JP2006044300A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一時的に巻き取りが不能の状態が生じても、このような巻き取り不能の状態を解消すれば、予め設定された所定量のウエビングベルトを確実に巻き取って格納できるウエビング巻取装置を得る。
【解決手段】 本ウエビング巻取装置10では、バックルスイッチ136からの信号がHighレベルからLowレベルに切り替わると、モータ100が駆動開始し、更に、演算回路128にて信号が切り替わってからの積算時間に応じて電圧Ebが増加する。この状態で、出力軸102が停止してロック電流が流れたり、また、ロック電流の増加によりモータ100への通電が遮断された場合には、ロック電流の通電の積算時間やモータ100への通電遮断の積算時間に対応した電圧El、Edの値が電圧Ebの値から差し引かれ、この演算結果が所定の値に到達するまでモータ100が駆動される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両等の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するためのシートベルト装置を構成するウエビング巻取装置に関する。
車両の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するシートベルト装置は、座席の側方で車体に固定されたウエビング巻取装置を備えている。ウエビング巻取装置は、例えば、軸方向が略車両前後方向に沿ったスプール(巻取軸)を備えており、このスプールにウエビングベルトの長手方向基端側が係止されている。
ウエビングベルトは、その長手方向基端側からスプールに巻き取られて収納されている。ウエビングベルトを装着する際には、ウエビングベルトを先端側へ引っ張り、スプールに巻取状態で収納されているウエビングベルトを引き出す。
次いで、引き出されたウエビングベルトは乗員の身体に掛け回される。さらに、ウエビングベルトの長手方向中間部に設けられたタングプレートが、座席を介してウエビング巻取装置とは反対側に設けられたバックル装置に装着される。
これにより、タングプレートがバックル装置に保持され、乗員の身体にウエビングベルトが掛け回された状態が維持される。
一方、スプールの軸方向一端には、渦巻きばねの一端が直接又は間接的に連結されている。上記のようにスプールに巻き取られたウエビングベルトを引っ張ってウエビングベルトを引き出すと、スプールが軸周りの一方である引出方向に回転する。このように、スプールが引出方向に回転すると、渦巻きばねが巻き締められ、渦巻きばねがスプールを巻取方向に付勢する。
上記のウエビングベルトの装着状態では、渦巻きばねの付勢力がウエビングベルトの弛み分をスプールに巻き取らせ、ウエビングベルトを乗員の身体にフィットさせる。さらに、バックル装置からタングプレートを取り外すと、渦巻きばねの付勢力がスプールを引出方向とは反対の巻取方向に回転させてスプールにウエビングベルトを巻き取らせて収納する。
一方で、ウエビングベルトを収納する際には、モータの駆動力でスプールを巻取方向に回転させる構成のウエビング巻取装置があり、その一例が下記特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されたウエビング巻取装置では、モータを駆動制御するための制御手段がバックル装置に設けられたバックルスイッチ等の検出手段(特許文献1では「バックル接続有無検出部」と称している)に接続されており、上記のタングプレートがバックル装置から取り外されたことを検出手段が検出すると、制御装置がモータを駆動させる。
このようにモータの駆動力でウエビングベルトを巻き取る構成では、上記の渦巻きばねが不要になるか、また、渦巻きばねを併用するにしても、渦巻きばねのばね定数を小さくできる。渦巻きばねは、巻き締められるにつれて付勢力が増大するため、ウエビングベルトを装着した際には、渦巻きばねの付勢力に応じたウエビングベルトの張力が乗員に圧迫感を与える可能性もある。
これに対して、上記のようにモータの駆動力でウエビングベルトを巻き取る構成として、渦巻きばねを廃止したり、渦巻きばねのばね定数を小さくすることで、ウエビングベルトの装着状態で乗員が感じる圧迫感を解消又は軽減できる。
特開平11−227567号公報
ところで、このようにモータの駆動力でスプールを巻取方向に回転させて、ウエビングベルトを巻き取って収納する構成の場合、ウエビングベルトの全量が引き出された状態から全量を格納するまでに要するモータの駆動時間である巻取所要時間を設定し、上記のようにバックル装置からタングプレートが取り外されてから、モータの制御装置が巻取所要時間だけモータを駆動させることになる。
