JP2006036600A - セラミック組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリオキシアルキレン樹脂を含有する加熱消滅性樹脂粒子とセラミック粉末とからなるセラミック組成物であって、前記加熱消滅性樹脂粒子は、100〜250℃の所定の温度に加熱することにより、1時間以内に10重量%以上が消滅するものであるセラミック組成物。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、この方法であっても依然として250℃以上における燃焼発熱が存在することから、更に大量の造孔材を添加して気孔率の高い多孔性セラミック材料を製造しようとすると、成形体にクラックが生じたりするという問題点は解決できていなかった。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、多孔質セラミック材料の製造において、ポリオキシアルキレン樹脂を含有し、100〜250℃の所定の温度に加熱することにより、1時間以内に10重量%以上が消滅する加熱消滅性樹脂粒子と、セラミック粉末とからなるセラミック組成物を用いれば、常温においてはハンドリング性よく成形でき、かつ、脱脂・焼成工程においては燃焼熱に起因する成形品のクラック等の発生を抑制しながら、脱脂・焼成工程等に要する時間を短縮して製造効率を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記ポリオキシアルキレン樹脂は、100〜250℃以下の所定の温度に加熱することにより、低分子量の炭化水素、エーテル等に分解された後、燃焼反応や蒸発等の相変化によって消失させることができる。従って、上記加熱消滅性樹脂粒子は、ポリオキシアルキレン樹脂を含有することにより上述の加熱消滅性を発揮することができる。
なかでも、加熱消滅性に優れ、かつ、圧縮強度に優れる加熱消滅性樹脂粒子が得られることから、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン及びポリオキシテトラメチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好適であり、なかでもポリオキシプロピレンがより好適である。適度な加熱消滅性と圧縮強度とを実現するためには、上記加熱消滅性樹脂粒子に含有されるポリオキシアルキレン樹脂のうち、50重量%以上がポリオキシプロピレンであることが好ましい。
上記ポリオキシアルキレンマクロモノマーに含まれる官能基の数は特に限定されないが、官能基を2個以上もつポリオキシアルキレンマクロモノマーを用いれば、架橋させることにより高い圧縮強度を有する加熱消滅性樹脂粒子を得ることができる。
上記セラミック粉末としては特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属炭化物又は金属窒化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
コージェライトとは、SiO2の含有量が42〜56重量%、Al2O3の含有量が30〜45重量%、MgOの含有量が12〜16重量%の配合組成からなるものを意味する。
上記金属炭化物としては特に限定されないが、例えば、炭化ケイ素が好適である。
上記金属窒化物としては特に限定されないが、例えば、窒化ケイ素が好適である。
このときセラミック粉末は、コージェライト、炭化ケイ素又は窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を50重量%以上含有することが好ましい。
本発明のセラミック組成物を用いて多孔質セラミックフィルタを製造する方法としては特に限定されず、例えば、本発明のセラミック組成物を押出成形法、ブレス成形法等の従来公知の方法により賦形した賦形物を調製し、乾燥した後、脱脂・焼成する方法等が挙げられる。
焼成温度としては、用いるセラミック組成物の組成により適宜設定すればよいが、例えば、コージェライトを含有するセラミック粉末を用いる場合には1380〜1440℃、炭化ケイ素を含有するセラミック粉末を用いる場合には1600〜2200℃、窒化ケイ素を含有するセラミック粉末を用いる場合には1500〜1900℃が好ましい。
本発明のセラミック組成物を焼成する多孔質セラミックフィルタの製造方法もまた、本発明の1つである。
(1)加熱消滅性樹脂粒子の調製
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンジメタクリレート80重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)、メタクリル酸メチル20重量部、及び、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、ポリビニルアルコール(PVA)1重量%と亜硝酸ナトリウムとの水溶液0.02重量%溶解させたイオン交換水300重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却してスラリーを得た。得られたスラリーを脱水装置により脱水し、真空乾燥して、樹脂粒子を得た。
