JP2005338445A - 有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、オゾンや窒素酸化物の発生量が少ない接触帯電方式を用いて、長期的に安定した画像形成を行うことが出来る有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する有機感光体において、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層が疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体(以後、単に感光体とも云う)、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関し、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、有機感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、これを定着して最終画像が形成される。
上記帯電手段の部材として従来代表的に用いられている帯電部材はコロナ放電器が最もよく知られている。コロナ放電器は安定した帯電を行えるという利点を有する。しかし、コロナ放電器は高電圧を印加しなければならないため、イオン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素化合物等の発生量が多いため、有機感光体(以後感光体とも云う)の劣化を招いたり、人体に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。
そこで、近年、コロナ放電器を利用しない接触帯電方式を利用することが検討されている。具体的には帯電部材である磁気ブラシや導電性ローラに電圧を印加して、被帯電体である感光体に接触させ、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電方式を用いればコロナ放電器を用いた非接触帯電方式と比較して低電圧化がはかれ、オゾン発生量も減少する。
接触帯電方式は、感光体に102〜1010Ω・cm程度の抵抗を持つ帯電部材に、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加し、感光体に加圧当接させ、電荷を付与する方法である。この帯電方法は、パッシェンの法則に従い、帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、あるしきい値以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。この接触帯電方式は、コロナ帯電方法と比較すると、帯電部材への印加電圧が低くなり、オゾン及び窒素酸化物の発生量が減少する。
一方、近年の画像形成方法はデジタル化が進展し、有機感光体の静電潜像の形成にはレーザ光を露光光源とした画像形成方法が多く用いられている。
しかしながら、帯電ローラ等との接触帯電方式では、レーザ光露光による干渉縞(以下、モアレとも云う)を防止するために加工された有機感光体の支持体、即ち、表面を切削加工等で粗面化したアルミニウム支持体等を用いると、切削加工面の凸部が接触帯電では絶縁破壊を発生しやすいという問題が発生している。又、有機感光体表面に繰り返し帯電を行なうと、有機感光体に発生した亀裂や汚染等が発生し、その結果、該亀裂や汚染等の部分に電荷が集中し、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を引き起こしやすく、画像ボケも発生しやすい。特に高温高湿、低温低湿等の厳しい条件下でこれらの問題が発生しやすい。
前記した絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止する為に、導電性支持体のアルミ基体表面をアルマイト加工処理し、有機感光体の電荷リークに対する抵抗力を強め、例え感光層に発生した亀裂や汚染等が発生しても、導電性支持体からの電荷リークを防止することが提案されている(特許文献1)。
しかしながらアルマイト加工処理のアルミ基体を用いた有機感光体はアルマイト加工処理とその後の経時条件のわずかな変動でアルマイト層が変質し、前記した電荷リークの防止効果が安定して得られにくいと云う問題の他に、アルマイト層と感光層との間が電荷トラップサイトとなりやすく、長期的な使用により、徐々に残留電位が蓄積したり、転写メモリー(感光体上のトナー画像を記録材へ転写する時に、感光体にかかる転写帯電が均一に消去されず、次のハーフトーン画像に模様となって発生する現象)が発生しやすい。
特開平5−80567号公報
本発明は、オゾンや窒素酸化物の発生量が少なく、低電力である帯電方法を用いても、さらに長期的に安定した画像形成を行うことが出来る有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
又、本発明の目的は、接触帯電方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、繰り返し使用中に発生しやすい電子写真特性(感度や残留電位等)の劣化を防止し、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、前記転写メモリーの発生、モアレの発生を防止して、鮮鋭性が良好な長期的に安定した画像形成を行うことが出来る有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
本発明者等は鋭意検討の結果、本発明の上記課題を解決するために、有機感光体の導電性支持体、中間層及び感光層について詳細な検討を加えた結果、絶縁破壊や黒ポチの発生を防止し且つ転写メモリーやモアレの発生を防止して、繰り返し使用に対し電位特性が安定した鮮鋭性が良好な電子写真画像が得られる有機感光体を得るためには、導電性支持体を粗面化しても、電荷リークを防止でき、残電上昇を起こさないる中間層を開発することが必要であることを見いだし、本発明を完成した。即ち、レーザ露光によるモアレを防止するために導電性支持体を粗面化しても、絶縁破壊等が発生しにくく且つ残電上昇も防止するには、導電性支持体の粗面化による凹凸を、良好な整流性を有する特定の表面処理を施したN型半導性粒子を含有する中間層で、十分な膜厚でもって被覆することにより解決出来ることを見いだし本発明を完成した。本発明は、以下のような構成のいずれかを有することにより達成される。
(請求項1)
