JP2006040975A - Led駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特性を改善可能なLED駆動回路を提供する。
【解決手段】 LED駆動回路10は、LED11に接続された第1及び第2ピーキング電流発生回路10e(第2電流源),10f(第3電流源)を備えており、タイミング発生回路10bは、第1及び2ピーキング電流発生回路10e,10fから第1及び2ピーキング電流がLED11に供給されるように、トランジスタ10cに駆動信号T2,T3を与える。この場合、駆動電流の立ち上がりが急峻となり、駆動電流に伴うLED発光出力のなまりを補正することができる。また、ピーキング電流が1つの場合には、メイン電流にピーキング電流を加えると、光出力の凹みが生じる傾向にあるが、2つ以上のピーキング電流をメイン電流に対応させて加えると、凹みを著しく低減することができ、これによって、安定した光通信を行うことができる。
【選択図】 図1


Description

本発明は、LED(発光ダイオード)駆動回路に関する。
POF(プラスチック光ファイバ)を用いた通信において、高速で広いダイナミックレンジをもつデバイスが必要とされている。
このような用途に用いるLED駆動回路が要望されている。従来のLED駆動回路は、例えば、下記特許文献1に記載されている。特許文献1ではピーキング電流発生回路を用いることで応答性を改善している。
特開2000−228543号公報
しかしながら、LED駆動回路は、光出力波形が方形波から歪み、受信素子側でジッタが生じることがあり、その特性は不十分である。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、特性を改善可能なLED駆動回路を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、第1の発明に係るLED駆動回路は、LED駆動回路において、LEDに接続された第1電流源と、LEDに接続された第2電流源と、LEDに接続された第3電流源と、第1、第2及び第3電流源とLEDとの間をそれぞれ流れるメイン電流、第1ピーキング電流及び第2ピーキング電流をそれぞれ制御する第1、第2及び第3トランジスタと、第1及び第2ピーキング電流の波形がメイン電流の波形の内側に位置するよう、第1、第2及び第3トランジスタの制御端子にそれぞれ与えられる第1、第2及び第3駆動信号を発生するタイミング発生回路とを備えることを特徴とする。
なお、内側とは実質的な内側を意味し、第1及び第2ピーキング電流の波形の時間方向の中心を与える時刻が、メイン電流の立ち上がりタイミングよりも遅れており、立ち下がりタイミングよりも進んでいればよい。
ピーキング電流が1つの場合には、メイン電流にピーキング電流を加えると、凹みが生じる傾向にあるが、2つ以上のピーキング電流をメイン電流に対応させて加えると、凹みを著しく低減することができ、これによって、安定した光通信を行うことができる。
第2の発明に係るLED駆動回路では、タイミング発生回路は、第1及び第2ピーキング電流の波形は時系列に連続するよう、第2及び第3駆動信号を発生することを特徴とする。上述の効果は、第1及び第2ピーキング電流の波形が時系列に連続していればより顕著に得ることができる。
第3の発明に係るLED駆動回路では、タイミング発生回路は、単一の差動信号の入力に同期して前記第1、第2及び第3駆動信号を発生することを特徴とする。これらの駆動信号を単一の差動信号に同期して発生させると、ノイズ耐性が向上すると共に各駆動信号間の時間差の目標値からのずれを抑制することができる。
第4の発明に係るLED駆動回路では、タイミング発生回路は、第1ピーキング電流の波高値が、第2ピーキング電流の波高値よりも高くなるように第2及び第3駆動信号を発生することを特徴とする。この場合、光出力の低下と歪を波形に併せて補正することができる。
本発明のLED駆動回路によれば、特性を改善することができる。
図1は、実施の形態に係るLED駆動回路の回路図である。
このLED駆動回路10は、差動信号(Q,Qバー)がLVDS(Low Voltage Differential Signaling)ドライバから入力されるLVDS受信用比較器10aを有している。比較器10aの前段には、適当なLVDSレシーバ(図示せず)を設けることとしてもよく、与えられたLVDS入力信号は、LVDSレシーバにて波形整形が行われる。LVDSレシーバの前段には、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)保護素子を設けることが好ましい。LVDS受信用比較器10aは、後段のタイミング発生回路10bの入力端子に接続された出力端子と、差動信号が入力される2つの入力端子とを備えている。
LVDSレシーバで波形整形された信号は、比較器10aにてLED11を発光及び非発光させるためのON、OFF信号(パルス信号)を生成する。このパルス信号は、電流駆動回路及びピーキング電流駆動回路にて、LED発光時の定常電流(メイン電流)及びLEDを高速動作させるための立ち上がりピーキング電流(オーバーシュート)と、立ち下がりアンダーシュート電流のタイミングを決定している。
LVDSでは、数百〜数千Mbpsの速度で、単一チャネルでの差動信号データ伝送が可能であり、電流モード・駆動回路で小振幅信号を出力するため、リンギングやスイッチング・スパイクが発生しにくく、広い周波数帯域にわたって低消費電力で低ノイズの信号伝送を行うことができる。LVDS受信用比較器10aに差動信号が入力され、LVDS受信用比較器10aの出力端子から出力される信号によって、タイミング発生回路10bでLED駆動用のタイミングが生成される。LVDSは、最終的なLEDの発光出力に影響を与え、かかる方式を採用することにより、発光出力のリンギングやスイッチング・スパイクを抑制することができる。
