JP2006066407A - シリコン製ばね電極および異方性導電シート - Google Patents
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Abstract
【課題】より微細な、より狭小なピッチの電極にも対応できる異方性導電シートとそれに用いる電極を提供する。
【解決手段】単結晶シリコン材から異方性エッチングによって曲がり板ばね形状の部材を形成し、その表面に金メッキをしてシリコン製ばね電極1を製造する。このばね電極1をシリコーンゴムシートに設けた貫通穴にはめ込み固定する。
【選択図】図1
【解決手段】単結晶シリコン材から異方性エッチングによって曲がり板ばね形状の部材を形成し、その表面に金メッキをしてシリコン製ばね電極1を製造する。このばね電極1をシリコーンゴムシートに設けた貫通穴にはめ込み固定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコン製ばね電極およびこれを用いた異方性導電シート(異方導電性シートともいう)に関するものである。
異方性導電シートは、集積化が進む半導体デバイスの最終の通電検査工程や半導体デバイスとプリント基板との電気的接続に用いられている。現在は、種々の方式が提案され実用化されているが、大きく分けて2種類の方式に分類できる。そのひとつの方式は、加圧導電ゴムと呼ばれているものである。図6にあるように、ゴム61の中に導電体の微粒子62がちりばめられており、ゴム61が圧力で圧縮されるとゴム61の中の導電体微粒子62が接触することで通電する原理である(従来例1)。原理自体の発想は古く、昭和48年に出願したものが特許となっている(下記特許文献1参照)。その後、導電体をいかに均一に分布させるかという工夫がなされ、実用化に至っている。
もうひとつの方式は、図7のように柔らかいゴム71中に金めっき金属細線73が高密度に配置埋設された異方性導電シートである(従来例2)。半導体デバイスのパッケージのはんだバンプを押し付けて通電するために、シートに垂直に埋設された金属細線では都合が悪く、現在ではオフセットを持った斜め埋設タイプが実用化され、使用頻度が高いと思われる。
半導体デバイスは、近年、集積度が上がりパッケージに使用するピン数が増えた関係で、リードフレームの足の代わりにはんだバンプによるプリント基板への実装が主流となっている。はんだバンプの高さの精度をコントロールすることはコスト高を招くので、ある程度の誤差内に収まるようにしているため、フラットな面に電極を並べただけでは接触不良を招き検査できない。そこで、異方性導電シートには柔軟性が求められ、なおかつ軟らかさと共に確実な導電性が求められている。このようにはんだバンプを押し付けるため、金属細線が垂直では具合が悪く、斜め埋設で加圧力を逃げねばならないのである。
特公昭56−48951号公報
加圧導電ゴムを使用している異方性導電シートの場合、表裏のシート面に電極が接触しただけでは導通しない。導通するためには、原理上圧力を加えねばならない。また、ある一定の圧力が加わってしまうと導通してしまう。近年多用されているはんだバンプ(半球形)を押し付けた場合、当然横方向にも斜め方向にも圧力が加わってしまう。圧力さえ加われば、予期せぬ方向にも導通するため、クロストークの問題が生じる。この問題のため、集積化が進み電極ピッチが狭くなっている近年では、加圧導電ゴムをそのまま使用できない。そこで、加圧導電ゴムを電極ピッチで並べ、その他の部分は絶縁物の樹脂を使用する製品が標準となっている。しかし、加圧導電ゴムをどこまで小さくできるか、どこまで狭ピッチで精度よく配置できるかを考えると、自ずと限界があることが容易に理解できる。
金属細線を斜め埋設した異方性導電シートの場合は、その構造上オフセットが問題となる。はんだバンプの高さは厳密に制御されているわけではなく、当然高低差が生じている。したがって、全ての電極が導通するためには、ある程度の圧力が加わってしまう。圧力が加わると斜め埋設されている金属細線がさらに傾き、オフセットが大きくなる。このオフセットの増大量は全ての電極で一定ではなく加わった圧力に依存する。このオフセットが一定しない現象からすれば、電極ピッチの狭小化に限界が生じることは明白である。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、より微細な、より狭小なピッチの電極にも対応できる異方性導電シートとそれに用いる電極を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明では、シリコン製ばね電極を次の(1)ないし(3)のとおりに構成し、異方性導電シートを次の(4)ないし(6)のとおりに構成する。
