以下,本発明の好ましい実施の形態を,被処理体の一例としてのウェハに付着したポリマーを除去する洗浄処理を行うように構成された処理システムに基づいて説明する。図1に示すように,処理システム1は,複数枚の略円盤形状のウェハWを収納したキャリアCを搬入出するキャリア搬入出部2,キャリア搬入出部2に搬入されたキャリアCからウェハWを取り出して搬送するウェハ搬送ユニット3,ウェハ搬送ユニット3によって搬送されたウェハWに対して洗浄処理を実施する処理ユニット5,処理ユニット5において使用する処理液を貯蔵又は生成する処理液タンクユニット6を備えている。さらに,処理システム1における処理工程を制御する制御部7が設けられている。
キャリア搬入出部2には,キャリアCを載置するキャリア載置台10が設けられている。ウェハWは,複数枚,例えば25枚のウェハWが,互いに略平行な姿勢で,所定間隔を空けて配列された状態で,キャリアC内に収納されている。
ウェハ搬送ユニット3には,ウェハ搬送装置11が配設されている。ウェハ搬送装置11は,25本の搬送アーム12にウェハWを一枚ずつ保持して搬送する。これら搬送アーム12によって,キャリアCから25枚のウェハWを一括して取り出し,取り出した25枚のウェハWを後述する処理ユニット5に配設したロータ回転機構20に一括して受け渡し,また,ロータ回転機構20から25枚のウェハWを一括して取り出し,キャリアCに一括して収納するようになっている。
処理ユニット5は,ウェハWの搬送と姿勢変換を行うウェハ搬送・姿勢変換エリア15と,ウェハWを収納して処理液を供給して処理する処理部としての基板処理装置16が備えられた基板処理装置エリア17とを備えている。
ウェハ搬送・姿勢変換エリア15には,25枚のウェハWを保持して回転させるロータ回転機構20が備えられている。また,ロータ回転機構20の向きを変える姿勢変換機構21と,ロータ回転機構20及び姿勢変換機構21を移動させるロータ回転機構移動機構22とが備えられている。姿勢変換機構21とロータ回転機構移動機構22の駆動により,図2に示すように,縦姿勢でウェハ搬送装置11に対向するウェハ装入・退出位置PR1と,横姿勢においてウェハWが基板処理装置16の内部に配置される処理位置PR2とに,ロータ回転機構20が移動させられる構成となっている。
図2に示すように,ロータ回転機構20は,モータ27と,モータ27の回転軸28と,回転軸28の先端に取り付けられ,25枚のウェハWを互いに略平行に所定間隔で並べて保持するロータ30を備えている。モータ27は,回転軸28を囲繞するケーシング31に支持されており,ケーシング31は,姿勢変換機構21によって支持されている。また,ケーシング31とロータ30との間には,円盤状の蓋体32が配置されている。
ロータ30は,25枚のウェハWを装入可能に間隔をおいて配列された一対の円盤35,36を備えている。円盤35は,回転軸28の先端に取り付けられており,円盤36は円盤35と略平行に配置されている。円盤35,36の間には,ウェハWの周縁部を保持する複数,例えば6本の保持棒40が設けられている。保持棒40は,円盤35,36の間に装入されたウェハWの外周を囲むように配置されている。各保持棒40には,図示しない保持溝が25ずつ所定間隔をおいて並べて形成されている。これらの保持溝にウェハWの周縁部がそれぞれ挿入されることにより,各ウェハWが6個の保持溝によって保持された状態で,25枚のウェハWが所定間隔をおいて並列に並べて保持されるようになっている。また,6本の保持棒40のうち,隣り合う2本の保持棒40,40が外側に移動可能になっており,これら2本の保持棒40,40の間を開くことにより,ウェハWをロータ30内に装入できるようになっている。
また,図示はしないが,モータ27の回転数やトルク等を計測する異常検出センサとしての回転検出器が備えられている。回転検出器の検出値は,制御部7によって監視されている。
図3に示すように,基板処理装置16は,外側チャンバ51と,外側チャンバ51の内外に移動する内側チャンバ52によって構成された二重チャンバ53を備えている。
外側チャンバ51内には,薬液処理用の処理液としての薬液C2(C2a,C2b)と,リンス処理用の処理液としての純水と,乾燥処理用のIPA(イソプロピルアルコール)ガスとを供給する外側チャンバノズル61が配設されている。外側チャンバ51の下部には,外側チャンバ51内の排液及び排気を行う排出管62が配設されている。なお,薬液C2aと薬液C2bは,互いに同一種類の薬液C2であり,薬液C2aは,未だウェハWの処理に使用されていない新液であり,薬液C2bは,ウェハの処理に使用された薬液C2a,C2bを回収して再びウェハの処理において使用可能な状態に再生させた液である。即ち,薬液C2aは薬液C2bよりウェハWに対する処理効果が高い液である。
外側チャンバ51の前端部には,外側チャンバ51の内側に対してロータ30を進入及び退出させるためのロータ入出口63が形成されている。また,ロータ入出口63の内周面に沿って,環状のシール機構65が配設されている。ロータ入出口63は,外側チャンバ51の内部からロータ30が退出しているときは,図示しない蓋体によって開閉自在となっている。外側チャンバ51の後端部には,外側チャンバ51の内側に対して内側チャンバ52を進入又は退出させるための,環状の内側チャンバ入出口71が形成されている。また,内側チャンバ入出口71の外側の周面に沿って,環状のシール機構72が配設されている。また,図示はしないが,外側チャンバ51内の内圧を計測する異常検出センサとしての圧力計が設けられている。
内側チャンバ52は,筒状に形成されている。内側チャンバ52内には,薬液処理用の処理液としての薬液C1(C1a,C1b)と,リンス処理用の処理液としての純水とを供給する内側チャンバノズル81が配設されている。内側チャンバ52の下部には,内側チャンバ52内の排液及び排気を行う排出管82が配設されている。なお,薬液C1aと薬液C1bは,互いに同一種類の薬液C1であり,薬液C1aは,未だウェハWの処理に使用されていない新液(第2液)であり,薬液C1bは,ウェハの処理に使用された薬液C1a,C1bを回収して再びウェハの処理において使用可能な状態に再生させた液(第1液)である。即ち,薬液C1aは薬液C1bよりウェハWに対する処理効果が高い液である。
