JP2008037325A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両急減速状態等の後でなくても、クラッチによるモータとスプールとの連結を解消できるウエビング巻取装置を得る。
【解決手段】本ウエビング巻取装置10では、ECU96が通常の通電状態となって起動されると、実質的な通常のモータ74の制御が開始される前に、モータ74が逆転駆動される。これにより、ウオームホイールが引出方向に回転させられ、この状態でパウルの係合歯がラチェット部の外歯へ噛み合っていても、この噛み合いが解消されて、モータ74とスプールとの連結を解消できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、座席に着座した乗員の身体を拘束するためのウエビングベルトを巻き取って収納するウエビング巻取装置に係り、特に、モータの駆動力によりウエビングベルトを巻き取ることができるウエビング巻取装置に関する。
下記特許文献1に開示されたウエビング巻取装置(シートベルトリトラクタ)は、ウエビングベルトを巻き取るスプールに引出方向及び巻取方向の各々への回転力を付与するモータを備えている。また、モータとスプールとの間にはがクラッチが介在しており、クラッチがモータとスプールとを連結した状態でモータの駆動力をスプールに伝えることができるようになっている。
このウエビング巻取装置では、車両急減速状態になると、モータが駆動し、その駆動力でクラッチがスプールとモータとを連結させる。さらに、この状態ではモータの駆動力でスプールが巻取方向に回転し、これにより、ウエビングベルトが長手方向基端側からスプールに巻き取られる。
一方、このウエビング巻取装置では、車両急減速状態の解消後にモータを逆転駆動させて、クラッチを解除し、スプールとモータとの連結を解除している。
特開2005−28970の公報
ところで、上記のように、クラッチでモータとスプールとを連結した後に、モータやモータを制御するための制御装置(ECU)に対する通電が解消されてしまうと、クラッチを介したモータとスプールとの連結が維持されたままになることがある。上記構成のウエビング巻取装置では、車両急減速状態の解消後でなくてはモータが逆転駆動されないため、クラッチを介したモータとスプールとの連結が維持され続ける。このような状態では、モータのロータ等が抵抗となってウエビングベルトが引き出し難くなる。
本発明は、上記事実を考慮して、車両急減速状態等の後でなくても、クラッチによるモータとスプールとの連結を解消できるウエビング巻取装置を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、乗員の身体に装着可能な長尺帯状のウエビングベルトと、モータの駆動力で回転し、前記ウエビングベルトの巻き取りが可能なスプールと、前記モータと前記スプールとの間に介在し、前記モータが正転駆動した際に前記モータを前記スプールに連結して前記モータの正転駆動力を前記スプールに伝えると共に、前記モータが前記スプールに連結した状態で前記モータが逆転駆動することで前記モータと前記スプールとの連結を解除するクラッチと、作動開始した際に前記モータを逆転駆動させる制御手段と、を備えている。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、制御手段によるモータの制御が開始されると、先ず、制御手段によりモータが逆転駆動される。このため、制御手段の通電開始時や通電再開時の直前に、クラッチがモータとクラッチとを連結していても、モータが逆転駆動されることでクラッチによるモータとスプールとの連結が解消される。これにより、ウエビングベルトを容易に引き出すことができる。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、乗員に対する前記ウエビングベルトの装着が解消された際に、前記制御手段が前記モータを正転駆動させることを特徴としている。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、ウエビングベルトによる乗員の身体の拘束が解消されると、制御手段によりモータが正転駆動され、これにより、スプールにウエビングベルトが巻き取られて収納される。
ここで、ウエビングベルトの収納途中で制御手段に対する通電が停止されたり、また、制御手段に対する電力の供給が極端に少なくなり、実質的に制御手段によるモータの制御が中断されたりして、これにより、クラッチによるモータとスプールとの連結が維持されたとしても、制御手段によるモータの制御が再開されることで、モータが逆転駆動されてクラッチによるモータとスプールとの連結が解消される。これにより、ウエビングベルトを容易に引き出すことができる。
以上説明したように、本発明に係るウエビング巻取装置では、制御手段が作動開始された際にモータが逆転駆動されるため、制御手段が作動開始される前の状態でクラッチを介してモータとスプールと連結されていても、制御手段が作動開始されることで連結が解消される。このため、ウエビングベルトを容易に引き出すことができる。
