JP2006072306A - ホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料 - Google Patents

ホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料 Download PDF

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Abstract

【課題】干渉縞の記録特性に優れ、再生特性を自由に制御することができるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料を提供する。
【解決手段】 支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の数平均円相当径が10nmから80nmであり、該ハロゲン化銀乳剤層中に重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有するホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料、特に干渉縞の記録特性と再生特性に優れたホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料に関するものである。さらには干渉縞の間隔を自由に制御することができるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料に関するものである。
干渉波の波面記録すなわちホログラフィ−用感光材料として種々の記録方式が提案され実用化されている。代表的な感光材料としてハロゲン化銀感光材料、重クロム酸ゼラチン感光材料、ホトレジスト感光材料、ホトポリマ−感光材料、サ−モプラスティック感光材料が知られている。その中でハロゲン化銀感光材料は高感度であることが最大の特徴であり、各種ディスプレ−分野、研究分野で広く用いられている。これらのハロゲン化銀感光材料はレ−ザ−光によって露光され,その光の波長以下の幅の干渉縞が記録できる。記録時の干渉縞はハロゲン化銀感光材料の処理により影響を受ける。処理時に露光時よりもハロゲン化銀感光材料の膜厚が収縮すると、通常再生光は記録時の光の波長より短波にシフトする。これは処理により干渉縞の間隔が記録時よりも短くなるためである。一方、処理時に露光時よりもハロゲン化銀感光材料の膜厚が伸びると、通常再生光は記録時の光の波長より長波にシフトする。これは処理により干渉縞の間隔が記録時よりも長くなるためである。これらの波長のシフトをハロゲン化銀感光材料の前処理もしくは後処理の工夫により実施することが一般に行われている。しかしながら、これらの方法では記録特性と再生特性が、ばらつき、さらに取り扱いに不便である。
これらの問題を回避する目的でハロゲン化銀感光材料自体に後処理時の膜厚変化を制御する機能を盛り込む技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
さらには、後処理時の収縮ファクタ−が異なる2層構成の感光材料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの開示されている方法ではハロゲン化銀感光材料の感光性に不要な添加物を添加するため感光材料の記録特性が劣化するという問題点を抱えている。さらには、再生特性がほぼ一義的に決まってしまい、後処理で自由に制御することができない。したがって、干渉縞の記録特性に優れ、再生特性を自由に制御することができるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料の作製技術はなかった。
欧州特許第240466号明細書 欧州特許出願公開第241418号明細書
本発明の目的は、従来にない干渉縞の記録特性に優れ、再生特性を自由に制御することができるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料を提供することである。さらには高画質なホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料をを提供することである。
本発明はハロゲン化銀乳剤層に低分子量ゼラチンと通常のゼラチンを混合して用いることにより、処理時の膜厚の変化を自由に制御できることを見出したことによる。硬膜処理を施したハロゲン化銀乳剤層において、低分子量ゼラチンが水洗等の処理時間の延長により均一に乳剤膜から溶け出すという発見に基づいている。これにより膜の強度を保ったままで再生光の波長を自由に制御することができ、干渉縞の記録特性と再生特性と取り扱い性を同時に満足することが可能となった。さらにバック層の工夫、乳剤層への特定の添加剤の導入により、高画質なホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料を得ることが可能となった。
本発明の前記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の数平均円相当径が10nmから80nmであり、該ハロゲン化銀乳剤層中に重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有することを特徴とするホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
(2)(1)において、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層と反対側に少なくとも1層のバック層を有し、該バック層の総ゼラチン塗布量がハロゲン化銀乳剤層の総ゼラチン塗布量に対して0.3から1.0の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
(3)(2)において、バック層にマット剤を含有することを特徴とする(2)に記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
(4)該ハロゲン化銀乳剤層にラジカルスカベンジャ−を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
(5)該支持体が厚み100μmから300μmの三酢酸セルロ−スフィルムであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
本発明により、従来にない干渉縞の記録特性に優れ、再生特性を自由に制御することができるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料を得ることができた。さらには従来にない汎用性があり取り扱いに便利で高画質なホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料を得ることができた。
以下に本発明のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料について説明する。
本発明でホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料とは物体光と参照光の干渉波を記録することができるハロゲン化銀感光材料である。この波面記録により物体光の振幅と位相の両方を記録することができ、再生光により物体を三次元的に忠実に、再生、再現することができる。
本発明のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料は支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する。該ハロゲン化銀乳剤層中に重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有する。より好ましくは重量平均分子量が5000から30000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が100000以上のゼラチンを含有する。通常のゼラチンは分子量95000のα鎖と分子量190000のβ鎖と分子量285000のγ鎖を主成分とする混合物である。これらのゼラチンの重量平均分子量は光散乱法や遠心分離法により求めることが可能である。分子量が既知の標準試料を検量線として用いるゲル濾過クロマトグラフィ−が重量平均分子量を求めるのに簡便に用いられる。詳細は、T.H.James編、The Theory of Photographic Process、第4版、51ペ−ジから85ペ−ジに記載されている。本発明における低分子量ゼラチンは通常のゼラチンを適当な酵素により分解することにより得ることができる。これらの低分子量ゼラチンにおいては分子量分布は狭いことが望ましい。すなわち、重量平均分子量は数平均分子量に近くなる。低分子量ゼラチンの分子量が小さすぎると、処理ですばやく溶け出すために干渉縞の間隔、すなわち膜厚の制御が容易ではなくなる。一方、低分子量ゼラチンの分子量が大きすぎると、処理で溶け出しにくくなるために干渉縞の間隔、すなわち膜厚の変化に時間がかかってしまい、かつ均一性が損なわれる。
ハロゲン化銀乳剤層中の重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンの質量比は1対10から1対1の範囲が好ましく、1対8から1対2の範囲が特に好ましい。低分子量ゼラチンの質量比が高いほど処理時のゼラチンンの溶け出しが多くなり、記録時の干渉縞の間隔に対して再生時の干渉縞の間隔を狭くすることが容易になる。しかしながら、低分子量ゼラチンの質量比が高すぎると、記録時の干渉縞の間隔と再生時の干渉縞の間隔を同一にすることが困難となる。水洗工程を含めた処理時間の延長により干渉縞の間隔を任意に制御することができる質量比が上述の値となる。本発明はハロゲン化銀乳剤粒子の感光性に不要な添加剤を加えることなく、ハロゲン化銀粒子のバインダ−として必要なゼラチンの組成を工夫することにより干渉縞間隔を任意に制御できる。
