JP2008089877A - 反射防止フィルムを支持体とした、あるいは反射防止層を有する反射型あるいは透過型ホログラム - Google Patents

反射防止フィルムを支持体とした、あるいは反射防止層を有する反射型あるいは透過型ホログラム Download PDF

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Abstract

【課題】高感度なハロゲン化銀感光材料に対し、再生照明光を有効に利用する方法を提案し、明るいホログラムを提供すること。
【解決手段】支持体上に、少なくとも一層のハロケ゛ン化銀粒子含有層を有するホログラムにおいて、該層の面側とは反対側の面に反射防止層を含むことを特徴とするホログラム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン化銀ホログラフィ−感光材料(ホログラフィー用途のハロゲン化銀写真感光材料;以下ホログラフィー用ハロゲン化銀感光材料と呼ぶ)、特に高感度でかつ高回折効率なホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料とその処理方法、それらにより得られるホログラムに関する。
干渉波の波面記録すなわちホログラフィ−用感光材料として種々の記録方式が提案され実用化されている。代表的な感光材料としてハロゲン化銀感光材料、重クロム酸ゼラチン感光材料、フォトレジスト感光材料、フォトポリマ−感光材料、サ−モプラスティック感光材料が知られている。その中でハロゲン化銀感光材料は高感度であることが特徴である。例えば、ホログラムの作成は、撮影する物体をホログラム記録材料の前に設置しそこへ直接レーザー光を照射するが、このとき高感度のハロゲン化銀感光材料では、短時間の露光で済むため、人物の撮影も可能である。しかし、他の材料では、感度が低いため、長時間露光が必要であり、人物の撮影の場合は、長時間レーザーを浴び続けることになり、人体への影響を考えれば不適切である。また、照射中の振動の影響も生じてくるため、ポートレート用途ではハロゲン化銀感光材料が専ら使用されている。
また、感光材料の種類によらず、ホログラムを観賞するためには、再生照明光と呼ばれる、干渉縞の形で記録された波面を再生する光が必要となる。この再生照明光を有効に利用するためには、処理後の感材内部に再生照明光をできるだけ多く取り入れることが重要である。
ハロゲン化銀感光材料は、干渉縞を高い屈折率を持つハロゲン化銀粒子とゼラチンとの屈折率差で記録するゆえ、感材表面での反射率が高く、有効に再生照明光を利用することが出来なかった。
特開平10-123643号公報 特開平5−181238号公報 特開平8-75903号公報
すなわち、高感度なハロゲン化銀感光材料に対し、再生照明光を有効に利用する方法を提案し、明るいホログラムを提供することにある。
上記目的は下記本発明(1)から(4)で達成される。
(1)
支持体上に、少なくとも一層のハロゲン化銀粒子を含有する乳剤層を含むホログラムにおいて、該乳剤層の面側とは反対側の面に反射防止層を含むことを特徴とするホログラム。
(2)
(1)に記載のホログラム中のハロゲン化銀乳剤が、露光、現像処理前において、平均粒子サイズ10nm以上50nm以下で臭化銀含有率が90mol%以上のハロケ゛ン化銀乳剤からなり、化学増感時に金―カルコゲン増感に加えて、還元増感が施されていることを特徴とするホログラム。
(3)
前記化学増感時の金―カルコゲン増感が金―テルル増感であることを特徴とする(2)記載のホログラム。
(4)
(1)に記載の反射防止層が、下記の一般式(I):
一般式(I)
Figure 2008089877
(但し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わし、R3は、炭素原子数2〜16の弗素原子で置換されたアルキル基を表わし、R4 は、炭素原子数1〜8のアルキル基を表わし、そしてa/bは、モル比で10/90〜70/30の範囲にある。)で表わされる弗素原子含有アクリル樹脂からなる反射防止層であることを特徴とするホログラム。
上記構成により、高感度なハロゲン化銀感光材料を用いたホログラムを明るくするこ
とができ、使用用途が広げられる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の反射防止性セルローストリアセテートフィルムは、フィルム表面に上記弗素原子含有アクリル樹脂からなる反射防止層が設けられている。
本発明の反射防止性セルローストリアセテートフィルムに使用されるセルローストリアセテートは、公知のものを使用することができる。セルローストリアセテートの酢化度は、50〜70%が好ましく、特に55〜65%が好ましい。数平均分子量6000〜12000が好ましく、特に7000〜10000が好ましい。また、上記セルローストリアセテートは、酢酸だけでなく上記酢化度を満足する限り、一部プロピオン酸、酪酸等の脂肪酸でエステル化されていても良い。あるいは、上記セルローストリアセテートは、総量で上記酢化度を満足する限りセルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロースエステル類を含んでいても良い。
セルローストリアセテートフィルムには、一般に可塑剤が含有されている。可塑剤の例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、およびジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート等のフタル酸エステルを挙げることができる。さらに、上記可塑剤は、フイルム中に0〜20重量%で含有されることが好ましく、更に5〜15重量%で含有されることが好ましい。
セルローストリアセテートフィルム中に、紫外線吸収剤や、滑り性を付与するために無機又は有機化合物の微粒子を含有させても良い。上記セルローストリアセテートフィルム(反射防止層形成前)は、一般に溶液流延法で作製すれる。その際に使用される溶剤としては、セルローストリアセテートを溶解できる溶剤であれば何でもよく、また、単独で溶解できない溶剤であっても、他の溶剤と混合することにより溶解できるものであれば使用することができる。上記溶剤の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチル、塩化メチレン(メチレンクロライド)、四塩化炭素及びトリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール;そして蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類を挙げることができる。一般には、メチレンクロライドとメタノールの混合溶剤が使用されるが、セルローストリアセテートを析出させない限り(ドープ作製中あるいは後の微粒子分散液の添加時に)、他の溶剤、例えばイソプロピルアルコールやn−ブチルアルコールを使用しても良い。ドープのセルローストリアセテートと溶剤との割合は、重量比で10:90〜30:70の範囲が好ましい。
また、上記セルローストリアセテートフィルムの表面に設けられる本発明の反射防止層は、下記の一般式(I):
一般式(I)
Figure 2008089877
(但し、R1 及びR2 は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わし、R3は、炭素原子数2〜16の弗素原子で置換されたアルキル基を表わし、R4は、炭素原子数1〜10のアルキル基を表わし、そしてa/bは、モル比で90/10〜30/70の範囲にある。)を有する弗素原子含有アクリル樹脂からなる層である。
