JP2006070211A - 泥土圧シールド工法、土圧式セミシールド工法及び加泥剤 - Google Patents

泥土圧シールド工法、土圧式セミシールド工法及び加泥剤 Download PDF

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尚武 塩路
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Abstract

【課題】 掘削土砂に優れた塑性流動性や止水性を付与するとともに、離水を充分に抑制し、掘削効率を充分に向上することができる泥土圧シールド工法及び土圧式セミシールド工法、並びに、該工法等の土木工法に好適に用いられる加泥剤を提供する。
【解決手段】 加泥剤を使用する泥土圧シールド工法であって、上記加泥剤は、重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)とを含有する泥土圧シールド工法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、泥土圧シールド工法、土圧式セミシールド工法及び加泥剤に関する。より詳しくは、掘削土砂の粒度分布を改善して塑性流動性を向上させたり、掘削土砂に止水性を付与したりするために加泥剤を使用する泥土圧シールド工法及び土圧式セミシールド工法、並びに、このような工法に好適に用いられる加泥剤に関する。
シールド工法とは、主に土砂地盤中にトンネルを構築する工法であり、シールドと呼ばれるトンネル掘削機を推進させ、土砂の崩壊を防ぎながら、その内部で安全に掘削作業及びセグメントと呼ばれる覆工体を組み立てる覆工作業を行い、トンネルを築造する工法である。シールド工法をその形式から分類すると、開放型と密閉型とに大別でき、現在では密閉型が主流となっている。密閉型シールド工法は、更に、土圧式と泥水式とに分類することができる。土圧式シールド工法の代表的な工法としては、添加剤(材)を用いずに掘削を行う土圧シールド工法や、掘削土の塑性流動化を補うために添加剤を用いて掘削を行う泥土圧シールド工法等があり、泥土圧シールド工法において、掘削機の切羽部分等に注入する添加剤としては、加泥剤が広く使用されているが、同様に加泥剤が使用される工法として、推進工法が挙げられる。推進工法は、刃口又は掘削機を取り付けた管(先導体)を先頭にし、切羽を掘進しながら発進立坑に設置した推進ジャッキを用いて管の後方を押して推進させ、管1本分を推進させた後、発進立坑内で次の管を継ぎ足して、順次推進させて管渠を築造する工法である。推進工法は、先導体の機構方式により、大中口径と小口径とに大別され、大中口径管推進工法は、更に刃口推進工法とセミシールド工法とに分類できる。現在は、大中口径の中でもセミシールド工法が広く採用されており、この工法は、更に泥水式、土圧式及び泥濃式に分類できる。
このようなシールド工法や推進工法等の土木工法に用いられる加泥剤において、特に泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法では、掘削土砂の粒度分布を改善して塑性流動性を向上させる作用や、掘削土砂に止水性を付与する作用等が要求されている。
従来、加泥剤として多用されているのは、PAAm(ポリアクリルアミド)やCMC(カルボキシメチルセルロース)である。PAAmは、CMCに比べると遥かに少ない添加量で作泥が可能という長所を有するが、製品がイソパラフィン等の有機溶媒に分散されており、これを使用すると必然的に有機溶媒を地下注入することとなるため、臭気問題や環境破壊の点で改善の余地があった。また、残留単量体であるアクリルアミドは特定化学物質であり、人体の健康を害するおそれがあること、更に高価であることから、アクリルアミドを用いることによる毒性を解消したり、コストを低減したりするための工夫の余地があった。一方、CMCは、離水が少なく品質良好な泥組成物が得られるという長所を有するが、増粘性が充分ではないために多量の添加が必要となり、工費が高くなること、また、CMCは天然物であり、腐敗しやすいことから、PAAmやCMCに代わる加泥剤が種々検討されている。
そこで、安全性が高く、優れた増粘性を発揮できるとともにコスト削減を実現できる材料として、ポリアクリル酸ソーダを用いる方法が開発されている。しかしながら、ポリアクリル酸ソーダのみを加泥剤に用いる場合には、ベントナイトやシルト等の凝集力が強すぎて離水し易くなることから、適度な粘性を保ちながらも離水を充分に抑制するための工夫の余地があった。
従来の加泥剤に関し、粒子径0.01〜0.05mmの粒子をほとんど含まない高吸水性樹脂、水及び分散安定剤を油類中に分散せしめてなる泥土圧式シールド工法用加泥材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この加泥材においては、長期間の保存安定性を向上して使用し易くするための工夫の余地があり、また、油類を使用するため環境汚染のおそれもあった。また、高吸水性樹脂、特定の粘土鉱物(ベントナイト等)及び特定の増粘剤(ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ等)よりなる組成物を水で膨潤せしめてなるシールド工法用加泥材(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。しかしながら、この加泥材においては、例えば海岸付近の海水が混入してくる地盤や硬度成分含有量が高い地下水が混入する地盤では、充分な効果を発揮できない場合があることから、これらの点について改善し、加泥剤に要求されるような性能を充分に発揮するものとするための工夫の余地があった。