このLED駆動回路10は、LED11に接続されたメイン電流発生回路(第1電流源)10dと、メイン電流発生回路10dとLED11との間を流れる駆動電流(主として定常順電流)を制御するトランジスタ10c(同図では複数のトランジスタを1つのブロックで示す:MOSトランジスタのほか、バイポーラトランジスタを用いることができる)を備えている。
タイミング発生回路10bが発生する駆動信号T1は、トランジスタ10cの制御端子に与えられる。タイミング発生回路10bからトランジスタ10cの制御端子に駆動信号T1を与えると、メイン電流発生回路10dとLED11との間の駆動電流を制御することができる。駆動電流は、電源電位VccからLED11、トランジスタ10c、メイン電流発生回路10dを流れてグランド電位に至り、この駆動電流によってLED11は発光する。
LED11には、一定レベルのバイアス電流も流れている。バイアス電流は、電源電位Vccから、LED11、バイアス電流発生回路10hを介してグランド電位に至る。バイアス電流は、LED11を高速動作させるため、LED11の非発光時にも与えておく。
駆動電流には幾つかの補正用の電流が重畳されている。
すなわち、LED駆動回路10は、LED11に接続された第1ピーキング電流発生回路10e(第2電流源)を備えており、タイミング発生回路10bは、第1ピーキング電流発生回路10eから第1ピーキング電流がLED11に供給されるように、トランジスタ10cに駆動信号T2を与え、第1ピーキング電流発生回路10eを駆動する。この場合、LED11へのメイン電流発生回路からの駆動電流に、タイミング発生回路10bによって制御される第1ピーキング電流発生回路10eからの第1ピーキング電流が重畳されるので、駆動電流の立ち上がりが急峻となり、駆動電流に伴うLED発光出力のなまりを補正することができる。
更に、LED駆動回路10は、LED11に接続された第2ピーキング電流発生回路10f(第3電流源)を備えており、タイミング発生回路10bは、第2ピーキング電流発生回路10fから第2ピーキング電流がLED11に供給されるように、トランジスタ10cに駆動信号T3を与え、第2ピーキング電流発生回路10fを駆動する。この場合、LED11へのメイン電流発生回路10dからの駆動電流に、タイミング発生回路10bによって制御される第2ピーキング電流発生回路10fからの第2ピーキング電流も重畳されるので、第1ピーキング電流で急峻に立ち上がった駆動電流が定常レベルへ立ち下がるが、意図して波形補正をかけようとする電流波形に対して第1ピーキング電流のみでは補正が足りず、駆動電流に伴うLED発光出力が凹むことを更に補正することができる。
第1ピーキング電流を得るための駆動信号T2は、駆動信号T1の立ち上がりタイミングに同期して立ち上がり、駆動信号T1よりも短いパルス幅を有する。第2ピーキング電流を得るための駆動信号T3は、駆動信号T1の立ち上がりタイミングから遅延して立ち上がり、駆動信号T1よりも短いパルス幅を有する。なお、駆動信号T2のパルスと駆動信号T3のパルスは時間的に重ならないように設定されることが好ましい。すなわち、駆動信号T2の立ち下がりタイミング以後に、駆動信号T3の立ち上がりタイミングが設定されることが好ましい。
更に、LED駆動回路10は、LED11に接続されたアンダーシュート電流発生回路10g(第4電流源)を備えており、タイミング発生回路10bは、アンダーシュート電流発生回路10gからアンダーシュート電流がLED11に供給されるように、トランジスタ10cに駆動信号T4を与え、アンダーシュート電流発生回路10gを駆動する。この場合、LED11へのメイン電流発生回路10dからの駆動電流に、タイミング発生回路10bによって制御されるアンダーシュート電流発生回路10gからのアンダーシュート電流も重畳されるので、駆動電流の立ち下がりが急峻となり、駆動電流に伴うLED発光出力のなまりを更に補正することができる。
アンダーシュート電流を得るための駆動信号T4は、駆動信号T1の立ち下がりタイミングにほぼ同期して、互いの駆動信号T1,T4による駆動電流が逆方向となるように立ち上がり、駆動信号T1の立ち下がりタイミングよりも後のタイミングにおいて、互いの駆動信号T1,T4による駆動電流が逆方向となるように、立ち下がる。
また、タイミング発生回路10bは、単一の差動信号の入力に同期して第1、第2及び第3駆動信号T1,T2,T3を発生している。これらの駆動信号を単一の差動信号に同期して発生させると、ノイズ耐性が向上すると共に各駆動信号間の時間差の目標値からのずれを抑制することができる。
各電流発生回路はカレントミラー回路を構成しているが、その一方のラインには、温度補償電流発生回路10iから、温度補償電流が供給される。
すなわち、温度補償電流発生回路10iは、メイン電流発生回路10dに温度補償電流IT1を与えている。これにより駆動電流に基づく発光出力の温度変動が補償される。すなわち、温度上昇に伴って駆動電流及び発光出力が低下するのを、温度補償電流IT1の駆動電流への重畳によって補償する。
温度補償電流発生回路10iは、第1ピーキング電流発生回路10eに温度補償電流IT2を与え、第2ピーキング電流発生回路10fに温度補償電流IT3を与え、バイアス電流発生回路10hにメイン電流発生回路10dと共通に温度補償電流IT1を与えている。これにより、第1及び第2ピーキング電流、バイアス電流に基づく発光出力の温度変動分も補償される。すなわち、温度上昇に伴って、これらの電流が変動するのを、各温度補償電流の第1ピーキング電流、第2ピーキング電流及びバイアス電流への重畳によって補償する。
