JP4797171B2 - 熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するアラビノガラクタンタンパク質 - Google Patents

熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するアラビノガラクタンタンパク質 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するアラビノガラクタンタンパク質をコードするDNAや、少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するアラビノガラクタンタンパク質や、トランスジェニック植物などのこれらDNAやタンパク質の利用に関する。
自然界に存在する生物は塩、高温、低温、凍結、乾燥、水分ストレス等の種々の環境ストレスに曝されている。特に、塩ストレスは多くの高等植物の生育を阻害する最も大きな要因の1つである。高等植物の耐塩性強化は、農産物生産の増大につながるため、遺伝子導入により高等植物の耐塩性を強化させる試みが、活発に進められている。耐塩性を強化する機能を有するタンパク質は、大別して適合溶質(グリシンベタイン、マンニトール、トレハロース、プロリン)合成酵素や、イオンホメオスタシスに関与する酵素(Na+/H+アンチポーター)、及びこれらの遺伝子の発現を制御する転写調節因子に大別することができる。これらのタンパク質を発現した形質転換細胞で、耐塩性の向上が認められた例が近年多数報告されている。例えば、コリンオキシダーゼをコードする遺伝子が染色体DNA中に導入されたユーカリ属の植物体(特許文献1参照)や、耐塩性藍藻 (Aphanothece halopytica) 由来Na+/H+アンチポーターをコードするDNA(特許文献2参照)や、植物の細胞内におけるプロリン分解系の酵素をコードする遺伝子の発現を抑制することを特徴とする植物のストレス耐性を上昇させる方法(特許文献3参照)がそれぞれ報告されている。しかし、上記の耐塩性強化因子を発現した生物(特に植物)において、約500mMのNaClを含む海水に耐える形質転換体は未だ得られておらず、海水に耐える形質転換体を作製するためには、適合溶質合成系酵素やイオンホメオスタシスに関与する酵素だけでは不十分であると思われる。
一方、自然界にはその進化の過程で強力な耐塩性機構を獲得した植物(塩生植物)がある。このような植物群がもつ耐塩性因子を、単独、あるいは複数組み合わせて使用することで、塩生植物並みの強力な耐塩性を獲得した形質転換体(特に植物)を作出できると期待されている。例えば、本発明者らは塩生植物の一種であるマングローブに着目し、既に培養細胞系が確立されているBruguiera sexangulaの培養細胞の分与を得て、この細胞株を100mMのNaCl存在下で培養し、培養細胞から抽出したmRNAを基にcDNAライブラリーを作製し、この中からマングローブの耐塩性に関与する遺伝子の探索を試み、単離したストレス耐性に関与する遺伝子群の中の1つの遺伝子を導入することにより、酵母、植物細胞(タバコ培養細胞)、そして植物体(タバコ)の耐塩性を強化させることに成功している(特許文献4参照)。また、マングローブの1種である、メヒルギ中に新規な耐塩性増大遺伝子を見い出し、その塩基配列及びそれがコードするアミノ酸を決定し、さらに該遺伝子を他の植物に導入してその耐塩性が増大することを確認している(特許文献5、6参照)。しかし、現在までに塩生植物由来の耐塩性因子に関する知見は大変少ない。
特開2003−143988号公報 特開2003−180373号公報 特開2003−186879号公報 特開2001−333784号公報 特開2003−116546号公報 特表2003−512837号公報
本発明の課題は、塩、水分、熱ストレス等の環境ストレス、特に熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の遺伝子や、環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、環境ストレス耐性が増強されたトランスジェニック植物等を提供することにある。
本発明者らは、アカザ科に属する一年生草本で、塩湿地に群落を形成し、1M程度のNaClを含む環境でも生育することが可能な最も強力な耐塩性を有する塩生植物の1つであるアッケシソウ(Salicornia europaea)に着目した。アッケシソウは、高等植物の耐塩性を強化するための貴重な遺伝子資源といえる。しかしながら、これまでアッケシソウの耐塩性遺伝子に関する知見はほとんどない。その主な理由は、本種が海岸の開発により減少傾向にあり(絶滅危惧種に指定)、研究を進める上で安定した植物材料の入手が困難であるためと考えられた。このため、本発明者らは実験室内でも安定した生育が可能な培養細胞系の確立を進めてきた。その結果、明暗条件下で培養を続けたところ、赤色、緑色、白色の3タイプの系統のカルスを安定して維持することが可能になった。これら3系統のカルスの塩存在下における生育を評価した結果、どの系統も400mMのNaClが存在する極めて高い塩分存在下での生育が確認された。
次に、アッケシソウの細胞レベルで耐塩性機構の詳細な解析を行うために、懸濁培養細胞系の確立を試みた。その結果、白色系統のカルスのみ、懸濁培養細胞化に成功した。そこで、この懸濁培養細胞を用いて、耐塩性の評価を行ったところ、NaClを含まない液体培地では培養開始後、約3週間でFresh weightが135mg/mlであったのに対し、100mM NaClを含む培地では195mg/mlに達した。また、300mM NaClを含む培地では124mg/mlであり、0mM NaClの条件とほぼ同等の生育を示した。一般に、塩生植物から培養細胞系を確立する際、得られた培養細胞は耐塩性を失ってしまう場合が多い。しかしながら、得られたアッケシソウ懸濁培養細胞は、植物体が示す耐塩性(好塩性)を反映する強い耐塩性を維持していた。また、アッケシソウ懸濁培養細胞内におけるナトリウムイオン含量を、イオンクロマトグラフィーを用いて経時的に測定したところ、100mM、300mM NaClを含む培地で培養した場合、ともに細胞内にナトリウムイオンを蓄積していく傾向が見られた。これはアッケシソウが葉において高濃度の塩分を蓄積する現象と類似した傾向を示すものだと考えられた。これらの結果から、得られたアッケシソウ懸濁培養細胞は、アッケシソウの有する強力な耐塩性機構を細胞レベルで解析するための良いモデルシステムになると期待できた。そこで、アッケシソウの耐塩性機構に関与する遺伝子群(cDNA)の単離を目指し、大腸菌の遺伝子発現系を用いた機能スクリーニング法により、アッケシソウの耐塩性に関与する遺伝子の探索を試みた。そして、Arabidopsis thalianaのFasciclin-like arabinogalactan proteinと部分的な相同性がある427アミノ酸からなるアラビノガラクタンタンパク質が、耐塩性、水分ストレス耐性(ソルビトール耐性)、耐熱性を強化する機能を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。アラビノガラクタンタンパク質が熱・水分ストレス耐性向上活性を有することは未だ知られていない。また、このアラビノガラクタンタンパク質の水分ストレス耐性(ソルビトール耐性)及び耐熱性強化活性には、分泌性シグナルペプチドと推定されるアミノ酸配列(1−25)、又は、GPIアンカーシグナル配列と推定されるアミノ酸配列(401−427)が必要であると考えられ、分泌タンパク質で微生物の水分ストレス又は熱ストレス耐性を向上させた例は今までに知られていない。
