JP2006067825A - C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に関連する多型、およびその利用 - Google Patents

C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に関連する多型、およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】HCV感染に起因する肝疾患に関連する遺伝子を見出し、さらに該遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における変異を検出することを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法を提供することを課題とする。
【解決手段】人口集団調査に基づいて選択した172の遺伝子に存在する一塩基多型(SNPs)について、HCV感染の進行度との関連を調べた。その結果、それぞれの遺伝子もしくはそれぞれ遺伝子の近傍DNA領域における多型変異の有無を指標とすることにより、被検者において、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査を行うことが可能であることを見出した。
【選択図】なし

Description

本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染に起因する肝疾患に関連する遺伝子、および、該遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域に存在する多型に関する。また、該多型を利用した該肝疾患に対して感受性か否かの検査方法に関する。
C型肝炎ウイルス(HCV)は、世界中で急性および慢性の肝疾患の原因となっているヒト病原体である。全世界のC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は170万人以上と推定されている(http://www.who.int/inf-fs/en/fact164.html)。HCV感染の最も重要な続発症は、進行性の肝線維症、それに続く肝硬変である。その後、最終的には肝細胞癌を発症し、全世界における罹患率、死亡率において重要な疾患である(非特許文献1〜4参照)。飲酒、感染時の年齢(年齢が高い事が危険因子となる)、性別(男性である事が危険因子となる)、B型肝炎ウイルスとの重複感染(非特許文献5〜7参照)など、HCV感染を進行させる多くの危険因子(リスク)が報告されている。
近年、肝細胞癌のリスクを増大させる宿主側の遺伝素因についてもいくつかの報告があり、インターロイキン1βの多型(非特許文献8参照)、ウリジン5'-2リン酸-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1A7)の多型(非特許文献9参照)が日本人HCV感染者の肝細胞癌進展に関連する事が、発明者らによって既に明らかにされている。さらに、CYP酵素の多型(非特許文献10参照)、ミクロゾームエポキシド加水分解酵素の多型(非特許文献11参照)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子の多型(非特許文献12参照)などが肝細胞癌の進展および/またはHCV感染に関連する肝疾患の重症度に関連する事が報告されている。しかし、その数は未だ少数であり、さらなる解析が望まれていた。
Lauer GMおよび Walker BD著、「Hepatitis C virus infection.」、N Engl J Med、2001年、Vol.345、p.41-52 Shiratori Y外13名著、「Characteristic difference of hepatocellular carcinoma between hepatitis B- and C- viral infection in Japan.」、Hepatology、1995年、Vol.22、p.1027-1033 Shiratori Y, 外12名著、「Histologic improvement of fibrosis in patients with hepatitis C who have sustained response to interferon therapy.」、Ann Intern Med、2000年、Vol.132、p.517-524 Yoshida H, 外9名著、「Interferon therapy prolonged life expectancy among chronic hepatitis C patients.」、Gastroenterology、2002年、Vol.123、p.483-491 Seeff LB著、「Natural history of chronic hepatitis C.」、Hepatology、2002年、Vol.36、s35-s46 Cerny AおよびChisari FV著、「Pathogenesis of chronic hepatitis C: Immunological features of hepatic injury and viral persistence.」、Hepatology、1999年、Vol.30、p.595-601 Desmet VJ著、「Histopathology of chronic hepatitis.」、 In: Liaw YF, ed. 「Chronic Hepatitis.」、Amsterdam: Elsevier、p.27-44、1986年 Wang Y, 外11名著、「Interleukin-1β gene polymorphisms associated with hepatocellular carcinoma in hepatitis C virus infection.」、Hepatology、2003年、Vol.37、p.65-71 Wang Y, 外9名著、「UDP-glucuronosyltransferase 1A7 genetic polymorphisms are associated with hepatocellular carcinoma in Japanese patients with hepatitis C virus infection.」、Clin Cancer Res、2004年(in press) Silvestri L, 外10名著、「CYP enzyme polymorphisms and susceptibility to HCV-related chronic liver disease and liver cancer.」、Int J Cancer、2003年、Vol.104、p.310-317 Sonzogni L,外9名著、「Polymorphisms of microsomal epoxide hydrolase gene and severity of HCV-related liver disease.」、Hepatology、2002年、Vol.36、p.195-201 Kato S, 外8名著、「Genetic polymorphisms of aldehyde dehydrogenase 2, cytochrome p450 2E1 for liver cancer risk in HCV antibody-positive Japanese patients and the variations of CYP2E1 mRNA expression levels in the liver due to its polymorphism.」、Scand J Gastroenterol、2003年、Vol.38、p.886-893
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、HCV感染に起因する肝疾患に関連する遺伝子、または該遺伝子上に存在する肝疾患と関連する多型の提供を課題とする。より詳しくは、該遺伝子もしくは多型を指標とするHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性もしくは抵抗性か否かの検査方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。本発明者らはHCV持続感染患者376人を対象として、HCV感染に起因する肝細胞癌に関連する遺伝子または多型(SNPs)のスクリーニングを実施した。一次スクリーニングでは、解析できた172遺伝子上の394のSNPsのうち、29遺伝子上の31 SNPsが肝細胞癌との関連を示した。さらに二次スクリーニングでは一次スクリーニングで有意差の認められた31 SNPsについて解析し、両スクリーニングを通して、3遺伝子上のSNPsが肝細胞癌と関連性があることを見出した。GRFA1、CRHR2、SCYB14は遺伝子型の頻度、アリル頻度で肝細胞癌群・非肝細胞癌群の分布に有意差があり、GFRA1およびSCYB14はリスクアリルにおいても有意差が認められた。また、これら3遺伝子の18 SNPsについてLDブロックを抽出し、各LDブロックにおいてハプロタイプ頻度推定、個人のディプロタイプ推定およびハプロタイプ、ディプロタイプと肝細胞癌(HCC)との関連解析を行った。その結果、6つのLDブロックを得ることができ、うち2つのLDブロックについて、有意差が認められた。
本発明の検査方法によって、被検者のHCV感染に起因する肝疾患に対する易感染性、あるいは、HCV感染に起因する肝疾患に対する免疫反応性を判定することが可能となる。HCV感染者は一般に無自覚・無症状のうちに疾患が進行することが多いとされているため、本発明の検査方法によって、HCV感染者が肝疾患を発症する場合の治療方針を立てることができ、肝疾患の早期治療が見込まれると期待される。
また本発明によって同定された遺伝子の生物学的な機能を推測することで新たな仮説を立てることができ、HCV感染に起因する肝疾患と関連する新規遺伝子および変異を同定する今後の臨床研究および生物学的分析に役立てることができる。
つまり本発明者らは、HCV感染に起因する肝疾患に関連する3個の遺伝子、およびHCV感染に起因する肝疾患に関連するSNPsの同定に成功し、該遺伝子上のSNPsもしくはハプロタイプを指標とするHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性もしくは抵抗性か否かの検査方法を完成させた。即ち本発明は、
〔1〕 被検者について、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における変異を検出することを特徴とする、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法、
(1)SCYB14、(2)GFRA1、(3)CRHR2
〔2〕 変異が多型変異である、〔1〕に記載の検査方法、
〔3〕 被検者について、〔1〕の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法、
〔4〕 多型部位が、それぞれ以下の(1a)〜(3a)に記載の多型部位である、〔3〕に記載の検査方法、
(1a)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位、3454位、4765位、6189位、7038位、7154位、8244位、8630位、8740位、9052位、9054位、9151位、9179位、10001位、10998位、13929位、14163位、14325位、15949位、17378位、17379位、19182位、20122位、20169位、20885位、20886位、21705位、23395位、23541位、24286位、24592位、24594位、25767位、25938位、26561位、27381位、28265位、28674位、29560位、30284位、30978位、31932位、33753位、35039位、または36194位のいずれかの多型部位
(2a)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位、2666位、2836位、4226位、4897位、5008位、5044位、5845位、6348位、6381位、6915位、6960位、7340位、7466位、7492位、10001位、10702位、11685位、11731位、12461位、12552位、12814位、13482位、15067位、15080位、15253位、15299位、16065位、16540位、16668位、16848位、17020位、17118位、17196位、17485位、17560位、19019位、19596位、19602位、20293位、20321位、20647位、21151位、21406位、21502位、21927位、22008位、22254位、23580位、24061位、24163位、24214位、24393位、24491位、25300位、25948位、26523位、27081位、27435位、28120位、28260位、28832位、28926位、28951位、30815位、31243位、31283位、31395位、31506位、31765位、34078位、34519位、35884位、35922位、36345位、36663位、36745位、36907位、36923位、36946位、37397位、37470位、37501位、38538位、38546位または38913位のいずれかの多型部位
(3a)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列におけるの660位、1761位、1897位、2833位、4878位、5319位、5592位、5953位、6059位、6202位、6966位、7659位、7691位、7794位、8131位、8931位、9264位、9445位、9465位、9466位、10001位、10401位、11042位、11461位、11637位、11818位、12407位、13325位、13326位、13450位、15854位、16623位、17913位、17921位、18797位、18863位、19028位、19059位または19099位いずれかの多型部位
〔5〕 多型部位が、それぞれ以下の(1b)〜(3b)に記載の多型部位である、〔3〕に記載の検査方法、
(1b)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の多型部位
(2b)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における21151位の多型部位
(3b)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における10001位の多型部位
〔6〕 〔5〕の(1b)〜(3b)に記載の多型部位における塩基種が、それぞれ以下の(1c)〜(3c)である場合に、被検者はC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性であると判定される〔5〕に記載の検査方法、
(1c)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の塩基種がC
(2c)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における21151位の塩基種がG
(3c)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における10001位の塩基種がC
〔7〕 被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法であって、以下の(1’)または(2’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックが検出された場合にC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性であるものと判定される方法、
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれG、C、およびCであるハプロタイプ
(2’)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、および28926位の多型部位の塩基種が、それぞれC、G、およびCであるハプロタイプ
〔8〕 被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査方法であって、以下の(1’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックが検出された場合にC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性であるものと判定される方法、
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれA、G、およびGであるハプロタイプ
〔9〕 以下の工程(a)および(b)を含む、被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法、
(a) 被検者における以下の(1)または(2)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位について、塩基種を決定する工程、
(1)SCYB14、(2)GFRA1
(b) (a)で決定された塩基種が、以下の(1')または(2')に記載のハプロタイプを示す前記遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における前記多型部位の塩基種と同一であった場合に、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性であるものと判定する工程
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれG、C、およびCであるハプロタイプ
(2’)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、および28926位の多型部位の塩基種が、それぞれC、G、およびCであるハプロタイプ
〔10〕 以下の工程(a)および(b)を含む、被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査方法、