温度補償電流発生回路10iは、LEDの光パワーの制御を行っている。温度補償電流発生回路10iは、BGR(バンドギャップリファレンス)回路で得られる熱電圧を利用した温度検出を行う。それは、仕様である温度範囲の全温度に対して、何分割かした温度範囲を設定し、素子の温度状態を判定する。本例では、2分割を例に説明するが、これは3以上の分割としてもよい。
トーン検出回路10jでは、LVDS信号(Q,Qバー)が無入力時(両方零入力)を検出すると、各回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路10kを停止させて、低消費電力モードを実現する。スリープ回路10mは、CMOSレベルの電気的信号入力を受信し、トーン検出回路10j、温度補償電流発生回路10i、バイアス回路10kの動作を停止させ、ほぼ消費電流零の状態を実現する。なお、本駆動回路10は、LVDS入力信号のDCレベルを決定させることのできるDCレベル決定回路も内蔵してもよい。
図2は、一例としてのLVDSドライバの回路図である。
家庭のデジタル・ビデオデッキに接続されるLAN(Local Area Network)、電話回線、および衛星回線を介して、カメラからPCやプリンタにビデオ映像や3−Dグラフィックスや画像データを伝送する技術にLVDSがある。LVDSは、1本の平衡ケーブルか、PCB(プリント回路基板)で形成した2本の配線パターンを通じて、超小振幅の差動信号でデータ通信を行う方式の1つであり、この差動データ伝送方式は同相ノイズの影響を受けにくいという特性を有する。LVDSでは、数百〜数千Mbpsの速度で、単一チャネルでのデータ伝送が可能あり、電流モード・駆動回路で小振幅信号を出力するため、リンギングやスイッチング・スパイクが発生しにくく、広い周波数帯域にわたって低消費電力で低ノイズの信号伝送を行うことができる。
同図では代表的なLVDSドライバを図示しており、電流源から分岐した2つのラインの右上及び左下に位置するトランジスタをONにすると、矢印の方向に沿って電流が流れ、LVDSレシーバの入力側負荷に電流が流れる。また、左上及び右下に位置するトランジスタをONにすると、入力側負荷には逆方向に電流が流れる。これらのトランジスタのスイッチングにより、0及び1の論理反転を行うことができる。
図3は、タイミング発生回路10bの回路図である。
LVDS入力信号が、本駆動ICの前段にあるPHY(物理層)チップから与えられる。このLVDS入力信号は、差動形式であり本規格では、DC1.8V中心の振幅がVpp(ピーク〜ピーク)で±200mV〜±800mVである。LVDS差動入力信号を、比較器10aによって、単一信号に変換して、駆動信号の基準となるパルスを生成する。
比較器10aの後段には、3つのNOT回路が連続して前段増幅器10b1を構成し、その出力は電源電位Vccと共にNAND回路10b2に入力され、NAND回路10b2の後段には、連続した5段のNOT回路からなる後段増幅器10b3が設けられている。
前段増幅器10b1の出力は、調整回路10b7に入力され、調整回路10b7の出力と前段増幅器10b1の出力は、NAND回路10b8に入力され、NAND回路10b8の出力は、後段増幅器10b4に入力される。
調整回路10b7の最終出力反転前の信号は、調整回路10b9に入力され、調整回路10b9の初期反転後の出力は、調整回路10b9の出力と共にNAND回路10b10に入力され、NAND回路10b10の出力は、後段増幅器10b5に入力される。
前段増幅器10b1の出力は、調整回路10b11に入力され、調整回路10b11の出力と共にNOR回路10b12に入力され、NOR回路10b12の出力は、後段増幅器10b6に入力される。
上述の5段のNOT回路10b3,10b4,10b5,10b6は、理想波形を得るための信号増幅を行っており、その出力は駆動信号T1,T2,T3,T4をそれぞれ構成する。なお、アンダーシュート電流の駆動信号T4は、p−MOSトランジスタの制御端子(ゲート)に入力され、駆動信号T4が「Lレベル」の場合に、アンダーシュート電流は供給される。本例では、駆動信号T4がゲートに入力されるトランジスタは、p−MOSトランジスタとし、駆動信号T1,T2、T3がゲートに入力されるトランジスタは、n−MOSトランジスタとする。
図4は、各種駆動信号のタイミングチャートである。
駆動信号(タイミングパルス)T1、T2、T3、T4が、時系列に発生する様子が示されている。駆動信号T2のパルスと、駆動信号T3のパルスとは、時系列に連続的に発生しており、また重ならないように構成してある。これらが重ならないように構成させているという点は、通信の安定性を確保するという観点からは、特に厳密性が要求されるものではなく、多少の重なりがあってもよい。なお、アンダーシュート電流を与える駆動信号T4の逆方向立ち上がりタイミングは、駆動信号T1の立ち下がりタイミングの近傍に位置している。駆動信号の大きさは、駆動電流の大きさに比例する。
図5は、タイミング発生回路における各種電圧のタイミングチャートである。
上述の調整回路の機能について説明する。基準となる電圧波形Vp1が前段増幅器10b1から出力される。調整回路では、インバータ、NOTゲート遅延と容量を利用して、電圧波形Vp1から遅らせた電圧波形Vp2を生成する。電圧波形Vp3は、電圧波形Vp2を反転させた波形である。電圧波形Vp4を得るには、電圧波形Vp1と電圧波形Vp3の波形のNANDを取ってさらに反転させればよい。
このように、電圧波形Vp1の基本パルスからワンショットパルスの電圧波形Vp4を形成するためには、基本パルスを遅延させ、反転させて、元の基本パルスとのNAND(やNOR)等の論理回路により生成する。これを基本方式とする。