また吸水倍率が異なる2種以上の高吸水性樹脂及び増粘材を水に分散してなる推進工法用加泥材(例えば、特許文献3参照。)、水に水溶性有機高分子と粘土とを混合してなる土圧系シールド工法及び土圧系推進工法用加泥材(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。しかしながら、これらの加泥材においては、掘削時のすべり性(潤滑性)を向上するとともに、適度な粘性を付与しながらも離水を更に充分に抑制できるようにするための工夫の余地があった。
ところで、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量を10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウム、並びに、不飽和カルボン酸及び/又はその塩と、不飽和カルボン酸及び特定のヒドロキシル基含有化合物のモノエステルとを構成単位とする共重合体からなる掘削泥水用泥膜形成剤が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。このような泥膜形成剤は、特に地中連続壁工法に適したものであるが、地中連続壁工法に用いられる添加剤は、一般に、造壁性を重視し、比較的低い粘度の掘削泥水とする物性が要求される、つまり、(1)削孔の崩壊を防止する、(2)良質なコンクリートの打ち込みを可能とする、(3)ベントナイト等の粘土鉱物の分散を促進する等の作用が要求されるものであることから、このような添加剤とは異なる作用が要求される土圧式のシールド工法や推進工法等においてより好適に用いられる加泥剤が求められている。すなわち、切羽の安定性を確保するとともに、掘削土砂の搬送性をより向上すること等を目的として、安定的に適度な粘性を保持し、かつ離水を充分に抑制できる加泥剤が求められている。
特開平4−185691号公報(第1頁) 特開平5−59886号公報(第2頁) 特開平6−180094号公報(第1頁) 特開平7−82559号公報(第1頁) 特開2002−194343号公報(第1、4頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、掘削土砂に優れた塑性流動性や止水性を付与するとともに、離水を充分に抑制し、掘削効率を充分に向上することができる泥土圧シールド工法及び土圧式セミシールド工法、並びに、該工法等の土木工法に好適に用いられる加泥剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、加泥剤を使用する泥土圧シールド工法について種々検討したところ、加泥剤として(メタ)アクリル酸系水溶性重合体を用いることにより、使用に際して適度な粘度を付与することができる一方で、凝集力が強くなり過ぎることに着目し、更に分散剤を併用すると、粘土鉱物等の凝集や離水を抑制することが可能となることを見いだした。そして、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の重量平均分子量を特定することにより、少ない添加量でも充分な増粘性を発揮するとともに、離水を充分に抑制することが可能となることを見いだし、更に、このような技術が土圧式セミシールド工法においても適用できることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。分散剤としては、特に0.1万〜10万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体を用いることが好適であり、これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。また、このような(メタ)アクリル酸系水溶性重合体及び分散剤を含有する加泥剤が、泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法等の土木工法において、掘削土砂の粒度分布を改善して塑性流動性を向上させる作用や、掘削土砂に止水性を付与する作用を充分に発揮できることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、加泥剤を使用する泥土圧シールド工法であって、上記加泥剤は、重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)とを含有する泥土圧シールド工法である。
本発明はまた、加泥剤を使用する土圧式セミシールド工法であって、上記加泥剤は、重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)とを含有する土圧式セミシールド工法である。
