JP2006068005A - 塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するrnp−1モチーフをもつタンパク質及び該タンパク質をコードするdna - Google Patents

塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するrnp−1モチーフをもつタンパク質及び該タンパク質をコードするdna Download PDF

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Abstract

【課題】 塩、熱ストレス等の環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の遺伝子や、環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、環境ストレス耐性が増強されたトランスジェニック植物等を提供すること。
【解決手段】 耐塩性強化活性を有する306アミノ酸からなるMc−RBP (cDNA全長:1162bp)及び665アミノ酸からなるMc−PABP (cDNA全長:2577bp)を、高塩濃度の土壌や乾燥地帯で生育するアイスプラントから調製する。これらのタンパク質は複数の一本鎖核酸との結合に必要なRNP−1モチーフを含む。Mc−RBPにおいては、RNP−1モチーフを2つ含む領域のみでも耐塩性強化活性を有する。この領域を含むタンパク質は、大腸菌に対し、耐塩性及び耐熱性を強化する活性も有する。この領域を含むタンパク質は、酵母の耐塩性を強化する機能を有する。さらに、この領域を含むタンパク質は、植物の耐塩性を強化する機能を有する。

Description

本発明は、少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、RNP−1モチーフをもつタンパク質をコードするDNAや、少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、RNP−1モチーフをもつタンパク質や、トランスジェニック植物などのこれらDNAやタンパク質の利用に関する。
自然界に存在する生物は塩、高温、低温、凍結、乾燥、水分ストレス等の種々の環境ストレスに曝されている。特に、塩ストレスは多くの高等植物の生育を阻害する最も大きな要因の1つである。高等植物の耐塩性強化は、農産物生産の増大につながるため、遺伝子導入により高等植物の耐塩性を強化させる試みが、活発に進められている。耐塩性を強化する機能を有するタンパク質は、大別して適合溶質(グリシンベタイン、マンニトール、トレハロース、プロリン)合成酵素や、イオンホメオスタシスに関与する酵素(Na/Hアンチポーター)、及びこれらの遺伝子の発現を制御する転写調節因子に大別することができる。これらのタンパク質を発現した形質転換細胞で、耐塩性の向上が認められた例が近年多数報告されている。例えば、コリンオキシダーゼをコードする遺伝子が染色体DNA中に導入されたユーカリ属の植物体(特許文献1参照)や、耐塩性藍藻(Aphanothece halopytica)由来Na/HアンチポーターをコードするDNA(特許文献2参照)や、植物の細胞内におけるプロリン分解系の酵素をコードする遺伝子の発現を抑制することを特徴とする植物のストレス耐性を上昇させる方法(特許文献3参照)がそれぞれ報告されている。しかし、上記の耐塩性強化因子を発現した生物(特に植物)において、約500mMのNaClを含む海水に耐える形質転換体は未だ得られておらず、海水に耐える形質転換体を作成するためには、適合溶質合成系酵素やイオンホメオスタシスに関与する酵素だけでは不十分であると思われる。
一方、自然界にはその進化の過程で強力な耐塩性機構を獲得した植物(塩生植物)がある。このような植物群がもつ耐塩性因子を、単独、あるいは複数組み合わせて使用することで、塩生植物並みの強力な耐塩性を獲得した形質転換体(特に植物)を作出できると期待されている。例えば、本発明者らは塩生植物の一種であるマングローブに着目し、既に培養細胞系が確立されているBruguiera sexangulaの培養細胞の分与を得て、この細胞株を100mMのNaCl存在下で培養し、培養細胞から抽出したmRNAを基にcDNAライブラリーを作製し、この中からマングローブの耐塩性に関与する遺伝子の探索を試み、単離したストレス耐性に関与する遺伝子群の中の1つの遺伝子を導入することにより、酵母、植物細胞(タバコ培養細胞)、そして植物体(タバコ)の耐塩性を強化させることに成功している(特許文献4参照)。また、マングローブの1種である、メヒルギ中に新規な耐塩性増大遺伝子を見出し、その塩基配列及びそれがコードするアミノ酸を決定し、さらに該遺伝子を他の植物に導入してその耐塩性が増大することが確認されている(特許文献5、6参照)。しかし、現在までに塩生植物由来の耐塩性因子に関する知見は大変少ない。
特開2003−143988号公報 特開2003−180373号公報 特開2003−186879号公報 特開2001−333784号公報 特開2003−116546号公報 特表2003−512837号公報
本発明の課題は、塩、熱ストレス等の環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の遺伝子や、環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、環境ストレス耐性が増強されたトランスジェニック植物等を提供することにある。
本発明者らは、大腸菌を用いた機能スクリーニング法で耐塩生植物の塩ストレスに関与する因子の探索を行ってきた。その結果、アイスプラント由来のcDNAライブラリーから得られた新規タンパク質をコードするcDNAが導入された、形質転換大腸菌や形質転換酵母に顕著な耐塩性の向上が認められた。これらcDNAの全塩基配列を解析した結果、配列番号1に示される塩基配列からなり、全長が1162bpで、配列番号3に示される306アミノ酸配列からなるタンパク質をコードしているDNA、及び、配列番号2に示される塩基配列からなり、全長が2577bpで、配列番号4に示される665アミノ酸配列からなるタンパク質をコードしているDNAが、塩ストレス耐性及び熱ストレス耐性に関与していることが明らかになった。また、BLAST相同性検索プログラムを用い、これらのDNAがコードするアミノ酸配列の相同性検索を行ったところ、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、Arabidopsis thalianaのRNA-binding protein(S53492)と57.5%の相同性を有し、配列番号4に示されるアミノ酸配列は、Arabidopsis thalianaの poly(A) binding protein(C96534)と68.1%の相同性を有することが確認された。そこで、これらのタンパク質をそれぞれMc−RBP、及びMc−PABPと命名した。