内側チャンバ52の前端部には,ロータ30を内側チャンバ62に対して相対的に進入又は退出させるためのロータ入出口83が形成されている。また,ロータ入出口83の内周面に沿って,環状のシール機構85が配設されている。内側チャンバ52の後端部には,開口91が形成されている。さらに,開口91の内周面に沿って,環状のシール機構92が配設されている。なお,図示はしないが,内側チャンバ52内の内圧を計測する異常検出センサとしての圧力計が設けられている。
外側チャンバ51の後方には,筒状に形成されたカバー95が備えられている。カバー95は,内側チャンバ52及び内側チャンバ入出口71より小径に形成されている。内側チャンバ52は,外側チャンバ51の後方において開口91をカバー62に沿って移動させながら進退するようになっている。
内側チャンバ52が外側チャンバ51内から退出しており,ロータ30が外側チャンバ51の内部に配置されている場合には,ロータ入出口63は蓋体32によって閉塞され,ロータ入出口63の内周面と蓋体32の外周面との間は,シール機構65によってシールされる。一方,内側チャンバ52の前端部は,内側チャンバ入出口71内に配置され,内側チャンバ52のロータ入出口83によって,内側チャンバ入出口71の内側の周面が囲まれるように配置される。内側チャンバ52の前端部外周面と内側チャンバ入出口71との間,及び,内側チャンバ入出口71とロータ入出口83の内周面との間は,それぞれシール機構72,85によってシールされる。このように,シール機構65,72,85によって外側チャンバ51内の雰囲気が密閉され,外側チャンバ51内の雰囲気が外部に漏れたり,外側チャンバ51内に外部雰囲気が侵入したりすることを防止するようになっている。また,内側チャンバ52の後端部に形成された開口91の内周面と,カバー95の外周面との間は,シール機構92によってシールされる。これにより,内側チャンバ52とカバー95の間の雰囲気が密閉され,内側チャンバ52の内面から発生する薬液雰囲気が外部に漏れることを防止できるようになっている。
一方,内側チャンバ52が外側チャンバ51内に配置され,ロータ30が内側チャンバ52内に配置されている場合(図3において二点鎖線)には,ロータ入出口63,83が蓋体32によって閉塞される。ロータ入出口63の内周面と蓋体32の外周面との間,及び,ロータ入出口83の内周面と蓋体32の外周面との間は,それぞれシール機構65,85によってシールされる。そして,内側チャンバ52の後端部が内側チャンバ入出口71内に配置され,内側チャンバ52の開口91によって,内側チャンバ入出口71の内側の周面が囲まれるように配置される。内側チャンバ52の後端部外周面と内側チャンバ入出口71との間,及び,開口91とロータ入出口83の内周面との間は,それぞれシール機構72,92によってシールされる。即ち,シール機構85,92によって内側チャンバ52内の雰囲気が密閉され,かつ,シール機構65,72,92によって外側チャンバ51内の雰囲気が密閉されることで,内側チャンバ52内の雰囲気が外側チャンバ51内に漏れたり,内側チャンバ52内に外側チャンバ51内の雰囲気が侵入したり,外側チャンバ51内の雰囲気が外部に漏れたり,外側チャンバ51内に外部雰囲気が侵入したりすることを防止するようになっている。
図4はシール機構65,72,85,92を示している。シール機構65,72,85,92は,ほぼ同様の構成を有しているので,代表してシール機構65の構成について説明する。シール機構65は,2個の環状の変形部100A,100Bと,変形部100A,100Bを支持する環状の支持部101によって構成されている。また,各変形部100A,100B内に窒素等のガスを供給するガス路102A,102Bが設けられている。各変形部100A,100Bにおいて,ガス路102A又は102Bから変形部100A又は100B内にガスが供給されると,変形部100A又は100Bが中心側に向かって膨張し,シール可能な状態となる。一方,ガス路102A又は102Bによって変形部100A又は100B内からガスが吸引されると,変形部100A又は100Bが収縮して,シールが解除されるようになっている。また,各ガス路102A,102Bには,異常検出センサとしての圧力計103A,103Bがそれぞれ介設されている。各圧力計103A,103Bの検出値は,制御部7によって監視されるようになっている。同様に,シール機構72,85,92に備えた各圧力計103A,103Bの検出値も,制御部7によってそれぞれ監視されるようになっている。
図1に示すように,基板処理装置エリア17には,基板処理装置16内において供給される薬液の薬液雰囲気を検知する異常検出センサとしてのリークセンサ108,109が備えられている。リークセンサ109は,リークセンサ108より上方に設けられている。リークセンサ108,109の検出値は,制御部7によって監視されている。
図1に示すように,処理液タンクユニット6は,薬液C1aを貯溜する薬液タンク111が設置されたタンクエリア112,薬液C1bを貯溜する薬液タンク113が設置されたタンクエリア114,薬液C2aを貯溜する薬液タンク115が設置されたタンクエリア116,薬液C2bを貯溜する薬液タンク117が設置されたタンクエリア118によって構成されている。各薬液タンク111,113,115,117は,それぞれ密閉構造になっており,反応性の高い薬液雰囲気が外部に漏れることを防止できるようになっている。
タンクエリア112には,薬液C1aのリーク(漏れ)を検知する異常検出センサとしてのリークセンサ121A,121Bが設置されている。タンクエリア114には,薬液C1bのリークを検知する異常検出センサとしてのリークセンサ122A,122Bが設置されている。タンクエリア116には,薬液C2aのリークを検知する異常検出センサとしてのリークセンサ123A,123Bが設置されている。タンクエリア118には,薬液C2bのリークを検知する異常検出センサとしてのリークセンサ124A,124Bが設置されている。各リークセンサ121A,121B,122A,122B,123A,123B,124A,124Bの検出値は,制御部7によって監視されている。
