JP2006070121A - ゴム分解方法およびゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】分解条件が穏やかで、分解の制御が容易であり、ゴム組成物中の副生成物の残留量が少なく、高分子量のゴム組成物を得ることができるゴム分解方法および前記ゴム分解方法により得られるゴム分解組成物の提供。
【解決手段】1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物によって架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で分解させるゴム分解方法および前記ゴム分解方法により得られるゴム分解組成物。
【選択図】なし
【解決手段】1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物によって架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で分解させるゴム分解方法および前記ゴム分解方法により得られるゴム分解組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム分解方法およびゴム組成物に関する。
近年、産業廃棄物の処理問題は重要な社会的課題である。特に、タイヤは、廃棄量が多いので、廃棄タイヤを単に焼却して燃料とするだけではなく、廃棄タイヤからその原料であるゴム資材を回収して有効的に再利用することがますます重要視されている。
加硫ゴム廃棄物からゴムおよびカーボンブラック等のゴム資材類を回収する方法の一つとしては、加硫ゴム廃棄物を、有機溶剤中で過酸化物により分解し、ゴムを回収する方法が知られている。
本出願人は、このような加硫ゴムの回収方法として、例えば、特許文献1において、高分子量のゴムおよび/またはカーボンブラックを容易に、かつ、確実に回収することを目的としたゴム成形品からの材料回収方法および回収材料を提案している。上記の特許文献1に記載されているゴム成形品からの材料回収方法は、(1)ゴム成形品に、220〜400℃の温度で実質的に加熱前の外形を保持しうる熱処理を加えた後、(2)有機溶媒で抽出して溶媒抽出分と抽出残物とを分離し、(3)分離された抽出残物を、(i)500℃以上の温度で過熱するか、または(ii)過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル等)を0.01〜50%含むゴム溶解剤に溶解することにより、ゴム成分を分解し、カーボンブラックを回収する。
加硫ゴム廃棄物からゴムおよびカーボンブラック等のゴム資材類を回収する方法の一つとしては、加硫ゴム廃棄物を、有機溶剤中で過酸化物により分解し、ゴムを回収する方法が知られている。
本出願人は、このような加硫ゴムの回収方法として、例えば、特許文献1において、高分子量のゴムおよび/またはカーボンブラックを容易に、かつ、確実に回収することを目的としたゴム成形品からの材料回収方法および回収材料を提案している。上記の特許文献1に記載されているゴム成形品からの材料回収方法は、(1)ゴム成形品に、220〜400℃の温度で実質的に加熱前の外形を保持しうる熱処理を加えた後、(2)有機溶媒で抽出して溶媒抽出分と抽出残物とを分離し、(3)分離された抽出残物を、(i)500℃以上の温度で過熱するか、または(ii)過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル等)を0.01〜50%含むゴム溶解剤に溶解することにより、ゴム成分を分解し、カーボンブラックを回収する。
しかし、上記の特許文献1に記載されているゴム成形品からの材料回収方法において回収されたゴムには、過酸化物の副生成物が残存する場合がある。その結果、分解回収ゴムおよび該分解回収ゴムを含有するゴム組成物の加工性や加硫特性が抑制される恐れがあった。また、前記回収方法において、過酸化物は、試薬として不安定であり、分解を制御しにくい。さらに、前記分解方法は、予め高温での熱処理が必要で、その分解条件は過酷であった。
また、本出願人は、以前に、硫黄のみで架橋された加硫ゴムを塩酸、硫酸等の強酸によって分解させる方法を提案した。しかし、この方法では、加硫ゴムの硫黄による架橋だけでなく、ゴムの主鎖をも切断してしまうため、得られる分解ゴムの分子量が比較的低くなってしまう。ここで、分解ゴムの分子量は大きいほど、再利用しやすいと考えられる。
従って、本発明の目的は、分解条件が穏やかで、分解の制御が容易であり、ゴム組成物中の副生成物の残留量が少なく、高分子量のゴム組成物が得られるゴム分解方法を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、再生ゴムの物性低下を抑えつつ、加工性に優れるゴム分解組成物を提供することにある。
また、本出願人は、以前に、硫黄のみで架橋された加硫ゴムを塩酸、硫酸等の強酸によって分解させる方法を提案した。しかし、この方法では、加硫ゴムの硫黄による架橋だけでなく、ゴムの主鎖をも切断してしまうため、得られる分解ゴムの分子量が比較的低くなってしまう。ここで、分解ゴムの分子量は大きいほど、再利用しやすいと考えられる。
従って、本発明の目的は、分解条件が穏やかで、分解の制御が容易であり、ゴム組成物中の副生成物の残留量が少なく、高分子量のゴム組成物が得られるゴム分解方法を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、再生ゴムの物性低下を抑えつつ、加工性に優れるゴム分解組成物を提供することにある。
そして、本出願人は、特開2001−72807号公報において、1分子中に少なくとも2つのチイラン環含有基を有する化合物を含むゴム用加硫剤およびこれによって加硫されたゴム(例えば、ポリイソプレン等)を提案している。この加硫ゴムは、硫黄架橋するときにポリサルファイド結合が生成しないので、早期加硫による焼けや加硫戻りを抑制することができ、耐リバージョン性および耐老化性を改善することができるので、有用な架橋ゴムの一つである。
ここで、本発明者は、このような架橋ゴムを分解するゴム分解方法に関し、鋭意研究した結果、前記公報に記載されている加硫ゴムのうち、2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを分解する方法であって、前記架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で、分解させることによって、分解条件が穏やかで、分解の制御が容易となり、ゴム組成物中の副生成物の残留量が少なく、得られるゴム組成物が高分子量となることを見出した。
また、本発明者は、上記のようなゴム組成物が、再生ゴムの物性低下を抑えつつ、加工性に優れていることを見出した。
そして、本発明者は、これらの知見に基づき、本発明を完成させた。
また、本発明者は、上記のようなゴム組成物が、再生ゴムの物性低下を抑えつつ、加工性に優れていることを見出した。
そして、本発明者は、これらの知見に基づき、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
(1)1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で分解させるゴム分解方法。
(1)1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で分解させるゴム分解方法。
(2)前記酸が、少なくとも1種の有機酸を含む上記(1)に記載のゴム分解方法。
(3)前記有機酸が、カルボン酸である上記(2)に記載のゴム分解方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム分解方法で得られるゴム組成物(A)。