上記Mc−RBPとMc−PABPは、ともに類似した複数の配列(モチーフ)を有する。このモチーフは1本鎖の核酸を認識するために必要な領域でEukaryotic RNA Recognition motif (RRM) RNP-1 region signature (以下RNP−1という:Prosite モチーフデータベースにおいてRNP−1はIDナンバーPS00030で登録されている)と呼ばれている。このモチーフの典型的なパターンは、[RorK]−G−{EorDorRorKorHorPorCorG}−[AorGorSorCorI]−[ForY]−[LorIorVorA]−X−[ForYorLorM]である。大文字のアルファベットはアミノ酸の略号を表し、[ ]内のアミノ酸はそのどれかに指定され、{ }内のアミノ酸以外のいずれかのアミノ酸が指定され、Xは全てのアミノ酸を示す。配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するMc−RBPには、169−176番目のアミノ酸配列(RGFGFVTM;配列番号5)と263−270番目のアミノ酸配列(RGFGFVSM;配列番号6)にRNP−1が存在した。配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するMc−PABPには、166−173番目のアミノ酸配列(KGHGFVQY;配列番号7)と257−264番目のアミノ酸配列(KGFGFVNF;配列番号8)と360−367番目のアミノ酸配列(KGSGFVAF;配列番号9)にRNP−1が存在した。一般にRNP−1モチーフを有する配列は、1本鎖の核酸(特にRNA)に結合するタンパク質である。なお、本発明においては、上記RNP−1モチーフにおける[ ]内のアミノ酸や{ }内のアミノ酸以外のいずれかのアミノ酸が指定されることが好ましいが、それに限定されるものではない。
そこで、Mc−RBPをコードするcDNAのデリーションクローンを作製し、大腸菌の耐塩性を強化するために必要な領域(機能領域)の検討を試みた。その結果、RNP−1モチーフを含むタンパク質を発現する大腸菌が塩ストレス耐性向上活性を有することを確認した。これまでに多くの環境ストレス耐性強化能を有するタンパク質が報告されているが、RNP−1モチーフを有するタンパク質に関する報告はこれまでにない。本発明は、以上の知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、以下の(a)又は(b)記載のRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNAに関する(請求項1)。
(a)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質
また本発明は、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNA(請求項2)や、配列番号1又は2に示される塩基配列又はその相補的配列からなるDNA(請求項3)や、配列番号1又は2に示される塩基配列又はその相補的配列の一部若しくは全部を含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA(請求項4)や、配列番号1又は2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA(請求項5)や、請求項3〜5のいずれか記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA(請求項6)に関する。
また本発明は、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるRNP−1モチーフを有するタンパク質(請求項7)や、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質(請求項8)や、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列の一部若しくは全部を含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質(請求項9)や、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質(請求項10)や、請求項7〜10のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを含む組換えベクター(請求項11)や、請求項1〜6のいずれか記載のDNAを含む組換えベクター(請求項12)や、請求項11又は12記載の組換えベクターを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換細胞(請求項13)に関する。
さらに本発明は、宿主細胞が、植物細胞である請求項13記載の形質転換細胞(請求項14)や、宿主細胞が、微生物細胞である請求項13記載の形質転換細胞(請求項15)や、請求項13〜15のいずれか記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収することを特徴とする少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法(請求項16)や、請求項7〜10のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物(請求項17)や、請求項1〜6のいずれか記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物(請求項18)や、請求項11又は12記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物(請求項19)に関する。
本発明の少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAは、塩生植物由来の遺伝子であるため、高等植物、微生物等幅広い生物群の環境ストレス(塩、水分、熱ストレス他)耐性向上への利用が期待できる。特に近年、土壌における塩分の集積により可耕地が激減している状態にあり、本発明は、農業における生産性向上、砂漠緑化に利用できる。また、微生物によるアミノ酸等の有用物質生産を行う場合、生産物(代謝産物)による塩ストレスが生じ、それが微生物の持つ有用物質生産能に悪影響をもたらす現象が知られているが、塩ストレスによる悪影響を受けることなく有用物質生産を行うことができる。さらに、本発明で得られた成果は各種微生物産業にも応用することができる。
本発明のDNAとしては、(A)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNA;(B)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNA;(C)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNA;(D)配列番号1又は2に示される塩基配列又はその相補的配列からなるDNA;(E)配列番号1又は2に示される塩基配列又はその相補的配列の一部若しくは全部を含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA;(F)配列番号1又は2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA;又は(G)上記の(D)〜(E)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAであれば特に制限されず、また、本発明のタンパク質としては、(A)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるRNP−1モチーフを有するタンパク質;(B)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質;(C)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列の一部若しくは全部を含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質;又は(D)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質であれば特に制限されず、ここで「塩ストレス耐性向上活性」とは、所定濃度の塩水に対して向上した耐性を示す活性をいい、例えば、塩ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現する植物や微生物は、該蛋白質を発現しない植物や微生物に比べて、所定濃度の塩水存在下において統計学上有意に優れた増殖を示すことになるが、これに限定されるものではない。