JP2006038919A - 有機感光体、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

有機感光体、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、クリーナーレスプロセスの画像形成装置に用いられる有機感光体及び有機感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体において、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層を有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、有機感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、有機感光体上に残留したトナーをクリーニング装置で除去する工程を繰り返して、多数枚の電子写真画像を作製している。
該クリーニング装置(手段)としては、ブレードによる掻き落としが主に用いられ、有機感光体表面の残留トナーを該ブレードにより掻き落としている。スクリュー等を用いて図示しないトナー回収ボックスに送り出している。
前記したようなブレードによる掻き落とし方式のクリーナーは、回収トナーの回収ボックスや或いはリサイクルのための空間を必要とし、トナー回収ボックスの満杯を監視しなければならない。また、ブレードにより、有機感光体の表面に傷がつき易く、電子写真感光体の寿命を短くする問題もある。そこで、接触式のクリーナーを用いないプロセス(以下、クリーナーレスプロセスとも云う)の研究が行われている。例えば、現像ローラの直前に電子写真感光体表面に付着した残留トナーを磁気的もしくは電気的に吸引するプロセスを設置したり、転写工程におけるトナー転写効率を高め残留トナーをなくす試みがなされている。
そして、これらのクリーナーレスプロセスに適した有機感光体として、トナーの離型性をよくした有機感光体が提案されている(特許文献1)。該有機感光体はトナーの離型性を改善し、トナーの転写効率を高めるために、有機感光体の表面層に含フッ素樹脂粒子を含有させた有機感光体が用いられている。しかしながら、クリーナーレスプロセスでは、これまで報告された含フッ素樹脂粒子を表面に含有させた有機感光体は、クリーニングブレードによる感光体表面への強い擦過を受けないので、活性ガス成分やトナーの外添剤成分が付着しやすい。即ち、感光体表面層の含フッ素樹脂粒子とバインダーの界面にオゾンやNOx等のガス成分やトナーの外添剤成分が付着しやすく、このことが原因となって、画像ボケやダッシュマーク(彗星状の小さな筋画像)が発生し、文字画像やハーフトーン画像の鮮鋭性を劣化させやすい。
又、感光体表面への異物付着を改善する手段として、結晶化度の低い(X線回折パターンのピークの半値幅が0.28以上)の含フッ素樹脂微粒子を使用する技術が報告されている(特許文献2)。しかしながら、結晶化度が低い含フッ素樹脂微粒子は含フッ素樹脂微粒子同士が相互に付着しやすく、又、塗布分散液中で分散安定性が低く、粒子同士が凝集して、粗大な凝集粒子を形成しやすく、その結果、均一な特性を有する表面層ができにくく、前記したダッシュマークや画像ボケが発生し、ハーフトーン画像が荒れるという問題が発生している。
特開2002−278096号公報 特開平8−328287号公報
本発明の目的は、クリーナーレスプロセスの画像形成装置に用いられる有機感光体の前記した課題を解決することであり、より詳しくは、従来の含フッ素樹脂微粒子を含有した表面層を有する有機感光体の前記した問題点を解決し、ダッシュマークの発生や画像ボケの発生を防止し、ドット画像を高精度に再現できる有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
我々はクリーナーレスプロセスの画像形成装置に用いられる有機感光体の上記問題点について検討を重ねた結果、有機感光体の表面層に結晶化度が低い含フッ素樹脂微粒子を含有させると共に、該含フッ素樹脂微粒子を表面層に均一に分散させて、表面層の接触角のバラツキを小さくすることにより、活性ガスやトナーの無機外添剤の表面層への吸着を抑制することができ、その結果、ダッシュマークや画像ボケの発生を防止し、高精細のハーフトーン画像を形成することができることを見出し、本発明を完成した。特に、表面層の含有させる含フッ素樹脂微粒子を低結晶性で且つ小径化したものを用い、該含フッ素樹脂微粒子の分散性を改善することにより、表面エネルギーが均一な表面層を形成することができることを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は以下の構成を有することにより達成される。
(請求項1)
有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体において、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層を有することを特徴とする有機感光体。
(請求項2)
有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体において、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有し、水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキが±2.0°の表面層を有することを特徴とする有機感光体。
(請求項3)
前記有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層及び複数の電荷輸送層から構成され、該複数層の最上層が表面層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機感光体。
(請求項4)
前記含フッ素樹脂微粒子の結晶化度が40%以上90%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
(請求項5)
前記表面層にシロキサン変成ポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
(請求項6)
前記表面層が酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
(請求項7)
有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機感光体と帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段及び除電手段の少なくとも1つの手段とが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(請求項8)
有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体が、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層を有することを特徴とする画像形成装置。