重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有するハロゲン化銀乳剤層は好ましくはあらかじめ硬膜処理が行われている。硬膜処理は高湿度下の保存時、露光時、ならびに処理時の膜強度を保つために重要である。本発明においてはあらかじめ硬膜処理を行なっても、処理時に低分子量ゼラチンのみが優先して処理液に流出することにもとづいている。これにより乳剤層の膜厚に対して均一にゼラチンの溶出が可能であり、均一な干渉縞間隔が得られる。さらにあらかじめ硬膜処理を行なっているので、十分な膜強度が得られる。硬膜処理の程度は処理時の膜厚が処理前の膜厚に対して1.3倍から3倍になることが好ましく、1.5倍から2.5倍になることが特に好ましい。硬膜を強くしすぎると処理時間がおくれてしまう。逆に硬膜が弱いと十分な膜強度が得られない。硬膜剤としては有機硬膜剤が好ましく用いられ、通常良く知られているアルデヒド類、N−メチロ−ル類、保護されたアルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、カルバミック酸類、スルホネ−トエステル類、スルホニルハロゲン化物、活性ハロゲン化合物類、s−トリアジン類、エポキシド類、アジリジン類、活性オレフィン類、保護された活性オレフィン類、イソシアネ−ト類、カルボジイミド類、ポリマ−類等を単独もしくは混合して用いる。これらはハロゲン化銀乳剤層の塗布時に同層もしくは別層に添加し、硬膜処理することが好ましい。
硬膜の程度により処理時のゼラチンの抜けを変化させることが可能であるが、この方法では膜強度との両立が達成できない。本発明の重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを併用使用することにより、処理時の膜厚変化の制御と膜強度の両立が可能となった。
本発明のゼラチンは、下記の各種修飾処理を施されていても良い。例えば、アミノ基を修飾したフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリットゼラチン、ピロメリットゼラチン、カルボキシル基を修飾したエステル化ゼラチン、アミド化ゼラチン、イミダゾール基を修飾したホルミル化ゼラチン、メチオニン基を減少させた酸化処理ゼラチンや増加させた還元処理ゼラチンなどが挙げられる。
一方、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンも用いることができる。
本発明において、支持体はハロゲン化銀感光材料に通常用いられる支持体を用いることができ、ガラス、三酢酸セルロ−ス(TAC)、PET,PEN等を代表例として挙げる事ができる。好ましくは、光学的異方性を持たないTACが用いられる。光学的な異方性の少ない三酢酸セルロ−スフィルムを用いることにより、支持体を通過する光の偏光方向が保たれるために、干渉縞の記録に好ましくなる。支持体の厚みは、100μmから300μmであることが好ましく、150μmから250μmであることが特に好ましい。この厚みにすることにより、取り扱い性が向上する。フィルム支持体はガラス支持体に比べて安価で軽く、折り曲げることが可能で割れないという利点を有する。しかしながら、支持体の厚みが薄すぎると干渉縞の記録の際に感光材料が動いてしまう。一方、厚すぎるとフィルムの特徴が失われてしまう。
本発明においては、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層と反対側に少なくとも1層のバック層を有することが好ましく、該バック層の総ゼラチン塗布量がハロゲン化銀乳剤層の総ゼラチン塗布量に対して0.3から1.0の範囲にあることが好ましい。該バック層の総ゼラチン塗布量がハロゲン化銀乳剤層の総ゼラチン塗布量に対して0.5から0.8の範囲にあることが特に好ましい。この限定したバック層により本発明のフィルム支持体の感光材料のカ−ルを顕著に抑制することができる。本発明の重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有するハロゲン化銀乳剤層を有する場合には、処理により乳剤層の膜厚を自由に変化させることが可能であるので、それらの乳剤層の膜厚の変化に対してカ−ルが敏感に変化しないようにゼラチン塗布量を限定したバック層を有することが好ましい。バック層のゼラチンについても乳剤層と同様に重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有させることが可能であり好ましい。その比率等については前述した乳剤層のゼラチンと同様である。
本発明においては上述したバック層にマット剤を含有することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤層もしくは乳剤層の上に保護層を設けてマット剤を添加することも可能であるが、本発明においてはバック層のみにマット剤を用いることが好ましい。ハロゲン化銀乳剤層もしくは乳剤層の上に保護層を設けてマット剤を添加することは、本発明のハロゲン化銀乳剤層からの低分子量ゼラチンの溶出を抑制し、膜厚変化の不均一化をもたらしてしまう。すなわち、本発明の特徴を最大限に発揮させるためには、バック層にマット剤を含有する。さらには、マット剤はハロゲン化銀感光材料間の接着を顕著に抑制するが、乳剤層にマット剤を用いるとマット剤の部分は干渉縞が記録できない。乳児層の上に保護層を設けてマット剤を添加しても、保護層の厚みの分だけ光散乱が悪化する。バック層側にマット剤を用いることにより光散乱と接着の抑制を両立させることができる。
バック層は導電層とマット剤導入層の2層構成が好ましい。導電層には酸化スズ等の導電性微粒子を含有させることにより、特に低湿度条件下での帯電が防止でき、干渉縞記録時のゴミ付きの問題等を顕著に回避できる。すなわち、記録特性と取り扱い性を向上させることが可能となる。マット剤はポリメチルメタクリレート微粒子が好ましく用いられる。微粒子のサイズは1μm以上5μm以下であることが好ましい。小さすぎると接着の改良効果がなく、大きすぎると光散乱が増加する。特に好ましくは2μm以上4μm以下である。粒子サイズの分布は単分散性であることが好ましい。
乳剤層、バック層に追加して、保護層、YF層、中間層、ハレ−ション防止層、下塗り層等、目的に応じて適宜選択して塗布することができる。ハロゲン化銀乳剤層ならびに各種層の塗布銀量、塗布ゼラチン量は特に制限はない。塗布銀量は1g/m2から10g/m2の範囲が好ましい。塗布ゼラチン量は1g/m2 から10g/m2の範囲が好ましい。銀/ゼラチン塗布量比率についても任意の範囲で選択することができる。好ましくは0.3〜2.0の範囲である。塗布膜厚は通常3μm〜12μmの範囲が好ましく用いられる。薄いと干渉波の記録が十分に行えないし、厚すぎても光散乱等の増加により解像力が低下してしまう。
本発明においては支持体が厚み150μmから300μmの三酢酸セルロ−スフィルムを用いること、ハロゲン化銀乳剤層中に重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有させること、バック層の総ゼラチン塗布量がハロゲン化銀乳剤層の総ゼラチン塗布量に対して0.3から1.0の範囲にすること、ならびにバック層にマット剤を含有させることにより、従来にない干渉縞の記録特性と再生特性に優れたホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料を得ることが可能となる。しかしながら、ハロゲン化銀乳剤層に低分子量ゼラチンを用いた場合、感光材料の接着時のマット剤による圧力かぶりが問題となる場合があることが判明した。この問題は特に、ハロゲン化銀乳剤層に保護層を設けない場合に顕著に起こることが明らかとなった。この圧力かぶりは乳剤層にラジカルスカベンジャ−を含有させることにより顕著に抑制することができた。
本発明におけるラジカルスカベンジャーとは、25℃以下で、ガルビノキシルの0.05mmoldm-3エタノール溶液とテスト化合物の2.5mmoldm-3エタノール溶液とを、ストップドフロー法により混合し、430nmにおける吸光度の時間変化を測定し、実質的にガルビノキシルを消色(430nmにおける吸光度を減少)させる化合物のことを言う。(上記濃度だけ溶解しないものは、濃度を下げて測定してもよい。)好ましくは、上記に示す方法により求めたガルビノキシルの消色速度定数が、0.01mmol-1-1dm3以上、更に好ましくは、0.1mmol-1-1dm3以上である。ガルビノキシルを用いてラジカルスカベンジ速度を求める方法は、Microchemical Journal 31,18〜21(1985)にストップドフロー法については、例えば分光研究第19巻第6号(1970)321頁に記載されている。本発明では、ラジカルスカベンジャーとして、一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物を用いることが更に好ましい。また、一般式(A−I)又は(A−II)が中でもより好ましい。
Figure 2006072306
