JP2006056253A - 印刷ユニットおよび湿し水システム - Google Patents

Abstract

【課題】 新しい種類の印刷ユニットおよび新しい種類の湿し水システムを創造する。
【解決手段】 少なくとも１つの印刷装置を備えた印刷ユニットにおいて、湿し水システムはクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラを備え、このローラに１つの湿し水タンクから湿し水が着けられる。本発明では、湿し水システムのクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１０２と各版胴１００との間に、２つの比較的柔らかいローラ１０４，１０５が配置されており、この２つが版胴１００とクロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ１０２とに回転接触しているために、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ１０２に着けられた湿し水が２つの比較的柔らかいローラ１０４，１０５を介して版胴１００に直接塗布される。
【選択図】図３

Description

本発明は、請求項１の上位概念による印刷ユニットに関するものである。本発明はさらに、請求項６の上位概念による印刷機の印刷装置のための湿し水システムに関するものである。

ウェブ輪転印刷機、特に新聞印刷機の印刷ユニットには、複数の印刷装置が備わっており、各印刷装置は、１つの転写胴、１つの版胴、１つのインキングシステム、および１つの湿し水システムで構成されている。さらに、このような印刷ユニットには圧胴が備わっていることがあり、圧胴はさまざまな印刷装置の１つまたは複数の転写胴と協働できる。このような圧胴を備えた印刷ユニットのほか、圧胴を備えない印刷ユニットも既知であり、そのような圧胴を備えない印刷ユニットでは２つの印刷装置の転写胴が互いに押し付けあって回転している。転写胴には通常ゴムブランケットが、版胴には刷版が取り付けられているため、転写胴はゴム胴、版胴は刷版胴とも呼ばれる。

印刷装置のインキングシステムの役割はインキを印刷装置の版胴に塗布することであり、湿し水システムの役割は印刷装置の版胴に湿し水を塗布することである。従来の技術においては、版胴に効果的に湿し水を塗布できる一連の湿し水システムが既知である。

図１には、ウェブ輪転印刷機の印刷装置の版胴１０の区域、および該版胴１０と協働する湿し水システム１１の区域の断面図が示されており、湿し水システム１１により版胴１０に湿し水が塗布される。従来の技術として既知のこの湿し水システム１１にはクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１２が備わっており、これに湿し水タンク１３の湿し水が着けられる。この従来技術によれば、版胴１０とクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１２との間には、２つの比較的柔らかいローラ１４および１５が配置されており、比較的柔らかいローラ１４は版胴１０と、比較的柔らかいローラ１５はクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１２と回転接触する。さらに、２つの比較的柔らかいローラ１４および１５は回転接触しているため、最終的には、従来技術により既知の図１の湿し水システム１１においては、湿し水が、比較的硬いローラ１２から比較的柔らかいローラ１５に、比較的柔らかいローラ１５から比較的柔らかいローラ１４に、そして比較的柔らかいローラ１４から版胴１０に移される。さらに、従来技術によれば、比較的硬いローラ１２と回転接触する比較的柔らかいローラ１５に着けられた湿し水膜を平滑化するために、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１２が軸方向に往復運動できるということも既知である。しかし図１の配置では、ここに示された湿し水システムにおいて、版胴１０と回転接触する比較的柔らかいローラ１４上の湿し水膜が平滑化されないという短所もある。

版胴１０と回転接触している比較的柔らかいローラ１４の上でも湿し水膜の平滑化を行うために、従来技術においては、２つの比較的柔らかいローラ１４および１５の間に他のクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラを配置するということが既知である。図２には従来技術において既知の他の湿し水システム１６が示されており、これは、図１で既に示されたコンポーネントのほかに、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた硬いローラ１７をもう１つ備えており、これが２つの比較的柔らかいローラ１４および１５に回転接触している。第２の比較的硬いローラ１７は、第１の比較的硬いローラ１２と同様、軸方向に往復運動する。従来の技術から既知のこの解決方法では、版胴１０と回転接触する比較的柔らかいローラ１４上で湿し水膜の平滑化を行えるが、従来の技術から既知のこの湿し水システム１６は、さらに他のローラを備えているため、構造が複雑になる。そのため、２つの比較的硬いローラ１２および１７のために軸方向の往復運動を行う駆動装置を用意する必要がある。図２の湿し水システム１６はそのため高価になる。

この問題を鑑みて、本発明の課題は、新しい種類の印刷ユニットおよび新しい種類の湿し水システムを創造することである。

この問題は、請求項１の印刷ユニットにより解決できる。本発明においては、湿し水システムのクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラとそれぞれの版胴との間に、２つの比較的柔らかいローラが配置されており、該２つのローラが版胴とクロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラとに回転接触しているために、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラに着けられた湿し水が２つの比較的柔らかいローラを介して直接版胴に塗布される。２つの比較的柔らかいローラはこれにより湿し水塗布胴を形成する。望ましくは軸方向の往復運動を行うクロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラが、２つの湿し水塗布胴上の湿し水膜の平滑化を行う。

印刷機の印刷装置のための本発明の湿し水システムは、独立請求項６で規定されている。

本発明の望ましい変形例は下位請求項および以下の説明から見て取れる。本発明の実施例について図を基により詳しく説明するが、これに限定されるわけではない。

図３は、ウェブ輪転印刷機の印刷装置における本発明の版胴１００の区域、および湿し水システム１０１の区域の断面図を示している。湿し水システム１０１により湿し水が版胴１００に塗布される。

