JP2006063826A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 引っ張りによるワイヤの接続強度評価を行わなくても、ワイヤによる接続状態を評価できるようにした点火装置を提供する。
【解決手段】 制御回路IC3に断線検出回路14を設け、この断線検出回路14によって制御回路IC3に設けられた過昇温検出回路13とスイッチIC2に設けられた温度センサ9とを接続するワイヤW3、W4の断線を検出できるようにする。これにより、断線検出回路14によって断線が検出された場合には、IGBT5がONされないようにすることができ、ワイヤW3、W4が断線して過昇温検出回路13によってスイッチIC2の過昇温が検出できなくなっても、点火コイル4に電流が流れ続けてしまわないようにすることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、コイル電流を通電・遮断するパワースイッチング素子と、それを制御するための制御回路ICとを有し、さらに、制御回路ICにおける点火信号が入力される回路部を外来サージから保護する機能を備えた内燃機関用点火装置(以下、単に点火装置という)に関するものである。
従来、点火コイルへの通電を制御することで、内燃機関での点火タイミングを制御する点火装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この種の点火装置では、パワースイッチング素子として用いられるIGBTの過昇温を防止すべく、IGBTが備えられるスイッチIC側に温度検出用ダイオードが備えられる。具体的には、その温度検出用ダイオードと制御回路ICとをワイヤによって電気的に接続し、制御回路IC側から温度検出用ダイオードに定電流を流して、定電流が流れたときの温度検出用ダイオードでの電圧降下量に相当するVF電圧を検出している。そして、VF電圧が所定値よりも低くなったときには、IGBTが過昇温状態にあるものと検出している。
ただし、このような構成によると、温度検出ダイオードと制御回路ICとを結線するワイヤが断線した場合、制御回路ICにおけるVF電圧検出部の電圧は制御回路ICに印加される回路電源電圧になる為、制御回路ICはIGBTの温度に関係なく、VF電圧が高いと判別してしまう。
この場合、温度検出機能が故障しているのにもかかわらず、正常動作しつづけてしまい、IGBTへの通電を停止しなければならないのにそのまま電流を流し続けてしまうような、いわゆるロック通電時にIGBTが破壊されるという問題を発生させる。
このため、このような問題が発生することを未然に防ぐべく、従来では、制御回路ICやスイッチICを樹脂モールドして点火装置を完成させる前に、ワイヤを引っ張って剥離強度を検査することにより、ワイヤの接続強度評価を行うようにしている。
特開平5−22099号公報
従来では、使用されているワイヤが例えば250ミクロンという太いものであったため、ワイヤを引っ張ることにより接合強度評価を行うことができた。しかしながら、点火装置の小型化などの要請を満たすべく、太さが細いワイヤ、例えば20ミクロン以上かつ120ミクロン以下の太さの細線が用いられる場合、引っ張りによる接合強度評価を行うと、そのワイヤ自体が引っ張ることによって断線してしまう可能性がある。このため、引っ張りによる評価が行えないという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、引っ張りによるワイヤの接続強度評価を行わなくても、ワイヤによる接続状態を評価できるようにした点火装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、制御回路IC(3)に対して点火信号を入力することで、該点火信号に基づいて制御回路IC(3)から半導体スイッチング素子(5)への制御信号が出力されるように構成され、
かつ、スイッチIC(2)に備えられた温度センサ(9)と制御回路IC(3)に備えられた過昇温検出回路(13)とはワイヤ(W3、W4)を通じて接続され、該ワイヤ(W3、W4)を介して温度センサ(9)の出力が過昇温検出回路(13)に伝えられるようになっており、
さらに、制御回路IC(3)には、ワイヤ(W3、W4)の断線を検出する断線検出回路(14)が備えられていることを特徴としている。
このように、制御回路IC(3)に断線検出回路(14)を設け、この断線検出回路(14)によって制御回路IC(3)に設けられた過昇温検出回路(13)とスイッチIC(2)に設けられた温度センサ(9)とを接続するワイヤ(W3、W4)の断線を検出できるようにしている。
