JP2005038991A - 光電変換装置 - Google Patents

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Nobuyuki Kitahara
暢之 北原
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Abstract

【課題】光電変換装置において、量産性や低コスト性に優れた高品質な結晶シリコン粒子を用いて形成された、変換効率特性に優れた光電変換装置を提供する。
【解決手段】導電性基板107の一主面に、p型の結晶シリコン粒子106を多数個、下部を導電性基板107に接合し、隣接するもの同士の間に絶縁物質109を介在させるとともに上部を絶縁物質109から露出させて配置し、これら結晶シリコン粒子106および絶縁物質109を覆うようにn型の半導体層110および透光性導体層111を順次形成した光電変換装置であって、結晶シリコン粒子106は、表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに一方向に向かって濃度勾配が形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶シリコン粒子を用いて形成された光電変換装置に関し、特に、変換効率特性に優れた結晶シリコン粒子を有する光電変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光電変換装置は、性能面での効率の良さ、資源の有限性への配慮、あるいは製造コストの低さ等といった市場ニーズを捉えて開発が進められている。今後の市場において有望な光電変換装置の一つとして、太陽電池として使用される、結晶シリコン粒子を用いた光電変換装置がある。
【0003】
結晶シリコン粒子を作製するための原料としては、例えば単結晶シリコンを粉砕した結果として発生するシリコンの微小粒子や、流動床法で気相合成された高純度シリコン等が用いられている。これらの原料から結晶シリコン粒子を作製するには、それら原料をサイズあるいは重量によって分別した後に、赤外線や高周波を用いて容器内で溶融し、その後に自由落下させる方法(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)や、同じく高周波プラズマを用いる方法(例えば、特許文献3参照。)によって球状化する。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第99/22048号パンフレット
【0005】
【特許文献2】
米国特許第4188177号明細書
【0006】
【特許文献3】
特開平5−78115号公報
【0007】
【特許文献4】
米国特許第4430150号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で製造された結晶シリコン粒子は、そのほとんどが多結晶体である。多結晶体は、微結晶の集合体であるため、それら微結晶間に粒界が存在する。この粒界は、多結晶体を用いた半導体装置の電気特性を劣化させる。その理由は、粒界の境界にはキャリヤの再結合中心が集まっており、それによって再結合が生ずることで少数キャリヤのライフタイムが大幅に低減するためである。
【0009】
光電変換装置のように電気特性が少数キャリヤの寿命の増大とともに大幅に向上する半導体装置の場合には、それに用いられる結晶シリコン粒子中の粒界の存在は、電気特性を悪化させてしまい、特に大きな問題となる。逆に言えば、結晶シリコン粒子を多結晶体から単結晶体にできれば、光電変換装置の電気特性を著しく改善することができる。
【0010】
また、多結晶体中の粒界は多結晶体からなる結晶シリコン粒子の機械的強度を低下させることから、光電変換装置を製造する各工程の熱履歴や熱歪み、あるいは機械的な圧力等によって結晶シリコン粒子が破壊されやすいという問題もあった。
【0011】
従って、結晶シリコン粒子を用いて光電変換装置を製造する場合には、粒界等が存在しない、結晶性に優れた多結晶体または単結晶体からなる結晶シリコン粒子を製造することが必要不可欠となる。
【0012】
そのような結晶性に優れた多結晶体または単結晶体からなる結晶シリコン粒子を得る方法として、多結晶シリコンまたは無定形シリコンの表面上にシリコンの酸化膜等の珪素化合物被膜を形成し、その珪素化合物被膜の内側のシリコンを溶融した後に冷却して固化させて、結晶性に優れた多結晶体または単結晶体からなる結晶シリコン粒子を製造する方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0013】
