JP2006036582A - 粒状結晶の製造装置および光電変換装置ならびに光発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安定して高効率に結晶化させることができると同時に、高い結晶性を持った粒状結晶を得ることができる粒状結晶の製造装置を提供すること。
【解決手段】 坩堝1のノズル部6から上下方向に配置された管2の内部に結晶材料の融液4を粒状に排出して落下させるとともに、この粒状の融液8を落下中に冷却して凝固させることによって粒状結晶Bを製造する粒状結晶の製造装置において、管2の内側の融液8の落下する領域に管2よりも溶融温度が高い材料から成る遮蔽管3を設ける。坩堝1のノズル部6から排出される粒状の融液8の落下方向が斜めになって管2の内壁に向かった場合でも、管2の内側に設けた遮蔽管3によって粒状の融液8の管2への付着を防止することができるので、融液4の排出を中止せずに粒状結晶Bの製造を継続することができるので、粒状結晶Bの量産性が向上し、粒状結晶Bの製造の低コスト化を図ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は粒状結晶の製造装置に関し、特に、光電変換装置用途の粒状シリコン結晶を得るのに好適な粒状結晶の製造装置およびその製造装置を用いて製造された粒状シリコン結晶を用いた、変換効率特性に優れた光電変換装置ならびに光発電装置に関するものである。
光電変換装置は、性能面での効率の良さ、資源の有限性への配慮、あるいは製造コストの低さ等といった市場ニーズを捉えて開発が進められている。今後の市場において有望な光電変換装置の一つとして、光電変換手段の構成要素として粒状シリコン結晶を用いた太陽電池が注目されている。この粒状シリコン結晶を作製する方法として、シリコン原料を赤外線や高周波を用いて容器内で溶融し、この溶融物を液滴として自由落下させて粒状シリコン結晶を得る技術が知られている。
このような方法で製造された粒状シリコン結晶は、高価な半導体グレードのシリコン材料を用いてCZ(チョクラルスキー)法で育成された単結晶シリコンや鋳造法で作製された多結晶シリコンのように、柱状の結晶を作製した後に300μm程度の薄い基板になるように研削加工する必要がないため、ダイシング工程や研削工程において高価なシリコン材料を無駄にすることがなく、シリコン材料の使用効率に優れているという特長がある。
粒状シリコン結晶を作製するための原料としては、例えば多結晶シリコンを粉砕した結果として発生するシリコンの微小粒子や、流動床法で気相合成された高純度シリコン等が用いられている。これらの原料から粒状シリコン結晶を作製するには、それら原料をサイズあるいは重量によって分別した後に、赤外線や高周波を用いて容器内で溶融し、この溶融物を液滴(粒状の融液)として自由落下させる方法(例えば、特許文献1,特許文献2および特許文献4を参照。)がある。また、溶融したシリコンを飛散させて粒子状の結晶にする方法(特許文献3を参照。)もある。
国際公開第99/22048号公報 米国特許第4188177号明細書 特開平5−78115号公報 米国特許第6432330号明細書
これらの方法で製造された粒状シリコン結晶は、シリコンの溶融温度が1415℃と高温であることから製造装置の上部に設けられた坩堝で加熱され溶融して坩堝の底部の排出孔から排出されることにより液滴(粒状の融液)となり、このシリコン融液が落下中に固化して粒状シリコン結晶となって、製造装置の最下部の回収部や収集部に貯められることになる。
しかしながら、噴出孔において、高温で溶融された結晶材料に含まれる不純物が析出する、または結晶材料に混入されていた不要物が析出することがある。これが進めばその個所の孔はふさがってしまうが、複数個の孔を用いる場合には大きな影響を受けない。
しかしながら、以上のような粒状結晶の製造方法においては、原料を溶融する坩堝の底部の排出孔が融液が固化した析出物でふさがれることがあり、排出孔が不完全にふさがれたときには融液の排出方向が真下ではなく斜めになることがある。その場合には、高温の粒状の融液がそれを内部で落下させる管として用いている石英管等の管壁に向かって排出されて付着凝縮し、その部分の管の内壁が高温となって危険な状態となるため、融液の排出を中止せざるを得なくなり、安定した製造が行なえなくなるということが問題となっていた。
