JP2006071908A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 用紙の含水率の低下に伴って定着時に発生するトナー像の静電オフセットを適切に防止することができる定着装置およびそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 定着装置は、用紙の定着前における含水率を検出する検出手段3と、この検出手段3の検出結果が低含水率として設定する値以下である場合、その検出した用紙Pが定着ニップ部FNに導入されて通過する際における当該用紙と未定着トナー像Tのトナーとの付着力を平常時よりも増強させるための動作(たとえば、用紙の定着ニップ部の通過所要時間を増加させる動作)を実行する制御手段4Aとを具備する。
【選択図】 図2
【解決手段】 定着装置は、用紙の定着前における含水率を検出する検出手段3と、この検出手段3の検出結果が低含水率として設定する値以下である場合、その検出した用紙Pが定着ニップ部FNに導入されて通過する際における当該用紙と未定着トナー像Tのトナーとの付着力を平常時よりも増強させるための動作(たとえば、用紙の定着ニップ部の通過所要時間を増加させる動作)を実行する制御手段4Aとを具備する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、用紙上に(乾式)トナーからなる画像を形成するプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に適用される定着装置およびそれを用いた画像形成装置に係り、特に、用紙の含水率の低下に伴い定着時に発生するトナー像の静電オフセットを防止することができる定着装置および画像形成装置に関するものである。
電子写真方式、静電記録方式等の所定の画像形成方式を利用して用紙上にトナーからなる画像を形成する画像形成装置に適用される定着装置としては、加熱加圧方式のものが多用されている。かかる定着装置は、たとえば、圧接して回転する一対の加熱ローラと加圧ローラの間(定着ニップ部)に未定着のトナー像が転写された用紙を導入して通過させ、そのトナー像を加熱溶融させると同時に用紙の受像面に圧着させることにより用紙に固定するように構成されている。
ところが、このような加熱加圧方式の定着装置においては、その加熱ローラの表面に絶縁性表面層を形成する一方、その加圧ローラに弾性層と導電性表面層を形成する構成を採用した場合、定着対象となる用紙の含水率が低い状態(たとえば3%以下の状態)にあると、その定着ニップ部を通過する際に未定着のトナー像を構成するトナーが加熱ローラの表面に転移し付着してしまう現象、いわゆる静電オフセットが発生しやすくなる傾向にある。
これに対し、本出願人は、かかる静電オフセットの発生を防止する等の目的から、用紙の種類または周囲環境(温度湿度)の違いに応じて加圧ローラの導電性層へのバイアス電圧の印加の有無を選択し、あるいはその電圧の大きさを変化させる定着装置を提案している(特許文献1)。
しかしながら、このような提案に係る定着装置においても、用紙の種類や周囲環境に応じてバイアス電圧の印加等を制御する対応だけでは静電オフセットの発生を防止できない場合がある。
この原因としては、たとえば以下の理由が考えられる。
まず、上記定着装置において、用紙の種類に関しては抵抗値に着目し、たとえばその抵抗体が大きいOHPシートであると識別した際にバイアス電圧を印加するように構成されており、また、周囲環境に関しては用紙のおかれた環境の温度、湿度等を検知することでその抵抗値を推測し、たとえば低温低湿であると検知した際に用紙の種類に関係なくバイアス電圧を印加するように構成されている。反対に、上記定着装置では用紙がOHPシートでないと識別した際や周囲環境が高温高湿であると検知した際は、バイアス電圧の印加を中止するかまたはその電圧を小さくするようにしている。
一方、静電オフセットは、用紙の種類や周囲環境の違いのみによってその発生の有無が決定付けられるだけではなく、その定着が行われる直前における用紙の含水率の状態によってそれが決定付けられる傾向にある。
このため、定着直前における用紙の含水率状態の影響を受けて発生するような静電オフセットは、用紙の種類や周囲環境に応じてバイアス電圧の印加等を制御するだけでは十分に防止できないものと考えられる。
また、定着装置においては、画像形成速度が高速化されるに従い、高速での良好な定着を実現するため定着時に大きな熱量や圧力を発生できる定着性能が必要とされている。このような定着性能を有する定着装置を使用し、特に用紙の表裏両面に画像がそれぞれ形成される両面画像形成を行う場合にあっては、その用紙の第1面(片面)への定着時に用紙全体がより大きな熱量や圧力を受けて定着されるようになり、この結果、かかる定着が終了した後の用紙に含まれる水分が大幅に減る傾向にある。これにより、その用紙の第2面(他面)への定着を行う前の段階ではその含水率が低下しているため、かかる第2面への定着時において静電オフセットが発生しやすくなる。
そして、このような両面画像形成時における含水率の低下過程を経て発生するような静電オフセットについては、前記した用紙の種類や周囲環境に応じてバイアス電圧の印加等を制御するだけの定着装置では十分に対処することができない。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、用紙の含水率の低下に伴って定着時に発生するトナー像の静電オフセットを適切に防止することができる定着装置およびそれを用いた画像形成装置を提供するものである。
本発明(第1発明)の定着装置は、絶縁性の表面層を有する加熱回転体と、この加熱回転体に圧接して定着ニップ部を形成するとともに導電性の表面層と弾性層を有する加圧回転体とを備え、その定着ニップ部に未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる定着装置であって、前記用紙の定着前における含水率を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果が低含水率として設定する値以下である場合、その検出した用紙が前記定着ニップ部に導入されて通過する際における当該用紙と未定着トナー像のトナーとの付着力を平常時よりも増強させるための動作を実行する制御手段とを具備するものである。