本発明の有機感光体をクリーナーレスプロセスの画像形成装置に用いることにより、従来問題となっていたダッシュマークや画像ボケを改善でき、高精細のハーフトーン画像を形成することができる。又、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の有機感光体は、有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体であり、且つ平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層を有することを特徴とする。
又、本発明の有機感光体は、有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体であり、且つ平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有し、水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキが±2.0°の表面層を有することを特徴とする。
本発明の有機感光体は上記のような構造を有することにより、クリーナーレスプロセスの画像形成装置で発生しやすいダッシュマークや画像ボケの発生を防止し、鮮鋭性が良好なハーフトーン画像の電子写真画像を形成することができる。
即ち、含フッ素樹脂微粒子は前記したように分散均一性に乏しく、凝集物のない均一で平滑な膜を形成することは困難であった。即ち、小粒径の含フッ素樹脂微粒子は凝集粒子を作りやすく、凝集粒子を含有した表面層の有機感光体では、接触角のバラツキが大きくなり、クリーナーレスプロセスに適用すると、ダッシュマークや画像ボケが発生しやすい。その結果、レーザ光等で作製された、高精細のハーフトーン画像を顕像化することができないでいたが、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子の分散性を改良し、水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキを±2.0°に形成した表面層の有機感光体は、ダッシュマークや画像ボケの発生を防止し、ハーフトーン画像が良好な電子写真画像を形成できる。
本発明の特性を有する表面層は、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子の分散液を分散性が良好な低沸点溶媒、好ましくは、大気圧下で120℃以下の沸点を有する有機溶媒(例えば、THF、エタノール、トルエン、ジクロルエタン等)を用いて分散することにより、前記含フッ素樹脂微粒子相互の凝集性を抑えて安定した分散液を製造することができる。同時に、該分散液を塗布液として、塗布液供給型の塗布装置を用いて表面層を形成し、乾燥させることにより、表面層中の含フッ素樹脂微粒子の凝集を防止し、含フッ素樹脂微粒子の分散性が良好な表面層を形成できる。その結果、接触角のバラツキが小さした、表面エネルギーが均一な表面層をもつ有機感光体を形成でき、ダッシュマークや画像ボケの発生を防止し、ハーフトーン画像の鮮鋭性が良好な電子写真画像を形成できる有機感光体を作製することができる。
上記塗布液供給型の塗布装置とは、層形成に必要な塗布液を導電性支持体上に供給して塗布する塗布装置を意味し、例えば、スライドホッパー型塗布装置、押し出し型塗布装置、スプレー塗布装置等が挙げられる。このような塗布液供給型の塗布装置は、導電性支持体を塗布液に浸積して塗布する浸積塗布に比し、塗布装置内で分散液を滞留させず、ワンウエイで表面層を形成するので、含フッ素樹脂微粒子の分散粒子は、分散液中で凝集シェアを繰り返し受けることなく、含フッ素樹脂微粒子の凝集が少ない均一な表面層を形成することができる。しかも、感光体製造毎に分散液を作製できるので、分散液の経時による凝集を防止でき、且つ表面層形成時に、導電性支持体に既に形成されている下層を溶解せずに塗布できることから、塗布乾燥時も含フッ素樹脂微粒子の凝集が少なく、均一な分散性を有する表面層を形成することができる。
上記塗布液供給型の塗布装置の中でもスライドホッパー型塗布装置を用いた塗布加方法は、前記した低沸点溶媒を用いた分散液を塗布液として用いる場合に最も適しており、円筒状の感光体の場合は特開昭58−189061号公報等に詳細に記載されている円形スライドホッパー型塗布装置等を用いて塗布することが好ましい。
以下に簡単に円形スライドホッパー型塗布装置について簡単に説明する。
本発明において、含フッ素樹脂微粒子を分散した塗布液は、円形スライドホッパー型塗布装置を用いて有利に塗布される。円形スライドホッパー型塗布装置の一例として、例えば図1に縦断面図で示されるように中心線XXに沿って垂直状に重ね合わせた円筒状基材251A,251Bを連続的に矢示方向に上昇移動させ、その周囲を取り囲み、基材251の外周面に対しスライドホッパー型塗布装置の塗布に直接係わる部分(塗布ヘッドと略称する)260により塗布液Lが塗布される。なお、基材としては中空ドラム例えばアルミニウムドラム、プラスチックドラムのほかシームレスベルト型の基材でも良い。図2に示す如く前記塗布ヘッド260には、基材251側に開口する塗布液流出口261を有する幅狭の塗布液分配スリット(スリットと略称する)262が水平方向に形成されている。このスリット262は環状の塗布液分配室263に連通し、この環状の塗布液分配室263には貯留タンク254内の塗布液Lを圧送ポンプ255により供給管264を介して供給するようになっている。他方、スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されている。更に、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。かかる塗布装置による塗布においては、基材251を引き上げる過程で、塗布液Lをスリット262から押し出し、スライド面265に沿って流下させると、スライド面終端に至った感光液は、そのスライド面終端と基材251の外周面との間にビードを形成した後、基材表面に塗布される。過剰の感光液は排出部267から排出される。
上記円形スライドホッパ型塗布装置は、塗布液をスライド面265に沿って流下させ、スライド面265の終端に至った塗布液は、そのスライド面265の終端と円筒状基材251Aとの間にビードを形成した後、円筒状基材上に塗布膜が形成されることを特徴とする。
円形スライドホッパー型塗布装置を用いる塗布方法では、スライド面終端と基材は、ある間隙(約2μm〜2mm)を持って配置されているため基材を傷つける事なく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。更に性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬塗布方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出せず、塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、含フッ素樹脂微粒子の分散性を劣化させずに塗布することができる。