ところで、光電変換装置に用いられている多結晶または単結晶シリコンの導電型はp型が主流であり、そのp型ドーパントとしてはホウ素が一般的であるが、ホウ素を始めとするp型ドーパントの添加不純物は、この添加不純物を含むシリコン融液が凝固する際のその融液中における偏析係数が1より小さい。そのために、表面に珪素化合物被膜を形成し、その内側でシリコンを溶融し凝固させた場合においては、p型ドーパントの分布にばらつきを生じやすいという問題があった。特に、偏析現象が原因となって凝固過程における融液中の添加不純物が固溶度を超えるような高濃度になると、その部分が組成的過冷却状態となり、添加不純物がシリコンと混ざり合わない第2相を発生して結晶性を乱してしまうという問題があった。
【0014】
すなわち、電気特性に優れた光電変換装置を形成するためには多数の高品質な結晶シリコン粒子を必要とするのに対し、従来の結晶シリコン粒子では、所望の高品質な結晶シリコン粒子を得ることが困難であるという問題があった。
【0015】
本発明は、以上のような従来の技術における問題に鑑み、これらを解決すべくなされたものであり、その目的は、安定して高効率に結晶化すると同時に高い結晶性を持った多結晶シリコンからなる結晶シリコン粒子を用いた、電気特性に優れた良好な光電変換装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光電変換装置は、導電性基板の一主面に、p型の結晶シリコン粒子を多数個、下部を前記導電性基板に接合し、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を前記絶縁物質から露出させて配置し、これら結晶シリコン粒子および絶縁物質を覆うようにn型の半導体層および透光性導体層を順次形成した光電変換装置であって、前記結晶シリコン粒子は、表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに一方向に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の光電変換装置においては、前記p型ドーパントの濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.5乃至3.0倍であることが望ましい。
【0018】
また、本発明の光電変換装置においては、前記結晶シリコン粒子の大きさが30μm乃至1500μmであることが望ましい。
【0019】
また、本発明の光電変換装置においては、前記珪素化合物被膜がシリコンの酸窒化膜であることが望ましい。
【0020】
また、本発明の光電変換装置においては、前記珪素化合物被膜の厚みが1μm乃至50μmであることが望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光電変換装置について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、106は結晶シリコン粒子、107は導電性基板、108は結晶シリコン粒子106と導電性基板107との接合層、109は絶縁物質、110は半導体層、111は透光性導体層、112は電極である。
【0023】
図1に示すように、本発明の結晶シリコン粒子106を用いた光電変換装置においては、導電性基板107の一主面、この例では上面に、p型の結晶シリコン粒子106を多数個、その下部を例えば接合層108によって導電性基板107に接合し、結晶シリコン粒子106の隣接するもの同士の間に絶縁物質109を介在させるとともにそれら結晶シリコン粒子106の上部を絶縁物質109から露出させて配置し、これら結晶シリコン粒子106および絶縁物質109を覆うようにn型の半導体層110および透光性導体層111を順次形成した構成となっている。なお、電極112は、この光電変換装置を太陽電池として使用する際に、透光性導体層111の上に所定のパターン形状に被着形成される。
【0024】