この所望するパルスを実現させる組み合わせは何通りもある。パルスを遅延させる方法としては、ゲート遅延と容量の組み合わせの他、ゲートの段数や容量を調整する方法が挙げられ、カウンタを用いることもできる。
本例では、上述した基本方式から、駆動信号T2、T3、T4を生成している。駆動信号T2の生成に必要な所定の遅延量Δt1は、ゲート遅延を利用して作成される。ゲート遅延は、NOT回路などの反転出力を出す論理回路で実現される。反転動作は、入力反転だけでなく波形遅延に利用できるということである。ゲート遅延と容量の適当な組み合わせにより、場合によっては容量を使用することなく、所望の遅延量Δt1を生み出し、駆動信号T2の遅延波形Vp2を生成することができる。
駆動信号T1から、調整回路10b7におけるNOT回路及びキャパシタを介することで、Δt1の遅延波形を形成し、基の波形とのNANDをとることで、駆動信号T2を生成できる。図3においては、符号1,2,3で囲まれた部分で、Δt1、Δt2、Δt3の遅延を行うことができる。すなわち、駆動信号T3のタイミングパルスは、Δt1の遅延量が与えられたパルスと、Δt1の遅延量が与えられたパルスにΔt2の遅延量をさらに与えたパルスとを、NAND回路10b10にてデジタル処理することで得ている。駆動信号T4のタイミングパルスは、遅延量が何ら与えられていない基準パルスと、遅延量が何ら与えられていない基準パルスにΔt3の遅延量を与えたパルスとを、NORにてデジタル処理して得ている。
図6は、電流発生回路の回路図である。
LED11のカソードに接続されているスイッチング用のトランジスタTR1、TR2,TR3、TR4の制御端子(ゲート)には、駆動信号T1、T2、T3、T4が入力される。駆動信号は、Vccからグランド電位まで振れるような大振幅のデジタル信号であるのを理想とする。
LED11のカソード側とグランド電位との間には、メイン電流発生回路10d、第1ピーキング電流発生回路10e、第2ピーキング電流発生回路10f、バイアス電流発生回路10hが設けられている。
メイン電流発生回路10dは、一対のトランジスタ10d1,10d2からなるカレントミラー回路を備え、その出力側(ミラー側)ライン上にスイッチング用のトランジスタ(本例ではMOS型)TR1(10c)を備えている。このカレントミラー回路の入力側(リファレンス側)ライン上には電流源Iref1から電流が供給されると共に、温度補償電流IT1が供給される。
カレントミラー回路では、入力側ラインと出力側ラインに比例関係のある電流が流れる。すなわち、基準電流に温度補償電流IT1が加算された電流が、トランジスタ10d2に流れ、トランジスタTR1の駆動信号T1による駆動によって、温度補償された駆動電流がLED11に流れることとなる。
第1ピーキング電流発生回路10eは、一対のトランジスタ10e1,10e2からなるカレントミラー回路を備え、その出力側ライン上にスイッチング用のトランジスタ(本例ではMOS型)TR2(10c)を備えている。このカレントミラー回路の入力側ライン上には電流源Iref2から電流が供給されると共に、温度補償電流IT2が供給される。
すなわち、基準電流に温度補償電流IT2が加算された電流が、トランジスタ10e2に流れ、トランジスタTR2の駆動信号T2による駆動によって、温度補償された第1ピーキング電流がLED11に流れることとなる。
第2ピーキング電流発生回路10fは、一対のトランジスタ10f1,10f2からなるカレントミラー回路を備え、その出力側ライン上にスイッチング用のトランジスタ(本例ではMOS型)TR3(10c)を備えている。このカレントミラー回路の入力側ライン上には電流源Iref3から電流が供給されると共に、温度補償電流IT3が供給される。
すなわち、基準電流に温度補償電流IT3が加算された電流が、トランジスタ10f2に流れ、トランジスタTR3の駆動信号T3による駆動によって、温度補償された第2ピーキング電流がLED11に流れることとなる。
バイアス電流発生回路10hは、トランジスタTRB(10c)を備えており、メインのトランジスタ10d2とゲートを共通にし、トランジスタ10d1と共にカレントミラーを構成する。バイアス電流発生回路10hは、LED11の応答性を上げるため、バイアス電流Ibiasを供給する。バイアス電流発生回路10hは、カレントミラー回路を構成しているので、温度補償電流IT1が供給され、温度補償されたバイアス電流がトランジスタTRBを流れる。
なお、アンダーシュート電流発生回路10gは、電源電位VccとLED11のカソードとを接続するトランジスタTR4及び抵抗Rからなり、このトランジスタTR4の制御端子に駆動信号T4が与えられる。トランジスタTR4の駆動によって、LED11にアンダーシュート電流が供給される。
本例では、メイン電流、ピーキング電流に関しては、カレントミラー回路の入力側のトランジスタを流れる電流を供給する電流源Iref1,Iref2、Iref3を設定しておき、これを出力側(ミラー側)で電流増幅し、ミラー増倍された電流をトランジスタTR1,TR2,TR3でON、OFFさせている。なお、アンダーシュート電流発生回路10gにおいても、ピーキング電流発生回路と同様の制御を行ってもよい。
電流源Iref1、Iref2、Iref3側のライン上には、温度補償電流IT1,IT2、IT3が流れ込み、カレントミラー回路の入力側ライン上には、BGR電圧と温度特性が調整された抵抗を利用して、温度と電源電圧の変動による影響を受けにくいような定電流供給が行われている。