このため、断線検出回路(14)によって断線が検出された場合には、半導体スイッチング素子(5)がONされないようにすることができ、ワイヤ(W3、W4)が断線して過昇温検出回路(13)によってスイッチIC(2)の過昇温が検出できなくなっても、点火コイル(4)に電流が流れ続けてしまわないようにすることができる。これにより、点火装置をより安全な構成とすることが可能となる。
例えば、請求項2に示されるように、温度センサ(9)と過昇温検出回路(13)とは、ワイヤ(W3、W4)として、ハイサイド側のワイヤ(W3)とローサイド側のワイヤ(W4)によって接続されている場合、断線検出回路(14)は、ハイサイド側の電位と電源(20)が形成する参照電圧(V2)との大小に応じた出力を発生するコンパレータ(19)を有して構成され、制御回路IC(3)は、コンパレータ(19)の出力に基づいて、制御信号を制御する。
また、請求項3に示されるように、温度センサ(9)が、ハイサイド側のワイヤ(W3)とローサイド側のワイヤ(W4)との間に接続される温度検出用ダイオード(9a)を含んで構成される場合、断線検出回路(14)は、ハイサイド側のワイヤ(W3)と接続される複数のダイオード(23a、23b)を含んで構成される。この場合、断線検出回路(14)に含まれる複数のダイオード(23a、23b)の数は、温度検出用ダイオード(9a)の数と同等またはそれ以上とされる。
これら請求項1ないし3に記載の発明は、請求項4に示されるように、スイッチIC(2)、制御回路IC(3)およびワイヤ(W3、W4)は樹脂によってモールドされるような点火装置に適用すると好適である。特に、請求項5に示されるように、ワイヤ(W3、W4)の太さが20ミクロン以上かつ120ミクロン以下とされる場合に好適である。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態が適用された車両用の点火装置について説明する。
図1は、本実施形態における点火装置1の回路構成を示すブロック図である。また、図2は、図1に示す点火装置1の具体的な回路構成例を示す図であり、図3は、本実施形態における点火装置1の部品構成レイアウト図である。これらの図を参照して、本実施形態における点火装置1について説明する。
図1および図2に示されるように、点火装置1には、スイッチIC2と制御回路IC3とが備えられている。これらスイッチIC2と制御回路IC3とは別々のチップで構成され、互いにワイヤW1〜W4を介して接続された構成となっている。
スイッチIC2は、点火コイル4の1次巻線4aへの通電のスイッチング制御を行うためのものである。このスイッチIC2には、半導体スイッチング素子に相当するIGBT5と抵抗6が備えられている。
IGBT5には、点火コイル4の1次巻線4aへの通電のスイッチング制御を行うために用いられるメインセル側に形成されたものと、メインセル側のIGBT5に流される電流量を検出するために用いられる電流検出セル側に形成されたものとがある。これら各セルのIGBT5へのゲート電圧の制御は、抵抗6を介して入力される制御回路IC3からの制御信号によって行われるようになっている。なお、ここでいうIGBT5のうちのメインセル側の部分が本発明の半導体スイッチング素子に相当する。
メインセル側のIGBT5のコレクタ端子に負荷となる点火コイル4の1次巻線4aが接続され、エミッタ端子にGNDが接続されている。また、電流検出セル側のIGBT5のコレクタ端子は、メインセル側のIGBT5のコレクタ端子と共通化されており、エミッタ端子は抵抗7を介して制御回路IC3に接続されていると共に、抵抗8を介してGNDに接続されている。これにより、エミッタ端子から流れる電流検出用のセンス電流、すなわちメインセル側のIGBT5に流れる電流に比例する電流が制御回路IC3にフィードバックされるようになっている。
このような構成のスイッチIC2において、IGBT5へのゲート電圧は、抵抗6を介して入力される制御回路IC3からの制御信号によって行われる。そして、IGBT5へのゲート電圧の電位レベルがハイレベルになるとIGBT5がONし、点火コイル4における1次巻線4aへの通電が行われ、ゲート電圧の電位レベルがローレベルになるとIGBT5がOFFし、点火コイル4における1次巻線4aへの通電が遮断されるようになっている。
なお、抵抗6は、IGBT5のゲートに対してゲート電圧を印加するための入力抵抗である。
さらに、スイッチIC2には、温度センサ9が備えられている。この温度センサ9は、IGBT5の発熱によって昇温するスイッチIC2の温度に応じた出力を発生させるものであり、図2に示されるように、温度検出用ダイオード9aによって構成されている。すなわち、IGBT5の発熱によってスイッチIC2の温度が上昇すると、その温度上昇に応じて温度検出用ダイオード9aの抵抗値が低くなるため、制御回路IC3側から定電流が供給されたときに、温度検出用ダイオード9aでの電圧降下量が変化し、温度検出用だコード9aの両端電圧値が変化する。この両端電圧値が出力とされることで、スイッチIC2の温度に応じた出力となる。