(a) 被検者における以下の(1)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位について、塩基種を決定する工程、
(1)SCYB14
(b) (a)で決定された塩基種が、以下の(1')に記載のハプロタイプを示す前記遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における前記多型部位の塩基種と同一であった場合に、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性であるものと判定する工程
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれA、G、およびGであるハプロタイプ
〔11〕 前記(a)の多型部位が以下の(1)または(2)に記載の多型部位である、〔9〕または〔10〕に記載の検査方法、
(1)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位、3454位、4765位、6189位、7038位、7154位、8244位、8630位、8740位、9052位、9054位、9151位、9179位、10001位、10998位、13929位、14163位、14325位、15949位、17378位、17379位、19182位、20122位、20169位、20885位、20886位、21705位、23395位、23541位、24286位、24592位、24594位、25767位、25938位、26561位、27381位、28265位、28674位、29560位、30284位、30978位、31932位、33753位、35039位、または36194位のいずれかの多型部位
(2)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位、2666位、2836位、4226位、4897位、5008位、5044位、5845位、6348位、6381位、6915位、6960位、7340位、7466位、7492位、10001位、10702位、11685位、11731位、12461位、12552位、12814位、13482位、15067位、15080位、15253位、15299位、16065位、16540位、16668位、16848位、17020位、17118位、17196位、17485位、17560位、19019位、19596位、19602位、20293位、20321位、20647位、21151位、21406位、21502位、21927位、22008位、22254位、23580位、24061位、24163位、24214位、24393位、24491位、25300位、25948位、26523位、27081位、27435位、28120位、28260位、28832位、28926位、28951位、30815位、31243位、31283位、31395位、31506位、31765位、34078位、34519位、35884位、35922位、36345位、36663位、36745位、36907位、36923位、36946位、37397位、37470位、37501位、38538位、38546位または38913位のいずれかの多型部位
〔12〕 前記(a)の多型部位が、以下の(1)または(2)に記載の多型部位である、〔9〕または〔10〕に記載の検査方法、
(1)SCYB14遺伝子上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、または26561位のいずれかの多型部位
(2)GFRA1遺伝子上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、または28926位のいずれかの多型部位
〔13〕 C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かの検査方法であって、被検者におけるSCYB14遺伝子の発現量が対照と比較して低下している場合に、被検者はC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に罹患している、もしくは該疾患に対して感受性であるものと判定する方法、
〔14〕 被検者由来の生体試料を被検試料として検査に供する、〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の検査方法、
〔15〕 肝疾患が肝細胞癌である、〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の検査方法、
〔16〕 〔4〕の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬、
〔17〕 〔4〕の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAとハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された固相からなる、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬、
〔18〕 〔4〕の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAを増幅するためのプライマーオリゴヌクレオチドを含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬、
〔19〕 肝疾患が肝細胞癌である、〔16〕〜〔18〕のいずれかに記載の試薬、
〔20〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患の治療もしくは予防のための薬剤のスクリーニング方法、
(a)SCYB14遺伝子を発現する細胞に、被検化合物を接触させる工程
(b)該SCYB14遺伝子の発現レベルを測定する工程
(c)被検化合物を接触させない場合と比較して、該発現レベルを上昇させる化合物を選択する工程
〔21〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患の治療もしくは予防のための薬剤のスクリーニング方法、
(a)SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被検化合物を接触させる工程
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
(c)被検化合物の非存在下において測定した場合と比較して、該発現レベルを上昇させる化合物を選択する工程、を提供するものである。
本発明によって、HCV感染に起因する肝疾患に関連する遺伝子、および、該遺伝子上もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における変異を検出することによるHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性もしくは抵抗性か否かの検査方法が提供された。本発明の遺伝子上もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型を検出することで、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性もしくは抵抗性か否か、つまりHCV感染に起因する肝疾患に罹患しやすいか否かが検査可能となる。本発明によりHCV感染に起因する肝疾患に対する予防や治療における、より効率的な戦略を立てること、具体的にはHCV感染に起因する肝疾患に対する感受性もしくは抵抗性を診断することにより、感受性を有すると判定された患者は検査の頻度を上げるといった治療方針を決める際の一助となるものと大いに期待される。
本発明者らによって、HCV感染に起因する肝疾患に関連する遺伝子および多型が同定された。肝疾患を罹患するHCV感染患者においては、有意にこれら遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域において変異が見出されることから、該遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における変異の有無を調べることにより、被検者についてHCVに起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査を行うことが可能である。
本発明者らによって、HCV感染に起因する肝疾患と関連することが見出された遺伝子は、以下の(1)〜(3)に示す遺伝子である。括弧内には遺伝子座を示す。括弧の後ろにGenBankのアクセッション番号を示す。
(1)SCYB14 : small inducible cytokine B14 precursor (5q31) AF144103,AI743431,BC003513
(2)GFRA1 : GDNF family receptor alpha 1 (10q26) AF038421,BC014962
(3)CRHR2 : corticotropin releasing hormone receptor 2 (7p15.1) AF019381,U34587
これら遺伝子の塩基配列、およびそれら遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列に関する情報は、上記のGenBankのアクセッション番号から、容易に取得することが可能である。また当業者においては、上記の遺伝子表記(遺伝子名)を基に、公共の遺伝子データベースあるいは文献データベース等から遺伝子の塩基配列、および該遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列に関する情報を容易に入手することが可能である。
上記の知見に基づき、本発明は、被検者について、上記(1)〜(3)のいずれかの遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における変異を検出することを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査する方法を提供する。
なお、本発明において「いずれかに記載の遺伝子」とは、上記(1)〜(3)のいずれか少なくとも1以上の遺伝子を意味する。即ち、上記(1)〜(3)の複数の遺伝子もしくはそれら各遺伝子の近傍DNA領域における変異を検出することによって、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査を行う場合も、本発明に含まれる。
本発明において「HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査」とは、被検者についてHCV感染に起因する肝疾患に罹患する可能性が高いか低いかを判定するための検査が含まれる。本発明の方法においては、上記(1)〜(3)のいずれかの遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域において変異が検出された場合に、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性である、あるいは感受性の素因を有すると判定される。または、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性ではない、あるいは抵抗性の素因を有さないと判定される。
一方、上記(1)〜(3)のいずれかの遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域において変異が検出されない場合に、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性である、あるいは抵抗性の素因を有すると判定される。または、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性ではない、あるいは感受性の素因を有さないと判定される。
本発明の方法により、HCVに感染していない被検者であっても、HCVに感染した場合に肝疾患を罹患する可能性が高いか低いかを判定することができる。また既にHCV感染している被検者の場合は、肝疾患が進行する可能性が高いか低いかを判定することができ、治療方針の決定等に利用する事ができる。
なお、本明細書で用いられる「治療」とは、通常、薬理学的なおよび/または生理学的な効果を得ることを意味する。効果とは、疾患や症状を完全にあるいは部分的に妨げる点で予防的であってもよく、疾患の症状を完全にあるいは部分的に治療する点で治療的であっても良い。本明細書における「治療」とは、哺乳類、特にヒトにおける疾患の治療すべてを含んでいる。そしてさらに、疾患の素因があるが未だ発病していると診断されていない被検者の発病の予防、疾患の進行を抑制すること、または疾患を軽減させることなどもこの「治療」に含まれる。
C型急性肝炎の多くは慢性化し、慢性化した場合、慢性肝炎を経て、肝硬変あるいは肝細胞癌へと進行する可能性が高いとされている。そのため、本発明の検査方法により、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性かどうかを判定し、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性であると判定された患者は、C型肝炎が慢性化する前に適切な治療を選択し、HCV感染に起因する肝疾患の発症を事前に予防することができると考えられる。
一般に、肝疾患は症状が進行するまで自覚症状のない場合が多く、例えば肝細胞癌の場合、腹痛や黄だんなどの症状が現れるが、これらの症状が出る時にはすでに手遅れの状態が多く、早期の肝細胞癌はほとんど症状を認めないと言われている。このため、早期発見が非常に重要となる。肝細胞癌患者の多くがHCVに罹患していることから、本発明の検査方法によって、自覚症状が出る前に肝疾患に対する感受性を判定することができ、肝疾患の発症を事前に予防することができると考えられる。
本発明における肝疾患とは、例えば、肝炎、肝硬変、肝繊維症、肝細胞癌を挙げることができる。本発明においては、好ましくは肝細胞癌である。
なお、本発明における被検者は、特に制限されないが、HCV感染者であることが好ましい。
本発明の上記(1)〜(3)の各遺伝子のDNA配列、および該遺伝子の近傍DNA配列としては、具体的には、例えば配列番号:1〜3に記載の配列が挙げられる。配列番号:1〜3に記載の配列は、mapping info(NCBI build33)の結果に基づいて作製した配列である。本発明における「遺伝子の近傍DNA領域」とは、通常、該遺伝子の近傍の染色体上の領域を指す。近傍とは、特に制限されるものではないが、通常、本発明の多型部位を含むDNA領域であり、一例を示せば、配列番号:1〜3にいずれかに記載のDNA領域を挙げることができる。
上記本発明の検査方法における「変異」の位置は、予め規定することは困難であるが、通常、上記遺伝子のORF中、あるいは上記遺伝子の発現を制御する領域(例えば、プロモーター領域、エンハンサー領域等)中に存在するが、これらに限定されるものではない。また、この「変異」とは、上記遺伝子の発現量を変化させる、mRNAの安定性等の性質を変化させる、あるいは上記遺伝子によってコードされるタンパク質の有する活性を変化させるような変異であることが多いが、特に制限されない。本発明の変異としては、例えば、塩基の付加、欠失、置換、挿入変異等を挙げることができる。
本発明者らは、被検者における本発明の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域において、HCV感染に起因する肝疾患に対して有意に関連する多型変異を見出すことに成功した。従って、本発明の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位について変異の有無を指標とする(塩基種を決定する)ことにより、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査を行なうことが可能である。
なお、上記の「遺伝子の近傍DNA領域」とは、通常該遺伝子の近傍の染色体上の領域を指す。近傍とは特に制限されるものではないが、通常、本発明の多型部位を含むDNA領域であり、好ましくは多型部位または多型部位を含むLDブロック(連鎖不平衡ブロック)の末端部位から10kb以内の領域を指す。
前後10kbすなわち20kb以内の範囲にある多型は、Gabrielらの報告の通り、連鎖している可能性が高い(Gabriel SB, Schaffner SF, Nguyen H et al. The structure of haplotype blocks in the human genome. Science 296, 2225-9. 2002)。
上記(1)〜(3)の各遺伝子および該遺伝子の近傍DNA配列の一例を、それぞれ配列番号:1〜3に示す。例えば、配列番号:1に記載の塩基配列は、SCYB14遺伝子および該遺伝子の近傍のDNA配列の一例を示す。
本発明の好ましい態様においては、本発明の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型変異(多型部位における塩基種)を検出することを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査する方法である。
多型とは、遺伝学的には、人口中1%以上の頻度で存在している1遺伝子におけるある塩基の変化と一般的に定義されるが、本発明における「多型」は、この定義に制限されない。本発明における多型の種類としては、例えば、一塩基多型、一から数十塩基(時には数千塩基)が欠失あるいは挿入している多型等が挙げられる。さらに、多型部位の数も、1個に限定されず、複数個の多型であってもよい。
また本発明は、被検者について、本発明の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査する方法を提供する。