(5)上記(4)に記載のゴム組成物(A)を少なくとも1種含むゴム組成物(B)。
(6)さらに、ゴムおよび/または樹脂を含む上記(5)に記載のゴム組成物(B)。
(3)前記有機酸が、カルボン酸である上記(2)に記載のゴム分解方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム分解方法で得られるゴム組成物(A)。
(5)上記(4)に記載のゴム組成物(A)を少なくとも1種含むゴム組成物(B)。
(6)さらに、ゴムおよび/または樹脂を含む上記(5)に記載のゴム組成物(B)。
本発明のゴム分解方法は、反応条件が穏やかで、分解の制御が容易であり、分解後のゴム組成物中の副生成物の残存量が少なく、比較的高分子量のゴム組成物(A)を製造することができる。また、本発明のゴム組成物は、再生ゴムの物性低下を抑えつつ、加工性に優れる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、ゴム組成物(A)とは、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム分解方法によって得られる分解後のゴム組成物をいう。
また、本発明において、ゴム組成物(B)とは、ゴム組成物(A)を少なくとも1種含むゴム組成物をいう。
本明細書において、ゴム組成物(A)とは、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム分解方法によって得られる分解後のゴム組成物をいう。
また、本発明において、ゴム組成物(B)とは、ゴム組成物(A)を少なくとも1種含むゴム組成物をいう。
まず、本発明のゴム分解方法について説明する。
本発明のゴム分解方法は、1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で分解させる。
本発明のゴム分解方法は、1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下で分解させる。
本発明のゴム分解方法において、架橋されたジエン系ゴムを、溶媒中、酸の存在下において分解させるとき、架橋構造に含まれるエステル結合が、酸によって選択的に加水分解されることにより、比較的分子量の高いゴム組成物(A)を得ることができる。酸は、ジエン系ゴムの主鎖の結合(炭素炭素結合)と架橋構造中のエステル結合とのうち、架橋構造中のエステル結合を選択的に分解すると推察される。
以下に、本発明に使用される架橋されたジエン系ゴムについて説明する。
本発明に用いられる架橋されたジエン系ゴムは、1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で、ジエン系ゴムを架橋させたものである。
本発明に用いられる架橋されたジエン系ゴムは、1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で、ジエン系ゴムを架橋させたものである。
ここで、チイラン化合物について説明する。
ジエン系ゴムの架橋に用いられるチイラン化合物は、1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有する。
本明細書において、チイラン環含有基は、下記式(1)または式(2)で表される。
ジエン系ゴムの架橋に用いられるチイラン化合物は、1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有する。
本明細書において、チイラン環含有基は、下記式(1)または式(2)で表される。
(式(2)の中で、Rは、炭素原子数3〜5の、3価の脂肪族炭化水素基を表す。)
上記チイラン化合物は、1分子中にエステル結合を有する。従って、このチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを分解するとき、架橋構造に含まれるチイラン化合物由来のエステル結合が酸で選択的に加水分解されることにより、分解後のゴム組成物(A)の分子量を比較的高くすることができる。
上記チイラン化合物は、上述した点以外は、特に構成を限定されない。
上記チイラン化合物は、上述した点以外は、特に構成を限定されない。
上記チイラン化合物としては、具体的には、例えば、下記式(a)〜(i)で表されるチイラン化合物を挙げることができる。
下記式(c)〜(h)で表されるチイラン化合物は、各式中のすべてのYが、上記式(1)で表されるチイラン環含有基である。
また、下記式(a)、式(b)または式(i)で表されるチイラン化合物は、各式の中のすべてのZが硫黄原子である。なお、下記式(a)、式(b)または式(i)で表されるチイラン化合物のチイラン環含有基は、上記式(2)で表されるチイラン環含有基であって、式(2)の中のRが、1,2,4−ブタントリイル基(炭素原子数は4)であり、当該1,2,4−ブタントリイル基の1位および4位でチイラン環と結合する場合に該当する。
下記式(c)〜(h)で表されるチイラン化合物は、各式中のすべてのYが、上記式(1)で表されるチイラン環含有基である。
また、下記式(a)、式(b)または式(i)で表されるチイラン化合物は、各式の中のすべてのZが硫黄原子である。なお、下記式(a)、式(b)または式(i)で表されるチイラン化合物のチイラン環含有基は、上記式(2)で表されるチイラン環含有基であって、式(2)の中のRが、1,2,4−ブタントリイル基(炭素原子数は4)であり、当該1,2,4−ブタントリイル基の1位および4位でチイラン環と結合する場合に該当する。
上記チイラン化合物は、チイラン環含有基のみを有していてもよく、チイラン環含有基とオキシラン環含有基とを併有していてもよい。
なお、本発明においてオキシラン環含有基とは、上記式(1)または式(2)で表されるチイラン環含有基の硫黄原子が酸素原子に置き換えられた構造をいう。
なお、本発明においてオキシラン環含有基とは、上記式(1)または式(2)で表されるチイラン環含有基の硫黄原子が酸素原子に置き換えられた構造をいう。
上記チイラン化合物は、1分子中に含まれるエステル結合の個数について、少なくとも1個含有すればよく、特に制限はない。例えば、下記式(a)および式(b)で表されるチイラン化合物において、1分子中に含まれるエステル結合の個数は1個である。下記式(c)〜(i)で表されるチイラン化合物において、1分子中に含まれるエステル結合は2個である。
上記チイラン化合物において、1分子中、2個のチイラン環含有基の間に含まれるエステル結合の個数が2個以上の場合、当該チイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムが分解され、同一架橋構造の中のすべてのエステル結合が分解されると、分解副生成物が発生する。分解されたゴム組成物中にこのような分解副生成物が残留する場合、再使用の際に加硫時のゴムの焼けや加硫阻害を引き起こす可能性がある。また、分解副生成物は、分解されたゴム組成物から大気中に放出されると、環境を汚染する可能性がある。このような理由から、分解副生成物が発生しないようにすることが好ましい。従って、本発明に使用されるチイラン化合物は、1分子のチイラン化合物に含まれるエステル結合が1個であることが好ましい。
上記チイラン化合物の中でも、上記式(a)で表されるチイラン化合物が好ましい。なぜなら、上記式(a)で表されるチイラン化合物は、1分子中に含まれるエステル結合が1つであるため、分解副生成物を発生させないからである。また、上記式(a)で表されるチイラン化合物は、エステル結合、チイラン基以外に反応活性な官能基を持たないので、ジエン系ゴムの加硫時、架橋されたジエン系ゴムの分解時に、副反応を起こしにくいからである。
なお、これらのチイラン化合物は、水素原子がハロゲン原子で置換されたものであってもよい。ハロゲン原子としては、例えば、臭素原子、塩素原子、フッ素原子が挙げられる。