本発明の含フッ素樹脂微粒子は、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満であるが、平均一次粒径が0.02μm未満では分散液の安定性が劣化し、含フッ素樹脂微粒子同士の凝集が発生し、均一に分散することができにくく、接触角のバラツキが大きくなりやすく、前記したダッシュマークや画像ボケが発生しやすい。また、平均一次粒径が0.20μmより大きいと、沈降による凝集粒子ができやすく、表面の接触角のバラツキも大きくなり、ダッシュマークや画像ボケが発生しやすいと同時にレーザ光等の像露光を散乱させ、鮮鋭性を劣化させる。含フッ素樹脂微粒子の平均一次粒径は0.02μm以上、0.18μm以下がより好ましい。
本明細書中、平均一次粒径は動的光散乱法を利用したDLS−6000(大塚電子社製
)によって測定された値を用いている。しかし、上記装置によって測定されなければならないというわけではなく、上記装置と同様の原理あるいはレーザ回折法、遠心沈降法によって測定可能であればいかなる装置によって測定されてもよい。又、前記装置と同様の測定が可能であれば、感光層の断面観察より測定してもよい
また、表面層の水に対する接触角が90°未満では、トナー中のシリカ等の無機外添剤の付着が多くなり、ダッシュマークが発生しやすい。又、クリーニングブレード等の感光体の接触部材との摩擦抵抗も大きく、擦過による摩耗が大きくなり、筋状の画像ムラが発生し、ハーフトーン画像の鮮鋭性を劣化させやすい。より好ましい接触角は95°以上120°以下である。120°より接触角を大きくしようとすると、表面層中に含フッ素樹脂微粒子の含有量が高く成りすぎ、表面層が柔らくなり、擦り傷が発生しやすく、画像ボケも発生しやすい。又、表面層の接触角のバラツキが±2.0°より大きいと、表面層の含フッ素樹脂微粒子の分散性が不均一となっており、レーザ光等の像露光の散乱が増大すると共に、トナー中の或いは紙粉中の無機成分、例えばトナー中のシリカや酸化チタン等の無機外添剤や紙粉中のタルク成分等が表面層に埋め込まれて、ダッシュマークが発生しやすい。又、黒筋や白筋も発生しやすく、ハーフトーン画像が劣化しやすい。接触角のバラツキは±1.7°がより好ましい。
接触角及び接触角のバラツキ測定
本発明の接触角とは感光体表面への純水に対する接触角を云う。感光体の接触角は純水に対する接触角を接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。
接触角のバラツキの測定は20℃50%RHの環境下で測定する。測定は感光体が画像形成に十分なじんだ時点(少なくとも数枚のプリント画像形成後)に行う。測定個所は感光体が円筒状の場合は、中央部、左右端部から5cmの位置の3カ所について、それぞれ円周方向90°づつの4カ所、計12カ所を測定し、この平均値を本発明の接触角とし、この平均値から最も大きく正又は負にずれた値をバラツキの値とした。感光体がシートの場合は、同様に中央部、左右端部から5cmの位置の3カ所の位置で、それぞれ等間隔をあけて4カ所、計12ケ所を測定し、この平均値を本発明の接触角とし、この平均値から最も大きく正又は負にずれた値をバラツキの値とした。
本発明の含フッ素樹脂微粒子は結晶化度が40%以上90%未満が好ましい。結晶化度が90%以上では、含フッ素樹脂微粒子の分散性は向上するが、含フッ素樹脂微粒子自体の延展性が小さくなり、接触角のバラツキが大きくなりやすい。また、含フッ素樹脂微粒子の結晶化度が小さくなりすぎと延展性が過大になり、分散性が劣化しやすいことから、40%以上の結晶化度の含フッ素樹脂微粒子が好ましい。
含フッ素樹脂微粒子の結晶化度の測定は広角X線回折測定により、発生した回折ピークを結晶質と非晶質に分離し、ベースライン補正を行なった後、結晶質と非晶質の全X線積分強度(分母)に対する結晶質のX線積分強度(分子)の百分率(%)で表示する。
本発明では広角X線回折測定装置及び測定条件を下記のようにして測定したが、同じ結果が得られれば、他の測定装置等を用いてもよい。
X線発生装置:Rigaku RU−200B
出力:50kV,150mA
モノクロメータ:グラファイト
線源:CuKα(0.154184nm)
走査範囲:3°≦2θ≦60°
走査方法:θ−2θ
走査速度:2°/min
含フッ素樹脂微粒子の構成材料は含フッ素重合性モノマーの単独重合体または共重合体、または含フッ素重合性モノマーとフッ素フリー重合性モノマーとの共重合体である。含フッ素重合性モノマーは一般式(1);
Figure 2006038919
(式中、R4〜R7のうち少なくとも1つの基はフッ素原子であり、残りの基はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、メチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、またはトリフルオロメチル基である)で表されるモノマーである。好ましい含フッ素重合性モノマーとして、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチレン等が挙げられる。含フッ素重合性モノマーとして、2種類以上のモノマーが使用されてもよい。
フッ素フリー重合性モノマーとして、例えば、塩化ビニル等が挙げられる。フッ素フリー重合性モノマーとして、2種類以上のモノマーが使用されてもよい。
含フッ素樹脂微粒子はいずれも、上記構成材料の中で、含フッ素重合性モノマーの単独重合体または共重合体からなることが好ましく、より好ましくはポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、特にポリ四フッ化エチレンである。
含フッ素樹脂微粒子を構成する重合体の平均分子量は本発明の目的を達成できる限り特に制限されないが、通常はいずれも1万から100万の範囲が好適である。
本発明の含フッ素樹脂微粒子の結晶化度は含フッ素樹脂微粒子の構成材料によっても変わるが、含フッ素樹脂微粒子を熱処理することによっても変えられる。例えば、平均一次粒径0.12μmおよび結晶化度91.3のPTFE微粒子(ポリエチレンテレフタレート微粒子)を250℃で65分間加熱処理すると、結晶化度を82.8に低下させることができる。熱処理手段は特に制限されず、公知の乾燥機または加熱炉を使用できる。
前記表面層中のバインダー樹脂としては、含フッ素樹脂微粒子の分散性を助ける界面活性基を樹脂の部分構造に有する樹脂を用いることが好ましく、例えば、シロキサン基を部分構造に有するポリカーボネートやポリアリレートが好ましい。特に、下記に示すシロキサン基を部分構造に有するシロキサン変成ポリカーボネートが好ましい。
Figure 2006038919
Figure 2006038919
分子量は10,000〜100,000が好ましい。
又、本発明の含フッ素樹脂微粒子を用いて水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキが±2.0°の表面層を形成するためには、表面層中の含フッ素樹脂微粒子の比率を高くすることが好ましく、質量比でバインダー樹脂100質量部に対し、少なくとも20質量部以上200質量部以下の量で用いることが好ましい。20質量量部未満では接触角の90°以上と接触角のバラツキが±2.0°を同時に満足させる表面層を形成するのが難しく、200質量部より多いと表面層が脆弱な膜となり、擦り傷等が発生しやすい。
本発明は上記したような表面層を有する有機感光体であるが、表面層以外の有機感光体の構成について以下に記載する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