上記R3 は、炭素原子数2〜14の弗素原子で置換されたアルキル基が好ましく、特に(CnF2n+1)C2H4−(但し、nは1〜12の整数)を表わす)であることが好ましい。R3 の例としては、2,2,2−トリクロロフルオロエチル、C4F9C2H4- 、C5F11C2H4-、C6F13C2H4-、C8F17C2H4-、C9F19C2H4-、C10F21C2H4- 及びC12F25C2H4- を挙げることができる。本発明で使用される共重合体には、一般にこれらの基の二種以上が含まれている。即ち、複数のモノマーが共重合体を構成しているか、あるいは二種以上の共重合体の混合物である。上記R4は、鎖状あるいは環状のアルキル基でも良く、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、特に炭素原子数1〜4が好ましい。R4 の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、オクチル、シクロヘキシル及び2−エチルヘキシルを挙げることができる。上記R1及びR2 は、水素原子が好ましい。上記a/bは、モル比で20/80〜50/50の範囲が好ましい。上記a/bが、10/90未満の場合は、ポリマーの屈折率が高くなり充分な反射率の低下が得られない。70/30を超えた場合は、弗素原子の含有量が大きくなり過ぎるため溶剤に対する溶解性が低下して、均一な塗布が困難となる。
上記反射防止層の形成は、例えば、下記のように行なわれる。上記弗素原子含有アクリル樹脂を、有機溶剤に溶解して塗布液を調製し、この塗布液をセルローストリアセテートフィルムの表面に塗布、乾燥することにより、反射防止層を形成することができる。上記有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類;塩化メチル、塩化メチレン(メチレンクロライド)、四塩化炭素及びトリクロロエタン等の塩素化炭化水素;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類;及びプロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類を挙げることができる。上記上記弗素原子含有アクリル樹脂を溶解するための有機溶剤としては、上記溶剤から適宜選択して使用することができるが、少なくともメチルエチルケトンを含むことが好ましい。上記塗布で使用することができる塗布方法としては、バーコート法、ディップコート法、ホッパーコート法等を挙げることができる。
上記反射防止層形成用塗布液には、更に塗布助剤として界面活性剤を添加しても良い。更に、上記塗布液中に、シランカップリング剤あるいはコロイダルシリカを所望により、添加しても良い。シランカップリング剤は、セルローストリアセテートフィルムとの接着力を向上させるために添加することが好ましい。その例としては、CFCHCHSi(OCH及びCF(CH)nCHCHSi(OCH (nは3〜7の整数を表わす)を挙げることができる。コロイダルシリカは、得られる反射防止層が透明性を有するように、一般に小さな粒子径(好ましくは、0.01〜0.5μm)のものが使用される。市販品としては、Si-Film (東京応化(株)製)が好ましい。
本発明の反射防止層の層厚(d)は、式:d=m・λ/4n(但し、mは奇数であり、nはポリマーの屈折率であり、そしてλは光の波長である)を満足する値を基準に求めることができる。即ち、反射防止層の層厚は、上記値を基準に実験的に求めることが望ましい。反射防止層の層厚としては、一般に50〜500μmの範囲が好ましい。
以下に本発明で使用されるハロゲン化銀ホログラフィ−感光材料について説明する。
本発明でハロゲン化銀ホログラフィ−感光材料とは物体光と参照光の干渉波を記録することができるハロゲン化銀感光材料である。この波面記録により物体光の振幅と位相の両方を記録することができ、参照光により物体を三次元的に忠実に、再生、再現することができる。
本発明のハロゲン化銀ホログラフィ−感光材料は支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する。
上述の反射防止フイルム以外の支持体としては、ハロゲン化銀感光材料に通常用いられる支持体を用いることができ、ガラス、TAC、PET,PEN等を代表例として挙げる事ができる。好ましくは、光学的異方性を持たないガラス、TACが用いられる。支持体の厚みの選択は、その用途、使用法に応じて適宜選択することができる。これら支持体に上述した乳剤層を塗布する。さらに乳剤層に追加して、保護層、YF層、中間層、ハレ−ション防止層、下塗り層、バック層等、目的に応じて適宜選択して塗布することができる。TAC等のフレキシブルな支持体に対しては、そのカ−ル特性を良好に保つためにバック層の塗布は極めて有効である。さらに保護層がない場合には、このバック層にマット剤等を導入し、試料間の接着性を改良することができる。また、静電気起因の各種障害、たとえばほこりの付着などを帯電性の調整により積極的に排除することが可能であ る。
いずれにしろ本発明においては、再生照明光が入射する面には、反射防止機能を有する層があることが必須であり、透過型ホログラムの場合には、入射面だけでなく、出射側にも反射防止機能を有する層を付与することが必須となる。
ハロゲン化銀乳剤層ならびに各種層の塗布銀量、塗布ゼラチン量は特に制限はない。塗布銀量は1g/m2から10g/m2の範囲が好ましい。塗布ゼラチン量は1g/m2から10g/m2の範囲が好ましい。銀/ゼラチン塗布量比率についても任意の範囲で選択することができる。好ましくは0.3〜2.0の範囲である。塗布膜厚は通常3μm〜12μmの範囲が好ましく用いられる。薄いと干渉波の記録が十分に行えないし、厚すぎても光散乱等の増加により解像力が低下してしまう。処理工程での膨潤膜厚については、硬膜剤の使用量の調整により任意に選ぶことができる。好ましくは硬膜の程度は処理後の膜厚変化、すなわちハロゲン化銀、ゼラチン等の抜けがない様に、強くしておくことが好ましい。緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層と赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量、塗布ゼラチン量の関係についても基本的には任意であるが、好ましくは、これらの比は1から2の範囲が好ましい。硬膜の程度も基本的には同じであるが、層別の硬膜をする場合には上層に対して下層の硬膜の程度を緩くしておくことが好ましい。
本発明のハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子は、正常晶であることが好ましく、8面体、立方体,十四面体、ならびにそれらが丸みを帯びた形状を持つことが出来る。好ましくは丸みを帯びた立方体もしくは角が明確な立方体である。双晶は混入していないことが好ましい。特に好ましくは、双晶粒子の混入比率は個数で3%以下であり、さらに好ましくは、1%以下である。ここで双晶とは1重双晶、2重双晶、多重双晶、ならびに平行双晶、非平行双晶を含む。
本発明のハロゲン化銀粒子は単分散性であることが好ましい。全ハロゲン化銀粒子の投影面積換算した円相当径の変動係数は25%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20%以下であり、特に好ましくは15%以下である。ここで円相当径の変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子における円相当径の分布の標準偏差を平均円相当径で割った値である。
円相当径は、例えば直接法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を求めることができる。本発明においてはハロゲン化銀粒子が超微粒子であるため、低温にて高電圧の電子顕微鏡を用いて撮影することにより明確な粒子像を求めることが可能である。