このように、第1、第2及び第3トランジスタTR1,TR2,TR3は、メイン電流発生回路10d、第1ピーキング電流発生回路10e及び第2ピーキング電流発生回路10fとLED11との間をそれぞれ流れるメイン電流、第1ピーキング電流及び第2ピーキング電流をそれぞれ制御する。タイミング発生回路10bは、第1及び第2ピーキング電流の波形がメイン電流の波形の内側に位置するよう、第1、第2及び第3トランジスタTR1,TR2,TR3の制御端子にそれぞれ与えられる第1、第2及び第3駆動信号T1,T2,T3を発生している(図4、図7参照)。なお、内側とは実質的な内側を意味し、第1及び第2ピーキング電流の波形の時間方向の中心を与える時刻が、メイン電流の立ち上がりタイミングよりも遅れており、立ち下がりタイミングよりも進んでいればよい。ピーキング電流が1つの場合には、メイン電流にピーキング電流を加えると、凹みが生じる傾向にあるが、2つ以上のピーキング電流をメイン電流に対応させて加えると、凹みを著しく低減することができ、これによって、安定した光通信を行うことができる。
図7は、駆動電流のタイミングチャートである。
LED11に供給されるトータルLED電流は、(a)のように示される。また、駆動信号T1に対応してLED11に供給されるメイン電流は(b)のように方形波であり、これだけを駆動電流とすると、発光出力波形は、なまることになる。駆動信号T2に対応してLED11に供給される第1ピーキング電流(c)は、メイン電流の立ち上がり時刻付近に存在するワンショットパルスとなる。
駆動信号T3に対応してLEDに供給される第2ピーキング電流(d)は、第1ピーキング電流よりも遅延しており、同図中ではパルス幅は広い。駆動信号T4に対応してLED11に供給されるアンダーシュート電流(e)は、電流の向きが他とは逆であるが、第2ピーキング電流よりも更に遅延し、メイン電流の立ち下がり付近で立ち下がる。なお、駆動電流の大きさは駆動信号の大きさに比例する。また、第1ピーキング電流の波高値は、第2ピーキング電流の波高値よりも高く、光出力の歪と低下を波形に併せて補正することができる。
LED11の発光の有無に拘らずLED11に供給されるバイアス電流(f)は、LEDの消光比に基づき決定されるが、この値は、適宜設計調整することができる。
このように、タイミング発生回路10bは、第1及び第2ピーキング電流の波形が時系列に連続するよう、第2及び第3駆動信号T2,T3を発生している。上述の効果は、第1及び第2ピーキング電流の波形が時系列に連続していればより顕著に得ることができる。
タイミング発生回路10bは、第1ピーキング電流の波高値(c)が、第2ピーキング電流の波高値(d)よりも高くなるように第2及び第3駆動信号を発生しており、光出力の低下と歪を波形に併せて補正することができる。
図8は、LEDから出力される光強度の波形を示すグラフである。
(a)はメイン電流のみを与えた場合に得られる光波形、(b)はメイン電流及び第1ピーキング電流を与えたときに得られる光波形、(c)はトータルLED電流をLEDに与えたときに得られる光波形を示す。
LEDの特性には、ばらつきがある。特に、LEDの応答性を早くするためピーキングをかけて使用すると、(b)に示されているような光波形の凹みが生じる。
なお、第2ピーキング電流をLED11に与えず、第1ピーキング電流のみをLEDに与えた場合、メイン電流と第1ピーキング電流を重畳させた駆動電流では、その凹みを抑えることができず、また、光出力の調整が容易とならない。従って、(c)のように、第2ピーキング電流を、第1ピーキング電流に更に重畳させることで、凹みを抑制することができるという効果を奏する。
図9は、LEDのV−I特性を示すグラフである。横軸は電圧Vf、縦軸は電流Ifである。
バイアス電流(Ibias)をLED11に供給するのは、スイッチング動作の高速性を確実にするためである。同図に示されているように、LED11の発光時の電圧Vf2を得るため、これを電圧基準値(例えば0V)から変化させるのではなく、LED11に所定の電圧Vf1を予め与えておき、電圧Vf1に、駆動信号(二値の光送信信号)に対応する駆動信号電流をLED11に与えれば、通信に必要な光出力を極短時間に得ることができ、高速なスイッチングを実現することができる。
図10は、温度補償電流発生回路の回路図である。
温度補償電流発生回路10iは、温度検出回路10iと、温度検出回路10iの出力が入力される第1比較器10iと、第1比較器10iの出力切り替わり時から温度補償電流を徐々に増加させる第1電流増加回路10iとを備えている。温度補償電流発生回路10iの比較器10i,10iの部分は、温度検出回路10iで検出された温度情報を基に予め設定した電流値を、各電流発生回路へ供給するAD変換を行う。
温度検出回路10iは、BGR回路からなり、アンプAの2つの入力端子にそれぞれ接続されたダイオードD1,D2を備える。アンプAの一方の入力端子は出力端子に抵抗R1を介して接続されており、出力端子と一方のダイオードD2とを接続するR2,R3の接続電位は、検出温度電圧(熱電圧)Vtとして後段のアンプ10iに入力される。また、ダイオードD2とアンプAの入力端子との間には抵抗R4が介在する。
アンプAの出力端子とグランド電位との間には、抵抗R5,R6,R7,R8が介在しており、抵抗R5,R6の接続電位が基準電位Vaとなり、抵抗R7と抵抗R8の接続電位が基準電位Vbとなる。なお、抵抗R6と抵抗R7の接続電位は抵抗R9を介してアンプ10iの他方の入力端子に入力され、この入力端子とアンプ10iの出力端子との間には抵抗R10が介在している。
温度検出回路10iの出力(検出温度電圧Vt)が第1比較器(本例ではヒステリシスコンパレータ)10iに入力されると、設定温度において第1比較器10iの出力は切り替わる。検出温度電圧Vtは、温度に比例している。第1比較器10iには、アンプ10iによってk倍にされた検出温度電圧(=k×Vt)が入力される。第1比較器10iには、検出温度電圧と共に、温度検出回路10iから作られた基準電位Vaが入力される。検出温度電圧k×Vtが、基準電位Vaを超えると、第1比較器10iの出力電圧Vcは、入力電圧のスムージングを行う第1緩慢制御部10i41に入力される。