本発明のHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査する方法における「多型部位」は、本発明の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域に存在する多型であれば、特に制限されない。具体的には、本発明のHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法に利用可能な多型部位として、上記(1)〜(3)のいずれかの遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域に存在する、以下の(1a)〜(3a)に記載の多型部位を挙げることができる。(なお、本明細書においては、これらの多型部位を単に『本発明の多型部位』と記載する場合がある)。
(1a)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位、3454位、4765位、6189位、7038位、7154位、8244位、8630位、8740位、9052位、9054位、9151位、9179位、10001位、10998位、13929位、14163位、14325位、15949位、17378位、17379位、19182位、20122位、20169位、20885位、20886位、21705位、23395位、23541位、24286位、24592位、24594位、25767位、25938位、26561位、27381位、28265位、28674位、29560位、30284位、30978位、31932位、33753位、35039位、または36194位のいずれかの多型部位
(2a)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位、2666位、2836位、4226位、4897位、5008位、5044位、5845位、6348位、6381位、6915位、6960位、7340位、7466位、7492位、10001位、10702位、11685位、11731位、12461位、12552位、12814位、13482位、15067位、15080位、15253位、15299位、16065位、16540位、16668位、16848位、17020位、17118位、17196位、17485位、17560位、19019位、19596位、19602位、20293位、20321位、20647位、21151位、21406位、21502位、21927位、22008位、22254位、23580位、24061位、24163位、24214位、24393位、24491位、25300位、25948位、26523位、27081位、27435位、28120位、28260位、28832位、28926位、28951位、30815位、31243位、31283位、31395位、31506位、31765位、34078位、34519位、35884位、35922位、36345位、36663位、36745位、36907位、36923位、36946位、37397位、37470位、37501位、38538位、38546位または38913位のいずれかの多型部位
(3a)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における660位、1761位、1897位、2833位、4878位、5319位、5592位、5953位、6059位、6202位、6966位、7659位、7691位、7794位、8131位、8931位、9264位、9445位、9465位、9466位、10001位、10401位、11042位、11461位、11637位、11818位、12407位、13325位、13326位、13450位、15854位、16623位、17913位、17921位、18797位、18863位、19028位、19059位または19099位のいずれかの多型部位
より詳細には、以下の表1〜表3に示す。
なお、表中、*はアッセイしたSNP、**はアッセイし、統計解析により有意差が認められたSNPを示し、網掛け領域はハプロタイプと見なされた領域を示す。また、「アリル1」、「アリル2」、および「アリル3」のカラムにて記載した塩基種は、当該部位の相補鎖側を記載しているものもあるが、当業者においては掲載されたdbSNPデータベースのrs番号をもとに、当該部位についての塩基種の情報を適宜取得することができる。なお、CRHR2遺伝子のrs2008003は3通りの多型が存在する(「アリル3」カラム参照)また、SNP ID欄の記載内容は、先頭にrsが付くものはdbSNPデータベースの登録IDのうちNCBIにより一配列に一意に定まるIDを付与されたものである。また、dbSNPデータベースはウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/index.html)に公開されており、SNP ID欄に記載された登録ID番号を用いてウェブサイト上で検索することにより、塩基配列におけるSNPsの詳細な情報(例えば、染色体上の位置、多型部位の塩基の種類、前後の配列等)が入手できる。(SNP ID欄が空欄のものは、公共データベースに掲載されていないSNPである。)これらの情報を用いた場合、当業者においては、本発明に記載する検査を容易に行うことができる。
本発明の多型部位の前後配列の具体例を、後述の表11、15、および配列表(配列番号:4〜15)に記載する。
上記表中に示した多型部位の塩基種は配列表に示した配列に対して相補鎖側にある塩基種を示している場合があるが、本明細書において記載された前後配列、あるいは、dbSNPおよびJSNPデータベースにて公開される前後配列を用いれば異同を確認することは当業者にとって容易であり、検査を行うにあたってはプラス鎖とマイナス鎖のどちらを調べても必然的にもう一方の結果を決定することができる。上記表中の「SNP strand」にて、+は配列がプラス鎖であることを示し、−は配列がマイナス鎖であることを示す。なお、現在ヒトゲノム配列については、ほぼ最終版といわれているヒトゲノム国際プロジェクトbuild33が発表されており、本明細書に記した配列等はヒトゲノム国際プロジェクトbuild33の結果に基づいている。
〔SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位〕
〔GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位〕
表2−2は表2−1の続きである。
〔CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位〕
当業者においては、通常、本明細書において開示された多型に付与された登録ID番号、例えばdbSNPデータベースにおけるrs番号によって、本発明の多型部位の実際のゲノム上の位置および前後の配列等を容易に知ることができる。これによって、知ることができない場合であっても、当業者においては、配列番号:1〜3で示される塩基配列および多型部位等に関する情報から、適宜、該多型部位に相当する実際のゲノム上の位置を知ることは容易である。例えば、公開されているゲノムデータベース等と照会することにより、本発明の多型部位のゲノム上の位置を知ることができる。即ち、配列表に記載の塩基配列とゲノム上の実際の塩基配列との間に若干の塩基配列の相違がみられた場合であっても、配列表に記載の塩基配列を基にゲノム配列と相同性検索等を行うことにより、本発明の多型部位について、実際のゲノム上の位置を正確に知ることが可能である。また、ゲノム上の位置が特定できない場合でも、本明細書に記載の配列表および多型部位の情報から本発明に記載する検査を行うことは容易である。
また、ゲノムDNAは、通常、互いに相補的な二本鎖DNA構造を有している。従って、本明細書においては、便宜的に一方の鎖におけるDNA配列を示した場合であっても、当然の如く、当該配列(塩基)に相補的な配列も開示したものと解釈される。当業者にとって、一方のDNA配列(塩基)が判れば、該配列(塩基)に相補的な配列(塩基)は自明である。
なお、後述する実施例においては、配列番号:1〜3に記載の各配列に対する相補鎖を用いて試験を行なっているものもある。
本発明のHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法においては、以下の(1b)〜(3b)のいずれかに記載の多型部位について塩基種の決定を行なうことが好ましい。
(1b)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の多型部位
(2b)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における21151位の多型部位
(3b)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における10001位の多型部位
また本発明の好ましい態様においては、本発明の(1b)〜(3b)の多型部位における塩基種がそれぞれ以下の(1c)〜(3c)である場合に、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性であると判定される。被検者のHCV感染の有無に関係無く、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの判定を行うことができる。
(1c)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の塩基種がC
(2c)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における21151位の塩基種がG
(3c)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における10001位の塩基種がC
本発明においては、上記多型部位以外であっても、該多型部位とその周辺のDNA領域は強く連鎖しているものと考えられることから、上記多型部位の近傍の多型部位について塩基種を決定することによっても、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査が可能である。即ち、多型部位の塩基種が上記(1c)〜(3c)のいずれかの塩基種であるような、HCV感染していて肝疾患を発症している患者を含むヒトの小集団について、この「近傍の多型部位」(例えば、上記表1〜表3に記載の多型部位)における塩基種を予め決定する。
次いで、この「近傍の多型部位」について被検者における塩基種を決定し、予め決定された前記塩基種と比較することにより、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査を行うことができる。予め決定された塩基種と同一の塩基種である場合に、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性であると判定される。本発明の検査方法により、HCV感染者のHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを判定することができ、治療方針の決定や薬剤投与量の決定等に利用することができる。
例えば、SCYB14遺伝子の場合を例にとって説明する。まず、例えば、SCYB14遺伝子上の配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の多型部位の塩基種がCであるHCV感染に起因する肝疾患を発症している人を含むヒトの小集団について、近傍の多型部位、例えば13929位の多型部位の塩基種を決定する。この部位の塩基種が上記のHCV感染に起因する肝疾患を発症している人においてCである頻度が、上記HCV感染に起因する肝疾患を発症していない人に比べ高かった場合、被検者について13929位の多型部位の塩基種を調べ、この部位の塩基種が同様にCであった場合には、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性である(感受性の素因を有する)と判定される。
以上のように、本発明により、HCV感染に起因する肝疾患に関連する遺伝子上の領域が明らかになったことにより、当業者に過度の負担を強いることなく、上記HCV感染に起因する肝疾患に対する感受性について検査を行うことができる。
また、ヒトゲノムの解析が進み全塩基配列やSNP、マイクロサテライト、VNTR、RFLPsなどの多型情報も充実してきた。ゲノムの塩基配列について詳細が明らかになりつつある現在、最大の関心事は遺伝子あるいは特定の配列と機能(疾患・疾患の進行性などの表現型)との関連を解析することである。これを解決するための有力な手法の一つがハプロタイプを用いた遺伝統計学的解析である。
ヒトの染色体は2本1組で存在し、それぞれ父親と母親から由来している。ハプロタイプとは、その一方に関する個体の遺伝子型の組み合わせをいい、それぞれ父母由来の1本の染色体上に遺伝子座がどのように並んでいるかを示すものである。染色体を父母から1本づつ受け継ぐので、配偶子形成の際に組み換えが起きないとすれば1本の染色体上にのっている遺伝子は必ず一緒に子に伝えられる、すなわち連鎖する事になる。しかし、実際は減数分裂の際に組み換えが起きるため、1本の染色体上にのっている遺伝子であっても必ずしも連鎖しているわけではない。しかし逆に、遺伝的組み換えが起きた場合であっても同一染色体上の距離が近い遺伝子座は強く連鎖する。
このような現象を集団において観察し、アリルの非独立が認められる事を連鎖不平衡という。例えば、3つの遺伝子座を観察した場合、これらの間に連鎖不平衡がないとすると、存在するハプロタイプは23通りと予測され、それぞれの頻度は各遺伝子座の頻度から予測される値となるが、連鎖不平衡がある場合には23通りより少ないハプロタイプしか存在せず、その頻度も予測と異なる値を示す結果となる。
近年、ハプロタイプが連鎖不平衡解析に有用である事が示されており(Genetic Epidemiology 23:221-233)研究が行われているが、ゲノム上には組み換えが起きやすい部位と起きにくい部位があり、1つの領域として先祖から子孫へと伝えられる部分(ハプロタイプによって特定される領域)は人種を越えて共通性がある事が明らかになっている(Science 226, 5576:2225-2229)。即ち、強く連鎖するDNA領域が存在し、この領域は一般的にDNAブロックと呼ばれる。本発明においては、本発明の多型部位を含むDNAブロックの存在の有無を検出することによっても、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査を行うことができる。
即ち本発明の好ましい態様においては、以下の(1’)または(2’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックの存在が検出された場合にHCV感染に起因する疾患に対して感受性であるものと判定されることを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査する方法を提供する。
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれG、C、およびCであるハプロタイプ
(2’)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、および28926位の多型部位の塩基種が、それぞれC、G、およびCであるハプロタイプ
本発明において、DNAブロックとは、各遺伝子座間で強い連鎖不平衡を示す部位(領域)を指す。HCV感染に起因する肝疾患と関連するDNAブロックが見出されれば、該DNAブロックを検出することにより、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査が可能となる。
HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ(を示すDNAブロック)が見出されれば、該ハプロタイプを検出することにより、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査が可能となる。本発明者らは、鋭意研究により、HCV感染に起因する肝疾患に対する感受性と関連するハプロタイプを見出すことに成功した。
従って、本発明は上記(1)または(2)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域に存在する、HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ(を示すDNAブロック)を検出することを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法を提供する。
本方法においては、被検者について「HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ」を検出することで、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを判定することができる。これらの判定は例えば治療方針の決定等に利用することができる。
上記「HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ(を示すDNAブロック)」とは、具体的には以下の(1’)または(2’)のようなハプロタイプ(を示すDNAブロック)を挙げることができる。
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれG、C、およびCであるハプロタイプ
(2’)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、および28926位の多型部位の塩基種が、それぞれC、G、およびCであるハプロタイプ
上記方法の好ましい態様においては、以下の工程(a)および(b)を含む、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法である。
(a) 被検者における上記(1)または(2)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位の塩基種を決定する工程、
(b) 工程(a)で決定された塩基種が、上記(1’)または(2’)に記載のハプロタイプを示す前記遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における前記多型部位の塩基種と同一であった場合に、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性であるものと判定する工程