一方、制御回路IC3は、エンジンECU10から送られてくる点火信号をスイッチIC2におけるIGBT5の制御信号として伝える役割を果たすものである。
この制御回路IC3には、波形整形回路11と、定電流制御回路12と、過昇温停止回路13と、断線検出回路14と、ラッチ回路15が備えられ、これらにより点火コイル4の1次巻線4aに流されるコイル電流およびスイッチIC2の温度等に基づいてIGBT5の制御信号を調整できるようになっている。
また、制御回路IC3には、電源3aからの電力供給が為されるようになっており、この電源3aからの電力供給に基づいて制御回路IC3が駆動されるようになっている。
制御回路IC3に入力された点火信号は、波形整形回路11によって波形整形されたのち、IGBT5をON/OFF駆動するためのゲート電圧に変換されるようになっている。このため、基本的には、波形整形回路11から印加されるゲート電圧によってIGBT5がON/OFF駆動される。
定電流制御回路12は、電流検出セル側のIGBT5から流されるセンス電流を入力し、その大きさに基づいて各IGBT5のゲート電圧を調整するものである。例えば、定電流制御回路12は、この回路12内に備えられた図示しない抵抗によってセンス電流を電圧変換し、その電圧の変化に基づいて各IGBT5のゲート電圧を調整する。そして、上述したように、制御回路IC3とスイッチIC2とが別チップで構成されていることから、定電流制御回路12は、制御回路IC3を構成するチップの温度に基づいて各IGBT5のゲート電圧を調整できるようになっている。
この定電流制御回路12は、例えば、参照電圧を形成する電源部とコンパレータおよび参照電圧の電圧値を温度補正するための温度特性を有するダイオード等によって構成される。これらの構成により、ダイオードの温度特性によって温度補正された参照電圧と電圧変換されたセンス電流とを比較し、ゲート電圧調整用の出力を発生させる。
過昇温検出回路13は、スイッチIC2に備えられた温度センサ9の検出信号を入力し、この検出信号に基づき、スイッチIC2の温度が所定温度に達すると、IGBT5を停止させるようにゲート電圧を調整するものである。
この過昇温検出回路13は、本実施形態では、図2に示されるように、定電流源16と、コンパレータ17および参照電圧V1を形成する電源18とによって構成されている。電源18によって形成される参照電圧V1は、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aが過昇温と想定される所定の温度となるときのVF電圧(両端電圧)に設定されている。
このような構成によれば、定電流源16から温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aに向けて定電流が流されると、温度検出用ダイオード9aにおける両端電圧がスイッチIC2の温度に応じて変化する。このため、スイッチIC2が過昇温になっていないときには、コンパレータ17の反転入力端子に入力される定電流源16と温度検出用ダイオード9aとの間の電位が、コンパレータ17の非反転入力端子に入力される電源18の参照電圧V1よりも高くなるため、コンパレータ17からローレベルが出力される。そして、スイッチIC2が過昇温になると、コンパレータ17の反転入力端子に入力される定電流源16と温度検出用ダイオード9aとの間の電位が、コンパレータ17の非反転入力端子に入力される電源18の参照電圧V1よりも低くなり、コンパレータ17からハイレベルが出力される。このようなコンパレータ17の出力がラッチ回路15に入力されるようになっている。
断線検出回路14は、過昇温検出回路13と温度センサ9とを接続するハイサイド側のワイヤW3とローサイド側のワイヤW4との間に接続され、ワイヤW3、W4の断線を検出し、断線が検出されると、IGBT5を停止させるようにゲート電圧を調整するものである。
この断線検出回路14は、本実施形態では、図2に示されるように、コンパレータ19および参照電圧V2を形成する電源20とによって構成されている。電源20によって形成される参照電圧V2は、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aのVF電圧(両端電圧)よりも高く、かつ、制御回路IC3に印加される回路電源電圧よりも低い値に設定されている。つまり、参照電圧V2を参照電圧V1と正常温度範囲でのVF電圧と比べると、V1<VF<V2の関係となるように設定されている。