また、この定着装置における前記制御手段により実行する動作は、たとえば、前記定着ニップ部を通過する用紙の所要時間を平常時よりも増加させる動作、前記加熱回転体の加熱温度を調整し得る手段における当該加熱温度の条件を平常時よりも上昇させる動作、前記加熱回転体および加圧回転体の少なくとも一方に未定着トナー像のトナーが用紙側に向かう静電作用を受けるようなバイアス電圧を印加し得る手段を作動させる動作、ならびに、前記定着ニップ部に至る用紙搬送路の途上に設置されて用紙を加湿し得る手段を作動させる動作のうちの1つまたは2以上のものである。
さらに、この定着装置における前記検出手段は、たとえば、用紙の表裏両面にトナー像をそれぞれ定着させる場合における当該用紙の第1面への定着が終了してその第2面への定着を行うまでの間の含水率を検出するものである。
また、本発明(第2発明)の定着装置は、絶縁性の表面層を有する加熱回転体と、この加熱回転体に圧接して定着ニップ部を形成するとともに導電性の表面層と弾性層を有する加圧回転体とを備え、その定着ニップ部に未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる定着装置であって、前記用紙の表裏両面にトナー像をそれぞれ定着させる場合における当該用紙の第1面への定着を行う前の含水率を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果がその第1面への定着後に低含水率として設定する値以下になると予測される範囲内の値である場合、その検出した用紙が前記定着ニップ部に導入されて通過する際における加熱条件を平常時よりも低下させる動作を実行する制御手段とを具備するものである。
また、この定着装置における前記制御手段により実行する動作は、たとえば、前記定着ニップ部を通過する用紙の所要時間を平常時よりも増加させる動作、および、前記加熱回転体の加熱温度を調整し得る手段における当該加熱温度の条件を平常時よりも低下させる動作のうちの1つまたは双方のものである。
一方、本発明の画像形成装置は、未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる定着装置として上記した各定着装置のいずれかのものを具備することを特徴とするものである。この画像形成装置は、電子写真方式、静電記録方式等の所定の画像形成プロセス方式を利用して用紙上にトナーからなる画像を形成するプリンタ、複写機、ファクシミリ、プリント、コピー等の機能を複数兼備する複合機等である。
第1発明の定着装置によれば、定着前における用紙の含水率が検出され、しかも、その検出結果が低含水率として設定される値以下である場合には当該用紙と未定着トナー像のトナーとの付着力が平常時よりも増強させられる。このため、定着前の用紙が低含水率という静電オフセットが発生しやすい状況下であっても、未定着トナーが用紙側に平常時よりも付着しやすい状態となって加熱回転体側には転移して付着しにくい状態となる。この結果、定着前に低含水率の状態にある用紙の定着時における静電オフセットの発生を防止することができる。
また、第1発明の定着装置によれば、用紙両面への定着を行う際のその第1面への定着が終了してその第2面への定着を行うまでの間における用紙の含水率を検出手段により検出するように構成した場合は、特に第1面への定着前における用紙の含水率が低含水率としての設定値よりも高いにもかかわらずその第1面への定着後に初めてその設定値以下になるときに、かかる用紙の第2面への定着時における静電オフセットの発生を同様に防止することができる。
第2発明の定着装置によれば、用紙両面への定着を行う際のその第1面への定着前における用紙の含水率が検出され、しかも、その検出結果がその第1面への定着後に低含水率として設定される値以下になると予測される範囲内の値である場合には、当該用紙の第2面への定着ニップ部に導入されて通過する際における加熱条件が平常時よりも低下させられる。このため、その用紙の第1面への定着時に加えられる熱量が平常時にくらべて少なくなって、その定着後で第2面への定着前である用紙の含水率が低含水率としての設定値以下になることが回避されるようになる。この結果、両面定着時の第1面への定着後に初めて低含水率の状態になるおそれのある用紙であっても、その第2面への定着時における静電オフセットの発生を防止することができる。
このような第1発明および第2発明の定着装置を具備する画像形成装置によれば、用紙の含水率の低下に伴って定着時において発生するトナー像の静電オフセットが防止されるようになり、この結果、かかる静電オフセットの発生に起因した画質劣化(具体的には、たとえば画像部のトナー抜けによるガサツキのような画像になる)がなく、良質な画像の形成を行うことができる。この他にも、静電オフセットの発生に起因したオフセットトナーの加熱回転体への堆積による剥離爪や温度検知センサ等の汚れ発生がなく、良好な定着を安定して行うことができる。
[実施の形態1]
図1〜2は本発明を適用した実施の形態1に係る画像形成装置および定着装置を示すものであり、図1はその画像形成装置の要部を示す説明図、図2はその定着装置の要部を示す説明図である。
図1〜2は本発明を適用した実施の形態1に係る画像形成装置および定着装置を示すものであり、図1はその画像形成装置の要部を示す説明図、図2はその定着装置の要部を示す説明図である。
上記画像形成装置100は、図1に示すように、所定の画像情報に基づくトナー像Tを形成して用紙Pに転写する作像装置110と、この作像装置110で使用する用紙Pを積載して収容する用紙収容部120と、作像装置110で用紙Pに転写された未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる加熱加圧式の定着装置1(A)と、定着装置1により定着が終了した後の用紙Pを排出して収容する用紙排出部140とを主に備えている。
このうち作像装置110は、感光体等の像担持体と、電子写真プロセス(主に帯電工程、露光工程および現像工程)等の作像プロセスを実施するための作像周辺機器(帯電装置、露光装置、現像装置など)と、像担持体に形成されるトナー像を転写する転写装置、必要に応じて中間転写体などを主に備えたものであり、その電子写真プロセス等を経ることにより像担持体にトナー像を形成し、それを用紙Pに転写装置により直接転写するかまたは中間転写体を介して転写するように構成されている。また、用紙収容部120は、用紙Pを積載収容するトレイ、そのトレイ上の用紙を1枚ずつ送り出す送出装置等により構成されており、用紙排出部140は定着後の用紙Pを積載収容できる排出トレイ等により構成されている。定着装置1の構成については後述する。