また本発明においては、以下の(1’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックの存在が検出された場合にHCV感染に起因する疾患に対して抵抗性であるものと判定されることを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かを検査する方法を提供する。
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれA、G、およびGであるハプロタイプ
本発明において「HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査」とは、被検者についてHCV感染に起因する肝疾患に罹患しない可能性が高いか低いかを判定するための検査が含まれる。本発明の方法においては、上記(1’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックの存在が検出された場合に、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性である、あるいは抵抗性の素因を有すると判定される。または、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性ではない、あるいは感受性の素因を有さないと判定される。
一方、上記(1’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックの存在が検出されない場合に、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に対して感受性である、あるいは感受性の素因を有すると判定される。または、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性ではない、あるいは抵抗性の素因を有さないと判定される。
HCV感染に起因する肝疾患と関連するDNAブロックが見出されれば、該DNAブロックを検出することにより、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査が可能となる。
HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ(を示すDNAブロック)が見出されれば、該ハプロタイプを検出することにより、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査が可能となる。本発明者らは、鋭意研究により、HCV感染に起因する肝疾患に対する抵抗性と関連するハプロタイプを見出すことに成功した。
従って、本発明は上記(1)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域に存在する、HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ(を示すDNAブロック)を検出することを特徴とする、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査方法を提供する。
本方法においては、被検者について「HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ」を検出することで、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かを判定することができる。これらの判定は例えば治療方針の決定等に利用することができる。
上記「HCV感染に起因する肝疾患と関連するハプロタイプ(を示すDNAブロック)」とは、具体的には以下の(1’)のようなハプロタイプ(を示すDNAブロック)を挙げることができる。
(1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれA、G、およびGであるハプロタイプ
上記方法の好ましい態様においては、以下の工程(a)および(b)を含む、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査方法である。
(a) 被検者における上記(1)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位の塩基種を決定する工程、
(b) 工程(a)で決定された塩基種が、上記(1’)に記載のハプロタイプを示す前記遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における前記多型部位の塩基種と同一であった場合に、HCV感染に起因する肝疾患に対して抵抗性であるものと判定する工程
なお、上記工程(a)における多型部位としては、例えば以下の部位を示すことができる。
(1)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における1位〜36561位のいずれかの多型部位
(2)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における1位〜38926位のいずれかの多型部位
好ましくは、上記工程(a)の多型部位として、例えば以下の部位を示すことができる。
(1)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位〜36194位のいずれかの多型部位
(2)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位〜38913位のいずれかの多型部位
さらに好ましくは、上記工程(a)の多型部位として、例えば以下の部位を示すことができる。
(1)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位、3454位、4765位、6189位、7038位、7154位、8244位、8630位、8740位、9052位、9054位、9151位、9179位、10001位、10998位、13929位、14163位、14325位、15949位、17378位、17379位、19182位、20122位、20169位、20885位、20886位、21705位、23395位、23541位、24286位、24592位、24594位、25767位、25938位、26561位、27381位、28265位、28674位、29560位、30284位、30978位、31932位、33753位、35039位、または36194位のいずれかの多型部位
(2)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位、2666位、2836位、4226位、4897位、5008位、5044位、5845位、6348位、6381位、6915位、6960位、7340位、7466位、7492位、10001位、10702位、11685位、11731位、12461位、12552位、12814位、13482位、15067位、15080位、15253位、15299位、16065位、16540位、16668位、16848位、17020位、17118位、17196位、17485位、17560位、19019位、19596位、19602位、20293位、20321位、20647位、21151位、21406位、21502位、21927位、22008位、22254位、23580位、24061位、24163位、24214位、24393位、24491位、25300位、25948位、26523位、27081位、27435位、28120位、28260位、28832位、28926位、28951位、30815位、31243位、31283位、31395位、31506位、31765位、34078位、34519位、35884位、35922位、36345位、36663位、36745位、36907位、36923位、36946位、37397位、37470位、37501位、38538位、38546位または38913位のいずれかの多型部位
より好ましくは、上記工程(a)の多型部位として、以下の多型部位を示すことができる。
(1)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、または26561位のいずれかの多型部位
(2)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、または28926位のいずれかの多型部位
本発明の多型部位における塩基種の決定は、当業者においては種々の方法によって行うことができる。一例を示せば、本発明の多型部位を含むDNAの塩基配列を直接決定することによって行うことができる。
本発明の検査方法に供する被検試料は、通常、予め被検者から取得された生体試料であることが好ましい。生体試料としては、例えばDNA試料を挙げることができる。本発明におけるDNA試料は、例えば被検者の血液、皮膚、口腔粘膜、手術により採取あるいは切除した組織または細胞、検査等の目的で採取された体液等から抽出した染色体DNA、あるいはRNAを基に調製することができる。
即ち本発明は、通常、被検者由来の生体試料(予め被検者から取得された生体試料)を被検試料として検査に供する方法である。
当業者においては、公知の技術を用いて、適宜、生体試料の調製を行うことができる。例えば、DNA試料は、本発明の多型部位を含むDNAにハイブリダイズするプライマーを用いて、染色体DNA、あるいはRNAを鋳型としたPCR等によって調製することができる。
本方法においては、次いで、単離したDNAの塩基配列を決定する。単離したDNAの塩基配列の決定は、当業者においては、DNAシークエンサー等を用いて容易に実施することができる。
本発明の多型部位は、通常、その部位の塩基種のバリエーションが既に明らかになっている。本発明における「塩基種の決定」とは、必ずしもその多型部位についてA、G、T、Cのいずれかの塩基種であるかを判別することを意味するものではない。例えば、ある多型部位について塩基種のバリエーションがAまたはGであることが判明している場合には、その部位の塩基種が「Aでない」もしくは「Gでない」ことが判明すれば充分である。
予め塩基のバリエーションが明らかにされている多型部位について、その塩基種を決定するための様々な方法が公知である。本発明の塩基種の決定方法は、特に限定されない。例えば、PCR法を応用した解析方法として、TaqMan PCR法、AcycloPrime法、およびMALDI-TOF/MS法等が実用化されている。またPCRに依存しない塩基種の決定法としてInvader法やRCA法が知られている。更にDNAアレイを使って塩基種を決定することもできる。以下にこれらの方法について簡単に述べる。ここに述べた方法は、いずれも本発明における多型部位の塩基種の決定に応用できる。
[TaqMan PCR法]
TaqMan PCR法の原理は次のとおりである。TaqMan PCR法は、アリルを含む領域を増幅することができるプライマーセットと、TaqManプローブを利用した解析方法である。TaqManプローブは、このプライマーセットによって増幅されるアリルを含む領域にハイブリダイズするように設計される。
TaqManプローブのTmに近い条件で標的塩基配列にハイブリダイズさせれば、1塩基の相違によってTaqManプローブのハイブリダイズ効率は著しく低下する。TaqManプローブの存在下でPCR法を行うと、プライマーからの伸長反応は、いずれハイブリダイズしたTaqManプローブに到達する。このときDNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって、TaqManプローブはその5'末端から分解される。TaqManプローブをレポーター色素とクエンチャーで標識しておけば、TaqManプローブの分解を、蛍光シグナルの変化として追跡することができる。つまり、TaqManプローブの分解が起きれば、レポーター色素が遊離してクエンチャーとの距離が離れることによって蛍光シグナルが生成する。1塩基の相違のためにTaqManプローブのハイブリダイズが低下すればTaqManプローブの分解が進まず蛍光シグナルは生成されない。
多型に対応するTaqManプローブをデザインし、更に各プローブの分解によって異なるシグナルが生成されるようにすれば、同時に塩基種の判定を行うこともできる。例えば、レポーター色素として、あるアリルのアリルAのTaqManプローブに6-carboxy-fluorescein(FAM)を、アリルBのプローブにVICを用いる。プローブが分解されない状態では、クエンチャーによってレポーター色素の蛍光シグナル生成は抑制されている。各プローブが対応するアリルにハイブリダイズすれば、ハイブリダイズに応じた蛍光シグナルが観察される。すなわち、FAMまたはVICのいずれかのシグナルが他方よりも強い場合には、アリルAまたはアリルBのホモであることが判明する。他方、アリルをヘテロで有する場合には、両者のシグナルがほぼ同じレベルで検出されることになる。TaqMan PCR法の利用によって、ゲル上での分離のような時間のかかる工程無しで、ゲノムを解析対象としてPCRと塩基種の決定を同時に行うことができる。そのため、TaqMan PCR法は、多くの被検者についての塩基種を決定できる方法として有用である。
[AcycloPrime法]
PCR法を利用した塩基種を決定する方法として、AcycloPrime法も実用化されている。AcycloPrime法では、ゲノム増幅用のプライマー1組と、多型検出用の1つのプライマーを用いる。まず、ゲノムの多型部位を含む領域をPCRで増幅する。この工程は、通常のゲノムPCRと同じである。次に、得られたPCR産物に対して、SNPs検出用のプライマーをアニールさせ、伸長反応を行う。SNPs検出用のプライマーは、検出対象となっている多型部位に隣接する領域にアニールするようにデザインされている。
このとき、伸長反応のためのヌクレオチド基質として、蛍光偏光色素でラベルし、かつ3'-OHをブロックしたヌクレオチド誘導体(ターミネータ)を用いる。その結果、多型部位に相当する位置の塩基に相補的な塩基が1塩基だけ取りこまれて伸長反応が停止する。ヌクレオチド誘導体のプライマーへの取りこみは、分子量の増大による蛍光偏光(Fluorescence polarization;FP)の増加によって検出することができる。蛍光偏光色素に波長の異なる2種類のラベルを用いれば、特定のSNPsが2種類の塩基のうちのいずれであるのかを特定することができる。蛍光偏光のレベルは定量することができるので、1度の解析でアリルがホモかヘテロかを判定することもできる。
[MALDI-TOF/MS法]
PCR産物をMALDI-TOF/MSで解析することによって塩基種の決定を行うこともできる。MALDI-TOF/MSは、分子量をきわめて正確に知ることができるため、タンパク質のアミノ酸配列や、DNAの塩基配列のわずかな相違を明瞭に識別することができる解析手法として様々な分野で利用されている。MALDI-TOF/MSによる塩基種の決定のためには、まず解析対象であるアリルを含む領域をPCRで増幅する。次いで増幅産物を単離してMALDI-TOF/MSによってその分子量を測定する。アリルの塩基配列は予めわかっているので、分子量に基づいて増幅産物の塩基配列は一義的に決定される。
MALDI-TOF/MSを利用した塩基種の決定には、PCR産物の分離工程などが必要となる。しかし標識プライマーや標識プローブを使わないで、正確な塩基種の決定が期待できる。また複数の場所の多型の同時検出にも応用することができる。
[IIs型制限酵素を利用したSNPs特異的な標識方法]
PCR法を利用した更に高速な塩基種の決定が可能な方法も報告されている。例えば、IIs型制限酵素を利用して多型部位の塩基種の決定が行われている。この方法においては、PCRにあたり、IIs型制限酵素の認識配列を有するプライマーが用いられる。遺伝子組み換えに利用される一般的な制限酵素(II型)は、特定の塩基配列を認識して、その塩基配列中の特定部位を切断する。これに対してIIs型の制限酵素は、特定の塩基配列を認識して、認識塩基配列から離れた部位を切断する。酵素によって、認識配列と切断個所の間の塩基数は決まっている。従って、この塩基数の分だけ離れた位置にIIs型制限酵素の認識配列を含むプライマーがアニールするようにすれば、IIs型制限酵素によってちょうど多型部位で増幅産物を切断することができる。
IIs型制限酵素で切断された増幅産物の末端には、SNPsの塩基を含む付着末端(conhesive end)が形成される。ここで、増幅産物の付着末端に対応する塩基配列からなるアダプターをライゲーションする。アダプターは、多型変異に対応する塩基を含む異なる塩基配列からなり、それぞれ異なる蛍光色素で標識しておくことができる。最終的に、増幅産物は多型部位の塩基に対応する蛍光色素で標識される。
前記IIs型制限酵素認識配列を含むプライマーに、捕捉プライマー(capture primer)を組み合わせてPCR法を行えば、増幅産物は蛍光標識されるとともに、捕捉プライマーを利用して固相化することができる。例えばビオチン標識プライマーを捕捉プライマーとして用いれば、増幅産物はアビジン結合ビーズに捕捉することができる。こうして捕捉された増幅産物の蛍光色素を追跡することにより、塩基種を決定することができる。
[磁気蛍光ビーズを使った多型部位における塩基種の決定]
複数のアリルを単一の反応系で並行して解析することができる技術も公知である。複数のアリルを並行して解析することは、多重化と呼ばれている。一般に蛍光シグナルを利用したタイピング方法では、多重化のために異なる蛍光波長を有する蛍光成分が必要である。しかし実際の解析に利用することができる蛍光成分は、それほど多くない。これに対して、樹脂等に複数種の蛍光成分を混合した場合には、限られた種類の蛍光成分であっても、相互に識別可能な多様な蛍光シグナルを得ることができる。更に、樹脂中に磁気で吸着される成分を加えれば蛍光を発するとともに、磁気によって分離可能なビーズとすることができる。このような磁気蛍光ビーズを利用した、多重化多型タイピングが考え出された(バイオサイエンスとバイオインダストリー, Vol.60 No.12, 821-824)。
磁気蛍光ビーズを利用した多重化多型タイピングにおいては、各アリルの多型部位に相補的な塩基を末端に有するプローブが磁気蛍光ビーズに固定化される。各アリルにそれぞれ固有の蛍光シグナルを有する磁気蛍光ビーズが対応するように、両者は組み合わせられる。一方、磁気蛍光ビーズに固定されたプローブが相補配列にハイブリダイズしたときに、当該アリル上で隣接する領域に相補的な塩基配列を有する蛍光標識オリゴDNAを調製する。
