JP2007184496A - 結晶半導体粒子の製造方法および光電変換装置 - Google Patents

結晶半導体粒子の製造方法および光電変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高品質な粒状シリコン結晶を安定して作製でき、量産性や低コスト性に優れた光電変換装置に適した結晶シリコン粒子を製造することを目的とする。
【解決手段】上面に複数個の半導体粒子101を載置した台板102を加熱炉201内に導入し、半導体粒子101を加熱して溶融させた後、この溶融した半導体粒子101を台板102側から上方に向けて固化させることによって結晶半導体粒子101とする結晶半導体粒子101の製造方法である。また、台板102は、上面の表面の表面粗さの平均間隔RSmが半導体粒子101の直径よりも小さい粗面とされていることで、小面積の凝固起点を有することにより、得られる結晶が電気特性に優れた高品質の単結晶となる。また、第1導電型のドーパントに一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成されている結晶半導体粒子101を用いて、高い変換効率の光電変換装置を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特に太陽電池のような光電変換装置に用いるのに好適な結晶半導体粒子の製造方法およびその製造方法によって製造された結晶半導体粒子を用いた光電変換装置に関する。
従来より、光電変換装置は性能面での効率の良さ、資源の有限性への配慮、あるいは製造コストの低さ等といった市場ニーズを捉えて開発が進められている。今後の市場において有望な光電変換装置の一つとして、太陽電池として使用される、半導体粒子を用いた光電変換装置が注目を浴びている。
半導体粒子、例えばシリコン粒子を作製するための原料としては、単結晶シリコンを粉砕した結果として発生するシリコンの微小粒子や、流動床法で気相合成された高純度シリコン等が用いられている。これらの原料からシリコン粒子を作製するには、それら原料をサイズあるいは重量によって分別した後に、赤外線や高周波を用いて容器内で溶融し、その後に自由落下させる方法(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)や、同じく高周波プラズマを用いる方法(例えば、特許文献3を参照。)によって粒子化することが行なわれる。
しかしながら、これらの方法で製造されたシリコン粒子は、そのほとんどが多結晶体である。多結晶体は、微小な結晶の集合体であるため、それら微小な結晶間に粒界が存在する。この粒界は、多結晶体を用いた半導体装置の電気特性を劣化させる。その理由は、粒界にはキャリアの再結合中心が集まっており、それによってキャリアの再結合が生ずることで少数キャリアのライフタイムが大幅に低減してしまうためである。
光電変換装置のように電気特性が少数キャリアの寿命の増大とともに大幅に向上する半導体装置の場合には、それに用いられるシリコン粒子中の粒界の存在は、電気特性を悪化させてしまい、特に大きな問題となる。逆に言えば、シリコン粒子を多結晶体から単結晶体にできれば、このシリコン粒子を光電変換素子に用いた光電変換装置の電気特性を著しく改善することができる。
また、多結晶体中の粒界は多結晶体のシリコン粒子の機械的強度を低下させることから、光電変換装置を製造する各工程の熱履歴や熱歪み、あるいは機械的な圧力等によってシリコン粒子が破壊されやすいという問題もあった。
従って、シリコン粒子を用いて光電変換装置を製造する場合には、粒界等が存在しない、結晶性に優れた多結晶体または単結晶体からなる結晶シリコン粒子を製造することが必要不可欠となる。
そのような結晶性に優れた単結晶体からなる結晶シリコン粒子を得る方法として、多結晶シリコンまたは無定形シリコンの表面上にシリコンの酸化膜等の珪素化合物被膜を形成し、その珪素化合物被膜の内側のシリコンを溶融した後に冷却して固化させて、結晶性に優れた多結晶体または単結晶体からなる結晶シリコン粒子を製造する方法が知られている(例えば、特許文献4を参照。)。
国際公開第99/22048号パンフレット 米国特許第4188177号明細書 特開平5−78115号公報 米国特許第4430150号明細書
しかしながら、シリコン粒子を加熱してその表面に形成された珪素化合物被膜、具体的には酸化シリコン被膜の内側でシリコンを溶融させ、その後に凝固させた場合には、CZ(チョクラルスキー)法やFZ(フローティングゾーン)法のような一般的なバルクのシリコン単結晶を育成する際の種結晶のような凝固起点がないため、一方向に凝固が起こらず多数核の発生による多結晶化が起こることが問題となる。この結晶シリコン粒子の多結晶化は上記のように様々な問題を生じ、その結晶シリコン粒子を光電変換素子に用いる光電変換装置の特性劣化を引き起こしてしまうという問題点がある。
また、光電変換装置に用いられている多結晶または単結晶シリコンの導電型はp型が主流であり、そのp型ドーパントとしてはホウ素が一般的であるが、ホウ素を始めとするp型ドーパントの添加不純物は、この添加不純物を含むシリコン融液が凝固する際のその融液中における偏析係数が1より小さい。そのために、シリコン中でp型ドーパントの濃度にばらつきを生じやすいという問題点があった。特に、偏析現象が原因となって凝固過程における融液中の添加不純物が固溶度を超えるような高濃度になると、その部分が組成的過冷却状態となり、添加不純物がシリコンと混ざり合わない第2相を発生して結晶性を乱してしまうという問題点があった。
また、シリコン粒子を設置する台板中に鉄やニッケルなどの重金属不純物が含まれていると重金属不純物の汚染が問題となる。重金属不純物原子はシリコン中では化学的な結合手を持たない格子間拡散をすることから、シリコン格子の隙間を縫って不純物原子が拡散する。そして、重金属不純物原子はシリコン内で深い準位を形成し、再結合中心として作用し、リーク電流の増加やライフタイムの低下の原因となって光劣化を引き起こす。
すなわち、従来の結晶シリコン粒子の製造方法では所望の高品質な結晶シリコン粒子を作製することが困難であり、それによって得られた結晶シリコン粒子を用いて電気特性に優れた光電変換装置を作製するための製造方法としては不向きなものであるという問題点がある状況であった。
本発明の課題は、半導体粒子を結晶半導体粒子とする結晶半導体粒子の製造方法であり、多結晶シリコンのような半導体粒子を安定して高効率に結晶化すると同時に高い結晶性を持った結晶シリコン粒子を低コストで製造することができる結晶半導体粒子の製造方法を提供することにある。さらに、その結晶半導体粒子の製造方法によって製造された結晶半導体粒子を用いた、電気特性に優れた良好な光電変換装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上面に複数個の半導体粒子を載置した台板を加熱炉内に導入し、前記半導体粒子を加熱して溶融させた後、この溶融した半導体粒子を前記台板側から上方に向けて固化させることによって多結晶シリコンのような半導体粒子を安定して高効率に結晶化すると同時に高い結晶性を持った結晶シリコン粒子を低コストで製造することができることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明における光電変換装置の製造方法および光電変換装置は、以下の構成を有する。
(1)上面に複数個の半導体粒子を載置した台板を加熱炉内に導入し、前記半導体粒子を加熱して溶融させた後、この溶融した半導体粒子を前記台板側から上方に向けて固化させることによって結晶半導体粒子とすることを特徴とする結晶半導体粒子の製造方法。
(2)前記台板は、前記上面の表面粗さの平均間隔(RSm)が前記半導体粒子の直径よりも小さい粗面とされていることを特徴とする(1)に記載の結晶半導体粒子の製造方法。
(3)前記台板は、前記上面の算術平均粗さ(Ra)が0.2〜10μmであることを特徴とする(2)に記載の結晶半導体粒子の製造方法。