そして、本発明の光電変換装置においては、このような構成において、結晶シリコン粒子106は、その表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに、その結晶シリコン粒子106の表面近傍のある一部からほぼ対向する表面近傍の他の一部に向かうような、一方向に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とするものである。本発明の光電変換装置によれば、このように結晶シリコン粒子106がその表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに一方向に向かって濃度勾配が形成されていることにより、シリコンの凝固過程における双晶やサブグレインの発生、またシリコンとp型ドーパントとの格子定数差から生ずるミスフィット転位の増加等を抑制することができ、結晶シリコン粒子106の内部の結晶シリコンの結晶性が向上するとともに、熱歪み等によるクラックを生じにくくなることから機械的な強度も向上する。また同様に、シリコンの凝固過程における成長界面上での偏析現象による融液中のp型ドーパント濃度増加に起因する組成的過冷却状態も抑制することができるため、p型ドーパント分布に不均一なばらつきを生ずることもなく、シリコンと混ざり合わない第2相の発生により結晶性を乱してしまうという問題も起こらないものとなっている。
【0025】
本発明の光電変換装置において、結晶シリコン粒子106は、所望の抵抗値にp型ドーパントがドーピングされている。p型ドーパントとしては、ホウ素,アルミニウム,ガリウム,インジウムがあるが、シリコンに対する偏析係数が大きい点やシリコン溶融時の蒸発係数が小さい点からは、ホウ素を用いることが望ましい。
【0026】
結晶シリコン粒子106の大きさ、通常はほぼ球状であることからその粒径は、1500μm以下が望ましく、その形状が球に近いことが望ましい。ただし、形状は球状に限られるものではなく、立方体状や直方体状等、その他の形状であってもよい。大きさが1500μmを超えて大きくなる場合には、その表面に形成された所定の珪素化合物被膜によって内部のシリコン溶融時における形状を安定に保つことが難しくなり、また内部のシリコンを完全に溶融させることも困難となって、溶融が不完全な場合にはサブグレインが生じ易いので望ましくない。他方、大きさが30μm未満と小さい場合には、表面の珪素化合物被膜の厚みも薄くなり、内部のシリコン溶融時に隣接して配置され互いに接触している結晶シリコン粒子106同士が合体しやすくなるので望ましくない。従って、結晶シリコン粒子106の大きさは30μm乃至1500μmであることが望ましく、これによって結晶シリコン粒子106同士の合体を抑制して、サブグレインの発生がない球形状で良質な結晶シリコン粒子106を作製することができる。
【0027】
この結晶シリコン粒子106を作製するには、まず、結晶シリコン粒子106を板状のサヤ上に一層で充填する。サヤの材質は、結晶シリコン粒子106との反応を抑えるために、石英ガラス,酸化アルミニウム,炭化珪素,単結晶サファイヤ等が適するが、コストが低いという面や扱い易いという面からは、石英ガラスが好適である。
【0028】
次に、これら結晶シリコン粒子106を加熱する。加熱装置としては、セラミックスの焼成等に用いられる雰囲気焼成炉あるいは半導体素子の製造工程で一般的に用いられる横型酸化炉等が適しており、加熱源としては誘導加熱または抵抗加熱ヒータが望ましい。
【0029】
炉による加熱を行なう前には、結晶シリコン粒子106の表面への有機物等の付着汚染を防止するために、炉内は真空処理を行なうか不活性ガス雰囲気で充分にガス置換されていることが望ましい。不活性ガスとしてはアルゴン,窒素,ヘリウム,水素が適するが、コストが低いという面や扱い易いという面からは、アルゴンあるいは窒素が好適である。
【0030】
次に、炉内で誘導加熱または抵抗加熱ヒータによって結晶シリコン粒子106全体を加熱する。炉内の温度は、酸素ガスと窒素ガスとから成る反応性ガスを導入しながら、シリコンの融点より高い温度へ昇温していく。この過程で、結晶シリコン粒子106の表面には珪素化合物被膜が形成される。
【0031】
結晶シリコン粒子106の表面に形成される珪素化合物被膜については、シリコンの酸化膜もしくは酸窒化膜が適するが、被膜の密度や単位膜厚あたりの強度が高く、汚染物や不純物等の内部のシリコン中への拡散阻止力が大きいという点からは、シリコンの酸窒化膜が好適である。
【0032】
また、この酸窒化膜を形成する際の反応性ガスの雰囲気は、酸素分圧もしくは窒素分圧がそれぞれ1%以上であることが望ましい。雰囲気ガス中の酸素分圧あるいは窒素分圧が1%未満の場合は、内部を結晶化するシリコン粒子の表面に形成された酸窒化膜に亀裂が発生しやすくなる傾向がある。
【0033】
なお、炉内の雰囲気ガス中の各ガス分圧は、全ガス流量に対する各ガス流量で調整できる。加熱装置としては、ガス圧力とガス濃度とが調整可能な機構を持つものであればよい。
