JP2006037028A - ポリウレタン樹脂用硬化触媒、ポリウレタン樹脂組成物及び接着剤 - Google Patents

ポリウレタン樹脂用硬化触媒、ポリウレタン樹脂組成物及び接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】常温(10〜35℃)で混合したときのポットライフが充分長く、50〜70℃程度の比較的低温加熱でも速やかに硬化する(短いゲルタイムを有する)ポリウレタン樹脂用硬化触媒、ポリウレタン樹脂組成物及び接着剤を提供する。
【解決手段】ポリウレタン樹脂組成物に、二環式アミジンとジケトン類とを含むことを特徴とするポリウレタン樹脂用硬化触媒を含有させることにより、十分な長さのポットライフを得ることができ、かつ、比較的低温度で短いゲルタイムを得ることができる。
【選択図】なし。

Description

本発明は、ポットライフが十分に長く、かつ、比較的低温加熱でもゲルタイムが短いポリウレタン樹脂用硬化触媒、それを含有するポリウレタン樹脂組成物及び接着剤に関するものである。
二液性のポリウレタン樹脂を用いて、接着剤、塗料、注型品等を作る場合、主剤であるポリオール成分と硬化剤であるポリイソシアネート成分の二液を混合して、塗工、塗装、注入等の作業をする。二液を混合すると、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中の水酸基が反応を開始し、混合物の粘度は次第に上昇し流動性を失う。混合後流動性を失うまでの時間を「ポットライフ」という。塗工、塗装、注入等の作業はポットライフの時間内で完了しなければならないので、適度に長いポットライフを得ることが重要になる。
塗工などの作業が済めば、系を完全に硬化させるために、通常加熱してイソシアネートとポリオールとの反応を促進させるが、出来るだけ短時間に硬化させることが望ましい。二液を混合後硬化するまでの時間を「ゲルタイム」という。
従って、二液性のポリウレタン樹脂組成物では、そのポットライフとゲルタイムのバランスをうまくとることが実用上大切である。通常ポットライフを長くするとゲルタイムも長くなり、ゲルタイムを短くしようとするとポットライフも短くなって、両者のバランスを取ることは容易ではない。
この問題を解決するために各種の触媒系が知られている。例えば有効なウレタン化触媒であるアミンを酸でブロックした触媒が周知である。そのような触媒としては、例えばサンアプロ(株)のSA102、SA−1、東ソー(株)のToyocat TFがある。SA102、SA−1は、それぞれ三級アミンの一種である1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)のオクチル酸塩、フェノール塩である。また、Toyocat TFは、トリエチレンジアミンの酸ブロック体である。これらの酸とアミンとのブロック体は、常温〜40℃でも触媒活性があるため、十分なポットライフを得られないという問題がある。
また、特許文献1には、錫などの触媒効果のある金属のアセチルアセトン錯体に、過剰のアセチルアセトンを添加することにより、ポットライフを調整することが開示されている。これは錯体と遊離した金属とアセチルアセトンとの間に平衡関係があり、過剰のアセチルアセトンの存在下では、金属がすべて錯体となって触媒作用を抑えられているが、加熱により系中の遊離したアセチルアセトンを系外に放出させると錯体から金属が遊離し触媒作用が発現するというものである。しかしながら、そのため活性化にはかなりの高温(80〜120℃)を必要とするという問題がある。
更に、イソシアネートをブロックすることで低温でのウレタン化反応を抑える方法も知られている。例えば、特許文献2には、イソシアネートをアセチルアセトンでブロックする方法が開示されているが、このブロック体も解離温度が高いので、高温(100℃以上)に加熱しないと有効に働かない。
特開平9−31151号公報(段落0013参照) 特開平11−246646公報(段落0007参照)
常温(10〜35℃)で混合したときのポットライフが長く、50〜70℃程度の比較的低温加熱でも速やかに硬化する(短いゲルタイムを有する)触媒系が求められているが、上述したように、従来技術では、低温で活性化される触媒ではポットライフが短く、高温に加熱しないと触媒活性が発現されない触媒では加熱温度が高すぎるという欠点がある。
本発明は、上記課題に鑑み、ポットライフ(常温(10〜35℃)で主剤と硬化剤との混合後流動性を失うまでの時間)が充分に長く、ゲルタイム(主剤と硬化剤とを混合し、50〜70℃程度の比較的低温で加熱した後、硬化するまでの時間)の短いポリウレタン樹脂用硬化触媒、ポリウレタン樹脂組成物及び接着剤の提供を目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、二環式アミジンとジケトン類とを含むことを特徴とするポリウレタン樹脂用硬化触媒である。このポリウレタン樹脂用硬化触媒を含有するポリウレタン樹脂組成物は、常温で主剤と硬化剤の二液の混合物が流動性を失うまでの時間(ポットライフ)が長いので作業時間を十分に取ることができ、かつ、50〜70℃の比較的低温度での加熱で速やかに硬化させることができる。したがって、十分な長さのポットライフを得ることができると共に、ゲルタイムを短くすることができる。なお、主剤とは、ポリオール成分を含有するものであり、硬化剤とは、ポリイソシアネート成分を含有するものであり、ポリウレタン樹脂用硬化触媒とは、主剤と硬化剤との硬化反応の速度を促進させる触媒である。
ポリウレタン樹脂用硬化触媒のポリウレタン樹脂組成物への配合方法は限定されるものではない。例えば、予め二環式アミジンとジケトン類とを予備混合しておき、それを主剤及び/又は硬化剤に混合するようにしてもよいし、主剤及び/又は硬化剤に別々に順次添加混合するようにしてもよい。また、ポリウレタン樹脂用硬化触媒には、その他の補助材料、各種の溶剤等を含有させてもよい。