ここで、例えば、ウエビングベルトの装着が解除された状態で、上記のタングプレートやウエビングベルトの一部が、ドアパネルと、このドアパネルに対応した乗降口に周縁との間に挟まれたり、また、座席の一部にウエビングベルトが引っ掛かったりして、スプールの巻取方向への回転力だけではウエビングベルトの巻き取りが不能になることがある。
このようなウエビングベルトの巻き取りが不能の状態でも、モータは駆動され続けている。したがって、仮に、乗員が巻き取り不能の状態に気付いてを巻き取り不能の状態を解消しても、モータの駆動開始後から巻取所要時間が経過すると、モータが停止されてしまう。このため、ウエビングベルトが完全に格納された状態(所謂「全格納状態」)にならず、見栄え等が悪い。
本発明は、上記事実を考慮して、一時的に巻き取りが不能の状態が生じても、このような巻き取り不能の状態を解消すれば、予め設定された所定量のウエビングベルトを確実に巻き取って格納できるウエビング巻取装置を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端側が係止され、自らの軸周り一方の巻取方向への回転することで、外周部に前記ウエビングベルトを基端側から巻き取るスプールと、駆動力により出力軸を回転させ、当該出力軸の回転を前記スプールに伝えて前記スプールを前記巻取方向に回転させる駆動手段と、前記駆動力が出力開始されてからの巻取積算時間を積算すると共に、前記巻取積算時間を積算している間に前記出力軸が回転を停止している停止積算時間を積算し、更に、前記巻取積算時間と前記停止積算時間との差を演算する演算手段と、乗員の身体に対する前記ウエビングベルトの装着状態の解除に伴い前記駆動手段を作動させると共に、前記演算手段での前記巻取積算時間と前記停止積算時間との差の演算結果が所定の時間に到達することで前記駆動手段を停止させる制御手段と、を備えている。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置では、スプールに巻き取られて収納されたウエビングベルトを引き出して車両の乗員の身体に掛け回わし、例えば、ウエビングベルトに設けられたタングプレートを、車両の座席の近傍に設けられたバックル装置に保持させることで乗員の身体に対するウエビングベルトの装着状態になる。
また、このような装着状態を解除すると制御手段が駆動手段を作動させる。駆動手段が作動して駆動手段から駆動力が出力されると出力軸が回転し、この出力軸の回転力がスプールに伝えられ、スプールが巻取方向に回転する。スプールが巻取方向に回転すると、ウエビングベルトが基端側からスプールの外周部に層状に巻き取られ、これにより、ウエビングベルトがスプールに収納される。
さらに、上記のように駆動手段が駆動力の出力を開始すると、演算手段にて駆動手段が駆動力の出力を開始してからの巻取積算時間の積算が開始される。
ところで、駆動手段が駆動力を出力した後に、例えば、ウエビングベルトの一部や上記のタングプレートが閉じたドアパネルと乗降口の周縁との間に挟まれると、ドアパネルと乗降口の周縁との間に挟まれた部分よりもウエビングベルトの先端側はスプールが巻取方向に回転してもスプールの側へ移動せず、スプールに巻き取られることもない。
このようにして、ドアパネルと乗降口の周縁との間に挟まれた部分とスプールとの間で一定の張力が作用し、スプールの巻取方向への回転が阻害されると、駆動手段の出力軸の回転が停止される。このように出力軸の回転が停止されると、演算手段では出力軸の回転が停止してからの停止積算時間が演算される。さらに、演算手段では、上記の巻取積算時間と停止積算時間との差が演算される。
次いで、上記のようなドアパネルと乗降口の周縁との間でのウエビングベルトやタングプレートの挟み込みが解除されると、スプールの巻取方向への回転を阻害する外力が解除されるため、駆動手段の駆動力で再びスプールが巻取方向に回転する。
これにより、スプールによるウエビングベルトの巻き取りが再開される。このようにして駆動手段の駆動力でスプールが巻取方向に回転していると言うことは、出力軸が回転していると言うことであるため、上記の停止積算時間の積算が停止される。
さらに、演算手段における巻取積算時間と停止積算時間との差の演算結果が所定の時間に到達すると、制御手段では所定量、例えば、全格納と称されるだけの長さのウエビングベルトがスプールに巻き取られたと判断し、駆動手段に対する通電を遮断する。