<本実施の形態の構成>
図3には本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体構成の概略が正面断面図によって示されている。
この図に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は平板状の背板14を備えており、背板14がボルト等の図示しない締結手段によって、例えば、車両のセンターピラー(図示省略)の下端部近傍にて車体に固定され、これにより、本ウエビング巻取装置10が車体に取り付けられる。背板14の幅方向両端からは、略車両前後方向に互いに対向した一対の脚板16、18が互いに平行に延出されている。これらの脚板16、18間には略円筒形状のスプール20が配置されている。スプール20は軸方向が脚板16、18の対向方向とされており、自らの軸周りに回転可能とされている。また、スプール20には長尺帯状のウエビングベルト22の長手方向基端部が係止されている。
ウエビングベルト22はスプール20がその軸周り一方である巻取方向に回転することでスプール20の外周部に基端側から層状に巻き取られて収納される。さらに、ウエビングベルト22を先端側から引っ張れば、スプール20に巻き取られたウエビングベルト22が引き出され、これに伴い、巻取方向とは反対の引出方向にスプール20が回転する。
また、脚板18の外側には、クラッチフレーム52がねじ等の締結手段や嵌合爪等の固定手段によって脚板18に一体的に取り付けられている。クラッチフレーム52の内側にはクラッチ54が収容されている。ここで、図4の(A)及び(B)にはクラッチ54の構成が正面図により示されている。なお、図4に示されるクラッチ54の構造は、あくまでも概略であり、クラッチ54の構成や動作を説明しやすくするために、クラッチ54を構成する各部材を適宜に省略し、また、形状等を単純化している。
この図に示されるように、クラッチ54はラチェット部56を備えている。このラチェット部56に対応して軸部48には外周部に複数の突出部が形成された回り止め部58が形成されており、ラチェット部56は軸部48に対して同軸の状態で回り止め部58に取り付けられている。このため、ラチェット部56は軸部48に対して同軸的且つ一体的に回転する。また、クラッチ54はウオームホイール60を備えている。ウオームホイール60は軸部48に対して同軸的で且つ軸部48に対して相対回転可能に設けられている。このウオームホイール60には1乃至複数(本実施の形態では2つ)の支持軸62が設けられている。支持軸62はウオームホイール60の回転中心からその半径方向外方へ離間した位置に設けられている。
この支持軸62にはパウル64が支持軸62に周りに回動可能に軸支されている。このパウル64には係合歯66が形成されており、図4(B)に示されるように、支持軸62に周りの一方である矢印A方向へパウル64が回動すると係合歯66がラチェット部56の外歯へ噛み合う。また、このパウル64は捩じりコイルばね等により構成された図示しないリターンスプリングにより支持軸62に周りの他方(図4(B)の矢印Aとは反対方向)へ付勢されている。また、クラッチ54は慣性回転体68を備えている。慣性回転体68は軸部48に対して同軸的で且つ軸部48に対して相対回転可能に設けられている。
また、慣性回転体68は上記のウオームホイール60に対しても相対回転可能とされているが、一端がウオームホイール60の所定部位に係合した圧縮コイルスプリング等の図示しない追従付勢部材の他端が慣性回転体68に係合していることで、ウオームホイール60が回転すると、追従付勢部材の付勢力によりウオームホイール60が回転に追従するように慣性回転体68が回転するようになっている。
また、この慣性回転体68には押圧部70が設けられている。押圧部70はパウル64の引出方向側で隣り合うように設けられており、慣性回転体68が追従付勢部材の付勢力に抗してウオームホイール60に対して巻取方向側(すなわち、図4(B)の矢印B方向)へ回転すると、押圧部70がパウル64の斜面部72を押圧して、パウル64を図4(B)の矢印A方向へ回動させる構成になっている。
一方、図3に示されるように、スプール20の下方には駆動手段としてのモータ74が設けられている。モータ74は出力軸76が平面視で略凹形状となるフレーム12の開口方向側、すなわち、背板14からの脚板16、18の延出方向側とされており、その先端側は上記のクラッチフレーム52とは別の図示しないギヤケースに入り込んでいる。このギヤケースの内部には平歯のギヤ78が収容されている。ギヤ78は出力軸76に対して同軸的且つ一体的に取り付けられている。ギヤケース内におけるギヤ78の回転半径方向側方にはギヤ78よりも十分に歯数が多い平歯のギヤ80が配置されている。
