JP2006041273A - パッケージ共振抑圧回路,発振器,高周波モジュール,通信機装置及びパッケージ共振抑圧方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 共振抑圧性に優れ、しかも小型のパッケージ内の基板に十分な素子搭載領域を確保することができるパッケージ共振抑圧回路,発振器,高周波モジュール,通信機装置及びパッケージ共振抑圧方法を提供する。
【解決手段】 発振器1は、パッケージ2と高周波回路基板3とパッケージ共振抑圧回路4とを備えている。パッケージ共振抑圧回路4は、スルーホール41,42を高周波回路基板3の接地導体32に接続し、パターン43,44をスルーホール41,42と1対1対応で接続すると共に、抵抗体46をパターン43,44間に接続することにより形成され、閉回路Cを構成する。好ましくは、抵抗体46の向きを空洞共振による磁界Hと直交するように設定する。
【選択図】図4
【解決手段】 発振器1は、パッケージ2と高周波回路基板3とパッケージ共振抑圧回路4とを備えている。パッケージ共振抑圧回路4は、スルーホール41,42を高周波回路基板3の接地導体32に接続し、パターン43,44をスルーホール41,42と1対1対応で接続すると共に、抵抗体46をパターン43,44間に接続することにより形成され、閉回路Cを構成する。好ましくは、抵抗体46の向きを空洞共振による磁界Hと直交するように設定する。
【選択図】図4
Description
この発明は、高周波で動作する集積回路などを搭載した基板を収納したパッケージの空洞共振を抑圧することができるパッケージ共振抑圧回路,発振器,高周波モジュール,通信機装置及びパッケージ共振抑圧方法に関するものである。
高周波で動作する集積回路などを搭載した基板においては、基板から外部への電磁放射を防止するためや外部からの電磁放射からこの基板を保護するために、基板を金属製のパッケージに収納して電磁遮蔽を行っている。
このようなパッケージでは、ある周波数において、空洞共振を起こす。そして、その共振時の電磁界が、基板上の集積回路などに結合すると、異常発振や内部回路破壊を招き、外部の回路等にも悪影響を与えることがあった。
このため、空洞共振を抑圧する各種の技術が、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、提案されている。
このようなパッケージでは、ある周波数において、空洞共振を起こす。そして、その共振時の電磁界が、基板上の集積回路などに結合すると、異常発振や内部回路破壊を招き、外部の回路等にも悪影響を与えることがあった。
このため、空洞共振を抑圧する各種の技術が、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、提案されている。
特許文献1の共振抑圧技術は、板状の大きな4枚の電波吸収体または抵抗体をパッケージの内側と集積回路などの素子が搭載された基板との間に設けて、電波吸収体で電磁波を吸収しまたは抵抗体で高周波電流を損失させることにより、パッケージの共振状態を減衰させる技術である。しかし、かかる技術は4枚の大きな電波吸収体や抵抗体を取り付けるため、部品コストや作業コストが高くつき、コスト面で問題がある。
これに対して、特許文献2の共振抑圧技術は、図12に示すように、多数の大きな電波吸収体や抵抗体を必要としないので、コスト面で優れている。すなわち、集積回路などの素子を搭載する誘電体基板111と枠状の誘電体基板112〜115とをベース100の上に積層して、パッケージの周壁を構成し、第1のスルーホール群120によって等価的に金属壁を形成する。さらに、このパッケージをシールリング130とキャップ140とで封止することで、気密構造とする。そして、抵抗体200を誘電体基板111上に配置し、抵抗体200の一方端部を第1のスルーホール群120に接続すると共に、他方端部を第2のスルーホール群121に接続することにより、パッケージ内を流れる高周波電流を損失させて、共振を抑圧するようにしている。
実開平09−082855号公報
特開2001−196502号公報
しかし、図12に示した従来の技術では、次のような問題がある。
集積回路などの素子を搭載することができるスペースSは、誘電体基板111の上面であって且つ誘電体基板112〜115の内側である。したがって、多くの素子をこのスペースSに搭載するためには、誘電体基板112〜115の幅Dと抵抗体200の幅Lの双方を狭くする必要がある。しかしながら、誘電体基板112〜115の幅Dは小さくすることができるが、共振を抑圧可能な抵抗値を得るためには、抵抗体200の幅長Lを小さくすることはできない。このため、多くの素子を搭載するに十分なスペースSを得ることができない。かといって、誘電体基板111全体を大きくして、十分なスペースSを確保しようとすると、パッケージ全体が大型化してしまう。