本発明においてハロゲン化銀粒子は好ましくは、臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩臭化銀である。沃化銀含有率は特に好ましくは1モル%以上5モル%以下である。塩化銀含有率は特に好ましくは5モル%以下である。また各々の粒子の塩化銀ならびに沃化銀含有率は分布がないことが好ましい。塩化銀ならびに沃化銀含有率の粒子間分布の変動係数は20%以下が好ましく、10%以下がとくに好ましい。個々の粒子の塩化銀および沃化銀含有率の測定には通常、EPMA法(Electron Probe Micro Analyzer法)が有効である。乳剤粒子を互いに接触しないように分散させた試料を作成し、電子線を照射することにより放射されるX線を分析することにより、電子線を照射した極微小領域の元素分析を行うことができる。この時、測定は電子線による試料損傷を防ぐため低温に冷却して行うことが好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子は超微粒子であるため、ハロゲン組成の構造付与は容易ではないが、内部高沃化銀含量の構造、外部高沃化銀含量の構造等が可能である。塩化銀についての構造についても同様である。さらには3重構造以上の多層構造も可能である。
本発明のハロゲン化銀粒子は数平均円相当径が10nm以上50nm以下である。より好ましくは10nm以上40nm以下である。特に好ましくは10nm以上30nm以下である。一般的に粒子サイズが大きすぎると波面再生の画質が劣ることになり,粒子サイズが小さすぎると粒子サイズの変動等の不安定化を完全に抑制することが出来なくなる。
本発明においてはこの粒子サイズの設定によりハロゲン化銀粒子の化学増感時に金−カルコゲン増感に加えて還元増感することが可能となった。粒子サイズが大きすぎるとかぶりの増加を伴い、高感度化も得られなくなる。また保存安定性の著しい悪化を伴う。
本発明のハロゲン化銀粒子は、従来公知の方法にて調製できる。好ましくはゼラチン水溶液中に硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液をダブルジェット法にて添加することである。この時、流量を加速して添加することは好ましい。また添加時の系のpHとpAgは制御することが好ましい。pHは5〜8の範囲が好ましく用いられる。pAgは5〜9の範囲が好ましく用いられる。超微粒子の調製のためには温度は低温が好ましく、特にこのましくは20℃〜40℃の範囲が用いられる。後述する種々の添加剤を粒子サイズ調整、粒子サイズ分布調整、感度/かぶり調整、階調/現像進行調整等のために添加することが可能である。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は化学増感が施されている。特に化学増感時に金−カルコゲン増感と還元増感が施されている。ここで化学増感とはハロゲン化銀乳剤の製造工程を時間に従って粒子形成過程、水洗過程、化学増感過程の3段階に分けた場合の化学増感過程に相当する工程を意味する。化学増感とは各種化学増感剤を添加して温度を上昇させ熟成する工程である。
化学増感時の金−カルコゲン増感と還元増感の併用は従来困難とされていたが、本発明の範囲にある粒子サイズ域においては可能であることを見出した。この併用により極めて高い感度が達成でき、またその保存性も実用上何ら問題ないレベルにすることが可能である。カルコゲン増感と貴金属増感については、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、The Theory of the Photographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67〜76頁に詳細が記述されている。またリサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルルのカルコゲン増感剤と金増感剤、それに加えて白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。
具体的には、K2PdCl4、(NH42PdCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,711号、同第4,266,018号および同第4,054,457号に記載されている硫黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第3,411,914号、同第3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モルであり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×10-3モルである。パラジウム化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10-3から5×10-7モルである。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4から1×10-2モルである。
本発明において用いるハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モルであり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×10-3モルである。
本発明の乳剤に対して好ましいカルコゲン増感法としてセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケトン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いることができる。カルコゲン増感(好ましくはセレン増感)は硫黄増感と組み合せてカルコゲン増感として用いた方が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4−224595号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208184号、同6−208186号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いることができる。
具体的には、ホスフィンテルリド類(例えば、ノルマルブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリド、トリイソブチルホスフィンテルリド、トリノルマルブトキシホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素)、テルロアミド類、テルロエステル類などを用いればよい。好ましくはホスフィンテルリド類、ジアシル(ジ)テルリド類である。
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感時に金−カルコゲン増感に加えて還元増感することにより高感度化が可能である。
ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明において用いる還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲が適当である。
還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類のような有機溶媒に溶かし化学増感中に添加される。添加する時期は金増感剤、カルコゲン増感剤の添加前でも添加後でもいずれでも良い。好ましくは還元増感剤を添加して熟成した後カルコゲン増感剤、金増感剤を添加しさらに熟成して化学増感を終了するのが良い。また還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりテトラザインデン化合物が3×10-3モル以上3×10-2モル以下含有されていることが好ましい。本発明で用いられるテトラザインデン化合物は、写真乳剤の安定剤、かぶり防止剤として知られており、リサーチ・ディスクロージャー誌307巻866頁に記載されている。本発明に用いるテトラザインデン化合物としては置換基としてヒドロキシ基を有するテトラザインデン化合物、とくにヒドロキシテトラザインデン化合物が好ましい。テトラザインデンの複素環にはヒドロキシ基以外の置換基を有していてもいい。置換基としては、例えば、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、シアノ基などを有していてもよい。ただし、硫黄を含む置換基(例えば、メルカプト基)を有するものは好ましくない。
以下に本発明のテトラザインデン化合物の具体例を列記するが、これらのみに限定されるものではない。