ギヤ80は回転軸82がギヤ78と同方向とされており、ギヤ78に噛み合っている。また、ギヤ80にはギヤ80よりも歯数が十分に少ない平歯のギヤ84が同軸的且つ一体的に形成されている。さらに、ギヤケース内におけるギヤ84の回転半径方向側方にはギヤ84よりも十分に歯数が多い平歯のギヤ86が配置されている。ギヤ86は回転軸88がギヤ78〜84の軸方向と同方向とされており、ギヤ84に噛み合っている。また、ギヤ86の回転軸88はギヤケースを突出して更にクラッチフレーム52内に入り込んでいる。
クラッチフレーム52内では回転軸88にウオームギヤ90が回転軸88に対して同軸的且つ一体的に設けられている。ウオームギヤ90は上記のウオームホイール60に噛み合っており、モータ74の出力軸76の回転が、ギヤ78〜86を介してウオームギヤ90に伝わり、ウオームギヤ90が回転すると、ウオームギヤ90の回転がウオームホイール60に伝えられて、ウオームホイール60が回転する。
一方、図1のブロック図に示されるように、モータ74は、制御手段としてのECU96を構成するドライバ92を介してバッテリー94に電気的に接続されており、モータ74はドライバ92を介して正方向の電流+Idが流されることで正転駆動して出力軸76を正転させる。これとは反対に、モータ74はドライバ92を介して逆方向の電流−Idが流されることで逆転駆動して出力軸76を逆転させる。また、ドライバ92はECU96のCPU98に電気的に接続されており、CPU98から出力された正転駆動信号Cdsや逆転駆動信号Crsがドライバ92に入力される。
ドライバ92は、CPU98から出力される正転駆動信号CdsがLowレベルからHighレベルに切り替わるとモータ74に正方向の電流+Idを流してモータ74を正転駆動させると共に、CPU98から出力される逆転駆動信号CrsがLowレベルからHighレベルに切り替わるとモータ74に逆方向の電流−Idを流してモータ74を逆転駆動させる。CPU98を備えるECU96は、CPU98の他にRAM100やROM102等の記憶手段や、一定周期のパルス信号を出力するタイマ回路104等を備えている。
これらのRAM100、ROM102、タイマ回路104等はCPU98に接続されており、CPU98はRAM100やROM102に記憶されたデータやプログラムを読み込んで処理し、又は、実行すると共に、CPU98がタイマ回路104を起動させた場合には、パルス信号の発生回数をカウント(積算)してタイマ回路104を起動させてからの時間Tを演算する。
また、CPU98にはバックルスイッチ106や前方監視装置108等が電気的に接続されている。バックルスイッチ106は図示しないバックル装置に設けられている。バックル装置は、シートの側方に設けられており、上述したウエビングベルト22の長手方向中間部に設けられたタングプレート(図示省略)が挿入されることで、タングプレートを保持できるようになっている。
シートに着座した乗員が、自らの身体にウエビングベルト22を掛け回して、バックル装置にタングプレートを保持させると、ウエビングベルト22の装着状態となる。このように、バックル装置がタングプレートを保持すると、バックルスイッチ106から出力されるバックル信号BsがLowレベルからHighレベルに切り替わり、バックル装置からタングプレートが抜き取られると(すなわち、ウエビングベルト22の装着状態が解消されると)バックル信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わる。
一方、前方監視装置108はレーダ波等の監視波を略車両前方側へ出力すると共に、出力した監視波が前方の障害物にて反射した監視波の反射波が入力されるセンサ部110を備えている。センサ部110は演算部112に接続されており、演算部112では監視波を出力してから反射波が入力されるまでの時間を計測し、この計測結果から前方の障害物(前方で走行している他の車両を含む)までの距離を演算すると共に、この演算結果に基づいて前方の障害物までの距離が所定値未満になったと判定した場合には、前方監視信号OsをLowレベルからHighレベルに切り替える。
ECU96のCPU98は、入力された信号Bsや信号BsとROM102から読み込んだプログラムとに基づいて正転駆動信号Cdsや逆転駆動信号Crsを出力し、又は、正転駆動信号Cdsや逆転駆動信号Crsの出力を停止する。
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の動作の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置10では、基本的に常にECU96のCPU98が作動状態となっており、ROM102から読み込んだモータ制御プログラムを実行、処理している。以下、図2のフローチャートを用いてCPU98が読み込んだモータ制御プログラムの概略について説明する。