第1電流増加回路10iは、第1緩慢制御部10i41と後段の第1供給回路10i43からなり、第1比較器10iの出力切り替わり時から、すなわち、基準電位Vaを超える設定温度になると、温度補償電流IT1(ΔI1)を徐々に増加させ、発光出力の低下を抑制する。ここで、温度補償電流IT1はキャパシタの充電/放電機能等を利用して徐々に増加させることで、すなわち、LED11の光が入射する光検出素子の応答可能なパルス幅よりも長時間をかけて温度補償電流IT1を増加させることで、パルス幅歪やジッタを抑制する。また、温度が下がることによって、駆動電流及び発光出力が過大になるのを、温度補償電流を徐々に減少させることでパルス幅歪みやジッタを抑制することができる。
第1電流増加回路10iは、第1比較器10iの出力切り替わり時から電圧変化する第1キャパシタC1と、第1キャパシタC1の電圧Veが制御端子に入力され温度補償電流IT1の少なくとも一部分を与える第1電流制御用トランジスタTRI1とを備えている。
第1比較器10iの出力VcをトランジスタTRVeの制御端子に与えることで、電流源xIから第1キャパシタC1に電荷を蓄積し、或いは、第1キャパシタC1に蓄積された電荷を電流源Iを介して放電することで、トランジスタTRI1が動作するように電圧Veを設定する。トランジスタとしては、このp型のMOSトランジスタを用いることができる。
比較器10iの出力電圧Vcは、間接的にキャパシタC1に与えられているが、これは、電圧Veが徐々に増加するのであれば、直接的に与えられることとしてもよい。すなわち、出力電圧VcをキャパシタC1に直接的に与え、後段側に適当な回路を配置することで、トランジスタTRI1の制御端子への入力電圧Veを生成し、トランジスタTRI1を流れる電流ΔI1を発生させることもできる。
温度補償電流発生回路10iは、温度検出回路10iの出力が入力される第2比較器(本例ではヒステリシスコンパレータ)10iと、第2比較器10i出力切り替わり時から温度補償電流IT1(ΔI2)を徐々に増加させる第2電流増加回路10iとを備えている。
温度検出回路10iの出力(検出温度電圧Vt)が第2比較器10iに入力されると、設定温度において第2比較器10iの出力は切り替わる。第2比較器10iには、アンプ10iによってk倍にされた検出温度電圧(=k×Vt)が入力される。第2比較器10iには、検出温度電圧と共に、温度検出回路10iから作られた基準電位Vbが入力される。検出温度電圧k×Vtが、基準電位Vbを超えると、第2比較器10iの出力電圧Vdは、入力電圧のスムージングを行う第1緩慢制御部10i42に入力される。
第2電流増加回路10iは、第2比較器10iの出力切り替わり時から電圧変化する第2キャパシタC2と、第1キャパシタC2の電圧Vfが制御端子に入力され温度補償電流IT1の少なくとも一部分を与える第2電流制御用トランジスタTRI2とを備えている。
第2比較器10iの出力VdをトランジスタTRVfの制御端子に与えることで、電流源xIから第2キャパシタC2に電荷を蓄積し、或いは、第1キャパシタC2に蓄積された電荷を電流源Iを介して放電することで、トランジスタTRI2が動作するように電圧Vfを設定する。
比較器10iの出力電圧Vdは、間接的にキャパシタC2に与えられているが、これは、電圧Vfが徐々に増加するのであれば、直接的に与えられることとしてもよい。すなわち、出力電圧VdをキャパシタC2に直接的に与え、後段側に適当な回路を配置することで、トランジスタTRI2の制御端子への入力電圧Vfを生成し、トランジスタTRI2を流れる電流ΔI2を発生させることもできる。
第1電流増加回路10i及び第2電流増加回路10iの出力電流ΔI1、ΔI2は、重畳されて温度補償電流IT1を構成している。なお、温度補償電流IT1は他の成分を含んでいても良い。また、第1比較器10i及び第2比較器10iの基準電位Va,Vbは、異なる設定温度に対応させて設定されており、温度補償電流IT1の制御目標値を2段階にすることができる。なお、比較器の数を増加させれば、温度補償電流の制御目標値に更に多くの段階を設定することができる。
なお、温度補償電流IT2,IT3は、それぞれ、電流ΔI3+ΔI4、電流ΔI5+ΔI6からなる。
電流ΔI3は、トランジスタTRI3の制御端子に電圧Veを入力し、トランジスタTRI3をONすることにより生成できる。
電流ΔI4は、トランジスタTRI4の制御端子に電圧Vfを入力し、トランジスタTRI4をONすることにより生成できる。
電流ΔI5は、トランジスタTRI5の制御端子に電圧Veを入力し、トランジスタTRI5をONすることにより生成できる。
電流ΔI6は、トランジスタTRI6の制御端子に電圧Vfを入力し、トランジスタTRI6をONすることにより生成できる。
電圧Ve、Vfの生成手法は上述の通りである。
温度補償切り替えに対応してどの程度の電流補償を行うかは、ΔI1、ΔI2(ΔI3、ΔI4、ΔI5、ΔI6)の大きさによって決定される。これらの値は、固定値であるが、マスクを再設計することで、容易に調整が可能となる。本例では、LEDの特性にばらつきがあることに鑑みて、LEDの特性に応じて調整が適宜なしえる回路構成を採用している。
上述の構成によれば、LED光出力の温度補償のための切り替え温度(検出温度電圧Vtが基準電位Va,Vb等しくなる温度)と各温度範囲(切り替え温度で区切られる温度範囲)でのLEDの駆動電流の制御を分別しており、特性の異なるLEDに対応するためのマスク改定による調整を容易とすることができ、回路構成の単純化及び最小化ができるため、温度補償切り替えにはデジタル化を採用している。また、LEDの駆動電流が、図示しない判定回路によって増減変化する際の受信素子とのビットエラー(通信エラー)を無くすために、緩慢にLED電流の増減を操作している。