本発明は、以上のような従来の技術における問題に鑑み、これらを解決すべくなされたものであり、その目的は、安定して高効率に結晶化させることができると同時に、高い結晶性を持った粒状結晶を得ることができる粒状結晶の製造装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造された粒状シリコン結晶を用いることで、量産性に富む特性の良好な光電変換装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、本発明の光電変換装置を用いて、特性の優れた低コストの光発電装置を提供することにある。
本発明の粒状結晶の製造装置は、1)坩堝のノズル部から上下方向に配置された管の内部に結晶材料の融液を粒状に排出して落下させるとともに、この粒状の融液を落下中に冷却して凝固させることによって粒状結晶を製造する粒状結晶の製造装置において、前記管の内側の前記融液の落下する領域に前記管よりも溶融温度が高い材料から成る遮蔽管を設けたことを特徴とするものである。
また、本発明の粒状結晶の製造装置は、上記構成において、2)前記遮蔽管は、前記管よりも前記融液との反応性が低いことを特徴とするものである。
また、本発明の粒状結晶の製造装置は、上記各構成において、3)前記結晶材料がシリコンであることを特徴とするものである。
また、本発明の粒状結晶の製造装置は、上記各構成において、4)前記遮蔽管がグラファイトから成ることを特徴とするものである。
本発明の光電変換装置は、5)導電性基板の一主面に、第1の導電型の粒状シリコン結晶が多数個、下部を前記導電性基板に接合され、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を前記絶縁物質から露出させて配置されて、これら粒状シリコン結晶に第2の導電型の半導体層および透光性導体層が順次設けられた光電変換装置であって、前記粒状シリコン結晶は、上記3)または4)の本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造されたものであることを特徴とするものである。
本発明の光発電装置は、6)上記5)の本発明の光電変換装置を発電手段として用い、この発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成したものである。
本発明の粒状結晶の製造装置によれば、坩堝のノズル部から上下方向に配置された管の内部に結晶材料の融液を粒状に排出して落下させるとともに、この粒状の融液を落下中に冷却して凝固させることによって粒状結晶を製造する粒状結晶の製造装置において、管の内側の融液の落下する領域に管よりも溶融温度が高い材料から成る遮蔽管を設けることにより、坩堝のノズル部から排出される粒状の融液の落下方向が斜めになって管の内壁に向かった場合でも、管の内側に設けた遮蔽管によって粒状の融液の管への付着を防止することができるので、融液の排出を中止せずに粒状結晶の製造を継続することができる。また、遮蔽管が管よりも溶融温度が高い材料から成ることにより、斜め方向に連続して排出された粒状の融液が遮蔽板に付着して蓄積した場合でも、管の温度は溶融には至らないように抑えることができる。このことにより、粒状結晶の量産性が向上し、粒状結晶の製造の低コスト化を図ることができる。
また、本発明の粒状結晶の製造装置によれば、遮蔽管は管よりも融液との反応性が低いときには、溶融して反応性が高い状態にある結晶材料の融液が付着しても、遮蔽管と融液との間に接着境界層が形成されないので、遮蔽管への結晶材料の接着強度は弱く、融液の排出終了後に容易に除去できるため、遮蔽管への悪影響は無く、遮蔽管を繰り返して使用することができる。
また、本発明の粒状結晶の製造装置によれば、結晶材料がシリコンであるときには、その融液を内部に落下させる管の材料として通常用いられる石英よりも融点が高温であるので、その管の内側に遮蔽管を設けることによる以上のような効果が高いものとなる。
また、本発明の粒状結晶の製造装置によれば、遮蔽管がグラファイトから成るときには、グラファイトには結晶の作製に悪影響のある金属成分が無く、結晶材料として高融点のシリコンを用いた場合に対しても強度的に十分に耐えることができるので、安定して良質の粒状結晶を製造することができる。