導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する有機感光体において、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層が疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする有機感光体。
(請求項2)
有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層が疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする有機感光体。
(請求項3)
前記N型半導性粒子が下記一般式(1)のシロキサン重合体で表面処理を施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機感光体。
一般式(1) −(R1Si(R2)O)−
1、R2は各々独立に炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を表し、R1、R2
それぞれ同一でも、異なっていてもよい。
(請求項4)
前記シロキサン重合体が反応性の末端基を有することを特徴とする請求項3に記載の有機感光体。
(請求項5)
前記N型半導性粒子が酸化チタン又は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
(請求項6)
前記N型半導性粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項5に記載の有機感光体。
(請求項7)
前記酸化チタンがアナターゼ形酸化チタン又はルチル形酸化チタンであることを特徴とする請求項6に記載の有機感光体。
(請求項8)
前記中間層にポリアミド樹脂のバインダーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機感光体。
(請求項9)
前記ポリアミド樹脂が融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の有機感光体。
(請求項10)
前記中間層のバインダー樹脂とN型半導性粒子の体積比がバインダー樹脂1に対しN型半導性粒子1〜2であることを特徴とする請求項8又は9に記載の有機感光体。
(請求項11)
前記中間層の膜厚が5〜25μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機感光体。
(請求項12)
有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層に疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下である有機感光体と該有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(請求項13)
有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置において、該有機感光体が導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層に疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項14)
有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成方法において、請求項13に記載の画像形成装置を用いて、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明の有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を用いることにより、接触帯電方式で発生しやすい低温低湿、高温高湿での残留電位の上昇や帯電電位の変動を防止し、又絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥を防止し、画像濃度、カブリ特性が良好な電子写真画像を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機感光体は導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する有機感光体において、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層が疎水化度で、且つ10〜50の数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする。
本発明の有機感光体は、上記構成を有することにより、有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置等で発生しやすい、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し且つ転写メモリー及びモアレの発生を防止して、繰り返し使用に対し電位特性が安定したボケのない鮮鋭な電子写真画像を形成することができる。
以下、本発明の有機感光体の構成について説明する。
接触帯電方式に用いられる有機感光体は、前記したように導電性支持体の突起部分や或いは表面に発生した亀裂や汚染等の部分に電荷が集中しやすく、その結果、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を引き起こしやすくい。又、これらの絶縁破壊や黒ポチを絶縁性が強い中間層(例えば厚膜のポリアミド樹脂のみで作製した中間層)で防止すると、転写メモリーも発生しやすい。このような接触帯電特有の電荷の集中を防止し、転写メモリーやモアレを防止した鮮鋭性が良好な電子写真画像を得るには、有機感光体に用いる導電性支持体をレーザ光等の可干渉光で露光してもモアレを十分に防止できる粗面化を施し、即ち、導電性支持体の表面粗さLrを100.600〜102.000%とすると共に、該粗面化された導電性支持体上に疎水化度が10〜50で、且つ数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、且つ表面粗さLrを100.500以下に平坦化した中間層を設置し、その上に電荷発生層や電荷輸送層等の感光層を設置する構成を取ることにより達成される。
導電性支持体の表面粗さLrが100.600%未満ではレーザ光によるモアレが発生しやすく、導電性支持体の表面粗さLrが102.000%より大きいと、上記の中間層を設置しても絶縁破壊が発生しやすい。
ここで、表面粗さLrとはISO4287/1−1984でLrとして定義された無次元数であり、本発明では導電性支持体の粗さ曲線を基準長さの中で直線に引き延ばした時に得られる長さの、基準長さに対する比率をいう。