集積回路などの素子を搭載することができるスペースSは、誘電体基板111の上面であって且つ誘電体基板112〜115の内側である。したがって、多くの素子をこのスペースSに搭載するためには、誘電体基板112〜115の幅Dと抵抗体200の幅Lの双方を狭くする必要がある。しかしながら、誘電体基板112〜115の幅Dは小さくすることができるが、共振を抑圧可能な抵抗値を得るためには、抵抗体200の幅長Lを小さくすることはできない。このため、多くの素子を搭載するに十分なスペースSを得ることができない。かといって、誘電体基板111全体を大きくして、十分なスペースSを確保しようとすると、パッケージ全体が大型化してしまう。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、共振抑圧性に優れ、しかも小型のパッケージ内の基板に十分な素子搭載領域を確保することができるパッケージ共振抑圧回路,発振器,高周波モジュール,通信機装置及びパッケージ共振抑圧方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、高周波回路基板を収納したパッケージの空洞共振を抑圧するパッケージ共振抑圧回路であって、双方の一方端が共に高周波回路基板の裏面の接地導体に接続した状態で、高周波回路基板に設けられた1対のスルーホールと、高周波回路基板の表面に設けられ且つ1対のスルーホールの他方端と1対1対応で接続された1対のパターンと、これら1対のパターン間に接続された抵抗体とを具備する構成とした。
かかる構成により、接地導体と1対のスルーホールと1対のパターンと抵抗体とによって、閉回路が形成されているので、高周波回路基板を収納したパッケージが空洞共振すると、共振時にパッケージ内に生じた磁界とこの閉回路とが電磁結合して、閉回路中に高周波電流を誘起させる。ところが、閉回路に抵抗体を組み込んであるので、閉回路に誘起された高周波電流が損失を受け、この結果、磁界も減衰して、共振が抑圧される。
かかる構成により、接地導体と1対のスルーホールと1対のパターンと抵抗体とによって、閉回路が形成されているので、高周波回路基板を収納したパッケージが空洞共振すると、共振時にパッケージ内に生じた磁界とこの閉回路とが電磁結合して、閉回路中に高周波電流を誘起させる。ところが、閉回路に抵抗体を組み込んであるので、閉回路に誘起された高周波電流が損失を受け、この結果、磁界も減衰して、共振が抑圧される。
請求項2の発明は、請求項1に記載のパッケージ共振抑圧回路において、1対のパターン間を結ぶ直線が空洞共振による磁界と直交するように、1対のパターンを形成した構成とする。
かかる構成により、1対のパターンに接続された抵抗体の向きが、空洞共振による磁界と直交するので、磁界と閉回路とがより効果的に電磁結合する。
かかる構成により、1対のパターンに接続された抵抗体の向きが、空洞共振による磁界と直交するので、磁界と閉回路とがより効果的に電磁結合する。
請求項3は、請求項1または請求項2に記載のパッケージ共振抑圧回路において、接地導体,1対のスルーホール,1対のパターン及び抵抗体でなる閉回路を含む平面が、空洞共振による磁界と直交するように設定した構成とする。
かかる構成により、閉回路を含む平面が、空洞共振による磁界と直交するように設定されているので、磁界と閉回路とがより効果的に電磁結合する。
かかる構成により、閉回路を含む平面が、空洞共振による磁界と直交するように設定されているので、磁界と閉回路とがより効果的に電磁結合する。
請求項4は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパッケージ共振抑圧回路において、抵抗体は、1対のパターン間にパターン印刷にて形成した抵抗体である構成とする。
請求項5は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパッケージ共振抑圧回路において、抵抗体は、1対のパターン間に実装されたチップ型の抵抗体である構成とした。
請求項6は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のパッケージ共振抑圧回路を備える発振器とした。
請求項7は、請求項6に記載の発振器を備える高周波モジュールとした。
請求項8は、請求項6に記載の発振器を備える通信機装置とした。