ここで、本発明に係るウエビング巻取装置では、巻取積算時間から停止積算時間を差し引いている。これにより、駆動手段が駆動開始してから実質的に出力軸が回転している時間を演算できる。このため、本発明に係るウエビング巻取装置では、ウエビングベルトが一定量のスプールに巻き取られるまで駆動手段を駆動させておくことができる。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、前記駆動手段にロック電流が流れている時間であるロック電流通電時間及び前記駆動手段に対する通電が遮断されている時間である通電遮断時間を含めて前記停止積算時間とした、ことを特徴としている。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、駆動手段が駆動開始した後に、巻取方向のスプールの回転が阻害され、これにより、出力軸の回転が停止されると、通常の駆動電流よりも大きなロック電流が駆動手段に流れる。本発明に係るウエビング巻取装置では、ロック電流が流れている時間であるロック電流通電時間は演算手段において停止積算時間として積算される。
さらに、このようにロック電流が流れることで、駆動手段に対する通電が遮断されると、通電が遮断されている時間である通電遮断時間は演算手段において停止積算時間として積算される。
すなわち、本発明に係るウエビング巻取装置では、駆動手段での通電の状態を検出することで、巻取積算時間と停止積算時間とを演算できる。このため、出力軸の回転状態を検出するための特別な構成(例えば、ロータリエンコーダ等)が不要になる。これにより、全体的な構成を簡素化でき、小型化及び軽量化に寄与することができる。
以上説明したように、本発明に係るウエビング巻取装置では、一時的に巻き取りが不能の状態が生じても、このような巻き取り不能の状態を解消すれば、予め設定された所定量のウエビングベルトを確実に巻き取って格納できる。
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体構成の概略が正面断面図によって示されており、図2にはウエビング巻取装置10を適用したシートベルト装置12の概略が側面図によって示されている。
図1に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム20を備えている。フレーム20は平板状の背板22を備えており、背板22がボルト等の図示しない締結手段によって、例えば、車両24のセンターピラー26(図2参照)の下端部近傍にて車体に固定され、これにより、本ウエビング巻取装置10が車体に取り付けられる。
背板22の幅方向両端からは、略車両前後方向に互いに対向した一対の脚板28、30が互いに平行に延出されている。これらの脚板28、30間には略円筒形状のスプール32が配置されている。
スプール32は軸方向が脚板28、30の対向方向とされており、自らの軸周りに回転可能とされている。また、スプール32には長尺帯状のウエビングベルト34の長手方向基端部が係止されている。
ウエビングベルト34はスプール32がその軸周り一方である巻取方向に回転することでスプール32の外周部に基端側から層状に巻き取られて収納される。さらに、ウエビングベルト34を先端側から引っ張れば、スプール32に巻き取られたウエビングベルト34が引き出され、これに伴い、巻取方向とは反対の引出方向にスプール32が回転する。
図2に示されるように、本実施の形態に係るウエビング巻取装置10が車両24の運転席用又は助手席用として適用されるのであれば、ウエビングベルト34は車両24のセンターピラー26に沿って略車両上方側へ引き出されている。また、センターピラー26の上端部近傍には、ウエビング巻取装置10と共にシートベルト装置12を構成するショルダアンカ36が車体に取り付けられている。ショルダアンカ36にはウエビングベルト34の通過が可能な程度のスリット孔38が形成されており、スプール32から引き出されたウエビングベルト34は、スリット孔38を通過して略車両下方へ折り返されている。
さらに、図2に示されるように、ウエビング巻取装置10の近傍では車体にアンカプレート40が取り付けられており、ウエビングベルト34の先端部がアンカプレート40に係止されている。
また、アンカプレート40に係止されたウエビングベルト34の先端部と、ショルダアンカ36でのウエビングベルト34の折り返し部分との間には、タングプレート42が、ウエビングベルト34に沿って所定範囲変位可能に設けられている。さらに、車両24の座席44を介してウエビング巻取装置10やアンカプレート40の反対側にはバックル装置46が設けられている。