また、「熱ストレス耐性向上活性」とは、高温に対して向上した耐性を示す活性をいい、例えば、熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現する植物や微生物は、該蛋白質を発現しない植物や微生物に比べて、高温度下において統計学上有意に優れた増殖を示すことになるが、これに限定されるものではない。
また、本発明のDNAは、少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするが、上記熱ストレス耐性向上活性や塩ストレス耐性向上活性の他、水分などの環境ストレスに対する耐性向上活性を有するタンパク質をコードするものが好ましい。そしてまた、本発明のタンパク質は、少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するが、上記熱ストレス耐性向上活性や塩ストレス耐性向上活性の他、水分などの環境ストレスに対する耐性向上活性を有するものが好ましい。
上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を意味する。また、上記「1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を意味する。例えば、これら1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDNA(変異DNA)は、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法により作製することもできる。具体的には、配列番号1に示される塩基配列からなるDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的な手法等を用いて、これらDNAに変異を導入することにより、変異DNAを取得することができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、Molecular Cloning:A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989.(以後”モレキュラークローニング第2版”と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の方法に準じて行うことができる。この変異DNAを適切な発現系を用いて発現させることにより、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を得ることができる。
上記「配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%以上の相同性を有するアミノ酸配列」とは、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列との相同性が70%以上であれば特に制限されるものではなく、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上であることを意味する。
上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、DNA又はRNAなどの核酸をプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第2版等に記載されている方法に準じて行うことができる。
例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げることができ、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するDNAを好適に例示することができる。
本発明のDNAの取得方法や調製方法は特に限定されるものでなく、本明細書中に開示した配列番号1又は2に示される塩基配列情報や、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列情報に基づいて適当なブローブやプライマーを調製し、それらを用いて当該DNAが存在することが予測されるcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより目的の遺伝子DNAを単離したり、常法に従って化学合成により調製することができる。
具体的には、本発明の遺伝子DNAが単離されたアイスプラントより、常法に従ってcDNAライブラリーを調製し、次いで、このライブラリーから、本発明の遺伝子DNAに特有の適当なプローブを用いて所望クローンを選抜することにより、本発明の遺伝子DNAを取得することができる。上記cDNAの起源としては、上記植物由来の各種の細胞または組織を例示することができ、また、これらの細胞又は組織からの全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実施することができる。本発明の遺伝子をcDNAライブラリーからスクリーニングする方法は、例えば、モレキュラークローニング第2版に記載の方法等、当業者により常用される方法を挙げることができる。
また、上記(B)〜(G)のいずれかに示される塩基配列からなる本発明の変異遺伝子又は相同遺伝子DNAとしては、配列番号1又は2に示される塩基配列又はその一部を有するDNA断片を利用し、他の生物体等より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる他、前述の変異DNAの作製方法により調製することもできる。
本発明のタンパク質の取得・調製方法は特に限定されず、天然由来の単離されたタンパク質でも、化学合成したタンパク質でも、遺伝子組換え技術により作製した組み換えタンパク質の何れでもよい。天然由来の単離されたタンパク質を取得する場合には、かかるタンパク質を発現している細胞又は組織からタンパク質の単離・精製方法を適宜組み合わせることにより、本発明のタンパク質を取得することができる。化学合成によりタンパク質を調製する場合には、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法に従って本発明のタンパク質を合成することができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して本発明のタンパク質を合成することもできる。遺伝子組換え技術によりタンパク質を調製する場合には、該タンパク質をコードする塩基配列からなるDNAを好適な発現系に導入することにより本発明のタンパク質を調製することができる。これらの中でも、比較的容易な操作でかつ大量に調製することが可能な遺伝子組換え技術による調製が好ましい。