このような構成によれば、上記定電流源16から温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aに向けて定電流が流されたときに、温度検出用ダイオード9aにおける両端電圧よりも参照電圧V2の方が高くなるため、コンパレータ19の反転入力端子に入力される定電流源16と温度検出用ダイオード9aとの間の電位が、コンパレータ19の非反転入力端子に入力される電源20の参照電圧V2よりも低くなり、コンパレータ19からローレベルが出力される。そして、ワイヤW3、W4が断線すると、コンパレータ19の反転入力端子に入力される定電流源16と温度検出用ダイオード9aとの間の電位が回路電源電圧となり、コンパレータ19の非反転入力端子に入力される電源20の参照電圧V2よりも高くなって、コンパレータ19からハイレベルが出力される。このようなコンパレータ19の出力がラッチ回路15に入力されるようになっている。
ラッチ回路15は、過昇温検出回路14および断線検出回路14の出力に基づいて、波形整形回路11が出力するゲート電圧を調整するものである。すなわち、過昇温検出回路13および断線検出回路14の出力がローレベルの時には、スイッチIC2が過昇温になっておらず、また、ワイヤW3、W4が断線していないものとして、波形整形回路11の出力するゲート電圧がそのままスイッチIC2に伝えられ、IGBT5がON/OFF駆動される。そして、過昇温検出回路13または断線検出回路14の出力がハイレベルの時には、スイッチIC2が過昇温になっているか、または、ワイヤW3、W4が断線しているものとして、スイッチIC2内のIGBT5がONされないように、波形整形回路11の出力するゲート電圧がローレベルにラッチされる。
そして、このように構成される点火装置1の各構成要素が、図3に示されるように、一枚の金属板を打ち抜いて形成した各種端子を構成するリードフレーム22の上の所定位置に実装されたのち、モールド樹脂1aによって樹脂封止されることで、点火装置1が構成されている。
具体的には、スイッチングIC2は、点火コイル4の1次巻線4aに接続される出力端子22aの上に実装され、制御回路IC3や図1と図2では図示していないが電源3aと制御回路IC3との間に備えられる保護抵抗3bは、GND端子22bの上に実装されている。
そして、スイッチングIC2は、ワイヤW1〜W4を介して制御回路IC3と、ワイヤW5を介してGND端子22bと電気的に接続されている。また、制御回路IC3は、ワイヤW6を通じて点火信号が入力される入力端子22cと、ワイヤW7を通じて保護抵抗3bと電気的に接続されている。さらに、保護抵抗3bは、ワイヤW8を通じて電源3aに接続される定電圧(+B)端子22dと電気的に接続されている。
ここで示されるワイヤW1〜W8のうち、少なくとも制御回路IC3とスイッチIC2とを接続するワイヤW1〜W4は、太さが20ミクロン以上かつ250ミクロン以下という細線で構成されている。
以上のような構成により点火装置1が構成されている。そして、スイッチIC2に備えられたIGBT5のコレクタ端子に点火コイル4の1次巻線4aが接続されると共に、点火コイル4の2次巻線4bがプラグ21に接続されることで、点火装置1によるプラグ21の点火タイミングの制御が行われるようになっている。
このような構成の点火装置1では、エンジンECU10からの点火信号がハイレベルとなると、波形整形回路11によって点火信号が波形整形され、ハイレベルのゲート電圧としてスイッチIC2に伝えられる。このため、抵抗6を介して各IGBT5に高いゲート電圧が印加され、各IGBT5がON状態とされる。これにより、各IGBT5のコレクタ−エミッタ間に電流が流れ、点火コイル4の1次巻線4aに流されるコイル電流が上昇していく。そして、2次巻線4bからプラグ13の放電に必要な電流が流され、内燃機関での点火が行われる。
また、エンジンECU7からの点火信号がローレベルのときには、IGBT5のゲート電圧が低下するため、IGBT5がOFF状態とされ、点火コイル4の1次巻線4aへのコイル電流が遮断される。
そして、スイッチIC2が過昇温になっていないときには、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aのVF電圧の方が電源18の形成する電圧V1よりも高いため、コンパレータ17の出力がローレベルとなる。このとき、ワイヤW3、W4が断線していなければ、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aのVF電圧よりも電源20の形成する電圧V2の方が高いため、コンパレータ19の出力もローレベルとなる。したがって、この場合には、ラッチ回路15は波形整形回路11が出力するゲート電圧をそのままスイッチIC2に伝えることとなり、上記のようにIGBT5がゲート電圧のレベルに応じてON/OFF駆動される。
