JP2006039278A - 走査レンズ及びそれを有する走査光学装置 - Google Patents

走査レンズ及びそれを有する走査光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】最適化された厚みを有し、安価に製造することができる走査レンズ及びそれを備える走査光学装置を提供する。
【解決手段】レンズ面Sを含むレンズの高さをΠとしたときに、偏向器からレンズ面Sを有するレンズまでの間に存在するそれぞれのレンズが下記式(1)を満たすようにレンズを構成する。
【数1】
Figure 2006039278

式中、dは、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔、dを反射面Sとレンズ面Sの面間隔、nijは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率、ωは、波長λのレーザ光の光偏向器の反射面におけるビームウェスト、δは、前記光偏向器の反射面に入射するレーザ光の主光線の回転軸方向における入射位置と前記反射面の中心位置との差、ξは、レンズ高さ方向におけるピリカケ許容エリアの幅であり、θijは、反射面への入射角である。
【選択図】なし

Description

本発明は、デジタルフォトプリンタにおける感光体の露光等に用いられる光ビーム走査を行う光学ユニットに用いられる走査レンズ及び走査光学装置に関する。
デジタルフォトプリンタや電子写真プリンタ等の各種の画像記録装置において、記録画像に応じて変調した光ビームを所定の一次元方向(主走査方向)に偏向することにより、感光体等の被画像記録媒体を走査露光して、被画像記録媒体に潜像もしくは顕像を記録する走査光学装置が用いられている。
例えば、カラーの感光体(印画紙)にカラー画像(その潜像)を記録する走査光学装置であれば、記録画像(画像データ)に応じて変調したR(赤)露光、G(緑)露光、およびB(青)の各露光に対応する3種の光ビームを、ポリゴンミラー等の光偏向器で主走査方向に偏向し、fθレンズ(走査レンズ)によって主走査方向の走査速度を一定にし、光路変更用のミラー等によって所定の記録(露光)位置に入射させて被画像記録媒体に潜像を記録している。
走査光学装置に用いられる走査レンズには、前述の主走査方向へのパワーのほか、副走査方向へのビーム整形及び収差補正のために副走査方向にもパワーが付与される必要がある。前述のような波長の異なる複数のビーム(多波長ビーム)を使用するような光学系においては、レンズの素材は、収差の発生を抑制するために、樹脂ではなく硝材であることが必要である。また、副走査方向にもパワーを有するためには、加工性の観点から非球面形状ではなく球面レンズが必要となる場合が多い。このような球面レンズにおいては、1枚ごとにレンズ面を球面に加工したり、硝子球を研磨した後に所望する形状に切り出す必要があるために高価である。特に、硝子球を研磨した後に所望する形状に切り出す方法の場合は、相当量の硝材が無駄となる。したがって、走査レンズが画像記録装置の製造コストを高める要因の一つとなっていた。
そこで、製造コストを抑えるための方法として、樹脂素材を用いた自由曲面レンズを用いて走査レンズを構成する方法が考えられる。しかしながら、樹脂素材を用いてレンズを構成した場合には、硝材のレンズでは可能であった分散を利用した倍率色収差補正ができないという問題がある。特に、前述したようなR、G及びBの3種の光ビームによって感光体を走査露光するタイプ記録装置においては、像面湾曲、fθ性(ディストーション)、倍率色収差等の主走査方向の各種主査補正、面倒れ補正等の副走査方向の性能に求められるレベルが、一般のレーザプリンタに比べて高い。それゆえ、球面構造を有し、硝材からなる複数のレンズを用いて走査レンズを構成する必要があり、コストダウンは困難であった。
硝材の走査レンズのコストダウンを実現するために、本出願人は、特許文献1において、光偏向器側より順に、負の屈折率の第1レンズ、正の屈折率の第2レンズ、正の屈折率の第3レンズの3枚のレンズからなり、これら3枚のレンズのうちの少なくとも一つのレンズ面が光ビームの偏向方向にのみパワーを有するシリンドリカル面であるfθレンズを開示した。特許文献1においては、球面レンズを用いずにシリンドリカルレンズを用いて第1〜第3レンズを構成することによって製造コストの低減を実現している。
特開2002−107647号公報