すなわち本発明は、(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAや、(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAや、(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAや、(4)配列番号1に示される塩基配列又はその相補的配列からなるDNAや、(5)配列番号1に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAや、(6)配列番号1に示される塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAに関する。
また本発明は、(7)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、(8)配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、(9)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、(10)上記(7)〜(9)のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを含む組換えベクターや、(11)上記(1)〜(6)のいずれか記載のDNAを含む組換えベクターや、(12)上記(10)又は(11)記載の組換えベクターを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換細胞に関する。
さらに本発明は、(13)宿主細胞が、植物細胞である上記(12)記載の形質転換細胞や、(14)宿主細胞が、微生物細胞である上記(12)記載の形質転換細胞や、(15)上記(12)〜(14)のいずれか記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収することを特徴とする少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法や、(16)上記(7)〜(9)のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物や、(17)上記(1)〜(6)のいずれか記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物や、(18)上記(12)又は(13)記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物に関する。
本発明の少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAは、塩生植物由来の遺伝子であるため、高等植物、微生物等幅広い生物群の環境ストレス(塩、水分、熱ストレス他)耐性向上への利用が期待できる。特に近年、土壌における塩分の集積により可耕地が激減している状態にあり、本発明は、農業における生産性向上、砂漠緑化に利用できる。また、微生物によるアミノ酸等の有用物質生産を行う場合、生産物 (代謝産物) による水分ストレスが生じ、それが微生物の持つ有用物質生産能に悪影響をもたらす現象が知られているが、水分ストレスによる悪影響を受けることなく有用物質生産を行うことができる。さらに、本発明で得られた成果は各種微生物産業にも応用することができる。
環境ストレス耐性強化能を有するSeFLAをコードするcDNAの塩基配列。 環境ストレス耐性強化能を有するSeFLAのアミノ酸配列。 環境ストレス耐性強化能を有するSeFLAと、それをコードするcDNAの模式図。開始コドンをPCRにより人工的に付加したサブクローン(SeFLAΔN 、SeFLAΔC)を作製するために用いたプライマーを示した。 環境ストレス耐性強化能を有するSeFLAをコードするcDNA、さらにその部分長cDNA(開始コドンはPCRにより人工的に付加した)を導入した形質転換大腸菌の塩、水分(ソルビトール)、及び熱ストレス耐性を示す。 環境ストレス耐性強化能を有するSeFLAをコードするcDNA、さらにその部分長cDNAを導入した形質転換酵母の塩、水分(ソルビトール)、及び熱ストレス耐性を示す。 環境ストレス耐性強化能を有するSeFLAをコードするcDNAを導入した形質転換タバコの塩、水分(マンニトール)ストレス耐性を示す。
本発明のDNAとしては、(A)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;(B)配列番号2に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA;(C)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA;(D)配列番号1に示される塩基配列又はその相補的配列からなるDNA;(E)配列番号1に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA;又は(F)上記の(D)又は(E)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAであれば特に制限されず、また、本発明のタンパク質としては、(A)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;(B)配列番号2に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質;又は(C)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質であれば特に制限されず、ここで「水分ストレス耐性向上活性」とは、所定濃度のソルビトールに対して向上した耐性を示す活性をいい、例えば、水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現する植物や微生物は、該蛋白質を発現しない植物や微生物に比べて、所定濃度のソルビトール存在下において統計学上有意に優れた増殖を示すことになるが、これに限定されるものではない。また、「熱ストレス耐性向上活性」とは、高温に対して向上した耐性を示す活性をいい、例えば、熱ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現する植物や微生物は、該蛋白質を発現しない植物や微生物に比べて、高温度下において統計学上有意に優れた増殖を示すことになるが、これに限定されるものではない。
