JP2006049167A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】保護層形成中に保護層用材料から脱離する水分の影響を低減し、安定した膜質の保護層を形成することで、プラズマディスプレイパネルの高品質化を実現することを目的とする。
【解決手段】走査電極3と維持電極4とからなる表示電極5を覆う誘電体層6上に保護層7を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層7は、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0の酸化マグネシウムを保護層用材料として用いて形成したものであることを特徴とするものである。
【選択図】図1
【解決手段】走査電極3と維持電極4とからなる表示電極5を覆う誘電体層6上に保護層7を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層7は、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0の酸化マグネシウムを保護層用材料として用いて形成したものであることを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと示す)に関するものである。
交流面放電型のPDPは、走査電極および維持電極からなる表示電極を複数形成した前面基板と、その表示電極に直交するようにアドレス電極を複数形成した背面基板とを、基板間に放電空間を形成するように対向配置して周囲を封着し、放電空間にネオンおよびキセノンなどの放電ガスを封入して構成されており、表示電極は誘電体層で覆われ、この誘電体層上には保護層が形成されている。そして、各電極に所定の電圧を印加して放電空間で放電を発生させ背面基板上に設けられた蛍光体層を発光させることにより画像表示が行われる。
ここで保護層は、放電で生じるイオン衝撃から誘電体層を保護するもので、耐イオン衝撃性の高い物質を用いて形成されている。また、このイオン衝撃により、保護層そのものが2次電子を放出し、このことにより駆動電圧を低下させるという役割も持つ。ここで保護層は、一般的に、単結晶の酸化マグネシウム(MgO)が用いられており、真空成膜技術によって形成される(例えば、非特許文献1参照)。
内池平樹、御子柴茂生共著、「プラズマディスプレイのすべて」 (株)工業調査会、1997年5月1日、p85、p90
内池平樹、御子柴茂生共著、「プラズマディスプレイのすべて」 (株)工業調査会、1997年5月1日、p85、p90
MgOは吸湿性の強い材料であり、吸着した水分のために、効率的に安定した品質の保護層を形成することが困難になるという課題があった。これは、保護層は真空成膜技術によって形成されるが、真空雰囲気下でMgO原料に吸着していた水分が多量に脱離し、これが成膜された保護層に再吸着することに起因するものと考えられる。
すなわち、再吸着した水分によってMgO保護層の結晶性が安定しなくなり、これにより、耐イオン衝撃性および二次電子放出特性が悪化し、PDPの寿命および放電特性に悪影響を及ぼすものと考えられる。さらに、真空雰囲気下での成膜中にMgO原料から脱離して放出される多量の水分は、真空装置である保護層製造装置の運用において、脱ガス工程が必要となり、効率性・安全性の面での課題となる。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、保護層形成中に保護層用材料から脱離する水分の影響を低減し、安定した膜質の保護層を形成することで、PDPの高品質化を実現することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明のPDPは、走査電極と維持電極とからなる表示電極を覆う誘電体層上に保護層を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0の酸化マグネシウムを保護層用材料として用いて形成したものであることを特徴とするものである。
また、本発明のPDPは、走査電極と維持電極とからなる表示電極を覆う誘電体層上に保護層を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、保護層用材料として、酸化マグネシウムと金属マグネシウムの混合体を、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0となるようにして用いて形成したものであることを特徴とするものである。
本発明のPDPによれば、保護層形成中に保護層用材料から脱離する水分の影響を低減し、安定した膜質の保護層を形成することにより、PDPの高品質化を実現することが可能となる。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、走査電極と維持電極とからなる表示電極を覆う誘電体層上に保護層を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0の酸化マグネシウムを保護層用材料として用いて形成したものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
また、請求項2に記載の発明は、走査電極と維持電極とからなる表示電極を覆う誘電体層上に保護層を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、保護層用材料として、酸化マグネシウムと金属マグネシウムの混合体を、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0となるようにして用いて形成したものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記酸化マグネシウムは、過還元状態下で製造された酸化マグネシウムであることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記保護層は、物理気相法を用いて形成されたものであることを特徴とするものである。
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネル(PDP)の概略構成を示す部分斜視断面図である。
前面パネル1は、前面ガラス基板2上に走査電極3と維持電極4とからなる表示電極5がストライプ状に複数対配設され、表示電極5を覆うように誘電体ガラス層6が形成されている。更に、この誘電体ガラス層6を覆うように保護層7が形成されている。
背面パネル8は、背面ガラス基板9上にアドレス電極10を、表示電極5と直交するようにストライプ状に配されている。また電極保護層11は、アドレス電極10を覆うように形成され、アドレス電極10を保護し、可視光を前面パネル1側に反射する作用を担う。この電極保護層11上にアドレス電極10と同じ方向に向けて伸び、アドレス電極10を挟むように隔壁12が設けられ、隔壁12間に蛍光体層13が設けられている。
走査電極3および維持電極4からなる表示電極5が1つのラインを構成し、表示電極5とアドレス電極10とが交差する部分に発光単位となる放電セルが形成される。
そして各電極にパルス状の電圧を印加することで各放電セルにおいて、放電空間14で放電が発生し、この放電に伴って発生する紫外線により蛍光体層13が赤、緑、青の3色の可視光を発し、これが前面パネル1を透過することにより、画像の表示が行われる。
ここで、保護層7についてさらに説明する。