図2に示すように,タンクエリア112において,リークセンサ121Aは,薬液タンク111の下部近傍に配置されている。他方のリークセンサ121Bは,リークセンサ121Aよりも上方に設けられている。従って,薬液タンク111から薬液漏れが発生した場合,漏れが始まった直後は,リークセンサ121Aのみによって漏れが検知され,暫く時間が経過してリーク量が増加すると,リークセンサ121Bでも漏れが検知されるようになっている。同様に,タンクエリア114においても,薬液タンク113の下部近傍とそれより高い位置とにリークセンサ122A,122Bがそれぞれ配置され,タンクエリア116においても,薬液タンク115の下部近傍とそれより高い位置とにリークセンサ123A,123Bがそれぞれ配置され,タンクエリア118においても,薬液タンク117の下部近傍とそれより高い位置とにリークセンサ124A,124Bがそれぞれ配置されている。
図5は,薬液タンク111,113から基板処理装置16に薬液C1a,C1bを供給する供給系統を示している。図5に示すように,基板処理装置16の内側チャンバノズル81には,薬液C1a,C1bを送液する供給路131が接続されている。供給路131には,薬液タンク111から薬液C1aを供給する第1供給路132と,薬液タンク113から薬液C1bを供給する第2供給路133とが接続されている。
第1供給路132の基端は,薬液タンク111内の薬液C1aに浸漬されている。第1供給路132には,ポンプ141,フィルタ142,異常検出センサとしての流量計143,開閉弁144が,薬液タンク111側からこの順に介設されている。薬液タンク111には,薬液タンク111に薬液C1aを供給する供給源150が供給路151を介して接続されている。また,薬液タンク111内に貯溜された薬液C1aを加熱するヒータ152が取り付けられている。さらに,薬液タンク111内の薬液C1aの温度を計測する異常検出センサとしての温度計153と,薬液タンク111内の薬液C1aの液面の高さを計測する異常検出センサとしての液面計154a,154b,154cとが備えられている。液面計154a,154b,154cは,上方からこの順に並べて設けられている。なお,本実施の形態において,薬液C1aを供給する薬液C1a供給系統155は,薬液タンク111と第1供給路132とによって構成されている。
第2供給路133の基端は,薬液タンク113内の薬液C1bに浸漬されている。第2供給路133には,ポンプ161,フィルタ162,異常検出センサとしての流量計163,ヒータ164,切換開閉弁165が,薬液タンク113側からこの順に介設されている。
さらに,第2供給路133には,切換開閉弁165を介して,循環路177が接続されている。循環路177の下流端は,薬液タンク113に接続されている。そして,切換開閉弁165の切り換えにより,循環路177が閉じられて供給路131側に薬液C1bが送液される状態と,循環路177が開かれて第2供給路133から循環路177に薬液C1bが送液される状態とが切り換えられるようになっている。
薬液タンク113には,薬液タンク113内の薬液C1bの温度を計測する異常検出センサとしての温度計181と,薬液タンク113内の薬液C1bの液面の高さを計測する異常検出センサとしての液面計182a,182b,182cとが備えられている。液面計182a,182b,182cは,上方からこの順に並べて設けられている。
前述した内側チャンバ52の排出管82には,切換開閉弁185を介して,排出路186,187が接続されている。回収路187の下流端は,薬液タンク113に接続されている。内側チャンバ52内から排出管82によって排出された純水は,排出路186によって廃液され,薬液C1は,回収路187によって薬液タンク113に回収されるか,排出路186によって廃液されるようになっている。
回収路187によって薬液タンク113に回収された薬液C1(C1a,C1b)は,ポンプ161の駆動により,第2供給路133内に送液され,フィルタ162によって異物が除去されて清浄化され,ヒータ164によって温調された後,循環路177を介して再び薬液タンク113内に回収される。こうして,第2供給路133,循環路177に薬液C1を循環させることにより,使用済みの薬液C1を再利用可能な状態にして,薬液C1bとして再使用する構成となっている。本実施の形態において,循環回路としての薬液循環回路191は,第2供給路133,循環路177及び薬液タンク113によって構成されている。また,本実施の形態において,薬液C1bを供給する薬液C1b供給系統192は,回収路187,第2供給路133,循環路177及び薬液タンク113によって構成されている。
第1供給路132の開閉弁144,第2供給路133の切換開閉弁165の開閉は,制御部7の制御命令によって制御される。また,流量計143,温度計153,液面計154a,154b,154c,流量計163,温度計181,液面計182a,182b,182cの各検出値は,それぞれ制御部7によって監視されている。
なお,図示はしないが,供給路131,第1供給路132,第2供給路133,循環路177,排出管82,回収路187がそれぞれ配設されている各配管エリアにも,異常検出センサとしてリークセンサが適宜設けられている。そして,排出管82,供給路131,第1供給路132,第2供給路133,循環路177から薬液C1が漏れた場合に,各配管エリアのリークセンサによって薬液のリークをそれぞれ検知できるようになっている。これらリークセンサの各検出値も,それぞれ制御部7によって監視されている。