なお、これらのチイラン化合物は、水素原子がハロゲン原子で置換されたものであってもよい。ハロゲン原子としては、例えば、臭素原子、塩素原子、フッ素原子が挙げられる。
次に、上記チイラン化合物の調製方法について説明する。
上記チイラン化合物の調製方法としては、例えば、相当するエポキシ化合物のオキシラン環含有基をチイラン環含有基に置換する方法等が挙げられる。
上記チイラン化合物の調製方法としては、例えば、相当するエポキシ化合物のオキシラン環含有基をチイラン環含有基に置換する方法等が挙げられる。
このような置換方法によって、上記式(a)、式(b)または式(i)で表されすべてのZが硫黄原子であるチイラン化合物を得る場合には、原料としては、例えば、それぞれ、上記式(a)、式(b)または式(i)で表され、すべてのZが酸素原子である各エポキシ化合物を用いる。
また、上記式(c)〜(h)で表され、各式中のすべてのYが上記式(1)で表されるチイラン環含有基である各チイラン化合物を得る場合には、原料としては、例えば、それぞれ、上記式(c)〜(h)で表され、各式中のすべてのYがオキシラン環含有基である各エポキシ化合物を用いる。
なお、水素原子がハロゲン原子で置換されている場合も同様である。
また、上記式(c)〜(h)で表され、各式中のすべてのYが上記式(1)で表されるチイラン環含有基である各チイラン化合物を得る場合には、原料としては、例えば、それぞれ、上記式(c)〜(h)で表され、各式中のすべてのYがオキシラン環含有基である各エポキシ化合物を用いる。
なお、水素原子がハロゲン原子で置換されている場合も同様である。
次に、チイラン化合物の具体的な調製方法としては、例えば、上述したエポキシ化合物と、エピスルフィド化剤とを、極性溶媒中で、強かくはん下に反応させる方法により行う方法等を挙げることができる。
エピスルフィド化剤としては、例えば、チオシアン酸カリウム(KSCN)、チオ尿素が挙げられる。
極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、水、これらの混合溶媒が挙げられる。
エピスルフィド化剤としては、例えば、チオシアン酸カリウム(KSCN)、チオ尿素が挙げられる。
極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、水、これらの混合溶媒が挙げられる。
反応は、通常、10〜35℃の温度範囲、例えば、室温下、10〜40時間程度、例えば、20時間程度の反応時間で行うことができる。また、反応の雰囲気は、空気中でもよいし、窒素等の不活性雰囲気でもよい。
次に、上記チイラン化合物と反応させるジエン系ゴムについて説明する。
上記ジエン系ゴムは、特に制限されないが、従来から各種ゴム組成物に一般的に配合されている任意のゴムを使用することができる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IlR)、クロロプレンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレンジエン共重合体ゴム等を挙げることができる。これらのジエン系ゴムは、単独でまたは任意の2種以上のブレンドとして使用することができる。
上記ジエン系ゴムは、特に制限されないが、従来から各種ゴム組成物に一般的に配合されている任意のゴムを使用することができる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IlR)、クロロプレンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレンジエン共重合体ゴム等を挙げることができる。これらのジエン系ゴムは、単独でまたは任意の2種以上のブレンドとして使用することができる。
このようなジエン系ゴムは、ゴム工業で通常使用される配合剤を必要に応じて配合することができる。配合剤としては、例えば、カーボンブラック・シリカ等の充填剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、可塑剤、柔軟剤等が挙げられ、それぞれ必要量配合することができる。
次に、架橋されたジエン系ゴムの製造方法について説明する。
架橋されたジエン系ゴムの製造方法は、公知の製造方法を用いればよく、特に限定されない。架橋されたジエン系ゴムの製造方法としては、例えば、上記ジエン系ゴムおよび上記チイラン化合物を使用して製造する方法等が挙げられる。
架橋されたジエン系ゴムの製造方法は、公知の製造方法を用いればよく、特に限定されない。架橋されたジエン系ゴムの製造方法としては、例えば、上記ジエン系ゴムおよび上記チイラン化合物を使用して製造する方法等が挙げられる。
このような場合、上記チイラン化合物の配合量としては、例えば、上記ジエン系ゴムに対して、好ましくは0.1〜100質量%であり、より好ましくは1〜50質量%である。
具体的な製造方法としては、例えば、上記のような配合のジエン系ゴムおよびチイラン化合物等が配合された組成物を、まず、混練工程において加熱・混練した後、続いて、架橋工程において加圧プレスによりジエン系ゴムを架橋して製造する方法等が好適な態様の一つである。
混練工程としては、例えば、2軸押出機、バンバリミキサー、ニーダー等を用いて、加熱・混練を行うことができる。
また、混練工程における混練温度は、50〜90℃であり、好ましくは60〜80℃である。
混練時間は、1分〜2時間であり、好ましくは5〜20分である。
また、混練工程における混練温度は、50〜90℃であり、好ましくは60〜80℃である。
混練時間は、1分〜2時間であり、好ましくは5〜20分である。
次に、架橋工程としては、加熱プレスによりジエン系ゴムを架橋することができる。
また、架橋工程における架橋温度は、120〜250℃であり、好ましくは140〜180℃である。
架橋圧力は、0.1〜40MPaであり、好ましくは1.0〜10MPaである。
架橋時間は、架橋温度にもよるが、10分〜1時間であり、好ましくは20〜40分である。
また、架橋工程における架橋温度は、120〜250℃であり、好ましくは140〜180℃である。
架橋圧力は、0.1〜40MPaであり、好ましくは1.0〜10MPaである。
架橋時間は、架橋温度にもよるが、10分〜1時間であり、好ましくは20〜40分である。
以下に、本発明のゴム分解方法で使用される酸について説明する。
本発明で使用される酸としては、例えば、無機酸、有機酸が挙げられる。そして、酸は、少なくとも1種の有機酸を含むことが好ましい。
上記の無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸およびこれらの混酸が挙げられる。
本発明で使用される酸としては、例えば、無機酸、有機酸が挙げられる。そして、酸は、少なくとも1種の有機酸を含むことが好ましい。
上記の無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸およびこれらの混酸が挙げられる。
有機酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、フェノール、チオール、エノール、オキシム、酸イミド、スルホンアミド、およびこれらの塩類等が挙げられる。特に、有機酸は、カルボン酸であるのが好ましい。
カルボン酸としては、例えば、飽和モノカルボン酸、飽和ジカルボン酸、不飽和カルボン酸、芳香族カルボン酸、複素環カルボン酸等が挙げられる。具体的なカルボン酸は、飽和モノカルボン酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シクロヘキサンカルボン酸等;
飽和ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等;