また、図1中において、符号151は用紙収容部120と作像装置110の間に設置されて、その収容部120にある用紙Pを作像装置110まで搬送する供給搬送路、152は作像装置110と定着装置1の間に設置されて、その作像装置110から排出される用紙Pを定着装置1まで搬送する定着前搬送路、153は定着装置1と用紙排出部140の間に設置されて、その定着装置1から定着後に排出される用紙Pを用紙排出部140まで搬送する排出搬送路である。また、符号154は、排出搬送路153の途上と供給搬送路151の間に配置されて、定着装置1から第1面定着後に排出される用紙Pを排出搬送路153の途上から引き込んでからその表裏面を反転させるように搬送するとともにその反転した状態の用紙Pを供給搬送路151に合流させるように搬送して作像装置110まで再送する再送搬送路である。
これらの各搬送路151〜154は、用紙搬送ロール対またはベルト、用紙搬送ガイド、搬送方向切り替え爪等の構成部品を適宜組み合わせて構成されている。
そして、この画像形成装置100による基本的な画像形成は次のように行われる。
まず、作像装置110において所定の画像情報に応じたトナー像が形成され始めるとともに、このタイミングに合わせるように用紙Pが用紙収容部120から給紙搬送路151を通して作像装置110に供給され、その用紙Pに前記トナー像が転写される。作像装置110で未定着トナー像Tが転写された用紙Pは、転写前搬送路152を経て定着装置1に搬送されて未定着トナー像の定着処理が行われる。この際、用紙Pの片面に画像を形成する片面プリントモードが選択されている場合には、その定着処理後の用紙Pは排出搬送路153を通して用紙排出部153に排出されて収容される。以上の工程を経ることにより用紙Pの片面への画像形成が完了する。
また、画像形成装置100用紙Pの表裏両面に画像をそれぞれ形成する両面プリントモードが選択された場合には、その第1面(片面)へのトナー像の定着処理が終了すると、
作像装置110で第2面(裏面)用のトナー像の形成が行われるとともに、その定着処理後の用紙Pが排出搬送路153から再送搬送154を経て表裏面が反転された状態で作像装置110にむけて再送される。これにより、作像装置110においてその再送された用紙Pの第2面に上記トナー像Tが転写され、しかる後、その未定着トナー像を担持する用紙Pが前述した場合と同様に定着前搬送路152を通して定着装置1に導入されるように搬送されて定着処理され、最後に定着装置1から排出搬送路153を通して用紙排出部140に排出される。以上の工程を経るにより用紙Pの両面への画像形成が完了する。
作像装置110で第2面(裏面)用のトナー像の形成が行われるとともに、その定着処理後の用紙Pが排出搬送路153から再送搬送154を経て表裏面が反転された状態で作像装置110にむけて再送される。これにより、作像装置110においてその再送された用紙Pの第2面に上記トナー像Tが転写され、しかる後、その未定着トナー像を担持する用紙Pが前述した場合と同様に定着前搬送路152を通して定着装置1に導入されるように搬送されて定着処理され、最後に定着装置1から排出搬送路153を通して用紙排出部140に排出される。以上の工程を経るにより用紙Pの両面への画像形成が完了する。
一方、上記定着装置1(A)は、図2に示すように、所定の方向に回転駆動するように配置される加熱ローラ10と、この加熱ローラ10に圧接して定着ニップ部FNを形成するように配置される加圧ローラ20とを主に備えたものであって、その定着ニップ部FNに未定着のトナー像Tを担持する用紙Pを導入して通過させるように構成されている。図中において符号Txは定着後のトナー像、Pxは少なくとも1度定着処理を受けた後の用紙を示す。
このうち上記加熱ローラ10は、金属からなる中空円筒状の導電性コア11の周囲に絶縁性の表面層12を形成したものであるとともに、その導電性コア11の中空内部に加熱用の電熱ヒータ13を設置したものである。
導電性コア11は、その両端部に回転軸を有し、その回転軸が図示しないフレームに回転可能に支持されているとともに、その一方の回転軸がモータ、駆動伝達機構などからなる駆動装置14と接続されて回転動力を受けるようになっている。また、導電性コア11は、加圧ローラ20側にバイアス電圧を印加する構成を採用する場合には接地される。表面層12は、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA)等の合成樹脂を主成分とする樹脂層であり、たとえば、導電性コア11の周面に接着用プライマー層を形成した後、コーティング手段等により形成される。表面層12をPFAにて形成する場合には、その樹脂にシリコンカーバイト(SiC)等の添加物を3〜15重量%の範囲内で加えることが好ましい。電熱ヒータ13は、加熱用電源装置15と接続されており、この電源装置15から加熱に必要な電力の供給を受けるようになっている。
上記加圧ローラ20は、金属からなる導電性コア21の周囲に弾性層22を形成するとともにその弾性層22の周面に導電性の表面層23を形成したものである。
コア21は、その両端部に回転軸を有し、その回転軸が図示しないフレームに回転可能に支持されているとともに、その加熱ローラ10側にむけて所定の圧力で加圧する加圧付与装置25にも支持されている。弾性層22は、ゴム、発泡体等の弾性材料にて形成されるものであり、たとえばシリコーンゴムにて形成される。この弾性層22は、特に加圧ローラ20にバイアス電圧を印加する構成を採用する場合には絶縁性であることが好ましい。表面層23は、PFA等の合成樹脂にカーボンブラック等の導電性材料を混合分散させて導電性を付与した材料にて形成される。導電性は、たとえば表面抵抗値が108Ω以下となる特性であることが好ましい。
また、加圧ローラ20は、必要に応じて、そのローラ表面に対してバイアス電圧を印加するバイアス印加電源装置26と接続される。このバイアス印加電源装置26は、ブラシ等からなる給電接触部材26aを加圧ローラ20の両端部の表面層23に接触させることでバイアス電圧を印加するように構成される。バイアス電圧は、未定着トナー像Tのトナーが用紙P側に向かう静電作用を受けるような極性およびレベルの電圧である。その極性は、トナー像を構成するトナーの帯電極性によって決定され、そのトナーの帯電極性がマイナス極性の場合にはプラス極性が選択され、その帯電極性がプラス極性の場合にはマイナス極性が選択される。