例えば、遺伝子組換え技術によって、本発明のタンパク質を調製する場合、かかるタンパク質を細胞培養物から回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法、好ましくは、高速液体クロマトグラフィーが用いられる。特に、アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体等の抗体を結合させたカラムや、上記本発明のタンパク質に通常のペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合したカラムを用いることにより、これらのタンパク質の精製物を得ることができる。また、本発明のタンパク質が細胞膜に発現している場合は、細胞膜分解酵素を作用させた後、上記の精製処理を行うことにより精製標品を得ることができる。
さらに、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をそれぞれコードする塩基配列の一例を示す配列番号1又は2に示される塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適宜調製又は取得することができる。例えば、配列番号1又は2に示される塩基配列又はその一部を有するDNAをプローブとしてアイスプラント以外の生物より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。このホモログDNAの全長DNAをクローニング後、発現ベクターに組み込み適当な宿主で発現させることにより、該ホモログDNAによりコードされるタンパク質を製造することができる。
上記本発明のタンパク質とマーカータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させて融合タンパク質とすることもできる。マーカータンパク質としては、従来知られているマーカータンパク質であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリフォスファターゼ、HRP等の酵素、抗体のFc領域、GFP等の蛍光物質などを具体的に挙げることができ、またペプチドタグとしては、HA、FLAG、Myc等のエピトープタグや、GST、マルトース結合タンパク質、ビオチン化ペプチド、オリゴヒスチジン等の親和性タグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。かかる融合タンパク質は、常法により作製することができ、Ni−NTAとHisタグの親和性を利用した本発明のタンパク質の精製や、本発明のタンパク質の検出や、本発明のタンパク質に対する抗体の定量や、その他当該分野の研究用試薬としても有用である。
上記本発明のDNAやタンパク質を用いると、植物・動物及びそれらの組織、器官、細胞並びに細菌、酵母、カビ等の微生物の耐塩性、水分ストレス耐性(ソルビトール耐性)、耐熱性等の環境ストレス耐性を向上させることができる。
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体を作製することができる。かかる抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等の免疫特異的な抗体を具体的に挙げることができ、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質や、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質を抗原として用いて作製することができる。これら抗体は、例えば、環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の分子機構を明らかにする上で有用である。
上記少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質に対する抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)に該少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質又はエピトープを含む断片、類似体若しくは細胞を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ技法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Immunology Today 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ技法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc.,1985)など任意の技法を用いることができる。
上記少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質に対する一本鎖抗体をつくるために、一本鎖抗体の調製法(米国特許第4,946,778号)を適用することができる。また、ヒト化抗体を発現させるために、トランスジェニック植物又はトランスジェニック動物等を利用したり、上記抗体を用いて、その環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現するクローンを単離・同定したり、アフィニティークロマトグラフィーでそのポリペプチドを精製することもできる。
本発明の組換えベクターとしては、前記本発明のDNAを含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現することができる組換えベクターであれば特に制限されず、本発明の組換えベクターは、本発明の遺伝子DNAを発現ベクターに適切に挿入(インテグレイト)することにより構築することができる。かかる発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製可能であるものや、あるいは宿主細胞の染色体中へ組込み可能であるものが好ましく、また、本発明の遺伝子を発現できる位置にプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等の制御配列を含有しているものを好適に使用することができる。
例えば、植物細胞用の発現ベクターとしては、Tiプラスミド(Tumor inducing plasmid)、pSPORT1、pT7Blue-Tベクター、pIG121-Hm〔Plant Cell Report, 15, 809-814(1995)〕、pBI121〔EMBO J. 6, 3901-3907(1987)〕、pBI2113Not、pBI2113、pBI101、pGA482、pGAH、pBIG、pLGV23Neo、pNCAT、pMON200等などのプラスミド、あるいはタバコモザイクウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、ジェミニウイルスなどの植物ウイルスベクター等を例示することができる。