(1)単結晶シリコン材から異方性エッチングによって曲がり板ばね形状の部材を形成し、その表面に導電性層を設けたシリコン製ばね電極。
(2)前記(1)記載のシリコン製ばね電極において、
前記曲がり板ばね形状は、リング状に連続した形状であるシリコン製ばね電極。
前記曲がり板ばね形状は、リング状に連続した形状であるシリコン製ばね電極。
(3)前記(1)または(2)記載のシリコン製ばね電極において、
前記導電性層は、金めっき層であるシリコン製ばね電極。
前記導電性層は、金めっき層であるシリコン製ばね電極。
(4)軟プラスチックシートの貫通穴に前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリコン製ばね電極を固定したことを特徴とする異方性導電シート。
(5)前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリコン製ばね電極を金型内に配置し、該金型に軟プラスチック材料を流し込むインサート成型によって製造した異方性導電シート。
(6)前記(4)または(5)記載の異方性導電シートにおいて、
前記軟プラスチックはシリコーン樹脂である異方性導電シート。
前記軟プラスチックはシリコーン樹脂である異方性導電シート。
本発明によれば、より微細な、より狭小なピッチの電極にも対応できる異方性導電シートとそれに用いる電極を提供することができる。
関連する状況を詳しく説明する。単結晶シリコンでは金属疲労に相当する破壊や、塑性変形もないために理想的なばねが形成できる。また、半導体製造工程で用いられているフォトリソ工程でパターンが転写できるために、通常の機械加工では不可能な微細加工が可能であり、より微細な、より狭小なピッチの電極にも対応可能であるばかりでなく、シリコンウェハー1枚あたりの処理費用は一定であるから、シリコンウェハー1枚から取れるばねの数量は小さくなればなるほど増加する関係で単価は下がり、シート全体の価格は電極数が増えても大幅には上昇しないことが予測できる。ちなみに、通常の機械加工の場合には、微小な加工になると単価は上昇し、かつ、電極数が増えればシートの価格はきわめて高くなる。
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
図1は、実施例1である“異方性導電シート”で用いるシリコン製ばね電極1の断面形状を示す図である。図示のように、ばね電極1は単結晶シリコンで形成した、リング状の曲がり板ばね形状のものである。図2は、本実施例の斜視図である。図示のように、シリコーンゴムのシート2の貫通孔にシリコン製ばね電極1を固定した構造である。
実施例1の詳しい説明に先立って、ばね電極を単結晶シリコン材から形成する理由およびばねの形状を曲がり板ばね形状とする理由などを説明する。
単結晶シリコン材は共有結合で成り立っているために脆性材料である。しかし、薄くあるいは細く加工するときわめて柔軟性のある材料であり、ばね材として優れている。また、理論上多結晶の金属材料のような金属疲労がなく、加えられた力が破壊応力を超えて壊れない限り、永久に使用できることから、マイクロマシニングデバイスのばね部材に好適である。
ところで、単結晶シリコン材は半導体材料であるから、接点等に用いる導電材料としては不向きであるが、その表面に金属材料を成膜することで導電材料として扱える。成膜方法としては、化学的方法ではメッキプロセスが安価で実績もある。物理的方法では、スパツタリングによる方法が膜の密着性もよく多用されている。
この単結晶シリコン材を加工する手法としては、半導体プロセスで用いられているエッチングがある。近年、マイクロマシニング加工でデイープRIE(反応性イオンエッチング)がポピュラーとなり、脆性材料である単結晶シリコン材をきわめて精度良く自由な形状に加工できるようになった。この手法で、図1に示すようなリング状の形状をフォトリソで形成し、デイープRIEで貫通エッチングすれば、ばねのように伸び縮み可能な電極の構造体が出来上がる。このシリコンの構造体に例えば軟らかくしかも錆びない金をめっきすれば、伸び縮みする電極すなわちばね電極が出来上がる。
このばね電極を軟らかいプラスチックシートに埋め込むかあるいはインサート成型すれば、表裏方向のみに電流を流すことのできる異方性導電シートができる。
単結晶シリコン材を材料とする理由は前述したが、もうひとつの理由はきわめて小さな部品を作る技術が確立されていることである。マイクロマシニングと呼ばれる技術で製造すればミクロンレベルの部品を精度よく製造でき、さらに大量生産もきわめて容易である。