ところが、上記特許文献1に開示されている走査レンズにおいては、使用するレーザ光やポリゴンミラーとの関係で、複数のレンズが必ずしも最適な構成とされているわけではなく、特に、走査レンズをすべて主走査方向にパワーを有するシリンドリカルレンズで構成しているため、副走査方向の収差補正を行なうための球面レンズを用いた場合については何ら検討されていない。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、最適化された厚みを有し、安価に製造することができる走査レンズ及びそれを備える走査光学装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、コストメリットが極めて高いレンズ面の構成を有する走査レンズ及びそれを備える走査光学装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、入射されたレーザ光を所定方向に等角速度で偏向させる光偏向器と被走査面との間に配置され、複数のレンズから構成される走査レンズであって、前記レーザ光は波長の異なる複数のレーザ光を含み、複数のレーザ光の波長の短いほうからj番目のレーザ光の波長をλ(j=1、2、・・・)とし、前記光偏向器の反射面をS、前記光偏向器に近い側からk番目(kは正の整数)に位置するレンズ面をSとしたときに、前記レンズ面Sから前記レンズ面Sまでの間に位置するそれぞれのレンズが偏向方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズであり、更に、前記レンズ面Sを含むレンズの高さをΠとしたときに、前記偏向器から前記レンズ面Sを有するレンズまでの間に存在するそれぞれのレンズが下記式(1)を満たし、且つ、レンズ高さ方向における中心が一致した状態でそれぞれ配置されていることを特徴とする走査レンズを提供する。
Figure 2006039278
式中、dは、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔であり、dを反射面Sとレンズ面Sの面間隔とし、nijは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率であり、ωは、波長λのレーザ光の前記光偏向器の反射面におけるビームウェストであり、δは、前記光偏向器の反射面に入射するレーザ光の主光線の回転軸方向における入射位置と前記反射面の中心位置との差であり、ξは、レンズ高さ方向におけるピリカケ許容エリアの幅であり、θijは、反射面への入射角であり、ここで、前記光偏向器回転軸に垂直な面に対する波長λのレーザ光のなす角をΦとし、前記光偏向器の反射面の面倒れ及び軸倒れを加味し、公差も含んだ値の偏向面倒れ量であって、理想的な反射面に対する面傾き量の最大値をψとしたときに、θijは下記式(2)
Figure 2006039278
を満たす。
本発明において、用語「ピリカケ許容エリア」とは、レンズの研磨時又は切断時においてレンズの端部に発生するひび(ピリ)又は欠損(カケ)によって光学性能が保証されないレンズ端部の領域を意味するものとする。
また、前記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、入射されたレーザ光を所定方向に等角速度で偏向させる光偏向器と被走査面との間に配置され、複数のレンズから構成される走査レンズであって、前記レーザ光の波長λとし、前記光偏向器の反射面をS、前記光偏向器に近い側からk番目(kは正の整数)に位置するレンズ面をSとしたときに、前記レンズ面Sから前記レンズ面Sまでの間に位置するそれぞれのレンズが偏向方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズであり、更に、前記レンズ面Sを含むレンズの高さをΠとしたときに、前記偏向器から前記レンズ面Sを有するレンズまでの間に存在するそれぞれのレンズが下記式(3)を満たし、且つ、レンズ高さ方向における中心が一致した状態でそれぞれ配置されていることを特徴とする走査レンズを提供する。
Figure 2006039278
式中、dは、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔であり、dを反射面Sとレンズ面Sの面間隔とし、nは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率であり、ωは、前記レーザ光の前記光偏向器の反射面におけるビームウェストであり、δは、前記光偏向器の反射面に入射するレーザ光の主光線の回転軸方向における入射位置と前記反射面の中心位置との差であり、ξは、レンズ高さ方向におけるピリカケ許容エリアの幅であり、θは、反射面への入射角であり、ここで、前記光偏向器回転軸に垂直な面に対するレーザ光のなす角をΦとし、前記光偏向器の反射面の面倒れ及び軸倒れを加味し、公差も含んだ値の偏向面倒れ量であって、理想的な反射面に対する面傾き量の最大値をψとしたときに、θは下記式(4)