一般式(A−I)において、Ra1はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、Ra2は水素原子又はRa1で示した基を表す。ただし、Ra1がアルキル基、アルケニル基又はアリール基のとき、Ra2はアシル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基である。Ra1とRa2が互いに結合して、5〜7員感を形成してもよい。一般式(A−II)において、Xは複素環基を表し、Rb1はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。XとRb1が互いに結合して、5〜7員環を形成してもよい。一般式(A−III)において、Yは−N=C−とともに5員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Yは更に−N=C−基とともに6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、かつ−N=C−基の炭素原子と結合するYの末端が−N(Rc1)−、C(Rc2)(Rc3)−、−C(Rc4)=、−O−、−S−の中から選択された基(各基の左側で−N=C−の炭素原子と結合する)を表す。Rc1〜Rc4は水素原子又は置換基を表す。一般式(A−IV)において、Rd1及びRd2は同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基又はアリール基を表す。ただし、Rd1とRd2が同時に無置換アルキル基であって、かつRd1とRd2が同一の基であるとき、Rd1とRd2は炭素数8以上のアルキル基である。一般式(A−V)において、Re1とRe2は同一でも異なってもよく、それぞれ、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコ キシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル基又はアリール基を表す。ただし、Re1とRe2は同時に−NHRe3(Re3はアルキル基又はアリール基)であることはない。Ra1とRa2、XとRb1が互いに結合して、5〜7員環を形成してもよい。
一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物を更に詳細に説明する。
一般式(A−I)において、Ra1はアルキル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル基で例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜36のアルケニル基で例えば、アリル、2−ブテニル、イソプロペニル、オレイル、ビニル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40のアリール基で例えばフェニル、ナフチル)、アシル基(好ましくは炭素数2〜36のアシル基で例えばアセチル、ベンゾイル、ピバロイル、α−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル、ミリストイル、ステアロイル、ナフトイル、m−ペンタデシルベンゾイル、イソニコチノイル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル又はアリールスルホニル基で例えばメタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40のアルキル又はアリールスルフィニル基で例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、カルバモイル基(N−置換カルバモイル基をも含み、好ましくは炭素数1〜40のカルバ モイル基で例えばN−エチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−ブチル−N−フェニルカルバモイル)、スルファモイル基(N−置換スルファモイル基をも含み、好ましくは炭素数1〜40のスルファモイル基で例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシル−N−フェニルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜36のアルコキシカルボニル基で例えばメトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、イソアミルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)又はアリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えばフェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル)を表す。Ra2は水素原子又はRa1で示した基を表す。一般式(A−II)において、複素環基(環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子又はリン原子の少なくとも一つ有する5〜7員環状の複素環を形成する基であり、複素環の結合位置(1価基の位置)は好ましくは炭素原子であり、例えば1,3,5−トリアジン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、ピリジン−2−イル、ピラジニル、ピリミジニル、プリニル、キノリル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾール−3−イル−、ベンズイミダゾール−2−イル、チエニル、フリル、イミダゾリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフリル、モルホリニル、フォスフィノリン−2−イル)を表す。Rb1は一般式(A−I)のRa1と同じ意味でのアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。一般式(A−III)において、Yは−N=C−とともに5員環を形成するのに必要な非金属原子 群(例えば形成される環基がイミダゾリル、ベンズイミダゾリル、1,3−チアゾール−2−イル、2−イミダゾリン−2−イル、プリニル、3H−インドール−2−イル)を表す。Yは更に−N=C−基とともに6員環を形成するのに必要な非金属原子群であって、かつ−N=C−基の炭素原子と結合するYの末端が−N(Rc1)−、−C(Rc2)(Rc3)−、−C(Rc4)=、 −O−、−S−の中から選択された基(各基の左側で−N=C−の炭素原子と結合する)を表す。Rc1〜Rc4は同一でも異なってもよく、水素原子又は置換基(例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ハロゲン原子)を表す。Yによって形成される6員環基としてはキノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、1,3,5−トリアジン−5−イル、6H−1,2,5−チアジアジン−6−イルが挙げられる。一般式(A−IV)において、Rd1及びRd2はアルキル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル基で、例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)又はアリール基(好ましくは炭素数 6〜40のアリール基で、例えばフェニル、ナフチル)を表す。ただし、Rd1とRd2が同時に無置換のアルキル基であり、かつRd1とRd2が同一の基であるとき、Rd1とRd2は炭素数8以上のアルキル基である。一般式(A−V)において、Re1及びRe2は、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜50のアルキルアミノ基で、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、t−オクチルアミノ、ドデシルアミノ、ヘキサデシルアミノ、ベンジルアミノ、ベンジルブチルアミノ)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜50のアリールアミノ基で、例えばフェニルアミノ、フェニルメチルアミノ、ジフェニルアミノ、ナフチルアミノ)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36のアルコキシ基で、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、オクチルオキシ、トリデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40のアリールオキシ基で、例えばフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜36のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオ、ブチルチオ、シクロヘキシルチオ、ベンジルチオ、t−オクチルチオ、ドデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜40のアリールチオ基で、例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル基で、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、i−アミル、sec−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40のアリール基で、例えばフェニル、ナフチル)を表す。ただし、Re1とRe2は同時に−NHR(Rはアルキル基又はアリール基)であることはない。Ra1とRa2、XとRb1が互いに結合して5〜7員環を形成してもよく、例えばスクシンイミド環、フタルイミド環、トリアゾール環、ウラゾール環、ヒダントイン環、2−オキソ−4−オキサゾリジノン環が挙げられる。一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物の各基は更に置換基で置換されてもよい。これらの置換基としては例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアミノ基などが挙げられる。一般式(A−I)において、Ra2が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基があり、かつRa1がアシル基、スルホニル基、スルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であるものが好ましく、更に好ましくは、Ra2がアルキル基、アルケニル基であり、かつRa1がアシル基、スルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基である化合物である。Ra2がアルキル基で、かつRa1がアシル基であるものが最も好ましい。一般式(A−II)において、Rb1はアルキル基、アルケニル基のものが好ましく、アルキル基のものは更に好ましい。
