JP2004091292A - 半導体物質の単結晶化法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単結晶化するシリコンを反応性ガスを含む雰囲気ガス中で加熱してシリコン表面上に珪素化合物被膜を形成し、その後被膜で保持された内側でシリコンを溶融凝固させて単結晶に変換する製造方法であって、上記反応性ガスに酸素ガスと窒素ガスを用いて酸窒化被膜を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体物質の単結晶化法に関し、特に太陽電池に用いる粒状シリコンを製造するのに好適な半導体物質の単結晶化法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
太陽電池は、性能面での効率、資源の有限性、あるいは製造コストなどといった市場ニーズを捉えて開発がされている。有望な太陽電池の一つとして、粒状シリコンを用いた太陽電池がある。
【0003】
粒状シリコンを作製するための原料としては、単結晶シリコンを粉砕した結果として発生するシリコンの微小粒子や流動床法で気相合成された高純度シリコンを用いている。それら原料をサイズあるいは重量によって分別した後に、赤外線や高周波コイルを用いて容器内で溶融し、その後に自由落下させる方法(例えば特許文献1、特許文献2参照)や、同じく高周波プラズマを用いる方法(例えば特許文献3参照)で球状化させる。
【0004】
しかしながら、これらの方法で製造された粒状シリコンはそのほとんどが多結晶体である。多結晶体は微結晶の集合体であるため微結晶間には粒界が存在する。粒界は半導体装置の電気特性を劣化させる。粒界の境界にはキャリヤの再結合中心が集まっており、再結合が生ずることで少数キャリヤの寿命が大幅に低減するためである。
【0005】
太陽電池のように電気特性が少数キャリヤの寿命の増大とともに大幅に向上する装置の場合にはシリコン中の粒界の存在は特に大きな問題となる。逆に言えば多結晶体から単結晶体にできれば太陽電池の電気特性を著しく改善できる。
【0006】
また、粒界は粒状シリコンの機械的強度を弱くすることから、太陽電池を製造する各工程の熱履歴、熱歪、あるいは機械的な圧力などで粒状シリコンが破壊されるという問題もあった。
【0007】
以上のことから、粒状シリコンで太陽電池を製造する場合、粒界などが存在しない結晶性に優れた粒状シリコンの製造が必要不可欠となる。
【0008】
粒状の単結晶体を得る方法として、多結晶シリコンまたは無定形シリコンの表面上に酸化シリコンなどの珪素化合物の被膜を形成し、その被膜の内側のシリコンを溶融して冷却固化して単結晶体を製造する方法が知られている(例えば特許文献4参照)。
【0009】
しかしながら、酸化シリコン被膜の内側でシリコンを溶融させるためには被膜を充分に厚くする必要がある。酸化シリコン被膜は後工程で除去する必要があり、膜厚が厚いほど有効に利用できるシリコンが減少して製造コストの増加となる。
【0010】
また、酸化シリコン被膜の内側でシリコンを溶融させる際には大量の酸素がシリコン中に混入する。混入した大量の酸素は後工程の熱履歴で析出すると積層欠陥を形成して電気特性を大幅に劣化させる。
【0011】
さらに、酸化シリコン被膜を形成する前段階で不活性ガスと塩化水素の混合ガスでシリコン表面から汚染物を除去する工程があるが、酸素を導入して酸化シリコン被膜を形成する際には不活性ガスと塩化水素の混合ガスを完全に除去する必要があり、そのためのガス置換制御等の設備が複雑になって製造コストの増加となる。
【0012】
すなわち、多数のシリコン粒子が必要な太陽電池を形成するための粒状シリコンの作製工程としては不向きなものである。
【0013】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、多結晶シリコンを安定して高効率に単結晶化すると同時に、高い結晶性をもった粒状の単結晶シリコンを低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【特許文献1】
国際公開第99/22048号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第4188177号明細書
【特許文献3】
特開平5−78115号公報
【特許文献4】
米国特許第290917号明細書
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る半導体物質の単結晶化法では、半導体物質を反応性ガスを含む雰囲気ガス中で加熱して表面に該ガスの成分を含む被膜を形成して内側の半導体物質を溶融させて凝固させて単結晶化する半導体物質の単結晶化法において、前記反応ガスとして酸素ガスと窒素ガスを用いることを特徴とする。
【0016】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記雰囲気ガス中にアルゴンガスを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体物質の単結晶化法。
【0017】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記雰囲気ガス中の酸素分圧が1〜20%で、窒素分圧が4〜80%であることが望ましい。
【0018】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記酸素ガスと窒素ガスを含む反応ガスを室温から導入することが望ましい。
【0019】