Figure 2006039278
を満たす。
本発明の第1及び第2の態様に従う走査レンズにおいて、それぞれの前記レンズの高さが、前記光偏向器に近い側から順に高くなることが好ましく、前記光偏向器から前記光偏向器から最も遠い位置におけるレンズ面が、レンズ高さ方向にパワーを有することが好ましい。また、前記レンズ面Sが、前記光偏向器から最も遠い位置に存在するレンズのレンズ面であることが好ましく、前記レンズ面のうち、前記光偏向器に近い側からq番目のレンズ面Sqがレンズ高さ方向にパワーを有する面であって前記偏向器から数えて最初のレンズ面である場合に、k≦qの関係を満たすことが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第1及び第2の態様の走査レンズと、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射したレーザ光を前記走査レンズに向けて偏向するための光偏向器とを有する走査光学装置を提供する。
本発明の第3の態様の走査光学装置において、複数の感光層を有する感光体を露光するために用いられ、前記レーザ光源が複数のレーザ光源で構成され、それぞれのレーザ光源が前記複数の感光層の感光感度に対応した波長のレーザ光を出射することが好ましく、前記走査レンズを構成するそれぞれのレンズが、高さの異なる載置台上にそれぞれ載置されていることが好ましい。また、前記感光体が、写真プリントで用いられる印画紙であることが好ましい。
本発明によれば、走査レンズを構成するすべての又は大部分のレンズを、偏向方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズを用いて構成することができるとともに、それらレンズを個別に最小限の厚みにすることができるので、走査レンズのコストを低減することができる。
本発明の走査光学装置は、本発明の走査レンズを備えるので低コストの走査光学装置を実現することができる。
以下、本発明の走査レンズ及びそれを備える走査光学装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
まず、本発明に従う走査レンズについて図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明に従う走査レンズ42と光偏向器40の概略断面図である。走査レンズ42は、複数のレンズから構成され、それぞれのレンズは、光偏向器40によって偏向されたレーザ光の光路上で、レンズ高さ方向における中心が一致するようにそれぞれ配置されている。図1においては、レンズを載置するための載置台の高さを、載置するレンズごとに変更することで、それぞれのレンズの高さ方向における中心位置を一致させている。図1において、光偏向器40の反射面をSとし、それぞれのレンズのレンズ面を、光偏向器40に近い側から順番にS、S、・・・・Sとしている。レンズ面Sは走査レンズ42の最終面である。レーザ光源(図1では不図示)から出射したレーザ光は、光偏向器40の反射面Sで反射されて、走査レンズ42が配置されている方向に偏向される。光偏向器40の反射面Sで反射したレーザ光は、レンズ面S、S、・・・Sを順次通過した後、被走査面上に集光される。
このような走査レンズ42を含む光学系において、走査レンズを通過するレーザ光は、レーザ光源から出射して光偏向器40の反射面Sに入射するレーザ光の主光線の入射位置の変動、反射面Sへの入射角度変動、光偏向器40の反射面Sの面倒れ等により、レンズ高さ方向において変化する。したがって、走査レンズを構成するそれぞれのレンズの高さは、少なくともこの変化分を許容する高さだけあれば足りる。ここで、本発明において、レンズ高さとは、光偏向器によって偏向されるレーザ光が形成する面に垂直な方向における高さを意味するものとする。
本発明では、走査レンズ42を構成するそれぞれのレンズの高さΠを、下記不等式(1)を満たすように決定する。ここで、Πは、光偏向器40からk番目(kは正の整数)のレンズ面Sを含むレンズのレンズ高さである。これにより、走査光学系を構成するそれぞれのレンズを個別に最小限の厚みにすることができるとともに、走査レンズを構成するそれぞれのレンズ内で確実にレーザ光を伝播させて被記録面にレーザ光を照射することができる。
Figure 2006039278
上記式において、λは、光学系で使用されるレーザ光の波長であり、複数の波長のレーザ光を用いる場合には、波長の短い側からj番目のレーザ光の波長である。