バックル装置46は、タングプレート42の先端側が入り込み可能に設けられており、タングプレート42が先端側からバックル装置46の内部に入り込むと、バックル装置46の内部に設けられたラッチ(図示省略)がタングプレート42に係合して、バックル装置46から抜け出る方向へのタングプレート42の移動を規制する構造になっている。
一方、図1に示されるように、スプール32の内側にはトーションシャフト48がスプール32に対して同軸的に設けられている。さらに、スプール32の軸方向に沿った脚板28側の端部には嵌合孔50が形成されている。嵌合孔50は断面形状がスプール32に対して略同軸の略円形で、しかも、嵌合孔50は軸方向一端側へ向けて段階的に内径寸法が大きくなる段付き形状とされている。
一方、スプール32の軸方向一端側には、ロック機構52が設けられている。ロック機構52はロックベース54を備えている。ロックベース54は嵌合部56を備えている。
嵌合部56は嵌合孔50の内周形状に対応してスプール32の軸方向他端側(脚板30側)へ向けて段階的に外形寸法が小さくなる略円柱形状に形成されている。嵌合部56は嵌合孔50の内側でスプール32に対して同軸的に相対回転可能に嵌合孔50に嵌め込まれていると共に、脚板28側のトーションシャフト48の端部48Aが同軸的且つ一体的に連結されている。
また、ロック機構52はケース58を備えている。ケース58は脚板28の外側(すなわち、脚板30とは反対側)に設けられており、脚板28にねじ等の締結手段や嵌合爪等の嵌合手段等により脚板28に一体的に固定されている。このケース58の内側には、図示しないラチェットギヤや圧縮コイルスプリング等のロック機構52を構成する部材、更には、ロックベース54を直接又は間接的に巻取方向に付勢する渦巻きばね等が収容されている。
ケース58内のラチェットギヤは、スプール32及びロックベース54に対して同軸的且つ相対回転自在にロックベース54に軸支されている。また、ケース58内の圧縮コイルスプリングはその一端がラチェットギヤに係止されており他端はロックベース54に係止されている。
ロックベース54が回転して圧縮コイルスプリングを圧縮し、又は引っ張ることで圧縮コイルスプリングの付勢力が増加すると、圧縮コイルスプリングがその付勢力でラチェットギヤをロックベース54の回転方向へ付勢してラチェットギヤをロックベース54に追従回転させる構造になっている。
また、ラチェットギヤには、ロックベース54に取り付けられたロックプレート60が係合しており、引出方向に回転しようとするロックベース54に対してラチェットギヤが追従できない場合(すなわち、ラチェットギヤがロックベース54に対して相対的に巻取方向へ回転した場合)には、ロックプレート60がラチェットギヤに誘導されてスプール32の回転半径方向外方へ移動し、脚板28に形成されている内歯のラチェット歯62に噛み合う。これにより、ロックベース54、ひいては、スプール32の引出方向への回転を規制する。
また、ラチェットギヤの半径方向下方には、図示しないロック機構52用の加速度センサが配置されている。この加速度センサは、ラチェットギヤに対して接離移動可能な係合爪と、係合爪のラチェットギヤとは反対側に設けられた鋼球と、鋼球が載置された略皿状の載置部と、を含めて構成されている。
ロック機構52用の加速度センサは、車両24の急減速状態で鋼球が載置部上で転動すると鋼球が係合爪を押し上げてラチェットギヤに接近移動させ、係合爪をラチェットギヤに係合させてラチェットギヤの回転を規制する。
上記のように、ラチェットギヤは圧縮コイルスプリングの付勢力によってロックベース54に追従して回転するが、加速度センサの係合爪がラチェットギヤに噛み合うことでラチェットギヤの回転が規制されると、ラチェットギヤとロックベース54との間で相対回転が生じる。これにより、上記のように、ロックプレート60がラチェット歯62に噛み合う。
一方、トーションシャフト48の脚板30側の端部48Bにはスリーブ82が設けられている。スリーブ82は、脚板28側へ向けて開口した有底筒形状に形成されており、その内側にトーションシャフト48の端部48Bが入り込んでトーションシャフト48とスリーブ82とが同軸的且つ一体的に連結されている。
スプール32にはスリーブ82に対応して円孔84が形成されている。スリーブ82は円孔84に嵌挿されてスプール32に対して同軸的且つ一体的に連結されている。
スリーブ82のトーションシャフト48とは反対側の端面からは軸部86がトーションシャフト48及びスプール32に対して同軸的に延出されている。軸部86は脚板30に形成された円孔88を貫通して脚板30の外側に突出している。
また、脚板30の外側には、クラッチフレーム90がねじ等の締結手段や嵌合爪等の固定手段によって脚板30に一体的に取り付けられている。クラッチフレーム90の内側にはクラッチ92が収容されている。クラッチ92はリング状のウオームホイール94を備えている。ウオームホイール94は軸部86に対して同軸的に配置されている。