【0034】
引き続き、シリコンの融点(1414℃)以上で、好ましくは1480℃以下の温度まで更に昇温する。この間に内部のシリコンが溶融する。このとき、結晶シリコン粒子106の表面に形成された珪素化合物被膜(酸窒化膜)によって、内部のシリコンが溶融するときにそれを内部に保持するとともに粒子の形状を維持することが可能である。ただし、1480℃を超える温度まで昇温させた場合には、内部のシリコン溶融時に粒子の形状を安定に保つことが難しくなり、サヤと融着反応しやすくなるので望ましくない。
【0035】
結晶シリコン粒子106の表面に形成される珪素化合物被膜の厚みは1μm以上であることが望ましい。厚みが1μm未満と薄い場合には内部のシリコンの溶融時に被膜が破れやすいので望ましくない。また、厚みが1μm以上で必要な強度を有する珪素化合物被膜であれば、内部のシリコンが溶融時には表面張力で球形化しようとするのに対し、上記の温度領域であれば珪素化合物被膜は充分に変形可能であるため、内部を結晶化して得られる結晶シリコン粒子106を真球に近い形状とすることができる。一方、珪素化合物被膜の厚みが50μmを超えて厚くなる場合には、珪素化合物被膜が上記の温度領域で変形しにくくなり、得られる結晶シリコン粒子106が真球になりにくいので望ましくない。従って、珪素化合物被膜の厚みは1μm乃至50μmであることが好ましく、これによって、真球に近い良好な形状の結晶シリコン粒子106を安定して得ることができ、変換効率に優れた光電変換装置を得ることができるようになる。
【0036】
次に、溶融した内部のシリコンを凝固させるために約1400℃以下の温度まで降温させる。その後、更に降温させて1000℃以上の一定温度にて60分間以上の熱アニールを行なうことが望ましい。この熱アニール処理を行なうことによって、凝固時に発生した結晶シリコン粒子106の結晶中の歪み等を除去することができる。
【0037】
そして、このようにして得られた結晶シリコン粒子106は、凝固する際に板状のサヤ上での接触部分を凝固起点として一方向に凝固が進行するので、表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに一方向に向かって濃度勾配が形成されているものとなる。
【0038】
なお、この濃度勾配の大きさを調節するには、珪素化合物被膜の内側で内部の溶融したシリコンを融点以下の温度まで降温させて凝固させる際に、降温速度を調整して過冷却度を変化させればよく、それによって最高濃度が最低濃度の5倍程度までの範囲で調整された濃度勾配とすることができる。
【0039】
そして、このように内部の結晶シリコンにp型ドーパントの濃度勾配が形成されていることにより、双晶やサブグレインの発生、またシリコンとp型ドーパントとの格子定数差から生ずるミスフィット転位の増加等を抑制することができ、結晶シリコンの結晶性が向上するとともに、熱歪み等によるクラックを生じにくくなることから機械的な強度も向上させることができる。また同様に、シリコンの凝固過程における成長界面上での偏析現象による融液中のp型ドーパント濃度増加に起因する組成的過冷却状態も抑制することができるため、p型ドーパント分布に不均一なばらつきを生ずることもなく、シリコンと混ざり合わない第2相の発生により結晶性を乱してしまうという問題も起こらないものとなる。
【0040】
ここで、結晶シリコン粒子106の内部の結晶シリコン中のp型ドーパントの濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.5倍乃至3.0倍となっていることが好ましい。これは、最高濃度が最低濃度の1.5倍よりも小さい場合や3.0倍よりも大きい場合には、熱歪み等を起因としたクラックや濃度差に起因した熱膨張係数の変化によりクラックを生じやすくなり、機械的な強度が低下してしまう傾向があるからである。
【0041】
このようにして得られる結晶シリコン粒子106は、本発明の光電変換装置を作製するために使用される。
【0042】
図1に示した本発明の光電変換装置の例は、このようにして得られた結晶シリコン粒子106を用いて作製されたものである。この光電変換装置を得るには、まず、結晶シリコン粒子106の表面に形成された余分な酸化膜をフッ酸またはフッ硝酸でエッチング除去する。このとき除去される酸化膜の厚みは1μm以上である。
【0043】
次に、導電性基板107の上に結晶シリコン粒子106を多数個配置する。次に、これを全体的に加熱して、結晶シリコン粒子106を導電性基板107に接合層108を介して接合させる。なお、この接合層108は、例えばアルミニウムとシリコンとの合金から成る層である。