一方、Xは下記一般式(A−II−1)で表されるものが好ましく、更に好ましくは1,3,5−トリアジン−2−イルであり、下記一般式(A−II−2)で表される化合物である場合が最も好ましい。一般式(A−II−1)において、Rb1は一般式(A−II)のRb1を表し、X1は5〜6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。一般式(A−II−1)で表される化合物のうち、X1が5〜6員複素芳香環を形成する場合がより好ましい。
Figure 2006072306
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一般式(A−II−2)において、Rb1は一般式(A−II)のRb1を表す。Rb2及びRb3は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子又は置換基を表す。一般式(A−II−2)で表される化合物のうち、Rb2及びRb3がヒドロキシアミノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル基又はアリール基である場合が特に好ましい。一般式(A−III)で表される化合物のうち、Yが5員環を形成するのに必要な非金属原子群である場合が好ましく、−N=C−基の炭素原子と結合するYの末端端子が窒素原子である場合更に好ましい。Yがイミダゾリン環を形成する場合が最も好ましい。このイミダゾリン環はベンゼン環で縮環されていてもよい。一般式(A−IV)で表される化合物のうち、Rd1及びRd2がアルキル基のものが好ましい。一方、一般式(A−V)においてはRe1及びRe2がヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基から選ばれた基が好ましい。特に好ましくはRe1がヒドロキシルアミノ基であり、かつRe2がアルキルアミノ基の場合である。一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物のうち、化合物の炭素数の総和が15以下のものは添加層以外の層に作用させる点で好ましく、逆に化合物の炭素数の総和が16以上のものは添加層にのみ作用させる目的で好ましい。一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物のうち、一般式(A−I)、(A−II)、(A−IV)、(A−V)で表されるものが好ましく、より好ましくは一般式(A−I)、(A−IV)、(A− V)で表されるものであり、更に好ましくは一般式(A−I)、(A−V)で表されるものである。以下に本発明の一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2006072306
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これらの化合物と、前記一般式(A−I)〜(A−V)との対応関係は、以下の通り。
一般式(A−I):A−33〜A−55。
一般式(A−II):A−5〜A−7、A−10、A−20、A−30。
一般式(A−III):A−21〜A−29、A−31、A−32。
一般式(A−IV):A−8、A−11、A−19。
一般式(A−V):A−1〜A−4、A−9、A−12〜A−18。
本発明のこれらの化合物は、J.Org.Chem.,27,4054(’62),J.Amer.Chem.Soc.,73,2981(’61),特公昭49−10692号等に記載の方法又はそれに準じた方法によって容易に合成することができる。本発明において、一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又は、これらの混合溶媒に溶解して添加しても、乳化分散により添加してもよい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が、溶解度が上がるものについては、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加してもよい。本発明において、一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物のうち2種類以上を併用してもよい。ラジカルスカベンジャ−は乳剤層に含有されていることが好ましく、銀1モルに対して1×10-4以上5×10-2以下の量が好ましく、更に好ましくは5×10-4以上1×10-2以下の量の添加を行うことである。好ましくはハロゲン化銀乳剤の化学増感時に添加する。
本発明のハロゲン化銀粒子は3種類以上の分光増感色素により分光増感されていることが好ましい。より好ましくは、これらの3種類の分光増感色素により、少なくとも500nmから550nmの間と600nmから700nmの間に2つの分光吸収の極大値を有する。より好ましくは、少なくとも510nmから540nmの間と620nmから680nmの間に2つの分光吸収の極大値を有する。分光吸収の極大値は感光材料の透過分光吸収を通常の分光光度計にて空気を参照にして測定する。分光吸収の極大値は3つ以上あっても良いし、上記の波長領域外にも分光吸収の極大値があっても良い。
500nmから550nmの間の分光吸収の極大値は好ましくは透過吸光度で0.1から0.5の範囲内にある。より好ましくは0.2から0.4の範囲内にある。これらの透過吸光度は感光材料の透過分光吸収を通常の分光光度計にて空気を参照にして測定する。600nmから700nmの間の分光吸収の極大値は好ましくは透過吸光度で0.1から0.5の範囲内にある。より好ましくは0.2から0.4の範囲内にある。これらの透過吸光度は同様に感光材料の透過分光吸収を通常の分光光度計にて空気を参照にして測定する。分光吸収の極大値の透過吸光度をこれらの範囲に設定することは重要である。透過吸光度が低すぎると感度が低くなってしまい、透過吸光度が高すぎると感光材料の膜厚方向に均一な干渉縞の記録が困難になる。また透過光を物体の照射光に用いるDenisyuku型の撮影が困難となる。
通常、500nmから550nmの間と600nmから700nmの間に2つの分光吸収の極大値を有するためには2種類の増感色素で十分であろうと考えられるが、少なくとも3種類以上の分光増感色素を使用することが、代表的レ−ザ−全てに対して高い感度を有するという点で好ましい。特に好ましくは500nmから550nmの間の分光吸収の極大が1種類以上の分光増感色素により調製され、600nm700nmの間の分光吸収の極大が2種類以上の分光増感色素により調製されていることである。
本発明においてはハロゲン化銀粒子の銀1モル当たり増感色素が総量で1×10-4モル以上1×10-2モル以下含有されていることが好ましい。増感色素が該添加量含有されることにより、高感度でありながら、ハロゲン化銀溶剤の使用等によるハロゲン化銀超微粒子に対する不安定化効果を顕著に抑制することができる。
一般に本発明において用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。
通常メロシアニン色素等の酸性核は、炭素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる複素環(好ましくは5員又は6員の含窒素複素環)を形成するとき好ましく、さらに好ましくは炭素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる5員又は6員の含窒素複素環を形成するときである。具体的には、例えば次の核が挙げられる。
2ーピラゾリンー5ーオン、ピラゾリジンー3、5ージオン、イミダゾリンー5ーオン、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーイミノオキサゾリジンー4ーオン、2ーオキサゾリンー5ーオン、2ッチオオキサゾリジンー2、5ッジオン、2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、イソオキサゾリンー5ーオン、2ーチアゾリンー4ーオン、チアゾリジンー4ーオン、チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリジンー2、4ージチオン、イソローダニン、インダンー1、3ージオン、チオフェンー3ーオン、チオフェンー3ーオンー1、1ージオキシド、インドリンー2ーオン、インドリンー3ーオン、2ーオキソインダゾリニウム、3ーオキソインダゾリニウム、5、7ージオキソー6、7ージヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン、シクロヘキサンー1、3ージオン、3、4ージヒドロイソキノリンー4ーオン、1、3ージオキサンー4、6ージオン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸、クロマンー2、4ージオン、インダゾリンー2ーオン、ピリド[1,2−a]ピリミジンー1、3ージオン、ピラゾロ[1,5−b]キナゾロン、ピラゾロ[1,5−a]ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリドン、1、2、3、4ーテトラヒドロキノリンー2、4ージオン、3ーオキソー2、3ージヒドロベンゾ[d]チオフェンー1、1ージオキサイド、3ージシアノメチンー2、3ージヒドロベンゾ[d]チオフェンー1、1ージオキサイドの核。