本発明の光電変換装置によれば、導電性基板の一主面に、第1の導電型の粒状シリコン結晶が多数個、下部を前記導電性基板に接合され、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を絶縁物質から露出させて配置されて、これら粒状シリコン結晶に第2の導電型の半導体層および透光性導体層が順次設けられた光電変換装置であって、これら粒状シリコン結晶は、本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造されたものであることから、良好な結晶性を有する粒状シリコン結晶が安定して低コストで製造されるものであるので、これを用いて量産性に富む特性の良好な光電変換装置を提供することができる。
そして、本発明の光発電装置によれば、本発明の光電変換装置を発電手段として用い、この発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成したことから、この光発電装置を用いた光発電システム全体を特性の優れたものとすることができ、かつ低コストの光発電装置を提供することができる。
以下、本発明の粒状結晶の製造装置について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の粒状結晶の製造装置の実施の形態の一例を模式的に表した断面図であり、図2は本発明の粒状結晶の製造装置の実施の形態の他の例を示す断面図であり、図3は柱状の融液および粒状の融液が斜めに噴出されている状況を示す要部断面図である。また、図4は本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造した粒状シリコン結晶を用いた光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
図1〜図3において、1は坩堝、1aは坩堝1の内壁部材、1bは坩堝1の外壁部材、2は管、3は遮蔽管、4は結晶材料の融液、5は結晶材料の析出物、6はノズル部、6aはノズル孔、7は柱状の融液、8は粒状の融液、Bは粒状結晶、Cは収納部である。また、図4において、BSは粒状シリコン結晶、9は導電性基板、10は接合層、11は絶縁物質、12は半導体層、13は透光性導体層、14は電極である。
坩堝1は内壁部材1aと外壁部材1bとからなり、外壁部材1bは、結晶材料の融液4を形成するための温度での強度を、例えば半導体材料のシリコンを溶融する温度である1460℃付近での強度を考慮して、酸化アルミニウム,炭化珪素,グラファイト,窒化ホウ素,窒化珪素等で形成される。また、内壁部材1aは、加工が容易である点やコストが低い点に加え、結晶材料の融液4に直接接触している部材であるため、結晶材料の融液4との反応性を考慮して、石英で形成するのが最も好ましい。なお、チョクラルスキー方式の引き上げの坩堝に高純度石英が用いられているのはこのためである。
坩堝1の内壁部材1aの先端側にはノズル部6が設けられている。つまり、筒状の坩堝1本体とは別体にノズル部6を設け、これを坩堝1本体の底部内側に配設したものである。このノズル部6は、炭化珪素,ダイヤモンド,酸化アルミニウム,立方晶窒化ボロン等からなる。また、ノズル部6は、結晶材料の融液4を粒状の融液8となるように排出するためのノズル孔6aを有している。なお、ノズル孔6aは複数設けてもよい。ノズル部6へのノズル孔6aの加工は、機械加工あるいはレーザ加工で孔の下端部の内径が例えば100μm程度の所定の値になるように管理して行なう。
このような坩堝1は、内壁部材1a,外壁部材1bおよびノズル部6を所定の形状に加工した後に、酸洗浄,水洗,乾燥を行ない、外壁部材1bの底部にノズル部6を配置し、外壁部材1bの内側にノズル部6の上から内壁部材1aをセットして組み立てる。
このように構成された坩堝1に結晶材料の原料を投入して、誘導加熱または抵抗加熱ヒータで結晶材料の原料を溶融して結晶材料の融液4とする。
この時の温度制御としては、坩堝1の外側の側面にセットされた熱電対で坩堝1の温度をモニターして、ここの温度が所定の温度になるように誘導加熱または抵抗加熱ヒータの温度を調整する。誘導加熱または抵抗加熱ヒータの温度は、加熱部にセットされた熱電対で別途測温して調整する。
結晶材料の融液4の状態が安定したら、その上部を不活性ガス等の気体で加圧して、ノズル孔6aから結晶材料の融液4を押し出して噴出させる。噴出した融液は、一旦は柱状の融液7となった後に粒状の融液8となり、管2の中を落下中に凝固して単結晶または多結晶の粒状結晶Bとなって収納部Cに収容される。