請求項9の発明に係るパッケージ共振抑圧方法は、1対のスルーホールの双方の一方端を、パッケージに収納された高周波回路基板の裏面に設けられている接地導体に接続し、高周波回路基板の表面に設けた1対のパターンを、1対のスルーホールの他方端と1対1対応で接続すると共に、抵抗体を、1対のパターン間に接続して、接地導体,1対のスルーホール,1対のパターン及び抵抗体でなる閉回路を形成することにより、空洞共振時にパッケージ内に生じる磁界とこの閉回路との電磁結合とによって誘起された高周波電流を、抵抗体で損失させることで、パッケージの空洞共振を抑圧する構成とした。
請求項10の発明は、請求項9に記載のパッケージ共振抑圧方法において、1対のパターン間を結ぶ直線が空洞共振による磁界と直交するように設定した構成とする。
請求項11の発明は、請求項9または請求項10に記載のパッケージ共振抑圧方法において、閉回路を含む平面が空洞共振による磁界と直交するように設定した構成とする。
以上詳しく説明したように、請求項1ないし請求項5の発明に係るパッケージ共振抑圧回路、及び請求項9ないし請求項11の発明に係るパッケージ共振抑圧方法によれば、高周波回路基板を収納したパッケージの空洞共振に生じた磁界によって閉回路に誘起される高周波電流を抵抗により損失させて、パッケージの空洞共振を抑圧することができるので、広い周波数範囲での高周波信号の取り扱いが可能となる。
さらに、パッケージ共振抑圧回路が、接地導体と1対のスルーホールと1対のパターンと抵抗体とで構成されるので、各パッケージ共振抑圧回路の占有面積が非常に小さくて済み、このため、高周波回路基板の空いている小さなスペースに自由に取り付けることができる。この結果、高周波回路基板を大きくすることなく、高周波回路基板に十分な素子搭載領域を確保することができる。
さらに、パッケージ共振抑圧回路が、接地導体と1対のスルーホールと1対のパターンと抵抗体とで構成されるので、各パッケージ共振抑圧回路の占有面積が非常に小さくて済み、このため、高周波回路基板の空いている小さなスペースに自由に取り付けることができる。この結果、高周波回路基板を大きくすることなく、高周波回路基板に十分な素子搭載領域を確保することができる。
特に、請求項2,請求項3,請求項10及び請求項11の発明によれば、磁界と閉回路とをより効果的に電磁結合させることができるので、パッケージの空洞共振に対する抑圧効率をさらに高めることができる。
また、請求項4及び請求項5の発明によれば、抵抗体を安価且つ容易に形成及び実装することができるので、ほとんどコストアップさせることなく、パッケージ共振抑圧回路を付設して、共振抑圧効果が得ることができる。
また、請求項6ないし請求項8の発明によれば、パッケージ共振抑圧回路によってパッケージ共振が効果的に抑圧されるので、安定した特性を有する発振器,高周波モジュール及び通信機装置を提供することができる。
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1実施例に係るパッケージ共振抑圧回路を備えた発振器を示す分解斜視図であり、図2は、パッケージの蓋部を取って内部を示す平面図であり、図3は、図2のパッケージに蓋部を取り付けた状態で示す矢視A−A断面図であり、図4は、図2のパッケージに蓋部を取り付けた状態で示す矢視B−B断面図である。
図1に示すように、この実施例の発振器1は、パッケージ2内に高周波回路基板3を収納したもので、高周波回路基板3に、パッケージ2の空洞共振を抑圧するパッケージ共振抑圧回路4を備える。
図1に示すように、この実施例の発振器1は、パッケージ2内に高周波回路基板3を収納したもので、高周波回路基板3に、パッケージ2の空洞共振を抑圧するパッケージ共振抑圧回路4を備える。
パッケージ2は、アルミナ等のセラミックで形成され且つシーリング部22が上面に固着される周壁部21をコバール等の金属製の底壁部20上に固定し、この周壁部21を、シーリング部22を介してコバール等の金属製の蓋部23で上から塞いだ構造になっている。具体的には、パッケージ2は、図2に示すように、平面視において矩形状をなし、図3に示すように、端子21a,21bが周壁部21に形成されている。
高周波回路基板3は、このようなパッケージ2の内部に収納されて、電磁遮蔽されている。
高周波回路基板3は、発振器1の本体であり、共振回路30と能動回路31とをその表面に有している。
共振回路30と能動回路31は、周知の回路であり、その詳細は省略する。また、この実施例の要部の理解を容易にするため、これら共振回路30と能動回路31を、二点鎖線で示すように、ブロックで簡略表示した。
このような高周波回路基板3は、接地導体32をその裏面に有し、この接地導体32をパッケージ2の底壁部20に接触させた状態で、底壁部20上に載置固定されている。そして、高周波回路基板3の共振回路30と能動回路31が、ワイヤ33,33によって周壁部21の端子21a,21bと電気的に接続されている。