は、図1(a)に示すように、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔、すなわち、レンズの主軸におけるレンズ面Sとレンズ面Si+1との距離である。ここで、dは、反射面Sとレンズ面Sとの面間隔である。ポリゴンミラーなどの光偏向器の場合は、回転軸Yを中心に光偏向器40が回転するため、光偏向器40の反射面Sとレンズ面Sとの距離が変化する。したがって、本発明では、dは、反射面Sで反射したレーザ光が、レンズの主軸に入射したときの反射面Sとレンズ面Sとの距離とする。
ijは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率である。ここで、n0jは、反射面Sとレンズ面Sとの間の媒質の波長λの光に対する屈折率である。ωは、波長λのレーザ光が光偏向器40に入射したときの反射面Sにおけるレーザ光のビームウェストである。δは、図1(b)に示すように、光偏向器40の反射面Sに入射するレーザ光の主光線の、光偏向器の回転軸方向における入射位置Yと、反射面Sの中心位置Yとの距離である。ξは、レンズの高さ方向の端部のピリカケ許容エリアの幅である。ξは、加工の都合等により決定され、一般に、0.5mm〜2.0mm程度必要とされる。
また、θijは、波長λのレーザ光がレンズ面Sにおいて屈折するときの屈折角である。ここで、Φを、光偏向器40の回転軸に垂直な平面、すなわち、偏向器回転面に対する波長λのレーザ光のなす角とし、ψを、光偏向器40の面倒れ及び光偏向器40の軸倒れを加味し、公差も含んだ値の偏向面倒れ量であって理想的な反射面Sに対する面傾き量の最大値としたときに、Φ、ψ及びθijは下記関係式(2)を満たす。
Figure 2006039278
上記式を満たすレンズ高さになるように、走査レンズを構成するレンズを形成することにより、レーザ光を確実に伝播させる最低のレンズ高さを確保しつつ、高さを最大限に薄くすることができるので、無駄な硝材を発生させることなく、レンズの製造コストを低減することができる。また、図1に示すように、レンズを載置するための載置台の高さを、載置するレンズごとに変更して、それぞれのレンズの高さ方向における中心位置を一致させているので、同一平面上にレンズを配置させた場合よりもレンズの厚さを更に薄くすることができる。
本発明においては、走査レンズを構成する少なくとも一つのレンズが上記不等式を満たすようにレンズ高さが決定されていれば良いが、走査レンズを構成するすべてのレンズのレンズ高さが上記不等式(1)を満たすように決定されることが好ましい。また、上記不等式に基づいて、走査レンズを構成するレンズのレンズ高さを設計した場合には、光偏向器に近い側に位置する走査レンズほど高さを薄くすることができる。これにより従来よりも低コスト化を実現することができる。
本発明においては、波長λの1種類のレーザ光源しか用いない場合は、走査レンズのレンズ高さを、下記式(3)を満たすように決定すればよい。
Figure 2006039278
式(3)において、dは、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔であり、dを反射面Sとレンズ面Sの面間隔である。nは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率であり、ωは、前記レーザ光の光偏向器の反射面におけるビームウェストである。δは、光偏向器の反射面に入射するレーザ光の主光線の回転軸方向における入射位置と前記反射面の中心位置との差である。ξは、レンズ高さ方向におけるピリカケ許容エリアの幅であり、θは、前記反射面への入射角である。ここで、前記光偏向器回転軸に垂直な面に対するレーザ光のなす角をΦとし、前記光偏向器の反射面の面倒れ及び軸倒れを加味し、公差も含んだ値の偏向面倒れ量であって、理想的な反射面に対する面傾き量の最大値をψとしたときに、Φ、ψ、及びθは下記式(4)を満たす。
Figure 2006039278
本発明においては、走査レンズを構成する複数のレンズのうち、例えば、2つのレンズのレンズ面同士を互いに密着させて1つの光学レンズとして機能させても良い。この場合は、密着している面を1つのレンズ面として、上記不等式(1)及び式(3)を計算してレンズ高さを設定すればよい。
本発明においては、走査レンズを構成する複数のレンズのすべてが、主走査方向にのみパワーを有する硝材のシリンドリカルレンズであることが好ましい。その理由は、主走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズは、その主軸と主走査方向とに直交する方向に延在する長尺の原シリンドリカルレンズを作製し、その原シリンドリカルレンズを所望の幅で切断することで大量に作製することができ、また、廃棄される部分もほとんどないので、レンズ1個当たりの材料費を低減することができるからである。また、切断後には、レンズ面を曲面に加工する必要が無いので低コストで製造できるからである。