Figure 2005338445
上式中、f(x)は粗さ曲線を表し、Lは基準長さを表す。
本発明の表面粗さLrは(株)東京精密製のサーフコム1400Dを用いて測定した。
測定条件
測定器の触針先端径:2μm 測定長さ:2.5mm カットオフ値:0.08mm
又、上記導電性支持体の表面粗さLrを達成した上で、更に好ましくは導電性支持体の表面粗さRz(十点表面粗さ)を0.5〜2.5μmの範囲にすることが好ましい。この範囲に前記Rzを構成することにより、より効果的に絶縁破壊や黒ポチを防止できる。
前記RzはJISB0601−1982に記載の基準長0.25mmの値で測定する。即ち、基準長0.25mmの距離間で上位から5つの山頂の平均高さと、下位から5つの谷底の平均低さとの差である。
後述の実施例では、表面粗さLr及びRz共、上記サーフコム1400Dで測定した。但し、誤差範囲内で同一の結果を生じる測定器であれば、他の測定器を用いても良い。
前記N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
ここで、本発明のN型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
N型半導性粒子とは、上記評価で、負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子という。
N型半導性粒子としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)が好ましく、特に酸化チタンが特に好ましく用いられる。
N型半導性粒子は数平均一次粒子径が3.0〜200nmの範囲の微粒子を用いる。特に、5nm〜100nmが好ましい。数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。数平均一次粒径が3.0nm未満のN型半導性粒子は中間層バインダー中での均一な分散ができにくく、凝集粒子を形成しやすく、該凝集粒子が電荷トラップとなって転写メモリーが発生しやすい。一方、数平均一次粒径が200nmより大きいN型半導性粒子は中間層の表面に大きな凹凸を作りやすく、これらの大きな凹凸を通して絶縁破壊や黒ポチが発生しやすい。又、数平均一次粒径が200nmより大きいN型半導性粒子は分散液中で沈澱しやすく、凝集物が発生しやすい。
前記酸化チタン粒子は、結晶形としては、アナターゼ形、ルチル形、ブルッカイト形及びアモルファス形等があるが、中でもアナターゼ形及びルチル形酸化チタン顔料が本発明の粒子として最も好ましい。
ここで、アナターゼ形酸化チタン粒子とは、酸化チタンの粉末X線回析において、最強干渉線が面指数101の干渉線の酸化チタンを意味し、ルチル形酸化チタン粒子とは最強干渉線が面指数110の干渉線の酸化チタンを意味する。
本発明のN型半導性粒子は疎水化度が10〜50であることを特徴とする。従来、酸化チタン顔料を中間層に含有させることは公知であるが、疎水化度を50より高くする表面処理を行うと、酸化チタン顔料の表面を大きく変質させてしまい、N型半導特性を低下させ、その結果中間層の膜厚を厚くすると転写メモリーが増大したり、繰り返し使用による帯電電位や残留電位等の電位安定性が劣化しやすい。本発明の酸化チタン顔料は、表面に存在する水酸基を従来の酸化チタン顔料に比し多く残存させ、疎水化度を10〜50の範囲に調製する。更に、本発明は、この酸化チタン顔料を含有する中間層を、表面粗さLrが100.600〜102.000%の導電性支持体上に十分な膜厚で塗布し、中間層の表面粗さLrが100.500以下となるように構成することにより、絶縁破壊や黒ポチの発生を防止し、併せて転写メモリーや繰り返し使用による電位特性の劣化も改善する。
疎水化度が10未満の酸化チタン顔料を用いると、塗布液中での酸化チタン顔料の分散安定性が低下し、中間層の表面が粗面化し、その結果、絶縁破壊や黒ポチが発生しやすく、疎水化度が50より大きくなると、転写メモリーや繰り返し使用による電位特性が劣化しやすい。より好ましい酸化チタンの疎水化度は20〜45の範囲である。
疎水化度が10〜50の酸化チタン顔料は、酸化チタン顔料の表面に存在する水酸基を封鎖する反応基を全く有しないか或いはあまい多くない反応性基を有するシリコーンオイル等で未処理の酸化チタン顔料を表面処理することにより得ることができる。
例えば、末端(側鎖でもよい)に反応性基のメトキシやエトキシ等のアルコキシ基、水酸基、エポキシ基、アミノ基等の官能性基を有するジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ハイロドジェン、ハロゲン等で酸化チタン顔料を表面処理することにより、疎水化度が10〜50の酸化チタン顔料を得ることができる。又、シリコーンオイルとは常温(20℃)常圧の条件下で液体のシロキサン重合体をいう。
上記の反応性基を有するシリコーンオイルを用いた酸化チタンの表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
即ち、有機溶剤や水に対して末端に反応性基を有するシリコーンオイルを溶解または懸濁させた液に未処理の酸化チタンを添加し、この液を数時間メディア分散を行なう。そして場合によってはメディア分散液に加熱処理を施した後に、濾過等の工程を経た後乾燥し、表面を前記シリコーンオイルで被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に末端に反応性基を有するシリコーンオイルを添加しても構わない。
尚、本発明の疎水化度(メタノールウェッタビリティ)とはメタノールに対する濡れ性の尺度で示される。即ち、以下のように定義される。
疎水化度(メタノールウェッタビリティ)=(a/(a+50))×100
疎水化度の測定方法を以下に記す。
内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、上記式により疎水化度が算出される。
尚、酸化チタンの疎水化度を調製する方法として、上記シリコーンオイルを用いた表面処理以外にも適切な方法があれば、本発明はこれらの表面処理方法を排除するものではない。
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記疎水化度の酸化チタン等のN型半導性粒子の他にバインダー樹脂、分散溶媒等から構成される。