また、この定着装置1Aにおいては、図1,2等に示すように、用紙Pの定着前における含水率を検出する検出装置3を備えているとともに、その検出装置3の結果に応じてその検出後の用紙Pと未定着トナー像Tのトナーとの付着力を平常時よりも増強させるための動作を行う制御装置4Aを備えている。
検出装置3は、用紙Pの含水率を計測することができる機器であればよく、たとえば、用紙の表面抵抗値を測定する測定器等にて構成される。この検出装置3は、定着対象の用紙Pが定着装置1Aによる実際の定着が行われる前の時点で含水率を計測することができる位置に設置すればよく、たとえば、前記定着前搬送路152(図1)などの計測可能な位置に設置する。定着前搬送路152に設置した検出装置3は、両面プリントモードの選択時に、その用紙の第1面への定着を行う前における含水率の測定を行うことができるほか、その第1面への定着が終了して第2面への定着が行われる前における含水率の測定を行うことが可能となる。未定着トナー像Tを担持する用紙Pの含水率を計測する場合には、検出装置30については、その用紙Pの未定着トナー像担持面とは反対側の面と対峙する位置に設置するとよい(図2)。
制御装置4Aは、演算処理装置、記憶装置、制御装置などのハードウェアの構成部品と、その記憶装置などに格納される制御プログラム、演算処理用データ等のソフトウェアの構成要素とから構成されている。この制御装置4Aは、図3に示すように検出装置3の検出情報が入力されるようになっており、その検出情報に基づいて用紙Pの含水率:Eが算出する。この他にも、制御装置4Aには、制御動作に必要な各種情報(たとえば画像形成動作の開始情報や、定着動作の終了情報、両面プリントモードの選択情報など)が入力されるようになっている。
また、制御装置4Aは、図3に示すように前記駆動装置14の動作について制御する駆動コントローラ16と接続されており、その駆動装置14の制御を通して加熱ローラ10の回転動作の開始・停止タイミングや回転速度などを調整できるようになっている。また同様に、前記加熱用電源装置15の動作について制御する加熱コントローラ17と接続されており、その電源装置15の制御を通して電熱ヒータ13のON・OFF動作や加熱温度などを調整できるようになっている。さらに、加圧付与装置25の加圧力を変更する動作について制御する加圧コントローラ27と接続されており、その加圧付与装置25の加圧力を調整できるようになっている。
特にこの制御装置4Aでは、検出装置3の検出情報から得られる含水率(E)が低含水率として設定する閾値(K)以下である場合、その検出された用紙Pが定着ニップ部FNに導入されて通過する際における当該用紙Pと未定着トナー像Tのトナーとの付着力を平常時(通常の基準値)よりも増強させるための動作を行うように構成されている。
そして、この検出装置3および制御装置4Aを備えた定着装置1A(画像形成装置100を含む)は、以下のような制御動作が行われる。
すなわち、画像形成装置100による画像形成動作が開始されると、図4に示すように、まず検出装置3により定着前搬送路152を通過する、未定着トナー像Tを担持する用紙Pの含水率:Eが検出される(ステップ10:S10)。検出装置3が表面抵抗計測器である場合には、用紙Pの表面抵抗値が計測され、その検出情報が制御装置4Aにおいて所定の含水率(E)に換算される。また、この検出装置3による含水率の検出は、両面プリントモード選択時には、その用紙Pの第1面への定着が終了して第2面への定着がなされる前における用紙Pxの含水率を検出するように構成するとよい。
次いで、制御装置4Aにおいて、その検出した含水率Eが予め設定する閾値K以下であるか否かが判別される(S11)。閾値Kとしては、前述した静電オフセットの発生状況と含水率との相関を調べ、その静電オフセットが発生しやすくなるときの境界となる含水率の値とすることができる。
そして、検出した含水率Eが閾値K以下である場合には、その用紙Pが低含水率の状態であるとみなし、用紙P(第2面への定着を行う前の含水率を測定する場合には、その第1面への定着後の用紙Pxを含む)と未定着トナー像Tのトナーとの付着力を平常時よりも増強させるための動作を実行する(S12)。
ここで、その付着力を増強させる動作としては、たとえば、定着ニップ部FNを通過する用紙Pの所要時間を平常時よりも増加させる動作を行うことができる。定着ニップ部FNに対する用紙の通過所要時間は、定着ニップ部FNの用紙通過方向の平均長さ(ニップ幅)Lと加熱ローラ10の回転速度S(加圧ローラ20の回転速度は同一と仮定する)とによって決定される。このため、上記所要時間を増加させるための動作としては、たとえば、加熱ローラ10の回転速度Sを固定した場合、定着ニップ部FNのニップ幅Lを平常時よりも増加させる動作が可能であり、このニップ幅Lを増加させるために加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力を増加させる動作を行えばよい。
また、上記所要時間を増加させる割合は、その低含水率の用紙に対する定着を行った場合、静電オフセットの発生を防止できるレベルを調べて適宜設定することができる。また、上記加圧力を増加させる割合は、上記所要時間の増加割合を満たすような割合に設定される。
そこで、この実施形態1では、ステップS12における付着力を増強させる動作として、用紙の通過所要時間を増加させる動作を採用し、具体的には、制御装置4Aにより加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも増加させるための動作を行うようにした。
これにより、制御装置4Aでは、加圧コントローラ27に対して加圧付与装置25による加圧力Fを平常時の加圧力F1よりも増加させた加圧力F2(>F1)に変更する制御信号を送り、加圧付与装置25による加圧力を加圧力F2に調整する。このような増強動作を実行したときには、図5に示すように、加圧ローラ20が加熱ローラ10にむけて加圧力F2で加圧されるため、定着ニップ部FNのニップ幅Lが平常時のニップ幅L1よりも所定量だけ増加したニップ幅L2(>L1)になる。
そして、このように定着ニップ部FNのニップ幅Lが平常時よりも増加される結果、その定着ニップ部TNに対する用紙Pの通過所要時間も増加されるため、かかる定着ニップ部FNを通過する際における低含水率とみなされた用紙Pとその未定着トナー像Tのトナーとの付着力が平常時よりも増強されるようになる。この結果、低含水率である用紙Pに対する定着を行った場合であっても、その未定着トナー像のトナーが加熱ローラ10側に転移付着してしまう静電オフセットの発生は防止される。