アリルを含む領域を非対称PCRによって増幅し、上記の磁気蛍光ビーズ固定化プローブと蛍光標識オリゴDNAをハイブリダイズさせ、更に両者をライゲーションする。磁気蛍光ビーズ固定化プローブの末端が、多型部位の塩基に相補的な塩基配列であった場合には効率的にライゲーションされる。逆にもしも多型のために末端の塩基が異なれば、両者のライゲーション効率は低下する。その結果、各磁気蛍光ビーズには、試料が当該磁気蛍光ビーズに相補的な塩基種であった場合に限り、蛍光標識オリゴDNAが結合する。
磁気によって磁気蛍光ビーズを回収し、更に各磁気蛍光ビーズ上の蛍光標識オリゴDNAの存在を検出することにより、塩基種が決定される。磁気蛍光ビーズは、フローサイトメーターでビーズ毎に蛍光シグナルを解析できるので、多種類の磁気蛍光ビーズが混合されていてもシグナルの分離は容易である。つまり、多種類の多型部位について、単一の反応容器で並行して解析する「多重化」が達成される。
[Invader法]
PCR法に依存しないジェノタイピングのための方法も実用化されている。例えば、Invader法では、アリルプローブ、インベーダープローブ、およびFRETプローブの3種類のオリゴヌクレオチドと、cleavaseと呼ばれる特殊なヌクレアーゼのみで、塩基種の決定を実現している。これらのプローブのうち標識が必要なのはFRETプローブのみである。
アリルプローブは、検出すべきアリルに隣接する領域にハイブリダイズするようにデザインされる。アリルプローブの5'側には、ハイブリダイズに無関係な塩基配列からなるフラップが連結されている。アリルプローブは多型部位の3'側にハイブリダイズし、多型部位の上でフラップに連結する構造を有する。
一方インベーダープローブは、多型部位の5'側にハイブリダイズする塩基配列からなっている。インベーダープローブの塩基配列は、ハイブリダイズによって3'末端が多型部位に相当するようにデザインされている。インベーダープローブにおける多型部位に相当する位置の塩基は任意で良い。つまり、多型部位を挟んでインベーダープローブとアリルプローブとが隣接してハイブリダイズするように両者の塩基配列はデザインされている。
多型部位がアリルプローブの塩基配列に相補的な塩基であった場合には、インベーダープローブとアリルプローブの両者がアリルにハイブリダイズすると、アリルプローブの多型部位に相当する塩基にインベーダープローブが侵入(invasion)した構造が形成される。cleavaseは、このようにして形成された侵入構造を形成したオリゴヌクレオチドのうち、侵入された側の鎖を切断する。切断は侵入構造の上で起きるので、結果としてアリルプローブのフラップが切り離されることになる。一方、もしも多型部位の塩基がアリルプローブの塩基に相補的でなかった場合には、多型部位におけるインベーダープローブとアリルプローブの競合は無く、侵入構造は形成されない。したがってcleavaseによるフラップの切断が起こらない。
FRETプローブは、こうして切り離されたフラップを検出するためのプローブである。FRETプローブは5'末端側に自己相補配列を有し、3'末端側に1本鎖部分が配置されたヘアピンループを構成している。FRETプローブの3'末端側に配置された1本鎖部分は、フラップに相補的な塩基配列からなっていて、ここにフラップがハイブリダイズすることができる。フラップがFRETプローブにハイブリダイズすると、FRETプローブの自己相補配列の5'末端部分にフラップの3'末端が侵入した構造が形成されるように両者の塩基配列がデザインされている。cleavaseは侵入構造を認識して切断する。FRETプローブのcleavaseによって切断される部分を挟んで、TaqMan PCRと同様のレポーター色素とクエンチャーで標識しておけば、FRETプローブの切断を蛍光シグナルの変化として検知することができる。
なお、理論的には、フラップは切断されない状態でもFRETプローブにハイブリダイズするはずである。しかし実際には、切断されたフラップとアリルプローブの状態で存在しているフラップとでは、FRETに対する結合効率に大きな差がある。そのため、FRETプローブを利用して、切断されたフラップを特異的に検出することは可能である。
Invader法に基づいて塩基種を決定するためには、アリルAとアリルBのそれぞれに相補的な塩基配列を含む、2種類のアリルプローブを用意すれば良い。このとき両者のフラップの塩基配列は異なる塩基配列とする。フラップを検出するためのFRETプローブも2種類を用意し、それぞれのレポーター色素を識別可能なものとしておけば、TaqMan PCR法と同様の考え方によって、塩基種を決定することができる。
Invader法の利点は、標識の必要なオリゴヌクレオチドがFRETプローブのみであることである。FRETプローブは検出対象の塩基配列とは無関係に、同一のオリゴヌクレオチドを利用することができる。従って、大量生産が可能である。一方アリルプローブとインベーダープローブは標識する必要が無いので、結局、ジェノタイピングのための試薬を安価に製造することができる。
[RCA法]
PCR法に依存しない塩基種の決定方法として、RCA法を挙げることができる。鎖置換作用を有するDNAポリメラーゼが、環状の1本鎖DNAを鋳型として、長い相補鎖を合成する反応に基づくDNAの増幅方法が、Rolling Circle Amplification(RCA)法である(Lizardri PM et al.,Nature Genetics 19, 225, 1998)。RCA法においては、環状DNAにアニールして相補鎖合成を開始するプライマーと、このプライマーによって生成する長い相補鎖にアニールする第2のプライマーを利用して、増幅反応を構成している。
RCA法には、鎖置換作用を有するDNAポリメラーゼが利用されている。そのため、相補鎖合成によって2本鎖となった部分は、より5'側にアニールした別のプライマーから開始した相補鎖合成反応によって置換される。例えば、環状DNAを鋳型とする相補鎖合成反応は、1周分では終了しない。先に合成した相補鎖を置換しながら相補鎖合成は継続し、長い1本鎖DNAが生成される。一方、環状DNAを鋳型として生成した長い1本鎖DNAには、第2のプライマーがアニールして相補鎖合成が開始する。RCA法において生成される1本鎖DNAは、環状のDNAを鋳型としていることから、その塩基配列は同じ塩基配列の繰り返しである。従って、長い1本鎖の連続的な生成は、第2のプライマーの連続的なアニールをもたらす。その結果、変性工程を経ることなく、プライマーがアニールすることができる1本鎖部分が連続的に生成される。こうして、DNAの増幅が達成される。
RCA法に必要な環状1本鎖DNAが多型部位の塩基種に応じて生成されれば、RCA法を利用して塩基種の決定をすることができる。そのために、直鎖状で1本鎖のパドロックプローブが利用される。パドロックプローブは、5'末端と3'末端に検出すべき多型部位の両側に相補的な塩基配列を有している。これらの塩基配列は、バックボーンと呼ばれる特殊な塩基配列からなる部分で連結されている。多型部位がパドロックプローブの末端に相補的な塩基配列であれば、アリルにハイブリダイズしたパドロックプローブの末端をDNAリガーゼによってライゲーションすることができる。その結果、直鎖状のパドロックプローブが環状化され、RCA法の反応がトリガーされる。DNAリガーゼの反応は、ライゲーションすべき末端部分が完全に相補的でない場合には反応効率が著しく低下する。従って、ライゲーションの有無をRCA法で確認することによって、多型部位の塩基種の決定が可能である。
RCA法は、DNAを増幅することはできるが、そのままではシグナルを生成しない。また増幅の有無のみを指標とするのでは、アリル毎に反応を行わなければ、通常、塩基種を決定することができない。これらの点を塩基種の決定のために改良した方法が公知である。例えば、モレキュラービーコンを利用して、RCA法に基づいて1チューブで塩基種の決定を行うことができる。モレキュラービーコンは、TaqMan法と同様に、蛍光色素とクエンチャーを利用したシグナル生成用プローブである。モレキュラービーコンの5'末端と3'末端は相補的な塩基配列で構成されており、単独ではヘアピン構造を形成する。両端付近を蛍光色素とクエンチャーで標識しておけば、ヘアピン構造を形成している状態では蛍光シグナルが検出できない。モレキュラービーコンの一部を、RCA法の増幅産物に相補的な塩基配列としておけば、モレキュラービーコンはRCA法の増幅産物にハイブリダイズする。ハイブリダイズによってヘアピン構造が解消されるため、蛍光シグナルが生成される。
モレキュラービーコンの利点は、パドロックプローブのバックボーン部分の塩基配列を利用することによって、検出対象とは無関係にモレキュラービーコンの塩基配列を共通にできる点である。アリル毎にバックボーンの塩基配列を変え、蛍光波長が異なる2種類のモレキュラービーコンを組み合わせれば、1チューブで塩基種の決定が可能である。蛍光標識プローブの合成コストは高いので、測定対象に関わらず共通のプローブを利用できることは、経済的なメリットである。
これらの方法はいずれも多量のサンプルを高速にジェノタイピングするために開発された方法である。MALDI-TOF/MSを除けば、通常、いずれの方法にも何らかの形で標識プローブなどを用意する必要がある。これに対して、標識プローブなどに頼らない塩基種決定法も古くから行われている。このような方法の一つとして、例えば、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism/RFLP)を利用した方法やPCR-RFLP法等が挙げられる。
RFLPは、制限酵素の認識部位の変異、あるいは制限酵素処理によって生じるDNA断片内における塩基の挿入または欠失が、制限酵素処理後に生じる断片の大きさの変化として検出できることを利用している。検出対象となる多型を含む塩基配列を認識する制限酵素が存在すれば、RFLPの原理によって多型部位の塩基を知ることができる。
標識プローブを必要としない方法として、DNAの二次構造の変化を指標として塩基の違いを検出する方法も公知である。PCR-SSCPでは、1本鎖DNAの二次構造がその塩基配列の相違を反映することを利用している(Cloning and polymerase chain reaction-single-strand conformation polymorphism analysis of anonymous Alu repeats on chromosome 11. Genomics. 1992 Jan 1; 12(1): 139-146.、Detection of p53 gene mutations in human brain tumors by single-strand conformation polymorphism analysis of polymerase chain reaction products. Oncogene. 1991 Aug 1; 6(8): 1313-1318.、Multiple fluorescence-based PCR-SSCP analysis with postlabeling.、PCR Methods Appl. 1995 Apr 1; 4(5): 275-282.)。PCR-SSCP法は、PCR産物を1本鎖DNAに解離させ、非変性ゲル上で分離する工程により実施される。ゲル上の移動度は、1本鎖DNAの二次構造によって変動するので、もしも多型部位における塩基の相違があれば、移動度の違いとして検出することができる。
その他、標識プローブを必要としない方法として、例えば、変性剤濃度勾配ゲル(denaturant gradient gel electrophoresis: DGGE法)等を例示することができる。DGGE法は、変性剤の濃度勾配のあるポリアクリルアミドゲル中で、DNA断片の混合物を泳動し、それぞれの不安定性の違いによってDNA断片を分離する方法である。ミスマッチのある不安定なDNA断片が、ゲル中のある変性剤濃度の部分まで移動すると、ミスマッチ周辺のDNA配列はその不安定さのために、部分的に1本鎖へと解離する。部分的に解離したDNA断片の移動度は、非常に遅くなり、解離部分のない完全な二本鎖DNAの移動度と差がつくことから、両者を分離することができる。
具体的には、まずPCR法等によって多型部位を含む領域を増幅する。増幅産物に、塩基配列がわかっているプローブDNAをハイブリダイズさせて2本鎖とする。これを尿素などの変性剤の濃度が移動するに従って徐々に高くなっているポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、対照と比較する。プローブDNAとのハイブリダイズによってミスマッチを生じたDNA断片では、より低い変性剤濃度位置でDNA断片が一本鎖になり、極端に移動速度が遅くなる。こうして生じた移動度の差を検出することによりミスマッチの有無を検出することができる。
更にDNAアレイを使って塩基種を決定することもできる(細胞工学別冊「DNAマイクロアレイと最新PCR法」,秀潤社,2000.4/20発行,pp97-103「オリゴDNAチップによるSNPの解析」,梶江慎一)。DNAアレイは、同一平面上に配置した多数のプローブに対してサンプルDNA(あるいはRNA)をハイブリダイズさせ、当該平面をスキャンすることによって、各プローブに対するハイブリダイズが検出される。多くのプローブに対する反応を同時に観察することができることから、例えば、多数の多型部位について同時に解析するには、DNAアレイは有用である。
一般にDNAアレイは、高密度に基板にプリントされた何千ものヌクレオチドで構成されている。通常これらのDNAは非透過性(non- porous)の基板の表層にプリントされる。基板の表層は、一般的にはガラスであるが、透過性(porous)の膜、例えばニトロセルロースメンブレムを使用することもできる。
本発明において、ヌクレオチドの固定(アレイ)方法として、Affymetrix社開発によるオリゴヌクレオチドを基本としたアレイが例示できる。オリゴヌクレオチドのアレイにおいて、オリゴヌクレオチドは通常インビトロ(in vitro)で合成される。例えば、photolithographicの技術(Affymetrix社)、および化学物質を固定させるためのインクジェット(Rosetta Inpharmatics社)技術等によるオリゴヌクレオチドのインサイチュ合成法が既に知られており、いずれの技術も本発明の基板の作製に利用することができる。
オリゴヌクレオチドは、検出すべきSNPsを含む領域に相補的な塩基配列で構成される。基板に結合させるヌクレオチドプローブの長さは、オリゴヌクレオチドを固定する場合は、通常10〜100ベースであり、好ましくは10〜50ベースであり、さらに好ましくは15〜25ベースである。更に、一般にDNAアレイ法においては、クロスハイブリダイゼーション(非特異的ハイブリダイゼーション)による誤差を避けるために、ミスマッチ(MM)プローブが用いられる。ミスマッチプローブは、標的塩基配列と完全に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとのペアを構成している。ミスマッチプローブに対して、完全に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドはパーフェクトマッチ(PM)プローブと呼ばれる。データ解析の過程で、ミスマッチプローブで観察されたシグナルを消去することによって、クロスハイブリダイゼーションの影響を小さくすることができる。
DNAアレイ法によるジェノタイピングのための試料は、被検者から採取された生物学的試料をもとに当業者に周知の方法で調製することができる。生物学的試料は特に限定されない。例えば被検者の血液、末梢血白血球、皮膚、口腔粘膜等の組織または細胞、涙、唾液、尿、糞便または毛髪から抽出した染色体DNAから、DNA試料を調製することができる。判定すべき多型部位を含む領域を増幅するためのプライマーを用いて、染色体DNAの特定の領域が増幅される。このとき、マルチプレックスPCR法によって複数の領域を同時に増幅することができる。マルチプレックスPCR法とは、複数組のプライマーセットを、同じ反応液中で用いるPCR法である。複数の多型部位を解析するときには、マルチプレックスPCR法が有用である。
一般にDNAアレイ法においては、PCR法によってDNA試料を増幅するとともに、増幅産物が標識される。増幅産物の標識には、標識を付したプライマーが利用される。例えば、まず多型部位を含む領域に特異的なプライマーセットによるPCR法でゲノムDNAを増幅する。次に、ビオチンラベルしたプライマーを使ったラベリングPCR法によって、ビオチンラベルされたDNAを合成する。こうして合成されたビオチンラベルDNAを、チップ上のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの反応液および反応条件は、基板に固定するヌクレオチドプローブの長さや反応温度等の条件に応じて、適宜調整することができる。当業者は、適切なハイブリダイゼーションの条件をデザインすることができる。ハイブリダイズしたDNAを検出するために、蛍光色素で標識したアビジンが添加される。アレイをスキャナで解析し、蛍光を指標としてハイブリダイズの有無を確認する。
上記方法をより具体的に示せば、被検者から調製した本発明の多型部位を含むDNA、およびヌクレオチドプローブが固定された固相、を取得した後、次いで、該DNAと該固相を接触させる。さらに、固相に固定されたヌクレオチドプローブにハイブリダイズしたDNAを検出することにより、本発明の多型部位の塩基種を決定する。
本発明において「固相」とは、ヌクレオチドを固定することが可能な材料を意味する。本発明の固相は、ヌクレオチドを固定することが可能であれば特に制限はないが、具体的には、マイクロプレートウェル、プラスチックビーズ、磁性粒子、基板などを含む固相等を例示することができる。本発明の「固相」としては、一般にDNAアレイ技術で使用される基板を好適に用いることができる。本発明において「基板」とは、ヌクレオチドを固定することが可能な板状の材料を意味する。また、本発明においてヌクレオチドには、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドが含まれる。
