JP2006064615A - 音叉型角速度センサ素子 - Google Patents

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Masahiro Yoshimatsu
昌裕 吉松
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Abstract

【目的】雑音成分を少なくして検出制度を高めた角速度センサ素子を提供する。
【構成】音叉状水晶片の音叉基部から延出した一対の音叉腕のうちの少なくとも一方の音叉腕の両主面に音叉振動を励起する駆動電極を有し、前記一方の音叉腕の両側面にコリオリの力を検出するセンサ電極を有し、前記一方の音叉腕の稜線部にバランス調整の研削部を有する音叉型角速度センサ素子において、前記研削部は前記音叉腕の先端側であって無電極部である構成とする。無電極部は先端から1/3とし、角速度センサ素子は二枚の音叉状水晶片を直接接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は音叉型角速度センサ素子(以下、角速度センサ素子とする)を技術分野とし、特に斜め振動を抑圧して検出精度を高めた接合タイプの角速度センサ素子に関する。
(発明の背景)角速度センサ素子は車誘導システム(カーナビ)やカメラの手ぶれ防止装置等に組み込まれ、需要も拡大傾向にある。このようなものの一つに、結晶のX軸を逆方向として二枚の音叉状水晶片を直接接合したものがある(特許文献1)。
(従来技術の一例)第2図(ab)は一従来例を説明する図で、同図(a)は角速度センサ素子の図、同図(b)は結線図である。
角速度センサ素子は音叉状水晶片1を備えてなる。音叉状水晶片1は水晶の結晶軸(XYZ)のY軸を長さ、X軸を幅、Z軸を厚みとし、音叉基部2から一対の音叉腕3(ab)が延出する。そして、前述したようにX軸の±方向を逆向きとして直接接合される。直接接合は2枚の音叉状水晶片を鏡面研磨してシロキサン結合によって原子間レベルで接合される。なお、結晶のY軸及びZ軸には±の方向性はない。各音叉腕3(ab)には、例えば以下に示す各電極が形成される。
すなわち、一方の音叉腕3aの両主面及び他方の音叉腕3bの他主面には駆動電極4が、各音叉腕3(ab)の両側面にはセンサ電極5が、他方の音叉腕3bの一主面にはモニタ電極6が形成される。但し、一方の音叉腕3aの一主面と他方の音叉腕3bの他主面との駆動電極4は共通接続される。また、各音叉腕3(ab)の内側面同士及び外側面同士のセンサ電極5は共通接続される。
このようなものでは、一方の音叉腕3aにおける両主面の駆動電極4には異符号となるD+及びD−の交番電圧が印加される。また、各音叉腕3(ab)における両側面のセンサ電極5には基準電圧Eが印加される。これにより、一方の音叉腕3aでは矢印で示すように両主面から両側面に逆向きの電界が発生する。また、他方の音叉腕3bでは他方の主面から両側面に一方の音叉腕3aとは逆向きの電界が発生する。
したがって、一方の音叉腕3aでは、結晶のX軸を逆向きとして接合していることから、例えば外側面が長さ方向に伸張して内側面が同方向に縮小してX軸方向に屈曲振動する。また、他方の音叉碗1bでは一方の音叉腕3aとは逆向きの屈曲振動を生ずる。このことから、一対の音叉腕3(ab)は、X軸方向に開閉する音叉振動を生ずる。また、モニタ電極6には音叉振動(屈曲振動)による電荷Mが発生し、これにより図示しない機構によって音叉振動の振幅を制御する。
そして、音叉振動中にY軸を中心とした回転力(角速度)が加わると、コリオリの力によって一対の音叉腕3(ab)は主面に対して垂直方向に即ちZ軸方向に屈曲振動(垂直振動)する。垂直振動は一対の音叉腕3(ab)間では、互いに逆方向となる。そして、Z軸方向の垂直振動に基づき、各音叉腕3(ab)の両側面には互いに異符号とした電荷S+、S−を生じて、センサ電極5によって検出される。但し、一対の音叉腕3(ab)間では垂直振動が逆向きなので、互いに異符号の電荷となる。これらのことから、Y軸回りの角速度を検出できる。