本発明は更に、重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)50〜97重量部と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)50〜3重量部(但し、AとBとの合計を100重量部とする。)とを含有する加泥剤でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の泥土圧シールド工法及び土圧式セミシールド工法は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)と、分散剤(B)とを含有する加泥剤を使用するものである。このような加泥剤としては、一般的には液状にして用いることになるが、粉状、液状、ゲル状等のいずれの形態でもよく、特に限定されない。中でも、輸送の際のコスト等を考慮して、粉状であることが好ましい形態である。
上記加泥剤において、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)とは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を含む単量体成分を重合して得られる重合体であるが、重量平均分子量が50万〜600万であることが適当である。50万未満であると、掘削土砂に適度な粘性を付与することができないおそれがあり、粘性を上げるために添加量を増加させる必要も生じる。また、600万を超えると、粘土鉱物が凝集することがあり、結果として本発明の作用効果を充分に発揮できる加泥剤を得られないおそれがある。また、後述する不溶解分が増加するおそれもある。重量平均分子量の好ましい下限値は、70万であり、より好ましくは、80万であり、更に好ましくは、100万である。また、好ましい上限値は、500万である。
上記重量平均分子量は、光散乱法により測定することができ、例えば、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により測定することが可能である。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16M/LのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)としてはまた、重合によって得られた後、所定の乾燥工程、粉砕工程を経ることにより、粉体として用いられることが好ましい。なお、乾燥方法及び粉砕方法は、特に限定されるものではなく、重合方法は、後述するとおりである。
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)を粉体として用いる場合における該重合体の粒子径は、50〜2000μmの範囲内であることが好ましい。これにより、経済的により有利なものとなり、また、作業性が更に向上することとなる。より好ましくは、100〜1000μmの範囲内である。ここで、上記粒子径は、平均粒子径を意味し、所定の乾燥工程、粉砕工程を経て製造された乾燥粉体について、JISの篩を使用して粒径分布を測定し、更に加重平均法により算出することができる。
なお、重量平均分子量の大きな(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)を得るに際しては、重合時又は乾燥時に不溶解分が増加することがある。本発明で用いられる(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)の不溶解分は、5質量%以下であることが好ましい。具体的には、不溶解分が5質量%以下であれば、粘性を充分に向上することができ、掘削土砂の塑性流動性や止水性、潤滑性等の物性が更に向上することとなるが、不溶解分が5質量%を超えると、本発明の作用効果を充分に発揮することができないおそれがある。より好ましくは、4質量%以下であり、更に好ましくは、3質量%以下であり、より更に好ましくは、2質量%以下であり、特に好ましくは、1質量%以下であり、最も好ましくは、0.5質量%以下である。
上記不溶解分を5質量%以下にするためには、重合反応時のピーク発熱温度を低くなるように重合反応を制御すること、及び/又は、重合時に連鎖移動剤を使用する形態が好ましい形態となる。
上記不溶解分は、以下のようにして測定することができる。
(不溶解分の測定方法)
容量500mlのビーカーに、イオン交換水500gを入れ、マグネチックスターラを用いて撹拌しながら、このイオン交換水に、充分に乾燥した水溶性重合体(P)1.0gを添加する。次にこの混合物を、ジャーテスターを用いて25℃で2時間撹拌(100rpm)した後、32メッシュのフィルタを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出す。そして、この不溶物を乾燥しないように直ちに(1分以内に)秤量し、下記計算式に基づいて不溶解分を算出する。なお、上記濾過及び秤量は、25℃、相対湿度60%の状態で行う。
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100
上記(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)の中和度としては、10%以上、100%以下であることが好ましい。より好ましくは、20%以上、100%以下である。なお、中和度とは、中和された形態の基の含有割合であり、重合体が有する酸基と中和された状態の基の総和を100モル%として示したときの、中和された状態の基の含有量を意味する。