一方、スイッチIC2が過昇温になると、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aのVF電圧の方が電源18の形成する電圧V1よりも低くなるため、コンパレータ17の出力がハイレベルとなる。また、ワイヤW3、W4が断線しても、定電流源16と温度センサ9との間の電位(回路電源電圧)よりも電源20の形成する電圧V2の方が低くなり、コンパレータ19の出力がハイレベルとなる。したがって、これらの場合には、ラッチ回路15は波形整形回路11が出力するゲート電圧がハイレベルにならないようにラッチする。このため、IGBT5がONされないようにされる。
続いて、本実施形態における点火装置1の効果について説明する。
本実施形態の点火装置1によれば、制御回路IC3に断線検出回路14を設け、この断線検出回路14によって制御回路IC3に設けられた過昇温検出回路13とスイッチIC2に設けられた温度センサ9とを接続するワイヤW3、W4の断線を検出できるようにしている。
このため、断線検出回路14によって断線が検出された場合には、IGBT5がONされないようにすることができ、ワイヤW3、W4が断線して過昇温検出回路13によってスイッチIC2の過昇温が検出できなくなっても、点火コイル4に電流が流れ続けてしまわないようにすることができる。これにより、引っ張りによるワイヤの接続強度評価を行わなくても、ワイヤによる接続状態を評価できるものにでき、かつ、点火装置1をより安全な構成とすることが可能となる。
そして、点火装置1を完成品とする際には、図3に示されるように、制御回路IC3やスイッチIC2等をワイヤW1〜W8等によってボンディングしたのち、樹脂によって全体を封入することになる。このとき、異常な成形圧が加わった場合、制御IC、IGBT素子等に応力が加わるが、出荷試験ではその影響を判定できず、ユーザがある程度の時間使用してからその影響が現れることになり得るが、このように、ユーザでの使用段階に至ってから点火装置1が故障するような影響が現れるのは好ましくない。
このようなことを避けるためにも、上記のように、ワイヤW1〜W4等に細線を使用して、スイッチIC2や制御回路IC3が影響を受けるような異常成形圧に対して細線が断線するようにすることで、出荷時の動作試験により、それが判定できるようにするのが好ましい。したがって、本実施形態のように、ワイヤW1〜W4に細線、例えば20ミクロンから120ミクロンの太さのものを使用するような場合に、特に本発明が有効であり、これにより、異常成形圧の影響を受けた製品が市場に流出することを防止することが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態にかかる点火装置の基本構成は、第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図4は、本実施形態の点火装置1の回路構成である。この回路のブロック構成は、第1実施形態で示した図1と同じである。
この図に示されるように、本実施形態では、断線検出回路14が2つのダイオード23a、23bと抵抗24とによって構成されていることが第1実施形態と異なる。その他の構成に関しては、第1実施形態と同様である。
2つのダイオード23a、23bは、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aのVF電圧よりも高い電圧降下量となるようにするために、温度検出用ダイオード9aと同じかそれよりも多い数とするために2つとされている。
このような構成の点火装置1によれば、ワイヤW3、W4が断線していないときには、温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aのVF電圧の方が2つのダイオード23a、23bでの2×VF電圧よりも低いため、2つのダイオード23a、23bには電流が流れない。このため、抵抗24での電圧降下が生じず、ラッチ回路15にはローレベルが入力されることになる。
一方、ワイヤW3、W4が断線した場合には、2つのダイオード23a、23bに電流が流れる。このため、抵抗24での電圧降下が生じ、ラッチ回路15にはハイレベルが入力されることになる。
このように、本実施形態の構成によれば、第1実施形態で示したようなコンパレータ19等を使用しなくても、断線検出を行うことが可能となる。したがって、点火装置1の構成をより簡素にすることが可能となる。
(他の実施形態)