(4)導電性基板の一主面に、第1導電型の結晶半導体粒子が複数個、下部を前記導電性基板に接合され、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を前記絶縁物質から露出させて配置されて、これら結晶半導体粒子に第2導電型の半導体層および透光性導体層が順次設けられた光電変換装置であって、該結晶半導体粒子の内部の第1導電型のドーパントに一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とする光電変換装置。
(5)前記第1導電型のドーパントはホウ素であることを特徴とする(4)に記載の光電変換装置。
(6)前記ホウ素の濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.1〜2.5倍であることを特徴とする(5)に記載の光電変換装置。
(7)前記第1導電型の結晶半導体粒子は炭素を含有し、前記結晶半導体粒子中の前記炭素に一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とする(4)に記載の光電変換装置。
(8)前記炭素の濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.2〜3.0倍であることを特徴とする(7)に記載の光電変換装置。
本発明の結晶半導体粒子の製造方法は、上記(1)によれば、半導体粒子を載置した台板を加熱炉内に導入し、前記半導体粒子を加熱して溶融し、その後に固化させて結晶化する際の凝固起点を半導体粒子と台板との接触部分に設定して、そこから半導体粒子の上方に向けて結晶化を進めさせることができるため、結晶半導体粒子を一方向に順次凝固させていくことが可能となり、結晶半導体粒子の結晶性を大幅に向上させることができる。
また上記(2)および(3)によれば、前記台板表面の凹凸の平均間隔(RSm)が、前記半導体粒子の直径よりも小さく、さらに前記凹凸の算術平均粗さ(Ra)で0.2〜10μmとすることにより、小面積の凝固起点を有することができる。すなわち、結晶半導体粒子と接触する台板の表面に所定の凹凸を形成させることで、結晶化する際に複数からの凝固起点の発生を抑制し、サブグレインの発生を抑えることができ、結晶性を大幅に向上させることができるので得られる結晶が単結晶となる。つまり、従来のように半導体粒子を最外殻より凝固させたときは多結晶かつ突起が形成されることに比べ、本発明の製造方法では単結晶で突起のない結晶半導体粒子となる。このことにより、結晶半導体粒子にはその内部にキャリアを消失させる粒界がないので、電気特性に優れた高品質化された結晶半導体粒子を作製することができ、光電変換装置用の結晶半導体粒子を安価に量産性よく製造することができる。
本発明の光電変換装置は、上記(4)によれば、前記結晶半導体粒子は、前記結晶半導体粒子内部の第1導電型のドーパントに一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成されている。これにより、前記濃度勾配が形成されていない場合に比べて、結晶半導体粒子の凝固過程において半導体融液中の第1導電型のドーパントの濃度の急激な変化が生じにくく、双晶やサブグレインの発生や、半導体と第1導電型のドーパントとの格子定数差から生ずるミスフィット転位の増加等を抑制することができ、結晶性が向上するとともに熱歪み等によるクラックが生じにくくなることから機械的な強度も向上する。また同様に、結晶半導体粒子の凝固過程における成長界面上での偏析現象による半導体融液中の第1導電型のドーパントの濃度増加に起因する組成的過冷却状態も抑制することができるため、第1導電型のドーパントの分布に不均一なばらつきを生ずることもなく、半導体と第1導電型のドーパントとが混ざり合わない第2相の発生により結晶性を乱してしまうという問題も起こらない。その結果、本発明の光電変換装置によれば、欠陥や転移のない結晶半導体粒子を形成できるので、太陽光の入射により発生するキャリアが欠陥や転移でトラップされることにより消滅することがなく、したがって、より多くの電流を回収することができ、その結果、優れた変換効率を得ることができる。
また、上記(5)によれば、第1導電型のドーパントとしてホウ素を用いた上記の結晶半導体粒子の製造方法により製造される前記結晶半導体粒子には、該結晶半導体粒子内部のホウ素に一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成されることから、半導体粒子の結晶化の過程において突起が形成されない。その結果、前記突起に偏析する欠陥が抑制できるので、欠陥に起因する漏れ電流を削減し、発生キャリアの消滅を防ぐことができる。したがって、より多くの電流を回収することができ、その結果、優れた変換効率を得ることができる。
また、上記(6)によれば、前記第1導電型ドーパントであるホウ素の濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.1〜2.5倍であるときには、結晶の成長速度が速すぎることによる双晶やサブグレインの発生がなく、半導体融液中のp型ドーパント濃度増加による組成的過冷却を生じないようにすることができる。
また、上記(7)によれば、炭素を含有する第1導電型の結晶半導体粒子を用いて上記製造方法により製造される前記結晶半導体粒子には、該結晶半導体粒子内部の炭素に一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成される。結晶中の炭素はサーマルドナー等の酸素複合体の形成を抑制する効果があるため、デバイスプロセス中の欠陥発生等も大幅に抑制することができる。これにより、欠陥や転移のない結晶半導体粒子を形成できるので、発生キャリアが欠陥や転移でトラップされることにより消滅することがなく、したがって、より多くの電流を回収することができ、優れた変換効率を得ることができる。
また、上記(8)によれば、前記炭素の濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.2〜3.0倍であるときには、過剰酸素や金属不純物の析出を結晶半導体粒子の表面層で効果的に除去して結晶半導体粒子外に析出させることができ、また結晶半導体粒子が結晶シリコン粒子の場合、シリコンの熱膨張係数(2.6×10-6/℃)と炭素の熱膨張係数(3.1×10-6/℃)との差を起因とする結晶欠陥が増加して結晶性が劣化するのを防ぐことができる。
以上により、本発明の結晶半導体粒子の製造方法によれば、多数個の結晶半導体粒子を安定して効率よく結晶化することができると同時に、高い結晶性を持った結晶半導体粒子を容易に量産することができるので、これを用いることにより、光電変換特性に優れた良好な光電変換装置およびそれを用いた光発電装置を提供することができる。
以下、本発明の結晶半導体粒子の製造方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の結晶半導体粒子の製造方法の実施の形態の一例における台板と半導体粒子の様子を示す縦断面図であり、図2は本発明の結晶半導体粒子の製造方法に用いられる製造装置の実施の形態の一例の概略構成を示す縦断面図である。図1および図2において、101は半導体粒子または結晶半導体粒子(シリコン粒子または結晶シリコン粒子)、102は台板、201は加熱炉である。また、103は固化起点(一方の極)、104は他方の極を示しており、105は固化(結晶化)方向を表わす矢印である。また、202は発熱体、203は炉材(断熱材)、204はガス供給手段、205はガスフィルタ、206は熱電対等の温度測定手段、207はベルジャーである。
この実施の形態の例では、半導体材料としてシリコンを用いた例について説明する。
(結晶シリコン粒子)
まず、半導体材料として半導体グレードの結晶シリコンを用い、これを赤外線や高周波コイルを用いて容器内で溶融し、しかる後に溶融したシリコンを粒状の融液として自由落下させる溶融落下法等によって多結晶の結晶シリコン粒子101を得る。