本発明の感光体の構成は、感光体が平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有し、水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキが±2.0°の表面層を有する限り特に制限されるものではなく、例えば、以下に示すような構成が挙げられる;
1)導電性支持体上に感光層として電荷発生層および電荷輸送層を順次積層した構成
2)導電性支持体上に感光層として電荷発生層、第1電荷輸送層および第2電荷輸送層を順次積層した構成;
3)導電性支持体上に感光層として電荷輸送材料と電荷発生材料とを含む単層を形成した構成;
4)導電性支持体上に感光層として電荷輸送層および電荷発生層を順次積層した構成;
5)上記1)〜5)の感光体の感光層上にさらに表面保護層を形成した構成。
感光体が上記いずれの構成を有する場合であってもよい。感光体の表面層とは、感光体が空気界面と接触する層であり、導電性支持体上に単層式の感光層のみが形成されている場合は当該感光層が表面層であり、導電性支持体上に単層式または積層式感光層と表面保護層とが積層されている場合は表面保護層が最表面層である。本発明では上記2)の構成が最も好ましく用いられる。尚、本発明の感光体はいずれの構成を有する場合であっても、導電性支持体上、感光層の形成に先だって、下引層が形成されていてもよい。
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
以下に本発明に最も好ましく用いられる上記2)の層構成を例にして具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、円筒度が5〜40μmが好ましく、7〜30μmがより好ましい。
この円筒度とは、JIS規格(B0621−1984)による。即ち、円筒基体を2つの同軸の幾何学的円筒で挟んだとき、同軸2円筒の間隔が最小となる位置の半径の差で表し、本発明では該半径の差をμmで表す。円筒度の測定方法は円筒状基体の両端10mmの2点、中心部、両端と中心部の間を3等分した点の4点、計7点の真円度を測定し求める。測定器は非接触万能ロール径測定機((株)ミツトヨ製)を用いて測定できる。
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、中間層を設けることが好ましい。
本発明に用いられる中間層にはN型半導性粒子を含有することが好ましい。該N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
ここで、N型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
N型半導性粒子とは、上記評価で、負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子という。
N型半導性粒子としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)が好ましく、特に酸化チタンが特に好ましく用いられる。
N型半導性粒子は数平均一次粒子径が3.0〜200nmの範囲の微粒子を用いる。特に、5nm〜100nmが好ましい。数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。数平均一次粒径が3.0nm未満のN型半導性粒子は中間層バインダー中での均一な分散ができにくく、凝集粒子を形成しやすく、該凝集粒子が電荷トラップとなって転写メモリーが発生しやすい。一方、数平均一次粒径が200nmより大きいN型半導性粒子は中間層の表面に大きな凹凸を作りやすく、これらの大きな凹凸を通して色ずれが発生しやすい。又、数平均一次粒径が200nmより大きいN型半導性粒子は分散液中で沈澱しやすく、凝集物が発生しやすく、その結果、色ずれが発生しやすい。
前記酸化チタン粒子は、結晶形としては、アナターゼ形、ルチル形、ブルッカイト形及びアモルファス形等があるが、中でもルチル形酸化チタン顔料又はアナターゼ形酸化チタン顔料は、中間層を通過する電荷の整流性を高め、即ち、電子の移動性を高め、帯電電位を安定させ、残留電位の増大を防止すると共に、転写メモリーの発生を防止することができ、本発明のN型半導性粒子として最も好ましい。
N型半導性粒子はメチルハイドロジェンシロキサン単位を含む重合体で表面処理されたものが好ましい。該メチルハイドロジェンシロキサン単位を含む重合体の分子量は1000〜20000のものが表面処理効果が高く、その結果、N型半導性粒子の整流性を高め、このN型半導性粒子を含有する中間層を用いることにより、黒ポチ発生が防止され、又、良好なハーフトーン画像の作製に効果がある。
メチルハイドロジェンシロキサン単位を含む重合体とは−(HSi(CH3)O)−の構造単位とこれ以外の構造単位(他のシロキサン単位のこと)の共重合体が好ましい。他のシロキサン単位としては、ジメチルシロキサン単位、メチルエチルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位及びジエチルシロキサン単位等が好ましく、特にジメチルシロキサンが好ましい。共重合体中のメチルハイドロジェンシロキサン単位の割合は10〜99モル%、好ましくは20〜90モル%である。
メチルハイドロジェンシロキサン共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよいがランダム共重合体及びブロック共重合体が好ましい。又、共重合成分としてはメチルハイドロジェンシロキサン以外に、一成分でも二成分以上でもよい。
又、N型半導性粒子は下式で表される反応性有機ケイ素化合物で表面処理したものでもよい。
(R)n−Si−(X)4-n
(上式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
上式で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
また、上式で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
また、上式で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、上式で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
また、前記メチルハイドロジェンシロキサン共重合体や反応性有機ケイ素化合物の表面処理に先立ちN型半導性粒子をアルミナ、シリカ等の無機の表面処理を行ってもよい。
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にアルミナ処理を最初に行い、次いでシリカ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
前記酸化チタン等のN型半導性微粒子のアルミナ、シリカ或いはジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
本発明に用いられる中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等のN型半導性粒子の他にバインダー樹脂、分散溶媒等から構成される。