粒状結晶Bは、例えばシリコンから成る粒状シリコン結晶の場合であれば、結晶材料としてのシリコンに、所望の抵抗値にp型またはn型を呈するホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウム,リン,砒素,アンチモン等のドーパントがドーピングされている。p型ドーパントとしては、シリコンに対する偏析係数が他の元素に比較して大きく1により近いという点やシリコン溶融時の蒸発係数が小さい点からは、ホウ素を用いることが望ましい。また、ホウ素濃度としては、シリコン原料に1×1014〜1018atoms/cm程度添加したものである。
粒状結晶Bの大きさ、通常はほぼ球状であることからその粒径は、1500μm以下が望ましく、その形状が球に近いことが望ましい。ただし、形状は球状に限られるものではなく、立方体状や直方体状等、その他の形状であってもよい。大きさが1500μmを超えて大きくなる場合には、粒状の融液8の状態の時における形状を安定に保つことが難しくなり、球状となりにくく、得られた粒状結晶Bの光電変換装置への適用時等に問題となるとともに、固化時にサブグレインが生じ易く良好な結晶となり難いので望ましくない。他方、大きさが1μm未満と小さい場合には、ノズル部6からの結晶材料の融液4の排出後、粒状の融液8が管2の内部で浮遊するため粒状の融液8同士が合体し易くなるので望ましくない。従って、粒状結晶Bの大きさは1μm〜1500μmであることが望ましく、さらには10〜500μmが望ましい。これによって粒状結晶B同士の合体を抑制し、サブグレインの発生がない、球形状で良質な粒状結晶Bを作製することができる。
ノズル部6のノズル孔6aより排出された粒状の融液8は、熱を放散しながら管2の内部で真空中または不活性気体中を落下していく。粒状の融液8およびそれから得られる粒状結晶Bの表面への有機物等の付着汚染を防止するため、および表面の酸化膜の形成を防止するために、管2の内部は真空状態としてあるか不活性気体によって雰囲気が充分にガス置換されていることが望ましい。不活性気体としては、アルゴン,窒素,ヘリウム,水素が適するが、コストが低いという面や扱い易いという面からは、アルゴンあるいは窒素が好適である。
ノズル孔6aはノズル部6に垂直方向に形成されており、したがって、結晶材料の融液4は通常はノズル部6に垂直な方向の下方に排出される。ノズル孔6aから排出された結晶材料の融液4は、初めは柱状の融液7となり、それが分裂して粒状の融液8となって、管2の内部を内壁に沿って落下していく。放出された粒径300μmの粒状の融液8は、ノズル孔6aからの排出後2mを過ぎるころには固化し、約2.4m/sの一定の終速度となって落下していく。
結晶材料の融液4は、坩堝1の内壁部材1aの材料と反応していわゆるスラグを形成することがある。例えば、結晶材料がシリコンであれば、周囲の内壁部材1aの材料であるグラファイトと反応したり、気体中に含まれる二酸化炭素と反応したりして、シリコンカーバイド粒子を形成することがある。この粒子はノズル孔6を抜けて排出口にきたところで析出し、図3に示すように、結晶材料の析出物5として徐々に成長していく。この結晶材料の析出物5は最終的にはノズル孔6aをふさいでしまうが、ノズル部6に複数個のノズル孔6aを形成することで、ノズル孔6aが結晶材料の析出物5でふさがれることによる生産性の低下はある程度は解決される。
しかしながら、図3に示すように、ノズル孔6aの一部を結晶材料の析出物5がふさいだときには、噴出された柱状の融液7は斜めに飛ぶこととなり、固化する前に石英から成る管2の内壁に粒状の融液8が付着あるいは溶着することが発生する。管2の内部の圧力は、真空状態として大気圧よりも低く、あるいは不活性気体を導入して大気圧よりも高く設定されているので、粒状の融液8が付着し、あるいは溶着した部分の管2の強度の低下により危険な状況となる。このため、粒状結晶Bの製造の継続を断念せざるを得なくなる事態が起きることとなる。
これに対し、本発明の粒状結晶の製造装置では、坩堝1のノズル部6から粒状の融液8が斜め方向に排出されて管2の内壁に向かったとしても、その粒状の融液8の管2の内壁への付着を効果的に防止するために、管2の内側の粒状の融液8の落下する領域に、管2よりも溶融温度が高い材料から成る遮蔽管3を設けたものである。