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等;
飽和ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等;
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等;
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1−ナフトエ酸、トルイル酸等;
複素環カルボン酸としては、例えば、ニコチン酸、イソニコチン酸、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が好ましく、酢酸がさらに好ましい。これらのカルボン酸は、試薬として安定であり、また、その分解反応性は穏和なので、ジエン系ゴムの主鎖の結合を切断しにくいからである。
複素環カルボン酸としては、例えば、ニコチン酸、イソニコチン酸、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が好ましく、酢酸がさらに好ましい。これらのカルボン酸は、試薬として安定であり、また、その分解反応性は穏和なので、ジエン系ゴムの主鎖の結合を切断しにくいからである。
また、スルホン酸としては、例えば、エタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ショウノウスルホン酸等のアルキルスルホン酸;
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;
銅フタロシアニンテトラスルホン酸、ポルフィリンテトラスルホン酸等の大環状複素環化合物のスルホン酸;
ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸縮合物等のポリスルホン酸およびこれらの塩類等が挙げられる。
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;
銅フタロシアニンテトラスルホン酸、ポルフィリンテトラスルホン酸等の大環状複素環化合物のスルホン酸;
ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸縮合物等のポリスルホン酸およびこれらの塩類等が挙げられる。
フェノールとしては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノンおよびこれらの塩類等が挙げられる。
チオールとしては、例えば、エタンチオール、ベンゼンチオール、メルカプト安息香酸およびこれらの塩類等が挙げられる。
エノールとしては、例えば、2,4−ペンタンジオンのエノール型等が挙げられる。
エノールとしては、例えば、2,4−ペンタンジオンのエノール型等が挙げられる。
オキシムとしては、例えば、アセトンオキシム、2−ヘキサノンオキシム等の脂肪族オキシム;シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等の脂環式オキシム;アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等の芳香族オキシム等が挙げられる。
酸イミドとしては、例えば、スクシンイミド、フタルイミド等が挙げられる。
スルホンアミドとしては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、アミノベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
酸は、それぞれ単独で使用しても、または、2種以上組み合わせて使用してもよい。
スルホンアミドとしては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、アミノベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
酸は、それぞれ単独で使用しても、または、2種以上組み合わせて使用してもよい。
このような酸の使用量は、架橋されたジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは1〜10,000質量部、より好ましくは25〜5,000質量部、さらに好ましくは50〜500質量部である。このような範囲である場合、分解反応に好適であり、後処理等の扱いが簡便である。
次に、本発明のゴム分解方法で使用される溶媒について説明する。
本発明で使用される溶媒は、常温常圧下で液状であって、酸を溶解させ、さらに本発明で用いられる架橋されたジエン系ゴムを膨潤させうるものであれば、特に限定されない。具体的な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素化合物;
シクロヘキサン、デカリン(デカヒドロナフタレン)、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)等の脂環式炭化水素化合物;
本発明で使用される溶媒は、常温常圧下で液状であって、酸を溶解させ、さらに本発明で用いられる架橋されたジエン系ゴムを膨潤させうるものであれば、特に限定されない。具体的な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素化合物;
シクロヘキサン、デカリン(デカヒドロナフタレン)、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)等の脂環式炭化水素化合物;
クロロベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒等を使用することができる。中でも、トルエン、シクロヘキサン等が好ましい。
これらの溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒等を使用することができる。中でも、トルエン、シクロヘキサン等が好ましい。
これらの溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
このような溶媒を使用する場合、分解された架橋部分が溶媒に溶解されることで、未分解の架橋部分が酸および/または溶媒と接するようになるため、分解が促進される。
酸の含有量は、溶媒の質量に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。酸の含有量がこの範囲である場合、分解が効率的に進むという利点がある。
上記の溶媒または酸は、それぞれ単独でまたは2種類以上組み合わせて用いても良い。溶媒と酸との組み合わせとしては、トルエンと酢酸との組み合わせが好ましい。このような組み合わせの場合、酢酸はトルエンに可溶であり、酢酸・トルエンとも安全性が高く、安価に、大量に入手可能である。また、本発明のゴム分解方法は、処理温度が後述のように100℃以上が好ましい。このため、沸点が共に100℃以上である酢酸とトルエンとのような組み合わせの場合、処理温度の面から好適である。
次に、本発明のゴム分解方法の分解処理について説明する。
まず、本発明のゴム分解方法においては、架橋されたジエン系ゴムと溶媒と酸との混合液の調製方法として、例えば、上記の架橋されたジエン系ゴムを、酸を含有した溶媒に加える方法;架橋されたジエン系ゴムを溶媒に先に加え、次いで酸を添加する方法等が挙げられる。
また、架橋されたジエン系ゴムは、溶媒と酸との混合液に浸せきまたは浸せきかくはんされるのが好ましい態様の一つである。
まず、本発明のゴム分解方法においては、架橋されたジエン系ゴムと溶媒と酸との混合液の調製方法として、例えば、上記の架橋されたジエン系ゴムを、酸を含有した溶媒に加える方法;架橋されたジエン系ゴムを溶媒に先に加え、次いで酸を添加する方法等が挙げられる。