N型半導性粒子の中間層中での比率は、中間層のバインダー樹脂との体積比(バインダー樹脂の体積を1とすると)で1.0〜2.0倍が好ましい。中間層中でこのような高密度で本発明のN型半導性粒子を用いることにより、中間層の整流性が高まり、膜厚を厚くしても残留電位の上昇や転写メモリーも発生せず、絶縁破壊や黒ポチを効果的に防止でき、電位変動が小さい良好な有機感光体を形成することができる。又、このような中間層はバインダー樹脂100体積部に対し、N型半導性粒子を100〜200体積部を用いることが好ましい。
一方、これらの粒子を分散し、中間層の層構造を形成するバインダー樹脂としては、粒子の良好な分散性を得る為にポリアミド樹脂が好ましいが、特に以下に示すポリアミド樹脂が好ましい。
即ち、本発明の中間層にはバインダー樹脂に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂が好ましい。該融解熱は0〜30J/gがより好ましく、0〜20J/gが最も好ましい。一方、前記吸水率が5質量%を超えると、中間層中の含水率が上昇し、絶縁破壊や黒ポチが発生しやすく、残留電位の上昇、カブリの発生等、電子写真特性も低下しやすい。該吸水率は4質量%以下がより好ましい。
上記樹脂の融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetory)にて測定する。但し、DSCの測定値と同じ測定値が得られれば、DSC測定法にこだわらない。該融解熱はDSC昇温時の吸熱ピーク面積から求める。
一方、樹脂の吸水率は水中浸漬法による質量変化又はカールフィッシャー法により求める。
本発明の中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。有機感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、前記した6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これらの樹脂は吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿や低温低湿下の帯電特性や感度等が変化しやすく、絶縁破壊や黒ポチも発生しやすい。
本発明のアルコール可溶性ポリアミド樹脂には、上記のような欠点を改良し、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を与えることにより、従来のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の欠点を改良し、外部環境が変化しても、又有機感光体の長時間連続使用を行っても、良好な電子写真画像を得ることができる。
以下、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂について説明する。
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の40〜100モル%含有するポリアミド樹脂が好ましい。
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド結合単位を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(2)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(3)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。
Figure 2005338445
一般式(2)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
Figure 2005338445
一般式(3)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
前記のごとく、炭素数が7〜30の繰り返し単位構造は置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有する化学構造等が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含む基を有する化学構造が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
又、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(4)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
Figure 2005338445
一般式(4)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
上記一般式(4)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、黒ポチ改善効果が著しい。
Figure 2005338445
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
本発明のポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
Figure 2005338445
Figure 2005338445
Figure 2005338445
上記具体例中の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
上記具体例の中でも、一般式(4)の繰り返し単位構造を有するN−1〜N−4のポリアミド樹脂が特に好ましい。
又、本発明のポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
本発明のポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明の中間層の膜厚は5〜25μmが好ましい。中間層の膜厚が5μm未満では、絶縁破壊や黒ポチが発生しやすく、25μmを超えると、残留電位の上昇や転写メモリーが発生しやすく、鮮鋭性が劣化しやすい。中間層の膜厚は7〜15μmがより好ましい。
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層であることが好ましい。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108以上である。本発明の中間層及び保護層の体積抵抗は1×108〜1015Ω・cmが好ましく、1×109〜1014Ω・cmがより好ましく、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmである。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、有機感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