これらの酸性核には、環が縮環していても、通常用いられる置換基が置換していても良い。
酸性核として好ましくは、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリジンー2、4ージチオン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸であり、より好ましくは、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸であり、さらに好ましくは、2ーチオヒダントイン、またはローダニンである。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いることが好ましく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を同時または別個に添加してもよい。本発明においては、スチルベン系の強色増感剤を用いることは、特に好ましい。
本発明において増感色素の添加時期はハロゲン化銀乳剤粒子の調製のいかなる段階であっても良いが、好ましくは化学増感工程以前、より好ましくはハロゲン化銀粒子形成工程終了後脱塩工程以前である。添加方法としては従来公知の方法を用いることが可能である。好ましくは水溶液もしくは水系分散液として添加する。
本発明のハロゲン化銀粒子は数平均円相当径が10nm以上80nm以下である。より好ましくは20nm以上60nm以下である。特に好ましくは30nm以上50nm以下である。一般的に粒子サイズが大きすぎると波面再生の画質が劣ることになり,粒子サイズが小さすぎると粒子サイズの変動等の不安定化を完全に抑制することが出来なくなる。本発明においてはこの粒子サイズの設定により汎用性のあるホログラフィ−用感光材料が得られる。本発明のハロゲン化銀粒子は単分散性であることが好ましい。全ハロゲン化銀粒子の投影面積換算した円相当径の変動係数は25%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20%以下であり、特に好ましくは15%以下である。ここで円相当径の変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子における円相当径の分布の標準偏差を平均円相当径で割った値である。
円相当径は、例えば直接法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を求めることができる。本発明においてはハロゲン化銀粒子が超微粒子であるため、低温にて高電圧の電子顕微鏡を用いて撮影することにより明確な粒子像を求めることが可能である。
本発明のハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子は、正常晶であることが好ましく、8面体、立方体,十四面体、ならびにそれらが丸みを帯びた形状を持つことが出来る。好ましくは丸みを帯びた立方体もしくは角が明確な立方体である。双晶は混入していないことが好ましい。特に好ましくは、双晶粒子の混入比率は個数で3%以下であり、さらに好ましくは、1%以下である。ここで双晶とは1重双晶、2重双晶、多重双晶、ならびに平行双晶、非平行双晶を含む。
本発明においてハロゲン化銀粒子は好ましくは、臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩臭化銀である。沃化銀含有率は特に好ましくは1モル%以上5モル%以下である。塩化銀含有率は特に好ましくは5モル%以下である。また各々の粒子の塩化銀ならびに沃化銀含有率は分布がないことが好ましい。塩化銀ならびに沃化銀含有率の粒子間分布の変動係数は20%以下が好ましく、10%以下がとくに好ましい。個々の粒子の塩化銀および沃化銀含有率の測定には通常、EPMA法(Electron Probe Micro Analyzer法)が有効である。乳剤粒子を互いに接触しないように分散させた試料を作成し、電子線を照射することにより放射されるX線を分析することにより、電子線を照射した極微小領域の元素分析を行うことができる。この時、測定は電子線による試料損傷を防ぐため低温に冷却して行うことが好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子は超微粒子であるため、ハロゲン組成の構造付与は容易ではないが、内部高沃化銀含量の構造、外部高沃化銀含量の構造等が可能である。塩化銀についての構造についても同様である。さらには3重構造以上の多層構造も可能である。
本発明のハロゲン化銀粒子は、従来公知の方法にて調製できる。好ましくはゼラチン水溶液中に硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液をダブルジェット法にて添加することである。この時、流量を加速して添加することは好ましい。また添加時の系のpHとpAgは制御することが好ましい。pHは5〜8の範囲が好ましく用いられる。pAgは5〜9の範囲が好ましく用いられる。超微粒子の調製のためには温度は低温が好ましく、特にこのましくは20℃〜40℃の範囲が用いられる。後述する種々の添加剤を粒子サイズ調整、粒子サイズ分布調整、感度/かぶり調整、階調/現像進行調整等のために添加することが可能である。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は化学増感が施されている。特に好ましくは化学増感時に金−カルコゲン増感と還元増感が施されている。ここで化学増感とはハロゲン化銀乳剤の製造工程を時間に従って粒子形成過程、水洗過程、化学増感過程の3段階に分けた場合の化学増感過程に相当する工程を意味する。化学増感とは各種化学増感剤を添加して温度を上昇させ熟成する工程である。化学増感時の金−カルコゲン増感と還元増感の併用により極めて高い感度が達成でき、またその保存性も実用上何ら問題ないレベルにすることが可能である。カルコゲン増感と貴金属増感については、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、The Theory of the Photographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67〜76頁に詳細が記述されている。またリサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルルのカルコゲン増感剤と金増感剤、それに加えて白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。
具体的には、K2PdCl4、(NH42PdCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,711号、同第4,266,018号および同第4,054,457号に記載されている硫黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第3,411,914号、同第3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モルであり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×10-3モルである。パラジウム化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10-3から5×10-7モルである。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4から1×10-2モルである。
本発明において用いるハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モルであり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×10-3モルである。
本発明の乳剤に対して好ましいカルコゲン増感法としてセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケトン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いることができる。セレン増感は硫黄増感と組み合せてカルコゲン増感として用いた方が好ましい場合がある。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4−224595号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208184号、同6−208186号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いることができる。