高周波回路基板3は、発振器1の本体であり、共振回路30と能動回路31とをその表面に有している。
共振回路30と能動回路31は、周知の回路であり、その詳細は省略する。また、この実施例の要部の理解を容易にするため、これら共振回路30と能動回路31を、二点鎖線で示すように、ブロックで簡略表示した。
このような高周波回路基板3は、接地導体32をその裏面に有し、この接地導体32をパッケージ2の底壁部20に接触させた状態で、底壁部20上に載置固定されている。そして、高周波回路基板3の共振回路30と能動回路31が、ワイヤ33,33によって周壁部21の端子21a,21bと電気的に接続されている。
パッケージ共振抑圧回路4は、パッケージ2の空洞共振を抑圧するための回路であり、図1に示すように、上記高周波回路基板3の共振回路30と能動回路31の搭載領域を避けた4個所に設けられている。この実施例では、図2に示すように、高周波回路基板3の両縁部のスペースに2個ずつ設けられている。
各パッケージ共振抑圧回路4は、図4に示すように、高周波回路基板3の接地導体32と、高周波回路基板3に形成された1対のスルーホール41,42と、高周波回路基板3の表面にパターン形成された1対のパターン43,44と、抵抗体46とで構成されている。
図5は、各パッケージ共振抑圧回路4を拡大して示す部分拡大断面図である。
図5に示すように、各パッケージ共振抑圧回路4の1対のスルーホール41,42は、双方の下端部(一方端)41a,42aが接地導体32に共に電気的に接続した状態で形成されている。1対のパターン43,44は、1対のランドであり、1対のスルーホール41,42の上端部(他方端)41b,42bと1対1対応で電気的に接続されている。そして、このような1対のパターン43,44上に、チップ型の抵抗体46が半田付け等で実装されている。
すなわち、このように、抵抗体46を1対のパターン43,44間に接続することで、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44とこの抵抗体46とでなる閉回路Cを形成する。
図5に示すように、各パッケージ共振抑圧回路4の1対のスルーホール41,42は、双方の下端部(一方端)41a,42aが接地導体32に共に電気的に接続した状態で形成されている。1対のパターン43,44は、1対のランドであり、1対のスルーホール41,42の上端部(他方端)41b,42bと1対1対応で電気的に接続されている。そして、このような1対のパターン43,44上に、チップ型の抵抗体46が半田付け等で実装されている。
すなわち、このように、抵抗体46を1対のパターン43,44間に接続することで、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44とこの抵抗体46とでなる閉回路Cを形成する。
図6は、閉回路Cと空洞共振による磁界Hとの位置関係を示す概略図である。
図6に示すように、1対のパターン43,44などで構成される閉回路Cは、パッケージ2の空洞共振時に生じる磁界Hと直交するように形成されている。すなわち、1対のパターン43,44間を結ぶ直線が磁界Hと直交するように、1対のパターン43,44を配設することで、閉回路C全体を含む平面P1を平面P2上の磁界Hと直交させる。これにより、抵抗体46が磁界Hと直交することになる。
図6に示すように、1対のパターン43,44などで構成される閉回路Cは、パッケージ2の空洞共振時に生じる磁界Hと直交するように形成されている。すなわち、1対のパターン43,44間を結ぶ直線が磁界Hと直交するように、1対のパターン43,44を配設することで、閉回路C全体を含む平面P1を平面P2上の磁界Hと直交させる。これにより、抵抗体46が磁界Hと直交することになる。
次に、この実施例の発振器1が有するパッケージ共振抑圧回路4の作用及び効果について説明する。
図7は、空洞共振時に生じる磁界Hの分布を示す平面図であり、図8は、誘起された高周波電流を示す部分拡大断面図である。また、図9は、発振器1における空洞共振の有無を示す特性線図であり、図9(a)は発振器1にパッケージ共振抑圧回路4を設けない場合の特性線図であり、図9(b)は発振器1にパッケージ共振抑圧回路4を設けた場合の特性線図である。なお、図9(a)及び図9(b)において、反射係数S11の曲線S1はリターンロスに対応し、伝達係数S21の曲線S2は挿入損失に対応する。