また、本発明のDNAは、少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするが、上記熱ストレス耐性向上活性や水分ストレス耐性向上活性の他、塩などの環境ストレスに対する耐性向上活性を有するタンパク質をコードするものが好ましい。そしてまた、本発明のタンパク質は、少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するが、上記熱ストレス耐性向上活性や水分ストレス耐性向上活性の他、塩などの環境ストレスに対する耐性向上活性を有するものが好ましい。
上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、例えば1〜30個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を意味する。また、上記「1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を意味する。上記数個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列として、N末端の25個のアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列や、C末端の8個のアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列を具体的に例示することができる。
例えば、これら1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDNA(変異DNA)は、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法により作製することもできる。具体的には、配列番号1に示される塩基配列からなるDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的な手法等を用いて、これらDNAに変異を導入することにより、変異DNAを取得することができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989.以後 "モレキュラークローニング第2版" と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の方法に準じて行うことができる。この変異DNAを適切な発現系を用いて発現させることにより、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を得ることができる。
上記「配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%以上の相同性を有するアミノ酸配列」とは、配列番号2に示されるアミノ酸配列との相同性が70%以上であれば特に制限されるものではなく、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上であることを意味する。
上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、DNA又はRNAなどの核酸をプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第2版等に記載されている方法に準じて行うことができる。
例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げることができ、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するDNAを好適に例示することができる。
本発明のDNAの取得方法や調製方法は特に限定されるものでなく、本明細書中に開示した配列番号1又は配列番号2に示されるアミノ酸配列又は塩基配列情報に基づいて適当なブローブやプライマーを調製し、それらを用いて当該DNAが存在することが予測されるcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより目的の遺伝子DNAを単離したり、常法に従って化学合成により調製することができる。
具体的には、本発明の遺伝子DNAが単離されたアッケシソウより、常法に従ってcDNAライブラリーを調製し、次いで、このライブラリーから、本発明の遺伝子DNAに特有の適当なプローブを用いて所望クローンを選抜することにより、本発明の遺伝子DNAを取得することができる。上記cDNAの起源としては、上記植物由来の各種の細胞または組織を例示することができ、また、これらの細胞又は組織からの全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実施することができる。本発明の遺伝子をcDNAライブラリーからスクリーニングする方法は、例えば、モレキュラークローニング第2版に記載の方法等、当業者により常用される方法を挙げることができる。
また、上記(B)〜(F)のいずれかに示される塩基配列からなる本発明の変異遺伝子又は相同遺伝子DNAとしては、配列番号1に示される塩基配列又はその一部を有するDNA断片を利用し、他の生物体等より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる他、前述の変異DNAの作製方法により調製することもできる。
本発明のタンパク質の取得・調製方法は特に限定されず、天然由来の単離されたタンパク質でも、化学合成したタンパク質でも、遺伝子組換え技術により作製した組み換えタンパク質の何れでもよい。天然由来の単離されたタンパク質を取得する場合には、かかるタンパク質を発現している細胞又は組織からタンパク質の単離・精製方法を適宜組み合わせることにより、本発明のタンパク質を取得することができる。化学合成によりタンパク質を調製する場合には、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法に従って本発明のタンパク質を合成することができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して本発明のタンパク質を合成することもできる。遺伝子組換え技術によりタンパク質を調製する場合には、該タンパク質をコードする塩基配列からなるDNAを好適な発現系に導入することにより本発明のタンパク質を調製することができる。これらの中でも、比較的容易な操作でかつ大量に調製することが可能な遺伝子組換え技術による調製が好ましい。
例えば、遺伝子組換え技術によって、本発明のタンパク質を調製する場合、かかるタンパク質を細胞培養物から回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法、好ましくは、高速液体クロマトグラフィーが用いられる。特に、アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体等の抗体を結合させたカラムや、上記本発明のタンパク質に通常のペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合したカラムを用いることにより、これらのタンパク質の精製物を得ることができる。また、本発明のタンパク質が細胞膜に発現している場合は、細胞膜分解酵素を作用させた後、上記の精製処理を行うことにより精製標品を得ることができる。