【0044】
次に、結晶シリコン粒子106の隣接するもの同士の間に介在するように、導電性基板107上に絶縁物質109を形成する。次に、これら結晶シリコン粒子106および絶縁物質109の上側の全体にわたってアモルファスまたは多結晶の半導体層、例えばシリコン層110を成膜する。このとき、結晶シリコン粒子106はp型であるので、シリコン層110はn型の半導体層として成膜する。さらに、そのシリコン層110の上に透光性導体層111を形成する。そして、太陽電池として所望の電力を取り出すために所定のパターン形状に銀ペースト等を塗布して電極112を形成する。このようにして、導電性基板107を一方の電極にし、電極112をもう一方の電極とすることにより、太陽電池としての光電変換装置が得られる。
【0045】
【実施例】
次に、本発明の光電変換装置について具体例を作製工程に沿って説明する。
【0046】
ホウ素濃度が7×1016atoms/cm,粒径が約600μmの結晶シリコン粒子を石英ガラス製のサヤ上に一層に多数個充填し、アルゴン不活性ガス雰囲気で満たされた雰囲気焼成炉内で酸素ガスと窒素ガスとの反応ガスを導入しながら昇温し、シリコンの融点以上の1450℃まで加熱し5分間保持して表面のシリコンの酸窒化膜の内側のシリコンを溶融させた後、降温して凝固させた。その後、さらに1300℃まで降温させてから結晶中の歪み除去のために200分間の熱アニールを行なった。熱アニール後に室温付近まで降温させて結晶シリコン粒子を作製した。
【0047】
結晶シリコン粒子の表面にシリコンの酸窒化膜を形成する際の炉内の酸素ガスおよび窒素ガスのアルゴンガスに対する分圧はそれぞれ5%および20%とし、アルゴンガス流量に対する酸素ガスおよび窒素ガスの流量で調整した。この酸素ガスおよび窒素ガスの分圧を終始一定に保ちつつアルゴンガス,酸素ガスおよび窒素ガスを流した。
【0048】
回収した結晶シリコン粒子の表面に形成された酸窒化膜を所定の厚さまでフッ酸およびフッ硝酸でエッチング除去した。
【0049】
一方、比較例として、ホウ素濃度が2×1015atoms/cmおよび7×1017atoms/cmの結晶シリコン粒子を作製した。
【0050】
そして、このようにして得た各結晶シリコン粒子から、図1に示すような構成の光電変換装置を作製し、所定の強度および所定の波長の光を照射して、光電変換装置の電気特性を示す変換効率(単位:%)を測定した。その結果を表1に示す。なお、結晶シリコン粒子のホウ素濃度についてはSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy:2次イオン質量分析)で断面分析を行ない、その測定点は、結晶シリコン粒子の中心付近と中心からそれぞれ100μmおよび200μmとして、最表面から1μmよりも深い部分で一定濃度に落ち着いたところの測定結果(単位:×1015atoms/cm)を示した。
【0051】
【表1】
Figure 2005038991
【0052】
表1に示す通り、比較例で作製したホウ素濃度が2×1015atoms/cmおよび7×1017atoms/cmの結晶シリコン粒子で形成された光電変換装置(比較例1および比較例2)のそれぞれの変換効率0.5%および1.1%と低かったのに対して、本発明の実施例で作製したホウ素濃度が7×1016atoms/cmの結晶シリコン粒子を用いた光電変換装置(実施例4)および2×1015〜7×1017atoms/cmの範囲内でホウ素濃度を段階的に変化させた結晶シリコン粒子を用いた光電変換装置(実施例1〜5)においては、内部のホウ素濃度に一方向に向かって濃度分布が形成されており、光電変換装置の変換効率は高いもので9.8%、低いものでも4.6%と、いずれも比較例に比べて高く良好な変換効率であった。
【0053】
また、表1の結果から分かるように、本発明の実施例における光電変換装置は、結晶シリコン粒子の内部のホウ素濃度の濃度分布が最高濃度が最低濃度の1.5倍乃至3.0倍の範囲にあることにより、変換効率が高く電気特性に優れているものとなっている。
【0054】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
【0055】
【発明の効果】