上記の方法以外にも、特定部位の塩基を検出するために、アリル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法が利用できる。アリル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)は、検出すべき多型部位が存在する領域にハイブリダイズする塩基配列で構成される。ASOを試料DNAにハイブリダイズさせるとき、多型によって多型部位にミスマッチが生じるとハイブリッド形成の効率が低下する。ミスマッチは、サザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法等によって検出することができる。また、リボヌクレアーゼAミスマッチ切断法によって、ミスマッチを検出することもできる。
上記オリゴヌクレオチドのうち、(1a)〜(3a)(好ましくは、前記(1b)〜(3b))のいずれかに記載の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドは、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬(検査薬)として利用できる。これは遺伝子発現を指標とする検査、または遺伝子多型を指標とする検査に使用される。
該オリゴヌクレオチドは、本発明の上記(1a)〜(3a)のいずれかの多型部位を含むDNAに特異的にハイブリダイズするものである。ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA,第2版1989に記載の条件)において、他のタンパク質をコードするDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。特異的なハイブリダイズが可能であれば、該オリゴヌクレオチドは、検出する遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における、上記(1)〜(3)のいずれかの塩基配列に対し、完全に相補的である必要はない。
該オリゴヌクレオチドは、上記本発明の検査方法におけるプローブやプライマーとして用いることができる。該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、本発明の上記(1a)〜(3a)のいずれかの多型部位を含むDNAの少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。
本発明は、本発明の多型部位を含む領域を増幅するためのプライマー、および多型部位を含むDNA領域にハイブリダイズするプローブを提供する。
本発明において、多型部位を含む領域を増幅するためのプライマーには、多型部位を含むDNAを鋳型として、多型部位に向かって相補鎖合成を開始することができるプライマーも含まれる。該プライマーは、多型部位を含むDNAにおける、多型部位の3'側に複製開始点を与えるためのプライマーと表現することもできる。プライマーがハイブリダイズする領域と多型部位との間隔は任意である。両者の間隔は、多型部位の塩基の解析手法に応じて、好適な塩基数を選択することができる。たとえば、DNAチップによる解析のためのプライマーであれば、多型部位を含む領域として、20〜500、通常50〜200塩基の長さの増幅産物が得られるようにプライマーをデザインすることができる。当業者においては、多型部位を含む周辺DNA領域についての塩基配列情報を基に、解析手法に応じたプライマーをデザインすることができる。本発明のプライマーを構成する塩基配列は、ゲノムの塩基配列に対して完全に相補的な塩基配列のみならず、適宜改変することができる。
本発明のプライマーには、ゲノムの塩基配列に相補的な塩基配列に加え、任意の塩基配列を付加することができる。例えば、IIs型の制限酵素を利用した多型の解析方法のためのプライマーにおいては、IIs型制限酵素の認識配列を付加したプライマーが利用される。このような、塩基配列を修飾したプライマーは、本発明のプライマーに含まれる。更に、本発明のプライマーは、修飾することができる。例えば、蛍光物質や、ビオチンまたはジゴキシンのような結合親和性物質で標識したプライマーが各種のジェノタイピング方法において利用される。これらの修飾を有するプライマーも本発明に含まれる。
一方本発明において、多型部位を含む領域にハイブリダイズするプローブとは、多型部位を含む領域の塩基配列を有するポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるプローブを言う。より具体的には、プローブの塩基配列中に多型部位を含むプローブは本発明のプローブとして好ましい。あるいは、多型部位における塩基の解析方法によっては、プローブの末端が多型部位に隣接する塩基に対応するように、デザインされる場合もある。従って、プローブ自身の塩基配列には多型部位が含まれないが、多型部位に隣接する領域に相補的な塩基配列を含むプローブも、本発明における望ましいプローブとして示すことができる。
言いかえれば、ゲノムDNA上の本発明の多型部位、または多型部位に隣接する部位にハイブリダイズすることができるプローブは、本発明のプローブとして好ましい。本発明のプローブには、プライマーと同様に、塩基配列の改変、塩基配列の付加、あるいは修飾が許される。例えば、Invader法に用いるプローブは、フラップを構成するゲノムとは無関係な塩基配列が付加される。このようなプローブも、多型部位を含む領域にハイブリダイズする限り、本発明のプローブに含まれる。本発明のプローブを構成する塩基配列は、ゲノムにおける本発明の多型部位の周辺DNA領域の塩基配列をもとに、解析方法に応じてデザインすることができる。
本発明のプライマーまたはプローブは、それを構成する塩基配列をもとに、任意の方法によって合成することができる。本発明のプライマーまたはプローブの、ゲノムDNAに相補的な塩基配列の長さは、通常15〜100、一般に15〜50、通常15〜30である。与えられた塩基配列に基づいて、当該塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する手法は公知である。更に、オリゴヌクレオチドの合成において、蛍光色素やビオチンなどで修飾されたヌクレオチド誘導体を利用して、オリゴヌクレオチドに任意の修飾を導入することもできる。あるいは、合成されたオリゴヌクレオチドに、蛍光色素などを結合する方法も公知である。
本発明はまた、本発明のHCV感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かの検査方法に使用するための試薬(検査薬)を提供する。本発明の試薬は、前記本発明のプライマーおよび/またはプローブを含む。HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査においては(1a)〜(3a)(好ましくは、前記(1b)〜(3b))のいずれかに記載の多型部位を含むDNAを増幅するためのプライマーおよび/またはプローブを用いる。
本発明の試薬には、塩基種の決定方法に応じて、各種の酵素、酵素基質、および緩衝液などを組み合わせることができる。酵素としては、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、あるいはIIs制限酵素などの、上記の塩基種決定方法として例示した各種の解析方法に必要な酵素を示すことができる。緩衝液は、これらの解析に用いる酵素の活性の維持に好適な緩衝液が、適宜選択される。更に、酵素基質としては、例えば、相補鎖合成用の基質等が用いられる。
更に本発明の試薬には、多型部位における塩基が明らかな対照を添付することができる。対照は、予め多型部位の塩基種が明らかなゲノム、あるいはゲノムの断片を用いることができる。ゲノムは、細胞から抽出されたものでもよいし、細胞あるいは細胞の分画を用いることもできる。細胞を対照として用いれば、対照の結果によってゲノムDNAの抽出操作が正しく行われたことを証明することができる。あるいは、多型部位を含む塩基配列からなるDNAを対照として用いることもできる。具体的には、本発明の多型部位における塩基種が明らかにされたゲノム由来のDNAを含むYACベクターやBACベクターは、対照として有用である。あるいは多型部位に相当する数百ベースのみを切り出して挿入したベクターを対照として用いることもできる。
さらに、本発明における試薬の別の態様は、本発明の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAとハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された固相からなる、HCV感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬である。
これらは本発明の多型部位を指標とする検査に使用される。これらの調製方法に関しては、上述の通りである。
また本発明は、被検者(被検者由来の生体試料)におけるSCYB14遺伝子の発現量を指標として、HCV感染に起因する肝疾患であるか否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かの判定を行うことも可能である。即ち本発明は、被検者におけるSCYB14遺伝子の発現量が対照と比較して低下している場合に、被検者はHCV感染に起因する肝疾患に罹患している、もしくは該疾患に対して感受性であるものと判定される、HCV感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査する方法を提供する。
上記方法においては、通常、被検者由来の生体試料を被検試料とする。該被検試料におけるSCYB14遺伝子の発現量の測定は、当業者においては公知の技術を用いて適宜実施することが可能である。なお、上記「対照」とは、通常、健常者由来の生体試料におけるSCYB14遺伝子の発現量を指す。なお、本発明におけるSCYB14遺伝子の発現とは、SCYB14遺伝子から転写されるmRNAの発現、またはSCYB14遺伝子によってコードされるタンパク質の発現の両方を意味するものである。
さらに本発明者らは、肝細胞癌(HCC)を有するHCV患者の癌様肝組織におけるSCYB14遺伝子の発現量が、非癌様肝組織よりも非常に低いことを見出した。SCYB14遺伝子の発現量を上昇させる化合物は、癌細胞の増殖抑制あるいは排除等の抗癌作用、免疫賦活作用、感染症治療作用等が期待される。
本発明は、SCYB14遺伝子の発現を上昇させる化合物を選択する工程を含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患の治療もしくは予防のための薬剤(候補化合物)のスクリーニング方法を提供する。
本発明の好ましい態様においては、まず、SCYB14タンパク質(遺伝子)を発現する細胞に、被検化合物を接触させる。用いられる「細胞」の由来としては、ヒト、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、鳥など、ペット、家畜等に由来する細胞が挙げられるが、これら由来に制限されない。「SCYB14タンパク質(遺伝子)を発現する細胞」としては、内因性のSCYB14タンパク質(遺伝子)を発現している細胞、または外因性のSCYB14遺伝子が導入され、該遺伝子が発現している細胞、または、肝細胞癌を有するHCV患者の癌様肝組織における細胞等を利用することができる。外因性のSCYB14遺伝子が発現した細胞は、通常、SCYB14遺伝子が挿入された発現ベクターを宿主細胞へ導入することにより作製することができる。該発現ベクターは、一般的な遺伝子工学技術によって作製することができる。上記細胞は、SCYB14遺伝子の転写調節領域(例えば、プロモーター)を含むことが好ましい。
本方法に用いる被検化合物としては、特に制限はない。例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチドなどの単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物等が挙げられるが、これらに限定されない。
SCYB14タンパク質(遺伝子)を発現する細胞への被検化合物の「接触」は、通常、SCYB14遺伝子を発現する細胞の培養液に被検化合物を添加することによって行うが、この方法に限定されない。被検化合物がタンパク質等の場合には、該タンパク質を発現するDNAベクターを、該細胞へ導入することにより、「接触」を行うことができる。
本方法においては、次いで、該SCYB14タンパク質(遺伝子)の発現レベルを測定する。ここで「発現」とは、転写および翻訳の双方を意味する。タンパク質(遺伝子)の発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、SCYB14遺伝子を発現する細胞からmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法またはRT-PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。また、SCYB14遺伝子を発現する細胞からタンパク質画分を回収し、SCYB14タンパク質の発現をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。さらに、SCYB14タンパク質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法を実施することにより該タンパク質の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。SCYB14タンパク質の検出に用いる抗体としては、検出可能な抗体であれば、特に制限はないが、例えばモノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の両方を利用することができる。
本方法においては、次いで、被検化合物を接触させない場合(対照)と比較して、該発現レベルを上昇させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、例えば、HCV感染者における癌細胞の増殖を抑制あるいは排除するための医薬品候補化合物となる。
本発明のスクリーニング方法の他の態様は、本発明のSCYB14遺伝子の発現量を上昇させるような化合物を、レポーター遺伝子を利用して同定する方法に関する。
本方法においては、まず、SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被検化合物を接触させる。ここで「機能的に結合した」とは、SCYB14遺伝子の転写調節領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが結合していることをいう。従って、レポーター遺伝子が他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、SCYB14遺伝子の転写調節領域に転写因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。SCYB14遺伝子のcDNA塩基配列に基づいて、当業者においては、ゲノム中に存在するSCYB14遺伝子の転写調節領域を周知の方法により取得することが可能である。
本方法に用いるレポーター遺伝子としては、その発現が検出可能であれば特に制限はなく、例えば、CAT遺伝子、lacZ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、およびGFP遺伝子等が挙げられる。「SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」として、例えば、このような構造が挿入されたベクターを導入した細胞が挙げられる。このようなベクターは、当業者に周知の方法により作製することができる。ベクターの細胞への導入は、一般的な方法、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法、リポフェタミン法、マイクロインジェクション法等によって実施することができる。「SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」には、染色体に該構造が挿入された細胞も含まれる。染色体へのDNA構造の挿入は、当業者に一般的に用いられる方法、例えば、相同組み換えを利用した遺伝子導入法により行うことができる。
「SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞抽出液」とは、例えば、市販の試験管内転写翻訳キットに含まれる細胞抽出液に、SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを添加したものを挙げることができる。
本方法における「接触」は、「SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」の培養液に被検化合物を添加する、または該DNAを含む上記の市販された細胞抽出液に被検化合物を添加することにより行うことができる。被検化合物がタンパク質の場合には、例えば、該タンパク質を発現するDNAベクターを、該細胞へ導入することにより行うことも可能である。
本方法においては、次いで、該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する。レポーター遺伝子の発現レベルは、該レポーター遺伝子の種類に応じて、当業者に公知の方法により測定することができる。例えば、レポーター遺伝子がCAT遺伝子である場合には、該遺伝子産物によるクロラムフェニコールのアセチル化を検出することによって、レポーター遺伝子の発現量を測定することができる。レポーター遺伝子がlacZ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による色素化合物の発色を検出することにより、また、ルシフェラーゼ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による蛍光化合物の蛍光を検出することにより、さらに、GFP遺伝子である場合には、GFPタンパク質による蛍光を検出することにより、レポーター遺伝子の発現量を測定することができる。
本方法においては、次いで、測定したレポーター遺伝子の発現レベルを、被検化合物の非存在下において測定した場合と比較して、上昇させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、HCV感染者における癌細胞の発生および/または増殖を抑制あるいは排除するための医薬品候補化合物となる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕解析対象(Patients)