そして、通常では、外形加工に起因した音叉状水晶片(一対の音叉腕)の幾何学的なアンバランスから第3図(平面図)に矢印を示したようにX軸方向に斜交した斜め振動を生ずる。特に、直接接合による音叉状水晶片1をエッチングによって外形加工した場合には、水晶におけるエッチング速度の異方性によって第4図(平面図)に示したように接合面に山状の突起7を有するため、斜め振動を生じやすい。そして、斜め振動の垂直成分によって、センサ電極5に電荷S+、S−を生じて雑音成分となり、機械的な検出精度を悪化させる。
このことから、例えば一方の音叉腕3aの稜線部を切削して研削部8を設け、バランスを調整して斜め振動を解消する。斜め振動が例えば右斜め方向の場合は、一方の音叉腕3aの一主面の外側稜線部に研削部8を設ける(前第2図)。また、左斜め方向の場合は、他方の音叉腕3bの一主面の外側稜線部に研削部8を設ける(未図示)。
特開2002−243451号公報
(従来技術の問題点)しかしながら、上記構成の角速度センサ素子では、一対の音叉腕3(ab)の斜め振動を解消するバランス調整の研削部8に起因して次の問題があった。すなわち、バランス調整の研削部8がない場合は、一方の音叉腕3aにおける一主面の駆動電極4と両側面のセンサ電極5との間の第5図(一部図)に示す静電容量Ca、Cbは均一(同一)になる。したがって、この場合は、静電容量Ca、Cbによる駆動電極4からの高周波信号(駆動電圧)のセンサ電極5に対する漏れ信号も同一量となり、両側面のセンサ電極5間では符号が逆なので相殺されて問題はない。
これに対し、バランス調整の研削部8を設けた場合は、特に研削部8によって一主面及び外側面の駆動及びセンサ電極4、5が削られて電極間距離が大きくなる。したがって、この場合は、一主面の駆動電極4と両側面のセンサ電極5との静電容量Ca、Cbとが不均一になって、駆動電極5からの漏れ信号の量も異なる。このことから、両側面のセンサ電極5間では相殺されず、雑音成分となって電気的な検出精度を悪化させる問題があった。
(発明の目的)本発明は雑音成分を少なくして検出制度を高めた角速度センサ素子を提供することを目的とする。
本発明は、特許請求の範囲(請求項1)に示したように、音叉状水晶片の音叉基部から延出した一対の音叉腕のうちの少なくとも一方の音叉腕の両主面に音叉振動を励起する駆動電極を有し、前記一方の音叉腕の両側面にコリオリの力を検出するセンサ電極を有し、前記一方の音叉腕の稜線部にバランス調整の研削部を有する音叉型角速度センサ素子において、前記研削部は前記音叉腕の先端側であって無電極部である構成とする。
上記構成であれば、バランス調整の研削部は音叉腕の先端側であって無電極部とするので、主面の駆動電極と側面のセンサ電極との間隔を変えることなく、一対の音叉腕のバランスを調整できる。したがって、一対の音叉腕の幾何学的(機械的)なアンバランスを調整して斜め振動を防止する。また、バランス調整前後において、音叉腕の主面と両側面との間の静電容量を均一にするので、主面の駆動電極から両側面のセンサ電極への漏れ信号の量を同じにして電気的な雑音成分をも抑制する。これらから、機械的及び電気的な雑音成分を小さくして検出精度を高められる。
本発明では、請求項2に示したように、請求項1の前記無電極部は前記音叉腕の先端から1/3の領域とする。これにより、研削部の質量を充分に削除できて、一対の音叉腕のバランスを確実に調整できる。なお、バランス調整は音叉腕の根元部を研削することが有効であるが、ここでは先端側とするので1/3の領域として質量の切削量を多くする。