次に、本発明の導電性支持体について記載する。
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。本発明の導電性支持体としては、アルミニウム支持体が最も好ましい。該アルミニウム支持体は、主成分のアルミニウム以外にマンガン、亜鉛、マグネシウム等の成分が混合したものも用いられる。
本発明の導電性支持体は十点表面粗さLrが100.600〜102.000%であることを特徴とする。このような表面粗さを有する支持体上に、メチルハイドロジェンシロキサン単位を含む重合体で表面処理された数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、表面粗さLrが100.500以下である中間層を構成することにより、レーザ等の干渉性の露光光源を用いてもモアレの発生を防止でき、且つ前記した絶縁破壊や黒ポチ等の発生を防止できる。導電性支持体の表面粗さLrを100.600〜102.000%に構成するためには、導電性支持体の表面を切削加工、研磨加工等の機械的な表面加工により処理することにより達成される。前記Lrが100.600%未満では、モアレが発生しやすく、Lrが102.000%より大きいと黒ポチ、絶縁破壊が発生しやすい。
次に、上記のような中間層、導電性支持体を有する有機感光体の層構成について記載する。
本発明の有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
本発明の導電性支持体としては、前記した導電性支持体が用いられる。
導電性支持体
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、前記した中間層を設ける。
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる結晶構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θの27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θの7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシン、同2θの12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜1μmが好ましい。0.01μm未満では十分な感度特性が得られず、残留電位が上昇しやすい。一方、1μmを超えると絶縁破壊や黒ポチが発生しやすい。
電荷輸送層
一方、電荷輸送層の構成は公知の構成を用いて得ることができる。電荷輸送物質及びバインダーを適切に選択して、電荷輸送層を形成することが必要である。
電荷輸送物質(CTM)としては、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを併用して用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。
本発明の電荷輸送層には前記した膜厚が、10〜30μmの電荷輸送層を用いる。該膜厚が10μm未満では、絶縁破壊や黒ポチ等が発生しやすく、30μmを超えると画像がボケやすく鮮鋭性が劣化しやすい。
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。即ち、前記電荷輸送層を2層で構成したり、電荷輸送層の上に保護層を設けた構成にしてもよい。
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられる。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
次に、本発明の接触帯電方式を用いた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明に係る接触帯電方式を用いた画像形成装置1の断面概略図である。画像形成装置1は内部に、感光体カートリッジ2、現像カートリッジ3、外部からの画像信号に基づいて変調されたレーザビームを偏向させながら射出する露光装置4、記録紙を供給する給紙装置5、転写ローラ6、定着器7および排紙トレイ8が配設されている。
感光体カートリッジ2は、内部に円筒体の外周面に有機光導電材料の薄膜層を形成して成る感光体21、帯電ブラシ22等を備えている。現像カートリッジ3は、内部に図示せぬ現像スリーブ、攪拌ローラ、およびトナーとキャリアが収容されたトナータンクを備えており、現像スリーブには図示せぬ現像電源から現像バイアスが印加される。両カートリッジには、画像形成装置1への着脱の際に機械的接触による不具合が発生するのを防止するために、画像形成装置1への挿入時には閉状態とされ、画像形成装置1からの取り出し時には開状態とされる図示せぬ保護カバーが設けられている。
画像形成プロセスは周知であるため、以下に、簡略に示すに留める。まず、感光体21表面は帯電ブラシ22により所定の電圧で均一に帯電される。露光装置4は、変調されたレーザビーム(図中に破線矢印で示す)を発生し、このレーザビームを図示せぬポリゴンミラーにより偏向して、感光体21上を偏向走査し、前記帯電面に画像情報に応じた静電潜像を順次に形成していく。トナータンク内のトナーは、攪拌ローラで攪拌された後、現像スリーブ上に供給され、感光体21との対向部で、前記静電潜像に対応したトナー像を形成する。同時に、感光体21表面の露光を受けていない部分(非画像部)に存在する残留トナーは、現像スリーブに印加される現像バイアス電圧と感光体21の表面電位との電位差を利用して、現像カートリッジに静電力により回収される。一方、トナー像は、感光体21と対向して配設されている転写ローラ6によって、記録紙上に静電転写される。なお、記録紙は給紙装置5から図中実線矢印で示される搬送路に沿って運ばれてくる。次いで、この記録紙は定着器7に搬送され、ここで未定着トナー像が記録紙上に熱定着される。最後に、所望の画像を形成した記録紙は、排紙トレイ8より排出される。以上一連のプロセスを繰り返すことで、原稿の複製が多量かつ高速にできるわけである。
帯電ブラシは、感光体の回転によって感光体との接触部に送られてきた残留トナーを機械的に撹拌し、判読不可能な状態となるまで感光体表面に拡散させる。また、帯電ブラシは、感光体の帯電極性と反対の極性(逆極性)の残留トナーを静電的に吸着して回収し、感光体の帯電極性と同極性(正規の極性)に帯電させて感光体表面に吐出する。