また、本発明においては、走査レンズを構成する複数のレンズの少なくとも一つのレンズを球面レンズとして構成することもできる。その場合は、光偏向器と球面レンズとの間に存在するレンズが上記不等式(1)を満たすようにレンズの高さを決定すればよい。レンズ高さの低いレンズをより多く用いて走査レンズのコストを抑えるためには、球面レンズを、光偏向器からできる限り遠い位置に配置することが好ましく、最終レンズ面が球面構造レンズ面となるように配置することがより好ましい。このような球面レンズを用いることにより、副走査方向におけるビーム整形及び収差を補正しつつ、光偏向器と球面レンズの間に介在するレンズの高さを低くすることができる。
また、図1では、走査レンズを構成する複数のレンズを、異なる高さで形成された載置台上に載置した構成であるが、それぞれのレンズの高さ方向における中心位置が一致するのであれば任意の構成にすることができる。また、それぞれのレンズの高さ方向の位置を個別に調整するための位置調整機構を用いて、それぞれのレンズの高さ方向の中心位置調整するようにしてよい。このような位置調整機構としては、例えば、シム調整等を利用することができる。
つぎに、本発明の走査レンズを有する走査光学装置について図2を参照しながら詳細に説明する。図2は、走査光学装置10の一例の概略構成図である。
この走査光学装置10は、感光体に画像を記録するための装置であり、画像記録(画像データ)に応じて変調した、R(赤)露光、G(緑)露光、およびB(青)露光に対応する3本の光ビームL(レーザビーム)を一次元方向(主走査方向(図中矢印x方向))に偏向させて、所定の記録位置(露光位置)に入射させることにより、感光体を走査露光することができる。
このような走査光学装置10は、一例として、写真フィルムに撮影された画像を光電的に読み取って得られた画像データや、デジタルカメラによって撮影された画像の画像データ等から写真プリントを作成する、デジタルフォトプリンタのプリンタ(焼付装置)に利用されるものである。このプリンタにおいては、前記記録位置において、主走査方向と直交する方向(副走査方向(図中矢印y方向))に感光体S(印画紙)を走査搬送することにより、主走査方向に偏向された光ビームによって感光体(被走査面)を二次元的に走査露光して潜像を記録し、潜像を記録した感光体を現像処理装置に供給する。
図示例において、走査光学装置10は、一面が解放する筐体であるフレーム12と、フレーム12の解放面(上面)を閉塞するカバー14と、フレーム12に固定される各種の光学素子とを有して構成される。
図示例において、フレーム12は、光ビーム走査光学系を構成する各種の光学素子を収容し、固定するための光ビーム走査光学系の光学定盤として機能する筐体である。フレーム12は、例えばアルミニウム合金により形成される。フレーム12の内部は、隔壁22(22a、22bおよび22c)によって、光源部16、光偏向部18、および出射部20に略分離されている。なお、隔壁22aは、一部が切り欠かれて、ここに透明な窓部材28aが固定され、さらに、隔壁22cも上部を除いて切り欠かれて、ここに透明な窓部材28bが固定される。
また、フレーム12の外壁および隔壁22には、フレーム12とカバー14とを締結するためのネジが螺合するネジ孔26(計17個)が形成される。
図示例のフレーム12の光源部16には、光源30R、30B、30Gと、AOM(音響光学変調器)32G、32Bと、ミラー34と、光量/ビームピント調整手段36B、36Gが配置されている。光源30Rは、R露光を行うための光ビームLrを出射する半導体レーザであり、光源30Bは、B露光を行う光ビームLbを出射する半導体レーザである。光源30Gは、G露光を行うための光ビームLgを発する光源であり、レーザ光源とSHG素子とを組み合わせてなる二次高調波によって光ビームLgを発生させる。
AOM32B及び32Gは、それぞれ、光源30B及び30Gから出射した光ビームLb、Lgの光路上に配置され、AOM32Bは、光源30Bから出射した光ビームLbを画像データに応じて変調し、AOM32Gは光ビームLgを画像データ信号に応じて変調するために用いられる。光ビームLrは、光源30Rを変調駆動する直接変調によって画像データに応じて変調される。
ミラー34は、光源30R、30G、30Bから出射したそれぞれの光ビームLr、Lg、Lbを、光偏向器の反射面の同一線上若しくはその近傍に向けて反射するために設けられている。光量/ビームピント調整手段36R、36G、36Bは、それぞれ、ミラー32で反射された光ビームLr、Lg、Lbの光路上に配置されており、それら光ビームLr、Lg、Lbの光量を調整するとともに、ビームピント(ビーム径)を調整する。光量/ビームピント調整手段36R、36G、36Bで光量及びビームピントが調整されたそれぞれの光ビームLr、Lg、Lbは、窓部材28aを透過して光偏向器40に入射する。