上記のように、CPU98はモータ制御プログラムを読み込むと、ステップ200でモータ制御プログラムの実行を開始する。次に、ステップ202では初期設定処理がなされ、例えば、タイマ回路104におけるパルス信号のカウント数T(すなわち、タイマ回路104が起動してからの時間T)がリセットされる。次いでステップ204では、ROM102から初期モータ駆動時間Tsが読み込まれ、ステップ206では逆転駆動信号Crsが出力される。CPU98から出力された逆転駆動信号Crsはドライバ92に入力される。逆転駆動信号Crsが入力されたドライバ92はモータ74に逆方向の電流−Idを流してモータ74を逆転駆動させる。
次いで、ステップ208ではタイマ回路104が起動され、パルス信号のカウントが開始される。ステップ210ではパルス信号のカウント数TがROM102から読み込んだ初期モータ駆動時間Tsを上回ったか否かが判定される。この状態で、カウント数Tが初期モータ駆動時間Tsを上回っていなければ、カウント数Tが初期モータ駆動時間Tsを上回るまで待機状態となる。ステップ210でカウント数Tが初期モータ駆動時間Tsを上回ったと判定されると、ステップ212で逆転駆動信号Crsの出力が停止され、ドライバ92はモータ74に対する逆方向の電流−Idの供給を停止する。これにより、モータ74が停止させられる。
次いで、ステップ214では、カウント数Tが再びリセットされ、ステップ216でモータ制御プログラムに基づく実質的な通常のモータ74の制御が開始される。このステップ216におけるモータ74の制御としては、例えば、プリクラッシュ制御やウエビングベルト格納制御がある。
プリクラッシュ制御では、前方監視装置108のセンサ部110からは監視波が略車両前方側へ出力される。この監視波は車両前方の障害物や車両の前方で走行する他の車両にて反射する。この反射波はセンサ部110に入力される。を備えている。前方監視装置108の演算部112では、監視波がセンサ部110にて出力されてからセンサ部110に入力されるまでの時間が演算される。さらに、演算部112ではこの演算結果に基づいて車両から、その前方の障害物や他の車両までの距離が演算される。
この演算結果に基づいて車両から、その前方の障害物や他の車両までの距離が所定未満になると、演算部112から出力される前方監視信号OsがLowレベルからHighレベルに切り替えられる。Highレベルの信号Osが入力されたECU96のCPU98は、出力する正転駆動信号CdsをLowレベルからHighレベルに切り替える。Highレベルの信号Cdsが入力されたドライバ92は正方向の電流+Idをモータ74に流す。
正方向の電流+Idが流れたモータ74は正転駆動し、これにより、出力軸76が正転回転する。出力軸76の正転回転がギヤ78、80、84、86を介してウオームギヤ90に伝わると、ウオームギヤ90がクラッチ54のウオームホイール60を急激に巻取方向(図4(B)の矢印B方向)に回転させる。但し、ウオームホイール60が急激に巻取方向に回転しても、慣性回転体68は慣性で留まろうとする。このため、ウオームホイール60と慣性回転体68との間に相対回転が生じる。
静止している慣性回転体68に対して巻取方向にウオームホイール60が回転するということは、ウオームホイール60に対して慣性回転体68が相対的に引出方向(図4(B)の矢印C方向)に回転することになる。これにより、慣性回転体68の押圧部70がパウル64の斜面部72を押圧する。押圧部70に押圧されたパウル64は支持軸62周りに巻取方向(図4(B)の矢印A方向)に回転する。これにより、パウル64の係合歯66がラチェット部56の外歯へ噛み合う。
パウル64がラチェット部56に噛み合うことで、ウオームホイール60の巻取方向の回転がラチェット部56、ひいては、回り止め部58(スリーブ44)に伝わる。これにより、スプール20が巻取方向に回転して、ウエビングベルト22を基端側から巻き取る。このように巻き取られることで、乗員の身体に掛け回されているウエビングベルト22は所謂「スラック」と称される緩みや弛みが解消されて、乗員の身体に対するウエビングベルト22の拘束力が増す。
一方、ウエビングベルト格納制御では、乗員が降車する場合等に、バックル装置によるタングプレートの保持を解除してバックル装置からタングプレートを抜き取ると、バックルスイッチ106から出力されるバックル信号BsがHighレベルからLowレベルに切り替わる。Lowレベルの信号Bsが入力されたECU96のCPU98は、出力する正転駆動信号CdsをLowレベルからHighレベルに切り替える。これにより、プリクラッシュ制御の場合と同様にモータ74の駆動力でスプール20が巻取方向に回転させられ、これにより、ウエビングベルト22が基端側からスプール20に巻き取られて収納される。
上記のように、本実施の形態では、常にECU96のCPU98が作動状態となっているため、通常はこのステップ216におけるプリクラッシュ制御やウエビングベルト格納制御等の各種の通常モータ制御が実行、処理され、更には、このような各種の通常モータ制御の行なうための各種信号の入力待機状態となっている。