図7は、空洞共振時に生じる磁界Hの分布を示す平面図であり、図8は、誘起された高周波電流を示す部分拡大断面図である。また、図9は、発振器1における空洞共振の有無を示す特性線図であり、図9(a)は発振器1にパッケージ共振抑圧回路4を設けない場合の特性線図であり、図9(b)は発振器1にパッケージ共振抑圧回路4を設けた場合の特性線図である。なお、図9(a)及び図9(b)において、反射係数S11の曲線S1はリターンロスに対応し、伝達係数S21の曲線S2は挿入損失に対応する。
図1〜図6に示した発振器1において、高周波回路基板3の共振回路30と能動回路31を駆動して、発振信号を出力すると、例えばTM220モードにおいて、図7に示すように、4つの磁界Hがパッケージ2内に生じる。パッケージ2内の回路をマイクロストリップラインの線路に置き換えてパッケージの端子に接続し、その伝送特性を計算したところ、図9(a)に示す結果を得た。すなわち、32.5GHz付近でパッケージ2の空洞共振が見られ、発振器の内部回路を実装した場合に、この周波数付近ではかかるパッケージ2の空洞共振によって、十分な動作特性を得ることができない。
しかし、この実施例の発振器1では、図7に示すように、各パッケージ共振抑圧回路4を、高周波回路基板3の両縁部のスペース即ち各磁界Hの発生するスペースにそれぞれ設け、しかも、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44と抵抗体46とでなる閉回路Cを磁界Hと直交するように設定してある(図5及び図6参照)。このため、共振時の磁界Hと閉回路Cを構成する1対のパターン43,44とが電磁結合して、図8の矢印で示すように、大きな高周波電流Iを1対のスルーホール41,42等に誘起させる。ところが、閉回路Cに抵抗体46を組み込んであるので、誘起された高周波電流Iは、この抵抗体46によって損失を受ける。この結果、共振時の磁界Hも減衰して、図9(b)に示すように、パッケージ2の空洞共振が抑圧され、良好な動作特性を得ることができる。特に、図6に示したように、1対のパターン43,44に接続された抵抗体46の向きを磁界Hと直交させた状態で、閉回路C全体が、磁界Hと直交するように設定しているので、磁界Hとの電磁結合がより効果的に行われ、共振抑圧効果が極めて高くなる。この結果、パッケージ共振抑圧に優れ、安定した動作特性を有する発振器1を提供することができる。
しかし、この実施例の発振器1では、図7に示すように、各パッケージ共振抑圧回路4を、高周波回路基板3の両縁部のスペース即ち各磁界Hの発生するスペースにそれぞれ設け、しかも、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44と抵抗体46とでなる閉回路Cを磁界Hと直交するように設定してある(図5及び図6参照)。このため、共振時の磁界Hと閉回路Cを構成する1対のパターン43,44とが電磁結合して、図8の矢印で示すように、大きな高周波電流Iを1対のスルーホール41,42等に誘起させる。ところが、閉回路Cに抵抗体46を組み込んであるので、誘起された高周波電流Iは、この抵抗体46によって損失を受ける。この結果、共振時の磁界Hも減衰して、図9(b)に示すように、パッケージ2の空洞共振が抑圧され、良好な動作特性を得ることができる。特に、図6に示したように、1対のパターン43,44に接続された抵抗体46の向きを磁界Hと直交させた状態で、閉回路C全体が、磁界Hと直交するように設定しているので、磁界Hとの電磁結合がより効果的に行われ、共振抑圧効果が極めて高くなる。この結果、パッケージ共振抑圧に優れ、安定した動作特性を有する発振器1を提供することができる。
以上のように、この実施例の発振器1が有するパッケージ共振抑圧回路4が、パッケージ2の空洞共振をより効果的に抑圧するので、パッケージ2の空洞共振の発生を懸念することなく、発振器1を用いて、広い周波数範囲での高周波信号の発振が可能となる。
また、パッケージ共振抑圧回路4を、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44と抵抗体46とで構成するので、各パッケージ共振抑圧回路4の占有面積は非常に小さくて済み、このため、各パッケージ共振抑圧回路4を高周波回路基板3の空いているスペースに自由に取り付けることができる。すなわち、パッケージ共振抑圧回路4の取付自由度が高いので、多くの素子を搭載した小さな高周波回路基板3においても、パッケージ共振抑圧回路4を小さなスペースに配設することができ、この結果、発振器1の小型化を阻害することなく、共振抑圧が可能となっている。
さらに、チップ型の抵抗体46は、安価且つ容易に形成及び実装することができるので、パッケージ共振抑圧回路4の形成によるコストアップは僅かである。