具体的には、ホスフィンテルリド類(例えば、ノルマルブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリド、トリイソブチルホスフィンテルリド、トリノルマルブトキシホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素)、テルロアミド類、テルロエステル類などを用いればよい。好ましくはホスフィンテルリド類、ジアシル(ジ)テルリド類である。
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感時に金−カルコゲン増感に加えて還元増感することが好ましい。ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。 還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明において用いる還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲が適当である。
還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類のような有機溶媒に溶かし化学増感中に添加される。添加する時期は金増感剤、カルコゲン増感剤の添加前でも添加後でもいずれでも良い。好ましくは還元増感剤を添加して熟成した後カルコゲン増感剤、金増感剤を添加しさらに熟成して化学増感を終了するのが良い。また還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりテトラザインデン化合物が3×10-3モル以上3×10-2モル以下含有されていることが好ましい。本発明で用いられるテトラザインデン化合物は、写真乳剤の安定剤、かぶり防止剤として知られており、リサーチ・ディスクロージャー誌307巻866頁に記載されている。本発明に用いるテトラザインデン化合物としては置換基としてヒドロキシ基を有するテトラザインデン化合物、とくにヒドロキシテトラザインデン化合物が好ましい。複素環にはヒドロキシ基以外の置換基を有していてもいい。置換基とし ては、例えば、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、シアノ基などを有していてもよい。ただし、硫黄を含む置換基(例えば、メルカプト基)を有するものは好ましくない。
以下に本発明に好ましいテトラザインデン化合物の具体例を列記するが、これらのみに限定されるものではない。
1. 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
2. 4−ヒドロキシ−6−t−ブチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
3. 4−ヒドロキシ−6−フェニル−1,3,3a,7−テトラザインデン
4. 4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザインデン
5. 4−メチル−6−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザインデン
6. 2−メチルチオ−4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
7. 4−ヒドロキシ−5−ブロム−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
8. 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,2,3a,7−テトラザインデン
9. 4−ヒドロキシ−6−エチル−1,2,3a,7−テトラザインデン
10. 2,4−ジヒドロキシ−6−フェニル−1,3,3a,7−トリアザインデン
11. 4−ヒドロキシ−6−フェニル−1,2,3,3a,7−ペンタザインデン
これらテトラザインデン化合物の添加量は、好ましくはハロゲン化銀1モル当り3×10-3モル〜3×10-2モル、好ましくは10-4モル〜3×10-2 モル、より好ましくは6×10-3モル〜2×10-2モルであり、化学増感開始前、化学増感中、化学増感後、塗布時のいずれかの時期に添加することが好ましい。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりチオシアン酸塩が1×10-4以上1×10-2モル以下含有されることが好ましい。より好ましくは、ハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりチオシアン酸塩が5×10-4以上5×10-3モル以下含有される。少なすぎると高感度化の効果が小さく、多すぎるとチオシアン酸塩のハロゲン化銀溶剤としての粒子サイズ変動等の不安定化による悪化作用が大きくなりすぎる。本発明においてはチオシアン酸塩以外のハロゲン化銀溶剤も好ましく用いられる。ハロゲン化銀溶剤としては、米国特許第3,271,157号、同第3,531,286号、同第3,574,628号、特開昭54−1019号、同54−158917号等に記載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−82408号、同55−77737号、同55−2982号等に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−144319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載された(d)イミダゾール類、(e)亜硫酸塩、(f)アンモニア等があげられる。
本発明において好ましく用いられるチオシアン酸塩の添加時期はハロゲン化銀乳剤粒子の調製のいかなる段階であっても良いが、好ましくはハロゲン化銀粒子形成工程終了後、より好ましくは脱塩工程終了後塗布工程前である。特に好ましくは化学増感工程時である。添加方法としては水溶液として添加することが好ましい。チオシアン酸塩としては、好ましくはKSCN、NaSCN、NH4SCNである。
本発明においてはハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりイリジウム塩が1×10-4モル以上1×10-2モル以下含有されていることが好ましい。イリジウム塩が該添加量含有されることにより、ハロゲン化銀溶剤の使用によるハロゲン化銀超微粒子に対する不安定化効果を顕著に抑制することができる。特に好ましくはハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりイリジウム塩が2×10-4モル以上1×10-3モル以下含有されている。
本発明においてイリジウム塩の添加時期はハロゲン化銀乳剤粒子の調製のいかなる段階であっても良いが、好ましくはハロゲン化銀粒子形成工程中である。添加方法としては好ましくは水溶液として添加する。
イリジウム塩としては3価もしくは4価のイリジウム錯体が好ましく用いられる。代表的なイリジウム塩としては、K3IrCl6、K2IrCl6、K3IrCl5(H2O)、K2IrCl5(H2O)等を挙げることができる。K塩以外にナトリウム塩、アンモニウム塩も好ましく用いられる。Irの配位子としてはCl、H2O以外に従来公知であるものが用いられる。好ましくは特開平7−072569号に記載の有機配位子を含むイリジウム錯体が用いられる。さらに好ましくは特開平2−761027号に記載のシアノ基を含むイリジウム錯体が用いられる。
本発明においてはイリジウム塩以外にハロゲン化銀粒子中に6シアノ金属錯体がドープされているのが好ましい。6シアノ金属錯体のうち、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又はクロムを含有するものが好ましい。金属錯体の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10-6乃至10-2モルの範囲であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10-5乃至10-3モルの範囲であることがさらに好ましい。金属錯体は、水または有機溶媒に溶かして添加することができる。有機溶媒は水と混和性を有することが好ましい。有機溶媒の例には、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、及びアミド類が含まれる。
金属錯体としては、下記式(I)で表される6シアノ金属錯体が特に好ましい。
(I)[M(CN)6n-
(式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウムまたはクロムであり、nは3または4である。)。
6シアノ金属錯体の具体例を以下に示す。
(I-1) [Fe(CN)64-
(I-2) [Fe(CN)63-
(I-3) [Ru(CN)64-
(I-4) [Os(CN)64-
(I-5) [Co(CN)63-
(I-6) [Rh(CN)63-
(I-7) [Ir(CN)63-
(I-8) [Cr(CN)64-
6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイオンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウムイオンが含まれる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は通常、水洗を行う。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許第3,954,474号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加