溶融落下法で作製された多結晶の結晶シリコン粒子101には、所望の導電型および抵抗値にするために、通常はドーパントがドーピングされる。シリコンに対するドーパントは、p型ドーパントとしては、ホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウム、n型ドーパントとしては、リン,ヒ素,アンチモン等が挙げられるが、シリコンに対する偏析係数が大きい点やシリコン溶融時の蒸発係数が小さい点からは、p型ドーパントではホウ素、n型ドーパントではリンを用いることが望ましい。また、ドーパント濃度としては、シリコンの結晶材料に1×1014〜1×1018atoms/cm3程度添加される。
この溶融落下法によって結晶シリコン粒子101を得た時点では、結晶シリコン粒子101の形状は、ほぼ球形状のものの他にも涙滴型や流線形型、あるいは複数個の粒子が連結した連結型等である。このままの多結晶の結晶シリコン粒子101を用いて光電変換装置を作製した場合は、良好な光電変換特性を得られないものとなる。この原因は、この多結晶の結晶シリコン粒子101中に通常含有されているFe,Cr,Ni,Mo等の金属不純物による、および多結晶の結晶粒界におけるキャリアの再結合効果によるものである。これを改善するために、本発明の結晶半導体粒子の製造方法によって、温度制御した加熱炉の中で多結晶の結晶シリコン粒子101を再溶融させ、その後、例えば酸素・窒素雰囲気下で降温して固化させることにより作製される、不純物の含有量を低く抑えた単結晶の結晶シリコン粒子101を用いる。
結晶シリコン粒子101を始めとする半導体粒子101の大きさは、通常はほぼ球状であることから、その粒子径は直径1500μm以下が望ましく、その形状が球に近いことが望ましい。ただし、半導体粒子101の形状は球状に限られるものではなく、立方体状や直方体状やその他の不定形の形状であってもよい。半導体粒子101の大きさが1500μmを超えて大きくなる場合には、結晶シリコン粒子101ではその表面に形成される所定の珪素化合物被膜が相対的に薄くなることによって内部のシリコンの溶融時における結晶半導体粒子101の形状を安定に保つことが難しくなり、またシリコンを完全に溶融させることも困難となって、溶融が不完全な場合にはサブグレインが生じ易くなるので望ましくない。他方、結晶半導体粒子101の大きさが直径30μm未満と小さい場合には、結晶シリコン粒子101では表面の珪素化合物被膜の厚みも薄くなるため溶融時に形状を維持することが困難となり、内部のシリコンの溶融時に隣接して配置されている結晶シリコン粒子101同士が合体しやすくなるので望ましくない。従って、結晶半導体粒子101の大きさは30〜1500μmであることが好ましく、より好ましくは200〜600μmであり、これによって結晶半導体粒子101同士の合体を抑制し、また結晶半導体粒子101の形状を安定に維持して、サブグレインの発生がない球形状で良質な結晶シリコン粒子101を安定して作製することができる。
単結晶の結晶シリコン粒子101を作製するには、まず、複数個の多結晶の結晶シリコン粒子101を台板102の上面に一層で並べて載置する。台板102上への結晶シリコン粒子101の載置は、一層で充填するのが望ましい。結晶シリコン粒子101間にできるだけ隙間がないように充填するのが望ましいが、結晶シリコン粒子101同士が接触していても構わない。また台板102は板状のものが望ましく複数段に積み上げてもよい。台板102の材質は、結晶シリコン粒子101との反応を抑えるために、石英ガラス,ムライト,酸化アルミニウム,炭化珪素,単結晶サファイヤ等が適するが、耐熱性,耐久性,耐薬品性に優れコストも安く、かつ扱い易いという点からは、石英ガラスが好適である。
また、台板102は、結晶シリコン粒子101を溶融後に冷却し固化させて結晶化させるときの固化起点とするために用いる。このように台板102の上面に複数個の結晶シリコン粒子101を載置することにより、それぞれの結晶シリコン粒子101と台板102との接触部分に固化起点103を設定することができるため、この固化起点103を一方の極としてこの一方の極103から対向する極104に向けて固化(結晶化)方向105を設定することができ、種結晶を用いることなく一方向に順次凝固させることで単結晶の結晶シリコン粒子101を得ることが可能となり、サブグレイン等の発生を抑制して結晶シリコン粒子101の結晶性を大幅に向上させることができる。
(台板の表面粗さ)
台板102上で結晶シリコン粒子101が凝固するとき、台板102表面の粗さがシリコン結晶の品質に影響することが判明した。台板102表面が平滑面と粗面の場合を図3に示す。平滑面の場合、結晶シリコン粒子101と石英製の台板102との表面は広がりのある接触面を有する。このような状態で凝固が始まると、凝固起点が複数箇所に生じ、しかも台板102との接触面全体から熱が逃げていくため急激に凝固が進むので、結晶シリコン粒子101が多結晶になりやすく、真球からずれることも多い。一方、台板102表面が粗面の場合、表面の凹凸のため、結晶シリコン粒子101と点で接触する。また、各接触点が離れているため、その中の最も凝固しやすい接触点からのみ凝固が開始され、単結晶化が進む。さらに、台板102への熱伝導が抑制されるため、固化速度が遅く結晶品質が高まる。この結果、石英製の台板102の表面粗さが適度に大きいとき、高品質なシリコン結晶を得ることができる。
前記台板102の表面の凹凸の平均間隔は、下記式(1)のRSmで定義される長さ(JIS B 0601 2001参照)で表され、結晶シリコン粒子101の直径よりも小さいことが望ましい。より好ましくは、結晶シリコン粒子101の直径の1〜50%であるのがよい。
Figure 2007184496

また、前記台板102の表面の凹凸の高低差は、算術平均粗さ(Ra)で0.1〜50μmで形成されていることが望ましい。より好ましくは0.2〜10μmである。このような凹凸形状を結晶シリコン粒子101と接触する台板102の表面に形成させることで、結晶化する際に複数からの凝固起点の発生を抑制しサブグレイン発生を抑えることができ結晶性を大幅に向上させることができる。台板102表面の凹凸の平均間隔(RSm)が、結晶シリコン粒子101の直径の1%より小さい場合、凝固起点が複数個所に生じやすくなり、また50%を超えると結晶シリコン粒子101と台板102表面との接触面積が大きくなり好ましくない。
また、台板102の表面の算術平均粗さが0.1μmより小さい場合、シリコン溶融時に隣接する結晶シリコン粒子101と移動接触しやすく合体形成する割合が増加するので望ましくない。また、台板102の表面の算術平均粗さが50μmより大きい場合、結晶シリコン粒子101が台板102に接する接触部の面積が大きくなり、その接触部の酸素ガスによる酸化が阻害されるため接触部付近での酸窒化膜が形成されにくくなり、溶融反応も不均一化傾向になり溶融後の冷却効果も大きくなってサブグレインが発生して粒成長しやすく多結晶化するので望ましくない。
台板102表面の粗面化には、表面に円錐体状、三角錐体状、四角錐体状、山形状等の凹凸形状を作製すればよく、その方法として、RIE(反応性イオンエッチング)を用いたドライエッチング法、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた選択ウエットエッチング法、サンドブラスト法等がある。好ましくは、圧縮空気と研磨材を混合してノズルから噴射させて表面を加工するサンドブラスト加工によるのがよい。中でも研磨材としてシリコンカーバイドを用いたサンドブラストを用いるのがよい。これにより、台板102全面を均一にかつ簡便に粗面にすることができる。
また、表面粗さは、ダイヤモンド製の先端部を台板102の表面に接触させながら移動させて測定する接触式表面粗さ測定装置等を用いて測定することができる。
(濃度勾配)
本発明の製造方法によると、上記したように、台板102に載置された結晶シリコン粒子101が台板102との小面積の接触部より凝固が開始され、上方の極に向かって固まるものである。このため、融体球が固まっていく過程で、固体部と融体部とのドーパントの偏析係数の差により、固体部中に含まれるドーパント量が融体部よりも少なくなり、融体部でのドーパント量が徐々に増えていくことにより、ドーパントの一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成される。従って、結晶シリコン粒子101において内部の結晶シリコン中の第1導電型のドーパントに一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成されているものとなる。結晶シリコン粒子101に不純物として炭素を含有させた場合も、同様に、結晶シリコン粒子101中の炭素に一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成される。