本発明の光電変換装置によれば、導電性基板の一主面に、p型の結晶シリコン粒子を多数個、下部を導電性基板に接合し、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を絶縁物質から露出させて配置し、これら結晶シリコン粒子および絶縁物質を覆うようにn型の半導体層および透光性導体層を順次形成した光電変換装置であって、結晶シリコン粒子は、表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに一方向に向かって濃度勾配が形成されていることにより、双晶やサブグレインの発生、またシリコンとp型ドーパントとの格子定数差から生ずるミスフィット転位の増加等を抑制することができ、結晶シリコン粒子の結晶シリコンの結晶性が向上するとともに、熱歪み等によるクラックを生じにくくなることから機械的な強度も向上させることができる。また同様に、シリコンの凝固過程における成長界面上での偏析現象による融液中のp型ドーパント濃度増加に起因する組成的過冷却状態も抑制することができるため、p型ドーパント分布に不均一なばらつきを生ずることもなくシリコンと混ざり合わない第2相の発生も防止することができる。
【0056】
また、本発明の光電変換装置に用いる高品質化された結晶シリコン粒子は、安価に量産性よく製造できるため、光電変換装置にシリコン材料を効率的に利用できると同時に、その高効率化と信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
また、本発明の光電変換装置によれば、結晶シリコン粒子の内部の結晶シリコン中のp型ドーパントの濃度勾配が、最高濃度が最低濃度の1.5乃至3.0倍であるときには、熱歪み等を起因としたクラックや濃度差に起因した熱膨張係数の変化によるクラックの発生を防止することができ、機械的な強度をより向上させることができる。
【0058】
また、本発明の光電変換装置によれば、結晶シリコン粒子の大きさが30μm乃至1500μmであるときには、結晶シリコン粒子同士の合体を抑制することができ、サブグレインの発生がない球形状で良質な結晶シリコン粒子を作製することができる。
【0059】
また、本発明の光電変換装置によれば、珪素化合物被膜がシリコンの酸窒化膜であるときには、結晶シリコン粒子同士の合体を効果的に抑制して、サブグレインの発生がない球形状で良質な結晶シリコン粒子を作製することができる。
【0060】
また、本発明の光電変換装置によれば、珪素化合物被膜の厚みが1μm乃至50μmであるときには、結晶シリコン粒子の内部のシリコンが溶融時には表面張力で球形化しようとするのに対して珪素化合物被膜は充分に変形可能であるため、内部を結晶化して得られる結晶シリコン粒子を真球に近い形状とすることができる。
【0061】
以上により、本発明の光電変換装置によれば、安定して高効率に結晶化すると同時に高い結晶性を持った多結晶シリコンからなる結晶シリコン粒子を用いた、電気特性に優れた良好な光電変換装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
106・・・結晶シリコン粒子
107・・・導電性基板
108・・・接合層
109・・・絶縁物質
110・・・シリコン膜
111・・・透光性導体層
112・・・電極

Claims (5)

  1. 導電性基板の一主面に、p型の結晶シリコン粒子を多数個、下部を前記導電性基板に接合し、隣接するもの同士の間に絶縁物質を介在させるとともに上部を前記絶縁物質から露出させて配置し、これら結晶シリコン粒子および絶縁物質を覆うようにn型の半導体層および透光性導体層を順次形成した光電変換装置であって、前記結晶シリコン粒子は、表面に珪素化合物被膜を有するとともに、内部の結晶シリコン中のp型ドーパントに一方向に向かって濃度勾配が形成されていることを特徴とする光電変換装置。
  2. 前記p型ドーパントの濃度勾配は、最高濃度が最低濃度の1.5倍乃至3.0倍であることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
  3. 前記結晶シリコン粒子の大きさが30μm乃至1500μmであることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
  4. 前記珪素化合物被膜がシリコンの酸窒化膜であることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
  5. 前記珪素化合物被膜の厚みが1μm乃至50μmであることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
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