できる。例えば、CdBr2、CdCl2、Cd(NO32、Pb(NO32、Pb(CH3COO)2、K3[Fe(CN)6]、(NH44[Fe(CN)6]、K3IrCl6、(NH43RhCl6、K4Ru(CN)6があげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのなかから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
金属化合物は水またはメタノール、アセトンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ましい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えることもできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)あるいはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、KBr、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を組み合せるのも好ましい。
本発明の乳剤においては銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対す る酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na427・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K228)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O2)C24]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242]・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
また、有機の酸化剤としては、p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
本発明において用いる好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることができる。
本発明のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料は、550nmから600nmの間に分光吸収の極大値を有する染料を含有していることが好ましい。より好ましくは、560nmから590nmの間に分光吸収の極大値を有する染料を含有している。この染料により、代表的なレ−ザ−光に対して高い感度を有する反面、全暗黒ではなくオレンジ灯下にて感光材料を取り扱えるようになる。オレンジ灯下にて感光材料を取り扱えるので、ホログラフィ−撮影時、現像等の処理時の負担が軽減され、汎用性が向上する。オレンジ灯は550nmから600nmの光を透過するフィルタ−等を光源に装着することにより,容易に得ることが可能である。好ましくは染料の分光吸収の極大値は透過吸光度で0.3から2.0の範囲にある。透過吸光度は高いことがセ−フライトに対する安全性が向上し、長時間オレンジ灯下にて取り扱うことができ好ましいが、染料の吸収端による吸収により代表的なレ−ザ−光に対する感度が低下するので適当な範囲が存在する。この観点で染料の吸収の半値巾は80nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下である。これらの分光吸収の波長、透過吸光度は感光材料の透過分光吸収を通常の分光光度計にて空気を参照にして測定することにより求めることが可能である。
染料としては上述の要求を満たすものであれば良い。好ましくは、処理で流出 したり消色することが可能な水溶性染料、または固体分散染料である。特に好ましくは、ハロゲン化銀乳剤の感度等の諸特性に影響しない水溶性染料である。水溶性染料はハロゲン化銀乳剤層に直接添加することも可能であるし、保護層、バック層に添加することも可能である。また併用することも可能である。
本発明のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料には特開平07−134351号に記載のハロゲン化銀への吸着基を有するヒドラジン化合物、特開平08−114884号、同08−314051号記載のヒドロキサム酸系化合物、特開平10−090819号記載のヒドロキシセミカルバジド系化合物、特開2002−323729号記載のハロゲン化銀への吸着基を有するヒドロキシルアミン系化合物、を含有することが特に好ましい。これら化合物の添加は乳剤粒子形成から塗布するまでの間から選ぶことができるが、好ましくは化学増感時またはそれ以降の塗布するまでの間から選択することができる。添加量についても任意であるが、超微粒子乳剤の特徴として、これらの特許に記載された量よりも10倍以上の大過剰量用いたほうが好ましい場合がある。具体的な添加量は実験的に容易に決定することができる。
本発明に関する感光材料には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ・ディスクロージャー Item17643(1978年12月)、同 Item 18716(1979年11月)および同 Item 308119(1989年12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表にまとめて示した。
添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1 化学増感剤 23頁 648 頁右欄 996 頁
2 感度上昇剤 同 上
3 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄〜 996 右〜998右
強色増感剤 649 頁右欄
4 増 白 剤 24頁 647 頁右欄 998 右
5 かぶり防止剤、 24〜25頁 649 頁右欄 998 右〜1000右
および安定剤
6 光吸収剤、 25〜26頁 649 頁右欄〜 1003左〜1003右
フィルター染料、 650 頁左欄
紫外線吸収剤
7 ステイン防止剤 25頁右欄 650 左〜右欄 1002右
8 色素画像安定剤 25頁 1002右
9 硬 膜 剤 26頁 651 頁左欄 1004右〜1005左
10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右
11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 1006左〜1006右
12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左
表面活性剤
13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左
防 止 剤
14 マット剤 1008左〜1009左。
また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止するために、米国特許4,411,987号や同第4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加することが好ましい。
本発明の感光材料中には、フェネチルアルコールや特開昭63−257747号、同62−272248号、および特開平1−80941号に記載の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添加することが好ましい。
本発明におけるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料の干渉波記録の方法、処理の方法、ならびに再生の方法、さらには利用の方法についてはホログラフィ−の技術、科学分野における現在の最新の知見等を参考にすることができる。代表的な参考書として、久保田敏弘著、ホログラフィ−入門、原理と実際、朝倉書店、1995年等が挙げられる。本発明の感光材料はこれら参考書に記載の応用が当然可能であり、高感度、高画質、安定性を利用して、その応用が簡便となる。
[実施例]
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明のホログラフイ−用ハロゲン化銀感光材料について詳しく説明する。
(乳剤aの調製)
KBr0.28g、重量平均分子量140000のフタル化脱イオン骨ゼラチン33.3gを含む水溶液1659mLを34℃に保ち撹拌した。二酸化チオ尿素0.04gを含む水溶液を添加した後、pHを6.0に合わせた。AgNO3(96.0g)水溶液800mlとKIを1モル%含むKBr水溶液をダブルジェット法で15分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。強色増感剤Iをハロゲン化銀1モルに対して6.7×10-4モル添加した後、増感色素IIIをハロゲン化銀1モルに対して4.3×10-4モル添加した。その後、増感色素Iをハロゲン化銀1モルに対して6.1×10−4モル添加した。さらにその後、増感色素Iハロゲン化銀1モルに対して5.2×10-4モル添加した。本実験において増感色素は、特開平11−52507号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43質量部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散することにより、増感色素の固体分散物を得た。温度を32℃に降温した後、通常の水洗を行なった。重量平均分子量20000の酸化処理を施した脱イオン骨ゼラチン21gを添加した後、45℃でPHを6.0に調整した。60℃に昇温し、ハロゲン化銀1モルに対して、2酸化チオ尿素(3.5×10-5モル)、ラジカルスカベンジャ−A−3(9.1×10-3モル)、塩化金酸(1.84×10-4モル)、チオ硫酸ナトリウム(7.0×10-4モル)を順次添加し最適に化学増感を施した。かぶり防止剤I(2.5×10-4モル)を添加して化学増感を終了した。