さらに、ウオームホイール94の内側には1乃至複数のパウルが設けられている。パウルはウオームホイール94の回転中心から偏心した位置でウオームホイール94に機械的に連結されており、ウオームホイール94と共に軸部86周りに回転する。また、パウルはウオームホイール94との連結部分にて軸部86と平行な軸周りにウオームホイール94に対して回動可能とされている。
さらに、ウオームホイール94の軸心部分には図示しないアダプタが設けられている。このアダプタは軸部86に対して同軸的且つ一体的に連結されており、軸部86、ひいてはスプール32と共に一体的に回転する。
また、このアダプタの外周部にはラチェット歯が形成されており、上記のパウルが回動するとパウルの先端がアダプタの外周部のラチェット歯に係合する。この係合状態では、ウオームホイール94がパウル及びアダプタを介して軸部86が機械的に連結され、巻取方向へのウオームホイール94の回転がパウル及びアダプタを介して軸部86に伝わり、軸部86を巻取方向に回転させる構造になっている。
一方、図1に示されるように、スプール32の下方には駆動手段としてのモータ100が設けられている。モータ100は出力軸102が平面視で略凹形状となるフレーム20の開口方向側、すなわち、背板22からの脚板28、30の延出方向側とされており、その先端側は上記のクラッチフレーム90とは別の図示しないギヤケースに入り込んでいる。
このギヤケースの内部には平歯のギヤ104が収容されている。ギヤ104は出力軸102に対して同軸的且つ一体的に取り付けられている。ギヤケース内におけるギヤ104の回転半径方向側方にはギヤ104よりも十分に歯数が多い平歯のギヤ106が配置されている。
ギヤ106は回転軸108がギヤ104と同方向とされており、ギヤ104に噛み合っている。また、ギヤ106にはギヤ106よりも歯数が十分に少ない平歯のギヤ110が同軸的且つ一体的に形成されている。
さらに、ギヤケース内におけるギヤ110の回転半径方向側方にはギヤ110よりも十分に歯数が多い平歯のギヤ112が配置されている。
ギヤ112は回転軸114がギヤ104〜112と同方向とされており、ギヤ110に噛み合っている。また、ギヤ112の回転軸114はギヤケースを突出して更にクラッチフレーム90内に入り込んでいる。クラッチフレーム90内では回転軸114にウオームギヤ116が回転軸114に対して同軸的且つ一体的に設けられている。ウオームギヤ116は上記のウオームホイール94に噛み合っており、モータ100の出力軸102の回転が、ギヤ104〜112を介してウオームギヤ116に伝わり、ウオームギヤ116が回転すると、ウオームギヤ116の回転がウオームホイール94に伝えられて、ウオームホイール94が回転する。
一方、モータ100は、ドライバ122を介してバッテリー124に電気的に接続されており、モータ100はドライバ122を介して通電されることで駆動し、出力軸102を回転させる。また、ドライバ122は制御手段としてのECU126に電気的に接続されており、ECU126からのHighレベルの駆動制御信号Cs(以下、駆動制御信号Csを単に「信号Cs」と称する)が入力されることでモータ100に対して電力を供給し、また、Lowレベルの信号Csが入力されることで電力の供給を停止(遮断)する。
また、ECU126は演算手段としての演算回路128に電気的に接続されている。図3に示されるように、演算回路128は3つのタイマ部130、132、134を備えている。タイマ部130はバックルスイッチ136に電気的に接続されている。
バックルスイッチ136は図2に示されるバックル装置46に設けられており、バックル装置46のラッチがタングプレート42に係合していない状態ではLowレベルのタング検出信号Bs(以下、タング検出信号Bsを単に「信号Bs」と称する)を出力し、ラッチがタングプレート42に係合することでHighレベルの信号Bsを出力する。
タイマ部130は上記の信号Bsが入力され、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わると、この切り替わってからの時間に応じて出力する電圧Ebの値が増加する(すなわち、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わってからの時間の積算する)。