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
4−ヒドロキシ−6−t−ブチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
4−ヒドロキシ−6−フェニル−1,3,3a,7−テトラザインデン
4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザインデン
4−メチル−6−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザインデン
2−メチルチオ−4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
4−ヒドロキシ−5−ブロム−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,2,3a,7−テトラザインデン
4−ヒドロキシ−6−エチル−1,2,3a,7−テトラザインデン
10.2,4−ジヒドロキシ−6−フェニル−1,3,3a,7−トリアザインデン
11. 4−ヒドロキシ−6−フェニル−1,2,3,3a,7−ペンタザインデン
これらテトラザインデン化合物の添加量は、好ましくはハロゲン化銀1モル当り3×10-3モル〜3×10-2モル、好ましくは4×10-3モル〜3×10-2モル、より好ましくは6×10-3モル〜2×10-2モルであり、化学増感開始前、化学増感中、化学増感後、塗布時のいずれかの時期に添加することが好ましい。添加量が少なすぎるとテトラザインデン化合物の添加による粒子サイズの経時での安定化の効果が認められない。ここで経時とはハロゲン化銀乳剤粒子調製時もしくは調製してから塗布するまでの間における時間経過を意味する。この経時変化を抑えることにより安定した製造、品質の達成が可能となる。テトラザインデン化合物の添加量が多すぎると逆に経時での粒子サイズ変化が添加していない場合と比較して大きくなる。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりチオシアン酸塩が1×10-4以上1×10-2モル以下含有されることが好ましい。より好ましくは、ハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりチオシアン酸塩が5×10-4以上5×10-3モル以下含有される。少なすぎると高感度化の効果が小さく、多すぎるとチオシアン酸塩のハロゲン化銀溶剤としての粒子サイズ変動等の不安定化による悪化作用が大きくなりすぎる。本発明においてはチオシアン酸塩以外のハロゲン化銀溶剤も好ましく用いられる。ハロゲン化銀溶剤としては、米国特許第3,271,157号、同第3,531,286号、同第3,574,628号、特開昭54−1019号、同54−158917号等に記載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−82408号、同55−77737号、同55−2982号等に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−144319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載された(d)イミダゾール類、(e)亜硫酸塩、(f)アンモニア等があげられる。
本発明において好ましく用いられるチオシアン酸塩の添加時期はハロゲン化銀乳剤粒子の調製のいかなる段階であっても良いが、好ましくはハロゲン化銀粒子形成工程終了後、より好ましくは脱塩工程終了後塗布工程前である。特に好ましくは化学増感工程時である。添加方法としては水溶液として添加することが好ましい。チオシアン酸塩としては、好ましくはKSCN、NaSCN、NH4SCNである。
本発明においては増感色素としてハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりJ会合性シアニン色素が1×10-4モル以上1×10-2モル以下含有されていることが好ましい。J会合性シアニン色素が該添加量含有されることにより、前述したハロゲン化銀溶剤の使用によるハロゲン化銀超微粒子に対する不安定化効果を顕著に抑制することができる。ここでJ会合性とは色素の溶液中での吸収極大に対してハロゲン化銀粒子に吸着した状態での吸収極大が10nm以上、より好ましくは20nm以上、長波長にシフトすることを意味する。特に好ましくはハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりJ会合性シアニン色素が5×10-4モル以上5×10-3モル以下含有されている。
一般に本発明において用いられる増感色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、前述したシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を同時または別個に添加してもよい。本発明においては、スチルベン系の強色増感剤を用いることは、特に好ましい。
本発明において増感色素の添加時期はハロゲン化銀乳剤粒子の調製のいかなる段階であっても良いが、好ましくは化学増感工程以前、より好ましくはハロゲン化銀粒子形成工程終了後脱塩工程以前である。添加方法としては従来公知の方法を用いることが可能である。好ましくは水溶液もしくは水系分散液として添加する。
本発明においてはハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりイリジウム塩が1×10-4モル以上1×10-2モル以下含有されていることが好ましい。イリジウム塩が該添加量含有されることにより、ハロゲン化銀溶剤の使用によるハロゲン化銀超微粒子に対する不安定化効果を顕著に抑制することができる。特に好ましくはハロゲン化銀粒子の銀1モル当たりイリジウム塩が2×10-4モル以上1×10-3モル以下含有されている。
本発明においてイリジウム塩の添加時期はハロゲン化銀乳剤粒子の調製のいかなる段階であっても良いが、好ましくはハロゲン化銀粒子形成工程中である。添加方法としては好ましくは水溶液として添加する。
イリジウム塩としては3価もしくは4価のイリジウム錯体が好ましく用いられる。代表的なイリジウム塩としては、K3IrCl6、K2IrCl6、K3IrCl5(H2O)、K2IrCl5(H2O)等を挙げることができる。K塩以外にナトリウム塩、アンモニウム塩も好ましく用いられる。Irの配位子としてはCl、H2O以外に従来公知であるものが用いられる。好ましくは特開平7−072569号に記載の有機配位子を含むイリジウム錯体が用いられる。さらに好ましくは特開平2−761027号に記載のシアノ基を含むイリジウム錯体が用いられる。
本発明においてはイリジウム塩以外にハロゲン化銀粒子中に6シアノ金属錯体がドープされているのが好ましい。6シアノ金属錯体のうち、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又はクロムを含有するものが好ましい。金属錯体の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10-6乃至10-2モルの範囲であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10-5乃至10-3モルの範囲であることがさらに好ましい。金属錯体は、水または有機溶媒に溶かして添加することができる。有機溶媒は水と混和性を有することが好ましい。有機溶媒の例には、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、及びアミド類が含まれる。
金属錯体としては、下記式(I)で表される6シアノ金属錯体が特に好ましい。
(I)[M(CN)6n-
(式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウムまたはクロムであり、nは3または4である。)
6シアノ金属錯体の具体例を以下に示す。
(I-1) [Fe(CN)64-