上記中和された形態の基の含有割合は、以下のようにして求めることができる。
(中和された形態の基の含有割合)
例えば、重合体を製造するために使用した単量体成分に、アクリル酸をxモル、アクリル酸塩としてアクリル酸ナトリウムをyモル、アクリル酸エステル系単量体としてアクリル酸メトキシエチルをzモル含むとし、これらがすべて重合したとすると、アクリル酸エステル系単量体がイオン性ではなく、また、中和された形態ではないために、下記式により求められることになる。分母には、酸基を有する単量体と中和された形態の基(ここでは酸基がアルカリ金属等で中和された塩の形態)を有する単量体のモル数の和をとる。分子には、中和された形態の基(ここでは酸基がアルカリ金属等で中和された塩の形態)を有する単量体のモル数をとる。これを下記式に当てはめることで中和された形態の基の含有割合をパーセントで出し、単位はモル%とする。
Figure 2006070211
上記加泥剤において、分散剤(B)としては、イオン性を有し、重量平均分子量が10万以下のものであれば何でも使用でき、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩;リグニンスルホン酸塩;ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸/マレイン酸共重合体等のカルボキシル基含有水溶性重合体;ポリスチレンスルホン酸塩や2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸系重合体等のスルホン酸基含有水溶性重合体;リン酸基含有水溶性重合体;スルホン酸基とカルボキシル基の両方を含む水溶性重合体;各種イオン性界面活性剤を挙げることができる。中でも、カルボキシル基含有水溶性重合体が好ましく、重合体1g中のカルボキシル基の量が3ミリ当量以上の重合体がより好ましい。更に好ましくは、5ミリ当量以上であり、最も好ましくは、8ミリ当量以上の重合体である。
上記分散剤(B)の特に好ましい形態としては、重量平均分子量が0.1万〜10万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体である。重量平均分子量が前記範囲を外れると、粘土鉱物等の凝集や離水を充分に抑制することができないおそれがある。より好ましい上限は8万であり、下限は0.2万である。
上記加泥剤において、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)及び分散剤(B)の含有比率としては、これらの合計を100重量部とすると、重合体(A)が50〜97重量部、分散剤(B)が50〜3重量部であることが好ましく、これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは、重合体(A)が60〜90重量部、分散剤(B)が40〜10重量部である。
上記加泥剤において、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)、及び、分散剤(B)として好適な(メタ)アクリル酸系水溶性重合体とは、上述したように(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を含む単量体成分を重合して得られる重合体であるが、これらの重合体において、(メタ)アクリル酸(塩)単量体としては、全単量体成分100モル%に対して、50モル%以上であることが好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体が良好な粘性を発揮することが可能となり、泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法等により好適に利用することができることとなる。より好ましくは、60モル%以上であり、更に好ましくは、70モル%以上である。
上記単量体成分において、(メタ)アクリル酸塩としては、例えば、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
上記単量体成分としてはまた、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体やその他の単量体を含んでいてもよく、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体及びこれら酸系単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これ等酸系単量体の中でも、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)が特に好ましい。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)の使用量は全単量体中3〜15モル%が好ましい。
上記その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これ等その他の単量体の中でも、アクリル酸メトキシエチルが特に好ましい。アクリル酸メトキシエチルの使用量は全単量体に対して5〜25モル%が好ましい。