図2は、画像形成装置1に着脱自在な感光体カートリッジ2の断面概略図である。感光体カートリッジ2は、その保護カバー付きケーシング28内に、像担持体としての感光体21、この感光体21の周りに当接配置された帯電ブラシ22、帯電ブラシ22に所定電圧を印加する電源接続部材23、プレ帯電フィルム24、帯電ならし部材(スポンジ状の帯電部材)25、26、電源接続部材27を収容する。
感光体21は図示せぬ駆動装置により図中矢印方向に回転する。帯電ブラシ22は、毛状の繊維からなる導電糸をブラシ支持体に植設したものである。この帯電ブラシ22は感光体21の表面に接触した状態で、図示せぬ駆動装置により図中矢印方向、つまり感光体21との接触部において、感光体21回転方向に対して同方向に回転する。画像形成時には、帯電ブラシ22に図示せぬ帯電電源より電圧が印加され、これによって感光体21表面を均一に所定極性に帯電させる。一方、非画像形成時には、帯電電源より前記画像形成時と逆の極性の電圧が帯電ブラシ22に印加される。なお、トナーの帯電極性は、画像形成時の帯電電圧の極性と同一である。よって非画像形成時に、帯電ブラシ22内に蓄積されたトナーを静電的反発力により、感光体21上に吐出させることができる。
現像プレ帯電フィルム24及び帯電ならし部材25、26は、帯電ブラシ22による帯電ムラを補う目的で配置されている。
尚、上記画像形成装置は、接触帯電方式のモノクロのレーザプリンタを示したが、帯電手段としては非接触方式のレーザプリンタでも同様の効果が得られ(中でも、非接触方式の場合、繰り返し電位安定性やメモリー特性の改善効果が大きい)、又、カラーのレーザプリンタやコピーにも同様に適用可能である。又、露光光源もレーザ以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
又、前記画像形成装置は、クリーナレスの画像形成装置を例示したが、残留トナーを回収するための専用のクリーニング装置を備える画像形成装置であってもよい。即ち、本発明は、クリーナレス型でない画像形成装置にも適用することができる。又、本発明の有機感光体は帯電手段が非接触の帯電器(コロナ帯電器等)で用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。但し、下記文中の「部」は「質量部」を示す。
以下のようにして、評価に用いる感光体を作製した。
感光体1の作製
中間層1
洗浄済み円筒状アルミニウム基体(切削加工により表面粗さLr:101.017、Rz:0.81μmに加工した)上に、下記中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、120℃30分で乾燥し、乾燥膜厚10μmの中間層1を形成した。
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5ミクロン、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。
(中間層分散液の作製)
バインダー樹脂:(例示ポリアミドN−1) 1部(1.00体積部)
ルチル形酸化チタン(一次粒径35nm;末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を33に調製した酸化チタン顔料)
5.6部(1.6体積部)
エタノール/n−プロピルアルコール/THF(=45/20/30質量比)10部
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
電荷発生層
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
B形オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシン顔料) 20部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学(株)社製) 10部
メチルエチルケトン 700部
シクロヘキサノン 300部
電荷輸送層
下記成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚18μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 70部
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン−Z300」(三菱ガス化学社製)
100部
酸化防止剤(下記化合物A) 8部
テトラヒドロフラン/トルエン(体積比8/2) 750部
感光体2〜17の作製
アルミニウム基体の表面粗さLr、Rz、中間層の粒子、バインダー樹脂、乾燥膜厚、等を表1のように変更した以外は感光体1と同様にして感光体2〜17を作製した。但し、表1の中間層体積比は感光体1〜17の全ての中間層のバインダー樹脂の体積とN型半導性粒子の体積の合計体積を一定にした上で、バインダー樹脂の体積とN型半導性粒子の体積の比(Vn/Vb)を変えた中間層分散液を作製して、中間層を形成した。
尚、前記感光体1〜17の作製と同時に、各感光体の中間層塗布液を用いて、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレート支持体上に各中間層塗布液を塗布し、前記感光体の乾燥条件と同じ条件で乾燥膜厚10μmの中間層を形成して体積抵抗測定用試料を作製し、各中間層の体積抵抗を測定した。その結果、感光体1〜17の中間層の体積抵抗は全て1×108Ω・cm以上であった。
Figure 2005338445
Figure 2005338445
表中、
A1はルチル形酸化チタン
A2はアナターゼ形酸化チタン
Zは酸化亜鉛
*1は末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を33に調製した顔料
*2は末端にメトキシ基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を22に調製した顔料
*3は末端にメトキシ基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を43に調製した顔料
*4は末端にメトキシ基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を12に調製した顔料
*5は末端にメトキシ基を有するメチルフェニルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を48に調製した顔料
*6は末端にメトキシ基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行ない、疎水化度を8に調製した顔料