また、パッケージ共振抑圧回路4を、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44と抵抗体46とで構成するので、各パッケージ共振抑圧回路4の占有面積は非常に小さくて済み、このため、各パッケージ共振抑圧回路4を高周波回路基板3の空いているスペースに自由に取り付けることができる。すなわち、パッケージ共振抑圧回路4の取付自由度が高いので、多くの素子を搭載した小さな高周波回路基板3においても、パッケージ共振抑圧回路4を小さなスペースに配設することができ、この結果、発振器1の小型化を阻害することなく、共振抑圧が可能となっている。
さらに、チップ型の抵抗体46は、安価且つ容易に形成及び実装することができるので、パッケージ共振抑圧回路4の形成によるコストアップは僅かである。
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図10は、この発明の第2実施例に係る高周波モジュール及び通信機装置を示すブロック図である。
この実施例の特徴は、上記発振器1を用いて高周波モジュール及び通信機装置を構成したことにある。
図10は、この発明の第2実施例に係る高周波モジュール及び通信機装置を示すブロック図である。
この実施例の特徴は、上記発振器1を用いて高周波モジュール及び通信機装置を構成したことにある。
この通信機装置は、信号処理回路5と、信号処理回路5に接続され高周波の信号を出力または入力する高周波モジュール6と、高周波モジュール6に接続して設けられアンテナ共用器70(デュプレクサ)を介して高周波の信号を送信または受信するアンテナ7とによって構成されている。
そして、高周波モジュール6は、信号処理回路5とアンテナ共用器70との間に接続された帯域通過フィルタ61、増幅器62、ミキサ63、帯域通過フィルタ64、電力増幅器65によって送信側が構成されると共に、アンテナ共用器70と信号処理回路5の入力側に接続された帯域通過フィルタ81、低雑音増幅器82、ミキサ83、帯域通過フィルタ84、増幅器85によって受信側が構成されている。そして、ミキサ63,83には上記第1実施例の発振器1が接続されている。
かかる構成により、送信時には、信号処理回路5からの中間周波信号(IF信号)が、帯域通過フィルタ61で不要な信号が除去された後、増幅器62によって増幅されてミキサ63に入力される。このとき、ミキサ63は、この中間周波信号と発振器1からの搬送波とを掛け合わせて高周波信号(RF信号)にアップコンバートする。そして、ミキサ63から出力された高周波信号が、帯域通過フィルタ64で不要な信号が除去された後、電力増幅器65によって送信電力に増幅された後、アンテナ共用器70を介してアンテナ7から送信される。
また、受信時には、アンテナ7で受信された高周波信号が、アンテナ共用器70を介して帯域通過フィルタ81に入力される。これにより、高周波信号が、帯域通過フィルタ81で不要な信号が除去された後、低雑音増幅器82によって増幅されてミキサ83に入力される。このとき、ミキサ83は、この高周波信号と発振器1からの搬送波とを掛け合わせて中間周波信号にダウンコンバートする。そして、ミキサ83から出力された中間周波信号が、帯域通過フィルタ84で不要な信号が除去された後、増幅器85によって増幅された後、信号処理回路5に入力される。
そして、上記送受信時に、発振器1において空洞共振が抑圧されるので、発振器1からミキサ63,83に搬送波が安定して出力される。この結果、この通信機装置において、安定した動作特性の送受信が行われることとなる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、1対のパターン43,44に接続された抵抗体46の向きを磁界Hと直交するように設定したり、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44と抵抗体46とでなる閉回路Cを磁界Hと直交するように設定したパッケージ共振抑圧回路4を例示して説明したが、抵抗体46の向きを磁界Hと直交しないように設定したパッケージ共振抑圧回路や、閉回路Cを磁界Hと直交しないように設定したパッケージ共振抑圧回路を、この発明の範囲から除外する意ではない。
例えば、上記実施例では、1対のパターン43,44に接続された抵抗体46の向きを磁界Hと直交するように設定したり、接地導体32と1対のスルーホール41,42と1対のパターン43,44と抵抗体46とでなる閉回路Cを磁界Hと直交するように設定したパッケージ共振抑圧回路4を例示して説明したが、抵抗体46の向きを磁界Hと直交しないように設定したパッケージ共振抑圧回路や、閉回路Cを磁界Hと直交しないように設定したパッケージ共振抑圧回路を、この発明の範囲から除外する意ではない。
