaInPクラッド層とn−AlGaInPクラッド層を用いることで、工程中のエッチング回数を減らせるとともに発光点位置の精度が向上するという大きな利点を得ることができる。
しかし,このときクラッド層であるAlGaInP材料と活性層であるAlGaAs材料の屈折率差が非常に大きいため,場合によってはビーム形状を所望の大きさにするための設計マージンが狭くなることがあった。
これに対し、780nm帯半導体レーザの活性層にGaInAsP系材料を用いることにより屈折率を、650nm帯レーザであるAlGaInP/GaInP系とほぼ同じにすることができる。
さらにモノリシック型2波長LDにおいても,端面での結晶の光学的破壊(COD)を防ぐために,窓構造を適用することが多くなってきている。しかし場合によっては、窓構造を作るためにZnなどのp型ドーパント材料を拡散すると,780nm帯LDに一般的に用いられるAlGaAs材料では、非発光中心が増加してレーザの特性を悪化させるということがあった。
これに対し、780nm帯半導体レーザの活性層にGaInAsP系材料を用いると,窓構造の作製容易となり、CODレベルが向上し、信頼性の向上も図ることができる。
一方、CODレベルの向上という観点においては、通信用ファイバアンプや固体レーザ励起用光源として用いられる700nm帯から900nm帯の半導体レーザの高出力化においては、信頼性の向上のためにCODレベルの向上が必須の要件である。
これらの高出力レーザにおいては、Alを含まない材料であるGaInAsP系材料を活性層に用いることにより、半導体レーザ素子の端面におけるCODレベルの向上を図り、延いては半導体レーザの信頼性を高めることができる。
高出力レーザの製造方法の概略を次に示す。
まず、n−GaAs基板上にn−AlGaAsバッファ層、n−AlGaAsクラッド層、i−AlGaAsの光ガイド層およびバリア層とAlGaAsあるいはGaInAsのウエル層とを有するMQW活性層、p−AlGaAsクラッド層、およびp−GaAsキャップ層を順次形成する。
n−GaAs基板は(100)面あるいは(100)面から<011>または<0−1−1>方向へ2°程度以下傾斜させた面を主面とするGaAs基板であり、これ以上大きな角度傾斜させた面を主面とするGaAs基板が使用されることはなかった。
このような700nm帯から900nm帯の高出力レーザに対して、MQW活性層を構成する光ガイド層及びバリア層として、i−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x≧0、1≧y≧0)を、またウエル層としてi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1>y≧0)を用いる構造が、Alフリー活性層構造として最近用いられるようになってきている。
通常バリア層としてはi−GaIn(1−x)As(1−y) において、y=0.1〜0.4の値の材料が、またウエル層としてはi−GaIn(1−x)As(1−y) において、y=0.5〜0.8の値の材料が使用される。
このときバリア層の組成がGaInPに近いために、GaInPで知られている自然超格子の発生が予想されることになる。このために自然超格子の発生を抑制するためにn−GaAs基板として(100)面から<011>方向へ5°程度以上傾斜させた面を主面とするGaAs基板を使用する必要がある。
このようにGaAs基板上にInGaAsP活性層を形成した公知例としては、n−GaAs基板上にn−あるいはi−Inx1Ga1−x1As1−y1y1下部障壁層(0≦x1≦0.3、0≦y1≦0.6)、Inx3Ga1−x3As1−y3y3圧縮歪量子井戸活性層(0.49y3≦x3≦0.4、0≦y3≦0.1)、i−Inx1Ga1−x1As1−y1y1上部障壁層を形成した半導体レーザ素子が開示された例がある。(例えば、特許文献1 第6頁[0024]、および図1参照)。
またIII−V族化合物半導体レーザ素子において、面方位が(100)面から[011]方向に20°以内の傾斜角にある主面と(100)から[011]方向に20°から70°の範囲内の傾斜角を有する斜面とを有する基板上に、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1,0≦y≦1)とAlGa1−xAs(0≦x≦1)のいずれかにより形成される発光用積層部と、IV族不純物を含む(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1,0≦y≦1)とAlGa1−xAs(0≦x≦1)のいずれかにより形成される電流狭窄層とを有し、電流狭窄層は基板の主面の上方の領域がn型導電性を有し、基板の斜面の上方の領域がp型導電性を有し、電流狭窄層の基板の斜面の上方の領域を介して活性層に電流が流入する例が示されている(例えば、特許文献2 [0010]から[0014]、および図1から図3参照)。
特開2003−51641号公報 特開2004−79828号公報
しかしながら、GaInAsP材料においては、以前から非混和性領域(Miscibity GaP)と呼ばれるGa,In,As,Pの4元素が十分混じり合わずに相分離を起こす組成領域を持つことが知られている。
このような相分離が起きる組成が、場合によっては770〜830nm帯の波長で発光するウエル層の組成に対応し、ウエル層に相分離が起た場合には、フォトルミネッセンスの発光強度の低下や発光半値幅の増加や結晶モフォロジーの劣化などを惹起し、レーザ発振に悪影響を及ぼす。
また、相分離は傾斜基板上へGaInAsP層を成長させる際に特に顕著になる。