また、植物細胞用のプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター〔Mol.Gen.Genet (1990) 220, 389-392〕、ノパリン合成酵素のプロモーター〔W.H.R.Langridge et Al.、Plant Cell Rep.、4、355、1985〕等の他、リブロースビスフォスフェートカルボキシラーゼスモールサブユニットプロモーター、グルタチオン−S−トランスフェラーゼI系遺伝子のプロモーター〔特開平5−268965号公報〕、グルタチオン−S−トランスフェラーゼII系遺伝子のプロモーター〔国際公開WO93/01294号公報〕、Tetリプレッサー融合型カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター〔C.Gatz et Al.、mol.Gen.Genet.、227、229、1991〕、Lacオペレーター/リプレッサー系プロモーター〔R.J.Wilde et Al.、The EMBO Journal、11、1251、1992〕、alcR/alcA系プロモーター〔国際公開WO94/03619号公報〕、グルココルチコイド系プロモーター〔青山卓史、蛋白質核酸酵素、41:2559、1996〕、par系プロモーター〔T.Sakai et Al.、Plant Cell Physiol.、37、906、1996〕等の誘導型プロモーターを挙げることができる。一方、ターミネーターとしては、例えばノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター〔A.Depicker et Al.、J.mol.Appl.Gen.、1、561、1982〕、オクトピン合成酵素遺伝子のターミネーター〔J.Gielen et Al.、EMBO J.、3、835、1984〕等を挙げることができる。
酵母用の発現ベクターとして、例えば、pYES2(Invitrogen)、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、Ycp5O(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を例示することができる。酵母用のプロモーターとしては、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、CUP1プロモーター等のプロモーターを具体的に挙げることができる。発現ベクターとしては、酵母用発現ベクター、植物細胞用発現ベクター、細菌用発現ベクター、動物細胞用発現ベクター等を用いることができるが、酵母用発現ベクターや植物細胞用発現ベクターを用いた組換えベクターが好ましい。
細菌用の発現ベクターとしては、例えば、pBTrP2、pBTac1、pBTac2(いずれもべ一リンガーマンハイム社製)、pKK233-2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX-1(Promega社製)、pQE-8(QIAGEN社製)、pQE-30(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200〔Agrc.Biol.Chem., 48, 669(1984)〕、pLSA1〔Agrc. Blo1. Chem., 53, 277(1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306 (1985)〕、pTP5、pC194、pUC18〔Gene, 33, 103(1985)〕、pUC19〔Gene, 33, 103(1985)〕、pSTV28(宝酒造社製)、pSTV29(宝酒造社製)、等を例示することができる。細菌用のプロモーターとしては、例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーター等を挙げることができる。
また、本発明の形質転換細胞としては、上記本発明の組換えベクターが導入され、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現する形質転換細胞であれば特に制限されず、形質転換植物細胞、形質転換動物細胞、形質転換細菌、形質転換酵母を挙げることができるが、形質転換大腸菌、形質転換酵母、形質転換植物細胞などを好適に例示することができる。これら、形質転換大腸菌、形質転換酵母、形質転換植物細胞などの形質転換細胞は、アミノ酸生産など各種微生物産業に好適に応用することができる。
形質転換植物細胞の作製に用いられる宿主植物細胞としては、その種類は特に限定されない。花卉、果実植物、野菜、根菜、穀類、観葉植物、果樹、パルプ用や緑化用の樹木、その他種々の用途に有用な草本植物や木本植物、例えば、マツ科、スギ科、ナス科、アブラナ科、キク科、ゴマ科、モクセイ科、フトモモ科、バラ科、マメ科、セリ科、アカネ科、ヤナギ科、ネムノキ科、ヤシ科又はイネ科に属する植物等の細胞を適宜選択することができる。
また、形質転換植物細胞を作製するには、本発明の遺伝子DNAを含有した上記本発明の組換えベクターを用い、この組換えベクターを植物細胞内に導入することで、植物細胞内のゲノムDNA中に本発明の遺伝子DNAを導入する方法を採用することができる。例えば、このような遺伝子導入法としては、アグロバクテリウム法、リーフディスク共存培養法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクション法等、植物細胞への間接的又は直接的な遺伝子導入法として、公知の遺伝子導入法を、植物の種類等に応じ、適宜選択して用いることができる(モデル植物の実験プロトコール、秀潤社(1996))。
形質転換酵母の作製に用いられる酵母宿主の具体例としては、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisae)、シゾサッカロミセス・ボンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリュイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pu11ulans)、シュワニオミセス・アルビウス(Schwanniomyces a11uvius)等を挙げることができる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
形質転換細菌の作製に用いられる細菌の宿主細胞の具体例としては、エッシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、バチラス(Bacillus)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、セラチア(Serratia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、エルウニア(Erwinia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物を挙げることができる。細菌宿主へ組換えベクターを導入する方法としては、例えば、カルシウムイオンを用いる方法やプロトプラスト法等を挙げることができる。
また、本発明のDNAは、組換えタンパク質の調製に利用することができる。組換えタンパク質の調製方法としては、上記本発明の形質転換酵母、形質転換細菌、形質転換植物細胞等の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収する方法であれば、特に制限されるものではない。すなわち、上記本発明のDNAを適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な宿主細胞に導入して、この形質転換細胞を培養し、該DNAを発現させ、次いで、発現させたタンパク質を該形質転換細胞又はその培養上清から回収することにより、本発明のDNAの発現産物である、少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を製造することができる。