(I-2) [Fe(CN)63-
(I-3) [Ru(CN)64-
(I-4) [Os(CN)64-
(I-5) [Co(CN)63-
(I-6) [Rh(CN)63-
(I-7) [Ir(CN)63-
(I-8) [Cr(CN)64-
6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイオンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウムイオンが含まれる。
本発明のホログラフイ−用ハロゲン化銀感光材料には低分子量ゼラチンが含有されることが好ましい。より好ましくはハロゲン化銀乳剤中に低分子量ゼラチンが含まれる。本発明における低分子量ゼラチンとは数平均分子量が3000から50000のものを意味する。より好ましくは数平均分子量が10000以上30000以下である。本発明で使用するゼラチンは、下記の各種修飾処理を施されていても良い。例えば、アミノ基を修飾したフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリットゼラチン、ピロメリットゼラチン、カルボキシル基を修飾したエステル化ゼラチン、アミド化ゼラチン、イミダゾール基を修飾したホルミル化ゼラチン、メチオニン基を減少させた酸化処理ゼラチンや増加させた還元処理ゼラチンなどが挙げられる。
一方、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は通常、水洗を行う。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えば、トリアザインデン類、ペンタアザインデン類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許第3,954,474号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加できる。例えば、CdBr2、CdCl2、Cd(NO32、Pb(NO32、Pb(CH3COO)2、K3[Fe(CN)6]、(NH44[Fe(CN)6]、K3IrCl6、(NH43RhCl6、K4Ru(CN)6があげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのなかから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
金属化合物は水またはメタノール、アセトンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ましい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えることもできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)あるいはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、KBr、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して添加することもできる。
さらに水溶性銀塩、ハロゲン化アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を組み合せるのも好ましい。
本発明の乳剤においては銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na427・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K228)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O2)C24]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242]・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
また、有機の酸化剤としては、p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
本発明において用いる好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることができる。
本発明のホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料には特開平07−134351号に記載のハロゲン化銀への吸着基を有するヒドラジン化合物、特開平08−114884号、同08−314051号記載のヒドロキサム酸系化合物、特開平10−090819号記載のヒドロキシセミカルバジド系化合物、特開2002−323729号記載のハロゲン化銀への吸着基を有するヒドロキシルアミン系化合物、を含有することが特に好ましい。
これら化合物の添加は乳剤粒子形成から塗布するまでの間から選ぶことができるが、好ましくは化学増感時またはそれ以降の塗布するまでの間から選択することができる。添加量についても任意であるが、超微粒子乳剤の特徴として、これらの特許に記載された量よりも10倍以上の大過剰量用いたほうが好ましい場合がある。具体的な添加量は実験的に容易に決定することができる。
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物は本発明の感光材料に好ましく用いられる。これらの化合物は以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」または「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開2003-114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開2003-114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開2003-114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開2003-114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開2003-114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開2003-75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開2003-75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特願2003-25886号に記載の一般式(1)と同義)、または化学反応式(1)(特願2003-33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特願2003-33446号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2008089877
Figure 2008089877
Figure 2008089877
Figure 2008089877
Figure 2008089877