二環式アミジンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(以下、DBUと称す)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5(DBN)、1−クロロ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピン(2,1−b)キナゾリン、10−クロロ−2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド(1,2−A)アゼピン、10−ベンジル−2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド(1,2−A)アゼピン、10−ペンタデシル−2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド(1,2−A)アゼピン、2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド(1,2−A)アゼピン−10−カルボン酸フェニルアミド、2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド(1,2−A)アゼピン、5,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−アゼピン(1,2−A)キナゾリン、1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−ベンゾ−(f)ピリミド(1,2−A)アゼピン、2−フェニル−2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド(1,2−A)アゼピン、3−クロロ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、4−クロロ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、4−メトキシ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、2,3−ジメトキシ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、2−クロロ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、2−ブロモ−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリン、および4−メチル−6,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−アゼピノ(2,1−b)キナゾリンなどがある。なかでも、二環式アミジンは、DBUであることが好ましい。
ジケトン類としては、β−ジケトン、γ−ジケトン等のジケトン化合物、β−ケトエステル等のケトエステル化合物、β−ジカルボニル等のジカルボニル化合物が例示されるが、これに限定されるものではない。β−ジケトンとしてはアセチルアセトン、γ−ジケトンとしてはアセトニルアセトン、β−ケトエステルとしてはアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、β−ジカルボニルとしてはマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルが例示されるが、これに限定されるものではない。
ジケトン類は、二環式アミジン1モルに対して、0.003モル以上、3.0モル未満を配合するのが好ましい。二環式アミジンに対するジケトン類の添加量が多いほど、ポットライフを長くすることができるが、二環式アミジン1モルに対して3.0モル以上の量を添加するとゲルタイムが長くなりすぎてしまう。ジケトン類の添加量を二環式アミジン1モルに対して0.003モル未満とすると、ポットライフ延長の効果が少なくなってしまう。さらに好ましくは、二環式アミジン1モルに対して、0.003モル以上、2.5モル以下を配合するのが好ましい。さらに好ましくは、二環式アミジン1モルに対して、0.01モル以上、1.0モル以下を配合するのが好ましい。この範囲であれば、十分な長さのポットライフと、短いゲルタイムとを、より好ましいバランスで得ることができる。
ポリウレタン樹脂用硬化触媒は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との二液成分からなるポリウレタン樹脂組成物に対して有効である。ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じ充填剤、可塑剤、粘着付与剤、脱水剤などの他の材料を配合することも出来る。
ポリイソシアネート成分としては、従来公知の方法で用いられるものと同じであり、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンー4,4’−ジイソシアネート(MDI)、クルードMDI、3,3’−ジメチルジフェニルメタンー4,4’−ジイソシアネート等及びこれらの2種以上の混合物が使用できるが、これに限定されるものではない。また、ジイソシアネートと下記ポリオールのプレポリマーも使用できる。これらは単独でも2種以上混合しても使用できる。
ポリオール成分としては、例えばポリエーテルポリオール類:例えば、ポリエステルポリオール(例えば、しゅう酸、こはく酸、マレイン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、フタール酸、リシノール酸ダイマー酸等とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、蔗糖、ひまし油等との反応生成物)、ポリエーテルポリオール類(例えばプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビット等のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物)、ポリエステルポリエーテルポリオール(例えば上記ポリエステルポリオールのアルキレンオキサイド付加物)、ポリオール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコールグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ひまし油等)、ポリエステルポリアミド(例えば上記の酸とアミノグリコール、エタノールアミン等の縮合物)、ポリアミンポリオール(例えばエタノールアミンのアルキレンオキサイド付加物)や上記ポリイソシアネートのポリオール過剰反応生成物等を上げる事ができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上混合しても使用できる。