N型半導性粒子の中間層中での比率は、中間層のバインダー樹脂との体積比(バインダー樹脂の体積を1とすると)で1.0〜2.0倍が好ましい。中間層中でこのような高密度で本発明のN型半導性粒子を用いることにより、中間層の整流性が高まり、膜厚を厚くしても残留電位の上昇や転写メモリーも発生せず、黒ポチを効果的に防止でき、電位変動が小さい良好な有機感光体を形成することができる。又、このような中間層はバインダー樹脂100体積部に対し、N型半導性粒子を100〜200体積部を用いることが好ましい。
一方、これらの粒子を分散し、中間層の層構造を形成するバインダー樹脂としては、粒子の良好な分散性を得る為にポリアミド樹脂が好ましいが、特に以下に示すポリアミド樹脂が好ましい。
即ち、中間層にはバインダー樹脂に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂が好ましい。該融解熱は0〜30J/gがより好ましく、0〜20J/gが最も好ましい。一方、前記吸水率が5質量%を超えると、中間層中の含水率が上昇し、中間層の整流性が低下し、黒ポチが発生しやすく、ハーフトン画像が劣化しやすい。該吸水率は4質量%以下がより好ましい。
上記樹脂の融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetory)にて測定する。但し、DSCの測定値と同じ測定値が得られれば、DSC測定法にこだわらない。該融解熱はDSC昇温時の吸熱ピーク面積から求める。
一方、樹脂の吸水率は水中浸漬法による質量変化又はカールフィッシャー法により求める。
中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。有機感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、前記した6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これらの樹脂は吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿や低温低湿下の帯電特性や感度等が変化しやすく、
黒ポチの発生やハーフトン画像の劣化を起しやすい。
アルコール可溶性ポリアミド樹脂には、上記のような欠点を改良し、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を与えることにより、従来のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の欠点を改良し、外部環境が変化しても、又有機感光体の長時間連続使用を行っても、良好な電子写真画像を得ることができる。
以下、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂について説明する。
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の40〜100モル%含有するポリアミド樹脂が好ましい。
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド結合単位を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(2)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(3)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。
Figure 2006038919
一般式(2)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
Figure 2006038919
一般式(3)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
前記のごとく、炭素数が7〜30の繰り返し単位構造は置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有する化学構造等が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含む基を有する化学構造が好ましい。
上記ポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすく、ハーフトン画像が劣化しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
又、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては一般式(4)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
Figure 2006038919
一般式(4)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
上記一般式(4)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、黒ポチやハーフトーン画像の色ずれの発生に対する防止効果が著しい。
Figure 2006038919
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
上記ポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
Figure 2006038919
Figure 2006038919
Figure 2006038919
上記具体例中の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
上記具体例の中でも、一般式(4)の繰り返し単位構造を有するN−1〜N−4のポリアミド樹脂が特に好ましい。
又、上記ポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチやハーフトーン画像に色ずれが発生しやすい。
上記ポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
上記ポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明の中間層の膜厚は0.3〜10μmが好ましい。中間層の膜厚が0.5μm未満では、黒ポチ、ハーフトーン画像に色ずれが発生しやすく、10μmを超えると、残留電位の上昇や転写メモリーが発生しやすく、鮮鋭性が劣化しやすい。中間層の膜厚は0.5〜5μmがより好ましい。