*7はメチルトリメトキシシランで表面処理を行ない、疎水化度を52に調製した顔料
尚、表中、表面処理とは粒子の表面に施した表面処理に用いた物質を示す。
又、表中の融解熱、吸水率の測定は以下のようにして行った。
融解熱の測定条件
測定機:島津製作所「島津熱流速示差走査熱量計DSC−50」を用いて測定した。
測定条件:測定試料を上記測定機に設定し、室温(24℃)から測定開始、200℃迄5℃/分で昇温し、次いで室温まで5℃/分で冷却する。これを2回連続で行い、2回めの昇温時の融解による吸熱ピーク面積より融解熱を算出する。
吸水率の測定条件
測定対象の試料を70〜80℃で3〜4時間で十分に乾燥させ、その質量を精密に秤量する。次に、20℃に維持したイオン交換水に試料を投入し、一定時間経過後に引き上げ試料表面の水を清潔な布で拭き取り、質量を測定する。以上の操作を質量増が飽和するまで繰り返し、その結果得られた試料の増加質量(増加分)を初期の質量で除した値を吸水率とした。
表中、炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。又、N−12はメトキシメチル化ナイロン6(アミド結合間の炭素数は5であり、メトキシメチル化度は25%)
表1中の中間層の表面粗さLrは上記各感光体の中間層塗布乾燥時点で測定したが、感光体の全ての層を積層した後、電荷輸送層及び電荷発生層を有機溶媒を用いて除去し、中間層の表面を出現させ、乾燥させた上で測定しても、同様の表面粗さLrを得ることができる。
評価
以上のようにして得た感光体1〜16を基本的に図1、2に記載の構造を有するEPSONLP−2400(エプソン(株)販売:A4紙16枚/分のプリンター)に各々装着し、高温高湿(30℃80%RH)と低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、それぞれ評価項目を変えて評価した。評価結果を表2に示す。
露光条件
露光部電位目標:−50V未満にする露光量に設定。
露光ビーム:ドット密度600dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザは780nmの半導体レーザを使用
現像条件:非磁性一成分現像剤を用いた反転現像
評価項目及び評価方法
評価項目及び評価基準
残留電位の評価(べた黒画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にある画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の印刷を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた黒画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し残留電位の上昇が小さい。
◎;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V〜150V(実用上問題なし)
×;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
帯電電位の評価(べた白画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にある画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の印刷を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた白画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し帯電電位の変化が小さい。
◎;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V〜150V(実用上問題なし)
×;べた白画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
画像濃度;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。多数枚のコピーで残留電位が増加すると、画像濃度が低下する。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
◎:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.2より高い(良好)
○:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.0以上、1.2以下(実用上問題なし)
×:低温低湿、高温高湿の何れかで黒ベタ画像が1.0未満(実用上問題あり)
カブリ;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
カブリ濃度はべた白画像をマクベス社製RD−918を使用し反射濃度で測定した。該反射濃度は相対濃度(印刷していないA4紙の濃度を0.000とする)で評価した。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
◎;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010未満(良好)
○;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010以上、0.020以下(実用上問題ないレベル)
×;低温低湿、高温高湿の何れかで濃度が0.020より高い(実用上問題となるレベル)
絶縁破壊;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)で評価
○;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生なし。
×;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生した。
黒ポチの評価(高温高湿(30℃80%RH))
周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチ、黒筋状の画像欠陥が、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
◎;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:全ての印刷画像が5個/A4以下(良好)
○;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:6個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