(加熱炉)
次に、結晶シリコン粒子101を載置した台板102を加熱炉201内に導入し、結晶シリコン粒子101を加熱していく。加熱炉201としては、半導体材料の種類に応じて種々のものが使用できるが、半導体材料としてシリコンを用いる場合であれば、セラミックスの焼成等に用いられる抵抗加熱型や誘導加熱型の雰囲気焼成炉あるいは半導体素子の製造工程で一般的に用いられる横型酸化炉等が適している。セラミックスの焼成等に用いられる抵抗加熱型の雰囲気焼成炉は、1500℃以上の昇温も比較的容易であり、結晶シリコン粒子101の量産が可能な大型のものも比較的安価に入手できるので望ましい。
加熱炉201内には発熱体202が設けられる。この発熱体202は抵抗加熱型ヒータなどからなり、設置場所は横でも縦方向でもかまわない。発熱部は二珪化モリブデンや炭化珪素などからなる。
また、加熱炉201の炉材203はアルミナ系あるいはムライト系の通常一般的に雰囲気焼成炉も用いられている断熱材等からなる。
雰囲気焼成炉による加熱を行なう前には、結晶シリコン粒子101の表面に付着した金属や異物等を除去するためにRCA洗浄法であらかじめ溶液洗浄をしておくことが望ましい。RCA洗浄法とは、シリコンウェーハの標準的洗浄工程として半導体素子の製造工程で一般的に用いられている洗浄方法であり、3段の工程のうち1段目の工程において水酸化アンモニウムと過酸化水素との水溶液により酸化膜とシリコン表面とを除去し、2段目の工程においてフッ化水素水溶液により前段の工程で付いた酸化膜を除去し、3段目の工程において塩化水素と過酸化水素との水溶液により重金属等を除去して自然酸化膜を形成させるというものである。
また、加熱炉201内における炉材203や発熱体202等からの汚染を防止するためには台板102上に載置した結晶シリコン粒子101を覆うようなベルジャー207を加熱炉201内に設置することが望ましい。ベルジャー207の材質は石英ガラス,ムライト,酸化アルミニウム,炭化珪素,単結晶サファイヤ等が適するが、耐熱性,耐久性,耐薬品性に優れコストも安く扱い易いという点からは、石英ガラスが好適である。
この加熱炉201には、炉内に反応性ガスや雰囲気ガスを導入するめのガス供給手段204が設けられている。このガス供給手段204にはガスフィルタ205を設けることが望ましい。すなわちガスフィルタ205を装着することで酸素ガスと窒素ガスの反応性ガスを含むアルゴン雰囲気ガス中に含まれる不純物を有効に除去することができる。
なお、結晶シリコン粒子101の表面への有機物等の再付着汚染を防止するために、ベルジャー207内は不活性ガス雰囲気で充分にガス置換されていることが望ましい。不活性ガスとしてはアルゴン,窒素,ヘリウム,ネオンが適するが、コストが低いという点や扱い易いという点からは、アルゴンあるいは窒素が好適である。
また、加熱炉201内の温度を検知するために熱電対を設ける。この熱電対はアルミナカバーで覆われていることが望ましい。
(珪素化合物被膜)
加熱炉201内で結晶シリコン粒子101を酸素ガスと窒素ガスとから成る反応性ガスを導入しながら加熱して、シリコンの融点より高い温度へ昇温していく過程で、結晶シリコン粒子101の表面には珪素化合物被膜が形成される。
結晶シリコン粒子101の表面に形成される珪素化合物被膜については、シリコンの酸化膜もしくは酸窒化膜が適するが、被膜の密度が高くて単位膜厚当りの強度が高く、汚染物や不純物等の結晶シリコン粒子101の内部への拡散阻止力が大きいという点からは、シリコンの酸窒化膜が形成されることが好適である。すなわち、結晶シリコン粒子101の表面にシリコンの酸窒化膜を形成することで結晶シリコン粒子101表面付近の酸素析出物密度や酸素析出物に起因する結晶欠陥等を低減させることができ、p−n接合界面付近でのシリコンの結晶性を大幅に向上させることができる。
また、シリコンの酸窒化被膜とシリコンとの界面での歪みや酸素誘起積層欠陥(OSF)が発生することも抑制することができるため、結晶シリコン粒子101の表面付近でのサブグレインや双晶等の発生も抑制することができ表面結晶性を向上させることができる。また、シリコンの酸窒化膜を形成することで、表面汚染などによるFeやNi等の重金属不純物をゲッタリングにより捕獲不動化させる有効なゲッタリング層として機能し、p−n接合界面の結晶品質を向上させることができる。
また、結晶シリコン粒子101の表面にこの酸窒化膜を形成する際の反応性ガスを含む加熱炉201内の雰囲気ガスは、酸素分圧および窒素分圧がそれぞれ1%以上であることが望ましい。雰囲気ガス中の酸素分圧あるいは窒素分圧が1%未満の場合は、内部を結晶化する結晶シリコン粒子101の表面に形成される酸窒化膜の形成が不充分となって、珪素化合物被膜に亀裂が発生しやすくなり望ましくない。
なお、加熱炉201内の雰囲気ガス中の各ガス分圧は、全ガス流量に対する各ガス流量で調整できる。雰囲気ガスはガス供給手段204からガスフィルタ205を通してベルジャー207内に供給されるが、このガス供給手段204にガスを供給する装置がガス圧力とガス濃度とを調整可能な機構を持つものであればよい。
(結晶シリコン粒子の製造方法)
次に結晶シリコン粒子101の製造方法を説明する。
表面をサンドブラスト等で粗面にした台板102上に載置して加熱炉201内に導入された結晶シリコン粒子101は、その材料の融点以上に、即ちシリコンの融点(1415℃)以上で、好ましくは1480℃以下の温度まで加熱される。この間に結晶シリコン粒子101において表面の珪素化合物被膜の内側でシリコンが溶融する。このとき、結晶シリコン粒子101の表面に形成された珪素化合物被膜によって、内部のシリコンを溶融させながらも結晶シリコン粒子101の形状を維持することが可能である。ただし、結晶シリコン粒子101の形状を安定に維持するのが困難となるような温度、例えば結晶シリコン粒子101の場合であれば1480℃を超える温度まで昇温させた場合には、内部のシリコンの溶融時に結晶シリコン粒子101の形状を安定に保つことが難しくなり、隣接する結晶シリコン粒子101との合体が生じやすくなり、また台板102と融着反応しやすくなるので望ましくない。また、台板102上に一層で密に充填するのが好ましい。密とはできるだけ隙間がないようにという意味であり、結晶シリコン粒子101同士が接触していてもよい。また、台板102は複数段に積み上げてもよい。さらに、石英ガラス製のベルジャー207で台板102上を覆うように設置することが望ましい。
加熱炉201の加熱を行う前には、炉内の真空処理を行うか不活性ガスであるアルゴン雰囲気で充分にガス置換した後、炉内にアルゴン雰囲気のみで満たされるようにするのが望ましい。その理由は、RCA洗浄後のシリコン表面はダングリングボンドにより結合状態が不安定になっているためである。
次に、酸素ガスと窒素ガスの反応性ガスを導入しながら加熱炉201内の温度をシリコンの融点以下の温度へ上げていく。結晶シリコン粒子101の表面にシリコンの酸窒化膜を形成するためである。反応性ガスの雰囲気ガス中の酸素分圧は1%以上で窒素分圧は4%以上であることが望ましい。すなわち、雰囲気ガス中の酸素分圧が1%未満で窒素分圧が4%未満の場合、結晶シリコン粒子101同士が結合しやすくなって望ましくない。また、雰囲気ガス中の酸素分圧が20%以上で窒素分圧が80%以上の場合、結晶シリコン粒子101表面に形成された酸窒化被膜に亀裂が発生しやすくなる。
次に、1000℃以上でかつシリコンの融点以下の温度で数分間保持する。すなわち1000℃以上の温度で数分間保持することでより均質なシリコンの酸窒化被膜を形成することができる。さらに、加熱炉201内の温度分布の均一性あるいは結晶シリコン粒子101の温度分布の均一性を向上させることができる。以上の状態で結晶シリコン粒子101の表面に形成された酸窒化被膜はシリコンが溶融するときにそれを充分に保持できる。ただし、1000℃以上の温度で10分間以上保持することは結晶シリコン粒子101内部へ酸素が拡散することを促進することになり望ましくない。