又、上記中間層は実質的に絶縁層であることが好ましい。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108以上である。本発明の中間層及び保護層の体積抵抗は1×108〜1015Ω・cmが好ましく、1×109〜1014Ω・cmがより好ましく、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmである。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、有機感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる結晶構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θの27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θの7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシン、同2θの12.4に最大ピークを有するビスベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜1μmが好ましい。0.01μm未満では十分な感度特性が得られず、残留電位が上昇しやすい。一方、1μmを超えても、感度が低下しやすい。
電荷輸送層
前記したように、本発明では電荷輸送層を複数の電荷輸送層から構成し、且つ最上層の電荷輸送層にフッ素系樹脂粒子を含有させた構成が好ましい。
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により前記したフッ素系樹脂粒子の他に酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
電荷輸送物質(CTM)としては公知の正孔輸送性(P型)の電荷輸送物質(CTM)を用いることが好ましい。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。特に、像露光のレーザ光の波長を吸収しない電荷輸送物質が好ましく用いられる。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の合計膜厚は20μm以下が好ましく、10〜16μmがより好ましい。該膜厚が20μmを超えると、電荷輸送層内での、レーザの吸収や散乱が大きくなり、鮮鋭性の低下や、残留電位の増加が発生しやすい。
又、本発明の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層は感光体の帯電時の活性ガス、例えばNOxやオゾン等で酸化されやすく、画像ボケが発生しやすいが、酸化防止剤を共存させることにより、画像ボケの発生を防止することが出来る。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
Figure 2006038919
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中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図3は、本発明に係るクリーナーレスプロセスを用いた画像形成装置1の断面概略図である。画像形成装置1は内部に、感光体カートリッジ2、現像カートリッジ3、外部からの画像信号に基づいて変調されたレーザビームを偏向させながら射出する露光装置4、記録紙を供給する給紙装置5、転写ローラ6、定着器7および排紙トレイ8が配設されている。
感光体カートリッジ2は、内部に円筒体の外周面に有機光導電材料の薄膜層を形成して成る感光体21、帯電器(スコロトロン帯電器)22等を備えている。現像カートリッジ3は、内部に図示せぬ現像スリーブ、攪拌ローラ、およびトナーとキャリアが収容されたトナータンクを備えており、現像スリーブには図示せぬ現像電源から現像バイアスが印加される。両カートリッジには、画像形成装置1への着脱の際に機械的接触による不具合が発生するのを防止するために、画像形成装置1への挿入時には閉状態とされ、画像形成装置1からの取り出し時には開状態とされる図示せぬ保護カバーが設けられている。
画像形成プロセスは周知であるため、以下に、簡略に示すに留める。まず、感光体21表面は帯電器22により所定の電圧で均一に帯電される。露光装置4は、変調されたレーザビーム(図中に破線矢印で示す)を発生し、このレーザビームを図示せぬポリゴンミラーにより偏向して、感光体21上を偏向走査し、前記帯電面に画像情報に応じた静電潜像を順次に形成していく。
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、半導体レーザ又は発光ダイオードを像露光光源として用い、ドット潜像を形成することが好ましい。これらの像露光光源を用いて、像露光のスポット径(露光ビームのスポット径のこと)を80nm以下に、好ましくは80nm以下、15nm以上に絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、400dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2400dpiの高解像度の電子写真画像をうることができる。
前記露光ビームのスポット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e2以上の光強度に対応する面積を真円面積に換算し、該真円面積の直径とする。
又、トナータンク内のトナーは、攪拌ローラで攪拌された後、現像スリーブ上に供給され、感光体21との対向部で、前記静電潜像に対応したトナー像を形成する。同時に、感光体21表面の露光を受けていない部分(非画像部)に存在する残留トナーは、現像スリーブに印加される現像バイアス電圧と感光体21の表面電位との電位差を利用して、現像カートリッジに回収される。一方、トナー像は、感光体21と対向して配設されている転写ローラ6によって、記録紙上に静電転写される。なお、記録紙は給紙装置5から図中実線矢印で示される搬送路に沿って運ばれてくる。次いで、この記録紙は定着器7に搬送され、ここで未定着トナー像が記録紙上に熱定着される。最後に、所望の画像を形成した記録紙は、排紙トレイ8より排出される。以上一連のプロセスを繰り返すことで、原稿の複製が多量かつ高速にできるわけである。
図4は、画像形成装置1に着脱自在な感光体カートリッジ2の断面概略図である。感光体カートリッジ2は、その保護カバー付きケーシング28内に、像担持体としての感光体21、この感光体21の周りに当接配置された帯電器22、帯電器22に所定電圧を印加する電源接続部材23、徐電器24、徐電器の電源接続部材25を収容する。
感光体21は図示せぬ駆動装置により図中矢印方向に回転する。画像形成時には、帯電器22に図示せぬ帯電電源より電圧が印加され、これによって感光体21表面を均一に所定極性に帯電させる。
徐電器24としては、光除電器、及び放電による除電器のどちらでもよい。光除電器としては、発光ダイオード、タングステンランプ等が用いられ、放電による除電器としては、コロナ放電器等が用いられる。
又、本発明の画像形成装置では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明の有機感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
ここで、重合トナーとは、トナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合、及びその後の化学的処理により形成されて得られるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。
重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