また、架橋されたジエン系ゴムは、溶媒と酸との混合液に浸せきまたは浸せきかくはんされるのが好ましい態様の一つである。
架橋されたジエン系ゴムの使用量は、溶媒100質量部に対し、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.1〜25質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。ジエン系ゴムと溶媒との使用量がこのような範囲である場合、分解反応において溶媒はジエン系ゴムを浸せきすることができる。また、後処理において、溶媒を留去して分解されたゴム組成物(A)を回収する際、溶媒を留去する手間・消費エネルギーを必要以上にかけずに行うことができる。
また、本発明のゴム分解方法において、架橋されたジエン系ゴムを加える際の架橋されたジエン系ゴムの形状は、特に限定されない。架橋されたジエン系ゴムとこれに含有される他の成分との分離を容易にする観点から、架橋されたジエン系ゴムの大きさを小さくすることが好ましい態様の一つである。例えば、架橋されたジエン系ゴムの1辺が2mm程度の大きさになるように、粉砕または裁断して使用することができる。
本発明のゴム分解方法における分解処理温度は、好ましくは80〜250℃であり、より好ましくは100〜180℃である。本発明のゴム分解方法において、処理温度は比較的低く設定することが好ましい。このような比較的低い温度範囲であれば、架橋されたジエン系ゴムの架橋構造のなかのエステル結合を選択的に分解させ、かつ、架橋されたジエン系ゴムの主鎖の結合を切断しにくくすることができる。また、エネルギー消費量を抑制することもできる。
本発明のゴム分解方法における分解処理圧力は、好ましくは常圧から常圧+5.0MPaであり、より好ましくは、常圧から常圧+1.0MPaである。
本発明のゴム分解方法における分解処理時間は、好ましくは5〜100時間であり、より好ましくは、15〜50時間である。
本発明のゴム分解方法における分解処理時間は、好ましくは5〜100時間であり、より好ましくは、15〜50時間である。
このように本発明のゴム分解方法は、2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを原料とし、また、これに対する分解は、上述のように大変穏やかな条件で設定されている。本発明のゴム分解方法は、このような架橋されたジエン系ゴムの構造と分解条件のバランスによって、架橋されたジエン系ゴムの主鎖の結合(炭素炭素結合)より、むしろ架橋構造のなかのエステル結合の選択的な分解を、可能にするものである。これにより、分子量の比較的高いゴム組成物(A)を得ることができる。
本発明のゴム分解方法においては、必要に応じて分解後の後処理を行うことができる。分解後の後処理としては、例えば、分解処理後の溶液から、充填剤や、鋼材・樹脂等の他の構成部材の固形分を除去する工程等が挙げられる。ここで、固形分の分離方法としては、例えば、遠心分離、膜分離、濾過等の通常の分離手段を挙げることができる。
こうして得られる固形分除去後の回収液状物は、分解反応において使用した溶媒、酸および分解する際発生しうる分解副生成物(例えば、本発明で使用されるチイラン化合物としてエステル結合を2個以上有するチイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを酸で分解した際、当該ジエン系ゴムの同一架橋構造の中のエステル結合すべてが加水分解されて発生する、ヒドロキシ基および/またはカルボキシ基を合計2個以上含有する化合物。以下同様とする。)等を含有するものである。このため、真空蒸留もしくは加熱蒸留を行い、または放置して、当該回収液状物から、溶媒、酸または前記分解副生成物をできるだけ除去する精製工程を行うのが好ましい態様の一つである。これに続いて、メタノール等の貧溶媒による析出工程、水等による洗浄工程、乾燥工程等を、必要に応じて選択することができる。
上記のような本発明のゴム分解方法によって、ゴム組成物が得られる。
上記のような本発明のゴム分解方法によって、ゴム組成物が得られる。
本発明のゴム組成物(A)について説明する。
本発明のゴム組成物(A)は、上記の本発明のゴム分解方法によって得られる。
本発明のゴム組成物(A)は、上記の本発明のゴム分解方法によって得られる。
本発明のゴム組成物(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜150,000であり、より好ましくは10,000〜50,000である。
本発明のゴム組成物(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜400,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。
本発明のゴム組成物(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜400,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。
本発明のゴム組成物(A)のMw/Mnは、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.2〜4.5である。
本発明のゴム組成物(A)は、常温にて固形または液状のゴムであることが好ましい。また、本発明のゴム組成物(A)は、架橋が外れたため、上記のゴム分解方法で使用される溶媒に可溶である。
本発明のゴム組成物(A)は、常温にて固形または液状のゴムであることが好ましい。また、本発明のゴム組成物(A)は、架橋が外れたため、上記のゴム分解方法で使用される溶媒に可溶である。
本発明のゴム組成物(A)は、架橋されたジエン系ゴムを分解するに際し使用された溶媒、酸または分解する際に発生する分解副生成物を微量に含有していてもよい。しかし、再使用時にこれら溶媒、酸、分解副生成物が分解されたゴム中から浸出、飛散、拡散して、環境や装置を汚染する恐れがあること、また、再使用の過程で、加工性や加硫特性に不具合を生じる可能性があること等の問題から、ゴム組成物(A)中には酸はなるべく残留しないほうが好ましい。ゴム組成物(A)に含有される酸の含有率は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.001〜0.1質量%であることがより好ましい。本発明のゴム組成物(A)は、メタノール等の貧溶媒による析出や水等による洗浄等により、容易に純粋なゴム組成物(A)とすることができる。
次に、本発明のゴム組成物(B)について説明する。
本発明のゴム組成物(B)は、上記の本発明のゴム組成物(A)を少なくとも1種含む。
本発明のゴム組成物(B)は、上記の本発明のゴム組成物(A)を少なくとも1種含む。
本発明のゴム組成物(B)は、分解副生成物等の残留量が少なく高分子量のゴム組成物(A)を含有するので、本発明のゴム組成物(B)から得られる再生ゴムの物性低下を抑えつつ、再生ゴムの加工性を向上させ、加硫時の加硫戻り等の加硫特性等を優れたものにすることができる。
ゴム組成物(B)に含有されるゴム組成物(A)は、本発明のゴム組成物(A)の他に、例えば、本発明のゴム組成物(A)に後述する加硫剤等を加えて弾性を付与した加硫ゴムとしたものであってもよい。
ゴム組成物(A)に加硫剤等を加えて弾性を付与した加硫ゴムとする方法としては、例えば、ゴム組成物(A)に一般的な加硫剤(例えば硫黄)等を加え、次いで、これを熱処理に付す方法等が挙げられる。このような場合、加硫剤の使用量としては、例えば、ゴム組成物(A)100質量部に対して、好ましくは1〜200質量部、より好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは1〜10質量部加える。また、熱処理の温度は、好ましくは100〜200℃であり、より好ましくは130〜180℃である。このような温度範囲である場合、分子量を更に高くし、弾性を効果的に付与することができる。このような方法によりゴム組成物(A)に弾性を付与することができる。