既に例示したモノリシック型2波長LDにおいては、650nm帯の半導体レーザの活性層に用いるi−GaInPの自然超格子の発生を抑制するために(100)面から<011>方向へ5°以上傾斜させた面を主面とするGaAs基板を用いることが必須であり、このために780nm帯半導体レーザにおいては製造工程数の削減やクラッド層と活性層との屈折率差の低減のために、その活性層にGaInAsP系材料を用いることが必要となる。またCODレベルの向上が必須の要件である高出力レーザにおいては材料自体の持つCODレベルの向上と窓構造の作製を容易にするために活性層にGaInAsP系材料を用いることが必要になる。このようなGaInAsP材料を活性層に有する半導体レーザを設計する際に、GaInAsP材料のMiscibity GaPによる相分離の発生は、設計の自由度を低下させるのみならず、半導体レーザの構成を困難にするという問題点があった。
この発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、第1の目的は活性層にGaInAsP系材料を適用した半導体レーザにおいて、活性層のGaInAsP系材料の非混和性領域による相分離を抑制し、高出力で高効率の半導体レーザを提供することである。
この発明に係る半導体レーザ装置は、(100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくは前記面と等価な結晶面を主面とするGaAs基板と、このGaAs基板上に配設されるとともに、GaAs基板とそれぞれが格子整合する第1導電型半導体材料の第1の第1クラッド層とこの第1の第1クラッド層の上に配設されGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層とこの第1の活性層の上に配設されGaAs基板と格子整合する第2導電型半導体材料の第1の第2クラッド層とを有する第1の半導体レーザ部と、を備えたものである。
この発明に係る半導体レーザ装置においては、GaAs基板の主面を(100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくは前記面と等価な結晶面としているので、このGaAs基板上に形成されるGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層において、相分離の発生を抑制することができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の斜視図、図2はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の活性層近傍の部分断面図、図3はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置のもう一つの活性層近傍の部分断面図である。以下の図において図1ないし図3と同じ符号は、同じものか相当のものであることを示す。
図1において、モノリシック型2波長LD10は、DVD−R/RW装置に加えてCD−ROM装置をハイブリッドに内蔵したDVD装置に用いられるもので、CD−ROM装置用として使用される第1の半導体レーザ素子としての780nm帯のリッジ導波路型の短波長用LD12とDVD−R/RW装置用として使用される第2の半導体レーザ素子として650nm帯のリッジ導波路型の赤色LD14とから構成され、これらは共通のn−GaAs基板16の上に構成されている。
n−GaAs基板16は(100)面から<011>の方向に、例えば15°傾斜する面を主面としている。この実施の形態1では、この傾斜角θを15°としているが、12°≦θ≦20°、さらに望ましくは14°≦θ≦16°の範囲であればよい。
短波長用LD12は、このn−GaAs基板16上に順次配設された、n−AlGaAsの第1バッファ層120、第1の第1クラッド層としてのn−AlGaInPの第1nクラッド層122、第1の活性層としてのMQW活性層124、第1の第2クラッド層としてのp−AlGaInPの第1pクラッド層126、およびp−GaAsのキャップ層128により構成される。
第1pクラッド層126とp−GaAsのキャップ層128は、MQW活性層124の中央部上に所定の幅で光の導波方向に延在するリッヂ導波路を形成する。このリッヂ導波路の両側はリッジ導波路を構成する第2クラッド層126の中央部よりも薄い所定の厚さの第1pクラッド層126の周縁部となり、この第1pクラッド層126の周縁部がMQW活性層124を覆っている。
図2にMQW活性層124の断面構造が示されている。図2のMQW活性層124の断面構造は図1のII−II断面における断面図である。
MQW活性層124は、n−GaAs基板16と格子整合し、つまりpseudmorphic であるi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)により形成されるウエル層を有し、MQW活性層124のフォトルミネッセンスの波長が、室温における測定にて765〜785nmとなるように形成される。
この帯域のLDにおいては、ウエル層としてのi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)の組成は、1.0≧x≧0.6、および0.8≧y≧0.3程度の値が選定され、光ガイド層及びバリア層としてのi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)の組成は、ウエル層の材料のバンドギャップエネルギーのエネルギーレベルよりも高く、0.8≧x≧0.4、および0.5≧y>0程度の値が選定される。
この実施の形態1においては、ウエル層124bとして、例えばGa0。84In0.16As0.680.32 が選定されていて、この材料はn−GaAs基板16とほぼ格子整合し、この材料を用いたウエル層124bを有する半導体レーザのフォトルミネッセンス(以下、PLということがある)の波長が780nmである。
第1光ガイド層124a、バリア層124c、および第2光ガイド層124dは同じ材料で形成される。