フレーム12の光偏向部18には、光偏向器40と、fθレンズ(走査レンズ)42とが配置される。さらに、フレーム12の出射部20には、シリンドリカルレンズ46と、シリンドリカルミラー48と、フラットミラー(立ち下げミラー)50とが配置される。光偏向部18及び出射部20に配置される光学素子の構成については、後に詳細に説明する。
光偏向器40によって主走査方向に偏向され光ビームL(Lr、Lb及びLg)は、走査レンズ42によって走査速度が均一となるように調整される。
走査レンズ42を通過した光ビームLは、窓部28bを透過して、シリンドリカルレンズ16を通過する。そして、シリンドリカルミラー48で反射されて、光路を調整されて面倒れを補正された後、フラットミラー50によって下方に反射されて、感光体Sに入射する。
このように、図2に示す走査光学装置10においては、各光源から出射された3つの光ビームL(Lr、Lb及びLg)は、ポリゴンミラー40の同一点に入射して偏向され、所定の記録位置に入射して同一の1本の走査線を画成する。従って、各光ビームLは、主走査方向には異なり、かつ、副走査方向には略一致した光路で進行して、記録位置に入射する(非合波の光ビーム走査光学系)。
ここで、図2に示す走査光学装置のフレーム12の光偏向部18と光出射部20に配置される光学部品について具体的に説明する。図3に、光偏向部18と光出射部20に配置される光学部品の概略構成を示す。
光偏向部18に配置される光偏向器40は、6面の反射面(偏向面)40aを有するポリゴンミラーであり、回転軸40bを中心にモータ(不図示)により回転駆動する。図2に示す光源30R、30G、30Bからそれぞれ出射したレーザ光Lr、Lg、Lbは、回転軸方向において、ポリゴンミラー40の反射面40aのほぼ同一の位置に照射される。ポリゴンミラー40に入射したレーザ光は、反射面40aで反射されて走査レンズ42が配置されている側に偏向される。
走査レンズ42は、第1レンズ43と第2レンズ44と第3レンズ45の3個のレンズから構成される。第1レンズ43は、一方の面が凹面43aで、他方の面が平面43bの凹平レンズであり、凹面43aのレンズ面が光偏向器40側(光入射側)になるように配置されている。第2レンズ44及び第3レンズ45は、いずれも、一方の面が平面44a、45aで、他方の面が凸面44b、45bの平凸レンズであり、光偏向器40側(光入射側)が平面44a、44bのレンズ面になるように配置されている。第1レンズ43と第2レンズ44は、図に示すように、それぞれの平面側43bと44aを互いに密着された状態で配置されている。第1レンズ43の凹面43aと、第2レンズ44の凸面44bは、偏向方向にのみパワーを有するシリンダー面であり、第3レンズ45の凸面45bは、同様のシリンダー面とするか、若しくは球面レンズとする。
これら第1レンズ43、第2レンズ44及び第3レンズ45の高さは、前述した式に基づいて設定されており、第1レンズ43、第2レンズ44、第3レンズ45の順でレンズの高さが高くなっている。また、第1レンズ43、第2レンズ44及び第3レンズ45は、その高さ方向の中心がいずれも同一になるように配置されている。
図3に示すように、走査レンズ42の光出射側に、シリンドリカルレンズ46と、シリンドリカルミラー48と、フラットミラー50が配置されている。シリンドリカルレンズ46は、一方の面が、偏向方向に対して垂直な方向にのみパワーを有する凹面のシリンドリカル面46aで形成され、他方の面が平面46bで形成されている。シリンドリカルレンズ46は、シリンドリカル面46aが走査レンズ42側に向くように配置されている。フラットミラー50は、シリンドリカルレンズ46及びシリンドリカルミラー48との間で、それらの上方に配置されている。シリンドリカルミラー48は、反射面48aに入射した光が上方に配置されたフラットミラー50の反射面50aに入射するように配置されている。シリンドリカルレンズ46を透過したレーザ光は、シリンドリカルミラー48に入射して反射した後、フラットミラー50に入射する。フラットミラー50に入射したレーザ光は記録媒体に向けて反射される。シリンドリカルレンズ46とシリンドリカルミラー48によって、ポリゴンミラー40の面倒れが補正されている。
つぎに、図2及び図4を参照して、感光体Sへの画像記録開始の同期信号(SOS(Start of scan))用の光センサについて説明する。走査光学装置10においては、フレーム12の出射部20に光センサ54が配置されている。光センサ54は、上下方向(すなわち、略副走査方向)に延在するラインセンサである。