本乳剤aは数平均円相当径38nm、円相当径の変動係数7%の立方体粒子であった。本粒子は1モル%の沃化銀を含有する臭化銀粒子である。
Figure 2006072306
(乳剤bの調製)
乳剤aの調製において重量平均分子量20000の酸化処理を施した脱イオン骨ゼラチンを、重量平均分子量140000の酸化処理を施した骨ゼラチンに変更した。化学増感後の微粒子の数平均円相当径は38nmであり、乳剤aと同様であった。
下塗り層を設けてある厚み200μmの三酢酸セルロースフィルム支持体の片側にバック層を塗布し、もう一方の側に下記表−1に示すような塗布条件で上記の化学増感を施した乳剤を塗布し、塗布試料を作成した。乳剤aと乳剤bの比率ならびに塗布時に添加するゼラチンの種類と比率を変更することにより、ハロゲン化銀乳剤層中の低分子量ゼラチンの比率を変更した。塗布時に添加したゼラチンは重量平均分子量140000の非脱イオン骨ゼラチンと重量平均分子量20000の脱イオン骨ゼラチンである。
Figure 2006072306
バック層は以下の内容にて塗布した。
<導電層塗布液の調製とその塗布>
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.06g/m2となるように塗布した。
SnO2/Sb(9/1質量比、平均粒径0.25μ) 186mg/m2
ゼラチン(Ca++含有量3000ppm) 60mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 13mg/m2
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 12mg/m2
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2
化合物−A 1mg/m2
<バック層塗布液の調製とその塗布>
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が3.97g/m2となるように塗布した。
ゼラチン(Ca++含有量30ppm) 3.97g/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.4μ) 25mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 16mg/m2
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 65mg/m2
N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピル
グリシンポタジウム 11mg/m2
硫酸ナトリウム 338mg/m2
酢酸ナトリウム 90mg/m2
化合物−E(硬膜剤) 236mg/m2
比較化合物-C 34mg/m2
Figure 2006072306
調製した試料のハロゲン化銀乳剤層中の重量平均分子量20000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量140000のゼラチンの比率を表2に示す。硬膜はいずれの試料もほぼ同等であり、20℃水中での膨潤膜厚は処理前の膜厚に対して1.9倍である。
Figure 2006072306
これらの試料にHe/Neレ−ザ−を用いて反射型の干渉露光をした。光学系はレ−ザ−ビ−ムを2光束に分離し試料に対して垂直および逆側から45度の角度で同時に露光した。その後、D−19現像液にて20℃で5分間現像を行い、下記の組成の漂白液で20℃で5分間処理した。
その後30℃で水洗処理を行なった。水洗処理の時間を5分、30分、60分の3通りに変化させた。
<漂白液組成>
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 30g
硫酸第2鉄 30g
硫酸水素ナトリウム 30g
KBr 30g
上記を水で1000mlにする。
試料を乾燥させた後、通常の分光光度計を用いて透過率を測定した。透過率の評価から得た再生波長を、表3に示す。
Figure 2006072306
表3から明らかなように本発明の感光材料は水洗の時間を変化させることにより、再生波長を自由に制御することが可能である。低分子量ゼラチンの比率が低いと再生波長の短波化は緩やかであり、低分子量ゼラチンの比率が高いと再生波長の短波化は急激になる。記録波長と同等の波長に再生したい場合は水洗時間の短縮または、水洗温度の低下で容易に行なうことができる。すなわち、本発明により、干渉縞の間隔を自由に制御することができる。
実施例1で調製した本発明の感光材料103のバック層の塗布量を変化させて、感光材料201、202を作成した。未処理品、ならびに実施例1と同様の露光と処理を施した試料の25℃、相対湿度10%下での試料のカ−ル特性を評価した。フィルム試料が水平に保たれているものを○、曲がってカ−ルしているものを×とし相対評価を行なった。結果を表4に示す。
Figure 2006072306
表4の結果から明らかなように、本発明のハロゲン化銀乳剤層中に低分子量ゼラチンを含有する感光材料はバック層のゼラチン塗布量を制御することにより、未処理品ならびに処理時間を変更した試料に対して、良好なカ−ル特性を示し、取り扱い性に優れている。すなわち、常にフィルム試料が水平に保たれているので、干渉縞の記録特性と再生特性に優れている。
実施例1の試料103において、使用した乳剤aを置き換えて、試料301、302、303、304、305を調製した。試料301で使用した乳剤は、乳剤aからラジカルスカベンジャ−を抜いた乳剤を使用して調製した。試料302で使用した乳剤は、乳剤aからラジカルスカベンジャ−をA−38に変更した乳剤を使用して調製した。試料303で使用した乳剤は、乳剤aからラジカルスカベンジャ−をA−6に変更した乳剤を使用して調製した。試料304で使用した乳剤は、乳剤aからラジカルスカベンジャ−をA−27に変更した乳剤を使用して調製した。試料305で使用した乳剤は、乳剤aからラジカルスカベンジャ−をA−8に変更した乳剤を使用して調製した。
これらの試料を3.5cm角に裁断し、乳剤面とバック面が重なるように6枚積み重ね、25℃、相対湿度30%の条件で350gの加重を3日間かけた。上から3枚目をD−19で20℃、5分間現像し、定着処理した。バック面のマット剤による圧力かぶりを評価した。黒化した点像がないものを◎、少ないものを○、黒化した点像が多いものを△、非常に多いものを×とし相対評価を行なった。結果を表5に示す。
Figure 2006072306
表5の結果から明らかなように、ラジカルスカベンジャ−の使用により、ハロゲン化銀乳剤層に低分子量ゼラチンを用いた場合の感光材料の接着時のマット剤による圧力かぶりが顕著に抑制できた。また、マット剤を用いないと高湿度下での感光材料の接着が問題となり、極端な場合には膜はがれを生じた。
デニシュ−ク型ホログラフィ−撮影下での本発明のホログラフィ−用感光材料の効果を示す。 実施例1の試料103を用いて評価を行った。光源として赤色はヘリウム−ネオンレ−ザ−(632.8nm)、緑色はNd:YAGレ−ザ−(532nm)、青色はアルゴンレ−ザ−(488nm)を用い、久保田敏弘著、ホログラフイ−入門−原理と実際−、1995年朝倉書店出版、p.82の図5.4に記載された撮影系を参考にして、デニシュ−ク型のホログラフィ−撮影を行った。同著,p.159に記載されたCW−C2現像液+PBQ−2漂白液の処方にて処理を行った。再生像の目視評価では、明るく鮮明な色再現性に優れたカラ−像が得られることがわかった。
白色LEDを用いた簡易再生装置を製作した。上述の10×12cmのホログラムをテ−ブルの上で簡便に1.5Vの乾電池で再生できるようにしたもので、参照光と同じ角度である45度、そして距離15cmの上方からホログラムを照明できるようにしたものである。本発明の感光材料を用いることにより、簡易再生装置で、室内明室にて良好な再生像を鑑賞することができた。

Claims (5)

  1. 支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の数平均円相当径が10nmから80nmであり、該ハロゲン化銀乳剤層中に重量平均分子量が3000から50000の低分子量ゼラチンと重量平均分子量が80000以上のゼラチンを含有することを特徴とするホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
  2. 請求項1において、支持体に対して前記ハロゲン化銀乳剤層と反対側に少なくとも1層のバック層を有し、該バック層の総ゼラチン塗布量がハロゲン化銀乳剤層の総ゼラチン塗布量に対して0.3から1.0の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
  3. 請求項2において、バック層にマット剤を含有することを特徴とする請求項2に記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
  4. 該ハロゲン化銀乳剤層にラジカルスカベンジャ−を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
  5. 該支持体が厚み100μmから300μmの三酢酸セルロ−スフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料。
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