結晶シリコン粒子101の製造工程において、台板102とベルジャー207の表面に窒化膜や酸窒化膜を同時に形成する場合は、1000℃以下の温度までは窒素ガスを含むアルゴン雰囲気ガスを導入し、1000℃以上の温度で酸素ガスと窒素ガスを含むアルゴン雰囲気ガスを導入して、台板102とベルジャー207の表面に窒化膜もしくは酸窒化膜を形成すると同時に結晶シリコン粒子101表面に酸窒化被膜を形成すればよい。
より具体的には、1420〜1440℃まで昇温し、2〜5分間程度その温度を保持する。この間に内部のシリコンが溶融し始める。ただし、1450℃以上の温度あるいは5分間以上保持するとシリコンの溶融時に酸窒化被膜が破れやすくなり、その結果台板102と融着固化反応するおそれがあるために望ましくない。また、雰囲気ガス中の酸素ガスと窒素ガスを導入することによって、高温における酸窒化被膜の割れ目などを補整することができる。さらにシリコン溶融時には表面張力で球形化しようとするが、上記の温度領域であれば酸窒化被膜は充分に変形可能であり、結晶化するシリコンを真球に近い形にできる。
次に、酸窒化被膜で包まれた酸窒化被膜中の溶融したシリコンを冷却するために1350℃以上1400℃以下の温度まで下げる。そして、結晶シリコン粒子101の結晶化をより促進するために、1350℃以上1400℃以下の温度で10分程度温度を保持することが望ましい。保持時間が10分よりも短い場合は、サブグレインなどが生じ易く充分に結晶化させることが難しい。
珪素化合物被膜の内側の溶融したシリコンを固化させるために融点以下の約1400℃以下の温度まで降温させて固化させる際、融点以下の比較的高温の温度に維持して固化させることにより、台板102上での接触部分を固化起点(一方の極)103として対向する極104へ向けて一方向に固化が進行するので、通常の固化のように結晶シリコン粒子101の外殻がまず固まり、それから内部が固化する場合では内部に残留した融液が体積膨張するため外殻の固化部分を突き破り多結晶化することを回避できるため、得られる結晶シリコン粒子101が単結晶となり、結晶性を大幅に向上させることができる。
次に、1000℃以上の一定温度にて数時間程度の熱アニール処理を行う。これは、シリコンの溶融時に熱対流によりシリコン内に混入した酸素を除去するため、あるいは固化時に発生した結晶シリコン粒子101中の結晶歪みや珪素化合物被膜と結晶シリコンとの界面に発生した界面歪み等を緩和除去するためである。600℃より温度が低い場合は酸素ドナー等のサーマルドナー発生があるために望ましくない。結晶シリコン粒子101中に混入した酸素は後工程の熱履歴で析出すると積層欠陥となって電気特性が大幅に劣化する。酸素析出核の収縮と成長は温度に依存するため、高温になれば析出物のサイズが大きくなってその密度は減少する。また、溶融凝固後の結晶シリコン粒子101の結晶性を向上させる方法としても熱アニールは有効である。すなわち高温で保持することにより、原子の再配列が起こって結晶内の歪低減や欠陥等を減少させる効果がある。アニール終了後は室温まで降温する。
なお、酸素ガスと窒素ガスの分圧は酸窒化膜の形成からアニール後の冷却まで変化させず一定に保ってもよい。
雰囲気焼成炉内に設置されたベルジャー207と台板102の表面に窒化膜もしくは酸窒化膜を形成したことから、ベルジャー207と台板102の表面を緻密化することができ、重金属等の不純物汚染に対するバリア性も高くなり、拡散阻止力も大幅に向上させることができる。
また、窒化膜もしくは酸窒化膜を形成したベルジャー207と台板102の中に結晶シリコン粒子101を入れて、その表面に珪素化合物被膜を形成して内側のシリコンを溶融した後、降温して凝固させて結晶化することから、結晶シリコン粒子101中への金属不純物汚染を防止することができ、高品質化でコスト低減、量産性の向上を実現することができる。
なお、結晶シリコン粒子101の場合は、上記の粒子径の範囲(30〜1500μm)において、その表面に形成される珪素化合物被膜の厚みは1μm以上であることが望ましい。厚みが1μm未満と薄い場合には内部のシリコンの溶融時に表面の被膜が破れやすいので望ましくない。また、厚みが1μm以上で必要な強度を有する珪素化合物被膜であれば、内部のシリコンがその溶融時には表面張力で球形化しようとするのに対し、上記の温度領域であれば珪素化合物被膜は充分に変形可能であるため、内部を結晶化して得られる結晶シリコン粒子101を真球に近い形状とすることができる。一方、珪素化合物被膜の厚みが50μmを超えて厚くなる場合には、珪素化合物被膜が上記の温度領域で変形しにくくなり、得られる結晶シリコン粒子101の形状が真球に近い形状になりにくいので望ましくない。従って、結晶シリコン粒子101の場合は、上記の粒子径の範囲(30〜1500μm)に対してその表面の珪素化合物被膜の厚みは1〜50μmであることが好ましく、これによって、真球に近い良好な形状の結晶シリコン粒子101を安定して得ることができ、この結晶シリコン粒子101を光電変換素子に用いることによって変換効率に優れた光電変換装置を得ることができるようになる。
このようにして得られた結晶シリコン粒子101に対して、必要に応じて表面処理等を行なってもよい。例えば、結晶シリコン粒子101に対しては、良好な結晶性の高純度の結晶シリコン粒子101とするために、表面に形成された1μm以上の珪素化合物被膜をフッ酸でエッチング除去するとよい。またここで、結晶シリコン粒子101の結晶表面の不純物濃度の高い結晶表面歪層を除去するために、フッ硝酸により厚さ1μm以上にわたって結晶シリコン粒子101の表面に対してエッチング処理を行なうことが望ましい。
本発明の結晶半導体粒子の製造方法によれば、以上のようにして安定して高効率に結晶化すると同時に高い結晶性を持った、低コストで製造できる高品質な結晶性の結晶半導体粒子101を安定して製造することができる。
以上のように、本発明に係る結晶半導体粒子101の製造装置では、雰囲気焼成炉内に石英製の台板102を導入し、この台板102上に結晶化するための結晶シリコン粒子101を設置して結晶シリコン粒子101を製造するに際して、結晶シリコン粒子101と接触する台板102の表面をサンドブラスト等で粗面にすることで、光電変換装置向けに用いる結晶シリコン粒子101を安価に量産性よく生産でき、しかも効率的にシリコン材料を利用できると同時にその高効率化と信頼性を向上させることができる。
また、本発明に係る結晶シリコン粒子101の製造方法では、雰囲気焼成炉内に導入された石英製の台板102において、酸素ガスと窒素ガスの反応性ガスを含む雰囲気ガス中で台板102上に設置された結晶シリコン粒子101を加熱してシリコンを溶融した後、降温して凝固させて結晶化する結晶シリコン粒子101の製造において、結晶シリコン粒子101の表面において台板102との接触点が少ないことにより、安価な雰囲気焼成炉でも高品質な結晶シリコン粒子101が作製でき、光電変換装置向けに用いる結晶シリコン粒子101を安価に量産性よく生産でき、しかも効率的にシリコン材料を利用できるとともにその高効率化と信頼性を向上させることができる。
(光電変換装置)
次に、本発明の光電変換装置の実施の形態の一例について、その断面図を図5に示す。図5において、406は結晶シリコン粒子、407は導電性基板、408は結晶シリコン粒子406と導電性基板407との接合層、409は絶縁物質、410は半導体層、411は透光性導体層、412は電極である。
本発明の結晶シリコン粒子406を用いた光電変換装置においては、導電性基板407の一主面、この例では上面に、第1導電型、例えばp型の結晶シリコン粒子406が多数個、その下部を例えば接合層408によって導電性基板407に接合され、結晶シリコン粒子406の隣接するもの同士の間に絶縁物質409を介在させるとともにそれら結晶シリコン粒子406の上部を絶縁物質409から露出させて配置されて、これら結晶シリコン粒子406に第2導電型、例えばn型の半導体層410および透光性導体層411が順次設けられた構成となっている。なお、電極412は、この光電変換装置を太陽電池として使用する際に、透光性導体層411の上に所定のパターン形状に被着形成されるものであり、例えばフィンガー電極およびバスバー電極である。