さらに、配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の一例を示す配列番号1に示される塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適宜調製又は取得することができる。例えば、配列番号1に示される塩基配列又はその一部を有するDNAをプローブとしてアッケシソウ以外の生物より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。このホモログDNAの全長DNAをクローニング後、発現ベクターに組み込み適当な宿主で発現させることにより、該ホモログDNAによりコードされるタンパク質を製造することができる。
上記本発明のタンパク質とマーカータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させて融合タンパク質とすることもできる。マーカータンパク質としては、従来知られているマーカータンパク質であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリフォスファターゼ、HRP等の酵素、抗体のFc領域、GFP等の蛍光物質などを具体的に挙げることができ、またペプチドタグとしては、HA、FLAG、Myc等のエピトープタグや、GST、マルトース結合タンパク質、ビオチン化ペプチド、オリゴヒスチジン等の親和性タグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。かかる融合タンパク質は、常法により作製することができ、Ni−NTAとHisタグの親和性を利用した本発明のタンパク質の精製や、本発明のタンパク質の検出や、本発明のタンパク質に対する抗体の定量や、その他当該分野の研究用試薬としても有用である。
上記本発明のDNAやタンパク質を用いると、植物・動物及びそれらの組織、器官、細胞並びに細菌、酵母、カビ等の微生物の耐塩性、水分ストレス耐性(ソルビトール耐性)、耐熱性等の環境ストレス耐性を向上させることができる。
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体としては、前記本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体であればどのようなものでもよく、かかる抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等の免疫特異的な抗体を具体的に挙げることができ、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号2に示されるアミノ酸配列と相同性が70%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を抗原として用いて作製することができる。これら抗体は、例えば、環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の分子機構を明らかにする上で有用である。
上記少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質に対する抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)に該少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質又はエピトープを含む断片、類似体若しくは細胞を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ技法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Immunology Today 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ技法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc.,1985)など任意の技法を用いることができる。
上記少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質に対する一本鎖抗体をつくるために、一本鎖抗体の調製法(米国特許第4,946,778 号)を適用することができる。また、ヒト化抗体を発現させるために、トランスジェニック植物又はトランスジェニック動物等を利用したり、上記抗体を用いて、その環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現するクローンを単離・同定したり、アフィニティークロマトグラフィーでそのポリペプチドを精製することもできる。
本発明の組換えベクターとしては、前記本発明のDNAを含み、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現することができる組換えベクターであれば特に制限されず、本発明の組換えベクターは、本発明の遺伝子DNAを発現ベクターに適切にインテグレイトすることにより構築することができる。かかる発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製可能であるものや、あるいは宿主細胞の染色体中へ組込み可能であるものが好ましく、また、本発明の遺伝子を発現できる位置にプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等の制御配列を含有しているものを好適に使用することができる。
例えば、植物細胞用の発現ベクターとしては、Tiプラスミド(Tumor inducing plasmid)、pSPORT1、pT7Blue-Tベクター、pIG121−Hm〔Plant Cell Report, 15, 809-814(1995)〕、pBI121〔EMBO J. 6, 3901-3907(1987)〕などのプラスミド、あるいはタバコモザイクウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、ジェミニウイルスなどの植物ウイルスベクター等を例示することができる。植物細胞用のプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター〔Mol.Gen.Genet (1990) 220, 389-392〕、ルブロースビスフォスフェートカルボキシラーゼスモールサブユニットプロモーター等を挙げることができ、ターミネーターとしては、例えばノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを挙げることができる。