まず、上記の保護層7は物理気相法により形成する。物理気相法とは、低圧力下で固体原料を加熱し、蒸発もしくは昇華させることにより、原料の薄膜を、対象とする物体上に形成する方法である。物理気相法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などがある。このうち、真空蒸着法を例として、一般的なMgO保護層形成方法を説明する。図2は真空蒸着装置の概略構成を模式的に示す断面図であり、真空ポンプ21が接続された密閉容器22内に、主にMgO蒸発部と基板保持部からなる機器が設置されている。MgOからなる保護層原料23は、水冷されたハース24中に供給され、酸素雰囲気下で電子銃25から放出された熱電子ビーム26を照射することにより、加熱・蒸発させる。蒸発したMgOは、基板ヒータ27により所定温度まで加熱された前面パネル1上に付着し、MgOによる所望の保護層7が形成される。このとき、保護層用材料23であるMgO蒸着源としては、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0になるように混合されたペレット状の蒸着材料を用い、保護層7を形成する。ここで、保護層7の成膜条件の一例を示す。
到達圧力:5.0×10-4Pa以下、蒸着時基板温度:250℃、電子銃エミッション電流:250mA、蒸着時圧力:2.0×10-2Pa
ここで、上記のペレット状の蒸着材料は、例えば、高純度MgO粉末と、Mg粉末とを混合した材料を高温高圧下で成型、焼結することにより得られる。
ここで、上記のペレット状の蒸着材料は、例えば、高純度MgO粉末と、Mg粉末とを混合した材料を高温高圧下で成型、焼結することにより得られる。
なお、上記の真空蒸着法に限らず、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いて保護層7を形成することが可能であり、この場合にも保護層用材料23としてのターゲット材料、および原材料の成分制御を行い、その材料を用いて成膜すればよい。また、MgO蒸着源として、所定の酸素原子/マグネシウム原子比のMgO結晶体を用いて成膜を行ってもよい。さらに、図3に、同じく真空蒸着装置の概略構成の断面図を模式的に示すように、ハース24に供給する保護層用材料として、例えば、MgO28aおよび金属マグネシウム28bの2源とし、2源系蒸着により成膜を行ってもよい。
次に、上述したように形成した保護層7を備えるPDPにより得られる効果について述べる。
まず、保護層用材料23として、酸素原子/マグネシウム原子比が0.1、0.3、0.5、0.7、1.0となるように高純度MgO粉末と金属マグネシウムを混合した蒸着材料を用いて、シリカ基板上に薄膜を形成したときの可視光領域(波長550nm)における屈折率および消衰係数を求めた。このときの結果をそれぞれ図4および図5に示す。
図4によると、酸素原子/マグネシウム原子比が低下するにしたがって、MgO薄膜の屈折率が上昇することがわかる。屈折率は、薄膜の充填密度と密接な関係があり、一般的に、屈折率の高いものは充填密度が高くなる。蒸着材料中の酸素原子を減らすことで、純MgO蒸着材料を用いたときよりも、緻密なMgO薄膜が得られる。一方、図5を参照すると、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3以下になると、急激に消衰係数が上昇している。消衰係数は光の吸収を表すもので、消衰係数が大きいと光の吸収が大きくなり、透過光が減少することを意味する。蒸着材料中の酸素原子を少なくした場合、蒸着中に酸素ガスを導入してもマグネシウム原子が酸化されずに膜中の酸素欠損が多くなり、可視光領域においても透過率の低い膜になったと推測される。このようなMgO膜の透過率の低下は、表示画像の輝度の低下につながることから、PDPにおいて使用することができない。すなわち、上記の結果から、蒸着材料中に含有する酸素原子/マグネシウム原子比は0.3乃至1.0が好ましい。
上記のように、MgO蒸着材料中の酸素原子/マグネシウム原子比を0.3乃至1.0にすることで、緻密で結晶性の良い保護層が容易に得られる。その結果、たとえば保護層の耐イオン衝撃性が向上し、PDPの寿命を長くすることができる。また、MgO膜質の向上によって、二次電子が効率的に放出され、放電電圧を低下することができる。
本発明においては、保護層としてMgO膜を使用したが、Al2O3、CaO、BaO、TiO2、Y2O3、La2O3、CeO2、HfO2などの金属酸化物や混合酸化物で、耐イオン衝撃性に優れ、それによる二次電子放出係数の大きい材料であれば種類を問わない。
以上述べたように本発明のPDPによれば、保護層形成中に保護層用材料から脱離する水分の影響を低減することができるので、安定した膜質の保護層を形成することが可能となり、もってPDPの高品質化を実現できる。
1 前面パネル
2 前面ガラス基板
3 走査電極
4 維持電極
5 表示電極
6 誘電体ガラス層
7 保護層(MgO膜)
8 背面パネル
9 背面ガラス基板
10 アドレス電極
11 電極保護層
12 隔壁
13 蛍光体層
2 前面ガラス基板
3 走査電極
4 維持電極
5 表示電極
6 誘電体ガラス層
7 保護層(MgO膜)
8 背面パネル
9 背面ガラス基板
10 アドレス電極
11 電極保護層
12 隔壁
13 蛍光体層
Claims (4)
- 走査電極と維持電極とからなる表示電極を覆う誘電体層上に保護層を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0の酸化マグネシウムを保護層用材料として用いて形成したものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
- 走査電極と維持電極とからなる表示電極を覆う誘電体層上に保護層を備えるプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、保護層用材料として、酸化マグネシウムと金属マグネシウムの混合体を、酸素原子/マグネシウム原子比が0.3乃至1.0となるようにして用いて形成したものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウムは、過還元状態下で製造された酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記保護層は、物理気相法を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
Priority Applications (1)
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JP2004230262A JP2006049167A (ja) | 2004-08-06 | 2004-08-06 | プラズマディスプレイパネル |
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JP2007026794A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 保護層用原材料 |
JP2007299583A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 |
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WO2009011067A1 (ja) * | 2007-07-19 | 2009-01-22 | Hitachi, Ltd. | プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 |
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JP4736933B2 (ja) * | 2006-04-28 | 2011-07-27 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイパネル |
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