次に、この本発明の光電変換装置における結晶シリコン粒子406の製造方法について説明する。
結晶シリコン粒子406は、所望の抵抗値になるように第1導電型としてp型の半導体不純物がドーピングされていることが望ましい。p型ドーパントとしては前述のようにホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウム等が望ましく、その添加量は1×1014〜1×1018atoms/cm3が望ましい。
本発明の製造方法によって製造された結晶シリコン粒子406は、サンドブラスト等で所定の表面粗さに加工された台板102上の小面積部を起点とし、一方の極103から対向する極104に向かって固化するため、結晶シリコン粒子406内部の第1導電型(p型)のドーパントが固体と融液との間の偏析効果により、固化が進むにつれて残りの融液中のドーパント量の濃度が高くなる。
以上のようにして得られた結晶シリコン粒子406は、一方の極103から対向する極104に向かって一方向に固化が起こることで、結晶シリコン粒子406の内部のp型のドーパントは、一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成されているものとなる。
図4は、ホウ素をp型のドーパントとした場合における結晶シリコン粒子101内のドーパント(ホウ素)濃度を測定したもので、それぞれ異なる初期濃度にかかわらず、一方の極103からの距離に応じて高くなっていることが分かる。前記ドーパントの濃度は、SIMS(2次イオン質量分析)等を用いて測定することができる。
(ホウ素)
本発明によれば、ホウ素をp型ドーパントとした場合、その濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.1倍〜2.5倍であることが望ましい。すなわち、この範囲で結晶シリコン粒子406中のp型ドーパントに一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成されていることにより、結晶シリコン粒子101が単結晶化に必要な固化方向、固化速度が満足されて単結晶化されている。つまり、そうでない場合に比べてシリコン融液中のp型ドーパント濃度の急激な変化が生じにくく、シリコンの凝固過程における双晶やサブグレインの発生、シリコンとp型ドーパントとの格子定数差から生ずるミスフィット転位の増加等を抑制することができ、結晶シリコン粒子101の結晶性が向上するとともに熱歪等によるクラックを生じにくくなることから機械的な強度も向上する。
また、同様に、シリコンの凝固過程における成長界面上での偏析現象による融液中のp型ドーパント濃度増加に起因する組成的過冷却状態も抑制することができるため、p型ドーパント分布に不均一なばらつきを生ずることもなくシリコンと混ざり合わない第2相の発生により結晶性を乱してしまうという問題も起こらない。
前記濃度勾配において、最高濃度が最低濃度の1.1倍よりも小さい場合は偏析係数がより1に近づいており成長速度が速すぎることによる双晶やサブグレインの発生があるので望ましくない。また、最高濃度が最低濃度の2.5倍よりも大きい場合には、シリコン融液中のp型ドーパント濃度増加による組成的過冷却を生じやすいので望ましくない。そのため、本発明の結晶半導体粒子101を用いた光電変換装置は、結晶性が良いので光入射による発生電流が効率良く収集できるため、高い変換効率を得ることができる。
(炭素)
また、本発明によれば、第1導電型の結晶シリコン粒子101に添加物として炭素を含有させることができる。その添加量は1×1014〜1×1018atoms/cm3が望ましい。炭素を含有させた場合、上記ホウ素の場合と同様に、結晶シリコン粒子101中の炭素に一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成される。そして、結晶シリコン粒子101の表面層に近い炭素の高濃度側では低濃度側に比べて過剰酸素や金属不純物の析出を促進する効果があるため、これらの不純物を炭素高濃度側の結晶シリコン粒子101表面層により近いところまで除去することができ、対向する極104の低濃度側および結晶シリコン粒子101内部での結晶性を著しく向上させることができる。さらに炭素添加により熱歪みを緩和する効果あるため、結晶シリコン粒子101のクラック発生を抑制でき機械的な強度も大幅に向上させることができる。また、シリコン結晶中の炭素はサーマルドナー等の酸素複合体の形成を抑制する効果があるため、デバイスプロセス中の欠陥発生なども大幅に抑制することができる。
結晶シリコン粒子101が炭素を含有した場合、その濃度勾配において最高濃度が最低濃度の1.2〜3.0倍であることが望ましい。最高濃度が最低濃度の1.2倍よりも小さい場合には、過剰酸素や金属不純物の析出を結晶シリコン粒子101表面層で効果的に除去できず結晶シリコン粒子101内に残存させてしまい、濃度比が3.0倍より大きくてもシリコンとの熱膨張係数差を起因とする結晶欠陥が増加して結晶性が劣化してしまうので望ましくない。そのため、本発明の結晶半導体粒子101を用いた光電変換装置は、結晶性が良いので、光入射による発生電流が結晶欠陥で失われることなく光起電流として寄与できるので、高い変換効率の光電変換装置を得ることができる。
なお、以上のp型ドーパント元素あるいは炭素の濃度勾配の大きさを調節するには、本発明の製造方法において結晶シリコン粒子101の珪素化合物被膜の内側の溶融したシリコンを融点以下の温度まで降温させて固化させる際に、降温速度を調整して過冷速度を変化させればよい。このように降温速度を調整することによって、p型ドーパントについて、最高濃度が最低濃度の8倍程度までの濃度勾配とすることができる。
ここで、前記降温の際、降温速度は毎秒10℃から毎分0.1℃程度の範囲内であることが望ましい。降温速度が毎秒10℃より速い場合は、加熱炉201内や台板102上において急な温度変化による温度分布の不均一を生じやすく望ましくない。また、降温速度が毎分0.1℃より遅い場合は、溶融中の結晶シリコン粒子101の形状を安定に保つのが困難となり、隣接する結晶シリコン粒子101同士の合体形成も促進されやすいため望ましくない。
図5に示した例は、以上のようにして得られた結晶シリコン粒子406を用いて作製された光電変換装置である。この光電変換装置を得るには、まず、上記製造方法で得られた結晶シリコン粒子406の表面に形成された珪素化合物被膜をフッ酸でエッチング除去する。このとき除去される珪素化合物被膜の厚みは径方向で1μm以上である。さらに、珪素化合物被膜と結晶シリコン粒子406との界面歪みや結晶シリコン粒子406の表面に偏析されたp型ドーパントや金属等の不純物を除去するために、結晶シリコン粒子406の表面層をフッ硝酸等でエッチング除去してもかまわない。その際に除去される結晶シリコン粒子406の表面層の厚みは、径方向で100μm以下であることが望ましい。
次に、第2導電型の半導体層410を形成するには、結晶シリコン粒子406の導電性基板407への接合に先立って、結晶シリコン粒子406の表面に工程コストの低い熱拡散法により形成してもよい。この場合は、例えば、第2導電型のドーパントとして、V族のP,As,Sbや、III族のB,Al,Ga等があるが、例えばn型ドーパントの場合、n型ドーパントとして前記P,As,Sb等を用い、石英からなる拡散炉に結晶シリコン粒子406を収容し、前記ドーパントを導入しながら加熱して結晶シリコン粒子406の表面に第2導電型の半導体層410を形成する。
次に、導電性基板407の上に結晶シリコン粒子406を多数個配置する。そして、これを還元雰囲気中にて全体的に加熱して生じた接合層408を介して結晶シリコン粒子406を導電性基板407に接合させる。なお、この接合層408は、例えばアルミニウムとシリコンとの合金である。