特に、本発明のゴム組成物(B)においては、ゴム組成物(B)の機械的強度を改善するため、ゴム組成物(A)以外に、ゴムおよび/または樹脂を併用するのが好ましい態様の一つである。
このようなゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)等を挙げることができる。これらのゴムは、それぞれ単独で、または、これらの2種以上のブレンド物として使用することができる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリアセタール等を挙げることができる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記のゴムおよび樹脂を組み合わせて使用することもできる。
また、上記のゴムおよび樹脂を組み合わせて使用することもできる。
そして、ゴム組成物(B)が、ゴム組成物(A)とゴムおよび/または樹脂とを含む場合、ゴム組成物(A)の配合量は、ゴム組成物(A)とゴムおよび/または樹脂との合計量に対し、好ましくは1〜99質量%であり、より好ましくは5〜75質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。
また、本発明のゴム組成物(B)は、公知の加硫剤を含むことができる。このような加硫剤としては、例えば、硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等の非元素硫黄加硫剤、ビスモルホリンジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、有機過酸化物、キノンジオキシム、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ニトロソ化合物とジイソシアナート混合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、トリエチレンテトラミン、メチレンジアニリン、ジフェニルグアニジン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメート、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタンカルバメート等を挙げることができる。
また、本発明のゴム組成物(B)は、公知の充填剤を含むことができる。充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられ、好ましくはカーボンブラック、シリカ等である。
そして、本発明のゴム組成物(B)は、上述のゴム組成物(A)、ゴム、樹脂、加硫剤、充填剤以外に、公知の他の樹脂、エラストマー、他の配合剤、ゴム副資材を広く含有していてもよい。例えば加硫(硬化)促進剤、加硫促進助剤、活性剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、粘着剤、粘着付与剤、硬化剤、発泡剤、発泡助剤、補強剤、老化防止剤、着色剤、顔料、難燃剤、離型剤等が配合されていてもよい。
次に、本発明のゴム組成物(B)の製造方法としては、例えば、ゴム組成物(A)必要に応じてゴムおよび/または樹脂、加硫剤、その他の添加剤等を、2軸押出機、バンバリミキサー、ニーダー等を用いて、50〜180℃程度に加熱下、混練して製造する方法等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物(A)は、ゴムの添加剤として用いられる際、ゴムの可塑化に優れ、ゴムの加工性を向上させる性質を有する。また、本発明のゴム組成物(A)は、加硫時に加硫戻りを抑制する。
そして、このような性質のゴム組成物(A)を少なくとも1種含む本発明のゴム組成物(B)は、タイヤ、ホース、コンベヤベルト、ゴムシート、防舷材、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋等の各種ゴム製品に使用することができる。
そして、このような性質のゴム組成物(A)を少なくとも1種含む本発明のゴム組成物(B)は、タイヤ、ホース、コンベヤベルト、ゴムシート、防舷材、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋等の各種ゴム製品に使用することができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
1.チイラン化合物の合成
(1)式(j)で表されるチイラン化合物の合成
チオシアン酸カリウム427.6g(4.4モル)をエタノール267.4mLと水356.2mLとの混合溶媒に溶解させ、更に、上記式(a)で表され、すべてのZが酸素原子であるエポキシ化合物(CY−179、旭化成社製)を504g(2.0モル)滴下し、室温で20時間激しくかくはんした。
ついで、トルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、更に、トルエンを減圧留去した後、減圧乾燥し、反応混合物を得た。
(1)式(j)で表されるチイラン化合物の合成
チオシアン酸カリウム427.6g(4.4モル)をエタノール267.4mLと水356.2mLとの混合溶媒に溶解させ、更に、上記式(a)で表され、すべてのZが酸素原子であるエポキシ化合物(CY−179、旭化成社製)を504g(2.0モル)滴下し、室温で20時間激しくかくはんした。
ついで、トルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、更に、トルエンを減圧留去した後、減圧乾燥し、反応混合物を得た。
得られた反応混合物のオキシラン環含有基からチイラン環含有基への置換率を、1H−NMR分析によって測定したところ、100%であった。このようにして下記式(j)で表されるチイラン化合物を合成した。
(2)式(k)で表されるチイラン化合物の合成
チオシアン酸カリウム427.6g(4.4モル)をエタノール267.4mLと水356.2mLとの混合溶媒に溶解させ、更に、下記式(k)で表されすべての硫黄原子が酸素原子であるエポキシ化合物(EP−4080、旭電化社製)を768g(2.0モル)滴下し、室温で20時間激しくかくはんした。
ついで、トルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、更に、トルエンを減圧留去した後、減圧乾燥し、反応混合物を得た。
得られた反応混合物のオキシラン環含有基からチイラン環含有基への置換率を、1H−NMR分析によって測定したところ、100%であった。
このようにして式(k)で表されるチイラン化合物(当該チイラン化合物は、エステル結合を含有しないH−BisAチイランである。)を760g得た。
チオシアン酸カリウム427.6g(4.4モル)をエタノール267.4mLと水356.2mLとの混合溶媒に溶解させ、更に、下記式(k)で表されすべての硫黄原子が酸素原子であるエポキシ化合物(EP−4080、旭電化社製)を768g(2.0モル)滴下し、室温で20時間激しくかくはんした。
ついで、トルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、更に、トルエンを減圧留去した後、減圧乾燥し、反応混合物を得た。
得られた反応混合物のオキシラン環含有基からチイラン環含有基への置換率を、1H−NMR分析によって測定したところ、100%であった。
このようにして式(k)で表されるチイラン化合物(当該チイラン化合物は、エステル結合を含有しないH−BisAチイランである。)を760g得た。
2.架橋されたジエン系ゴムの調製