上述したように,処理システム1の各部には,各種の異常検出センサ,例えば,モータ27の回転検出器,基板処理装置エリア17のリークセンサ108,109,外側チャンバ51の圧力計,内側チャンバ52の圧力計,シール機構65,72,85,92の各圧力計103A,103B,タンクエリア112,114,116,118のリークセンサ121A,121B,122A,122B,123A,123B,124A,124B,第1供給路132の流量計143,薬液タンク111の温度計153と液面計154,第2供給路133の流量計163,薬液タンク113の温度計181と液面計182,配管エリアのリークセンサなどが設けられている。これらの異常検出センサによる検出信号が電気的に制御部7に送られることにより,制御部7において各異常検出センサの検出値が監視されている。従って,処理システム1において異常が発生した場合に,制御部7は,異常の発生箇所や,異常の種類や,異常の程度を認識することが可能である。
制御部7は,図6に示すような複数の処理工程を順次行うように設定された処理レシピR1を記憶しており,この処理レシピR1に従って,基板処理装置16における処理工程を制御できるようになっている。処理レシピR1には,同種の薬液C1で処理する2つの薬液処理工程(S11,S12)と,リンス処理工程(S13)と,同種の薬液C2で処理する2つの薬液処理工程(S14,S15)と,リンス処理工程(S16)と,IPAによる乾燥処理工程(S17)とが含まれている。処理レシピR1の内容については,後に詳細に説明する。
また,制御部7は,モータ27の回転検出器,外側チャンバ51の圧力計,内側チャンバ52の圧力計,シール機構65,72,85,92の各圧力計103A,103B,第1供給路132の流量計143,薬液タンク111の温度計153,第2供給路133の流量計163,薬液タンク113の温度計181などの各種の異常検出センサの検出値に対してそれぞれ設定された定常範囲と,一次異常範囲とを記憶している。即ち,図7に示すように,上記各異常検出センサの検出値は,定常範囲内にある定常値,定常範囲を逸脱した一次異常範囲内にある一次異常値,一次異常範囲を逸脱した二次異常範囲内にある二次異常値のいずれかに分類することができる。そして,制御部7は,図8に示されている処理フローに従って,各異常検出センサの検出値が,それぞれの検出値について設定された定常範囲にあるか否かを判断し,検出値が定常範囲から逸脱している場合は,さらに一次異常範囲にあるか否かを判断するようになっている。
一方,タンクエリア112のリークセンサ121A,121Bについては,次のように定常範囲と一次異常範囲が判断される。即ち,リークセンサ121A,121Bにおいて共に薬液リークが検出されていないときは,制御部7は,検出値が定常範囲にあると判断し,下方のリークセンサ121Aのみによって薬液雰囲気が検出されている場合は,薬液リーク量が少ないと推測されるため,制御部7は,検出値が一次異常範囲にあると判断する。そして,リークセンサ121A,121Bによって薬液リークが共に検出されている場合は,薬液リーク量が増加したと推測されるため,制御部7は,検出値が一次異常範囲を逸脱して二次異常値になったと判断するようになっている。同様に,他のタンクエリア114,116,118のリークセンサ122A,122B,123A,123B,124A,124Bについても,リークセンサ122A,123A又は124Aのみによって薬液リークが検出されている場合は,検出値がそれぞれ一次異常範囲にあると判断し,両リークセンサ122A,122B,両リークセンサ123A,123B,又は両リークセンサ124A,124Bによって薬液リークが共に検出されている場合は,検出値がそれぞれ一次異常範囲を逸脱して二次異常値になったと判断するようになっている。同様に,基板処理装置エリア17のリークセンサ108,109も,下方のリークセンサ108のみによって薬液リークが検出されている場合は,検出値が一次異常範囲にあると判断し,両リークセンサ108,109によって薬液リークが共に検出されている場合は,検出値が一次異常範囲を逸脱して二次異常値になったと判断するようになっている。また,配管エリアのリークセンサ(図示せず)も,配管エリアに上下に設けられており,下方のリークセンサのみによって薬液リークが検出されている場合は,検出値が一次異常範囲にあると判断し,両リークセンサによって薬液リークが共に検出されている場合は,検出値が一次異常範囲を逸脱して二次異常値になったと判断するようになっている。
液面計154a,154b,154cについては,次のように定常範囲と一次異常範囲が判断される。即ち,最も上方の液面計154aにおいて薬液C1aが検出されず液面計154bにおいて液体が検出されている場合は,制御部7は,検出値が定常範囲にあると判断し,液面計154bにおいて薬液C1aが検出されず,最も下方の液面計154cにおいて薬液C1aが検出されている場合は,制御部7は,検出値が一次異常範囲にあると判断する。そして,液面計154cにおいて薬液C1aが検出されていない場合は,薬液C1aの残量が不足しているので,制御部7は,検出値が一次異常範囲を逸脱して二次異常値になったと判断する。同様に,液面計182a,182b,182cについては,最も上方の液面計182aにおいて薬液C1bが検出されず液面計182bにおいて液体が検出されている場合は,制御部7は,検出値が定常範囲にあると判断し,液面計182bにおいて薬液C1bが検出されず,最も下方の液面計182cにおいて薬液C1bが検出されている場合は,制御部7は,検出値が一次異常範囲にあると判断する。そして,液面計182cにおいて薬液C1bが検出されていない場合は,薬液C1bの残量が不足しているので,制御部7は,検出値が一次異常範囲を逸脱して二次異常値になったと判断するようになっている。
また,基板処理装置16において,ウェハWが処理レシピR1に従って処理されているときに,各異常検出センサの検出値が定常範囲内にあると制御部7が判断した場合は,処理レシピR1に従った処理工程が続行されるが,いずれかの異常検出センサの検出値が定常範囲を超えた場合は,制御部7は,異常の種類又は程度に応じて,処理工程を継続させるか,処理工程を中止するか,あるいは救済工程を行うかを判断する。
例えば,いずれかの異常検出センサの検出値が一次異常範囲にあると判断したときは,警告が発せられ,オペレータに一次異常の発生が伝えられる。制御部7は,警告を発生させながら,処理工程を継続させる。しかし,いずれかの異常検出センサの検出値が一次異常範囲を逸脱したと判断したときは,制御部7は,認識した異常の種類に応じて,処理工程を中止するか,救済工程によって処理工程を継続するかを判断するようになっている。