酵母用の発現ベクターとして、例えば、pYES2(Invitrogen)、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、Ycp5O(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を例示することができる。酵母用のプロモーターとしては、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、CUP1プロモーター等のプロモーターを具体的に挙げることができる。発現ベクターとしては、酵母用発現ベクター、植物細胞用発現ベクター、細菌用発現ベクター、動物細胞用発現ベクター等を用いることができるが、酵母用発現ベクターや植物細胞用発現ベクターを用いた組換えベクターが好ましい。
細菌用の発現ベクターとしては、例えば、pBTrP2、pBTac1、pBTac2(いずれもべ一リンガーマンハイム社製)、pKK233-2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX-1(Promega社製)、pQE‐8(QIAGEN社製)、pQE‐30(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200〔Agrc.Biol.Chem., 48, 669(1984)〕、PLSA1〔Agrc. Blo1. Chem., 53, 277(1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306 (1985)〕、pTP5、pC194、pUC18〔Gene, 33, 103(1985)〕、pUC19〔Gene, 33, 103(1985)〕、pSTV28(宝酒造社製)、pSTV29(宝酒造社製)、等を例示することができる。細菌用のプロモーターとしては、例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーター等を挙げることができる。
また、本発明の形質転換細胞としては、上記本発明の組換えベクターが導入され、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質を発現する形質転換細胞であれば特に制限されず、形質転換植物細胞、形質転換動物細胞、形質転換細菌、形質転換酵母を挙げることができるが、形質転換大腸菌、形質転換酵母、形質転換植物細胞などを好適に例示することができる。これら、形質転換大腸菌、形質転換酵母、形質転換植物細胞などの形質転換細胞は、アミノ酸生産など各種微生物産業に好適に応用することができる。
形質転換植物細胞の作製に用いられる宿主植物細胞としては、その種類は特に限定されず、花卉、果実植物、野菜、根菜、穀類、観葉植物、果樹を含む樹木などの植物、例えばナス科、イネ科、アブラナ科、キク科、ゴマ科、モクセイ科、フトモモ科、バラ科、マメ科、ヤシ科又はアカネ科に属する植物の培養細胞のうちから適宜選択することができる。この形質転換植物細胞を作製するには、本発明の遺伝子DNAを含有した上記本発明の組換えベクターを用い、この組換えベクターを植物細胞内に導入し、植物細胞内のゲノムDNA中に本発明の遺伝子DNAを導入する方法を採用することができる。植物の形質転換は、植物の種類等に応じて、リーフディスク共存培養法、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法等の公知の方法を適宜用いて行うことができる。その他、物理的または化学的に植物細胞の透過性を高めて本発明の組換えベクターを受容体細胞内に直接取り入れて形質転換植物を作製する方法を採用することもできる。
形質転換酵母の作製に用いられる酵母宿主の具体例としては、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisae)、シゾサッカロミセス・ボンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリュイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pu11ulans)、シュワニオミセス・アルビウス(Schwanniomyces a11uvius)等を挙げることができる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
形質転換細菌の作製に用いられる細菌の宿主細胞の具体例としては、エッシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、バチラス(Bacillus)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、セラチア(Serratia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、エルウニア(Erwinia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物を挙げることができる。細菌宿主へ組換えベクターを導入する方法としては、例えば、カルシウムイオンを用いる方法やプロトプラスト法等を挙げることができる。
また、本発明の少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法としては、上記本発明の形質転換酵母、形質転換細菌、形質転換植物細胞等の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収する方法であれば特に制限されるものではない。さらに、本発明のトランスジェニック植物としては、前記少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA又は前記ベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られるものであれば特に制限されるものではない。以下、上記本発明のベクター、形質転換細胞、環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法、及びトランスジェニック植物について説明する。
上記のように、本発明のDNAは組換えタンパク質の調製に利用することができる。組換えタンパク質の調製は、上記本発明のDNAを適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な宿主細胞に導入して、該DNAを発現させ、次いで、発現させたタンパク質を該形質転換細胞又はその培養上清から回収することにより行うことができる。組換えタンパク質の発現に用いられる宿主−ベクター系としては、例えば、IMPACT-CN System(宿主: E. coli strain ER2566、ベクター:pTYB1、pYB2、pYB11、pYB12 (BioLabs社))、あるいはpET Expression System(宿主: Epicurian Coli BL21、ベクター:pET3シリーズ(Novagen社))を挙げることができる。宿主細胞へのベクターの導入法としては、当業者に公知の方法、例えば、エレクトロポレーション法やヒートショック法が挙げられる(遺伝子ライブラリーの作製法、羊土社(1994)、植物細胞工学入門、学会出版センター(1998))。また、組換えタンパク質を発現させるための形質転換体の培養は、当業者に一般的に用いられている方法および条件にて行なうことができる。発現させたタンパク質は、例えば、IMPACT-CN Systemを利用した場合にはキチンビーズ(BioLabs社)で、pET Expression Systemを利用した場合にはHis Bind Resin(Novagen社)により精製できる。