一方、タイマ部132はバックルスイッチ136及びロック電流検出回路138に電気的に接続されている。ロック電流検出回路138は、モータ100の駆動回路を構成している。モータ100が通電されて通常どおり出力軸102が回転している状態では、ロック電流検出回路138からLowレベルのロック電流検出信号Ls(以下、ロック電流検出信号Lsを単に「信号Ls」と称する)が出力される。
しかしながら、モータ100が通電されているにも関わらず、出力軸102の回転が停止することで、モータ100の駆動回路に通常の駆動電流よりも大きなロック電流が流れると、ロック電流検出回路138からHighレベルの信号Lsが出力されると共に、ロック電流の電流値が一定の大きさに到達すると、モータ100への電力供給を遮断する。
タイマ部132は、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わることで出力する電圧Elの値がリセットされる。さらに、ロック電流検出回路138から出力された信号LsがLowレベルからHighレベルに切り替わると、この切り替わってからの時間に応じて出力する電圧Elの値が増加する(すなわち、信号LsがLowレベルからHighレベルに切り替わってからの時間の積算する)。また、信号LsがHighレベルからLowレベルに切り替わると出力する電圧Elの増加を停止する(すなわち、時間の積算を停止する)。
また、タイマ部134は、バックルスイッチ136及び駆動電流検出回路140に電気的に接続されている。駆動電流検出回路140は、ロック電流検出回路138と共にモータ100の駆動回路を構成しており、モータ100が通電されていない状態では駆動電流検出回路140からLowレベルの駆動電流検出信号Ds(以下、駆動電流検出信号Dsを単に「信号Ds」と称する)が出力される。また、モータ100が通電されると、駆動電流検出回路140からHighレベルの信号Lsが出力される。
タイマ部134は、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わることで出力する電圧Edの値がリセットされる。さらに、駆動電流検出回路140から出力された信号DsがHighレベルからLowレベルに切り替わると、この切り替わってからの時間に応じて出力する電圧Edの値が増加する(すなわち、信号DsがHighレベルからLowレベルに切り替わってからの時間の積算する)。また、信号LsがLowレベルからHighレベルに切り替わると出力する電圧Edの増加を停止する(すなわち、時間の積算を停止する)。
さらに、上記のタイマ部130〜134は、演算部142に電気的に接続されており、各タイマ部130〜134から出力された電圧Eb、El、Edは演算部142に入力される。演算部142では、電圧Ebの値から電圧Elの値及び電圧Edの値をそれぞれ差し引いた大きさの電圧Esを出力する。
演算部142はECU126に電気的に接続されており、演算部142から出力された電圧Esが所定の値Es1に到達すると、ECU126はLowレベルの信号Csを出力する。
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の動作の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置10では、スプール32にウエビングベルト34が層状に巻き取られた収納状態で、タングプレート42を引っ張りつつウエビングベルト34を引っ張ると、スプール32に巻き取られたウエビングベルト34が引き出される。
このようにして引き出されたウエビングベルト34を、座席44に着座した乗員の身体の前方に掛け回しつつタングプレート42をバックル装置46に挿し込み、バックル装置46にタングプレート42を保持させることで乗員の身体に対するウエビングベルト34の装着状態(以下、単に「装着状態」と称する)となる。また、この状態では、バックルスイッチ136からHighレベルの信号Bsが出力される。
一方、バックル装置46によるタングプレート42の保持が解除され、バックル装置46からタングプレート42が抜け出ると、図4のタイムチャートの経過時間T1の位置で示されるように、バックルスイッチ136から出力される信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わる。上記のように信号Bsはタイマ部130に入力され、更に、信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わるとタイマ部130が作動し、電圧Eb0から漸次増加する(すなわち、巻取積算時間が積算される)。
また、タイマ部130が作動し、タイマ部130から出力された電圧Eb0より大きな電圧Ebが演算部142に入力されると、ECU126からHighレベルの信号Csが出力される。