このとき、導電性基板407をその表面にアルミニウムを少なくとも含む金属基板にすることにより、低温で結晶シリコン粒子406を接合することができ、軽量かつ低価格の光電変換装置を提供することができる。また、導電性基板407の表面を粗面にすることにより、導電性基板407の表面まで到達する非受光領域の入射光の反射をランダムにすることができ、入射した光を斜めに反射させてモジュール表面へ再反射させることができ、これを結晶シリコン粒子406の光電変換部でさらに光電変換することにより、入射光を有効に利用することができる。
次に、接合された結晶シリコン粒子406の隣接するもの同士の間に介在するように、導電性基板407上に絶縁物質409を、これら結晶シリコン粒子406の上部少なくとも天頂部を絶縁物質409から露出させて配置する。
ここで、隣接する結晶シリコン粒子406同士の間の絶縁物質409の表面形状を、結晶シリコン粒子406側が高くなっている凹形状をしているものとすることにより、絶縁物質409とこの上を被って付与される光電変換モジュールの封止樹脂との屈折率の差により、光電変換材料としての結晶シリコン粒子406のない非受光領域における、結晶シリコン粒子406への入射光の乱反射を促進することができる。
次に、半導体層410の上に透光性導体層411を形成する。そして、太陽電池として所望の電力を取り出すために所定のパターン形状に銀ペースト等を塗布して、グリット電極あるいはフィンガー電極およびバスバー電極等の電極412を形成する。このようにして、導電性基板407を一方の電極にし、電極412をもう一方の電極とすることにより、太陽電池としての光電変換装置が得られる。
以上のような本発明の光電変換装置の製造方法によれば、単結晶化された多数個の結晶シリコン粒子406を量産性よく製造でき、光電変換装置に使用するシリコン材料を効率的に利用できると同時に、高品質な結晶シリコン粒子406であることによって光電変換装置の高効率化および信頼性の向上を図ることができ、高効率で低コストの光電変換装置を提供することができる。
前記光電変換装置は、本発明の光発電装置を作製するために使用される。そして、この光電変換装置を発電手段として用い、この発電手段からの発電電力を負荷に供給するように成した光発電装置とすることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明の光電変換装置およびその製造方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
本発明にかかる結晶シリコン粒子101の製造方法において、台板102の表面粗さが光電変換装置の性能に及ぼす影響について調べた。
本発明の製造方法およびこれによって製造した結晶シリコン粒子101を用いた光電変換装置について説明する。
前処理として抵抗加熱型ヒータの雰囲気焼成炉内において窒素と酸素の混合ガスを導入し約1000℃で1時間程度保持して石英ガラス製のベルジャー207と台板102の表面にシリコンの酸窒化膜の被膜を形成した。
次に、RCA洗浄を行った粒径約400μmの結晶シリコン粒子101をサンドブラスト加工により表面処理をした石英ガラス製の台板102上に一層で充填し、アルゴン不活性雰囲気ガスで満たされた石英ガラス製のベルジャー207内で結晶シリコン粒子101全体を抵抗加熱型ヒータにより加熱した。酸素ガスと窒素ガスの反応性ガスを含むアルゴン雰囲気ガスは加熱と同時にベルジャー207内に導入した。室温から約1400℃まで昇温させながらシリコンの酸窒化被膜を結晶シリコン粒子101表面に形成し、シリコンの融点以上の約1420℃で被膜内側のシリコンを約2分間溶融させた後、約1350℃まで冷却し約5分程度温度を保持して凝固させた。その後約1100℃まで降温し、約3時間のアニール処理を行った。最後に室温まで降温させて、結晶シリコン粒子101を作製した。
ここで、雰囲気ガス中の各分圧はアルゴン:酸素:窒素=10:1:4とした。前記分圧はアルゴン流量に対する酸素ガスと窒素ガスの流量で調整した。酸素ガスと窒素ガスの分圧は終始一定に保ちつつアニール後の降温で室温状態になるまで流しつづけた。
なお、ベルジャー207および石英ガラス製の台板102表面にシリコンの酸窒化膜の被膜を形成して作製した結晶シリコン粒子101と、台板102表面にシリコンの酸窒化膜の被膜を形成しないで作製した結晶シリコン粒子に含まれる金属不純物濃度分析をICP−MSおよびAAを用いて行った。その結果、ベルジャー207と台板102の表面にシリコンの酸窒化膜の被膜を形成して作製した結晶シリコン粒子101の金属不純物濃度は、同じく台板102表面にシリコンの酸窒化膜の被膜を形成せずに作製した場合に比較して大幅に低減されていた。従って、石英ガラス製の台板102表面に形成されたシリコンの酸窒化被膜は重金属を含む金属不純物汚染防止のバリヤとして充分に機能していることがわかった。
(台板の表面粗さ)
上記した結晶シリコン粒子101の作製において、本発明にかかる石英製の台板102の表面粗さを変化させて、試料No.1〜5の結晶シリコン粒子101を作製し、台板102の表面粗さについて調べた。台板102の表面の凹凸の大きさは、サンドブラストにより形成した。サンドブラスト加工は、新東ブレーカー社製エアーブラスト装置により、研磨材として、種々の粒子径のシリコンカーバイド粒子を用いて行った。前記サンドブラスト加工により形成された台板102の表面粗さについて、算術平均粗さ(Ra)を表1に示す。凹凸の平均間隔(RSm)については、試料No.1は、シリコン結晶粒子101の平均粒子径400μmより大きい場合とし、試料No.2〜5はシリコン結晶粒子101の平均粒子径400μmより小さい場合とした。なお、前記表面粗さは、SLOAN社製の表面粗さ測定装置を用いて測定した。
次に、試料No.1〜5の結晶シリコン粒子101を用いて作製した光電変換装置について、所定の強度および所定の波長の光を照射して、電気特性の値を測定した。電気特性の測定は、ソーラーシミュレータ(WACOM社製:WXS155S−10)を用いて、JIS C 8913に基づいた方法により実施した。測定で得られた光電変換効率を表1に示す。
Figure 2007184496

表1から、台板102の表面を研磨して平滑にした場合(試料No.1)に比べ、表面粗さRaが大きくなるほど光電変換効率が良くなる傾向にあることがわかった。
次に、結晶シリコン粒子101中のドーパントおよび炭素の濃度分布が光電変換装置の性能に及ぼす影響について調べた。
(ホウ素)
まず、p型ドーパントとしてのホウ素について調べた。ホウ素を表2に示す所定の初期ホウ素濃度として、粒子径が約500μmの結晶シリコン粒子101を、実施例1で作製した表1の試料No.2の石英製の台板102上に一層に多数個載置し、加熱炉201であるアルゴン不活性ガス雰囲気で満たされた雰囲気焼成炉の内部に設置した石英ガラス製のベルジャー207内に、酸素ガスと窒素ガスとの反応ガスをガス供給手段204から導入しながら加熱した。そして、シリコンの融点以上の1450℃まで加熱し5分間保持して表面のシリコン酸窒化被膜の内側のシリコンを溶融させた後、所定の降温速度で冷却させながら、固化起点(一方の極)103から他方の極104に向かって固化させた。その後、さらに1300℃まで降温させてから、アルゴン不活性ガスを導入しながら200分間の熱アニールを行なった。この熱アニール後に室温付近まで降温させて、結晶シリコン粒子101を作製した。
このとき、結晶シリコン粒子101の表面にシリコンの酸窒化膜を形成する際の加熱炉201内の酸素ガスおよび窒素ガスの全ガス流量に対する分圧はそれぞれ15%および85%とし、全ガス流量に対する酸素ガスおよび窒素ガスの流量で調整した。
次に、回収した結晶シリコン粒子101の表面に形成されたシリコンの酸窒化被膜をフッ酸にて除去し、所定の厚さまでフッ硝酸で結晶シリコン粒子101の表面を深さ方向にエッチング除去した。
この結晶シリコン粒子101を石英製ボートに載せて、900℃に制御された石英管の中に導入し、POCl3ガスを窒素でバブリングさせて石英管に送り込み、30分で結晶シリコン粒子101の表面におよそ1μmの厚さのn型の半導体層410を形成し、その後、フッ酸にて表面の酸窒化被膜を除去した。