東京大学附属病院の外来に2001年8月から2003年6月までの間に継続して来院した日本人のHCV持続感染患者のうち、遺伝子解析に関する書面による同意を得られ、DNAを得られた376人(男性208名、女性168名、22歳から84歳(中央値62.5歳)、肝細胞癌患者170名、非肝細胞癌患者206名)を解析対象とした。解析対象のうち188人を肝細胞癌易罹患性遺伝子探索のための一次スクリーニングの対象とした。残り188人を二次スクリーニングの対象とした。すべての研究は、東京大学の倫理委員会の承認を得て行なわれた。
解析対象者はすべて、第二世代のエンザイムイムノアッセイ(EIA)診断キット(オーソダイアグノスティックス、東京・日本)による抗HCV抗体が陽性であった。また、すべての解析対象者についてアンプリコアHCVバージョン1キット(ロシュ・ダイアグノスティックス、東京・日本)によりHCV RNAについて検査した。また、すべての解析対象者はB型肝炎の表面抗原(HBs抗原)について陰性であった(Abbott Laboratories, North Chicago, IL)。
HCVの遺伝子タイプはSRL社(東京・日本)によりタイピングした。80g/日以上のアルコール摂取量が10年以上継続した一部の患者には、アルコール中毒の病歴が認められた。年齢、性別、血清アルブミン、血清総ビリルビン、血清アラニントランスフェラーゼ(ALT)、血清アルファフェトプロテイン(AFP)、プロトロンビン時間、血小板数、アンプリコアHCVモニターキットによる血清HCV量等の臨床情報は、DNA抽出のための採血時に収集または分析を行った。肝細胞癌の診断はいくつかの画像診断手法(例:超音波診断法、コンピュータ断層撮影法、動脈造影法、磁気共鳴画像法)を用いて行った。また、肝細胞癌患者170名全員について、超音波内視鏡による穿刺検査により組織学的な診断も行った。また、すべての解析対象者は診療の過程において他のガンは発見されなかった。
〔実施例2〕多型ジェノタイピング(Polymorphism Genotyping)
ゲノムDNAは、セパジーンキット(三光純薬、東京・日本)を用いて100μlの全血よりキット製造者の方法に従って抽出した。ゲノムDNAは20μlの1mM EDTAを添加したトリスー塩酸緩衝液(10mM、pH8.0)に溶解し、用事まで-30℃で保存した。
解析の対象とした遺伝子およびSNPsを表4−1〜表4−5に示す。
表4−2は表4−1の続きである。
表4−3は表4−2の続きである。
表4−4は表4−3の続きである。
表4−5は表4−4の続きである。
これらの遺伝子は、細胞増殖、肝の炎症、肝細胞のアポトーシスなどに関連する事から、肝細胞癌の発生またはその修飾に関連する候補遺伝子として選択した。具体的には、増殖因子、増殖因子受容体、サイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体、アポトーシス関連遺伝子、インターフェロン関連遺伝子、CD81(HCVのレセプターと推定される遺伝子)などである。候補遺伝子として選択した遺伝子上のSNPsは、日本人のSNPsデータベースであるJSNPデータベース(http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp)より選択した。JSNPデータベースに複数のSNPsが存在した場合には、10−30kbおきにSNPsが配置されるように選択した。172遺伝子上の397のSNPsをHCV感染における肝細胞癌易罹患性遺伝子探索のために選択した。SNPsの遺伝子型の決定は蛍光PCR法(Ranade K, Chang MS, Ting CT, Pei D, Hsiao CF, Olivier M, Pesich R, Hebert J, Chen YD, Dzau VJ, Curb D, Olshen R, Risch N, Cox DR, Botstein D. High-throughput genotyping with single nucleotide polymorphism. Genome Res 2001; 11: 1262-1268.)により決定した。
なお、統計解析(Statistical analysis)について、臨床パラメーターと肝細胞癌との関連はt検定、Mann-Whitney U検定、カイ二乗検定を用いて検定した。遺伝子型またはハプロタイプと肝細胞癌との関連はカイ二乗検定で検定した。両側検定でP<0.05の場合に有意差ありとした。考えられる交絡因子の影響は多変量ロジスティック回帰解析により補正し、オッズ比と95%信頼区間を計算した。両側検定でP<0.05の場合に有意差ありとした。
すべての解析はSPSS ver.12.0(SPSS Inc., Chicago, IL, 2003)を用いて行なった。各遺伝子座のアリルがハーディーワインベルグ平衡にある事を確認し、統計学的な解析に用いた。
各SNPの連鎖不平衡については、LD support(PCT/JP02/03770、ポストゲノム時代の遺伝統計学(鎌谷直之編 羊土社 2001年10月10日初版第1刷発行p197-200)用いて行なった。
〔実施例3〕スクリーニング
<一次スクリーニング>
397 SNPsを一次スクリーニングで解析した結果、394 SNPsのタイピングが可能であり、成功率は95%以上であった。解析する事ができた172遺伝子上の394 SNPsのうち、29遺伝子上の31 SNPsが肝細胞癌との関連を示した。各SNPとHCCの関連を表6−1および表6−2に示す。
肝細胞癌群と非肝細胞群の遺伝子型の頻度の検定により11 SNPs(11遺伝子)、アリル頻度の検定により15 SNPs(15遺伝子)、優性または劣性遺伝を仮定した疾患モデル(MOI)の検定により、27 SNPs(27遺伝子)に有意差が認められた。
なお、一次スクリーニング(397 SNPs)の解析対象となった188人の臨床情報の特徴を表5に示した。
表6−2は表6−1の続きである。
上記表5中の記号aについて、年齢、アルブミン、TB、ALT、AFP、PT、血小板数、およびHCV loadは中央値(範囲)として示す。男性、アルコール>80 g/d、およびHCVセロタイプ1は頻度(パーセンテージ)として示す。記号bについて、HCCは肝細胞癌、TBは総ビリルビン、ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼ、AFPはアルファ-フェトプロテイン、PTはプロトロンビン時間、HCVはC型肝炎ウイルス、IUは国際単位を示す。Pは記号cの場合Χ2検定により、dの場合Mann-Whitney U検定により計算したことを示す。
肝細胞癌群と非肝細胞癌群との間で男女比、アルコール中毒の病歴、HCVジェノタイプ、ウイルス量、血清ALT値に有意な差は認められなかった。年齢、肝硬変がある患者の割合、血清総ビリルビン値(TB)、血清AFP値は、肝細胞癌群では非肝細胞癌群より高く、血清アルブミン値、プロトロンビン時間(PT)、血小板数は肝細胞癌群では非肝細胞癌群より低かった。
<二次スクリーニング>
二次スクリーニングでは一次スクリーニングにおいて遺伝子型の頻度、アリル頻度、優性または劣性遺伝を仮定した疾患モデル(MOI)のいずれかにおいて有意差が認められた31 SNPs(表6−1および表6−2)を解析した。
31 SNPsのうち、3遺伝子上の3 SNPsのみが一次スクリーニング、二次スクリーニングを通じて肝細胞癌との関連が認められた。グリア細胞向神経性因子アルファ受容体(GDNFファミリー受容体アルファ1:GDNFA1)は遺伝子型の頻度と、優性または劣性遺伝を仮定した疾患モデル(MOI)において有意であり、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2(CRHR2)はアリル頻度において有意であり、スモールインデューシブルサイトカインB14 前駆体(SCYB14)の統計解析においては、アリル頻度と優性または劣性遺伝を仮定した疾患モデル(MOI)において有意であった(表6−1および表6−2)。
なお、二次スクリーニングの解析対象となった188人の臨床情報の特徴を表7に示した。
上記表7中、記号aについて、年齢、アルブミン、TB、ALT、AFP、PT、血小板数、およびHCV loadは中央値(範囲)として示す。男性、アルコール>80 g/d、およびHCVセロタイプ1は頻度(パーセンテージ)として示す。記号bについて、HCCは肝細胞癌、TBは総ビリルビン、ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼ、AFPはアルファ-フェトプロテイン、PTはプロトロンビン時間、HCVはC型肝炎ウイルス、IUは国際単位を示す。Pは記号cの場合Χ2検定により、dの場合Mann-Whitney U検定により計算したことを示す。
肝細胞癌群と非肝細胞癌群との間でHCVジェノタイプ、ウイルス量、血清ALT値、に有意差は認められなかった。年齢、男女比、肝硬変がある患者の割合、血清総ビリルビン値、血清AFP値は肝細胞癌群で非肝細胞癌群より高く、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血小板数は肝細胞癌群で非肝細胞癌群より低かった。
〔実施例4〕GFRA1、CRHR2、SCYB14の多型とHCV感染者の肝細胞癌との関連
一次スクリーニング、二次スクリーニング対象者を合計した臨床情報の特徴を表8に示した。
上記表8中、記号aについて、年齢、アルブミン、TB、ALT、AFP、PT、血小板数、およびHCV loadは中央値(範囲)として示す。男性、アルコール>80 g/d、およびHCVセロタイプ1は頻度(パーセンテージ)として示す。記号bについて、HCCは肝細胞癌、TBは総ビリルビン、ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼ、AFPはアルファ-フェトプロテイン、PTはプロトロンビン時間、HCVはC型肝炎ウイルス、IUは国際単位を示す。Pは記号cの場合Χ2検定により、dの場合Mann-Whitney U検定により計算したことを示す。
アルコール中毒履歴、HCVジェノタイプ、ウイルス量、血清ALT値、は肝細胞癌群と非肝細胞癌群で差が認められなかった。年齢、男女比、肝硬変を持つ患者の割合、血清総ビリルビン値、血清AFP値は肝細胞癌群で非肝細胞癌群より高かった。血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血小板数は肝細胞癌群で非肝細胞癌群より低かった。
肝細胞癌群、非肝細胞癌群それぞれの遺伝子型、アリル、リスクアリルの分布を表9に示した。
GRFA1、CRHR2、SCYB14の全てで、遺伝子型の頻度、アリル頻度で肝細胞癌群、非肝細胞癌群の分布に有意差があり、GFRA1とSCYB14ではリスクアリルでも、肝細胞癌群と非肝細胞癌群の間で有意差が認められた。
〔実施例6〕HCV感染者の肝細胞癌と関連する因子
GFRA1遺伝子型(p<0.001)、CRHR2遺伝子型(p=0.003)、SCYB14遺伝子型(p=0.002)、年齢60歳以上(p<0.01)、男性(p<0.001)、肝硬変あり/なし(p<0.001)、血小板数12.5×10/μl未満(p<0.001)、血清アルブミン3.9g/dl未満(p<0.001)、血清総ビリルビン0.7mg/dl未満(p<0.001)、プロトロンビン時間70%未満(p<0.001)、血清AFPが20μg/lより高い(p<0.001)、などの因子は一変量解析により肝細胞癌との関連において有意差ありと認められた因子である。
肝細胞癌の存在/非存在への3 SNPsの多型の影響を評価するために、ステップワイズ多変量ロジスティック解析を11の変数について行なったところ、9つの変数(GFRA1遺伝子型(p<0.001)、CRHR2遺伝子型(p=0.003)、SCYB14遺伝子型(p=0.002)、年齢60歳以上(p<0.01)、男性(p<0.001)、血清アルブミン3.9g/dl未満(p<0.001)、血清総ビリルビン0.7mg/dl未満(p<0.001)、プロトロンビン時間70%未満(p<0.001)、血清AFPが20μg/lより高い(p<0.001))はオッズ比それぞれ2.54(A/A vs. A/B)、9.81(B/B vs. A/A)、3.13(B/B vs. A/A)、2.65、2.27、3.08、2.05、3.04および3.62で最終的な計算式に残された(表10)。
〔実施例7〕ハプロタイプ解析
1次および2次スクリーニングの両方でHCCとの有意な関連があった遺伝子であるGFRA1、CRHR2、SCYB14の3遺伝子18SNPについて、強い連鎖不平衡が認められた領域(LDブロック)を抽出し、各LDブロックにおいてハプロタイプ頻度推定、個人のディプロタイプ推定およびハプロタイプ、ディプロタイプとHCCとの関連解析を行った。
連鎖不平衡の強さは複数の尺度で評価したが、最終的に全てのSNPのペアについてロッドスコアから求めたp値が0.01未満となるようなSNPの組をLDブロックとした。
ハプロタイプ推定およびディプロタイプの事後確率の計算は、LD Support(Kitamura Yら著、「Determination of probability distribution of diplotype configuration (diplotype distribution) for each subject from genotypic data using the EM algorithm.」、Ann Hum Genet.、66:183-93, 2002年)を用いて行った。事後確率75%以上のディプロタイプを個人のディプロタイプとして採用し、事後確率が75%未満の場合は欠損値として処理した。
上記の方法で決定された個人のディプロタイプに基づいて、ハプロタイプ、ディプロタイプとHCCとの関連解析を行った。まずハプロタイプ頻度分布とHCCのあり/なしを2xm分割表にまとめ、clumpというプログラム(Sham PC, Curtis D: Monte Carlo tests for associations between disease and alleles at highly polymorphic loci. Ann Hum Genet. 59:97-105, 1995)のT1テストにより、2xm分割表の独立性を10000回のモンテカルロシミュレーションによって評価し、p<0.05を有意差あり(注: 0.01でも結果は同じ)とした。clump T1 テストで有意差が認められたLDブロックについては、各ハプロタイプについて、当該ハプロタイプとそれ以外のハプロタイプの2グループに分け、2x2分割表を用いたFisherの正確確率検定を行った。ディプロタイプについても同様の検定を行った。
結果、6つのLDブロックを得た。うち、2つのLDブロックについて、clumpのT1テストで有意であった。有意差を示した2ブロックについて以下に述べる。
1. SCBY14
SCBY14遺伝子のSNPsに関する情報を以下の表11に示す。また、SCBY14遺伝子の各SNPについて図1の遺伝子マップに示す。
連鎖不平衡解析の結果を以下の表12に示す。
3つのSNPからなるLDブロックであり、6種のハプロタイプが見られ、頻度が高い順にハプロタイプ1からハプロタイプ6とした。clump T1によるp値は 0.0004であった。
2x2 Fisherの正確確率検定の結果、ハプロタイプ1(AGG)が有意にHCCのリスクが低く、オッズ比0.68(95%信頼区間: 0.49-0.92)、ハプロタイプ2(GCC)が有意にHCCのリスクが高く、オッズ比1.82(95%信頼区間: 1.32-2.53)であった(表13)。
また、ディプロタイプ1/1(AGG/AGG)は有意にHCCのリスクが低く、オッズ比0.55(95%信頼区間: 0.37-0.84)、ディプロタイプ1/2(AGG/GCC)は有意にHCCのリスクが高く、オッズ比2.02(95%信頼区間: 1.32-3.10)であった(表14)。
2. GFRA1
GFRA1遺伝子のSNPsに関する情報を以下の表15に示す。また、GFRA1遺伝子の各SNPについて図2の遺伝子マップに示す。
連鎖不平衡解析の結果を以下の表16に示す。
3つのSNPからなるLDブロックであり7種のハプロタイプが見られ、頻度が高い順にハプロタイプ1からハプロタイプ7とした。clump T1によるp値は 0.0028であった。
2x2Fisherの正確確率検定の結果、ハプロタイプ3(CGC)が有意にHCCのリスクが高く、オッズ比1.74(95%信頼区間: 1.18-2.58)であった(表17)。
また、ディプロタイプ1/4(TCT/TCC)は有意にHCCのリスクが低く、オッズ比0.25(95%信頼区間: 0.10-0.63)、ディプロタイプ3/3(CGC/CGC)は有意にHCCのリスクが高く、オッズ比3.81(95%信頼区間: 1.01-14.31)であった(表18)。
以上のように本発明において、発明者らは、異なる3遺伝子上の3SNPsがHCV感染者の肝細胞癌易罹患性の遺伝素因であることを明らかにした。これらの3SNPsはHCV感染者に肝細胞癌易罹患性をもたらす真の原因となる多型ではないものの、真の病因SNPと連鎖不平衡である領域に存在するために、マーカーとして使用できるものである。
さらに、発明者らはHCV感染者の肝細胞癌易罹患性の明白なリスクとなる6種類の遺伝子型を発見した。
また、発明者らの多変量モデルは既報であるグロースディファレンシエーション9(GDF9)の多型を含み、本発明の結果が日本人一般に適用できることを裏付けるものである。
〔実施例8〕癌様および非癌様肝組織におけるsmall inducible cytokine B14(SCYB14) precursor mRNA発現の定量
本発明者らは、肝細胞癌(HCC)の外科治療のために東京大学病院に入院している慢性HCV感染症患者3人(53歳男性、59歳男性、および57歳女性)の癌および非癌肝組織におけるsmall inducible cytokine B14 precursor(SCYB14)mRNA発現を定量した。HCCの診断は、何通りかの画像診断によって行い、組織学的に確定した。ヘルシンキ宣言に従い、各患者から書面によるインフォームドコンセントを得た。本発明者らはまた、学内倫理委員会から本研究に関する承認を受けた。