また、両面プリントモード選択時において検出装置3により第2面への定着を行う前の含水率を測定するように構成した場合には、その第2面への定着を行う際にも上記増強動作を実行するようにする。この場合には、第1面への定着前の含水率が低含水率の閾値Kよりも大きく、かつ、その第1面への定着が終了した後の含水率が閾値K以下であるような用紙Pに対して、その増強動作が実行されるようになるため、かかる含水率の変動する用紙における静電オフセットの発生を防止することが可能となる。
この増強動作は、その低含水率とみなされた用紙Pの定着動作が終了するまで持続され、その定着動作が終了した段階で解除される(S13〜S14)。定着動作の終了は、たとえば定着装置1Aの用紙排出側に設置する用紙通過検知センサの検知情報を入手することにより判断できる。また、増強動作の解除は、前記加圧付与装置25の増加させた加圧力を平常時の加圧力F1に設定変更することである。
一方、前記ステップS11において、検出した用紙Pの含水率Eが閾値Kよりも大きいと判断された場合には、その用紙Pは低含水率の状態にないとみなし、前記した付着力の増強動作という制御動作を実行せず、平常時の定着条件で定着が行われることになる。
次に、この定着装置1Aを用いて行った試験について説明する。
まず、定着装置1Aの各条件を以下のように設定した。加熱ローラ10については、PFAを用いて厚さ30μmの表面層12を形成し、ローラ10の外径を65mmとした。加圧ローラ20については、シリコーンゴムを用いて厚さ6mmの弾性層22を形成するとともにPFAを用いて厚さ110μmの絶縁性の表面層23を形成し、ローラ20の外径を65mmとした。加熱ローラ10の平常時の回転速度Sは460mm/secとした。電熱ヒータ13により加熱ローラ10を150〜220℃の範囲で加熱するようにした。また、定着ニップ部FNに対する用紙の平常時における通過所要時間が15〜25mmsecとなるように加圧ローラ20に対する加圧力Fを調整した。
また、用紙PとしてはA4版サイズの普通紙を使用した。トナーとしては、帯電極性がマイナスであり、平均粒子径が3〜10μmのものを使用した。試験用の画像として、上記トナーを使用して用紙Pにハーフトーン全面画像(濃度50%)を形成した。
はじめに、このような条件の定着装置1Aを用いて用紙Pの含水率と静電オフセットの発生状況との関係について調べた。すなわち、含水率の異なる用紙に対してそれぞれ同じ試験用の未定着トナー像を転写形成し、その各用紙について上記平常時の定着条件下でそれぞれ定着を行い、その各定着後における加熱ローラ10へのトナーの付着状況を観察することにより静電オフセットの発生状況について調べた。結果を図6に示す。図中において「軽微な発生」とは、実用上許容できるレベルの静電オフセットの発生状況である。
この図6の結果から、用紙Pの含水率が3%以下になると静電オフセットが発生し始めることがわかる。
続いて、この試験結果から前記低含水率としての閾値Kを「3%」に設定した。そして、含水率が3.5〜4.0%の低含水率の用紙Pを使用することを前提として、前記した制御動作を伴う定着動作を行い、そのときの静電オフセットの発生状況について調べた。つまり、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時の速度に固定したうえで、加圧ローラ20の加圧力Fを調整することで用紙の定着ニップ部FNの通過所要時間を変更して定着動作を行い、そのときの静電オフセットの発生状況について調べた。結果を図7に示す。
この図7の結果から、用紙Pの含水率が3%以下の場合において、通過所要時間が平常時の値15〜25mmsecの範囲のままでは静電オフセットが発生してしまうが、加圧ローラ20の加圧力Fを増加させて通過所要時間を30mmsec以上にすることにより、静電オフセットの発生を防止できることがわかる。ちなみに、閾値Kについては少し余裕をみて「4%」に設定してもよい。
[実施の形態1の変形例]
なお、実施の形態1においては、図4のステップS12における付着力を増強させる動作として用紙の通過所要時間を増加させる動作を採用し、具体的には加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも増加させる動作を行っているが、それに代えて、その加圧力Fを平常時の値に固定したうえで、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時よりも低下させる動作を行うように構成することもできる。
なお、実施の形態1においては、図4のステップS12における付着力を増強させる動作として用紙の通過所要時間を増加させる動作を採用し、具体的には加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも増加させる動作を行っているが、それに代えて、その加圧力Fを平常時の値に固定したうえで、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時よりも低下させる動作を行うように構成することもできる。
この場合は、制御装置4Aにおいて、駆動コントローラ16に対して駆動装置14による駆動速度を平常時の駆動速度よりも低下させる制御信号を送り、駆動装置14による駆動速度を低下させるように調整する制御を行う。これにより、加熱ローラ10(加圧ローラ20を含む)が平常時よりも低速で回転するため、用紙の定着ニップ部FNを通過する所要時間を増加させることができる。なお、必要により、加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも増加させる動作と、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時よりも低下させる動作を併せて行うように構成してもよい。
また、実施の形態1においては、図4のステップS12における付着力を増強させる動作として用紙の通過所要時間を増加させる動作を採用する場合について例示したが、これに代えて、加熱ローラ10の加熱温度を平常時よりも上昇させる動作を行うように構成することもできる。
この場合は、制御装置4Aにおいて、加熱コントローラ17に対して加熱用電源装置14による供給電源の値を加熱温度が平常時の加熱温度よりも上昇させる条件とする制御信号を送り、電熱ヒータ14による加熱温度を平常時よりも高くするように調整する制御を行う。これにより、加熱ローラ10が平常時よりも高温で加熱されるため、定着ニップ部FNを通過する際における低含水率の用紙とトナーとの付着力を通常よりも増強させることができ、もって静電オフセットの発生を防止することができる。