湿し水システム１０１にはクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１０２が備わっており、ここに湿し水タンク１０３の湿し水が着けられる。本発明においては、該クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１０２と版胴１００との間に２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５が配置され、２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５は、一方では版胴１００と、他方ではクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１０２と回転接触している。比較的硬いローラ１０２に着けられた湿し水は、それにより２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５を介して直接版胴１００に塗布されるため、２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５は湿し水塗布胴として構成されている。

本発明においては、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１０２が軸方向に往復運動するため、２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５上において、この往復運動により、２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５の上の湿し水膜の平滑化が行われる。

既に述べたように、図３に示した本発明の配置により、２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５は、版胴１００と回転接触および摩擦接触しているが、このとき、２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５は、版胴１００と摩擦接触しているために、これにより回転しながら駆動される。クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ１０２の駆動は、版胴１００の回転運動を比較的硬いローラ１０２に伝える駆動輪または歯車により行われる。比較的硬いローラ１０２はそれにより版胴１００を介して回転駆動される。軸方向に往復運動するために、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラには、対応する駆動装置が配設されている。

２つの比較的柔らかいローラ１０４および１０５は湿し水塗布胴として構成されている。該２つの湿し水塗布胴の一方（図３の実施例ではローラ１０５）は、他方の湿し水塗布胴（図３の実施例ではローラ１０４）に対して、版胴１００の回転方向１０６に関して後流側に取り付けられている。そのため、回転方向１０６から見ると、まず最初に湿し水塗布胴１０４が、次に湿し水塗布胴１０５が湿し水を版胴１００に塗布する。本発明のこのような構成には、回転方向に関して後流側に取り付けられている塗布胴１０５が、塗布胴１０４により塗布された湿し水膜の平滑化を行うという長所がある。これにより、版胴１００への湿し水塗布の品質が改善できる。

図３に示した本発明の解決法により、比較的単純な湿し水システムにおいて、ウェブ輪転印刷機の印刷ユニットの印刷装置の版胴に、わずか３つのローラで湿し水膜を均一に塗布することができる。

従来技術による印刷ユニットの断面図である。 従来技術による他の印刷ユニットの断面図である。 本発明の印刷ユニットの断面図である。

符号の説明

１０ 版胴
１１ 湿し水システム
１２ ローラ
１３ 湿し水タンク
１４ ローラ
１５ ローラ
１６ 湿し水システム
１７ ローラ
１００ 版胴
１０１ 湿し水システム
１０２ ローラ
１０３ 湿し水タンク
１０４ ローラ
１０５ ローラ
１０６ 回転方向

Claims (10)

1. 少なくとも１つの印刷装置を備えた印刷ユニットにおいて、該印刷装置または各印刷装置は、少なくとも１つの版胴、少なくとも１つの転写胴、少なくとも１つのインキングシステム、および少なくとも１つの湿し水システムを備え、各印刷装置の湿し水システムは、それぞれの印刷装置の版胴上に湿し水を塗布し、該印刷装置または各印刷装置の湿し水システムは、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラを備え、このローラに１つの湿し水タンクから湿し水が着けられるように構成されており、
   湿し水システムのクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ（１０２）と各版胴（１００）との間に、２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）が配置されていて、この２つが版胴（１００）とクロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）とに回転接触しているために、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）に着けられた湿し水が２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）を介して版胴（１００）に直接塗布されることを特徴とする印刷ユニット。
2. クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）が軸方向に往復運動することにより、２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）上の湿し水膜の平滑化を行うことを特徴とする請求項１に記載の印刷ユニット。
3. ２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）が湿し水塗布胴として構成され、これら湿し水塗布胴が版胴（１００）と摩擦接触し、この摩擦接触を介して版胴（１００）により回転駆動されることを特徴とする請求項１または２に記載の印刷ユニット。
4. 版胴（１００）の回転方向（１０６）に関して第２の湿し水塗布胴（１０４）の後流側に配置された第１の湿し水塗布胴（１０５）が、該第２の湿し水塗布胴（１０４）により版胴（１００）に塗布された湿し水膜の平滑化を行うことを特徴とする請求項３に記載の印刷ユニット。
5. クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）が駆動輪または歯車を介して版胴（１００）から駆動されることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の印刷ユニット。
6. 印刷機の印刷装置のための湿し水システムにおいて、湿し水システムが該印刷装置の版胴上に湿し水を塗布し、該湿し水システムがクロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラを備え、このローラに湿し水タンクから湿し水が着けられるように構成されており、
   該クロムコーティングまたはセラミックコーティングされた比較的硬いローラ（１０２）と版胴（１００）との間に、２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）が配置されていて、この２つのローラが版胴（１００）とクロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）とに回転接触しているために、クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）に着けられた湿し水が２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）を介して版胴（１００）に直接塗布されることを特徴とする湿し水システム。
7. クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）が軸方向に往復運動することにより、２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）上の湿し水膜の平滑化を行うことを特徴とする請求項６に記載の湿し水システム。
8. ２つの比較的柔らかいローラ（１０４，１０５）が湿し水塗布胴として構成され、これら湿し水塗布胴が版胴（１００）と摩擦接触し、この摩擦接触を介して版胴（１００）により回転駆動されることを特徴とする請求項６または７に記載の湿し水システム。
9. 版胴（１００）の回転方向（１０６）に関して第２の湿し水塗布胴（１０４）の後流側に配置された第１の湿し水塗布胴（１０５）が、該第２の湿し水塗布胴（１０４）により版胴（１００）に塗布された湿し水膜の平滑化を行うことを特徴とする請求項８に記載の湿し水システム。
10. クロムコーティングまたはセラミックコーティングされたローラ（１０２）が駆動輪または歯車を介して版胴（１００）から駆動されることを特徴とする請求項６〜９のいずれかに記載の湿し水システム。

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