図2において、第1nクラッド層122に接して第1光ガイド層124aが配設され、この上にウエル層124bが配設され、さらにウエル層124bの上にバリア層124cが配設される。ウエル層124bとバリア層124cとは交互に配設され、最上層のウエル層124bの上に第2光ガイド層124dが配設され、この第2光ガイド層124dの上に第2光ガイド層124dと接して第1pクラッド層126が配設される。
また短波長用LD12においてn型不純物としてはシリコン(Si)が添加され、p型不純物としては亜鉛(Zn)が使用されている。
さらに短波長用LD12の各層の不純物濃度と層の厚みは概ね次のとおりである。
第1バッファ層120はSiの不純物濃度は5×1017cm−3〜2×1018cm−3(以下、n×10のm乗をnEmと表記する。例えば5×1017を5E17と表記する。)程度であり、層の厚み0.5〜1.5μm程度である。
第1nクラッド層122のSiの不純物濃度は1E17cm−3〜1E18cm−3程度であり、層の厚み1μm〜3μm程度である。
MQW活性層124の第1光ガイド層124aおよび第2光ガイド層124dは層の厚みが10nm〜100nm程度、バリア層124cは層の厚みが3nm〜10nm程度、ウエル層124bは層の厚みが5nm〜10nm程度である。
第1pクラッド層126のZnの不純物濃度は5E17cm−3〜2E18cm−3程度であり、リッジ導波路を構成する層の厚み1μm〜3μm程度である。
キャップ層128はコンタクト層としての機能も果たすので、Znの不純物濃度は1E19cm−3〜3E19cm−3程度であり、層の厚み0.1μm〜0.5μm程度である。
赤色LD14はこのn−GaAs基板16上において短波長用LD12に隣接して配設される。
赤色LD14は、このn−GaAs基板16上に順次配設された、n−GaAsの第2バッファ層140、第2の第1クラッド層としてのn−AlGaInPの第2nクラッド層142、第2の活性層としてのMQW活性層144、第2の第2クラッド層としてのp−AlGaInPの第2pクラッド層146、p−GaInPのバンド不連続緩和層148、およびp−GaAsのキャップ層150により構成される。
第2pクラッド層146、バンド不連続緩和層148、およびp−GaAsのキャップ層150は、MQW活性層144の中央部上に所定の幅で光の導波方向に延在するリッヂ導波路を形成する。このリッヂ導波路の両側はリッジ導波路を構成する第2pクラッド層146の中央部よりも薄い所定の厚さの第2pクラッド層146の周縁部となり、この第2pクラッド層146の周縁部がMQW活性層144を覆っている。
図3にMQW活性層144の断面構造が示されている。また図3のMQW活性層144の断面構造は図1のII−II断面における断面図である。
MQW活性層144は、n−GaAs基板16と格子整合し、つまりpseudmorphicであるi−GaIn(1−u)As(1−v) (1≧u>0、1≧v>0)により形成されるウエル層を有し、MQW活性層144のフォトルミネッセンスの波長が、室温における測定にて630〜660nmとなるように形成される。
この実施の形態1においては、ウエル層144bとして例えばGaInPが選定され、第1光ガイド層144a、バリア層144c、および第2光ガイド層144dはAlGaInPが選定されている。
図3において、第2nクラッド層142に接して第1光ガイド層144aが配設されこの上にウエル層144bが配設されさらにウエル層144bの上にバリア層144cが配設される。ウエル層144bとバリア層144cとは交互に配設され、最上層のウエル層144bの上に第2光ガイド層144dが配設され、この第2光ガイド層144dに接して第2pクラッド層146が配設される。
また赤色LD14においても短波長用LD12と同様に、n型不純物としてはシリコン(Si)が添加され、p型不純物としては亜鉛(Zn)が使用されている。
さらに赤色LD14の各層の不純物濃度と層の厚みは概ね次のとおりである。
第2バッファ層140はSiの不純物濃度は5E17cm−3〜2E18cm−3程度であり、層の厚み0.5〜1.5μm程度である。
第2nクラッド層142のSiの不純物濃度は1E17cm−3〜1E18cm−3程度であり、層の厚み1μm〜3μm程度である。
MQW活性層144の第1光ガイド層144aおよび第2光ガイド層144dは層の厚みが10nm〜100nm程度であり、バリア層144cは層の厚みが3nm〜10nm程度、ウエル層144bは層の厚みが5nm〜10nm程度である。
第2pクラッド層146のZnの不純物濃度は5E17cm−3〜2E18cm−3程度であり、ストライプメサの層の厚み1μm〜3μm程度である。
バンド不連続緩和層148のZnの不純物濃度は1E17cm−3〜3E18cm−3程度であり、層の厚みは0.1μm程度である。
キャップ層150はコンタクト層としての機能も果たすので、Znの不純物濃度は1E19cm−3〜3E19cm−3程度であり、層の厚みは0.1μm〜0.5μm程度である。
n−GaAs基板16の裏面側には金属製のn電極18が配設され、キャップ層128の上には金属製の第1p電極130が、キャップ層150の上には金属製の第2p電極152がそれぞれ配設されている。
次にモノリシック型2波長LD10の製造方法の概略を説明する。
まず、n−GaAs基板16上に、第1バッファ層120としてのn−AlGaAs層、第1nクラッド層122としてのn−AlGaInP層、ウエル層124bとして使用されるGa0。84In(0.16As0.680.32 層と第1光ガイド層124a、バリア層124c、および第2光ガイド層124dとして使用されるi−GaIn(1−x)As(1−y) 層(1≧x>0、1≧y>0)とを有するMQW活性層124、第1pクラッド層126としてのp−AlGaInP層、およびキャップ層128としてのp−GaAs層を例えばMOCVD法等により、順次形成する。