さらに、実施の形態1においては、図4のステップS12における付着力を増強させる動作として用紙の通過所要時間を増加させる動作を採用する場合について例示したが、これに代えて、加圧ローラ20に前記したようなバイアス電圧を印加させる動作を行うように構成することもできる。
この場合は、制御装置4Aにおいて、図3に二点鎖線で示すように、バイアス印加電源装置26の動作について制御するバイアスコントローラ28に対してその加電源装置26から加圧ローラ20にバイアス電圧を印加させる制御信号を送り、加圧ローラ20にバイアス電圧を印加する制御を行う。これにより、加熱ローラ10と加圧ローラ20の間には、マイナス極性に帯電された未定着のトナーが用紙P側に静電的に移動させられるような電界(静電作用)が発生するため、定着ニップ部FNを通過する際における低含水率の用紙とトナーとの付着力を通常よりも増強させることができ、もって静電オフセットの発生を防止することができる。
ここで、前記試験に使用した定着装置1Aにおいて、図4のステップS12における付着力増強動作として加圧ローラ20にバイアス電圧を印加する動作を行うように構成したうえで、そのときの静電オフセットの発生状況について前記試験の場合と同様に調べた。つまり、前記したとおりの低含水率の用紙Pを使用し、加圧ローラ20に印加するバイアス電圧の大きさを変更しつつそれぞれの定着動作を行い、そのときの静電オフセットの発生状況について調べた。結果を図8に示す。
この図8の結果から、用紙Pの含水率が3%以下の低含水率の状態にある場合において、加圧ローラ20に対してバイアス電圧として400〜600Vの電圧を印加することにより静電オフセットの発生を低減することができ、そして、そのバイアス電圧として800V以上の電圧を印加することにより静電オフセットの発生を防止することが可能であることがわかる。また、このバイアス電圧として200V程度の小さい電圧を印加しただけでは静電オフセットの発生を防止できないこともわかる。
ちなみに、バイアス印加電源装置26からのバイアス電圧の印加は、加圧ローラ20に代えて加熱ローラ10に対して行うように構成してもよい。この場合、加圧ローラ20側の表面層は絶縁層のものに変更する必要がある。また、必要により、そのバイアス電圧を加熱ローラ10と加圧ローラ20の双方に印加するように構成しても構わない。
またさらに、実施の形態1においては、図4のステップS12における付着力を増強させる動作として用紙の通過所要時間を増加させる動作を採用する場合について例示したが、これに代えて、定着ニップ部FNに至る用紙搬送路の途上において用紙Pを加湿する動作を行うように構成することもできる。
この場合は、画像形成装置の用紙搬送路上に用紙を加湿する加湿装置(50)を設置する。たとえば、定着前搬送路152に対し、用紙の未定着トナー像Tを担持した面と反対の面側から加湿するように設置することができる。なお、この加湿装置50を設置する場合、含水率の検出装置3はその加湿装置50よりも用紙搬送方向上流側の位置に設置する必要がある。そして、この加湿装置50による加湿を行う場合は、制御装置4Aにおいて、図3に二点鎖線で示すように、加湿装置50の動作について制御する加湿コントローラ51に対してその加湿装置50による加湿動作を実行させる制御信号を送り、加湿装置50を作動させる制御を行う。これにより、定着前の用紙Pを加湿してその含水率について増加させることができるため、定着ニップ部FNを通過する際における低含水率の用紙とトナーとの付着力を通常よりも増強させることができ、もって静電オフセットの発生を防止することができる。
また、実施の形態1においては、検出装置3を定着前搬送路152に設置したが、その搬送路152の設置位置に代えてまたはそれと併せて、図1に例示するように、供給搬送路151に検出装置3Aを設置したり、再送搬送路154に検出装置3Bを設置することもできる。供給搬送路151の再送搬送路154との合流地点よりも用紙搬送方向下流側の位置に検出装置3Aを設置した場合には、両面プリントモード選択時における用紙の第1面への定着の前の含水率と第2面への定着前の含水率(E´)の双方を検出することができる。また、再送搬送路154のみに検出装置3Bを設置した場合には、両面プリントモード選択時における用紙の第2面への定着前の含水率(E´)の検出だけを行うことになる。
[実施の形態2]
図7は、本発明を適用した実施の形態2に係る定着装置1Bの要部を示すものである。この定着装置1Bは、実施の形態1に係る定着装置1Aに代えて、前記した画像形成装置100の定着装置として使用することができる(図1)。
図7は、本発明を適用した実施の形態2に係る定着装置1Bの要部を示すものである。この定着装置1Bは、実施の形態1に係る定着装置1Aに代えて、前記した画像形成装置100の定着装置として使用することができる(図1)。
この定着装置1Bは、検出装置3の含水率の検出対象(タイミング)が異なるとともに、この検出装置3の検知情報に基づく制御装置4Bの制御動作の内容が異なる以外は、実施の形態1に係る定着装置1Aと同様の構成からなるものである。したがって、定着装置1Bにおいて定着装置1Aと同じ構成要素については同じ符号を付し、異なる内容がある場合を除いてはその構成要素の説明を省略する。なお、制御装置については、その動作内容が異なる観点から定着装置1Aの場合と異なる符合4Bを付している。
まず、この定着装置1Bにおける検出装置3は、用紙Pの表裏両面にトナー像をそれぞれ定着させる場合、すなわち両面プリントモードの選択時における当該用紙Pの第1面への定着を行う前の含水率を検出するものである。この実施形態2では、その含水率の検出を行うため検出装置3を実施の形態1の場合と同様に定着前搬送路152に配置した。
また、この制御装置4Bは、検出装置3の検出情報から得られる第1面の定着前における含水率(E)が低含水率として設定する閾値(K)以下になると予測される範囲内の値(K<E≦K+α)である場合、その検出された用紙Pが定着ニップ部FNに導入されて通過する際における定着時の加熱条件を平常時(通常の加熱条件)よりも低下させるための動作を行うように構成されている。上記αは、閾値Kからみて第1面への定着を行った場合に、その定着後の用紙Pxの含水率が閾値以下になると予測されるときの含水率の最大増加分である。このαの値は予め第1面の定着前における含水率と静電オフセットの発生状況との関係を調べ、その結果に基づいて適宜設定される。