なお、前記した宿主及びベクターの中でも、組換えタンパク質の発現と調製に用いられる宿主−ベクター系としては、例えば、IMPACT-CN System(宿主: E. coli strain ER2566、ベクター:pTYB1、pYB2、pYB11、pYB12 (BioLabs社))、あるいはpET Expression System(宿主:Epicurian Coli BL21、ベクター:pET3シリーズ(Novagen社))を、好適なものとして挙げることができる。宿主細胞へのベクターの導入法としては、前記したものの他、例えば、「遺伝子ライブラリーの作製法」(羊土社(1994))や、「植物細胞工学入門」(学会出版センター(1998))等に記載の方法を用いることができる。
また、組換えタンパク質を発現させるための形質転換細胞の培養は、当業者に一般的に用いられている方法および条件にて行なうことができる。発現させたタンパク質は、例えば、IMPACT-CN Systemを利用した場合にはキチンビーズ(BioLabs社)で、pET Expression Systemを利用した場合にはHis Bind Resin(Novagen社)により精製し、調製することができる。
本発明のDNAは、また、少なくとも塩又は熱ストレス耐性が強化されたトランスジェニック植物の作出に利用できる。このようなトランスジェニック植物を作出する生物種としては、少なくとも塩もしくは熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA、又はこのDNAを含有した前記ベクター、好適にはpIG121Hm、pBI121もしくはpBI101、を導入して作成された、前記形質転換植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより、植物個体を再生できるものであれば、特に限定されるものではない。
ベクターを導入する植物細胞の形態としては、例えば、プロトプラスト、カルス、植物体の部分(リーフディスク、配軸等)を使用することができる。
形質転換植物細胞の作成方法、及び、この形質転換植物細胞からの植物体再生方法の詳細は、植物種により異なる。
例えば、イネの場合、以下のようにして行なうことができる。完熟種子からカルスを誘導し、これに目的とするDNAを導入したアグロバクテリウムを感染させ、共存培養を経て形質転換細胞を得る。この形質転換細胞を選抜培地に移して培養し、約3週間後、再分化培地に移して個体が再分化するまで培養する。こうして再分化させた個体は、4、5日馴化させた後、育苗ポットに移して育成すれば、形質転換苗を得ることができる(モデル植物の実験プロトコール、秀潤社(1996))。また、ニンジン、タバコ等の再生の方法としては、それぞれ加藤、庄野博士等の方法(植物組織培養の技術朝倉書店(1983)) を好適に例示することができる。
さらに、木本植物であれば、例えば、葉や胚軸に、目的とするDNAを導入したアグロバクテリウムを感染させ、共存培養を経て形質転換細胞を得る。この形質転換細胞を、適当な選抜薬剤を添加等した不定芽分化培地に移して培養し、不定芽を分化させてある程度増殖・伸長させた後、これを発根培地に移して培養することで発根させ、再分化個体を得る。こうして再分化させた個体は、上記イネ等の場合と同様にして順化し、育成すれば、形質転換苗を得ることができる。
なお、以上のようにして作出されたトランスジェニック植物体からは、繁殖材料(例えば、植物の種類に応じて、種子、塊根、切穂、メリクローン等の培養増殖)を得て、この繁殖材料を基に本発明のトランスジェニック植物を量産することも可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[アイスプラントcDNAライブラリーの作製]
アイスプラント(Mesembryanthemum crystallinum) は、南アフリカからカナリア諸島や地中海沿岸にかけての、高塩濃度の土壌や乾燥地帯で生育するツルナ科の塩生植物であり、強力な耐塩性を示すことが知られている。アイスプラントのcDNAライブラリーの作製は、植物体の葉を使用し、以下に示す手順で行った。まず、Ostremらの方法(Plant Physiol Vol.84 p1270-1275 (1987))に従って全mRNAを抽出し、ここからOligotex-dT30<super> (第一化学社) を用いpoly(A+)RNAを精製した。精製したpoly(A+)RNAを基にcDNAを合成し、λZap II(Stratagene社)ラムダファージベクターに導入してcDNAライブラリーを構築した。λZap IIを用いたcDNAライブラリーの構築方法は周知の方法であり、実際の手順はStratagene社の手引き書に従った。その結果、10の独立クローンを含むアイスプラントcDNAライブラリーの構築に成功した。
[環境ストレス耐性遺伝子の探索]
アイスプラントcDNAライブラリーからの環境ストレス耐性遺伝子の探索は、山田らの開発した大腸菌を用いた機能スクリーニング法(Plant Cell Physiol Vol.43 p903-910(2002))で行われた。その結果、配列番号1に示す全長1162bpからなるcDNA又は配列番号2に示す全長2577bpからなるcDNAが導入された大腸菌に耐塩性の向上が認められた。遺伝情報処理ソフトウエア(ソフトウエア開発株式会社)で塩基配列を解析した結果、配列番号1に示すcDNAは配列番号3に示す306アミノ酸からなるタンパク質(Mc−RBP)を、また、配列番号2に示すcDNAは配列番号4に示す665アミノ酸からなるタンパク質(Mc−PABP)を、それぞれコードしていることが判明した。
[耐塩性強化機能]
次に、これらのタンパク質(Mc−RBP、Mc−PABP)をコードするcDNAを大腸菌発現ベクターpBluescript SK (Stratagene社) にクローニングし、大腸菌SOLRに導入して、得られた形質転換体の耐塩性を増殖曲線で評価した。各形質転換大腸菌を初期濃度がOD600=0.05になるように、それぞれ所定量のNaClを添加した2YT液体培地(以下、全ての形質転換大腸菌の培地にはアンピシリン50μg/ml、カナマイシン50μg/ml、IPTG50μMを添加している)に植菌し、小型振とう培養装置TVS062CA(ADVANTEC社)を用いて菌体濃度を経時的にモニタリングしつつ培養した。その結果、86mM NaClを含む2YT液体培地中において、各形質転換体はほぼ同等な生育を示すのに対し(図1A)、650mM NaClを含む2YT液体培地中では対照となるベクター(pBluescript SK) のみを導入した形質転換体に比べ、Mc−RBP及び Mc−PABPを発現した形質転換大腸菌に明らかな耐塩性の向上が認められた(図1B)。
次に、Mc−RBPにおける機能領域を決定するために、山田ら(Plant Cell Physiol Vol.43 p903-910(2002))と同様な方法で、Mc−RBPをコードするcDNAに対して人工的に開始コドンを導入したサブクローンを作製し、これを大腸菌SOLRに導入して、得られた形質転換体の耐塩性を増殖曲線で評価したところ、RNP−1を含む配列番号3の127−306番目のアミノ酸配列(Mc−RBP(127−306))を発現した大腸菌においても、Mc−RBP全長を導入したものとほぼ同様な効果が認められた(図1C)。これらの結果から、Mc−RBP、Mc−PABPはともに耐塩性強化活性を有し、これは、RNP−1モチーフの存在によるものであることが明らかになった。恐らく、RNP−1モチーフを含む全てのタンパク質には、Mc−RBPやMc−PABPと同様な機能を有するものと予測できる。