なお、本発明で用いられる形状係数等の均一なトナーを作製するための材料や製造方法、重合トナーの反応装置等については特開2000−214629に詳細に記載されている。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
感光体1の作製
中間層
洗浄済み円筒状アルミニウム基体(切削加工によりJISB−0601規定の十点表面粗さRz:0.81μmに加工した)上に、下記中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、120℃30分で乾燥し、乾燥膜厚1.0μmの中間層を形成した。
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5ミクロン、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。
(中間層分散液の作製)
バインダー樹脂:(例示ポリアミドN−1) 1部(1.00体積部)
ルチル形酸化チタンA1(一次粒径35nm;メチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体(モル比1:1)を用い、酸化チタン全質量の5質量%の量で表面処理したもの) 3.5部(1.0体積部)
エタノール/n−プロピルアルコール/THF(=45/20/30質量比)10部
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
電荷発生層
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20部
シリコーン変性ポリビニルブチラール 10部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 700部
t−ブチルアセテート 300部
電荷輸送層1(CTL1)
電荷輸送物質(N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン) 225部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(例示化合物2−1) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液1を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚18.0μmの電荷輸送層1を形成した。
〈ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(PTFE粒子)分散液の調製〉
PTFE粒子(平均一次粒径0.12μmで、結晶化度91.3のPTFE粒子を250℃で40分間加熱処理し、結晶化度を82.2にしたPTFE粒子)を用い、下記のPTFE粒子分散液を調製した。
PTFE粒子(PTFE1:平均一次粒径0.12μm、結晶化度を82.2)
200部
トルエン 600部
フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名GF300、東亜合成化学(株)製)15部を混合した後ガラスビーズを用いたサンドグラインダー((株)アメックス製)にて分散し、PTFE粒子分散液を調製した。
電荷輸送層2(CTL2)
PTFE粒子分散液 815部
電荷輸送物質(N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン) 150部
シロキサン変性ポリカーボネート樹脂(PC−1) 150部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 150部
酸化防止剤(例示化合物1−1) 12部
THF:テトラヒドロフラン 2800部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 4部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液2を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層1の上に円形スライドホッパ型塗布機で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚2.0μmの電荷輸送層2(表面層)を形成し、感光体1を作製した。
感光体2〜12の作製
中間層のN型半導性粒子、バインダー樹脂、乾燥膜厚、電荷輸送層2(CTL2)のフッ素系樹脂粒子の種類と添加量等を表1のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜12を作製した。
感光体13の作製
感光体1の作製において、電荷輸送層塗布液2の塗布を円形スライドホッパ型塗布機に変えて、基本的に特開平9−304949号公報に記載の構造を有し、多数本同時塗布できる浸積塗布装置を用いて塗布した他は感光体1と同様にして感光体13を作製した。
Figure 2006038919
表1の中間層No.の内容は表2に記載した。
PTFE、Hは下記のフッ素系樹脂微粒子を示す。
PTFE:ポリエチレンテレフタレート樹脂粒子
H:三フッ化エチレン−四フッ化エチレンの共重合樹脂粒子
塗布装置欄の
*1は円形スライドホッパ型塗布装置
*2は浸積塗布装置を表す
又、表1中の接触角及び接触角のバラツキは前記した方法で測定し、絶対値で表示した。
Figure 2006038919
表2の中間層体積比は感光体1〜13の全ての中間層のバインダー樹脂の体積とN型半導性粒子の体積の合計体積を一定にした上で、バインダー樹脂の体積とN型半導性粒子の体積の比(Vn/Vb)を変えた中間層分散液を作製して、中間層を形成したものである。
表2中、
A1はルチル形酸化チタン
A2はアナターゼ形酸化チタン
*1はメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体(モル比1:1)
*2はメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体(モル比9:1)
*3はメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体(モル比2:8)
*4はメチルハイドロジェンシロキサンとジエチルシロキサンの共重合体(モル比1:1)
*5はメチルハイドロジェンシロキサンとメチルエチルシロキサンの共重合体(モル比1:1)
*6はメチルハイドロジェンポリシロキサン
尚、表2中、表面処理とは粒子の表面に施した表面処理に用いた物質を示す。
又、表中の融解熱、吸水率の測定は以下のようにして行った。
融解熱の測定条件
測定機:島津製作所「島津熱流速示差走査熱量計DSC−50」を用いて測定した。
測定条件:測定試料を上記測定機に設定し、室温(24℃)から測定開始、200℃迄5℃/分で昇温し、次いで室温まで5℃/分で冷却する。これを2回連続で行い、2回めの昇温時の融解による吸熱ピーク面積より融解熱を算出する。
吸水率の測定条件
測定対象の試料を70〜80℃で3〜4時間で十分に乾燥させ、その質量を精密に秤量する。次に、20℃に維持したイオン交換水に試料を投入し、一定時間経過後に引き上げ試料表面の水を清潔な布で拭き取り、質量を測定する。以上の操作を質量増が飽和するまで繰り返し、その結果得られた試料の増加質量(増加分)を初期の質量で除した値を吸水率とした。