走査光学装置10には、図4に示すように、フレーム12の外壁を貫通して形成される光センサ54の受光部56を挿入するための開口部58、および、光センサ54を固定するボルト60を挿通するための4つのボルト孔62が形成される。
また、光センサ54には、ボルト60を挿通する4つのボルト孔68が形成される。さらに、光センサ54の裏面(受光部56と逆面側)には、ボルト60の径に応じた2つの貫通孔74を上下に並ぶボルト孔68に対応して設けた、上下方向に長尺な板材72が、2枚、配置される。なお、板材72の貫通孔74の一方は、公差を吸収するための若干の長孔であってもよい。
光センサ54の受光部56を開口部58からフレーム12の内部に向けて挿入し、光センサ54の裏面に板材を配置して、板材72の貫通孔74および光センサ54のボルト孔68にボルト60を挿通して、ボルト60、ワッシャ64、およびナット(図示せず)によって、ボルト孔62に固定することにより、光センサ54をフレーム12に固定する。
ここで、光センサ54のボルト孔68は、上下方向に延在する長孔となっている。従って、光学ユニット10においては、カバー14を取り外してフレーム14を解放しなくても、外部から光センサ54の上下方向(副走査方向)の位置調整を行うことができる。
また、図示例においては、2枚の板材72によって長孔であるボルト孔68を閉塞して、光センサ54をフレーム12に固定している。そのため、光センサ54の位置調整のためにボルト60を緩めても、ボルト孔68および62からフレーム12内部に塵や埃が混入することを防止できる。
図2に示すように、光学素子が固定されるフレーム12の上面(解放面)は、カバー14によって閉塞される。このカバー14によるフレーム12上面の閉塞によって、光学ユニット10の内部は(略)密閉され、内部の防塵性すなわちフレーム12内に配置される各光学素子の防塵性が確保される。
フレーム12とカバー14との締結方法には、特に限定はなく、ネジによる方法、ボルトとナットによる方法、凹凸等を用いた係合に固定部材を組み合わせる方法等、公知の各種の方法が利用可能である。
以上、本発明の走査レンズ及びそれを備える走査光学装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
本発明の走査レンズは、感光体を露光する装置に限定されず、光ビームを被走査面上にほぼ等速で走査させる装置、例えば、表示装置などにも適用することができる。
本発明の走査レンズの構成を説明するための概略斜視図である。 本発明の走査レンズを有する走査光学装置の一例の概略斜視図であり、カバーを解放した様子を示す。 図2に示した走査光学装置の光偏向部及び出射部に配置される光学素子の概略斜視図である。 図2に示す走査光学装置のSOSセンサの取り付けを説明するための分解概略斜視図である。
符号の説明
10 光学ユニット
12 フレーム
14 カバー
16 光源部
18 光偏向部
20 出射部
22 隔壁
26 ネジ孔
28 窓部材
30R,30G,30B 光源
32B,32G AOM
34 ミラー
36R,36G,36B 光量/ビームピント調整手段
40 ポリゴンミラー
42 走査レンズ
43 第1レンズ
44 第2レンズ
45 第3レンズ
46 シリンドリカルレンズ
48 シリンドリカルミラー
50 フラットミラー
54 光センサ
56 受光部
58 開口部
60 ボルト
62,68 ボルト孔
64 ワッシャ
72 板材
74 貫通孔

Claims (10)

  1. 入射されたレーザ光を所定方向に等角速度で偏向させる光偏向器と被走査面との間に配置され、複数のレンズから構成される走査レンズであって、
    前記レーザ光は波長の異なる複数のレーザ光を含み、複数のレーザ光の波長の短いほうからj番目のレーザ光の波長をλ(j=1、2、・・・)とし、
    前記光偏向器の反射面をS、前記光偏向器に近い側からk番目(kは正の整数)に位置するレンズ面をSとしたときに、
    前記レンズ面Sから前記レンズ面Sまでの間に位置するそれぞれのレンズが偏向方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズであり、
    更に、前記レンズ面Sを含むレンズの高さをΠとしたときに、前記偏向器から前記レンズ面Sを有するレンズまでの間に存在するそれぞれのレンズが下記式(1)を満たし、且つ、レンズ高さ方向における中心が一致した状態でそれぞれ配置されていることを特徴とする走査レンズ。
    Figure 2006039278