ECU126から出力されたHighレベルの信号Csがドライバ122に入力されると、ドライバ122はモータ100を通電し、モータ100を駆動させる。モータ100が駆動開始して出力軸102が回転すると、出力軸102の回転がギヤ104〜112を介してウオームギヤ116に伝わり、ウオームギヤ116を回転させる。
さらに、ウオームギヤ116の回転はウオームギヤ116に噛み合うウオームホイール94に伝わりクラッチ92のウオームホイール94を巻取方向に回転させる。ウオームホイール94が巻取方向に回転することでクラッチ92のパウルが回動してアダプタに連結され、クラッチ92がパウル及びアダプタを介して軸部86に連結される。
これにより、軸部86が巻取方向に回転すると、スリーブ82、トーションシャフト48、及びロックベース54を介して軸部86に連結されたスプール32が巻取方向に回転する。このようにスプール32が巻取方向に回転することでウエビングベルト34が基端側からスプール32に巻き取られる。
次いで、例えば、この状態で乗員が車両24のドアパネルを開閉し、これにより、ウエビングベルト34の一部がドアパネルとこのドアパネルに対応した乗降口の周縁との間に挟み込まれると、スプール32がウエビングベルト34を巻き取ることによりウエビングベルト34に付与される張力が挟み込み部分よりも先端側ではウエビングベルト34に及ばない。したがって、この状態では挟み込み部分よりも基端側でウエビングベルト34がスプール32に巻き取られる。
このような状態で、スプール32が巻取方向に回転してウエビングベルト34が巻き取られると、スプール32へのウエビングベルト34の巻取量が所定量に到達するよりも前に、ドアパネルと乗降口の周縁部とによる挟み込み部分とスプール32との間でのウエビングベルト34の張力がスプール32の巻取方向への回転力を上回り、これによりスプール32が停止する。
スプール32が停止することでモータ100の出力軸102が停止する。出力軸102が停止した状態であっても、モータ100に電力が供給されると、モータ100の駆動電流が通常の電流値よりも増加して所謂ロック電流が流れる。このようにロック電流が流れると、ロック電流検出回路138によりロック電流が検出され、更に、図4の経過時間T2の位置で示されるように、ロック電流検出回路138から出力される信号LsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
さらに、Highレベルの信号Lsがタイマ部132に入力されると、タイマ部132が作動し、電圧El0から漸次増加する(すなわち、停止積算時間の一態様であるロック電流通電時間が積算される)。ここで、電圧Eb、El、Edは演算部142に入力され、電圧Ebの値から電圧El及び電圧Edの値が減算され、この演算結果に対応した電圧Esが演算部142から出力される。
図4に示されるように、電圧Ebの増加分は電圧Elの増加分により相殺される。このため、経過時間T2以降の電圧Elが増加している状態では、演算部142から出力される電圧Esが増加しない。
次いで、ロック電流が増大して所定の値を越えると、モータ100への電力供給が停止され、モータ100の加熱等が防止される。この状態では、モータ100に駆動電流が流れないためロック電流も流れない。したがって、この状態では図4の経過時間T3の位置で示されるように、信号LsがHighレベルからLowレベルに切り替わり、タイマ部132から出力される電圧Elの増加が停止される。
但し、この状態では、モータ100に駆動電流が流れないことで、駆動電流検出回路140から出力される信号EdがHighレベルからLowレベルに切り替わる。HighレベルからLowレベルに切り替わった信号Lsがタイマ部134に入力されると、タイマ部134が作動し、電圧Ed0から漸次増加する(すなわち、停止積算時間の一態様である通電遮断時間が積算される)。
ここで、この状態では、電圧Elは増加しないものの、電圧Edが増加する。このため、電圧Ebの増加分は電圧Edの増加分により相殺される。このため、経過時間T3以降の電圧Edが増加している状態では、演算部142から出力される電圧Esが増加しない。
次いで、ドアパネルと乗降口の周縁部とによるウエビングベルト34の挟み込みが解消され、図4のタイムチャートにおける経過時間T4の位置で示されるように、モータ100に対する電力の供給が再開されると、信号DsがLowレベルからHighレベルに切り替わり、電圧Edの増加が停止される。したがって、経過時間T4以降は電圧Ebの増加に伴い電圧Esが増加する。