また、上記実施例では、抵抗体として、チップ型の抵抗体46を用いたが、これに限らず、抵抗体として、1対のパターン43,44間にパターン印刷にて形成した抵抗体を用いても良い。このような抵抗体においても、抵抗体46と同様に、パッケージ共振抑圧回路のコストダウンが可能である。
また、上記実施例では、パッケージ共振抑圧回路4を高周波回路基板3の両縁部のスペースに2個ずつ設けた例を示したが、これは、共振回路30と能動回路31の実装領域が、図2に示したように、高周波回路基板3の中央大半部を占めていたことによるものである。しかし、パッケージ共振抑圧回路4の配設個所は、共振回路30と能動回路31の実装態様によって自由に決めることができるものであり、例えば、図11に示すように、高周波回路基板3の中央部に空いたスペースがある場合には、2つのパッケージ共振抑圧回路4を高周波回路基板3の中央部に配設し、各パッケージ共振抑圧回路4を2種の磁界Hに渡るようにすることもできる。
1…発振器、 2…パッケージ、 3…高周波回路基板、 4…パッケージ共振抑圧回路、 20…底壁部、 21…周壁部、 23…蓋部、 30…共振回路、 31…能動回路、 32…接地導体、 41,42…スルーホール、 43,44…パターン、 46…抵抗体、 C…閉回路、 H…磁界、 I…高周波電流。
Claims (11)
- 高周波回路基板を収納したパッケージの空洞共振を抑圧するパッケージ共振抑圧回路であって、
双方の一方端が共に上記高周波回路基板の裏面の接地導体に接続した状態で、当該高周波回路基板に設けられた1対のスルーホールと、
上記高周波回路基板の表面に設けられ且つ上記1対のスルーホールの他方端と1対1対応で接続された1対のパターンと、
これら1対のパターン間に接続された抵抗体と
を具備することを特徴とするパッケージ共振抑圧回路。 - 上記1対のパターン間を結ぶ直線が上記空洞共振による磁界と直交するように、上記1対のパターンを形成した、ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ共振抑圧回路。
- 上記接地導体,1対のスルーホール,1対のパターン及び抵抗体でなる閉回路を含む平面が、上記空洞共振による磁界と直交するように設定した、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッケージ共振抑圧回路。
- 上記抵抗体は、上記1対のパターン間にパターン印刷にて形成した抵抗体である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパッケージ共振抑圧回路。
- 上記抵抗体は、上記1対のパターン間に実装されたチップ型の抵抗体である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパッケージ共振抑圧回路。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のパッケージ共振抑圧回路を備える、
ことを特徴とする発振器。 - 請求項6に記載の発振器を備える、
ことを特徴とする高周波モジュール。 - 請求項6に記載の発振器を備える、
ことを特徴とする通信機装置。 - 1対のスルーホールの双方の一方端を、パッケージに収納された高周波回路基板の裏面に設けられている接地導体に接続し、上記高周波回路基板の表面に設けた1対のパターンを、上記1対のスルーホールの他方端と1対1対応で接続すると共に、抵抗体を、上記1対のパターン間に接続して、上記接地導体,1対のスルーホール,1対のパターン及び抵抗体でなる閉回路を形成することにより、
空洞共振時にパッケージ内に生じる磁界とこの閉回路との電磁結合とによって誘起された高周波電流を、上記抵抗体で損失させることで、パッケージの空洞共振を抑圧する、
ことを特徴とするパッケージ共振抑圧方法。 - 上記1対のパターン間を結ぶ直線が上記空洞共振による磁界と直交するように設定した、ことを特徴とする請求項9に記載のパッケージ共振抑圧方法。
- 上記閉回路を含む平面が上記空洞共振による磁界と直交するように設定した、ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載のパッケージ共振抑圧方法。
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WO2022190220A1 (ja) * | 2021-03-09 | 2022-09-15 | 三菱電機株式会社 | 回路基板 |
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