なお、本発明の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の重合において、特にアクリルアミド系単量体は、重合性が充分ではなく残存しやすいため、また、残存した場合には安全性が充分とはならないことから、上記のその他単量体としてのアクリルアミド系単量体の使用量は、全使用単量体成分100モル%に対して、10モル%以下とすることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体(A)としては、逆相懸濁重合法、溶液重合法等の種々の重合方法で製造でき、特に限定されるものではないが、溶液重合法が好ましい。より好ましくは、水溶液中にて静置重合法で重合する方法であり、このような方法は、不溶解分を少なく、かつ高分子量の水溶性重合体を容易に製造できるため好ましい。また、重合の形態としては、注型重合法やベルト重合法が採用できる。重合時の単量体濃度としては、20〜60質量%とすることが好ましい。より好ましくは、25〜55質量%であり、更に好ましくは、30〜50質量%である。
上記重合方式としては、熱重合や光重合のいずれでも製造することができる。
上記熱重合の場合の重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス−〔2−(2−イミダゾリン)−2−イル〕プロパン〕二塩酸塩等のアゾ系化合物等の水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これら熱重合開始剤の中でも、アゾ系化合物が特に好ましい。上記熱重合開始剤の使用量は、単量体成分1モルに対して、0.0001〜0.05gの範囲内が好適である。熱重合する時の重合開始温度としては、15〜50℃が好ましい。重合時の反応液の最高温度は150℃以下、好ましくは、120℃以下、より好ましくは、110℃以下となるように重合を制御することが好ましい。
上記光重合の場合の重合開始剤としては、以下のような化合物を用いることができる。
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤。
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物。
1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体。
上記光重合開始剤の使用量としては、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の重量平均分子量や重合率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。光重合する時の重合開始温度としては、0〜30℃が好ましい。重合時の反応液の最高温度は150℃以下、好ましくは120℃、より好ましくは110℃以下となるように重合を制御することが好適である。
上記光重合を行う場合には、反応液等に近紫外線を照射することが好ましい。近紫外線を照射する装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が好適である。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であることが好ましく、また、500nm以下であることが好ましい。この範囲の波長を有する紫外線を反応液等に照射することにより、光重合が開始し、適切な速度で重合反応が進行することになる。また、光重合を行う場合には、近紫外線を0.1〜100W/mの強度で照射して重合させることが好ましく、これにより、不溶解分をより少なくすることができる。
上記重合方法においてはまた、上記重合開始剤とともに連鎖移動剤を併用することが好ましい。適当量の連鎖移動剤を使用することにより、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の重量平均分子量がより大きく、かつ不溶解分がより少ない重合体を製造することができ、その結果、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類が好適である。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.15g以下であり、更に好ましくは、0.005g以上であり、また、0.10g以下である。
本発明において、上記加泥剤は、上述したような(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)及び分散剤(B)を必須成分として含むものであるが、更に、高吸水性樹脂、粘土鉱物及びアルミン酸塩のうち少なくとも1成分を含むことが好ましい。以下、これらについて説明する。
〔高吸水性樹脂〕