ウェハWの救済工程は,発生した異常の種類や処理システム1の状態によって異なるが,次のようなものがある。例えば,薬液C1aによる薬液処理工程を行っている間に,図5に示した薬液C1a供給系統155の異常を検出する異常検出センサ,即ち,タンクエリア112のリークセンサ121A,121B,第1供給路132の流量計143,薬液タンク111の温度計153,液面計154a,154b,154c,配管エリアのリークセンサのいずれかによって二次異常値が検出された場合は,薬液C1a供給系統155による薬液C1aの供給に異常が発生して,薬液C1aによる薬液処理工程が正常に行われない危険がある。そこで,薬液C1を供給する供給系統を薬液C1a供給系統155から薬液C1b供給系統192に切り換えて,薬液C1aの供給を停止させ,薬液C1bを供給して薬液処理を行う。薬液C1bは薬液C1aと同一種類の薬液であるため,処理時間などを変更すれば,ウェハWの薬液C1による薬液処理を十分に行うことが可能である。さらに,薬液C1aによる薬液処理の後に予定されている処理工程も順次継続して行い,ウェハWの一連の処理工程を完了させることができる。同様に,薬液C1bによる薬液処理工程を行っている間に,薬液C1b供給系統192の異常を検出する異常検出センサのいずれかによって二次異常値が検出された場合は,薬液C1b供給系統192を薬液C1a供給系統155に切り換えて,薬液C1bの供給を停止させ,薬液C1aを供給して薬液処理を行うことができる。なお,薬液C1bによる薬液処理工程,又は,薬液C1aによる薬液処理工程を行っている間に,薬液C1a供給系統155の異常,又は,薬液C1b供給系統192の異常が生じた場合は,制御部7は,図9,図10,図11に示されている救済処理レシピR2,R3,R4を実行する制御を行うようになっている。救済処理レシピR2,R3,R4については,後に詳細に説明する。
次に,以上のように構成された処理システム1を用いたウェハWの処理方法について説明する。先ず,図示しないキャリア搬送装置によって,25枚のウェハWを収納したキャリアCが,図2に示すようにキャリア載置台10に載置される。そして,ウェハ搬送装置11の各搬送アーム12によって,25枚のウェハWがキャリアCから一括して取り出される。
ウェハ搬送・姿勢変換エリア15においては,ロータ回転機構20をウェハ装入・退出位置PR1に移動させ,図示しない開閉機構によって2本の保持棒40,40を開いた状態にしておく。そして,ウェハ搬送装置11の駆動により,ウェハWを保持した搬送アーム12を保持棒40A,40Bの間からロータ30内に進入させ,2本の保持棒40,40を閉じ,搬送アーム12をロータ30から退出させる。こうして,25枚のウェハWが搬送アーム12からロータ30に受け渡される。
次に,ロータ回転機構20を上昇させ,ロータ回転機構20を約90°回転させて横姿勢にする。そして,ロータ回転機構20を基板処理装置16に向かって移動させ,ロータ30をロータ入出口63内に進入させる。
基板処理装置16は,内側チャンバ52を外側チャンバ52の内側に配置した状態(図5において二点鎖線で示した状態)で待機させておく。そして,図示しない蓋体を移動させてロータ入出口63を開口させ,ロータ30をロータ入出口63から内側チャンバ52内へ進入させ,ウェハWを内側チャンバ52内に搬入する。ロータ入出口63は,蓋体32によって閉塞される。また,シール機構65,72,85,92によって,外側チャンバ51及び内側チャンバ52内の雰囲気を密閉させる。
ロータ30及びウェハWを内側チャンバ52内に搬入したら,図6に示す処理レシピR1に従った処理を開始させる。先ず,モータ27の駆動により,ロータ30を所定の回転速度で回転させ,ウェハWをロータ30と一体的に回転させる。そして,制御部7の制御により,薬液C1b供給系統192において開閉弁165を開いてポンプ161を駆動させ,所定温度に温調された薬液C1bを内側チャンバノズル81から供給して,回転するウェハWに吹き付ける。こうして,薬液C1bによる薬液処理工程(S11)を所定時間行う。
薬液C1bによる薬液処理工程(S11)が終了したら,制御部7の制御により,切換開閉弁165を閉じて薬液C1b供給系統192からの薬液C1bの供給を停止させ,薬液C1a供給系統155において開閉弁144を開いてポンプ141を駆動させ,所定温度に温調された薬液C1aを内側チャンバノズル81から供給して,回転するウェハWに吹き付ける。こうして,薬液C1aによる薬液処理工程(S12)を所定時間行う。薬液C1aは新液であり,薬液C1bよりも処理効果が高く,ウェハWを確実に処理することができる。また,薬液C1aを使用する前に再生させた薬液C1bを用いて処理することにより,薬液C1の使用量を低減して省コストを図ることができる。
なお,内側チャンバ52から排出管82によって排出された薬液C1a,C1bは,図5に示すように,回収路187を介して薬液タンク113に回収され,さらに,ポンプ161の駆動により薬液循環回路191内を循環して,フィルタ162によってろ過され,ヒータ164によって温調される。そして,薬液C1bとしてウェハWの薬液処理工程(S11)に再び使用される。
薬液C1aによる薬液処理工程(S12)が終了したら,制御部7の制御により開閉弁144を閉じて薬液C1aの供給を停止させ,ウェハWに付着した薬液C1aをウェハWの回転により振り切って除去した後,ウェハWを回転させながら,純水を内側チャンバノズル81から供給して,ウェハWを純水によってリンス処理する(S13)。
純水による所定時間のリンス処理工程(S13)が終了したら,ウェハWに付着した純水をウェハWの回転により振り切って除去した後,内側チャンバ52を外側チャンバ51から退出させ,外側チャンバ51内の雰囲気を密閉する。