図1は、本発明の粒状結晶の製造装置の実施の形態の一例の断面を模式的に表したものである。坩堝1内で溶融された結晶材料の融液4は、ノズル部6に形成されているノズル孔6aから斜めに排出されたとき、管2の内側に設けられた遮蔽管3に当たり、管2の内壁に付着することが防止される。この遮蔽管3は管2の材料よりも溶融温度が高い材料から成るため、溶融した結晶材料である粒状の融液8が付着しても、強度が低下することはなく安全である。
遮蔽管3の材料としては、具体的には、グラファイト,シリコンカーバイド,窒化ホウ素,アルミナ,ムライト等のセラミックスが適している。この中でも、粒状結晶Bの純度に影響の無いように高純度化できる点で、グラファイトまたはシリコンカーバイドが適している。
また、遮蔽管3の大きさとしては、管2の内径よりも小さい外径であればよい。また、厚みは、使用時の温度や粒状の融液8の衝突や付着に対する強度を考慮して適宜選択すればよいが、通常は1mm〜10mmの厚さが取り扱い・加工性・重量・コストの点から好ましい。
また、遮蔽管3を設ける範囲としては、管2の内側の融液の落下する領域であるが、より具体的には、遮蔽管3の上端の位置はノズル孔6aから排出された柱状の融液7が斜めに噴出して粒状の融液8が管2の内壁面に当たる可能性のある位置から上(ノズル孔6aから45度の方向の管2の内壁から上が望ましい。)に位置するようにし、そこから下方へ粒状の融液8がほぼ固化し、多数の結晶材料の粒子が凝縮することのない範囲まで、例えば0.5〜2mの長さで被覆することが好ましい。
さらに、遮蔽管3の形状は、図1に示すような、管2の内壁に沿った円筒状であってもよいし、図2に示すように、円筒状の部分の下部を上面の中心径よりも下面の中心径が小さいいわゆるすり鉢状としたものとしてもよい。遮蔽管3を図1に示すような円筒状とすると、加工が容易で、取り付けも簡単なものとなる。また、図2に示すような円筒状の部分の下部をいわゆるすり鉢状としたものとすると、ノズル孔6aから見たときの遮蔽効果が高まり、図1に示すものよりも使用材料が少なくてすむものとなる。
なお、遮蔽管3を図2に示すような円筒状の部分の下部をいわゆるすり鉢状としたものとする場合は、その厚みは、上記と同様の理由から1mm〜10mmが好ましく、取り付ける上端の位置は図1に示すものと同じとし、ノズル孔6aから直線的に見て管2の0.5〜2mの長さの部分が遮蔽されるような大きさとすることが好ましい。
本発明の粒状結晶の製造装置における遮蔽管3は、以上の他にも、一体のものでなくとも各部を分割したものを組み合わせたものとしてもよい。
このように遮蔽管3を設けることにより、量産性が向上し、結晶粒子の低コスト化を図ることができる。
また、遮蔽管3は、その材料が管2よりも融液(8)との反応性が低いときには、粒状の融液8として溶融温度の結晶材料が付着しても、反応性が低いために接着強度は強くないので、粒状の融液8が固化して遮蔽管3に付着しても容易に除去することができ、遮蔽管3を繰り返して使用することができる。
また、結晶材料が融点1415℃のシリコンであるときには、通常用いられる管2の材料である高純度石英よりも融点が高温であり、シリコンの融液との反応性も低い高純度グラファイト製またはシリコンカーバイド製の遮蔽管3を用いることで、粒状シリコン結晶の外周部から、シリコンの少数キャリアのライフタイムを低減させる悪影響のある金属成分のシリコン結晶中への不純物としての混入は回避され、高融点のシリコンに対しても強度的に十分に耐え得るものとなる。
本発明の光電変換装置は、図4に断面図で示すように、導電性基板9の一主面、この例では上面に、第1の導電型例えばp型の粒状シリコン結晶BSが多数個、その下部を例えば接合層10によって導電性基板9に接合され、粒状シリコン結晶BSの隣接するもの同士の間に絶縁物質11を介在させるとともにそれら粒状シリコン結晶BSの上部を絶縁物質11から露出させて配置されて、これら粒状シリコン結晶BSに第2の導電型例えばn型の半導体層12および透光性導体層13が順次設けられた構成となっている。なお、電極14は、この光電変換装置を太陽電池として使用する際に、透光性導体層13の上に所定のパターン形状に被着形成されるものであり、例えばフィンガー電極およびバスバー電極である。
そして、本発明の光電変換装置においては、このような構成において、粒状シリコン結晶BSは、上記のような本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造されたものであることを特徴とするものである。