    (式中、dは、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔であり、dを反射面Sとレンズ面Sの面間隔とし、nijは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率であり、ωは、波長λのレーザ光の前記光偏向器の反射面におけるビームウェストであり、δは、前記光偏向器の反射面に入射するレーザ光の主光線の回転軸方向における入射位置と前記反射面の中心位置との差であり、ξは、レンズ高さ方向におけるピリカケ許容エリアの幅であり、θijは、反射面への入射角であり、ここで、前記光偏向器回転軸に垂直な面に対する波長λのレーザ光のなす角をΦとし、前記光偏向器の反射面の面倒れ及び軸倒れを加味し、公差も含んだ値の偏向面倒れ量であって、理想的な反射面に対する面傾き量の最大値をψとしたときに、θijは下記式(2)
    Figure 2006039278
    を満たす。)
  2. 入射されたレーザ光を所定方向に等角速度で偏向させる光偏向器と被走査面との間に配置され、複数のレンズから構成される走査レンズであって、
    前記レーザ光の波長λとし、
    前記光偏向器の反射面をS、前記光偏向器に近い側からk番目(kは正の整数)に位置するレンズ面をSとしたときに、
    前記レンズ面Sから前記レンズ面Sまでの間に位置するそれぞれのレンズが偏向方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズであり、
    更に、前記レンズ面Sを含むレンズの高さをΠとしたときに、前記偏向器から前記レンズ面Sを有するレンズまでの間に存在するそれぞれのレンズが下記式(3)を満たし、且つ、レンズ高さ方向における中心が一致した状態でそれぞれ配置されていることを特徴とする走査レンズ。
    Figure 2006039278
    (式中、dは、レンズ面Sとレンズ面Si+1の面間隔であり、dを反射面Sとレンズ面Sの面間隔とし、nは、レンズ面SとSi+1との間の媒質の波長λの光に対する屈折率であり、ωは、前記レーザ光の前記光偏向器の反射面におけるビームウェストであり、δは、前記光偏向器の反射面に入射するレーザ光の主光線の回転軸方向における入射位置と前記反射面の中心位置との差であり、ξは、レンズ高さ方向におけるピリカケ許容エリアの幅であり、θは、反射面への入射角であり、ここで、前記光偏向器回転軸に垂直な面に対するレーザ光のなす角をΦとし、前記光偏向器の反射面の面倒れ及び軸倒れを加味し、公差も含んだ値の偏向面倒れ量であって、理想的な反射面に対する面傾き量の最大値をψとしたときに、θは下記式(4)
    Figure 2006039278
    を満たす。)
  3. それぞれの前記レンズの高さが、前記光偏向器に近い側から順に高くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の走査レンズ。
  4. 前記光偏向器から前記光偏向器から最も遠い位置におけるレンズ面が、レンズ高さ方向にパワーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の走査レンズ。
  5. 前記レンズ面Sが、前記光偏向器から最も遠い位置に存在するレンズのレンズ面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の走査レンズ。
  6. 前記レンズ面のうち、前記光偏向器に近い側からq番目(qは正の整数)のレンズ面Sが、レンズ高さ方向にパワーを有する面であって前記偏向器から数えて最初のレンズ面である場合に、k≦qの関係を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の走査レンズ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の走査レンズと、
    レーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射したレーザ光を前記走査レンズに向けて偏向するための光偏向器とを有する走査光学装置。
  8. 複数の感光層を有する感光体を露光するために用いられ、
    前記レーザ光源が複数のレーザ光源で構成され、それぞれのレーザ光源が前記複数の感光層の感光感度に対応した波長のレーザ光を出射することを特徴とする請求項7に記載の走査光学装置。
  9. 前記走査レンズを構成するそれぞれのレンズが、高さの異なる載置台上にそれぞれ載置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の走査光学装置。
  10. 前記感光体が、写真プリントで用いられる印画紙であることを特徴とする請求項8又は9に記載の走査光学装置。
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