なお、電流源xIは、電流源Iのx倍の電流を発生する。定電流源Iに並列に接続されたキャパシタC1,C2は電流量に応じて電荷の蓄積放電が行える。例えば、キャパシタC1の定電流源はx=2倍とする。2倍の定電流を流しておき、トランジスタTRveが閉じれば(ON)、1倍は定電流源Iへ、残りの1倍は、キャパシタC1に蓄積される。そして、トランジスタTRveが開けば(OFF)、キャパシタC1に蓄積された電荷は、1倍の定電流Iが吸い取り、この電荷の蓄積、放電を繰り返すことで、充放電の時間分だけVeの電圧は時間軸に対して傾きを持った電圧変化をさせることができる。キャパシタC2及び電圧Vfの変化も、これと同様である。なお、電圧の傾斜の周波数は、受信素子の最小応答周波数以下、すなわち、かかる周波数成分では受信素子が応答できない程度にする。電圧Ve、Vfの電圧の傾き調整は、キャパシタの容量や定電流源の調整によって行うことができる。
なお、電圧Ve、Vfは、バイアス電流、メイン電流、ピーキング電流を決めるスイッチMOSトランジスタTRI1〜TRI6の同時ゲート入力となるが、このスイッチMOSトランジスタサイズによっても受信素子の応答周波数以下の調整は影響を受ける。
図11は、温度(℃)とLEDのファイバ結合出力(dBm)との関係を示すグラフである。
出力範囲REGIONは、光通信をエラーが生じないように行うために、必要なファイバ結合光出力の範囲(仕様である規格範囲から求められたIC設計に要求される温度変化に対するファイバ結合光出力範囲)を示している。
データL1は、上述の温度補償しない場合のファイバ結合光出力特性を示している。点線矢印は、所定温度の際にLED電流の切り替えを行うことで、ファイバ結合光出力が上昇することを示している。データL2〜L5は、点線矢印に示されている温度補償された後の光ファイバ結合光出力温度特性を示している。
データL1に示されているように、LEDは所定の温度特性を有する。光通信に用いる際においては、通信が切断されないような範囲でファイバ結合光出力を保つ必要があるため、点線矢印に示されているように、ファイバ結合光出力に温度補償をかける。
LED光出力の温度補償は、温度検出、AD変換、緩慢操作を経て、LED電流出力段回路の電流源選択部に与えられている。上述の多段階の比較器出力の切り替えは、温度上昇に伴って発光出力が増加するように、すなわち、結合光出力が同図に示すL2〜L5となるように行われる。許容できる出力範囲REGIONが狭くなる場合には、これに応じてスライスレベルVa,Vb・・・及びこれらが入力される比較器の数を増加すればよい。例えば、車載用の光リンクに用いる場合には、外部環境の温度が−40℃〜+105℃程度の範囲で変動するので、これに対応するようにスライスレベルの数、同様に比較器の数を構成させる。
図12は、時間(μs)と信号印加時の駆動電流(mA)との関係を示すグラフである。
同図は、温度によるLED電流切り替えの際に、メイン電流発生回路から発生する電流をモニター(シミュレーション)したものである。グラフ左端から右端にかけて、LEDのメイン電流(駆動電流)が緩慢に上昇していることが認められる。意図的にこのような動作をさせることで、受信側のパルス幅歪やジッタの発生をおさえることができ、通信エラーを有効に防止することができる。
具体的には、ここでは光通信に用いられる受信側最小応答パルス幅は、実力値で2μsを想定し、緩慢に上昇させている時間は10μs程度としている。なお、ピーキング電流発生回路及びバイアス回路も、メイン電流発生回路と同様の温度制御をしている。本実施例では、LED電流切り替え開始(k×VtがVaを超えた時刻)から所定のLED電流増減完了までの時間を、例えば受信素子の最小応答周波数100kHzより算出し、10μsに設定した。
図13は、温度(℃)とDCレベルの駆動電流(mA)との関係を示すグラフである。
温度変化に対して、LEDの光出力を補償するために、LED駆動電流が階段状に変化している状態を示している。このような変化の場合、上述の受信側のパルス幅歪みやジッタの発生等の特性劣化の問題が生じるため、望ましくない。
図14は、アイパターンを示す波形図である。
受信側では仕様で決められている出力波形のアイパターンを規格内にいれるため、又は、受信素子の規格のパルス幅歪及びジッタを低減させるため、LEDファイバ結合光出力の変化が受信素子の最小応答以下となるようにする。例えば、急にLEDファイバ結合光出力が増加すると、これが受信素子の応答範囲内であれば、アイパターンの縦軸方向の振幅もそれに合わせて増加する。これは、振幅の急な変化がある場合、受信側のパルス幅歪及びジッタとなって発生するが、上述の構成ではかかる現象を極力抑えることができる。なお、波形図の横軸は1ns、縦軸は500mVを一目盛りとする。
図15は、温度補償電流発生回路の部分回路図である。
LED駆動電流の切り替えを行うトランジスタ(MOSトランジスタ)TRveに対し、キャパシタC1に蓄積された電荷の放電に費やす時間を与えることで、緩慢に駆動電流を増加させている。通常、トランジスタTRveは閉じており、電流X1が図示の如く流れ、電位Veは「Hレベル」の状態となっている。切り替え信号としての比較器出力VcがトランジスタTRveのゲートに与えられると、これはOFFして、キャパシタC1の電荷が放電され、「Lレベル」となる。この場合、後段のトランジスタはLレベルでONとなるように設定することができる。