[熱ストレス耐性強化機能]
次に、Mc−RBP又はMc−PABPをコードするcDNAを導入した形質転換大腸菌、及び、対照としてベクター(pBluescript SK)のみを導入した形質転換大腸菌の熱ストレス耐性を評価した。2YT液体培地中で通常の37℃条件下で振とう培養した場合は、全ての形質転換体に生育が認められた(図2A)。一方、43.5℃条件下では、Mc−RBP 及びMc−PABP をコードするcDNAを導入した形質転換体にのみ、顕著な増殖が認められた(図2B)。これらの結果から、Mc−RBP及びMc−PABPは、耐塩性強化因子として機能すると同時に、耐熱性強化因子として機能することも明らかになった。
[形質転換酵母の耐塩性強化機能]
次に、RNP−1を有するタンパク質の酵母における耐塩性強化機能を評価した。酵母発現ベクター pAUR123 (Takara) の有するADH1プロモーターの下流にMc−RBP及びMc−PABPの全長cDNAを導入したプラスミド pAUR-Mc-RBP及びpAUR-Mc-PABPを作製した。これらのプラスミドを酵母 (Saccharomyces sereviciae YM4271株) に導入して得られた形質転換体の耐塩性を増殖曲線で評価した。対照として、ベクターのみ導入した形質転換体を用いた。各形質転換酵母を初期濃度がOD600=0.1になるようにYPD液体培地 (aureobasidin A 0.5μg/mlを含む)にそれぞれ植菌し、形質転換大腸菌のときと同様にそれらの増殖をモニタリングした。その結果、全ての形質転換体はNaClが存在しない条件下でほぼ同様な生育を示したのに対し(図3A)、1 M NaClを含むYPD液体培地中では対照となるベクター(pAUR123)のみを導入した形質転換体に比べ、Mc−RBP及びMc−PABPをコードするcDNAを導入した形質転換酵母に明らかな耐塩性の向上が認められた(図3B)。これらのことからRNP−1モチーフを有するMc−RBP、Mc−PABPは原核生物だけでなく真核生物においても耐塩性強化活性を示すことが確認された。
[形質転換ユーカリの耐塩性性強化機能]
次に、Mc−RBP又はMc−PABPをコードするcDNAを挿入した植物への遺伝子導入用ベクター、MC8-RBP/pMATGW23(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(宛名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、平成17年8月5日付で国内寄託済み。)、及び、MC8-PBP/pMATGW23(宛名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、平成17年8月5日付で国内寄託済み。)を、ユーカリ・カマルドレンシス(Eucalyptus camaldulensis)に導入して、得られた形質転換体の耐塩性を評価した。なお、上記2種の植物への遺伝子導入用ベクターは、その構造中、植物のゲノムDNAに組込まれることとなるT−DNA領域に、Mc8プロモーターに連結されたMc−RBPをコードするcDNA(MC8-RBP/pMATGW23)又はMc8プロモーターに連結されたMc−PABPをコードするcDNA(MC8-PBP/pMATGW23)とカナマイシン耐性遺伝子(NPTII遺伝子)とを有している。
ユーカリ・カマルドレンシス形質転換体の作成は、次のようにして行った。
まず、ユーカリ・カマルドレンシスの商業用種子を70%エタノールに1分間浸漬し、更に2%の次亜塩素酸ソーダ水溶液中に浸漬して、攪拌しながら約2時間殺菌し、無菌水で良く洗浄してから、2倍希釈したMS寒天培地上に播種して4℃の冷蔵庫で2日以上保存し、次いで、温度25℃、光強度約40μmol・m−2・S−1、14時間照明の条件下で培養を行い、発芽させた。培養開始から1〜2週間後、発芽した種子より、頂芽をつけたままの状態で胚軸を分離し、この胚軸の頂芽から子葉を取り除いたものを、MC8-RBP/pMATGW23及びMC8-PBP/pMATGW23の導入用組織として用いた。
上記導入用組織へのMC8-RBP/pMATGW23及びMC8-PBP/pMATGW23の導入にあたっては、アグロバクテリウム法を用いた。すなわち、エレクトロポレーション法(バイオラッド社、ジーンパルサーシステム)によりMC8-RBP/pMATGW23又はMC8-PBP/pMATGW23が導入されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスEHA105株の菌液(YEB液体培地にて一夜培養した後、カマルドレンシス用基本培地で希釈し、OD630=0.5に調製)に上記導入用組織を浸漬した後、余分な菌液を除去してから、ゼアチン2.0mg/l、NAA 0.3mg/l、アセトシリンゴン40 mg/l及び寒天8.5g/lを添加したカマルドレンシス用基本培地に置床し、25℃、暗所で2日間の共存培養を行い、このアグロバクテリウム・ツメファシエンスEHA105株に感染させることにより、MC8-RBP/pMATGW23又はMC8-PBP/pMATGW23を上記導入用組織に導入した。なお、カマルドレンシス用基本培地としては、シュークロース10g/lを添加した1/2(1:3)MS改良培地(NH 5mM、NO 15mM、他の無機成分、ビタミンは1/2としたMS培地)を用いた。
共存培養後、上記導入用組織を、ゼアチン2.0mg/l、NAA 0.3mg/l、カナマイシン50mg/l、アセトシリンゴン40mg/l、モキサラクタム50mg/l及び寒天8.5g/lを添加したカマルドレンシス用基本培地に移植し、温度25℃、光強度約40μmol・m−2・S−1、14時間照明の条件下で、2週間ごとに同組成の培地に植え継ぎながら培養することにより、分化してきた不定芽を形質転換体として選抜した。耐塩性の評価は、この不定芽を、IBA 0.05mg/l、セフォタキシム100mg/l及び寒天8.5g/lを添加したカマルドレンシス用基本培地に移植して発根させ、ユーカリ・カマルドレンシスの再生個体を得た後、それぞれ10個の不定芽に由来する10系統の再生個体について、その頂芽を切取り、これをNaCl 200mMを添加した同組成の培地に移植し、2ヶ月間培養して行った。なお、上記10系統の再生個体については、PCR法によっても、MC8-RBP/pMATGW23及びMC8-PBP/pMATGW23の導入を確認した。
耐塩性評価の結果、2ヶ月間培養後において、NaCl 200mM添加培地に移植した頂芽から発根が認められ、耐塩性を有すると認められた系統は、MC8-RBP/pMATGW23を導入した形質転換体では10系統中5系統、MC8-PBP/pMATGW23を導入した形質転換体では10系統中2系統であった。一方、対照として、ユーカリ・カマルドレンシスの商業用種子を発芽させて得られた実生苗50株について、その頂芽を切取り、これらを上記形質転換体と同組成のNaCl 200mM添加培地にて培養したところ、2ヶ月間の培養中に、これらの頂芽はいずれも枯死した。
[形質転換ヤマナラシの耐塩性強化機能]
次に、MC8-RBP/pMATGW23を、交雑ヤマナラシ(Populus Sieboldii×Populus grandidentata)・キタカミハクヨウY−63株に導入して、得られた形質転換体の耐塩性を評価した。