上記本発明のDNAは、また、少なくとも熱又は水分ストレス耐性が強化されたトランスジェニック植物の作出に利用できる。本発明のDNAを用いてトランスジェニック植物を作出する生物種としては特に限定されるものではないが、高等植物であることが好ましい。かかるトランスジェニック植物の作出は、該DNAを植物細胞内でその発現を保証するベクターに挿入し、これを植物細胞に導入し、トランスジェニック植物を得るために該形質転換植物細胞を再生させることにより有利に行うことができる。
トランスジェニック植物の作出に用いられるベクターとしては、例えば、東洋紡から市販されているpBI101、あるいはpIG121Hm (Plant J, Vol 6, p271-282(1994)) を好適に用いることができる。ベクターを導入する植物細胞の種類に特に制限はないが、例えばイネ、小麦、トウモロコシ、大豆、タバコ、ニンジン等が考えられる。植物細胞の形態としては、例えば、プロトプラスト、カルス、植物体の部分(リーフディスク、ヒポコチル等) がある。宿主植物細胞へのベクターの導入法としては、アグロバクテリウム法が好適であるがその他にも、例えば、ポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などを用いることができる(モデル植物の実験プロトコール、秀潤社(1996))。
ベクターの導入された植物細胞を植物体へ再生させる方法は、植物種により異なる。例えば、イネの場合、以下のようにして行なうことができる。完熟種子からカルス誘導を行い、これにcDNAを導入したアグロバクテリウムを感染させる。共存培養を経て、選抜培地に移し培養する。約3週間後カルスを再分化培地に移し、再分化するまで培養する。4、5日馴化させた後ポットに移すことで形質転換体を再生させる(モデル植物の実験プロトコール、秀潤社(1996))。また、ニンジン、タバコ等の再生の方法としては、それぞれ加藤、庄野博士等の方法(植物組織培養の技術朝倉書店(1983)) を好適に例示することができる。
これによりトランスジェニック植物体が得られれば、さらに該植物体から繁殖材料(例えば、植物の種類に応じて、種子、塊根、切穂、メリクローン等の培養増殖)を得て、これを基に本発明のトランスジェニック植物を量産することが可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[アッケシソウcDNAライブラリーの作製]
アッケシソウ (Salicornia europaea) は被子植物、双子葉類、アカザ科の一年草で、高等植物の中で最高レベルの耐塩性(1M NaCl以上でも生育可能)を示す。アッケシソウの cDNA ライブラリーの作成は、葉を使用し、以下に示す手順で行った。まず、Ostremらの方法 (Plant Physiol Vol.84 p1270-1275(1987)) に従って全mRNAを抽出し、ここからOligotex-dT30<super> (第一化学社) を用いpoly(A)+RNAを精製した。精製したpoly(A)+RNAを基にcDNAを合成し、λZap II (Stratagene社) ラムダファージベクターに導入してcDNAライブラリーを構築した。λZap IIを用いたcDNAライブラリーの構築方法は周知の方法であり、実際の手順はStratagene社の手引き書に従った。その結果、5x105 の独立クローンを含むアッケシソウcDNAライブラリーの構築に成功した。
[アッケシソウcDNAライブラリーからの環境ストレス耐性遺伝子の探索]
アッケシソウcDNAライブラリーからの環境ストレス耐性遺伝子の探索は、山田らの開発した大腸菌を用いた機能スクリーニング法(Plant Cell Physiol Vol.43 p903-910(2002))で行われた。その結果、図1に示す全長1765 bp からなるcDNAが導入された大腸菌に耐塩性の向上が認められた。遺伝情報処理ソフトウエア (ソフトウエア開発株式会社) で塩基配列を解析した結果、427アミノ酸からなるタンパク質をコードしていることが判明した。BLAST相同性検索プログラムを用い、これらのDNAがコードするアミノ酸配列の相同性検索を行った。その結果、図2に示されるアミノ酸配列は、Arabidopsis thalianaのFasciclin-like arabinogalactan protein (FLA1)(At5g55730)と部分的な相同性(図2のアミノ酸配列の1−427番目の領域に58% の相同性あり)を有することが確認された。SignalP(HYPERLINK"http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/"www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)を用いた解析の結果、このタンパク質(以下SeFLA)の1−25番目までのアミノ酸配列は分泌性シグナルペプチドと考えられた。また、DGPI(http://129.194.186.123/GPI-anchor/DGPI_demo_en.html)と、big-PI plant predictor(http://mendel.imp.univie.ac.at/gpi/plant_server.html)を用いた解析の結果、前者ではSeFLAのC末端側である412−427番目までのアミノ酸配列、後者では401、402番目のアミノ酸配列が疎水性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーシグナル配列と考えられた。
[SeFLA部分長 cDNA の作製]