ばねの形態は大きく2種類に分けられる。コイルばねと板ばねである。コイルばねを異方性導電シートに適用すると、コイルに電流を通電するのと同じでインダクタンスやキヤパシタンスの存在が問題となる。近年、半導体デバイスで処理する信号は高周波が主流であり、インダクタンスやキヤパシタンスは伝達速度の阻害要因であり、避けねばならない。また、コイルばねを微小化することは難しいため、本発明では扱わない。本発明では製造が容易で、インダクタンスやキヤパシタンスの発生が構造上きわめて小さな、板ばね構造を用いる。
図4は、本実施例で用いるシリコン製ばね電極1の製法を示す図である。なお、ここでは説明の都合上断面を示す斜視図とした。図4(a)に示すように、単結晶シリコンウェハー43上に、シリコン製ばね電極1の断面形状そのままのフォトマスクを掛け、単結晶シリコンウェハー43上にフォトリソ工程で精密にフォトレジスト41のパターン42を転写する。パターン42を転写されたシリコンウェハー43は、図4(b)に示すように、そのままデイープRIEで貫通エッチングが施される。貫通エッチング後、全てのシリコンばねは洗浄され、次工程で、図4(c)に示すように、金メッキ(金属膜コーティング)が施される。図4(d)は完成したシリコン製ばね電極の斜視図である。
このようにして形成された、シリコン製ばね電極1は、図2に示すように、あらかじめ決められたピッチ(ランダムでもよい)で貫通穴が開けられたシリコーンゴムシート2に挿入され、本実施例の異方性導電シートは完成する。このとき、シリコーンゴムシート2の貫通穴はばね電極1よりもやや小さめに開けられており、挿入後、ばね電極1はシリコーンシート2によって締め付けられ固定されるため、外れてしまうことはない。
図3は、本実施例の異方性導電シート3を用いて、半導体デバイスのパッケージに設けられたはんだバンプ31とPC基板に設けられた電極33を接続する例を示す図である。図示のように、はんだバンプ31でばね電極1に圧力を加えると、ばね電極1の両壁は外に向かってシリコーンゴムシート2を押しながら膨らむ。電流の経路は変わらず、導通が確保される。ばね電極1の設計は、最大変形量に対して破壊応力からの十分なマージンを取ってなされる。
以上の説明から明らかなように、本実施例の構造であれば、ばね電極間のクロストークはなく、電極の大きさも数ミクロンまで製造が可能であり、より微細な、より狭小なピッチの電極にも対応できる異方性導電シートを提供することができる。また、ばね電極はバッチ処理で大量に製造できるので単価も高くならず、総合的なコストアップにもつながらない。
図5は、実施例2である“異方性導電シート”で用いるシリコン製ばね電極の断面形状を示す図である。図示のように、ばね電極は単結晶シリコンで形成した、曲がり板ばね形状のものである。本実施例で用いるばね電極は、図示のように、外形が鼓の形をしている以外は、実施例1で用いるシリコン製ばね電極と同じなので、ばね電極とシートの製法、シートの利用方法などについては、実施例1の説明を援用し、ここでの説明を省略する。
なお、各実施例では、リング状につながった断面形状のばね電極を用いているが、本発明はこれに限らず、断面C字型やジグザグ型など適宜の形状の曲がり板ばね電極を用いることができる。また、導電性層は金メッキに限らず、適宜の材料,手段で形成することができる。
1 シリコン製ばね電極
3 異方性導電シート
3 異方性導電シート
Claims (6)
- 単結晶シリコン材から異方性エッチングによって曲がり板ばね形状の部材を形成し、その表面に導電性層を設けたことを特徴とするシリコン製ばね電極。
- 請求項1記載のシリコン製ばね電極において、
前記曲がり板ばね形状は、リング状に連続した形状であることを特徴とするシリコン製ばね電極。 - 請求項1または2記載のシリコン製ばね電極において、
前記導電性層は、金めっき層であることを特徴とするシリコン製ばね電極。 - 軟プラスチックシートの貫通穴に請求項1ないし3のいずれかに記載のシリコン製ばね電極を固定したことを特徴とする異方性導電シート。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載のシリコン製ばね電極を金型内に配置し、該金型に軟プラスチック材料を流し込むインサート成型によって製造したことを特徴とする異方性導電シート。
- 請求項4または5記載の異方性導電シートにおいて、
前記軟プラスチックはシリコーン樹脂であることを特徴とする異方性導電シート。
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