本発明の光電変換装置によれば、このように粒状シリコン結晶BSが本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造されたものであることから、粒状シリコン結晶に不純物を含まず、製造を安定して多数回繰り返すことのできる粒状結晶の製造装置を用いることにより、低コストで変換効率の優れた光電変換装置を提供することができる。
なお、本発明の光電変換装置において、粒状シリコン結晶BSは、前述のように、所望の抵抗値になるように第1の導電型とするためのドーパント、例えばp型ドーパントがドーピングされている。p型ドーパントとしてはホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウムがあるが、シリコンに対する偏析係数が大きい点やシリコン溶融時の蒸発係数が小さい点からは、ホウ素を用いることが望ましい。なお、粒状シリコン結晶BSには、n型ドーパントがドーピングされていてもかまわない。n型ドーパントとしてはリン,砒素等が望ましい。
次に、この本発明の光電変換装置の作製方法について説明する。
まず、第1の導電型の粒状シリコン結晶BSの表面に、熱拡散法により逆導電型のドーパントを拡散し、第2導電型の半導体層12を形成する。これにより形成されたpn接合に粒状シリコン結晶BS内で光電変換させて発生した少数キャリアを収集することで発電させる。
次に、表面にアルミニウム層またはアルミニウム合金層を形成した、少なくとも表面が導電性の導電性基板9の上に粒状シリコン結晶BSを配置し、しかる後に、還元雰囲気中にて全体的に加熱して、生じた接合層10を介して、多数個の粒状シリコン結晶BSの下部を導電性基板9に接合させる。
このとき、導電性基板9を表面にアルミニウムを含む金属基板にすることにより、低温で粒状シリコン結晶BSを接合することができ、軽量かつ低価格の光電変換装置を提供することができる。また、導電性基板9の表面を粗面にすることにより、導電性基板9の表面まで到達する非受光領域の入射光の反射をランダムにすることができ、これによって導電性基板9の表面に入射した光を斜めに反射させてモジュール表面へ再反射させることができ、これを粒状シリコン結晶BSの光電変換部でさらに光電変換することにより、入射光を有効に利用することができる。
第2の導電型の半導体層12を形成するには、粒状シリコン結晶BSの導電性基板9への接合に先立って、粒状シリコン結晶BSの表面に工程コストの低い熱拡散法により形成するとよい。例えば、第2の導電型のドーパントとして、V族のP,As,SbやIII族のB,Al,Ga等を用い、石英からなる拡散炉に粒状シリコン結晶BSを収容し、ドーパントを導入しながら加熱して粒状シリコン結晶BSの表面に第2の導電型の半導体層12を形成する。
次に、粒状シリコン結晶BSの表面に形成された薄いガラス層を除去した後、多数個の粒状シリコン結晶BSをアルミベース基板の導電性基板9の一主面(上面)に高密度に配設したものを、Al−Siの共晶温度である577℃以上に加熱することにより、粒状シリコン結晶BSの下部と導電性基板9との間でAl−Siの共晶部による接合層10が形成される。
次に、接合された粒状シリコン結晶BSの隣接するもの同士の間に、ポリイミド樹脂等の絶縁物質11を、粒状シリコン結晶BSの上部を露出させてムラ無く全面にコーティングする。このように、絶縁物質11を粒状シリコン結晶BSの上部少なくとも天頂部を露出させて、隣接する粒状シリコン結晶BS同士の間に介在させていることにより、各粒状シリコン結晶BSとその上部に設けられる透光性導体層13や、あるいは第2の導電型の半導体層12として形成されるアモルファスシリコン層等との有効な接触を可能とする。
ここで、隣接する粒状シリコン結晶BS同士の間の絶縁物質11の表面形状を、粒状シリコン結晶BS側が高くなっている凹形状をしているものとすることにより、絶縁物質11とこの上を被って付与される光電変換モジュールの封止樹脂との屈折率の差により、光電変換材料としての粒状シリコン結晶BSの無い非受光領域における、粒状シリコン結晶BSへの入射光の乱反射を促進することができる。
さらに、粒状シリコン結晶BSの露出した上部の半導体層12の上から透光性導体層13を形成し、それぞれの粒状シリコン結晶BSで発生した光電流を収集できるようにする。この透光性導体層13は、錫ドープ酸化インジウム膜,酸化スズ膜,酸化亜鉛膜等から成り、その厚みを例えば850Å程度にすることで反射防止効果を有している。透光性導体層13は、量産に適した信頼性の高い膜質のものを得るにはスパッタリング法で形成するのが通常であるが、CVD法,ディップ法,電析法等によっても形成することができる。透光性導体層13は、第2の導電型の半導体層12上に上部電極として形成されるとともに、絶縁物質11上にも形成され、個々の粒状シリコン結晶BSで形成された光電変換素子を並列に電気的に接続することができる。