本発明にかかる加泥剤は、より加泥剤としての性能を増すために高吸水性樹脂を添加・併用することが好ましい。本発明の増粘性に優れた加泥剤に更に吸水性樹脂を配合することで、摩擦低減性や止水性や潤滑性等が更に付与されるので、加泥剤として好ましい実施形態となる。このような高吸水性樹脂としては、例えば、架橋されたポリアクリル酸塩、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたアクリル酸−スルホエチルアクリレート共重合体、架橋されたアクリル酸−2アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体等の他、架橋された酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、架橋された酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸メチル共重合体、架橋されたポリアクリルニトリル加水分解物、架橋された澱粉−アクリロニトリル・グラフト重合体ケン化物、架橋された澱粉−アクリル酸グラフト重合体、架橋された多糖類−アクリル酸グラフト重合物、ポバール架橋物、ポリエステルオキサイド架橋物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これら高吸水性樹脂は、純水に対する吸水倍率として1g当たりの吸水量として50〜1000g/g、人工海水に対する吸水倍率として5〜50g/gのものが好ましい。吸水倍率は、下記のティーバッグ法を使用して測定することができる。粒子形状としては、球状、不定形状いずれも使用可能である。平均粒子径としては50〜450μmが好ましく、より好ましくは100〜400μmである。高吸水性樹脂の使用量は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)100重量部に対して、5〜2000重量部とすることが好ましい。
また、上記高吸水性樹脂は必要に応じて、その表面が熱架橋や、エポキシ又はグリコール等で架橋されていてもよい。また、熱可塑性樹脂や無機化合物で、その表面が被覆又は改質されていてもよい。
(吸水倍率の測定方法)
高分子架橋体粒子0.2gを不織布製のティーバッグ式袋(40mm×150mm)に均一に入れ、脱イオン水(純水)に1時間浸漬した後、該袋を引き上げ、10分間水切りし、その質量を測定し、次の式により吸水倍率を算出することができる。なお、ブランクは、ティーバッグ式袋のみで同じ操作をしたときの質量である。また、人工海水に対する吸水倍率としては、脱イオン水の代わりに人工海水を用いて、ティーバッグ法により算出することができる。なお、上記人工海水は、25Lの水に、人工海水25L用一袋(例えば、八洲薬品工業社製の人工海水、アクアマリン(登録商標))を溶解させ、人工海水液を製造し使用することができる。
Figure 2006070211
〔粘土鉱物〕
本発明にかかる加泥剤には、より加泥剤としての性能を増すため、粘土鉱物を添加・併用することが好ましい。粘土鉱物としては、例えば、セピオライト、アタパルジャイト、エントリガイド、ベントナイト、カオリンクレー、モンモリロナイト、エクトライト、サポナイト、バイデライト、ゼオライト、パリゴルスカライト、雲母等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、セピオライト、アタパルジャイト、エントリガイド、ベントナイト及びカオリンクレーから選ばれた少なくとも1種が好ましく、これにより、泥土圧シールド工法における切羽を安定化させると共に、土圧式セミシールド工法における滑り性(潤滑性)を向上することができる。特に、上記加泥剤が、更にベントナイトを含んでなる形態は、本発明の好適な形態の1つである。粘土鉱物の使用量は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)100重量部に対して、1000〜100000重量部とすることが好ましい。特に好ましくは3000〜50000重量部である。
〔アルミン酸塩〕
本発明にかかる加泥剤には、より加泥剤としての性能を増すため、特に、耐海水性をより向上させることができることから、アルミン酸塩を添加・併用することが好ましい。アルミン酸塩としては、アルミン酸の1価金属が好ましく、例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等のアルミン酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルミン酸モノエタノールアミン塩、アルミン酸ジエタノールアミン塩、アルミン酸トリエタノールアミン塩等のアルミン酸アルカノールアミン塩やアルキル(C〜C)アミン塩等を挙げることができる。これらの中でも、アルミン酸ナトリウムが特に好ましい。アルミン酸塩の使用量は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)100重量部に対して、1000〜100000重量部とすることが好ましい。特に好ましくは3000〜10000重量部である。
本発明にかかる加泥剤にはまた、必要に応じて、消泡剤が含まれていてもよく、これにより、加泥剤の使用時に発生する泡を抑制することができるため、該加泥剤の取り扱いが容易になる。消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤やプロルニック型消泡剤、鉱物系消泡剤等が挙げられる。