交雑ヤマナラシ形質転換体の作成は、次のようにして行った。
まず、交雑ヤマナラシ・キタカミハクヨウY−63株(秋田十条化成(株)内実験林より採取)の無菌フラスコ苗より、その茎組織を切取り、MC8-RBP/pMATGW23の導入用組織として調製した。次いで、エレクトロポレーション法(バイオラッド社、ジーンパルサーシステム)によりMC8-RBP/pMATGW23が導入されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスEHA105株の菌液(YEB液体培地にて一夜培養した後、ヤマナラシ用基本培地で希釈し、OD630=0.25に調製)に上記導入用組織を浸漬した後、余分な菌液を除去してから、アセトシリンゴン40mg/l及び寒天9g/lを添加したヤマナラシ用基本培地に置床し、25℃、暗所で2日間の共存培養を行い、このアグロバクテリウム・ツメファシエンスEHA105株に感染させることにより、MC8-RBP/pMATGW23を上記導入用組織に導入した。なお、ヤマナラシ用基本培地としては、シュークロース20g/lを添加した1:3MS改良培地(NH10mM、NO30mMとしたMS培地)を用いた。
共存培養後、上記導入用組織を、ゼアチン0.5mg/l、カナマイシン100mg/l、カルベニシリン500mg/l及び寒天9g/lを添加したヤマナラシ用基本培地に移植し、温度25℃、光強度約40μmol・m−2・S−1、14時間照明の条件下で、2週間ごとに同組成の培地に植え継ぎながら4ヶ月間培養することにより、分化してきた不定芽を形質転換体として選抜した。耐塩性の評価は、この不定芽5個を約1cmとなるよう切り取り、これを、NaCl 75mM、シュークロース20g/l及びジェランガム2.5g/lを添加した2/3培希釈MS培地に移植し、5ヶ月間培養して行った。なお、上記5個の不定芽については、PCR法によっても、MC8-RBP/pMATGW23の導入を確認した。
上記耐塩性評価の結果、5ヶ月間培養後も、枯死することなく発根して生育を続け、耐塩性を有すると認められた個体は、不定芽5個に由来する5系統中4系統であった。一方、対照として、MC8-RBP/pMATGW23導入処理を行わなかった他は、上記と同様にして再分化させた交雑ヤマナラシの不定芽5個を、形質転換体の耐塩性評価に用いたものと同組成のNaCl 75mM添加培地にて培養したところ、5ヶ月間の培養中、これらの不定芽は、わずかに発根が認められたものの、いずれも殆ど生育を示さなかった。
本発明のタンパク質(Mc−RBP、Mc−PABP)をコードするcDNAを導入した大腸菌(SOLR)の高塩条件下における生育を経時的に計測した結果を示す図である。対照としてベクターのみ(pBluescript SK)を導入した形質転換体を用いた。(A)は非ストレス下で各形質転換体の生育を示し、(B)は塩ストレス下(650mM NaCl)での各形質転換体の生育を示す。また、Mc−RBPのRNP−1モチーフ領域を含む部分長(127−306)を導入した形質転換体についても同様な評価を行った(C)。 本発明のタンパク質(Mc−RBP、Mc−PABP)をコードするcDNAを導入した大腸菌(SOLR)の高温条件下における生育を経時的に計測した結果を示す図である。対照としてベクターのみ(pBluescript SK)を導入した形質転換体を用いた。(A)は非ストレス下で各形質転換体の生育を示し、(B)は熱ストレス下(43.5℃)での各形質転換体の生育を示す。 本発明のタンパク質(Mc−RBP、Mc−PABP)をコードするcDNAを導入した酵母(Saccharomyces sereviciae YM4271株)の高塩条件下における生育を経時的に計測した結果を示す図である。対照としてベクターのみ(pAUR123)を導入した形質転換体を用いた。(A)は非ストレス下で各形質転換体の生育を示し、(B)は塩ストレス下(1M NaCl)での各形質転換体の生育を示す。

Claims (19)

  1. 以下の(a)又は(b)記載のRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNA。
    (a)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質。
  2. 配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質をコードするDNA。
  3. 配列番号1又は2に示される塩基配列又はその相補的配列からなるDNA。
  4. 配列番号1又は2に示される塩基配列又はその相補的配列の一部若しくは全部を含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  5. 配列番号1又は2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  6. 請求項3〜5のいずれか記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  7. 配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列からなるRNP−1モチーフを有するタンパク質。
  8. 配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質。
  9. 配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列の一部若しくは全部を含み、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質。
  10. 配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有し、さらにRNP−1モチーフを有するタンパク質。
  11. 請求項7〜10のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを含む組換えベクター。
  12. 請求項1〜6のいずれか記載のDNAを含む組換えベクター。
  13. 請求項11又は12記載の組換えベクターを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換細胞。
  14. 宿主細胞が、植物細胞である請求項13記載の形質転換細胞。
  15. 宿主細胞が、微生物細胞である請求項13記載の形質転換細胞。
  16. 請求項13〜15のいずれか記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収することを特徴とする少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法。
  17. 請求項7〜10のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
  18. 請求項1〜6のいずれか記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
  19. 請求項11又は12記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも塩又は熱ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
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