転写メモリー;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)で評価
濃度の高い文字が次のハーフトーン画像に出現する(メモリー発生)か否(メモリー発生なし)かで判定した。
○;メモリー発生なし。
×;メモリー発生あり。
モアレ;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)で評価
○;モアレの発生なし。
×;ハーフトーン画像にモアレが発生している。
Figure 2005338445
表2より、本発明の有機感光体、即ち、導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層に疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500%以下である有機感光体1〜10は、高温高湿、低温低湿での残留電位、帯電電位の安定性に優れており、このことから画像濃度が十分で且つカブリ濃度が小さい。しかも絶縁破壊も発生せず、黒ポチ等の改良効果が顕著で良好な電子写真画像を得ている。一方、数平均一次粒径が2nmの酸化チタンを用いた感光体11は酸化チタンの分散性が劣り、その結果中間層の表面粗さLrが100.500%より大きくなり、絶縁破壊及び黒ポチが発生している。又、数平均一次粒径が220nmの酸化チタンを用いた感光体12も絶縁破壊及び黒ポチが発生している。中間層の酸化チタンとバインダー樹脂の体積比を大きくして、中間層の表面粗さLrが100.500%より大きくした感光体13は絶縁破壊及び黒ポチが発生しており、HHでの帯電電位の変化が大きく、カブリ、転写メモリーも発生している。又、導電性支持体の表面粗さLrが100.600%より小さい感光体14はモアレが発生しており、導電性支持体の表面粗さLrが102.000%より大きい感光体15は絶縁破壊及び黒ポチが発生している。又、中間層に疎水化度が8の酸化チタンを用いた感光体16も酸化チタン粒子の凝集により、中間層の表面粗さLrが100.500%より大きくなり、絶縁破壊及び黒ポチが発生しており、疎水化度が52の酸化チタンを用いた感光体17はLLでの残留電位の変化が大きく、転写メモリーの劣化もみられた。
本発明に係る接触帯電方式を用いた画像形成装置1の断面概略図である。 画像形成装置1に着脱自在な感光体カートリッジ2の断面概略図である。
符号の説明
1 画像形成装置
2 感光体カートリッジ
3 現像カートリッジ
4 露光装置
5 給紙装置
6 転写ローラ
7 定着器
8 排紙トレイ
21 感光体
22 帯電ブラシ
23、27 電源接続部材
24 プレ帯電フィルム
25、26 帯電ならし部材

Claims (14)

  1. 導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する有機感光体において、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層が疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする有機感光体。
  2. 有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層が疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする有機感光体。
  3. 前記N型半導性粒子が下記一般式(1)のシロキサン重合体で表面処理を施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機感光体。
    一般式(1) −(R1Si(R2)O)−
    1、R2は各々独立に炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を表し、R1、R2
    それぞれ同一でも、異なっていてもよい。
  4. 前記シロキサン重合体が反応性の末端基を有することを特徴とする請求項3に記載の有機感光体。
  5. 前記N型半導性粒子が酸化チタン又は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
  6. 前記N型半導性粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項5に記載の有機感光体。
  7. 前記酸化チタンがアナターゼ形酸化チタン又はルチル形酸化チタンであることを特徴とする請求項6に記載の有機感光体。
  8. 前記中間層にポリアミド樹脂のバインダーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機感光体。
  9. 前記ポリアミド樹脂が融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の有機感光体。
  10. 前記中間層のバインダー樹脂とN型半導性粒子の体積比がバインダー樹脂1に対しN型半導性粒子1〜2であることを特徴とする請求項8又は9に記載の有機感光体。
  11. 前記中間層の膜厚が5〜25μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機感光体。
  12. 有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層に疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下である有機感光体と該有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置において、該有機感光体が導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、前記中間層に疎水化度が10〜50で、数平均一次粒径が3〜200nmのN型半導性粒子を含有し、中間層の表面粗さLrが100.500以下であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 有機感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成方法において、請求項13に記載の画像形成装置を用いて、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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