上記のポリウレタン樹脂組成物は、接着剤に用いるのが好適であるが、その他、塗料、注型品などにも有用である。
以下により具体的に実施例、比較例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1〜5)
表1及び表2に示される原料及び配合で、各実施例1〜8及び比較例1〜5の組成物を調整した。なお、表1の実施例1〜5は、ポリウレタン樹脂用硬化触媒を構成するDBUとアセチルアセトン又はアセト酢酸メチルとのモル比を変化させたもの、表2の実施例6〜8は、ポリウレタン樹脂用硬化触媒を構成するDBUとアセチルアセトン又はアセト酢酸メチルとのモル比を固定しておき、組成物全体に対するポリウレタン樹脂用硬化触媒の配合量を変化させたものである。
以下に実施例1の調整方法を示すが、その他の実施例2〜8及び比較例1〜5についても、実施例1と同様の方法で組成物を調整した。
ポリオール成分としてひまし油(工業用1号/豊国製油(株))50重量部に重質炭酸カルシューム(KS−800/同和カルファイン(株))を50重量部混合する(以下主剤と云う)。この主剤に、硬化性樹脂用触媒としてDBU(サンアプロ(株))を0.3重量部、アセチルアセトンを0.001重量部を配合する。ポリイソシアネート成分としてクルードMDI(コスモネートM−50/三井武田ケミカル(株))を上記主剤と触媒の配合物100.3重量部に対し33.3重量部配合する。
(ポットライフ及びゲルタイムの測定試験)
実施例1〜8及び比較例1〜5の組成物のポットライフ、ゲルタイムを以下の方法にて測定した。
(評価方法)
(ポットライフの測定方法)
35℃に調整した主剤とポリウレタン樹脂用硬化触媒との配合物75.2gと、同じく35℃に調整したポリイソシアネート成分25gとを紙コップ(容量190cc)に取り、直ちに混合した。混合開始より流動性がなくなるまでの時間をポットライフとした。混合物は常に35℃雰囲気中に保持した。流動性の有無の判定は、15秒おきごとに紙コップを45°に傾け5秒間放置し、水平位置に戻し、液面が水平にレベリングする時間が5秒を超える場合を流動性が無いと判定した。
(ゲルタイムの測定方法)
主剤と触媒との混合物15.0g及びポリイソシアネート成分5gを各々20℃に温度調整したものを混合し、ボンデ鋼板(板厚み0.8mm、100×100mm)にクシゴテにて230g/mの塗布量で塗り、1分間放置した後、60℃のホットプレス上に置き、プレス盤面に鋼板が充分接触するようにピンセットで押さえる。ホットプレス上にセットしてから、針金でその表面を擦っても配合物が針金に着かなくなるまでの時間をゲルタイムとした。
(バランス係数)
ポットライフとゲルタイムのバランスを示すパラメーターとして、ポットライフ(単位:秒)をゲルタイム(単位:秒)で割った数値をバランス係数とした。バランス係数の値が大きい程、ポットライフが長く、ゲルタイムが短いことを示す。
Figure 2006037028
Figure 2006037028
(評価結果)
表1に記載のとおり、実施例1〜5においてはバランス係数が1.8以上であった。このバランス係数であれば、十分に長いポットライフを得ることができるとともに、60℃という比較的低温度での加熱でも速やかに硬化させることができる(ゲルタイムが短い)。したがって、DBU1モルに対する、アセチルアセトン又はアセト酢酸メチルのモル比が、0.003モル以上、3.0モル未満であれば、良好なバランス係数が得られることが分かる。
また、表2に示されるように、ポリウレタン樹脂用硬化触媒を構成するDBUとアセチルアセトン又はアセト酢酸メチルとのモル比を固定しておき、組成物全体に対するポリウレタン樹脂用硬化触媒の配合量を変化させても、バランス係数は1.8以上であった。したがって、DBUとアセチルアセトン又はアセト酢酸メチルとのモル比を固定しておき、組成物全体に対するポリウレタン樹脂用硬化触媒の配合量を変化させても、DBU1モルに対する、アセチルアセトン又はアセト酢酸メチルのモル比が、0.003モル以上、3.0モル未満であれば、良好なバランス係数が得られることが分かる。
これに対し、比較例1〜5においては同係数が1.8未満と小さく、ポットライフとゲルタイムのバランスが悪い。同じ程度のゲルタイムで比較すると(例えば、実施例1と比較例3及び比較例4、実施例2と比較例1)、実施例のポットライフは比較例のポットライフに比べて十分に長く、作業性に優れている事がわかる。

Claims (5)

  1. 二環式アミジンとジケトン類とを含むことを特徴とするポリウレタン樹脂用硬化触媒。
  2. 前記二環式アミジンは、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂用硬化触媒。
  3. 前記ジケトン類は、前記二環式アミジン1モルに対して、0.003モル以上、3.0モル未満を配合されたことを特徴とする請求項1又は2記載のポリウレタン樹脂用硬化触媒。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂用硬化触媒と、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含むことを特徴とするポリウレタン樹脂組成物。
  5. 請求項4記載のポリウレタン樹脂組成物を用いてなることを特徴とする接着剤。
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