ところで、車両のエンジンを起動する際には電力の消費量が一時的に急上昇する。このため、このように、ECU96以外の部位で電力の消費量が一時的に急上昇したな場合には、ECU96に供給される電力が低下し、ECU96によるモータ74の制御が中断されてしまう。
このように一時的にモータ74の制御が中断された後には、ECU96によるモータ74の制御がリセット状態で再開される。ここで、本実施の形態にかかるウエビング巻取装置10では、上記のように、ECU96が通常の通電状態となって再起動(リセット)されると、実質的な通常のモータ74の制御(ステップ216)が再開される前に、モータ74が逆転駆動される(ステップ206〜ステップ212)。このモータ74の逆転駆動によりウオームホイール60が引出方向(図4(B)の矢印Bとは反対方向)に回転させられる。
この状態で、パウル64の係合歯66がラチェット部56の外歯へ噛み合っているとしても、パウル64がウオームホイール60と共に引出方向へ回転することで、ウオームホイール60の回転軸心周りの引出方向へパウル64の係合歯66が、噛合しているラチェット部56の外歯から離間する。このように、パウル64がラチェット部56から離間することで、パウル64はリターンスプリングの付勢力によりラチェット部56に噛合する前の位置(図4の(A)に示される位置)に戻る。
このため、例えば、上記のウエビングベルト格納制御においてモータ74がスプール20を巻取方向に回転させている状態で、ECU96によるモータ74の制御を中断させてしまい、これにより、パウル64の係合歯66がラチェット部56の外歯との摩擦で噛み合った状態のまま維持されてしまったとしても、ECU96によるモータ74の制御が再開されることでパウル64の係合歯66がラチェット部56の外歯との噛合状態を解消することができる。
パウル64の係合歯66とラチェット部56の外歯とが摩擦で噛み合った状態では、スプール20がモータ74に連結されているため、ウエビングベルト22を引き出すにあたりモータ74が抵抗になるが、上記のように、ECU96を再起動させるとスプール20とモータ74との連結を解消できるため、ウエビングベルト22を容易に引き出すことができる。
なお、ステップ216のモータ制御プログラムに基づく実質的な通常のモータ74の制御の一例としてプリクラッシュ制御やウエビングベルト格納制御の説明をしたが、ステップ216のモータ制御プログラムに基づく実質的な通常のモータ74の制御はこれらのプリクラッシュ制御やウエビングベルト格納制御に限定されるものではなく、例えば、ブレーキペダルの急激な踏み込み操作(すなわち、急制動操作)やステアリングホイールの急激な回転操作(すなわち、急ハンドル操作)等を各種センサ(検出手段)により検出し、この検出結果に基づいてモータ74を正転駆動させる構成としてもよい。
また、プリクラッシュ制御やウエビングベルト格納制御を含め、モータ制御プログラムに基づく実質的な通常のモータ74の制御において、モータ74を正転駆動させてスプール20を巻取方向に回転させた場合には、この巻取方向へのスプール20の回転終了直後にモータ74を逆転駆動させてパウル64の係合歯66がラチェット部56の外歯との噛合状態を解消させる構成としてもよい。
本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置のモータの制御関係の概略を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置のモータ制御プログラムの概要を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成の概略を示す正面図である。 クラッチの構成の概略を示す正面図で、(A)はモータとスプールとの連結解消状態を示し、(B)はモータとスプールとの連結状態を示す。
符号の説明
10 ウエビング巻取装置
20 スプール
22 ウエビングベルト
54 クラッチ
74 モータ
96 ECU(制御手段)

Claims (2)

  1. 乗員の身体に装着可能な長尺帯状のウエビングベルトと、
    モータの駆動力で回転し、前記ウエビングベルトの巻き取りが可能なスプールと、
    前記モータと前記スプールとの間に介在し、前記モータが正転駆動した際に前記モータを前記スプールに連結して前記モータの正転駆動力を前記スプールに伝えると共に、前記モータが前記スプールに連結した状態で前記モータが逆転駆動することで前記モータと前記スプールとの連結を解除するクラッチと、
    作動開始した際に前記モータを逆転駆動させる制御手段と、
    を備えるウエビング巻取装置。
  2. 乗員に対する前記ウエビングベルトの装着が解消された際に、前記制御手段が前記モータを正転駆動させることを特徴とする請求項1に記載のウエビング巻取装置。
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