(1)エステル結合を有する架橋イソプレンゴムの調製
上記で得られた式(j)で表されるチイラン化合物を用いて、第1表に示す成分組成で配合・混練した。このようにして得られたゴム組成物を、30分間、10MPaの加圧下において、160℃に加熱し、エステル結合を有する架橋イソプレンゴムを調製した。
(1)エステル結合を有する架橋イソプレンゴムの調製
上記で得られた式(j)で表されるチイラン化合物を用いて、第1表に示す成分組成で配合・混練した。このようにして得られたゴム組成物を、30分間、10MPaの加圧下において、160℃に加熱し、エステル結合を有する架橋イソプレンゴムを調製した。
なお、第1表中に示した各配合剤は、以下のとおりである。
・イソプレンゴム(未架橋):イソプレンラバー(日本ゼオン社製)
・チイラン化合物:式(j)で表されるチイラン化合物
・イソプレンゴム(未架橋):イソプレンラバー(日本ゼオン社製)
・チイラン化合物:式(j)で表されるチイラン化合物
・酸化亜鉛:亜鉛華3号(正同化学社製)
・老化防止剤6C:サントフレックス13(モンサント社製)
・加硫促進剤NS:SantocureNS(モンサント社製)
・老化防止剤6C:サントフレックス13(モンサント社製)
・加硫促進剤NS:SantocureNS(モンサント社製)
なお、加熱・架橋処理を行う前の未架橋のイソプレンゴム組成物を、テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、その分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によって測定した。結果を第2表に参考例1として示す。
(2)エステル結合を含有しない架橋イソプレンゴムの調製
上記のエステル結合を有する架橋イソプレンゴムの調製において、式(j)で表されるチイラン化合物を、式(k)で表されるチイラン化合物に代えた他は、同様に調製を行って、エステル結合を含有しない架橋イソプレンゴムを調製した。
上記のエステル結合を有する架橋イソプレンゴムの調製において、式(j)で表されるチイラン化合物を、式(k)で表されるチイラン化合物に代えた他は、同様に調製を行って、エステル結合を含有しない架橋イソプレンゴムを調製した。
3.架橋イソプレンゴムの分解
(実施例1)
上記のようにして調製されたエステル結合を有する架橋イソプレンゴム0.49gを、トルエン28.5gと酢酸1.50gとを混合した処理液に加えた。これを常圧下で100℃に加熱し、かくはんして、30時間還流させた。反応後、処理液は、粘張な液体で、目視では均一な溶液となった。
放冷後、処理液(後述のゴムの分解の確認のために、一部使用される処理液も含む)は、加熱・減圧下で溶媒および酢酸が除去され、さらに、60℃で真空乾燥された。乾燥後の容器内壁には、残渣が薄膜を形成していた。
(実施例1)
上記のようにして調製されたエステル結合を有する架橋イソプレンゴム0.49gを、トルエン28.5gと酢酸1.50gとを混合した処理液に加えた。これを常圧下で100℃に加熱し、かくはんして、30時間還流させた。反応後、処理液は、粘張な液体で、目視では均一な溶液となった。
放冷後、処理液(後述のゴムの分解の確認のために、一部使用される処理液も含む)は、加熱・減圧下で溶媒および酢酸が除去され、さらに、60℃で真空乾燥された。乾燥後の容器内壁には、残渣が薄膜を形成していた。
(実施例2)
実施例1において、酢酸の量を6.01gに、トルエンの量を24.2gに代えた他は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
実施例1において、酢酸の量を6.01gに、トルエンの量を24.2gに代えた他は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
(参考例2)
実施例1において、架橋イソプレンゴムを、参考例1の未架橋イソプレンゴム0.52gに代え、酢酸の使用量を1.52gに代え、トルエンの使用量を28.7gに代えた他は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
実施例1において、架橋イソプレンゴムを、参考例1の未架橋イソプレンゴム0.52gに代え、酢酸の使用量を1.52gに代え、トルエンの使用量を28.7gに代えた他は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
(比較例1)
実施例1において、架橋イソプレンゴムの量を1.0gとし、酢酸を加えず、トルエンの量を30.0gに代えた他は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
実施例1において、架橋イソプレンゴムの量を1.0gとし、酢酸を加えず、トルエンの量を30.0gに代えた他は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
(比較例2)
実施例1において、エステル結合を有する架橋イソプレンゴムに代えて、式(k)で表されるチイラン化合物(エステル基を持たないH−BisAチイラン)で架橋された、エステル結合を含有しない架橋イソプレンゴム0.51gに代え、酢酸の使用量を1.51gに代えた以外は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
実施例1において、エステル結合を有する架橋イソプレンゴムに代えて、式(k)で表されるチイラン化合物(エステル基を持たないH−BisAチイラン)で架橋された、エステル結合を含有しない架橋イソプレンゴム0.51gに代え、酢酸の使用量を1.51gに代えた以外は、実施例1と同様に実施した。結果を第2表に示す。
4.分解後のゴム組成物に関する評価
(1)分解の確認
各実施例・比較例で得られた処理液を放冷後、処理液の一部をろ過し、ろ液にメタノールを滴下した。滴下後、ろ液に白濁が生じた場合、ろ液中に、分解されたゴム組成物が溶解していたと判断した。第2表中の分解の欄において、ろ液にメタノールを滴下して、ろ液に白濁が生じた場合を「○」とし、白濁しなかった場合を「×」として記載した。結果を第2表に示す。
(1)分解の確認
各実施例・比較例で得られた処理液を放冷後、処理液の一部をろ過し、ろ液にメタノールを滴下した。滴下後、ろ液に白濁が生じた場合、ろ液中に、分解されたゴム組成物が溶解していたと判断した。第2表中の分解の欄において、ろ液にメタノールを滴下して、ろ液に白濁が生じた場合を「○」とし、白濁しなかった場合を「×」として記載した。結果を第2表に示す。
(2)分解後のゴム組成物の分子量の測定
各実施例・比較例で溶媒および酸を留去して得られたゴム組成物について、これにテトラヒドロフラン(THF)を加えて、薄膜を溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によって、分解後のゴム組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量の最高値(Mtop)を測定した。結果を第2表に示す。
各実施例・比較例で溶媒および酸を留去して得られたゴム組成物について、これにテトラヒドロフラン(THF)を加えて、薄膜を溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によって、分解後のゴム組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量の最高値(Mtop)を測定した。結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように、実施例1〜2と比較例1とを比較すると、実施例1〜2は、酸を使用することによりエステル結合を有する架橋イソプレンゴムを分解することができる。