このあとキャップ層128としてのp−GaAs層の上にレジストマスクを形成し、第1バッファ層120としてのn−AlGaAs層、第1nクラッド層122としてのn−AlGaInP層、MQW活性層124、第1pクラッド層126としてのp−AlGaInP層、およびキャップ層128としてのp−GaAs層を、メサ状積層構造として残るようにn−GaAs基板16が露呈するまで選択的にエッチングする。このメサ状積層構造が短波長用LD12に対応する。
つぎに短波長用LD12に隣接するエッチングにより露呈したn−GaAs基板16上に、第2バッファ層140としてのn−GaAs層、第2nクラッド層142としてのn−AlGaInP層、ウエル層144bとしてGaInP層と第1光ガイド層144a、バリア層144c、および第2光ガイド層144dとしてのAlGaInP層を含むMQW活性層144、第2pクラッド層146としてのp−AlGaInP層、バンド不連続緩和層148としてのp−GaInP層、およびキャップ層150としてのp−GaAs層を、例えばMOCVD法等により、順次形成する。
次いで、先の短波長用LD12に対応するメサ状積層構造の上に形成された第2バッファ層140としてのn−GaAs層、第2nクラッド層142としてのn−AlGaInP層、MQW活性層144、第2pクラッド層146としてのp−AlGaInP層、バンド不連続緩和層148としてのp−GaInP層、およびキャップ層150としてのp−GaAs層を除去するとともに、第2バッファ層140としてのn−GaAs層、第2nクラッド層142としてのn−AlGaInP層、MQW活性層144、第2pクラッド層146としてのp−AlGaInP層、バンド不連続緩和層148としてのp−GaInP層、およびキャップ層150としてのp−GaAs層からなるメサ状積層構造を形成するように選択的にエッチングを行う。後に形成されたメサ状積層構造が赤色LD14に対応する。
さらに、エッチングにより、第1pクラッド層126としてのp−AlGaInP層およびキャップ層128としてのp−GaAs層からなるリッジ導波路を、また第2pクラッド層146としてのp−AlGaInP層、バンド不連続緩和層148としてのp−GaInP層、およびキャップ層150としてのp−GaAs層からなるリッジ導波路をそれぞれ形成し、n−GaAs基板16の裏面上にn電極18を、キャップ層128としてのp−GaAs層の上に第1p電極130を、キャップ層150としてのp−GaAs層の上に第2p電極152を、それぞれ形成する。
このときのMOCVD成長の成長温度は例えば650℃、成長圧力は例えば100mbar等の条件で処理を行い、各層を形成するための原料ガスとして、例えば、トリメチルインジウム(Trimethyl indium : TMI)、トリメチルガリウム(Trimethyl gallium : TMG)、トリメチルアルミニウム(Trimethyl aluminum : TMA )、フォスフィン(Phosphine : PH3)、アルシン(Arsine : AsH3)、シラン(Silane : SiH4)、ジエチル亜鉛(Diethyl zinc : DEZ)、等を用いる。これらの原料ガスをマスフローコントローラー(Mass Flow Controller : MFC)用いて流量を制御し所望の各層の組成を得る。
次にモノリシック型2波長LD10の動作について説明する。
モノリシック型2波長LD10は、例えばDVD−R/RW装置に加えてCD−ROM装置をハイブリッドに内蔵したDVD装置に用いられるもので、DVD−R/RW装置の読み取り及び書き込みの際に、650nm帯の赤色LD14の第2p電極152とn−GaAs基板16の裏面上のn電極18との間に所定の電圧を印加し、レーザ発振を起こして発光させてDVD−R/RWディスクからのデータの読み込み及びDVD−R/RWディスクへの書き込みを行う。
また、CD−ROM装置の読み取りに際しては、780nm帯の短波長用LD12の第1p電極130とn−GaAs基板16の裏面上のn電極18との間に所定の電圧を印加し、レーザ発振を起こして発光させてCD−ROMディスクからのデータの読み込みを行うものである。
モノリシック型2波長LD10の780nm帯の短波長用LD12においては、MQW活性層124のウエル層124bとしてこの実施の形態1においてはGa0。84In0.16As0.680.32 が選定されている。しかしGa0。84In0.16As0.680.32 は非混和性領域(Miscibity GaP)に近く相分離を起こし始める組成領域にある。
図4はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザに用いたInGaAsP材料の組成図である。
図4において、横軸はGaIn(1−x)As(1−y)材料のGaの組成比xで、縦軸はAsの組成比yである。図中の直線AはGaAs基板に格子整合する組成を示す直線である。また同心円Bはスピノーダル等温線と呼ばれるもので、それぞれの円はある温度において相分離を起こし始める限界線で、その円の内部が非混和性領域であることを示している。
また図4における黒丸はMiscibity GaPにより、相分離を起こしていることを示している。こうした現象は熱力学的計算から求められる温度よりも遙かに高い成長温度においても認められる。
図4における白丸は相分離を起こしていないことを示すものである。白丸のうち白丸Pは、MQW活性層124のウエル層124bとして選定されたGa0。84In0.16As0.680.32 に対応するものである。図4から分かるようにこの組成の材料はMiscibity GaPにより、相分離を起こし始める組成になっている。
図5はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザのフォトルミネッセンスの波長と発光強度との関係を示すグラフである。
図5の横軸はフォトルミネッセンスの波長λPLで、縦軸は任意座標の相対値で表したフォトルミネッセンスの発光強度である。