上記第1、第2実施形態では、断線検出回路14の具体的な構成例を挙げて説明したが、これらに限るものではない。例えば、第2実施形態では、2つのダイオード23a、23bを備えるようにしたが、この数は温度センサ9を構成する温度検出用ダイオード9aと同等もしくはそれ以上の数であれば良い。
また、コンパレータ17、19の出力がローレベルの時にはIGBT5がON/OFF駆動され、ハイレベルの時にはIGBT5がONされないように、ラッチ回路15で波形整形回路11の出力を調整するようになっている。しかしながら、これも単なる例示であり、コンパレータ17、19の出力がハイレベルの時にIGBT5がON/OFF駆動され、ローレベルの時にIGBT5がONされないように、ラッチ回路15で波形整形回路11の出力を調整するようにしても良い。
本発明の第1実施形態における点火装置のブロック構成を示す図である。 図1に示す点火装置の具体的な回路構成を示した図である。 図1に示す点火装置の部品構成レイアウト図である。 本発明の第2実施形態における点火装置の具体的な回路構成を示した図である。
符号の説明
1…点火装置、2…スイッチIC、3…制御回路IC、4…点火コイル、4a…1次巻線、4b…2次巻線、5…IGBT、9…温度センサ、11…波形整形回路、12…定電流回路、13…過昇温検出回路、14…断線検出回路、15…ラッチ回路、16…定電流源、17…コンパレータ、18…電源、19…コンパレータ、20…電源、23a、23b…ダイオード、24…抵抗、W1〜W8…ワイヤ。

Claims (5)

  1. 点火コイル(4)に流されるコイル電流のスイッチングを行う半導体スイッチング素子(5)が備えられていると共に、前記半導体スイッチング素子(5)の温度に応じた出力を発生させる温度センサ(9)が備えられたスイッチIC(2)と、
    前記スイッチIC(2)における前記半導体スイッチング素子(5)をON、OFF制御するための制御信号を出力すると共に、前記温度センサ(9)の出力に基づいて前記スイッチIC(2)の過昇温を検出することで前記制御信号を制御する過昇温検出回路(13)を有してなる制御回路IC(3)とを備え、
    前記制御回路IC(3)に対して点火信号を入力することで、該点火信号に基づいて前記制御回路IC(3)から前記半導体スイッチング素子(5)への制御信号が出力されるように構成され、
    かつ、前記スイッチIC(2)に備えられた前記温度センサ(9)と前記制御回路IC(3)に備えられた前記過昇温検出回路(13)とはワイヤ(W3、W4)を通じて接続され、該ワイヤ(W3、W4)を介して前記温度センサ(9)の出力が前記過昇温検出回路(13)に伝えられるようになっており、
    さらに、前記制御回路IC(3)には、前記ワイヤ(W3、W4)の断線を検出する断線検出回路(14)が備えられていることを特徴とする点火装置。
  2. 前記温度センサ(9)と前記過昇温検出回路(13)とは、前記ワイヤ(W3、W4)として、ハイサイド側のワイヤ(W3)とローサイド側のワイヤ(W4)によって接続されており、
    前記断線検出回路(14)は、前記ハイサイド側の電位と電源(20)が形成する参照電圧(V2)との大小に応じた出力を発生するコンパレータ(19)を有し、
    前記制御回路IC(3)は、前記コンパレータ(19)の出力に基づいて、前記制御信号を制御するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の点火装置。
  3. 前記温度センサ(9)と前記過昇温検出回路(13)とは、前記ワイヤ(W3、W4)として、ハイサイド側のワイヤ(W3)とローサイド側のワイヤ(W4)によって接続されており、
    前記温度センサ(9)は、前記ハイサイド側のワイヤ(W3)と前記ローサイド側のワイヤ(W4)との間に接続される温度検出用ダイオード(9a)を含んで構成され、
    前記断線検出回路(14)は、前記ハイサイド側のワイヤ(W3)と接続される複数のダイオード(23a、23b)を含んで構成され、
    前記断線検出回路(14)に含まれる前記複数のダイオード(23a、23b)の数は、前記温度検出用ダイオード(9a)の数と同等またはそれ以上とされていることを特徴とする請求項1に記載の点火装置。
  4. 前記スイッチIC(2)、前記制御回路IC(3)および前記ワイヤ(W3、W4)は樹脂によってモールドされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の点火装置。
  5. 前記ワイヤ(W3、W4)は、太さが20ミクロン以上かつ120ミクロン以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の点火装置。
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