そして、この検出装置3および制御装置4Aを備えた定着装置1A(画像形成装置100を含む)は、以下のような制御動作が行われる。
すなわち、画像形成装置100による両面プリントモードが選択されたときの画像形成動作が開始されると、図11に示すように、まず検出装置3により第1面への定着前における、未定着トナー像Tを担持する用紙Pの含水率:Eが検出される(ステップ20:S20)。
次いで、制御装置4Bにおいて、その検出した含水率Eが閾値(K)以下になると予測される範囲内の値(K<E≦K+α)の範囲内であるか否かが判別される(S21)。閾値Kについては実施の形態1の場合と同様にして(たとえば3%に)設定される。
そして、検出した含水率Eが予測範囲内の値である場合には、その用紙Pは第1面への定着を行うことにより閾値K以下の低含水率状態になるとみなし、その用紙Pの第1面への定着を行う時の加熱条件を平常時よりも低下させるための動作を実行する(S22)。
ここで、その加熱条件を低下させる動作としては、たとえば、定着ニップ部FNを通過する用紙Pの所要時間を平常時よりも減少させる動作を行うことができる。その所要時間を低下させるための動作としては、たとえば、加熱ローラ10の回転速度Sを固定した場合、定着ニップ部FNのニップ幅Lを平常時よりも低下させる動作が可能であり、このニップ幅Lを低下させるために加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力を低下させる動作を行えばよい。
また、上記所要時間を低下させる割合は、その第1面への定着後に低含水率の状態となり得る用紙に対する定着を行った場合、静電オフセットの発生を防止できるレベルを調べて適宜設定することができる。また、上記加圧力を低下させる割合は、上記所要時間の低下割合を満たすような割合に設定される。
そこで、この実施形態2では、ステップS22における加熱条件を低下させる動作として、用紙の通過所要時間を低下させる動作を採用し、具体的には、制御装置4Bにより加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも増加させるための動作を行うようにした。
これにより、制御装置4Bでは、加圧コントローラ27に対して加圧付与装置25による加圧力Fを平常時の加圧力F1よりも低下させた加圧力F3(<F1)に変更する制御信号を送り、加圧付与装置25による加圧力を加圧力F3に調整する。このような低下動作を実行したときには、加圧ローラ20が加熱ローラ10にむけて加圧力F3で加圧されるため、定着ニップ部FNのニップ幅Lが平常時のニップ幅L1よりも所定量だけ低減したニップ幅L3(<L1)になる。
そして、このように定着ニップ部FNのニップ幅Lが平常時よりも低下される結果、その定着ニップ部TNに対する用紙Pの通過所要時間も低下されるため、第2面への定着時において定着ニップ部FNを通過する時間が短くなり、加熱ローラ10から与えられる熱量が減ることで加熱条件が低下するようになる。この結果、第1面の定着が終了した後に低含水率となるおそれのある用紙Pに対する第2面への定着を行った場合であっても、その定着時における加熱条件が低下していることにより、その定着の際に含水率が閾値K以下になることがなくなり、従って、その未定着トナー像のトナーが加熱ローラ10側に転移付着してしまう静電オフセットの発生は防止される。
この低下動作は、その第1面への定着により低含水率の状態になると予測された用紙Pの第2面の定着動作が終了するまで持続され、その第2面の定着動作が終了した段階で解除される(S23〜S24)。第2面の定着動作の終了は、たとえば排出搬送路153上に設置する用紙通過検知センサの検知情報を入手することにより判断できる。また、低下動作の解除は、前記加圧付与装置25の低下させた加圧力を平常時の加圧力F1に設定変更することである。
一方、前記ステップS21において、検出した用紙Pの第1面への定着前における含水率Eが予測される範囲内の値(<E≦K+α)でないと判断された場合には、その用紙Pは第1面の定着を行った後でも低含水率の状態にならないとみなし、前記した加熱条件の低下動作という制御動作を実行せず、平常時の定着条件で定着が行われることになる。なお、上記予測される範囲内の値(<E≦K+α)でない場合とは、E≦Kの場合は除くため、「E>K+α」である場合のことをいう。
次に、この定着装置1Bを用いて行った試験について説明する。
すなわち、定着装置1Bの平常時における各条件については、実施の形態1の試験用に使用した定着装置1Aと同じ条件とした。また、使用した用紙Pやトナー、試験用画像などの条件についても同様とした。
試験は、上記試験用の構成(仕様)の定着装置1Bを用い、第1面の定着前の含水率E1が4%のものを使用することを前提としたうえで、加圧ローラ20の加圧力Fなどを変更して用紙の定着ニップ部FNの通過所要時間を適宜変更して第1面の定着を行い、その定着後における用紙Pxの含水率E2を検出装置3で検出し、そのときの含水率の低下量(=E1−E2:Δ%)を求めた。結果を図12に示す。
図12の結果から、用紙の定着ニップ部FNの通過所要時間が平常時の値(15〜25msec)では第1面の定着を行うことにより含水率が1.2%程度低下することがわかる。そして、その通過所要時間を平常時よりも増加させるほど、その第1面への定着を行うことにより含水率がほぼ比例した割合で低下する傾向にあるが、反対に、その通過所要時間を平常時よりも低下させと、その第1面への定着後の含水率の低下量は減る傾向にあることがわかる。この関係から、たとえば上記予測される範囲内の値(<E≦K+α)におけるαの値を設定することが可能である。具体的には、たとえばα=1.5とする。
[実施の形態2の変形例]
なお、実施の形態2においては、図11のステップS22における加熱条件を低下させる動作として用紙の通過所要時間を低下させる動作を採用し、具体的には加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも低下させる動作を行っているが、それに代えて、その加圧力Fを平常時の値に固定したうえで、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時よりも増加させる動作を行うように構成することもできる。