図5において、曲線aは(100)面から<011>の方向に、15°傾斜する面を主面としたn−GaAs基板(以下、15°オフ(off)基板という。なお傾斜する角度が変わる場合同様の表記をする。)を使用し、ウエル層としてGa0。84In0.16As0.680.32を選定しMQW活性層を構成した場合のフォトルミネッセンスの波長λPLと発光強度との関係の測定結果である。
なお参考のための比較例として、曲線b、c、d、e、f、gを記載している。これらの曲線はすべて、ウエル層としてGa0。84In0.16As0.680.32 を選定しMQW活性層を構成した場合のフォトルミネッセンスの波長と発光強度との関係を示すもので、
(i)曲線bは(100)面を主面とするn−GaAs基板を使用した場合(以下、(100)ジャスト(just)基板という)
(ii)曲線cは(100)面から<011>の方向に、2°傾斜する面を主面としたn−GaAs基板を使用した場合
(iii)曲線dは(100)面から<011>の方向に、3°傾斜する面を主面としたn−GaAs基板を使用した場合
(iv)曲線eは(100)面から<011>の方向に、5°傾斜する面を主面としたn−GaAs基板を使用した場合
(v)曲線fは(100)面から<011>の方向に、9°傾斜する面を主面としたn−GaAs基板を使用した場合
(vi)曲線gは(100)面から<011>の方向に、10°傾斜する面を主面としたn−GaAs基板を使用した場合
についての測定結果である。
(100)ジャスト(just)基板を用いた場合の曲線bのPL波長λPLの極大値は780nmで、2°オフ基板の曲線c及び3°オフ基板の曲線dのPL波長λPLの極大値も780nmからそれほど大きくは変位していないが、5°オフ基板の曲線e及び9°オフ基板の曲線f及び10°オフ基板の曲線gのPL波長λPLの極大値は900nm近辺に大きく変位し、固相比から予想されるPL波長から大きく外れた波長でPL発光が起きていることを示している。これは大きな相分離が起きていることを示すものである。
しかしながら、15°オフ基板を用いた場合には、曲線aで示されているように、再び固相比から予想されるPL波長である780nm近傍のPL波長に戻っている。
これはGaAs基板の主面の方位が(100)面から<011>の方向に傾くのに伴って、表面エネルギーが増大するために、一旦は相分離を起こす方向に加速されるが、本来熱力学的な計算からは(100)面から<011>の方向への面方位の傾斜は、混晶が安定する方向であるために、ある限界値を超えて傾斜角が大きくなると再び混晶になりやすくなっているものと理解することができる。
すなわち、図4における白丸Pのように、MQW活性層のウエル層が、例えばGa0。84In0.16As0.680.32により形成される場合には、Miscibity GaPにより相分離を起こし始める組成になっている。しかしこうした組成の材料であっても、GaAs基板の主面を(100)面から<011>の方向に、例えば15°傾斜する面とすることにより、Miscibity GaPによる相分離を抑制できる。
実施の形態1のモノリシック型2波長LD10では、このGaAs基板の主面が(100)面から<011>の方向に傾く傾斜角θを15°としているが、傾斜角θを12°以上傾斜させたGaAs基板とすることにより、Miscibity GaPによる相分離を抑制できる。 ただこの傾斜角を大きくしすぎると、導波光の水平方向の光を閉じ込めるメサ状積層構造が傾くためにビーム形状の制御が困難になるので、この傾斜角θを20°以下にすることが必要である。
すなわちGaAs基板の主面が(100)面から<011>の方向に傾く傾斜角θを12°≦θ≦20°の範囲に、さらに望ましくは14°≦θ≦16°の範囲にすれば、Miscibity GaPによる相分離を抑制することができる。
このように、n−GaAs基板16の主面が(100)面から<011>の方向に傾く傾斜角θを12°≦θ≦20°の範囲に、さらに望ましくは14°≦θ≦16°の範囲にすることにより、短波長用LD12のMQW活性層124をn−GaAs基板16とpseudmorphic であるi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)により形成されるウエル層124bを備えたものとすることができ、これによってウエル層124bの相分離を防ぐことができる。
従って、GaAs基板の主面を(100)面から<011>の方向に傾く傾斜角θを12°≦θ≦20°の範囲にある面に、さらに望ましくは14°≦θ≦16°の範囲にある面とするという簡単な構成により、短波長用LD12のフォトルミネッセンスの発光強度の低下や発光半値幅の増加や結晶モフォロジーの劣化というレーザ発振の特性劣化を抑制することが出来て、発振特性の良い短波長用LD12を構成できる。延いてはレーザの発振特性の良いモノリシック型2波長LDを構成することができる。
またi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)によるMQW活性層124を形成することにより、第1nクラッド層122をn−AlGaInPにより、また第1pクラッド層126をp−AlGaInPにより、それぞれ形成することにより、クラッド層と活性層との屈折率差を小さくしてビーム形状を所望の大きさにするための設計マージン確保しながら、工程中のエッチング回数を減らせることができ、安価なモノリシック型2波長LDを製造することができる。
さらにまたi−GaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)によるMQW活性層124を形成することにより、CODを防止するための窓構造の形成が容易に行うことができるので、CODレベルが向上し、信頼性の高いモノリシック型2波長LDを製造することができる。
図6はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の変形例の斜視図である。