本発明のゴム分解方法では、参考例1と参考例2とを比較することにより、分解処理によりゴム主鎖の切断がほとんど進行しないことがわかる。
さらに、実施例1と比較例2との分子量を比較すると、比較例2の方が分子量が低い。このことから、比較例2では、架橋イソプレンゴムが架橋部にエステル基を持たないため、ゴム主鎖を分解する反応が進行していることが分かる。また、架橋構造にエステル結合を有する架橋イソプレンゴムを使用する実施例1では、ゴム主鎖の切断が抑制されていることが分かる。
本発明のゴム分解方法では、参考例1と参考例2とを比較することにより、分解処理によりゴム主鎖の切断がほとんど進行しないことがわかる。
さらに、実施例1と比較例2との分子量を比較すると、比較例2の方が分子量が低い。このことから、比較例2では、架橋イソプレンゴムが架橋部にエステル基を持たないため、ゴム主鎖を分解する反応が進行していることが分かる。また、架橋構造にエステル結合を有する架橋イソプレンゴムを使用する実施例1では、ゴム主鎖の切断が抑制されていることが分かる。
5.分解後のゴム組成物を含有するゴム組成物の調製
(実施例3)
第3表に示される成分組成で配合されたゴム組成物を、60℃で11分間混合した後、160℃、10MPaで12分間加硫成形して、再生ゴム(これを「再生ゴム1」とする。)を得た。実施例3で使用されるゴム組成物の成分組成(質量部)を第3表に示す。
(実施例3)
第3表に示される成分組成で配合されたゴム組成物を、60℃で11分間混合した後、160℃、10MPaで12分間加硫成形して、再生ゴム(これを「再生ゴム1」とする。)を得た。実施例3で使用されるゴム組成物の成分組成(質量部)を第3表に示す。
(比較例3)
実施例3において、実施例1で得られた分解後のゴム組成物を使用せず、イソプレンゴムの量を100gに代えた他は、実施例3と同様に実施した。得られた再生ゴムを再生ゴム2とする。比較例3で使用されるゴム組成物の成分組成(質量部)を第3表に示す。
実施例3において、実施例1で得られた分解後のゴム組成物を使用せず、イソプレンゴムの量を100gに代えた他は、実施例3と同様に実施した。得られた再生ゴムを再生ゴム2とする。比較例3で使用されるゴム組成物の成分組成(質量部)を第3表に示す。
(比較例4)
実施例3において、実施例1で得られた分解後のゴム組成物を液状イソプレンゴム20g(LIR−50、クラレ社製)に代えた他は、実施例3と同様に実施した。得られた再生ゴムを再生ゴム3とする。比較例4で使用されるゴム組成物の成分組成(質量部)を第3表に示す。
実施例3において、実施例1で得られた分解後のゴム組成物を液状イソプレンゴム20g(LIR−50、クラレ社製)に代えた他は、実施例3と同様に実施した。得られた再生ゴムを再生ゴム3とする。比較例4で使用されるゴム組成物の成分組成(質量部)を第3表に示す。
6.分解後のゴム組成物を含有するゴム組成物の評価
上記の実施例3、比較例3〜4の各ゴム組成物について、以下の方法により、評価を行った。結果を第3表に示す。
上記の実施例3、比較例3〜4の各ゴム組成物について、以下の方法により、評価を行った。結果を第3表に示す。
(1)ムーニー粘度:JIS K6300に基づき、未加硫ゴムの粘度を測定した。ムーニー粘度が小さいほど可塑化しており、ゴムの加工性がよい。
(2)引張り物性:JIS K6251に準拠して、破断強度TB(MPa)、破断伸びEB(%)を測定した。
なお、第3表中に示されたゴム組成物の成分は、以下のとおりである。
・イソプレンゴム:イソプレンラバー(日本ゼオン社製)
・液状イソプレンゴム:LIR−50(Mn=47,000、クラレ社製)
・チイラン分解ゴム:実施例1で得られた分解後のゴム組成物
・老化防止剤6C:サントフレックス13(モンサント社製)
・酸化亜鉛:亜鉛華3号(正同化学社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・硫黄:油処理硫黄(細井化学工業社製)
・加硫促進剤NS:SantocureNS(モンサント社製)
・イソプレンゴム:イソプレンラバー(日本ゼオン社製)
・液状イソプレンゴム:LIR−50(Mn=47,000、クラレ社製)
・チイラン分解ゴム:実施例1で得られた分解後のゴム組成物
・老化防止剤6C:サントフレックス13(モンサント社製)
・酸化亜鉛:亜鉛華3号(正同化学社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・硫黄:油処理硫黄(細井化学工業社製)
・加硫促進剤NS:SantocureNS(モンサント社製)
表3から明らかなように、チイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを分解して得られたゴム組成物(本発明においては「ゴム組成物(A)」に当たる。)を配合したゴム組成物(本発明においては「ゴム組成物(B)」に当たる。)から製造される再生ゴムは、加工性、加硫特性、強度に優れていることが分かる。
つまり、まず、ムーニー粘度に関して、実施例3で得られた再生ゴム1と比較例3で得られた再生ゴム2とを比較すると、再生ゴム1は、再生ゴム2よりムーニー粘度が低下している。従って、再生ゴム1(チイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを分解して得られたゴム組成物を含有するゴム)は、十分可塑化しており、加工性が良好である。また、再生ゴム1は、比較例4で得られた再生ゴム3(市販されている液状イソプレンゴムを配合している)と略同等の加工性を有する。
つまり、まず、ムーニー粘度に関して、実施例3で得られた再生ゴム1と比較例3で得られた再生ゴム2とを比較すると、再生ゴム1は、再生ゴム2よりムーニー粘度が低下している。従って、再生ゴム1(チイラン化合物で架橋されたジエン系ゴムを分解して得られたゴム組成物を含有するゴム)は、十分可塑化しており、加工性が良好である。また、再生ゴム1は、比較例4で得られた再生ゴム3(市販されている液状イソプレンゴムを配合している)と略同等の加工性を有する。
さらに、破断強度TBについて、再生ゴム2と再生ゴム3とを比較すると、低分子量ゴムを配合している再生ゴム3の方が、再生ゴム2よりも破断強度が低下している。しかし、再生ゴム1は、分解して得られた低分子量のゴム組成物を配合するゴム組成物から再生されたにもかかわらず、再生ゴム2と同等の破断強度を発現している。
Claims (6)
- 1分子中に、2個以上のチイラン環含有基を有し、更に、前記チイラン環含有基のうちの2個のチイラン環含有基の間にエステル結合を有するチイラン化合物によって架橋されたジエン系ゴムを、
溶媒中、酸の存在下で分解させるゴム分解方法。 - 前記酸が、少なくとも1種の有機酸を含む請求項1に記載のゴム分解方法。
- 前記有機酸が、カルボン酸である請求項2に記載のゴム分解方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム分解方法で得られるゴム組成物(A)。
- 請求項4に記載のゴム組成物(A)を少なくとも1種含むゴム組成物(B)。
- さらに、ゴムおよび/または樹脂を含む請求項5に記載のゴム組成物(B)。
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CN114672066A (zh) * | 2022-04-20 | 2022-06-28 | 浙江大学 | 一种聚氨酯的回收利用方法 |
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2004
- 2004-09-01 JP JP2004253806A patent/JP2006070121A/ja not_active Withdrawn
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