次に,外側チャンバ51内において,ウェハWを所定の回転速度で回転させながら,所定温度に温調された薬液C2bを外側チャンバノズル61から供給して,薬液C2bによる薬液処理工程を行う(S14)。薬液C2bによる所定時間の薬液処理工程(S14)が終了したら,ウェハWを所定の回転速度で回転させながら,所定温度に温調された薬液C2aを外側チャンバノズル61から供給して,薬液C2aによる薬液処理工程を行う(S15)。薬液C2aは新液であり,薬液C2bよりも清浄度が高いので,処理効果が高く,ウェハWを確実に処理することができる。また,薬液C2aを使用する前に再生させた薬液C2bを用いて処理することにより,薬液C2の使用量を低減して省コストを図ることができる。薬液C2aによる所定時間の薬液処理工程(S15)が終了したら,ウェハWを所定の回転速度で回転させながら,純水を内側チャンバノズル81から供給して,ウェハWを純水によってリンス処理する(S16)。
純水による所定時間のリンス処理工程(S16)が終了したら,ウェハWを所定の回転速度で回転させながら,外側チャンバノズル61からIPAガスを吐出して,ウェハWを乾燥処理する(S17)。
IPAによる乾燥処理工程(S17)が終了し,処理レシピR1が終了したら,ロータ30の回転を停止させ,外側チャンバ51内を窒素ガスによってパージした後,ロータ30をロータ入出口63から二重チャンバ53の外へ退出させ,ウェハWを二重チャンバ53から搬出する。そして,ロータ回転機構20をウェハ装入・退出位置PR1に移動させ,ウェハ搬送装置11の各搬送アーム12によって,ロータ30から一括してウェハWを取り出し,キャリア載置台10上のキャリアC内に一括して収納する。
以上が,処理システム1における一連の工程であるが,基板処理装置16において処理レシピR1を実行している間に,制御部7において監視されている異常検出センサの検出値に異常が生じた場合は,以下のような稼動が行われる。即ち,図7に示されている処理フローに従って,制御部7は,各異常検出センサの検出値が定常範囲内にあるか否かを監視しており(S21),検出値が定常範囲を超えていると判断した場合は,一次異常範囲を逸脱しているか否かを判断する(S22)。一次異常範囲にある場合は,警告を行い(S23),処理レシピR1の処理工程は継続させる。一次異常範囲でない場合は,二次異常範囲にあると判断し,認識した異常の種類に応じて,救済工程に移行して良いか否かを判断する(S24)。救済工程(S25)に移行しない場合は,処理工程を中止させる(S26)。
例えば,薬液C1bによる薬液処理工程(S11)を行っている間に,薬液C1b供給系統192の異常を検出するいずれかの異常検出センサによって一次異常値が検出された場合は,薬液C1b供給系統192を切り換えず,そのまま薬液C1bの供給を継続する。しかし,いずれかの異常検出センサによって二次異常値が検出された場合は,救済工程に移行して良いか否かを判断する(S24)。救済工程(S25)に移行する場合は,薬液C1a供給系統155の異常を検出する各異常検出センサによって二次異常値が検出されていないことを制御部7において確認して,図9に示されている救済処理レシピR2を実行する。先ず,制御部7の制御により,切換開閉弁165を閉じて,薬液C1b供給系統192からの薬液C1bの供給を停止させ,開閉弁144を開いてポンプ141を駆動させ,薬液C1a供給系統155からの薬液C1aの供給を開始させる。こうして,薬液C1b供給系統192による薬液C1bの供給を薬液C1a供給系統155による薬液C1aの供給に切り換えて,薬液C1bによる薬液処理工程(S11)から救済処理レシピR2の薬液C1aによる薬液処理工程(S31)に切り換える。これにより,薬液処理を継続させることができる。薬液C1aは,薬液C1bと同種の薬液であるため,ウェハWの薬液C1による薬液処理を十分に行うことができる。
薬液C1aによる薬液処理(S31)は,薬液処理工程(S31)に切り換える前の処理レシピR1において設定されていた薬液処理工程(S11)の処理時間のうち,救済処理レシピR2への移行により実行されていない分の残り時間と,処理レシピR1において設定されていた薬液処理工程(S12)の処理時間とを合わせた時間と同じ時間だけ行うことが好ましい。この場合,処理レシピR1において予定されていた薬液処理工程(S11)の終了時刻と救済処理レシピR2における薬液C1aによる薬液処理工程(S31)の終了時刻とを合わせることができる。また,薬液処理工程(S11)の残り時間と薬液処理工程(S12)の時間とを合わせた時間より,短時間行うようにして良い。この場合も,薬液C1aは新液であり薬液C1bより処理効果が高い薬液なので,ウェハWを十分に処理することができる。こうして,薬液処理工程(S31)により,通常の処理レシピR1において薬液C1bによる薬液処理工程(S11),薬液C1aによる薬液処理工程(S12)を行った場合と同程度にウェハWを薬液処理することができる。
その後,純水によるリンス処理工程(S13)と同じリンス処理工程(S33)を行い,内側チャンバ52を外側チャンバ51から退出させ,薬液C2bによる薬液処理工程(S14)と同じ薬液処理工程(S34),薬液C2aによる薬液処理工程(S15)と同じ薬液処理工程(S35),リンス処理工程(S16)と同じリンス処理工程(S36),IPAによる乾燥処理工程(S17)と同じ乾燥処理工程(S37)を,順次継続して行う。こうして,救済処理レシピR2に従って処理した後,前述した通常の搬出方法と同様にして,ウェハWを二重チャンバ53から搬出する。ウェハWを搬出したら,薬液C1b供給系統192の復旧作業を行う。