また、セイコーインスツルメンツ社製DSC−6200を用いて、昇温速度2℃/分にて昇温しながら測定して加熱減量を調べたところ、分解開始温度は150℃、50重量%減少温度は195℃であり、250℃における重量減少率は約87重量%であった。
更に、得られた樹脂粒子の10%圧縮強度を、フィッシャー社製微小硬度計にて測定したところ、23℃における10%圧縮強度は5MPaであった。
得られた樹脂粒子50重量部に対して、タルク40重量%、カオリン20重量%、アルミナ18重量%、水酸化アルミニウム12重量%、シリカ10重量%からなるセラミック粉末100重量部を混合してセラミック組成物を得た。
得られたセラミック組成物の全量に、メチルセルロース4重量部と水とを加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。得られた坏土を用いて押出成形法により、リブ厚が430μm、セル数が16個/cm2である、直径118mm、高さ152mmの円筒形ハニカム構造体を成形した。
得られた円筒形ハニカム構造体を乾燥した後、400℃まで10℃/分にて昇温し1時間保持して樹脂粒子の脱脂を行った。その後、昇温速度40℃/h、最高温度1410℃、保持時間6時間にて焼成して多孔質セラミックフィルタを得た。
得られた多孔質セラミックフィルタについて目視にて観察したところ、膨張等の変形やクラックの発生は見られなかった。また、アムコ社製ポロシメーター2000を用い、封入水銀圧力2000kg/cm2にて気孔率を測定したところ、気孔率は72%であった。
実施例1で得られた樹脂粒子20重量部に対して、窒化ケイ素98.5重量%、窒化鉄1.5重量%からなるセラミック粉末100重量部を混合してセラミック組成物を得た。
得られた直方体形ハニカム構造体を乾燥した後、400℃まで10℃/分にて昇温し1時間保持して樹脂粒子の脱脂を行った。その後、不活性ガス雰囲気下、昇温速度40℃/h、最高温度1700℃、保持時間6時間にて焼成して多孔質セラミックフィルタを得た。
得られた多孔質セラミックフィルタについて目視にて観察したところ、膨張等の変形やクラックの発生は見られなかった。また、アムコ社製ポロシメーター2000を用い、封入水銀圧力2000kg/cm2にて気孔率を測定したところ、気孔率は63%であった。
(1)加熱消滅性樹脂粒子の調製
モノマー成分として、ポリオキシエチレン−ポリオキシテトラメチレンメタクリレート80重量部(ポリオキシエチレンユニット数=約10、ポリオキシテトラメチレンユニット数=約5;日本油脂社製、ブレンマー55PET−800)、メタクリル酸メチル10重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10重量部を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
また、セイコーインスツルメンツ社製DSC−6200を用いて、昇温速度2℃/分にて昇温しながら測定して加熱減量を調べたところ、分解開始温度は140℃、50重量%減少温度は180℃であり、250℃における重量減少率は約91重量%であった。
更に、得られた樹脂粒子の10%圧縮強度を、フィッシャー社製微小硬度計にて測定したところ、23℃における10%圧縮強度は14MPaであった。
得られた樹脂粒子20重量部に対して、SiC90重量%、酸化硼素5重量%、カオリン2重量%、アルミナ3重量%からなるセラミック粉末100重量部を混合してセラミック組成物を得た。
得られたセラミック組成物の全量に、メチルセルロース8重量部と水とを加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。得られた坏土を用いて押出成形法により、リブ厚が300μm、セル数が16個/cm2である、断面の一辺の長さ50mm、長さ250mmの直方体形ハニカム構造体を成形した。
得られた直方体形ハニカム構造体を乾燥した後、400℃まで10℃/分にて昇温し1時間保持して樹脂粒子の脱脂を行った。その後、昇温速度40℃/h、最高温度2100℃、保持時間6時間にて焼成して多孔質セラミックフィルタを得た。
得られた多孔質セラミックフィルタについて目視にて観察したところ、膨張等の変形やクラックの発生は見られなかった。また、アムコ社製ポロシメーター2000を用い、封入水銀圧力2000kg/cm2にて気孔率を測定したところ、気孔率は65%であった。
(1)加熱消滅性樹脂粒子の調製
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンメタクリレート90重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約13;日本油脂社製、ブレンマーPP−800)、メタクリル酸メチル9重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