図6において、モノリシック型2波長LD30は第1の半導体レーザ素子としての780nm帯のリッジ埋込型の短波長用LD32と第2の半導体レーザ素子として650nm帯のリッジ埋込型の赤色LD34とから構成され、これらは共通のn−GaAs基板16の上に構成されている。
短波長用LD32および赤色LD34は共に導波路リッジがn型半導体層や絶縁体層などからなる電流狭窄層36により埋め込まれた電流狭窄構造を有している。
他の各層の構成はモノリシック型2波長LD10と同様である。
このような、リッジ埋込型の短波長用LD32とリッジ埋込型の赤色LD34とから構成されたモノリシック型2波長LD30においても、モノリシック型2波長LD10と同様の効果を奏する。
また、この実施の形態1では第1nクラッド層122および第1pクラッド層126として、AlGaInPを用いたが、MQW活性層にGaInAsPを含む構造であれば、第1nクラッド層122および第1pクラッド層126として、AlGaAsを用いても同様の効果を奏する。
また、この実施の形態1では、活性層をMQW構造としたが、活性層にInGaAsP系材料を含む場合であれば、必ずしもMQW構造でなくても、単なる量子井戸構造でも良い。
以上のようにこの実施の形態1に係る半導体レーザ装置においては、(100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくはこの面と等価な結晶面を主面とするGaAs基板と、このGaAs基板上に配設されるとともに、GaAs基板とそれぞれが格子整合する第1導電型半導体材料の第1の第1クラッド層とこの第1の第1クラッド層の上に配設されGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層とこの第1の活性層の上に配設されGaAs基板と格子整合する第2導電型半導体材料の第1の第2クラッド層とを有する第1の半導体レーザ部と、を備えたもので、GaAs基板の主面を(100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくはこの面と等価な結晶面としているので、このGaAs基板上に形成されるGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層において、活性層のGaInAsP系材料の非混和性領域による相分離の発生を抑制することができる。延いては高出力で高効率の半導体レーザを提供することができる。
さらに、GaAs基板を共通の基板とし、このGaAs基板上に配設され光の導波方向を同にして第1の半導体レーザ部に隣接するとともに、GaAs基板とそれぞれが格子整合する第1導電型半導体材料の第2の第1クラッド層とこの第2の第1クラッド層の上に配設されGaIn(1−u)As(1−v) (1≧u>0、1≧v>0)で形成された層を含む第2の活性層とこの第2の活性層の上に配設されGaAs基板と格子整合する第2導電型半導体材料の第2の第2クラッド層とを有する第2の半導体レーザ部をさらに備えたもので、第1の半導体レーザ部の活性層のGaInAsP系材料の非混和性領域による相分離の発生を抑制することにより、設計の自由度が高く、レーザの発振特性の良いモノリシック型2波長LDを構成することができる。
実施の形態2.
図7はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の斜視図、図8はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の活性層近傍の部分断面図である。
図7において、リッジ導波路型の半導体LD40は、700nm〜900nm帯の半導体レーザで、通信用ファイバアンプや固体レーザ励起用光源として用いられる。
n−GaAs基板16は実施の形態1と同様のものである。n−GaAs基板16上にn−AlGaAsのバッファ層42、第1の第1クラッド層としてのn−AlGaAsのnクラッド層44、第1の活性層としてのMQW活性層46、第1の第2クラッド層としてのp−AlGaInPのpクラッド層48、およびp−GaAsのキャップ層50が順次配設されている。
pクラッド層48とキャップ層50は、MQW活性層46の中央部上に所定の幅で光の導波方向に延在するリッヂ導波路を形成する。このリッヂ導波路の両側はリッジ導波路を構成するpクラッド層48の中央部よりも薄い所定の厚さのpクラッド層48の周縁部となり、このpクラッド層48の周縁部がMQW活性層46を覆っている。
図8にMQW活性層46の断面構造が示されている。図8のMQW活性層46の断面構造は図7のVIII−VIII断面における断面図である。
MQW活性層46は、n−GaAs基板16とpseudmorphic であるi−GaIn(1−x)As(1−y) (0.9≧x≧0.6、1≧y≧0.3)により形成されるウエル層を有し、i−GaIn(1−x)As(1−y) (0.7≧x≧0.5、0.5≧y≧0)により形成される第1、第2光ガイド層、およびバリア層を有している。
この実施の形態2においては、例えばx=0.9、y=0.8とするGa0。9In0.1As0.80.2 によりウエル層46bが形成されている。
図2において、nクラッド層44に接して第1光ガイド層46aが配設され、この上にウエル層46bが配設され、さらにウエル層46bの上にバリア層46cが形成される。ウエル層46bとバリア層46cとは交互に配設され、最上層のウエル層46bの上に第2光ガイド層46dが配設され、この第2光ガイド層46dの上に第2光ガイド層46dと接してpクラッド層48が配設される。
またn型不純物およびp型不純物は実施の形態1と同じであり、またバッファ層42、nクラッド層44、MQW活性層46を構成する各層、pクラッド層、および48キャップ層50各層の層厚及び不純物濃度は、実施の形態1における第1バッファ層121、第1nクラッド層122、MQW活性層124を構成する各層、第1pクラッド層126、キャップ層128のそれらと概ね同じである。