式中RED1、RED2は還元性基を表す。R1は炭素原子(C)とRED1とともに5員もしくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R2は水素原子または置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。L1は脱離基をあらわす。EDは電子供与性基をあらわす。 Z1は窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表す。 Z2はは−CR11R12-、-NR13-または-O-を表す。 R11、R12はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。 R13は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1はアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。L2はカルボキシ基もしくはその塩または水素原子を表す。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開2003-140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特願2003-33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特願2003-33446号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2008089877
Figure 2008089877
上式中、Xは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはXが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、またはベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。L2はXとYを連結する連結基を表す。R2は水素原子または置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開2003-156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素またはリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基など)または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、Ph4B-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素またはリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
Figure 2008089877
一般式(X)においてP、Rはそれぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素またはリンの4級塩構造を表す。Q1、Q2はそれぞれ独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。 Sはタイプ(1)または(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1または2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
本発明のタイプ1、タイプ2の化合物は乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
本発明のタイプ1、タイプ2の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明のタイプ1、タイプ2の化合物は乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-2モル、更に好ましくは1×10-8〜2×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
本発明に関する感光材料には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ・ディスクロージャー Item17643(1978年12月)、同 Item 18716(1979年11月)および同 Item 308119(1989年12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表にまとめて示した。
添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1 化学増感剤 23頁 648 頁右欄 996 頁
2 感度上昇剤 同 上
3 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄〜 996 右〜998右
強色増感剤 649 頁右欄
4 増白剤 24頁 647 頁右欄 998 右
5 かぶり防止剤、 24〜25頁 649 頁右欄 998 右〜1000右
および安定剤
6 光吸収剤、 25〜26頁 649 頁右欄〜 1003左〜1003右
フィルター染料、 650 頁左欄
紫外線吸収剤
7 ステイン防止剤 25頁右欄 650 左〜右欄 1002右
8 色素画像安定剤 25頁 1002右
9 硬膜剤 26頁 651 頁左欄 1004右〜1005左
10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右
11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 1006左〜1006右
12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左
表面活性剤
13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左
防止剤
14 マット剤 1008左〜1009左
また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止するために、米国特許4,411,987号や同第4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加することが好ましい。
本発明の感光材料中には、フェネチルアルコールや特開昭63−257747号、同62−272248号、および特開平1−80941号に記載の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添加することが好ましい。
本発明で使用されるホログラフィー用ハロゲン化銀感光材料は、露光後、現像、停止、漂白、安定化処理、水洗及び乾燥の少なくとも5プロセスを持つ自動現像機で写真処理されるのが一般的である。水洗(または安定化)処理工程は割愛しても構わない。漂白処理工程と安定化処理工程の間に水洗処理工程を行うのがより好ましい。また、現像、漂白、水洗、乾燥後に、安定化、水洗、乾燥を行ってもよい。また、停止を漂白と同時に行ってもよい。
本発明で使用されるホログラフィー用ハロゲン化銀感光材料は、各処理工程において、従来既知の処理液を用いても処理することができる。例えば、久保田著、ホログラフィ入門、朝倉書店、155頁〜160頁に処理工程についての詳細が述べられている。
本発明のホログラフィー用ハロゲン化銀感光材料の、現像液の現像主薬として、特開平4−15641号、特開平4−16841号などに記載のジヒドロキシベンゼン、例えばハイドロキノン、パラアミノフェノール類、例えばp−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなど、3−ピラゾリドン類としては、例えば1−フェニル−3−ピラゾリドン類、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、5、5−ジメチル−1−フェニル−3−ピラゾリドン等や、カテコール、ピロガロール類やアスコルビン酸塩を使用できる。またこれらを併用して用いることが好ましい。さらに好ましくは、メトール類、アスコルビン酸塩を併用して使用することである。
本発明において保恒剤として用いる亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、レダクトン類、例えばピペリジノヘキソースレダクトンなどがある。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第三燐酸ナトリウム、第三燐酸カリウム、硼酸塩、特開昭60−93439号記載のサッカローズ、アセトオキシム、5−スルホサリチル酸、燐酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