SeFLAの分泌性シグナルペプチドと推定される1−25番目までのアミノ酸配列を除去した部分長配列(SeFLAΔN)は、F1プライマー (5'-CCCACCACAACATAAATGCACAACATCACC-3';配列番号3) と、T7プライマー (5'-GTAATACGACTCACTATAGGGC-3';配列番号4) を用い、上記のスクリーニングで得られた全長SeFLA cDNA (pBluescript SKにクローニングされている) をテンプレートとしてPCRで増幅した (図3)。得られたDNA断片をT4 DNA Polymeraseおよびklenowにより末端平滑化した。一方、大腸菌発現ベクターであるpBluescript SKをEcoRVで切断し、アルカリフォスフォターゼ処理した後、上記のPCR断片をクローニングした。クローニングされた断片に変異が入っていないことを確認し、以後の実験に用いた。また、SeFLAのGPIアンカーシグナル配列と推定される401−427番目までのアミノ酸配列を除去した部分長配列(SeFLAΔC)は、F2プライマー (5'-GTCTAGTGTCTACTAACCCAACCAACCATG-3';配列番号5) と、R1プライマー(5'- CTCTCCTCCGTCTCACTAATCGTCCGCCGT-3';配列番号6) を用いて上記と同様にPCRで増幅し (図3)、得られたDNA断片をT4 DNA Polymeraseおよびklenowにより末端平滑化した。一方、大腸菌発現ベクターであるpBluescript SKをEcoRVで切断し、アルカリフォスフォターゼ処理した後、上記のPCR断片をクローニングした。クローニングされた断片に変異が入っていないことを確認し、以後の実験に用いた。
なお、プライマー上の開始コドンは全角文字で示し、終止コドンはアンダーラインで示した。
[酵母発現ベクターへのクローニング]
pBluescript SKにクローニングされたSeFLA全長または部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)cDNA をそれぞれKpn Iで切断し、T4 DNA Polymeraseおよびklenowにより末端平滑化した後、Sac Iで切断した。得られた断片をADH1プロモーターを有する酵母発現ベクター(pAUR123:Takara)のSac I/Hpa Iサイトにクローニングした。得られたプラスミドをSmaIで切断し、セルフライゲーションを行なうことでクローニング時に非コード領域で生じた余分な制限酵素サイトを除去した。
[植物発現ベクターへのクローニング]
pBluescript SKにクローニングされたSeFLA全長cDNAをKpn Iで切断し、T4 DNA polymeraseおよびklenowにより末端平滑化した後、Xba Iで切断した。得られた断片を35Sカリフラワーモザイクウイルスプロモーターを有する植物発現ベクター(pBI121) のプロモーター下流にクローニングした。
[形質転換Agrobacterium tumefaciensの作成]
SeFLA(全長)cDNAを導入したタバコ形質転換体を作出するために、エレクトロポレーション(GTE−10: 島津製作所)により上記のプラスミドをA. tumefaciens (EHA株)に導入した。50μg/mlのハイグロマイシンを含むYEP固体培地で選抜し、得られた形質転換体を、ハイグロマイシンを含むYEP培地に植菌し、28℃で振とう培養した。
[アグロバクテリウム法によるタバコへの遺伝子導入]
SeFLA(全長)cDNAを導入した形質転換A. tumefaciensを、アセトシリンゴン溶液(10μg/ml)でOD600 =0.25になるように希釈した。無菌状態で生育させたタバコの葉のリーフディスク(直径7mm)を作成し、この菌体懸濁液に1分間浸けた。これをアセトシリンゴン10μg/mlを含むMurashige-Skoog (MS) 固体培地に置き、26℃、暗条件下で2日間インキュベートした。その後、リーフディスクをMS再分化培地(ベンジルアミノプリン:0.05mg/ml、ナフチル酢酸:0.05mg/ml、クラフォラン:250mg/ml、カナマイシン:100mg/mlを含む) に置き、26℃、明/暗条件下で培養し、2週間ごとに植え継いだ。約1ヶ月後、リーフディスクから再分化したシュートを切り取り、MS発根培地 (クラフォラン:250mg/ml、カナマイシン: 100mg/mlを含む)に植えた。約2ヶ月間生育させた各形質転換タバコを土におろし、約4ヶ月後、次世代 (T1) の種子を得た。
[大腸菌に対するSeFLAの塩ストレス耐性強化機能]
pBluescript SKにクローニングされたSeFLA全長または部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)cDNAを大腸菌 (SOLR: Stratagene社) に導入して得られた形質転換体の生育を評価した。各形質転換体を初期濃度がOD600 =0.05になるようにそれぞれ2YT液体培地に植菌し、小型振とう培養装置TVS062CA(ADVANTEC)を用いて菌体濃度をモニタリングした。ストレス無し(NaCl:86mM、ソルビトール:0mM、37℃)の状態ではいずれの形質転換体もほぼ同様な生育を示すのに対し(図4A)、37℃で650mM NaCl を含む2YT液体培地(ソルビトール:0mM)では、対照となるベクター (pBluescript SK) を導入した形質転換体に比べ、SeFLA全長および部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)を導入した形質転換体に明らかな耐塩性の向上が認められた(図4B)。
[大腸菌に対するSeFLAの水分ストレス耐性強化機能]
SeFLA全長または部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)cDNA、対照としてベクター(pBluescript SK) を導入した形質転換体の水分ストレス耐性を評価した。37℃で1.2Mソルビトールを含む2YT培地(NaCl: 86mM)を用いて実施例8と同様の操作を行った。その結果、SeFLA全長を導入した形質転換体は、対照となるベクターのみを導入した形質転換体と比べて顕著な増殖が認められた。このことから、SeFLAは大腸菌に対し、水分ストレス耐性強化機能を有していることが確認された。また、同条件下でSeFLA部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)を導入した形質転換体では、SeFLA全長を導入した形質転換体と比べ増殖速度が低下していることが明らかとなった(図4C)。
[大腸菌に対するSeFLAの熱ストレス耐性強化機能]
SeFLA全長または部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)cDNA、対照としてベクター(pBluescript SK) を導入した形質転換体の熱ストレス耐性を評価した。実施例8と同様の操作を行い、通常の2YT液体培地(NaCl: 86mM、ソルビトール: 0mM)を用いて、45℃条件下での増殖曲線をとった。その結果、SeFLA全長を導入した形質転換体で顕著な増殖が認められた。また、SeFLAΔNを導入した形質転換大腸菌では、全長を導入したものに比べ増殖速度は低下したものの、対照に比べて顕著な増殖が確認された。また、SeFLAΔCは、対照と同レベルであった。(図4D)。これらの結果から、SeFLAは大腸菌に対し、塩、水分、熱ストレス耐性強化因子として機能することが確認された。また、このタンパク質が十分に機能するためには、分泌性シグナルペプチドと推定される領域とGPIアンカーシグナル配列と推定される領域の両方が必要であった。
[酵母に対するSeFLAの塩ストレス耐性強化機能]