次に半導体LD40の製造方法の概略を説明する。
n−GaAs基板16上に、バッファ層42としてのn−AlGaAs層、nクラッド層44としてのn−AlGaAs層、i−Ga0。9In0.1As0.80.2 により形成されるウエル層46bとこのウエル層46bの材料に対応してi−GaIn(1−x)As(1−y) (0.7≧x≧0.5、0.5≧y≧0)から選定される第1光ガイド層46a、バリア層46c、および第2光ガイド層46dとを有するMQW活性層46、pクラッド層48としてのp−AlGaAs層、およびキャップ層50としてのp−GaAs層を例えばMOCVD法等により、順次形成する。
このあとキャップ層50としてのp−GaAs層の上にレジストマスクを形成し、バッファ層42としてのn−AlGaAs層、nクラッド層44としてのn−AlGaAs層、MQW活性層46、pクラッド層48としてのp−AlGaAs層、およびキャップ層50としてのp−GaAs層を、メサ状積層構造として残るようにn−GaAs基板16が露呈するまで選択的にエッチングする。
さらに、エッチングにより、pクラッド層48としてのp−AlGaAs層およびキャップ層50としてのp−GaAs層からなるリッジ導波路を形成し、n−GaAs基板16の裏面上にn電極18を、キャップ層50としてのp−GaAs層の上にp電極130を、それぞれ形成する。
このときのMOCVD成長の成長温度は例えば650℃、成長圧力は例えば100mbar等の条件で処理を行い、各層を形成するための原料ガスとして、例えば、トリメチルインジウム(Trimethyl indium : TMI)、トリメチルガリウム(Trimethyl gallium : TMG)、トリメチルアルミニウム(Trimethyl aluminum : TMA )、フォスフィン(Phosphine : PH3)、アルシン(Arsine : AsH3)、シラン(Silane : SiH4)、ジエチル亜鉛(Diethyl zinc : DEZ)、等を用いる。これらの原料ガスをマスフローコントローラー(Mass Flow Controller : MFC)用いて流量を制御し所望の各層の組成を得る。
次に半導体LD40の動作について説明する。
半導体LD40は、p電極130とn−GaAs基板16の裏面上のn電極18との間に所定の電圧を印加し、レーザ発振を起こして発光させて、通信用ファイバアンプや固体レーザ励起用光源として用いる。
ウエル層46bの材料として、Ga0。9In0.1As0.80.2を使用する場合、半導体LD40は820nmのPL発光が得られる。
n−GaAs基板16とpseudmorphic であるi−GaIn(1−x)As(1−y) において、x=0.9、y=0.8を選定した場合、この座標を実施の形態1の図4において説明したInGaAsP材料の組成図上に求めると、この座標点は非混和性領域(Miscibity GaP)から離れているが、この組成であってもウエル層に歪みを印加する歪MQW構造にすると、歪みエネルギーの増加のために相分離が急激に進むことが分かっている。従って、傾斜基板を使用する場合にはこの点の考慮が必要であった。
しかしながら、この実施の形態2における半導体LD40においては、n−GaAs基板16は(100)面から<011>の方向に、例えば15°傾斜する面を主面としている。
実施の形態1において述べた如く、GaAs基板の主面の方位が(100)面から<011>の方向に傾斜角θ傾いている場合、傾斜角θが大きくなるに伴って、表面エネルギーが増大するために、一旦は相分離を起こす方向に加速される。しかしながら本来熱力学的な計算からは(100)面から<011>の方向への面方位の傾斜は、混晶が安定する方向であるために、ある限界値を超えて傾斜角θが大きくなると再び混晶になりやすくなる。
この傾斜角θを大きくしすぎると、導波光の水平方向の光を閉じ込めるメサ状積層構造が傾くためにビーム形状の制御が困難になるので、この傾斜角θを20°以下にすることが必要である。
従ってGaAs基板の主面が(100)面から<011>の方向に傾く傾斜角θを12°≦θ≦20°の範囲に、さらに望ましくは14°≦θ≦16°の範囲にすれば、Miscibity GaPによる相分離を抑制することができる。
とくに通信用ファイバアンプや固体レーザ励起用光源として用いる半導体LDは高出力動作が要求され、CODレベルの向上が必須の要件である。
この実施の形態2における半導体LD40においては、n−GaAs基板16の主面が(100)面から<011>の方向に傾く傾斜角θを12°≦θ≦20°の範囲に、さらに望ましくは14°≦θ≦16°の範囲にするという簡単な構成により、GaInAsP系材料の相分離を抑制できるので、GaInAsP系材料を使用した活性層を相分離なしに使用することができる。そのために半導体LD4においては、レーザ発振の特性劣化が少なく、窓構造の作製が容易になり、高出力動作においてもCODレベルを向上させることができる。また半導体LDの設計の自由度を高めることができる。延いては、CODレベルが高く信頼性の高い高出力用の半導体LDを構成することができる。
図9はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の変形例の斜視図である。
図9において、700nm〜900nm帯の半導体レーザで、通信用ファイバアンプや固体レーザ励起用光源として用いられるリッジ埋込型の半導体LD56がn−GaAs基板16の上に構成されている。
リッジ埋込型の半導体LD56は導波路リッジがn型半導体層や絶縁体層などからなる電流狭窄層36により埋め込まれた電流狭窄構造を有している。他の各層の構成は半導体LD40と同様である。
このような、リッジ埋込型の半導体LD56においても、リッジ導波路型の半導体LD40と同様の効果を奏する。