本発明の加泥剤を使用するときには、本発明の作用効果を損なわない範囲で他の水溶性重合体や水溶性天然高分子化合物を併用することもできる。水溶性重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリルアミド系重合体、イソブチレン−無水マレイン酸系共重合体等が挙げられる。水溶性天然高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、デンプン等が挙げられる。また、本発明の加泥剤が配合された水を含む土砂又は泥に、ゲル化剤又は凝集剤としてカルシウム化合物等の無機化合物を配合し、適度に高粘度化して泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法に適用することもできる。また、これら配合物を併用することで本発明の効果を更に相乗させることもできる。
また本発明の加泥剤の乾燥粉体、並びに、必要に応じ配合される吸水性樹脂、粘土鉱物及びその他の添加物粉体から選ばれる粉体を混合し、紙やフィルム等の包装材や水溶性フィルムで包装し、現場で使用してもよい。
上記加泥剤は、泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法におけるディスクカッター部位での土壌成分の刃先への固着防止効果もあるので、円滑に掘削作業を進めることができる。また、耐塩性や耐海水性が充分ではない加泥剤では、海に近い地盤を掘り進める推進工法の場合、推進管の周囲へ海水がしみだしてきて加泥剤成分と接触した場合、加泥剤としての性能が大きく低下するケースがある。従って、その場合、止水性能が充分ではなくなる。特に加泥剤の一成分としてベントナイトを使用する場合、加泥剤として添加する水溶性重合体に耐塩性等が無ければ、海水や塩の存在によりベントナイトが凝集して、止水性能が充分ではなくなる。それに対して本発明の加泥剤は、耐塩性等が充分に備わっているので、ベントナイトの凝集を抑えることができ、止水を充分とすると共に、土砂の塑性流動化をも好適に行うものである。
本発明の加泥剤の調製方法としては、上述したような構成要素を適宜混合することにより得ることができる。粉状とする場合には、液状又はゲル状として得たものを乾燥等することにより調製することができ、それぞれの構成要素を乾燥させたものを混合することにより調製してもよい。通常、加泥剤を使用する際には液状又はゲル状で用いることとなり、粉状又はゲル状、場合によっては液状の加泥剤に水等を添加することより、適当な粘度に調製して、泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法等において用いることができる。このように本発明の加泥剤を使用することにより、泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法を円滑に行うことができることになる。
本発明の加泥剤を使用した泥土圧シールド工法において、重要なのは、当該加泥剤と水あるいは必要に応じ配合されるベントナイトが混合された状態の使用時の泥の25℃におけるB型粘度が、100〜160000000mPa・sが好ましい。より好ましくは300〜10000000mPa・s、更に好ましくは500〜5000000mPa・s、特に好ましくは1000〜1000000mPa・s(25℃での粘度)である。また測定する粘度の数値の大きさでスピンドル、回転数等は適宜設定することができる。
本発明の泥土圧シールド工法及び土圧式セミシールド工法は、上述の構成よりなり、掘削土砂に優れた塑性流動性や止水性を付与するとともに、切羽等のトルクや排泥管内の摩擦を充分に低減する潤滑性を発揮し、離水を充分に抑制することができる工法である。また、本発明の加泥剤は、このような泥土圧シールド工法や土圧式セミシールド工法等に好適に用いることができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、重合体の重量平均分子量の測定方法は、ダイナミック光散乱光度計を用いて、上述した条件により測定したものである。
製造例1〜5
(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)及び分散剤(B)として表1に示したものを表1に示した割合でブレンドして加泥剤(I)〜(V)を得た。
Figure 2006070211
なお、上記表1で使用した(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)及び分散剤(B)の履歴は下記表2及び3のとおりである。
Figure 2006070211
Figure 2006070211
実施例1
所定のステンレスビーカーにベントナイト35g(7%対水道水)及び水道水500gを入れハミルトンビーチミキサー(N500型)を用いて13000rpmで15分間分散する。
得られたベントナイトスラリーをマグネチックスターラーで撹拌しながら製造例1で得られた加泥剤Iの所定量を添加する。粘度が高くなり、マグネチックスターラーでの撹拌かできなくなったら、スパチュラで約1分間、手撹拌する。このようにして、餅状となった泥組成物を10分間静置した後、外観(形状、凝集の程度)及び粘度を測定する。次いで、24時間静置後の離水量を観察する。結果を表4に示した。
なお、凝集の程度は、凝集が強い場合を5、凝集が中程度の場合を3、凝集が弱い場合を1として、1、2、3、4、5の5段階で評価した。
実施例2〜5
製造例2〜5で得られた加泥剤II〜Vを用いた他は実施例1と同様に作泥した。この泥組成物の物性を実施例1と同様にして測定し、その結果を表4に示した。なお、表4において、「添加量(固%,対水道水)」とは、水道水の質量に対する、添加した加泥剤の固形分質量の割合(質量%)を意味する。