酵母発現ベクターであるpAUR123にクローニングされたSeFLA全長または部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)をSaccharomyces cerevisiae(YM4271: Clontech社)に導入し、得られた形質転換体の耐塩性を評価した。各形質転換体を初期濃度がOD600 =0.1になるようにそれぞれYPD液体培地に植え継ぎ、小型振とう培養装置TVS062CA(ADVANTEC)を用いて細胞濃度の変化をモニタリングした。ストレス無し(NaCl: 0mM、ソルビトール: 0mM、30℃)の状態ではいずれの形質転換酵母もほぼ同様な生育を示した(図5A)。これに対し、1.5M NaCl を含むYPD液体培地中ではベクターのみを導入した形質転換体に比べ、SeFLA全長および各部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)を導入したものに明らかな耐塩性の向上が認められた(図5B)。
[酵母に対するSeFLAの水分ストレス耐性強化機能]
SeFLA全長または各部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)、対照としてベクター(pAUR123) を導入した形質転換体の水分ストレス耐性を評価した。30℃条件下で2.2 M ソルビトールを含むYPD培地(NaCl: 0mM)を用いて実施例11と同様の操作を行った。その結果、SeFLA全長またSeFLAΔNを導入した形質転換体は、対照と比べて顕著な増殖が認められた(図5C)。また、同条件下でSeFLAΔCを導入した形質転換体では、対照と比べ顕著な差は認められなかった(図5C)。これらの結果からSeFLAは酵母内において水分ストレス耐性強化因子として機能し、特にGPIアンカーシグナル配列と推定される領域が不可欠であることが確認された。
[酵母に対するSeFLAの熱ストレス耐性強化機能]
SeFLA全長または部分長(SeFLAΔN、SeFLAΔC)、対照としてベクター(pAUR123) を導入した形質転換体の熱ストレス耐性を評価した。実施例11と同様の操作を行い、YPD液体培地(NaCl: 0mM、ソルビトール: 0mM)を用いて、38℃での生育を評価した。その結果、対照に比べ、SeFLA全長を導入した形質転換体に顕著な増殖が認められた。また、SeFLAΔNを導入した形質転換体では、全長を導入した形質転換体に比べ、増殖速度は低下したものの、対照に比べて顕著な増殖が確認された。SeFLAΔCを導入した形質転換体では、対照と同レベルまで増殖速度が極端に低下した(図5D)。これらの結果からSeFLAが酵母内において熱耐性強化因子としても機能し、特にGPIアンカーシグナル配列と推定される領域が不可欠であることが確認された。
以上の結果から、SeFLAは酵母に対し、塩、水分、熱ストレス耐性強化因子として機能することが確認された。
[タバコに対するSeFLAの塩ストレス耐性強化機能]
実施例7に従って作成した形質転換タバコを計14ライン作出し、各形質転換体におけるSeFLA mRNAの発現をノーザンブロット法で確認した。プローブとしてSeFLA cDNA全長を用いた結果、line 3、14でSeFLA mRNAが強く発現しているのが確認された(図6A)。そこで、この2ラインを自家受粉させ、次世代の種子(T1)を獲得した。得られた種子を土に播種してから、NaCl 250mMを含む塩水を4日おきに与え、10日後の発芽率を評価した。その結果、対照となる野生株に比べ、SeFLA全長を導入した形質転換体では、NaCl存在下での発芽率に顕著な向上が認められた(図6B)。このとき発芽した幼植物体は、対照に比べ明らかな生育の差が認められた(図6C)。湿重量においても顕著な差が認められた(図6D)。
以上の結果から、SeFLAは、バクテリアから、酵母に至る幅広い生物種の塩、水分、熱ストレス耐性を向上させる効果を有することが確認された。特に上記のストレスは各種細胞に対し、細胞内の水分含量の低下をもたらすものである事から、SeFLAタンパク質は細胞内の水分含量の低下を防ぐ効果を有するものと考えられた。実際、SeFLAを導入した形質転換タバコのline 14, 3はそれぞれ、400mMマンニトールを含む寒天培地中での発芽率(10日間で評価)の向上も確認されている(図6E)。

Claims (18)

  1. 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
  2. 配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  3. 配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  4. 配列番号1に示される塩基配列又はその相補的配列からなるDNA。
  5. 配列番号1に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  6. 配列番号1に示される塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  7. 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
  8. 配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質。
  9. 配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質。
  10. 請求項7〜9のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを含む組換えベクター。
  11. 請求項1〜6のいずれか記載のDNAを含む組換えベクター。
  12. 請求項10又は11記載の組換えベクターを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換細胞。
  13. 宿主細胞が、植物細胞である請求項12記載の形質転換細胞。
  14. 宿主細胞が、微生物細胞である請求項12記載の形質転換細胞。
  15. 請求項12〜14のいずれか記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収することを特徴とする少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法。
  16. 請求項7〜9のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
  17. 請求項1〜6のいずれか記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
  18. 請求項12又は13記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる少なくとも熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
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