本発明の請求項3では、請求項1の前記音叉状水晶片は二枚の音叉状水晶片が結晶のX軸方向を逆向きとして直接接合され、エッチングによって外形加工される。これにより、斜め振動が発生しやすくなるので、本発明はより効果的になる。
第1図は本発明の一実施例を説明する角速度センサ素子の図である。なお、前従来例と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
角速度センサ素子は、前述したように結晶のX軸を逆向きとし、2枚の音叉状水晶片をシロキサン結合によって直接接合してなる。各音叉状水晶片1は直接接合の水晶ウェハをエッチングして外形加工される。ここでは、一対の音叉腕3(ab)の先端部から1/3の領域を無電極部とし、根元部から2/3の領域に駆動電極4及びセンサ電極5及びモニタ電極6を形成する。そして、一対の音叉腕3(ab)における無電極部の各外側のいずれか一方の稜線部を切削して、斜め振動を解消するバランス調整の研削部8を設ける。図では、一方の音叉腕3aに研削部8を設けて、右斜め方向の斜め振動を抑制した例を示している。
このような構成であれば、一方の音叉腕3aにおける先端側に設けた無電極部の外側稜線部を切削するので、駆動電極4及びセンサ電極5の間の静電容量Ca、Cbに変化を来たすことなく一定に維持する。また、無電極部は先端側から1/3の領域とするので、十分な質量を切削できて斜め振動を抑制する幾何学的なバランス調整を容易にする。これにより、幾何学的なバランス調整及び静電容量Ca、Cbを均一にして、機械的及び電気的な検出精度を高めることができる。特に、この例では、二枚の音叉状水晶片を直接接合した水晶ウェハをエッチングによって外形加工するので、非対称性による斜め振動を生じやすいのでより効果的になる。
なお、他方の音叉腕3bを切削した場合は、モニタ電極6とセンサ電極5との間に電気的結合を生ずるが、この場合はモニタ電極6からの漏れ信号は基本的にない。但し、いずれかを切削するかは角速度センサ素子の組立て完成後に判明するので、各音叉腕3(ab)の先端側に無電極部を形成する。
(他の事項)上記実施例では2枚の音叉状水晶片を直接接合した例を説明したが、単板であったとしても同様に適用できる。但し、この場合は、各音叉腕3(ab)のセンサ電極は分割電極となる。また、音叉状水晶片1はエッチングによる外形加工としたが、機械加工であったとしても適用でき、要は斜め振動を抑制する必要がある場合に適用できる。また、音叉腕3(ab)のいずれか一方に研削部8を設けるとしたが、いずれにも研削部8を設けても良い。
本発明の一実施例を説明する角速度センサ素子の図である。 従来例を説明する図で、同図(a)は角速度センサ素子の図、同図(b)は結線図である。 従来例の斜め振動を説明する角速度センサ素子の平面図である。 従来例を説明する直接接合としたエッチングによる角速度センサ素子の平面図である。 従来例の問題点を説明する一方の音叉腕の正面図である。
符号の説明
1 音叉状水晶片、2 音叉基部、3 音叉腕、4 駆動電極、5 センサ電極、6 モニタ電極、7 山状突起部、8 研削部。

Claims (3)

  1. 音叉状水晶片の音叉基部から延出した一対の音叉腕のうちの少なくとも一方の音叉腕の両主面に音叉振動を励起する駆動電極を有し、前記一方の音叉腕の両側面にコリオリの力を検出するセンサ電極を有し、前記一方の音叉腕の稜線部にバランス調整の研削部を有する音叉型角速度センサ素子において、前記研削部は前記音叉腕の先端側であって無電極部であることを特徴とする音叉型角速度センサ素子。
  2. 前記無電極部は前記音叉腕の先端から1/3の領域である請求項1の音叉型角速度センサ素子。
  3. 前記音叉状水晶片は二枚の音叉状水晶片が結晶のX軸方向を逆向きとして直接接合され、エッチングによって外形加工された請求項1の音叉型角速度センサ素子。
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