なお、実施の形態2においては、図11のステップS22における加熱条件を低下させる動作として用紙の通過所要時間を低下させる動作を採用し、具体的には加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも低下させる動作を行っているが、それに代えて、その加圧力Fを平常時の値に固定したうえで、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時よりも増加させる動作を行うように構成することもできる。
この場合は、制御装置4Bにおいて、駆動コントローラ16に対して駆動装置14による駆動速度を平常時の駆動速度よりも増加させる制御信号を送り、駆動装置14による駆動速度を増加させるように調整する制御を行う。これにより、加熱ローラ10(加圧ローラ20を含む)が平常時よりも高速で回転するため、用紙の定着ニップ部FNを通過する所要時間を低減させることができる。なお、必要により、加圧ローラ20の加熱ローラ10に対する加圧力Fを平常時よりも低下させる動作と、加熱ローラ10の回転速度Sを平常時よりも増加させる動作を併せて行うように構成してもよい。
また、実施の形態2においては、図11のステップS22における加熱条件を低下させる動作として用紙の通過所要時間を低下させる動作を採用する場合について例示したが、これに代えて、加熱ローラ10の加熱温度を平常時よりも低下させる動作を行うように構成することもできる。
この場合は、制御装置4Bにおいて、加熱コントローラ17に対して加熱用電源装置14による供給電源の値を加熱温度が平常時の加熱温度よりも低下させる条件とする制御信号を送り、電熱ヒータ14による加熱温度を平常時よりも低くするように調整する制御を行う。これにより、加熱ローラ10が平常時よりも低温で加熱されるため、定着ニップ部FNを通過する際における加熱条件を平常よりも低下させることができ、もって静電オフセットの発生を防止することができる。
[他の実施の形態]
実施の形態1、2では、定着装置1A,1Bとして加熱ローラ10と加圧ローラ20を使用するタイプのものを例示したが、必要により、そのいずれか一方または双方をベルト形態の加熱回転体や加圧回転体に代えた構成の定着装置としても構わない。この場合、各ベルト形態の加熱回転体や加圧回転体は、そのベルト表面に前記したような各表面層を形成する。また、その各ベルト内周面側にバックアップローラを配置し、特にベルト形態の加圧回転体のバックアップローラにはその表面に前記した弾性層を形成するとよい。
実施の形態1、2では、定着装置1A,1Bとして加熱ローラ10と加圧ローラ20を使用するタイプのものを例示したが、必要により、そのいずれか一方または双方をベルト形態の加熱回転体や加圧回転体に代えた構成の定着装置としても構わない。この場合、各ベルト形態の加熱回転体や加圧回転体は、そのベルト表面に前記したような各表面層を形成する。また、その各ベルト内周面側にバックアップローラを配置し、特にベルト形態の加圧回転体のバックアップローラにはその表面に前記した弾性層を形成するとよい。
また、必要により、実施の形態1、2における定着装置1A,1Bを組み合わせた構成(たとえば、制御装置4A,4Bの制御動作を組み合わせる構成)を採用してもよい。
1A,1B…定着装置、3…検出装置(検出手段)、4A,4B…制御装置(制御手段)、10…加熱ローラ(加熱回転体)、12…絶縁性の表面層、15…加熱用電源装置、20…加圧ローラ(加圧回転体)、22…弾性層、23…導電性の表面層、26…バイアス電圧用電源装置、50…加湿装置(加湿手段)、P,Px…用紙、T…未定着トナー像、Tx…定着トナー像、FN…定着ニップ部、F…加圧力。
Claims (6)
- 絶縁性の表面層を有する加熱回転体と、この加熱回転体に圧接して定着ニップ部を形成するとともに導電性の表面層と弾性層を有する加圧回転体とを備え、その定着ニップ部に未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる定着装置であって、
前記用紙の定着前における含水率を検出する検出手段と、
この検出手段の検出結果が低含水率として設定する値以下である場合、その検出した用紙が前記定着ニップ部に導入されて通過する際における当該用紙と未定着トナー像のトナーとの付着力を平常時よりも増強させるための動作を実行する制御手段とを具備することを特徴とする定着装置。 - 前記制御手段により実行する動作は、
前記定着ニップ部を通過する用紙の所要時間を平常時よりも増加させる動作、
前記加熱回転体の加熱温度を調整し得る手段における当該加熱温度の条件を平常時よりも上昇させる動作、
前記加熱回転体および加圧回転体の少なくとも一方に未定着トナー像のトナーが用紙側に向かう静電作用を受けるようなバイアス電圧を印加し得る手段を作動させる動作、
ならびに、前記定着ニップ部に至る用紙搬送路の途上に設置されて用紙を加湿し得る手段を作動させる動作のうちの1つまたは2以上のものである請求項1に記載の定着装置。 - 前記検出手段は、用紙の表裏両面にトナー像をそれぞれ定着させる場合における当該用紙の第1面への定着が終了してその第2面への定着を行うまでの間の含水率を検出する請求項1に記載の定着装置。
- 絶縁性の表面層を有する加熱回転体と、この加熱回転体に圧接して定着ニップ部を形成するとともに導電性の表面層と弾性層を有する加圧回転体とを備え、その定着ニップ部に未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる定着装置であって、
前記用紙の表裏両面にトナー像をそれぞれ定着させる場合における当該用紙の第1面への定着を行う前の含水率を検出する検出手段と、
この検出手段の検出結果がその第1面への定着後に低含水率として設定する値以下になると予測される範囲内の値である場合、その検出した用紙が前記定着ニップ部に導入されて通過する際における加熱条件を平常時よりも低下させる動作を実行する制御手段とを具備することを特徴とする定着装置。 - 前記制御手段により実行する動作は、
前記定着ニップ部を通過する用紙の所要時間を平常時よりも減少させる動作、
および、前記加熱回転体の加熱温度を調整し得る手段における当該加熱温度の条件を平常時よりも低下させる動作のうちの1つまたは双方のものである請求項4に記載の定着装置。 - 未定着のトナー像を担持する用紙を導入して通過させる定着装置として、請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
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