また、セイコーインスツルメンツ社製DSC−6200を用いて、昇温速度2℃/分にて昇温しながら測定して加熱減量を調べたところ、分解開始温度は140℃、50重量%減少温度は175℃であり、250℃における重量減少率は約93重量%であった。
更に、得られた樹脂粒子の10%圧縮強度を、フィッシャー社製微小硬度計にて測定したところ、23℃における10%圧縮強度は0.6MPaであった。
得られた樹脂粒子20重量部に対して、SiC90重量%、酸化硼素5重量%、カオリン2重量%、アルミナ3重量%からなるセラミック粉末100重量部を混合してセラミック組成物を得た。
得られたセラミック組成物の全量に、メチルセルロース8重量部と水とを加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。得られた坏土を用いて押出成形法により、リブ厚が300μm、セル数が16個/cm2である、断面の一辺の長さ50mm、長さ250mmの直方体形ハニカム構造体を成形した。
得られた直方体形ハニカム構造体を乾燥した後、400℃まで10℃/分にて昇温し1時間保持して樹脂粒子の脱脂を行った。その後、昇温速度40℃/h、最高温度2100℃、保持時間6時間にて焼成して多孔質セラミックフィルタを得た。
得られた多孔質セラミックフィルタについて目視にて観察したところ、膨張等の変形やクラックの発生は見られなかった。また、アムコ社製ポロシメーター2000を用い、封入水銀圧力2000kg/cm2にて気孔率を測定したところ、気孔率は45%であった。
(1)加熱消滅性樹脂粒子の調製
モノマー成分として、ポリオキシエチレンメタクリレート5重量部(ポリオキシエチレンユニット数=約8;日本油脂社製、ブレンマーPET−350)、メタクリル酸メチル85重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10重量部を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
また、セイコーインスツルメンツ社製DSC−6200を用いて、昇温速度2℃/分にて昇温しながら測定して加熱減量を調べたところ、分解開始温度は220℃であり、250℃における重量減少率は約7重量%であった。
更に、得られた樹脂粒子の10%圧縮強度を、フィッシャー社製微小硬度計にて測定したところ、23℃における10%圧縮強度は87MPaであった。
得られた樹脂粒子20重量部に対して、SiC90重量%、酸化硼素5重量%、カオリン2重量%、アルミナ3重量%からなるセラミック粉末100重量部を混合してセラミック組成物を得た。
得られたセラミック組成物の全量に、メチルセルロース8重量部と水とを加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。得られた坏土を用いて押出成形法により、リブ厚が300μm、セル数が16個/cm2である、断面の一辺の長さ50mm、長さ250mmの直方体形ハニカム構造体を成形した。
得られた直方体形ハニカム構造体を乾燥した後、400℃まで10℃/分にて昇温し1時間保持して樹脂粒子の脱脂を行った。その後、昇温速度40℃/h、最高温度2100℃、保持時間6時間にて焼成して多孔質セラミックフィルタを得た。
得られた多孔質セラミックフィルタについて目視にて観察したところ、樹脂粒子の分解ガスの噴出によるとみられる膨張が見られ、クラックも発生していた。このような欠陥構造のため、フィルタの気孔率測定は不可能であった。
Claims (6)
- ポリオキシアルキレン樹脂を含有する加熱消滅性樹脂粒子とセラミック粉末とからなるセラミック組成物であって、
前記加熱消滅性樹脂粒子は、100〜250℃の所定の温度に加熱することにより、1時間以内に10重量%以上が消滅するものである
ことを特徴とするセラミック組成物。 - 加熱消滅性樹脂粒子は、100〜250℃の所定の温度に加熱することにより、1時間以内に40重量%以上が消滅することを特徴とする請求項1記載のセラミック組成物。
- 加熱消滅性樹脂粒子は、23℃における10%圧縮強度が1〜1000MPaであることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミック組成物。
- セラミック粉末は、金属酸化物、金属炭化物又は金属窒化物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のセラミック組成物。
- セラミック粉末は、コージェライト、炭化ケイ素又は窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を50重量%以上含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のセラミック組成物。
- 請求項1、2、3、4又は5記載のセラミック組成物を焼成することを特徴とする多孔質セラミックフィルタの製造方法。
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