その後、透光性導体層13上に、例えば銀ペースト等を櫛歯状に塗布して、グリッド電極あるいはフィンガー電極およびバスバー電極等の電極14を形成することで、本発明の光電変換装置が得られる。
以上のような本発明の光電変換装置によれば、管2内の遮蔽板3に不純物汚染源が無いため、高効率で低コストの光電変換装置が実現できる。
以上のような本発明の光電変換装置は、低コストかつ高効率である光電変換システムを供給できるので、設置架台やコンバーター等のトータルシステムにおいても効果を発揮しうるものである。
次に、本発明の粒状結晶の製造装置およびそれを用いて製造した粒状シリコン結晶を用いた光電変換装置をより具体化した実施例について説明する。
まず、ホットプレスで焼結したグラファイト素材を所定の形状に加工した外壁部材1bと、石英からなる内壁部材1aとを形成した。
また、CVD法で作製した炭化珪素の基板を用いて、厚み1.0mmの円板形状のノズル部6に加工した。このノズル部6の中心にレーザ加工によりノズル孔6aを形成した。ノズル孔6aは、レーザ加工条件を最適化することにより、ノズル孔6aの下側の開口部直径が100μmになるようにした。
これらの部材を図1に示すような構成で坩堝1に組み立てた。また、図1に示すように、ノズル孔6aから下方に1mの所から、石英から成る管2の内径より小径の、2mの長さの純化処理したグラファイトから成る円筒形の遮蔽管3を設けた。
次に、組み立てた坩堝1を不活性雰囲気に維持できる炉の中にセットして、1430℃に昇温した。不活性雰囲気中で1430℃の温度に維持した坩堝1へ同じく不活性雰囲気に保たれた経路を通じてシリコン原料500gを供給し、完全に溶融させて結晶材料の融液4とした。十分に溶融した状態になるまで待ってから、アルゴンガスを用いて結晶材料の融液4を加圧し、ノズル孔6aより排出して粒状の融液8として管2の内部を落下させた。そして、新たに結晶材料としてシリコン原料を追加し、溶融して、ノズル孔6aから排出する回数を繰り返した。
繰り返し回数が増えてきたときに、ノズル孔6aの一部を結晶材料の析出物5がふさぎ、斜め方向に粒状の融液8の排出が始まった。このとき、ノズル孔6から3m以上離れた所で管2に当たるときは、既に固化が始まっており、管2の内壁に付着することなくはじかれた。これに対し、ノズル孔6aから3m以内は粒状の融液8は液滴のままであり、固化する前に遮蔽管3に当たりその内壁に粒状の融液8が付着したが、その外側の管2には何の影響も無かった。なお、ノズル孔6aから1m以内の所の管2に当たるように斜めに排出されるものは無く、そのように角度が急になる前にノズル孔6aがふさがれてしまうこととなる。この結果、坩堝1のノズル部6からの結晶材料の融液4の排出作業をさらに繰り返すことができた。
また、結晶材料の融液4の排出終了後、遮蔽管3を取り外し、その内壁に付着したシリコンを取り除くことによって、遮蔽管3は再度使用することができた。
一方、図2に示すような形状の遮蔽管3も準備した。図1で使用した円筒形の遮蔽管3を短くした代わりに、その下部に円錐状に径が狭まったスカート部を形成し、ノズル孔6aから1〜3mの管2の内壁には粒状の融液8が付着しないように設計したことで、遮蔽管3の上下方向の寸法を小さくすることができた。
こうして得られた粒状シリコン結晶BSを石英基板に乗せて、温度制御した溶融炉の中で再溶融させて、酸素・窒素雰囲気下で降温することにより、内部の不純物の含有量を抑えた単結晶シリコンから成る粒状シリコン結晶BSを得た。
次に、このようにして得られた粒状シリコン結晶BSを用いて、光電変換装置を作製した。
この粒状シリコン結晶BSを石英ボートに乗せて、900℃に制御された石英管の中に導入し、POClを窒素でバブリングさせてこの石英管に送り込み、30分で粒状シリコン結晶BSの表面におよそ1μmの厚さのn型の半導体層12を形成し、その後、フッ酸にて表面の酸化膜を除去した。