溶解助剤としては、ポリエチレングリコール類、およびこれらのエステルなど、増感剤として例えば四級アンモニウム塩などを含有させることができる。
銀スラッジ防止剤としては、特開昭56−106244号記載の銀汚れ防止剤、特開平3−51844号記載のスルフィド、ジスルフィド化合物、特願平4−92947号記載のシステイン誘導体あるいはトリアジン化合物が好ましく用いられる。
カブリ防止剤としてアゾール系有機カブリ防止剤、臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムなど、アルカリハライドを使用できる。
処理液に用いられる水道水中に混在するカルシウムイオンを隠蔽するためのキレート剤には、特開平1−193853号記載のキレート剤、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カルシウム、ポリ燐酸塩等がある。
現像液には、その他必要により現像促進剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤などを添加することができる。現像液のpHは7.5以上10.5未満に調整されることが好ましい。更に好ましくは、pH8.5以上10.4以下である。
好ましい停止液としては、一般に市販されている停止液を用いることができる。
好ましい漂白液としては、当業界で一般に用いられているEDTA鉄(III)ナトリウムや重クロム酸ナトリウム、パラベンゾキノン、硝酸第2鉄などの漂白酸化剤水溶液を用いる事ができ、再ハロゲン化のために、アルカリハライドが適量含有されていることが望ましい。
露光部の現像された銀は、漂白過程で銀(あるいは銀錯)イオンとなり、アルカリハライドと反応し、未露光部のハロゲン化銀に降り積もる(再ハロケ゛ン化漂白処理と呼ばれる)。このとき、漂白液中のハロゲンイオンの多い方が、より明瞭な干渉縞が得られる。これは、ハロゲンイオン濃度の増加により、漂白処理により生じたハロゲン化銀の溶解度があがり、未露光部のハロゲン化銀により有利に降り積もることができるからである。溶解度が低い場合は、降り積もる先である未露光部のハロゲン化銀まで拡散できず、反応したその場で析出してしまい、結果として、不明瞭な干渉縞となり、低い回折効率が得られてしまう。また、あまりにも多くの臭化カリウムが含まれる場合は、溶解度が高くなりすぎ、未露光部のハロゲン化銀の溶解の恐れがあることと、後工程を経てもハロケ゛ンイオンが膜中に残ってしまい、保存性の悪化などが懸念される。
漂白促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号記載のチオ尿素誘導体、米国特許4,126,459号記載のチオエーテルなどが挙げられる。
漂白液には、所望により、保恒剤、pH緩衡剤、pH調整剤、硬水軟化能のあるキレート剤等の化合物を含むことができる。
安定化液は通常KI水溶液を用いるが、臭素水、ヨウ素水などを用いることができ、好ましくは臭素水を用いることである。
現像、停止、漂白、安定化、水洗浴の温度は10〜45℃の間であることが好ましく、それぞれが別々に温度調整されていてもよい。
本発明におけるホログラフィ−用ハロゲン化銀感光材料の干渉波記録の方法、処理の方法、ならびに再生の方法、さらには利用の方法についてはホログラフィ−の技術、科学分野における現在の最新の知見等を参考にすることができる。代表的な参考書として、久保田敏弘著、ホログラフィ−入門、原理と実際、朝倉書店、1995年等が挙げられる。本発明の感光材料はこれら参考書に記載の応用が当然可能であり、高感度、高回折効率、高画質、安定性を利用して、その応用が簡便となる。
以下に本発明の実施例をもって本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
一般式(I)(R1 :H、R2 :H、R3 :C8F17C2H4-、C10F21C2H4- およびC12F25C2H4- 、R4 :CH3-、a/b=30/70)の弗素原子含有アクリル樹脂Aの合成法。
アクリル酸メチル21g(0.24モル)と弗素原子含有アクリルモノー(CHEMINOX FAAC、日本メクトロン(株)製)59g(0.11モル)、アゾ系重合開始剤(V−65、和光純薬(株)製)870mg及びTHF(テトラヒドロフラン)200mlの混合物を、65℃で2時間反応させ、その後80℃で1時間反応させてポリマー溶液を得た。この溶液を、メタノール2000mlで二回再沈殿による精製を行ない、ポリマーを得た。ポリマーの収量は78gで、数平均分子量は9200(GPC(ゲルパーミエーション)によるポリスチレン換算)であった。
[合成例2]
一般式(I)(R1 :H、R2 :H、R3 :C8F17C2H4-、C10F21C2H4- およびC12F25C2H4- 、R4 :n-C4H9- 、a/b=40/60)の弗素原子含有アクリル樹脂Bの合成法。
アクリル酸ブチル20.5g(0.15モル)と弗素原子含有アクリルモノー(CHEMINOX FAAC、日本メクトロン(株)製)59.5g(0.11モル)、アゾ系重合開始剤(V−65、和光純薬(株)製)660mg及びTHF(テトラヒドロフラン)200mlの混合物を、65℃で2時間反応させ、その後80℃で1時間反応させてポリマー溶液を得た。この溶液を、メタノール1000mlで二回再沈殿による精製を行ない、ポリマーを得た。ポリマーの収量は76gで、数平均分子量は8430(GPC(ゲルパーミエーション)によるポリスチレン換算)であった。
[ベースIの作製]
厚さ190μmのセルローストリアセテートフィルムの表面に、下記の反射防止層形成用塗布液Aを塗布して、層厚0.7μmの反射防止層を形成して、反射防止性セルローストリアセテートフィルム(ベースI)を得た。
(反射防止層形成用塗布液A)
弗素原子含有アクリル樹脂A(合成例1で得られたもの) 4g
メチルエチルケトン 60g
テトラヒドロフラン 30g
2−プロパノール 10g
(ベースIIの作製)
ベースIで用いたセルローストリアセテートフィルムの表面に、下記の反射防止層形成用塗布液Bを塗布して、層厚1.3μmの反射防止層を形成して、反射防止性セルローストリアセテートフィルム(ベースII)を得た。
(反射防止層形成用塗布液B)
弗素原子含有アクリル樹脂B(合成例2で得られたもの) 4g
メチルエチルケトン 60g
テトラヒドロフラン 30g
2−プロパノール 10g
(ベースIIIの作製)
ベースIで用いたセルローストリアセテートフィルムの表面に、下記の反射防止層形成用塗布液Cを塗布して、層厚1.1μmの反射防止層を形成して、反射防止性セルローストリアセテートフィルム(ベースIII)を得た。
(反射防止層形成用塗布液C)
弗素原子含有アクリル樹脂C 4g
一般式(I)(R1 :H、R2 :H、R3:C8F17C2H4-、C10F21C2H4- およびC12F25C2H4- 、R4 :C2H5- 、a/b=30/70)の弗素原子含有アクリル樹脂
シランカップリング剤(CF3CH2CH2Si(OCH3)3) 0.6g
メチルエチルケトン 60g
シクロヘキサノン 10g
2−プロパノール 30g
(乳剤Aの調製)
KBr0.28g、平均分子量100000の脱イオン骨ゼラチン33gを含むイオン交換水1660mLを35℃に保ち、撹拌した。二酸化チオ尿素0.04gを添加した後、水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.0に合わせた。AgNO3(96.0g)水溶液800mlと、KIを1モル%含むKBr水溶液をダブルジェット法で15分間かけて添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。粒子形成時のAgNO3水溶液の添加開始から5分後にK2[IrCl6]水溶液をハロゲン化銀1モルに対して1×10-4モル添加した。粒子形成時のAgNO3水溶液の添加開始から10分後にK4[Fe(CN)6]水溶液をハロゲン化銀1モルに対して5×10-4モル添加した。AgNO3水溶液の添加終了時に、強色増感剤SS−1をハロゲン化銀1モルに対して3×10-4モル添加した後、増感色素S−1、S−2、S−3を30:40:30のモル比率で、ハロゲン化銀1モルに対して1.5×10-3モル添加した。増感色素は、特開平11−52507号に記載の方法で作成した固体分散物として使用した。硝酸ナトリウム5gおよび硫酸ナトリウム5gをイオン交換水80gに溶解した後増感色素10gを添加して、60℃の条件下、ディゾルバー翼を用い2000rpmで50分間分散することにより、増感色素の固体分散物を得た。