また、この実施の形態2では、nクラッド層44としてのn−AlGaAs層を、pクラッド層48としてのp−AlGaAs層を用いたが、MQW活性層46にInGaAsP系材料を含む場合であれば、nクラッド層44およびpクラッド層48の材料としてAlGaInPを用いても同様の効果を奏する。
また、この実施の形態2では、活性層をMQW構造としたが、活性層にInGaAsP系材料を含む場合であれば、必ずしもMQW構造でなくてもよい。
以上のようにこの実施の形態2に係る半導体レーザ装置においては、(100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくはこの面と等価な結晶面を主面とするGaAs基板と、このGaAs基板上に配設されるとともに、GaAs基板とそれぞれが格子整合する第1導電型半導体材料の第1の第1クラッド層とこの第1の第1クラッド層の上に配設されGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層とこの第1の活性層の上に配設されGaAs基板と格子整合する第2導電型半導体材料の第1の第2クラッド層とを有する第1の半導体レーザ部と、を備えたもので、GaAs基板の主面を(100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくはこの面と等価な結晶面としているので、このGaAs基板上に形成されるGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層において、活性層のGaInAsP系材料の非混和性領域による相分離の発生を抑制することができる。延いては高出力動作においてもCODレベルが高く信頼性の高い半導体レーザを提供することができる。
以上のように、この発明に係る半導体レーザ装置は、情報通信用機器や光通信用の受・発光装置、固体レーザ励起用に使用する半導体レーザ装置に適している。
この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の斜視図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の活性層近傍の部分断面図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の活性層近傍の部分断面図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザに用いたInGaAsP材料の組成図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザのフォトルミネッセンスの波長と発光強度との関係を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の変形例の斜視図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の斜視図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の活性層近傍の部分断面図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の変形例の斜視図である。
符号の説明
16 n−GaAs基板、 122 第1nクラッド層、 124 MQW活性層、 126 第1pクラッド層、 12 短波長用LD、 142 第2nクラッド層、 144 MQW活性層、 146 第2pクラッド層、 14 赤色LD。

Claims (4)

  1. (100)面から<011>方向へ12°以上20°以下の角度傾けた面もしくは前記面と等価な結晶面を主面とするGaAs基板と、
    このGaAs基板上に配設されるとともに、上記GaAs基板とそれぞれが格子整合する第1導電型半導体材料の第1の第1クラッド層とこの第1の第1クラッド層の上に配設されGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)で形成された層を含む第1の活性層とこの第1の活性層の上に配設されGaAs基板と格子整合する第2導電型半導体材料の第1の第2クラッド層とを有する第1の半導体レーザ部と、
    を備えた半導体レーザ装置。
  2. GaAs基板を共通の基板とし、前記GaAs基板上に配設され光の導波方向を同にして第1の半導体レーザ部に隣接するとともに、上記GaAs基板とそれぞれが格子整合する第1導電型半導体材料の第2の第1クラッド層とこの第2の第1クラッド層の上に配設されGaIn(1−u)As(1−v) (1≧u>0、1≧v>0)で形成された層を含む第2の活性層とこの第2の活性層の上に配設されGaAs基板と格子整合する第2導電型半導体材料の第2の第2クラッド層とを有する第2の半導体レーザ部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
  3. 第1の活性層がGaIn(1−x)As(1−y) (0.9≧x≧0.6、1>y≧0.3)により形成された井戸層を有する量子井戸構造であることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
  4. 第1の活性層がGaIn(1−x)As(1−y) (1≧x>0、1≧y>0)により形成された井戸層を有するとともに室温でのフォトルミネッセンスの波長が765nm以上785nm以下である量子井戸構造であり、第2の活性層がGaIn(1−u)As(1−v) (1≧u>0、1≧v>0)により形成された井戸層を有するとともに室温でのフォトルミネッセンスの波長が630nm以上660nm以下である量子井戸構造であることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ装置。
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