また,例えば,薬液C1aによる薬液処理工程(S12)を行っている間に,薬液C1a供給系統155の異常を検出するいずれかの異常検出センサによって一次異常値が検出された場合は,薬液C1a供給系統155を切り換えず,そのまま薬液C1aの供給を継続する。しかし,いずれかの異常検出センサによって二次異常値が検出された場合は,救済工程に移行して良いか否かを判断する(S24)。救済工程(S25)に移行する場合は,薬液C1b供給系統192の異常を検出する各異常検出センサによって二次異常値が検出されていないことを制御部7において確認して,図10に示されている救済処理レシピR3を実行する。先ず,制御部7の制御により,開閉弁144を閉じて,薬液C1a供給系統155からの薬液C1bの供給を停止させ,切換開閉弁165を開いてポンプ161を駆動させ,薬液C1b供給系統192からの薬液C1bの供給を開始させる。こうして,薬液C1a供給系統155による薬液C1aの供給を薬液C1b供給系統192による薬液C1bの供給に切り換えて,薬液C1aによる薬液処理工程(S12)から救済処理レシピR3の薬液C1bによる薬液処理工程(S41)に切り換える。これにより,薬液処理を継続させることができる。薬液C1bは再生液であり薬液C1aより処理効果が低い薬液なので,救済処理レシピR3における薬液C1bによる薬液処理工程(S41)は,薬液処理工程(S41)に切り換える前の処理レシピR1において設定されていた薬液処理工程(S12)の処理時間のうち,救済処理レシピR3への移行により実行されていない分の残り時間よりも,長時間行うように制御することが好ましい。これにより,処理効果が低い薬液C1bでも,ウェハWの薬液処理を十分に行うことができる。
薬液C1bによる薬液処理工程(S41)が終了したら,救済処理レシピR3と同様に,処理レシピR1において薬液C1bによる薬液処理(S11)の後に連続して行うように設定されている処理工程(S13〜S17)と同様の処理工程(S33〜S37)を継続して行う。こうして,救済処理レシピR3に従って処理した後,前述した通常の搬出方法と同様にして,ウェハWを二重チャンバ53から搬出する。ウェハWを搬出したら,薬液C1a供給系統155の復旧作業を行う。
このように,薬液C1b供給系統192,薬液C1a供給系統155のいずれかに異常が発生して,薬液C1bによる薬液処理工程(S11)又は薬液C1aによる薬液処理工程(S12)が正常に行われない状態になっても,薬液C1bの代用として薬液C1a供給系統155から薬液C1aを供給し,あるいは,薬液C1aの代用として薬液C1b供給系統192から薬液C1bを供給することにより,薬液処理工程(S11)に換えて薬液処理工程(S31)を継続し,あるいは,薬液処理工程(S12)に換えて薬液処理工程(S41)を継続することができる。さらに,処理レシピR1において薬液C1aによる薬液処理(S12)の後に連続して行うように設定されている処理工程(S13〜S17)と同様の処理工程(S33〜S37)も継続して行うことにより,ウェハWの一連の処理を完了させ,処理レシピR1とほぼ同様の処理効果を施した状態で,ウェハWを救済することができる。従って,薬液C1b供給系統192や薬液C1a供給系統155に異常が発生しても,処理の異常によりウェハWが不良品になって無駄に廃棄されることを防止できる。
なお,薬液C1b供給系統192において異常が検出される場合としては,例えば,薬液タンク113から薬液C1bが漏れて,タンクエリア114のリークセンサ122A,122Bによって異常が検出される場合や,第2供給路133から薬液C1bが漏れて,第2供給路133の配管エリアのリークセンサによって異常が検出される場合や,第2供給路133において,ポンプ161の故障などにより薬液C1bの流量が所定流量に調整されず,流量計163によって異常が検出される場合や,ヒータ164の故障により,薬液タンク113内の薬液C1bが所定温度に調整されず,温度計181によって異常が検出される場合や,薬液タンク113内の薬液C1bが不足して液面計182a,182b,182cによって異常が検出される場合などがある。また,薬液C1a供給系統155において異常が検出される場合としては,例えば,薬液タンク111から薬液C1aが漏れて,タンクエリア112のリークセンサ121A,121Bによって異常が検出される場合や,第1供給路132から薬液C1aが漏れて,第1供給路132の配管エリアのリークセンサによって異常が検出される場合や,第1供給路132において,ポンプ141の故障などにより薬液C1aの流量が所定流量に調整されず,流量計143によって異常が検出される場合や,ヒータ152の故障により,薬液タンク111内の薬液C1aが所定温度に調整されず,温度計153によって異常が検出される場合や,供給源150の故障により薬液タンク111内の薬液C1aが不足して,液面計154a,154b,154cによって異常が検出される場合などがある。
一方,薬液C1bによる薬液処理工程(S11)を行っている間,又は,薬液C1aによる薬液処理工程(S12)を行っている間に,薬液C1a供給系統155の異常を検出する異常検出センサのいずれかによって二次異常値が検出され,同時に,薬液C1b供給系統192の異常を検出する異常検出センサのいずれかによって二次異常値が検出された場合は,薬液C1a供給系統155による薬液C1aの供給も,薬液C1b供給系統192による薬液C1bの供給も,正常に行われないおそれがある。このような場合に救済工程(S25)に移行する場合は,図11に示されている救済処理レシピR4を実行すればよい。即ち,制御部7の制御により,処理レシピR1の薬液C1bによる薬液処理工程(S11)の途中,又は,薬液C1aによる薬液処理工程(S12)の途中で救済処理レシピR4に移行させ,救済処理レシピR4に従って,純水によるリンス処理工程(S51)を開始させ,純水によって薬液C1を洗い流す。リンス処理工程(S51)の後,内側チャンバ52を外側チャンバ51から退出させ,IPAによる乾燥処理工程(S52)を実施する。こうして,救済処理レシピR4に従って処理した後,前述した通常の搬出方法と同様にして,ウェハWを二重チャンバ53から搬出する。ウェハWを搬出したら,薬液C1a供給系統155,薬液C1b供給系統192の復旧作業を行う。このような救済処理レシピR4を行うことにより,ウェハWのダメージを最小限に抑えることができる。
また,薬液C1a,C1bを用いた薬液処理工程(S11,S12)中に,モータ27の回転検出器,基板処理装置エリア17のリークセンサ108,外側チャンバ51の圧力計,内側チャンバ52の圧力計,シール機構65,72,85,92の各圧力計103A,103Bなどで二次異常値が検出された場合には,救済工程に移行するか否かの判断(S24)で,一連の処理工程を中止させる(S26)ようにする。即ち,薬液C1b供給系統192と薬液C1a供給系統155の供給を直ちに停止させ,薬液処理工程(S11,S12)を中止した後,直ちに基板処理装置16からウェハWを搬出して,復旧作業を行うことが望ましい。これにより,薬液C1雰囲気が基板処理装置16から漏れた場合,腐食などの被害が拡大することを防止できる。