温度を30℃に降温した後、通常の水洗を行なった。平均分子量20000の脱イオン骨ゼラチン21gを添加した後、40℃でPHを6.0に調整した。60℃に昇温して、ハロゲン化銀1モルに対して、二酸化チオ尿素(2.5×10-5モル)、塩化金酸(3.5×10-4モル)、チオ硫酸ナトリウム(5.0×10-4モル)およびN,N−ジメチルセレノ尿素(3.0×10-4モル)を添加して最適に化学増感を施した。かぶり防止剤として、ハロゲン化銀1モルに対してCpd−1(5.0×10-4モル)およびCpd−2(5.0×10-3モル)を添加して化学増感を終了した。
本乳剤Aの乳剤粒子は数平均円相当径が35nm、円相当径の変動係数が9%の立方体粒子であった。本乳剤Aの乳剤粒子は1モル%の沃化銀を含有する臭化銀粒子であり、沃化銀含有率の粒子間分布の変動係数は7%であった。
Figure 2008089877
Figure 2008089877
(塗布品の作製)
ベースI〜IIIのセルローストリアセテートフィルム支持体の、反射防止層を有する面の反対面に下塗り層を設け、前記の乳剤Aを塗布し(各々試料(1)、(2)、(3))、及び比較例として、ベースI〜IIIで使用したセルローストリアセテート支持体そのものに下塗り層を設け、同様に前記の乳剤Aを塗布した(試料(4))。以下に塗布条件を示す。数字は塗布量(g/m2)を表し、ハロゲン化銀乳剤は銀換算塗布量を表す。
(乳剤層)
乳剤Aに下記化合物を添加し、銀塗布量が4.50g/m2となるように塗布した。
乳剤A 4.50
ゼラチン 7.50
Cpd−3 0.07
Cpd−4 0.08
Cpd−5 0.50
Cpd−6 0.05
Figure 2008089877
これらの他に、以下に示す化合物を添加して乳剤層の塗布を行なった。
Figure 2008089877
(処理後に反射防止ベースを貼り付けるタイプの試料の作製(試料(5)、(6)))
乳剤層を塗布した面とは反対側の面に導電層およびバック層を塗布した。以下に塗布条件を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。
(導電層)
<導電層塗布液の調製と塗布>
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加して塗布液を調製し、ゼラチン塗布量が0.06g/m2となるように塗布した。
ゼラチン(Ca2+含有量3000ppm) 0.06
SnO2/Sb(9/1質量比、平均粒径0.25μm) 0.186
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.013
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 0.012
Cpd−6 0.010
Cpd−11 0.001
(バック層)
<バック層塗布液の調製と塗布>
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が7.50g/m2となるように塗布した。
ゼラチン(Ca2+含有量30ppm) 7.50
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.3μm) 0.015
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.02
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 0.09
N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピルグリシンポタジウム 0.02
硫酸ナトリウム 0.04
酢酸ナトリウム 0.04
硝酸カリウム 0.08
Cpd−5 0.50
Cpd−6 0.04
Cpd−12 0.015
Figure 2008089877
この塗布試料の露光、現像処理後(条件は後述)にベースIを、反射防止層を有する面の反対面と乳剤面を張り合わせ、試料(5)を作製した。
さらに、試料(5)において、乳剤塗布支持体を試料(1)で用いたベースIとし、感材面、ハ゛ック面とも空気界面が反射防止層を有する面としたものを試料(6)として作製した。
このようにして作成した塗布試料の乳剤層側の乾燥膜厚は8.5μm、バック層側の乾燥膜厚は6.5μmであった。
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下に14時間放置した。その後、特開2005-309359に記載の図1の光学系を改良し、参照光と物体光の角度(物体光は試料の法線方向において0°とする)が135°となるようにして反射型の干渉露光をNd−YAG(532nm)のレーザー光源を用い、露光量を順次替えたサンプルを作成し、久保田敏弘著、ホログラフイ−入門−原理と実際−、1995年朝倉書店出版p.159に記載されたCW−C2現像液+PBQ−2漂白液の処方にて処理を行い、水洗し、乾燥した。上記久保田著ホログラフイ−入門p.99に記載の測定法と同様にして回折効率を求めた。このとき、再生照明光は、反射防止層を有する側から入射させるようにして測定を行った。また、分光光度計(U−3400、(株)日立製作所製)を用いて、532nmの波長における反射率、及び透過率を測定した。結果を表1にまとめた。
Figure 2008089877
以上の結果から、本発明の試料(1)〜(3)においては、反射防止層付与による、回折効率増加効果が見られ、また、試料(5)から、処理後にベースIを貼り付けても同様の効果が得られることが確認できた。さらにテ゛ニシューク型の撮影をした場合では、本発明の試料は、反射光の低減により、明るく、色にごりの少ない明瞭なホログラム像を観察することができた。
また、試料(6)と試料(4)で透過型の干渉露光を特開2005-309359に記載の図1の光学系にて行った。その結果、試料(6)において、上記反射率減少、透過率向上効果により、明るく色にごりの少ないホログラム像を確認することができた。

Claims (4)

  1. 支持体上に、少なくとも一層のハロゲン化銀粒子含有層を有するホログラムにおいて、該層の面側とは反対側の面に反射防止層を含むことを特徴とするホログラム。
  2. 前記ハロゲン化銀粒子が、現像処理前において、平均粒子サイズ10nm以上50nm以下で、かつ、前記ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率が90mol%以上のハロケ゛ン化銀粒子であって、前記ハロゲン化銀粒子が、化学増感時に金―カルコゲン増感が施され、かつ、還元増感が施されていることを特徴とする請求項1記載のホログラム。
  3. 前記化学増感時の金―カルコゲン増感が金―テルル増感であることを特徴とする請求項2記載のホログラム。
  4. 前記反射防止層が、下記の一般式(I):
    一般式(I)
    Figure 2008089877
    (但し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わし、R3は、炭素原子数2〜16の弗素原子で置換されたアルキル基を表わし、R4 は、炭素原子数1〜8のアルキル基を表わし、そしてa/bは、モル比で10/90〜70/30の範囲にある。)で表わされる弗素原子含有アクリル樹脂を含む反射防止層であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のホログラム。
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