図16は、キャパシタの放電に伴う電圧の時間的変化を示すグラフである。
キャパシタC1の放電を開始すると、電位Veは時間の経過と共に徐々に低下する。キャパシタC1の容量を調整することで、緩慢な電圧変化をさらに調整することが可能である。また、トランジスタTRveの種類により、抵抗の大きさを変えて電流量を調整することにより、緩慢な電圧変化をさせることも可能である。なお、ここでは一例として、トランジスタTRveとキャパシタC1について示すが、これはトランジスタTRvfとキャパシタC2についても同様である。なお、電流源xIの一例は複数のトランジスタを図のように接続しているが、これは種々の構成を採用することが可能である。
以上、説明したように、上述のLED駆動回路においては、温度変化に比例して生じる電圧値を用いて、一つ(または複数)の比較器から構成されるA/D変換器を通じて温度に応じたデジタル出力を発生させ、これに基づいて、LED駆動電流量を選択しており、温度変化に基づいて、LED駆動電流量を変化させる際の条件を送受信ペアの光通信として考え、受信素子が応答するパルス幅よりも長い時間にゆっくりと変化させることで、受信側のパルス幅歪やジッタを低減することができる。
なお、パルス幅・ジッタは各規格によって、それぞれ定めるところの要求を満たす必要があり、本例では温度補償電流をゆっくり変化させている。また、目標とする帯域に対して、帯域の狭いLEDを高速動作させるために、LEDにピーキングをかけた。この帯域の狭いLEDにピーキングをかけると発光出力は高速に立ち上がるが、その反面、凹みも多少生じる。その凹みを抑えるために、ピーキング電流発生回路は少なくとも2つ備え、LEDの応答を速める(補正する)ために、2段階からなる時分割の定量ピーキングを実施している。
ピーキング補正回路を一つ用いた場合には、パルス波形にピーキング後に凹みが生じるが、2つ以上のピーキング補正を行うと凹みは著しく低減される。これによって、安定した光通信の実現に必要不可欠なパルス波形が得られる。上述の構成により、光通信がエラーなしに行うことができる。
なお、上述の装置は、海底ケーブル用光通信機器、ジャイロスコープ、情報記録媒体書き込み装置などに広く用いることができる。
本発明は、LED駆動回路に利用することができる。
実施の形態に係るLED駆動回路の回路図である。 LVDSドライバの回路図である。 タイミング発生回路の回路図である。 各種駆動信号のタイミングチャートである。 各種電圧のタイミングチャートである。 電流発生回路の回路図である。 駆動電流のタイミングチャートである。 光強度の波形を示すグラフである。 LEDのV−I特性を示すグラフである。 温度補償電流発生回路の回路図である。 温度(℃)とファイバ結合出力(dBm)との関係を示すグラフである。 時間(μs)と信号印加時の駆動電流(mA)との関係を示すグラフである。 温度(℃)とDCレベルの駆動電流(mA)との関係を示すグラフである。 アイパターンを示す波形図である。 温度補償電流発生回路の部分回路図である。 キャパシタの放電に伴う電圧の時間的変化を示すグラフである。
符号の説明
10g・・・アンダーシュート電流発生回路、10i・・・アンプ、10m・・・スリープ回路、10b・・・タイミング発生回路、10j・・・トーン検出回路、10k・・・バイアス回路、10h・・・バイアス電流発生回路、10e・・・第1ピーキング電流発生回路、10f・・・第2ピーキング電流発生回路、10d・・・メイン電流発生回路、10a・・・受信用比較器、10b3・・・後段増幅器、10b4・・・後段増幅器、10b5・・・後段増幅器、10b6・・・後段増幅器、10・・・LED駆動回路、10i・・・比較器、10i・・・温度検出回路、10i・・・温度補償電流発生回路、10i41・・・緩慢制御部、10i42・・・緩慢制御部、10b7・・・調整回路、10b9・・・調整回路、10b11・・・調整回路、10i・・・電流増加回路、10i・・・電流増加回路、A・・・アンプ、C1・・・キャパシタ、C2・・・キャパシタ、D1,D2・・・ダイオード、IT1・・・温度補償電流、IT2・・・温度補償電流。

Claims (4)

  1. LED駆動回路において、
    LEDに接続された第1電流源と、
    前記LEDに接続された第2電流源と、
    前記LEDに接続された第3電流源と、
    前記第1、第2及び第3電流源と前記LEDとの間をそれぞれ流れるメイン電流、第1ピーキング電流及び第2ピーキング電流をそれぞれ制御する第1、第2及び第3トランジスタと、
    前記第1及び第2ピーキング電流の波形が前記メイン電流の波形の内側に位置するよう、前記第1、第2及び第3トランジスタの制御端子にそれぞれ与えられる第1、第2及び第3駆動信号を発生するタイミング発生回路と、
    を備えることを特徴とするLED駆動回路。
  2. 前記タイミング発生回路は、前記第1及び第2ピーキング電流の波形は時系列に連続するよう、前記第2及び第3駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載のLED駆動回路。
  3. 前記タイミング発生回路は、単一の差動信号の入力に同期して前記第1、第2及び第3駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載のLED駆動回路。
  4. 前記タイミング発生回路は、前記第1ピーキング電流の波高値が、第2ピーキング電流の波高値よりも高くなるように前記第2及び第3駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載のLED駆動回路。
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