次に、図5に示すように、導電性基板407として50mm×50mm×厚さ0.3mmのアルミニウム基板を用い、この上面に上記のようにして得られた結晶シリコン粒子406を最密充填に配置した後、アルミニウムとシリコンとの共晶温度である577℃を超える600℃で、5%の水素を含む窒素の還元雰囲気炉中で加熱して、多数個の結晶シリコン粒子406の下部を導電性基板407と接合させた。このとき、結晶シリコン粒子406が導電性基板407のアルミニウムと接触している部分ではアルミニウムとシリコンとの共晶から成る接合層408が形成されており、強い接着強度を呈していた。
さらに、この上から結晶シリコン粒子406同士の間にそれらの上部を露出させてポリイミドから成る絶縁物質409を塗布乾燥し、下部電極となる導電性基板407と、上部電極となる透光性導体層411とを電気的に絶縁分離するようにした。
次に、結晶シリコン粒子406上にITOからなる上部電極膜としての透光性導体層411を、スパッタリング法によって全面に約100nmの厚みで形成した。
最後に、銀ペーストをディスペンサーでグリッド状にパターン形成して、フィンガー電極およびバスバー電極からなる電極412を形成した。なお、この銀ペーストのパターンは、大気中500℃で焼成を行なった。
上記した光電変換装置の作製において、前記降温速度を表2に示す値とすることにより前記ホウ素の濃度分布を変えて、試料No.B1〜B7の結晶シリコン粒子406を作製し、それらを用いて光電変換装置を作製した。
上記で得られた試料No.B1〜B7を用いた光電変換装置について、所定の強度および所定の波長の光を照射して、光電変換装置の電気特性を示す光電変換効率(単位:%)を測定した。その結果を表2に示す。なお、結晶シリコン粒子406のホウ素元素濃度についてはSIMS(2次イオン質量分析)で断面分析を行ない、最表面から1μmよりも深い部分で一定濃度に落ち着いたところの測定結果(単位:atoms/cm3)を示した。
Figure 2007184496

表2に示す通り、ホウ素元素濃度がほぼ均一であった結晶シリコン粒子406で形成された光電変換装置(試料No.B7)に比較して、本発明の範囲内で作製した結晶シリコン406中のホウ素元素に一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成されている場合の光電変換装置(試料No.B2〜B6)においては、いずれも試料No.B7に比べて光電変換効率が高く良好な結果であった。また、一方の極103のドーパント濃度と対向する極104方向へ400μmの位置でのドーパント濃度との比と、光電変換効率の値から、本発明の範囲外の光電変換装置(試料No.B1)に比べて、本発明の範囲内における光電変換装置は、結晶シリコン粒子406内部のホウ素の濃度分布は最高濃度が最低濃度の1.1〜2.5倍の範囲にある場合において、光電変換効率が高く電気特性に優れているものとなっている。
(炭素)
次に、上記した光電変換装置の作製において、前記結晶シリコン粒子406に炭素を添加した場合について、前記降温速度を表3に示す値とすることにより前記炭素の濃度分布を変えて、試料No.C1〜C7の結晶シリコン粒子406を作製し、それらを用いて光電変換装置を作製した。
上記で得られた試料No.C1〜C7を用いた光電変換装置について、上記と同様に、所定の強度および所定の波長の光を照射して、光電変換装置の電気特性を示す光電変換効率(単位:%)を測定した。その結果を表3に示す。なお、結晶シリコン粒子406の炭素元素濃度については、上記と同様、SIMS(2次イオン質量分析)で断面分析を行ない、最表面から1μmよりも深い部分で一定濃度に落ち着いたところの測定結果(単位:atoms/cm3)を示した。
Figure 2007184496

表3に示す通り、炭素元素濃度がほぼ均一であった結晶シリコン粒子406で形成された光電変換装置(試料No.C7)に比較して、本発明の範囲内で作製した結晶シリコン406中の炭素元素に一方の極103から対向する極104に向かって濃度勾配が形成されている場合の光電変換装置(試料No.C2〜C6)においては、いずれも試料No.C7に比べて光電変換効率が高く良好な結果であった。また、一方の極103の炭素濃度と対向する極104方向へ400μmの位置での炭素濃度との比と、光電変換効率の値とから、本発明の範囲外の光電変換装置(試料No.C1)に比べて、本発明の範囲内における光電変換装置は、結晶シリコン粒子406内部の炭素の濃度分布は最高濃度が最低濃度の1.2〜3.0倍の範囲にある場合において、光電変換効率が高く電気特性に優れているものとなっている。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
本発明の結晶半導体粒子の製造方法の実施の形態の一例における台板と半導体粒子の様子を示す縦断面図である。 本発明の結晶半導体粒子の製造方法に用いる製造装置の実施の形態の一例の概略構成を示す縦断面図である。 本発明に係る結晶半導体粒子の石英製の台板上面での接触状態を示し、(a)は台板の上面が平滑面である場合の接触状態、(b)は台板の上面が粗面である場合の接触状態を示す側面図である。 本発明の製造方法によって得られた結晶半導体粒子における一方の極から対向する極方向への距離に関するホウ素濃度の分布を示すグラフである。 本発明の光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
符号の説明
101・・・半導体粒子または結晶半導体粒子(シリコン粒子または結晶シリコン粒子)
102・・・台板
103・・・固化起点(一方の極)
104・・・他方の極
105・・・固化(結晶化)方向を表わす矢印
201・・・加熱炉
202・・・発熱体
203・・・炉材(断熱材)
204・・・ガス供給手段
205・・・ガスフィルタ
206・・・温度測定手段
207・・・ベルジャー
406・・・結晶シリコン粒子
407・・・導電性基板
408・・・接合層
409・・・絶縁物質
410・・・半導体層
411・・・透光性導体層
412・・・電極

Claims (8)

  1. 上面に複数個の半導体粒子を載置した台板を加熱炉内に導入し、前記半導体粒子を加熱して溶融させた後、この溶融した半導体粒子を前記台板側から上方に向けて固化させることによって結晶半導体粒子とすることを特徴とする結晶半導体粒子の製造方法。
  2. 前記台板は、前記上面の表面粗さの平均間隔(RSm)が前記半導体粒子の直径よりも小さい粗面であることを特徴とする請求項1記載の結晶半導体粒子の製造方法。
  3. 前記台板は、前記上面の算術平均粗さ(Ra)が0.2〜10μmであることを特徴とする請求項2記載の結晶半導体粒子の製造方法。
  4. 導電性基板の一主面に、第1導電型の結晶半導体粒子が複数個、下部を前記導電性基板に接合され、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を前記絶縁物質から露出させて配置されて、これら結晶半導体粒子に第2導電型の半導体層および透光性導体層が順次設けられた光電変換装置であって、前記結晶半導体粒子の内部の第1導電型のドーパントに一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とする光電変換装置。
  5. 前記第1導電型のドーパントはホウ素であることを特徴とする請求項4記載の光電変換装置。
  6. 前記ホウ素の濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.1〜2.5倍であることを特徴とする請求項5記載の光電変換装置。
  7. 前記第1導電型の結晶半導体粒子は炭素を含有し、該結晶半導体粒子中の前記炭素に一方の極から対向する極に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とする請求項4記載の光電変換装置。
  8. 前記炭素の濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.2〜3.0倍であることを特徴とする請求項7記載の光電変換装置。

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