Figure 2006070211
比較例1
加泥剤としてポリアクリル酸ナトリウム(上記表2に記載の「FH−S」、日本触媒社製)のみ使用し、分散剤は使用しなかった他は実施例1と同様に作泥した。この泥組成物の物性を実施例1と同様にして測定し、その結果を表5に示した。
比較例2
加泥剤として、市販されているポリアクリルアミド逆層懸濁重合品(液状、有効成分30%)を実施例1と固形分換算で同量使用し、分散剤は使用しなかった他は実施例1と同様に作泥した。この泥組成物の物性を実施例1と同様にして測定し、その結果を表5に示した。
比較例3
加泥剤として、市販されているCMC(カルボキシメチルセルロース)を実施例1の2倍量使用し、分散剤は使用しなかった他は実施例1と同様に作泥した。この泥組成物の物性を実施例1と同様にして測定し、その結果を表5に示した。
Figure 2006070211
表4及び5より、本発明の加泥剤は、ベントナイト等の粘土鉱物を併用した場合、従来の加泥剤(PAAmやCMC等)使用時に比べて得られる泥組成物の粘度が高く好適であることがわかる。また、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)単独使用時と比べ、凝集や離水の程度も少ないことがわかる。
実施例6〜10
製造例で得られた加泥剤の固形分濃度(0.2%、0.5%、1.0%、2.0%)とB型粘度(30℃、30rpmで測定)との関係を測定し、その結果を表6に示した。
Figure 2006070211
比較例5〜6
表7に示した加泥剤を用いた他は実施例6〜10と同様にして固形分濃度(0.2%、0.5%、1.0%、2.0%)とB型粘度(30℃、30rpmで測定)との関係を測定し、その結果を表7に示した。
Figure 2006070211
なお、表6及び7において、「0.2質量%」、「0.5質量%」、「1.0質量%」、「2.0質量%」とは、加泥剤の固形分濃度を示す。
表6及び7より、本発明の加泥剤は、PAAmと同程度でCMCよりも遥かに高い粘度を有するため、加泥剤として好適に用いられることがわかる。
実施例11
1000部の水にベントナイト60部を添加した後、製造例1で得られた加泥剤Iを0.7部添加して粘性のある加泥剤を得た。この加泥剤について下記の保水性テスト(離水抑制効果の評価試験)を行った結果、濾過水の量は5.8mlであった。
(保水性テスト)
保水性テストには、図1に示すように、内径76mm、長さ150mmのステンレス製の円筒圧力容器1を用いた。容器1は、底部が排水口8付きの着脱可能な底板2、底板2で周辺部を固定された60メッシュの金網3、及び、金網3の上側に配置されて金網3とともに固定された濾紙4で形成され、上部が圧縮空気供給口5を有し、圧力計6を設けられた蓋7で気密に閉じられるようになっている。
このような容器1に実施例11の加泥剤所定量を収容し、3kg/cmの空気圧を作用させて、始めから30分迄の間に排水口8から流出する濾過水の量を測定した。
比較例7
加泥剤Iに代えてポリアクリル酸ナトリウム(上記表2に記載の「FH−S」、日本触媒社製)を用いた他は実施例11と同様にして保水性テストを行った結果、濾過水の量は17.2mlであった。
本発明の実施例11及び比較例7で行った保水性テストに使用した装置の縦断面図である。
符号の説明
1:容器
2:底板
3:金網
4:濾紙
5:圧縮空気供給口
6:圧力計
7:蓋
8:排水口

Claims (6)

  1. 加泥剤を使用する泥土圧シールド工法であって、
    該加泥剤は、重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)とを含有することを特徴とする泥土圧シールド工法。
  2. 前記分散剤(B)は、重量平均分子量が0.1万〜10万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体であることを特徴とする請求項1に記載の泥土圧シールド工法。
  3. 前記加泥剤は、更にベントナイトを含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の泥土圧シールド工法。
  4. 加泥剤を使用する土圧式セミシールド工法であって、
    該加泥剤は、重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)とを含有することを特徴とする土圧式セミシールド工法。
  5. 重量平均分子量が50万〜600万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体(A)50〜97重量部と、重量平均分子量が10万以下の分散剤(B)50〜3重量部(但し、AとBとの合計を100重量部とする。)とを含有することを特徴とする加泥剤。
  6. 前記分散剤は、重量平均分子量が0.1万〜10万の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体であることを特徴とする請求項5に記載の加泥剤。
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