かかる処理システム1によれば,薬液C1bによって薬液処理工程(S11)を行っている間に薬液C1b供給系統192に異常が発生しても,供給する処理液を薬液C1bと同一種類の薬液C1aに切り換えて,薬液処理工程(S31)を行うことで,薬液C1による処理を十分に施すことができる。また,薬液C1aによって薬液処理工程(S12)を行っている間に薬液C1a供給系統155に異常が発生しても,供給する処理液を薬液C1aと同一種類の薬液C1bに切り換えて,薬液処理工程(S41)を行うことで,薬液C1による処理を十分に施すことができる。さらに,切り換えた薬液C1による処理(S31,S41)の後,処理レシピR1において薬液処理工程(S11)の後に連続して行うように設定された処理工程(S13〜S17)と同様の処理工程(S33〜S37)も行うようにしたことにより,ウェハWの一連の処理を完了させ,ウェハWを確実に救済することができる。従って,ウェハWが不良品になって無駄に廃棄されることを防止できる。薬液C1b供給系統192又は薬液C1a供給系統155に二次異常値が発生したとき,制御部7の判断により自動的に処理レシピR2又はR3を開始させることができ,安全である。
さらに,異常検出センサの検出値が一次異常範囲にある場合は警告(S23)を行い,処理レシピR1を継続させ,一次異常範囲を逸脱した場合のみ処理レシピR1から救済工程に移行(S25)させ,又は,処理を自動的に中止(S26)させるようにしたことにより,異常の程度が低い場合はウェハWを処理レシピR1に従って確実に処理することができる。また,異常検出センサの検出値が一次異常範囲にある場合に警告を発生させることにより,オペレータの注意が喚起され,オペレータが適切な措置を実施することができるので,処理システム1の異常が悪化することを防止できる。
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,本実施の形態では,異なる2種類の薬液C1,C2を用いてウェハWを処理する方法を説明したが,処理レシピR1の内容はかかるもの限定されない。また,本実施の形態では,薬液処理工程(S11)中に薬液C1b供給系統192に異常が発生したときに,供給する薬液を薬液C1aに切り換えて薬液処理工程(S31)を行う場合と,薬液処理工程(S12)中に薬液C1a供給系統155に異常が発生したときに,供給する薬液を薬液C1bに切り換えて薬液処理工程(S41)を行う場合とを説明したが,薬液C2bによって薬液処理工程(S14)を行っている間に薬液C2b供給系統に異常が発生したときに,供給する薬液を同一種類の薬液C2aに切り換えて薬液処理工程(S14)と同様の処理工程を行ったり,薬液C2aによって薬液処理工程(S15)を行っている間に薬液C2a供給系統に異常が発生したときに,供給する薬液を同一種類の薬液C2bに切り換えて薬液処理工程(S15)と同様の処理工程を行ったりしても良い。この場合も,薬液C2による処理を十分に施してウェハWを救済することができる。
図12に示すように,第2供給路133において,フィルタ162と,前記第1のフィルタよりも目が細かい第2のフィルタ201とが並列に設けられた構成としても良い。図12において,ポンプ161とフィルタ162との間には,フィルタ201が介設された分岐路202の上流端が,切換弁203を介して第2供給路133の途中に接続されている。分岐路202の下流端は,フィルタ162と流量計163との間において,切換弁204を介して第2供給路133の途中に接続されている。そして,制御部7の制御により,切換弁203,204が操作され,薬液C1bをフィルタ162に通流させる状態とフィルタ201に通流させる状態とが切り換えられるようになっている。フィルタ201は,フィルタ162よりも目が細かいので,フィルタ162よりも効果的に薬液C1bを清浄化できるようになっている。かかる構成において,通常の処理レシピR1の薬液処理工程(S11)では,薬液C1bが第1のフィルタ162を通過してウェハWに供給されるようにし,救済処理レシピR3の薬液処理工程(S41)においては,薬液C1bが第2のフィルタ201を通過してウェハWに供給されるようにすることが好ましい。このようにすると,薬液処理工程(S41)においてウェハWに供給される薬液C1bの清浄度を高めることができ,ウェハWに対する処理効果を向上させることができる。
本実施の形態では,薬液C1a(第2液)と薬液C1b(第1液)は,互いに同一種類の薬液C1で,薬液C1aは処理効果が高い新液であり,薬液C1bは再生した液である場合を説明したが,第1液と第2液の関係は,かかるものに限定されない。例えば,同種の薬液のうち,第1液の濃度よりも第2液の濃度が高く,第2液のウェハWに対する処理効果が第1液よりも高い場合も,本発明を好適に適用することができる。また,本実施の形態では,同種の薬液C1で処理する薬液処理工程(S11,S12)を2つ含む処理方法を説明したが,同種の処理液で処理する処理工程を3つ以上含む処理方法を行う場合にも,本発明を適用することができる。さらに,本実施の形態の処理システム1では,同種の薬液C1をウェハWに供給する2つの薬液供給系統155,192を備えることとしたが,同種の処理液をウェハWに供給する供給系統を3つ以上備える場合にも,本発明を適用できる。
本発明にかかる処理システムは,ウェハWの洗浄が行われる処理システムに限定されず,その他の種々の処理液などを用いて洗浄以外の他の処理をウェハWに対して施すものであっても良い。また,基板処理装置の形態は,ロータによって複数のウェハWを回転させながら処理するものに限定されない。例えば,枚葉式の基板処理装置を備えた処理システムや,処理槽を用いたバッチ式の基板処理装置を備えた処理システムに対しても,本発明を適用することが可能である。また,被処理体は半導体ウェハに限らず,その他のLCD基板用ガラスやCD基板,プリント基板,セラミック基板などであっても良い。