次に、導電性基板9として50mm×50mm×厚さ0.3mmのアルミニウム基板を用い、この上面にこの粒状シリコン結晶BSを最密六方状に配設した後、アルミニウムとシリコンとの共晶温度である577℃を超える600℃で、5%の水素を含む窒素の還元雰囲気炉中で加熱して、多数個の粒状シリコン結晶BSの下部を導電性基板9と接合させた。このとき、粒状シリコン結晶BSが導電性基板9のアルミニウムと接触している部分ではアルミニウムとシリコンの共晶から成る接合層10が形成されており、強い接着強度を呈していた。
さらに、この上から粒状シリコン結晶BS同士の間にそれらの上部を露出させてポリイミド樹脂から成る絶縁物質11を塗布乾燥し、下部電極となる導電性基板9と、上部電極となる透光性導体層13とを電気的に絶縁分離するようにした。
この上に上部電極膜としての透光性導体層13を、塩化インジウムと塩化スズのエタノール溶液(In:Sn=9:1とし、金属成分は0.1モル濃度とした。)を用いた溶液を加熱した基板上部からスプレーすることで作製した。このとき、加熱温度は350℃とし、全面に約100nmの厚みで形成した。
最後に、銀ペーストをディスペンサーでグリッド状にパターン形成して、フィンガー電極およびバスバー電極からなる電極14を形成した。なお、この銀ペーストのパターンは、大気中500℃で焼成を行なった。
このようにして得られた本発明の光電変換装置について、その電気特性をAM1.5のソーラーシミュレーターで評価した結果、13%を超える変換効率を再現よく得ることができた。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、遮蔽板3を構成する材料が数種類の材料から成る複合材料でもよく、それによれば、高純度・高融点の材料の使用率を低減することで製造のコストをさらに低減できることや、一部の部品の交換のみでさらに長寿命にすることもできるものとなる。
本発明の粒状結晶の製造装置の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の粒状結晶の製造装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 柱状の融液および粒状の融液が斜めに噴出されている状況を示す断面図である。 本発明の粒状結晶の製造装置を用いて製造した粒状シリコン結晶を用いた光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
符号の説明
1:坩堝
1a:内壁部材
1b:外壁部材
2:管
3:遮蔽管
4:結晶材料の融液
5:結晶材料の析出物
6:ノズル部
6a:ノズル孔
7:柱状の融液
8:粒状の融液
B:粒状結晶
BS:粒状シリコン結晶
C:収納部
9:導電性基板
10:接合層
11:絶縁物質
12:第2の導電型の半導体層
13:透光性導体層
14:電極

Claims (6)

  1. 坩堝のノズル部から上下方向に配置された管の内部に結晶材料の融液を粒状に排出して落下させるとともに、この粒状の融液を落下中に冷却して凝固させることによって粒状結晶を製造する粒状結晶の製造装置において、前記管の内側の前記融液の落下する領域に前記管よりも溶融温度が高い材料から成る遮蔽管を設けたことを特徴とする粒状結晶の製造装置。
  2. 前記遮蔽管は、前記管よりも前記融液との反応性が低いことを特徴とする請求項1記載の粒状結晶の製造装置。
  3. 前記結晶材料がシリコンであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状結晶の製造装置。
  4. 前記遮蔽管がグラファイトから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の粒状結晶の製造装置。
  5. 導電性基板の一主面に、第1の導電型の粒状シリコン結晶が多数個、下部を前記導電性基板に接合され、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を前記絶縁物質から露出させて配置されて、これら粒状シリコン結晶に第2の導電型の半導体層および透光性導体層が順次設けられた光電変換装置であって、前記粒状シリコン結晶は、請求項3または請求項4記載の粒状結晶の製造装置を用いて製造されたものであることを特徴とする光電変換装置。
  6. 請求項5記載の光電変換装置を発電手段として用い、該発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成した光発電装置。
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