表2中、炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
《評価1》
得られた感光体を基本的に図3、図4に記載の構造を有するプリンター(A4紙16枚/分のプリンター:クリーナーレスプロセス)に各々装着し、鮮鋭性の評価等を行った。詳しくは、スタートから1万枚まで、文字画像、ハーフトーン画像を印刷して評価した。評価項目と評価基準を以下に示す。
尚、上記プリンターのプロセス条件は下記の条件で実施した。
帯電器:スコロトロン帯電器
露光器:半導体レーザ(発振波長;680nm)
現像:平均粒径4.5μmの非磁性トナー(重合トナー)、0.3μmのチタン酸ストロンチウム及び15nmの疎水性シリカの外添剤を含有したトナー、反転現像法
(画像ボケ)
◎:1万枚の印刷を通して、画像ボケの発生は全くなし(良好)
○:1万枚の印刷を通して、部分的な画像ボケが数枚(10枚未満)発生したが、実用的に問題なし(実用上問題なし)
×:1万枚の印刷中に、部分的な画像ボケが10枚以上又は広範囲の画像ボケが1枚以上発生した(実用上問題あり)
ダッシュマーク
ハーフトーン画像上のダッシュマーク(彗星状の小さな筋画像)の発生状況を下記の基準で判定した。
◎;感光体上にダッシュマークの発生核がみられず、ハーフトーン画像にもダッシュマークの発生なし(良好)
○;感光体上にダッシュマークの発生核がみられるが、ハーフトーン画像にはダッシュマークの発生なし(実用上問題なし)
×;感光体上にダッシュマークの発生核がみられ、ハーフトーン画像にもダッシュマークが発生している(実用上問題有り)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、文字潰れで評価した。文字サイズ(ポイント)が異なる文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
◎:4ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(良好)
○:6ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(実用上問題なし)
△:8ポイント以下の文字が明瞭であり、容易に判読可能(再評価が必要)
×:8ポイントの文字の一部又は全部が判読不能(実用上問題あり)
Figure 2006038919
表3より、クリーナーレスプロセスの画像形成装置に、本発明の感光体、即ち、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満で且つ水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキが±2.0°の表面層(=電荷輸送層2)を有する有機感光体1〜3、6〜8、10〜12はいずれの感光体も、画像ボケ、ダッシュマーク及び鮮鋭性が改善されている。一方、平均一次粒径が0.01μmのPTFE−4を用いた感光体4は表面層の含フッ素樹脂微粒子の分散性が劣り、接触角のバラツキが2.2と大きくなり、ダッシュマーク及び画像ボケが発生し、鮮鋭性が劣化している。又、平均一次粒径が0.22μmのPTFE−5を用いた感光体5も表面層の接触角のバラツキが2.3と大きくなり、ダッシュマーク及び画像ボケが発生し、レーザ露光の散乱も多くなり、鮮鋭性も劣化している。又、又、表面層(=電荷輸送層2)にPTEF−1の含有量を少なくして、接触角を88に低下させた感光体9は、ダッシュマークの発生がみられ、鮮鋭性が劣化している。又、浸漬塗布装置で表面層(=電荷輸送層2)を塗布した感光体13は接触角のバラツキが2.6と大きくなり、ダッシュマークや画像ボケが発生し、鮮鋭性も劣化している。
本発明に係わる円形スライドホッパー型塗布装置例の断面図である。 本発明に係わる円形スライドホッパー型塗布装置例の斜視図である。 本発明に係るクリーナーレスプロセスを用いた画像形成装置の断面概略図である。 画像形成装置に着脱自在な感光体カートリッジの断面概略図である。
符号の説明
1 画像形成装置
2 感光体カートリッジ
3 現像カートリッジ
4 露光装置
5 給紙装置
6 転写ローラ
7 定着器
8 排紙トレイ
21 感光体
22 帯電器
23、25 電源接続部材
24 徐電器

Claims (8)

  1. 有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体において、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層を有することを特徴とする有機感光体。
  2. 有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いる有機感光体において、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有し、水に対する接触角が90°以上であり且つ接触角のバラツキが±2.0°の表面層を有することを特徴とする有機感光体。
  3. 前記有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層及び複数の電荷輸送層から構成され、該複数層の最上層が表面層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機感光体。
  4. 前記含フッ素樹脂微粒子の結晶化度が40%以上90%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
  5. 前記表面層にシロキサン変成ポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
  6. 前記表面層が酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
  7. 有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機感光体と帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段及び除電手段の少なくとも1つの手段とが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 有機感光体と有機感光体を帯電させる帯電手段と、該有機感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーによって顕像化し該有機感光体上にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該トナー像の転写後の有機感光体を有機感光体表面に接触するクリーニング手段に付することなく帯電手段に循環し、繰り返し電子写真画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体が、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層を有することを特徴とする画像形成装置。
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