このように、電圧Ebの増加に伴い電圧Esが増加することで、電圧Esの電流値がEs1に到達すると(すなわち、図4の経過時間T5に到達すると)、ECU126から出力される信号CsがHighレベルからLowレベルに切り替わる。Lowレベルの信号Csが入力されたドライバ122はモータ100に対する通電を遮断して、モータ100を停止させる。
ここで、上記のように、電圧Ebは、バックルスイッチ136からの信号BsがLowレベルになった時点から増加し続け、基本的にはこれに伴い演算部142から出力される電圧Esも増加し続けるが、ロック電流検出回路138がロック電流を検出している状態、及び、駆動電流検出回路140がモータ100に対する駆動電流の供給が遮断されたことを検出した状態では、電圧Esの増加が停止される。すなわち、実質的に出力軸102の回転が停止している状態、ひいては、スプール32によるウエビングベルト34の巻き取りが停止している状態では、電圧Esの増加が停止される。
したがって、電圧EsがEs1に到達するまでに要する時間は、スプール32が実際にウエビングベルト34を巻き取っている時間である。このため、電圧Esの積算が開始されてからEs1に到達するまでに巻き取られるウエビングベルト34の長さは出力軸102の回転停止時間の長さに関係なく一定になる。
このため、電圧EsがEs1に到達した状態で所謂全格納と称される状態までウエビングベルト34がスプール32に巻き取られることで、上記のようにウエビングベルト34の巻き取り途中でスプール32の回転が中断されても、スプール32の巻き取りが再開されることで確実に全格納の状態までウエビングベルト34を巻き取って収納することができる。
また、出力軸102やギヤ104〜112の回転、更には、軸部86やスプール32の回転をロータリエンコーダ等により検出し、この検出結果に基づいて全格納と称される状態までスプール32が回転したか否かを検出する構成もある。しかしながら、このような構成では、ロータリエンコーダ等を別に設けることで、ウエビング巻取装置10が大型化して重量も増加する。
これに対して、本実施の形態では、モータ100への通電開始からの積算時間からロック電流やモータ100への通電が停止している時間を差し引くため、上記のようなロータリエンコーダ等の構成が不要になる。
このため、ウエビング巻取装置10の全体的な大きさや重量が増加することを防止できる。
なお、本実施の形態では、上記のように3つのタイマ部130〜134を設け、演算部142にて電圧Ebから電圧El、Edを減算する構成としたが、上記と同等の作用を奏するタイマプログラムを用いて、同様の効果を得る構成としても構わない。
本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成を示す正面断面図である。 本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置を適用したシートベルト装置の構成の概略を示す側面図である。 演算手段の構成の概略を含めた駆動手段の制御ブロック図である。 各信号の状態と各タイマ部及び演算部での出力の状態を示すタイムチャートである。
符号の説明
10 ウエビング巻取装置
32 スプール
34 ウエビングベルト
100 モータ(駆動手段)
102 出力軸
126 ECU(制御手段)
128 演算回路(演算手段)

Claims (2)

  1. 長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端側が係止され、自らの軸周り一方の巻取方向への回転することで、外周部に前記ウエビングベルトを基端側から巻き取るスプールと、
    駆動力により出力軸を回転させ、当該出力軸の回転を前記スプールに伝えて前記スプールを前記巻取方向に回転させる駆動手段と、
    前記駆動力が出力開始されてからの巻取積算時間を積算すると共に、前記巻取積算時間を積算している間に前記出力軸が回転を停止している停止積算時間を積算し、更に、前記巻取積算時間と前記停止積算時間との差を演算する演算手段と、
    乗員の身体に対する前記ウエビングベルトの装着状態の解除に伴い前記駆動手段を作動させると共に、前記演算手段での前記巻取積算時間と前記停止積算時間との差の演算結果が所定の時間に到達することで前記駆動手段を停止させる制御手段と、
    を備えるウエビング巻取装置。
  2. 前記駆動手段にロック電流が流れている時間であるロック電流通電時間及び前記駆動手段に対する通電が遮断されている時間である通電遮断時間を含めて前記停止積算時間とした、
    ことを特徴とする請求項1に記載のウエビング巻取装置。
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