Isogen RNA抽出キット(日本遺伝子(Nippon-Gene)、東京、日本)を用いて、製造元の説明書に従い、癌および非癌肝組織から総RNA試料を抽出した。アガロースゲル電気泳動を行い、28Sおよび18SリボソームRNAの比により、総RNAの品質を確認した。総RNAをTaqman逆転写酵素試薬(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティ、カリフォルニア州)によってcDNAに逆転写した。次に、ABI PRISM 7000 Sequence Detection Systems(アプライドバイオシステムズ)を用いて、Assay-on-Demand Gene Expression Products(アプライドバイオシステムズ)を用いてSCYB14 cDNAを1試料につき3回ずつ定量した。内部対照として、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)cDNAを同様に定量し、SCYB14 cDNAを標準化した。
その結果、非癌様肝組織におけるSCYB14 mRNAの発現は、3例全てにおいて癌肝組織より有意に高かった(図3)。興味深いことに、SCYB14 mRNAの発現は、非癌肝組織では高かったが、HCCを有するC型肝炎患者の癌組織では非常に低かった。
SCYB14は、正常な肝組織では中等度または高度に発現されることが示されているが、東京大学(東京、日本)RCASTのシステム生物医学研究所のRefExA(遺伝子発現分析の参照データベース)によれば、HepG2、HLE、Huh6、Huh7、およびPLC/PRF/5を含むヒトHCC細胞株では非常に発現が低かった(http://www.lsbm.org/site_e/database/index/html)。実際に、SCYB14は、正常組織抽出物には普遍的に発現しているが、様々な腫瘍細胞株には存在しないと報告されていた(Hromas R, Broxmeyer HE, Kim C, Nakshatri H, Christopherson K, Azam M, Hou YH. Cloning of BRAK, a novel divergent CXC chemokine preferentially expressed in normal versus malignant cells. Biochem Biophys Res Commun 1999; 255: 703-706.)。さらに、ヒト前立腺上皮細胞によるこれまでの研究から、SCYB14の発現が老化の過程ではアップレギュレートされ、不死化の表現型獲得を阻害する障壁となっているが、不死化細胞においてはダウンレギュレートされることが明らかになっている。これらの結果は、SCYB14が発癌に重要な役割を有する可能性を示唆している。
図1は、SCBY14遺伝子の各SNPについての遺伝子マップである。 図2は、GFRA1遺伝子の各SNPについての遺伝子マップである。 図3は、HCCであるC型肝炎患者3人の癌様および非癌肝組織におけるSCYB14の相対濃度について示すグラフである。黒いバーは、癌肝組織におけるSCYB14の相対濃度を表す。白いバーは、非癌肝組織におけるSCYB14の相対濃度を表す。結果は3回の実験の平均値±SDである。

Claims (21)

  1. 被検者について、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における変異を検出することを特徴とする、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法。
    (1)SCYB14、(2)GFRA1、(3)CRHR2
  2. 変異が多型変異である、請求項1に記載の検査方法。
  3. 被検者について、請求項1の(1)〜(3)のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法。
  4. 多型部位が、それぞれ以下の(1a)〜(3a)に記載の多型部位である、請求項3に記載の検査方法。
    (1a)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位、3454位、4765位、6189位、7038位、7154位、8244位、8630位、8740位、9052位、9054位、9151位、9179位、10001位、10998位、13929位、14163位、14325位、15949位、17378位、17379位、19182位、20122位、20169位、20885位、20886位、21705位、23395位、23541位、24286位、24592位、24594位、25767位、25938位、26561位、27381位、28265位、28674位、29560位、30284位、30978位、31932位、33753位、35039位、または36194位のいずれかの多型部位
    (2a)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位、2666位、2836位、4226位、4897位、5008位、5044位、5845位、6348位、6381位、6915位、6960位、7340位、7466位、7492位、10001位、10702位、11685位、11731位、12461位、12552位、12814位、13482位、15067位、15080位、15253位、15299位、16065位、16540位、16668位、16848位、17020位、17118位、17196位、17485位、17560位、19019位、19596位、19602位、20293位、20321位、20647位、21151位、21406位、21502位、21927位、22008位、22254位、23580位、24061位、24163位、24214位、24393位、24491位、25300位、25948位、26523位、27081位、27435位、28120位、28260位、28832位、28926位、28951位、30815位、31243位、31283位、31395位、31506位、31765位、34078位、34519位、35884位、35922位、36345位、36663位、36745位、36907位、36923位、36946位、37397位、37470位、37501位、38538位、38546位または38913位のいずれかの多型部位
    (3a)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列におけるの660位、1761位、1897位、2833位、4878位、5319位、5592位、5953位、6059位、6202位、6966位、7659位、7691位、7794位、8131位、8931位、9264位、9445位、9465位、9466位、10001位、10401位、11042位、11461位、11637位、11818位、12407位、13325位、13326位、13450位、15854位、16623位、17913位、17921位、18797位、18863位、19028位、19059位または19099位いずれかの多型部位
  5. 多型部位が、それぞれ以下の(1b)〜(3b)に記載の多型部位である、請求項3に記載の検査方法。
    (1b)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の多型部位
    (2b)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における21151位の多型部位
    (3b)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における10001位の多型部位
  6. 請求項5の(1b)〜(3b)に記載の多型部位における塩基種が、それぞれ以下の(1c)〜(3c)である場合に、被検者はC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性であると判定される請求項5に記載の検査方法。
    (1c)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における14163位の塩基種がC
    (2c)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における21151位の塩基種がG
    (3c)CRHR2遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:3に記載の塩基配列における10001位の塩基種がC
  7. 被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法であって、以下の(1’)または(2’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックが検出された場合にC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性であるものと判定される方法。
    (1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれG、C、およびCであるハプロタイプ
    (2’)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、および28926位の多型部位の塩基種が、それぞれC、G、およびCであるハプロタイプ
  8. 被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査方法であって、以下の(1’)に記載のハプロタイプを示すDNAブロックが検出された場合にC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性であるものと判定される方法。
    (1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれA、G、およびGであるハプロタイプ
  9. 以下の工程(a)および(b)を含む、被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性か否かの検査方法。
    (a) 被検者における以下の(1)または(2)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位について、塩基種を決定する工程、
    (1)SCYB14、(2)GFRA1
    (b) (a)で決定された塩基種が、以下の(1')または(2')に記載のハプロタイプを示す前記遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における前記多型部位の塩基種と同一であった場合に、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して感受性であるものと判定する工程
    (1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれG、C、およびCであるハプロタイプ
    (2’)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、および28926位の多型部位の塩基種が、それぞれC、G、およびCであるハプロタイプ
  10. 以下の工程(a)および(b)を含む、被検者について、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性か否かの検査方法。
    (a) 被検者における以下の(1)に記載の遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位について、塩基種を決定する工程、
    (1)SCYB14
    (b) (a)で決定された塩基種が、以下の(1')に記載のハプロタイプを示す前記遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域における前記多型部位の塩基種と同一であった場合に、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に対して抵抗性であるものと判定する工程
    (1’)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、および26561位の多型部位の塩基種が、それぞれA、G、およびGであるハプロタイプ
  11. 前記(a)の多型部位が以下の(1)または(2)に記載の多型部位である、請求項9または10に記載の検査方法。
    (1)SCYB14遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における2960位、3454位、4765位、6189位、7038位、7154位、8244位、8630位、8740位、9052位、9054位、9151位、9179位、10001位、10998位、13929位、14163位、14325位、15949位、17378位、17379位、19182位、20122位、20169位、20885位、20886位、21705位、23395位、23541位、24286位、24592位、24594位、25767位、25938位、26561位、27381位、28265位、28674位、29560位、30284位、30978位、31932位、33753位、35039位、または36194位のいずれかの多型部位
    (2)GFRA1遺伝子もしくは該遺伝子の近傍DNA領域上の部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における2186位、2666位、2836位、4226位、4897位、5008位、5044位、5845位、6348位、6381位、6915位、6960位、7340位、7466位、7492位、10001位、10702位、11685位、11731位、12461位、12552位、12814位、13482位、15067位、15080位、15253位、15299位、16065位、16540位、16668位、16848位、17020位、17118位、17196位、17485位、17560位、19019位、19596位、19602位、20293位、20321位、20647位、21151位、21406位、21502位、21927位、22008位、22254位、23580位、24061位、24163位、24214位、24393位、24491位、25300位、25948位、26523位、27081位、27435位、28120位、28260位、28832位、28926位、28951位、30815位、31243位、31283位、31395位、31506位、31765位、34078位、34519位、35884位、35922位、36345位、36663位、36745位、36907位、36923位、36946位、37397位、37470位、37501位、38538位、38546位または38913位のいずれかの多型部位
  12. 前記(a)の多型部位が、以下の(1)または(2)に記載の多型部位である、請求項9または10に記載の検査方法。
    (1)SCYB14遺伝子上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列における10001位、14163位、または26561位のいずれかの多型部位
    (2)GFRA1遺伝子上の多型部位であって、配列番号:2に記載の塩基配列における10001位、21151位、または28926位のいずれかの多型部位
  13. C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かの検査方法であって、被検者におけるSCYB14遺伝子の発現量が対照と比較して低下している場合に、被検者はC型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患に罹患している、もしくは該疾患に対して感受性であるものと判定する方法。
  14. 被検者由来の生体試料を被検試料として検査に供する、請求項1〜13のいずれかに記載の検査方法。
  15. 肝疾患が肝細胞癌である、請求項1〜14のいずれかに記載の検査方法。
  16. 請求項4の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬。
  17. 請求項4の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAとハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された固相からなる、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬。
  18. 請求項4の(1a)〜(3a)のいずれかに記載の多型部位を含むDNAを増幅するためのプライマーオリゴヌクレオチドを含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患か否か、もしくは該疾患に対して感受性か否かを検査するための試薬。
  19. 肝疾患が肝細胞癌である、請求項16〜18のいずれかに記載の試薬。
  20. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患の治療もしくは予防のための薬剤のスクリーニング方法。
    (a)SCYB14遺伝子を発現する細胞に、被検化合物を接触させる工程
    (b)該SCYB14遺伝子の発現レベルを測定する工程
    (c)被検化合物を接触させない場合と比較して、該発現レベルを上昇させる化合物を選択する工程
  21. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、C型肝炎ウイルス感染に起因する肝疾患の治療もしくは予防のための薬剤のスクリーニング方法。
    (a)SCYB14遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被検化合物を接触させる工程
    (b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
    (c)被検化合物の非存在下において測定した場合と比較して、該発現レベルを上昇させる化合物を選択する工程
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