上記半導体物質の単結晶化法では、前記半導体物質がシリコンから成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体物質の単結晶化法。
【0020】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記被膜がシリコンの酸窒化膜であることが望ましい。
【0021】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記被膜の厚みが1μm以上であることが望ましい。
【0022】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記半導体物質の単結晶化後の酸素濃度が6×1018atoms/cc以下で、窒素濃度が8×1016atoms/cc以下であることが望ましい。
【0023】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記半導体物質を1450℃以下の温度で溶融することが望ましい。
【0024】
また、上記半導体物質の単結晶化法では、前記半導体物質を溶融した後に所定温度まで降温してその温度で所定時間熱アニールすることが望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
単結晶化する半導体物質は所望の抵抗値に半導体不純物がドープされていることが望ましい。粒径は100〜800μmが望ましく、それらの形が球に近いことが望ましい。ただし、その他の形であってもよい。単結晶化する半導体物質は、その表面に付着した異物を除去するために、RCA洗浄法であらかじめ溶液洗浄しておくことが望ましい。
【0026】
次に、単結晶化する半導体物質をサヤ上に密に一層で充填する。密とはできるだけ隙間がないようにという意味であり、粒同士が接触していてもよい。サヤの材質は単結晶化する半導体物質と反応を抑えるために、石英ガラス、酸化アルミニウム、炭化珪素、単結晶サファイヤなどが適するが、コストの面や扱い易さからは石英ガラスが適する。石英ガラスを用いる場合にはフッ酸による洗浄を行なった後、水洗と乾燥を行なって使用する。このサヤは何段に積み上げてもよい。
【0027】
以下、単結晶化する半導体物質としてシリコンを用いることを例に説明する。図1は本発明に係る半導体物質の単結晶化法に用いる温度プロファイルを示す図である。製造装置にはセラミックの焼成などに用いられる雰囲気焼成炉あるいは半導体で一般的に用いられる横型酸化炉などが適する。このような製造装置にサヤ上に充填された単結晶化するシリコンを配設して、酸素ガスと窒素ガスを含むアルゴン雰囲気ガスで満たされた炉内で誘導加熱または抵抗加熱ヒータ(不図示)で単結晶化するシリコン全体を加熱する。反応ガスとして酸素ガスと窒素ガスを含む雰囲気ガスでシリコンを加熱溶融すると、シリコン表面上にはシリコンの酸窒化被膜が形成される。シリコンの酸窒化被膜は、反応ガスとして酸素ガスのみを用いたときに形成される酸化被膜に比べて高い密度であるために、単位膜厚あたりの強度が大きくシリコンを溶融するための被膜の厚みを酸化膜ほど厚くする必要がない。
【0028】
RCA洗浄後のシリコン表面のダングリングボンドは結合状態が不安定であるために、炉内は加熱前の状態から酸素ガスと窒素ガスを含むアルゴン雰囲気ガスで満たされていることが望ましい。
【0029】
この場合、加熱と同時にシリコン中への拡散係数が酸素に比べて二桁以上大きい窒化種が自然酸化膜および不安定なシリコン最表面領域に速やかに拡散してシリコン−酸化シリコン界面に形成されている不安定なSi−O結合を減少させるために界面での歪や欠陥の発生を抑制でき、バリア性の高い高品質な酸窒化被膜を初期から安定に形成できる。
【0030】
次に、1では単結晶化するシリコンの表面にシリコンの酸窒化膜を形成するために、炉内の温度をシリコンの融点以下のより高い温度へ上げていく。望ましくは約1380℃まで温度を上昇させる。酸窒化被膜の内側でシリコンを溶融する場合、2のように融点よりも若干低い約1380℃程度の温度で3分間程度保持することが望ましい。すなわち約1380℃に保持することで炉内あるいはシリコンの温度分布の均一性が向上し、高品質な酸窒化膜を形成することができ、もってシリコンが溶融するときにそれを充分に保持できる。ただし、約1380℃で長時間保持することはシリコン内部へ酸素が拡散されることを促進することになり望ましくない。
【0031】
酸窒化被膜の膜厚は1μm以上であることが望ましい。膜厚が1μm以下の場合にはシリコンの溶融時に被膜が破れやすくその結果サヤと融着固化反応するおそれがある。
【0032】
次に、3において1420〜1440℃の温度へ昇温し、4において約2分間その温度を保持する。この間に内側のシリコンの溶融が起こる。
【0033】
また、1450℃を超えて昇温した場合、酸窒化被膜の膜厚が1μm以上であってもシリコンの溶融時に被膜が破れやすく形状を安定に保持できないため望ましくない。ただし、1450℃を超えない温度であれば、雰囲気ガス中の酸素ガスと窒素ガスで連続的に酸窒化被膜が形成されるため酸窒化被膜の割れ目などを補整できる。さらに、シリコン溶融時には表面張力で球形化しようとするが、上記の温度領域であれば酸窒化被膜は充分に変形可能であり、単結晶化するシリコンを真球に近い形にできる。
【0034】
次に、5において溶融したシリコンを冷却するために約1380℃まで降温する。そして、6において溶融後のシリコンを単結晶化するために約1380℃で10分程度温度を保持することが望ましい。保持時間が10分よりも短い場合は、サブグレインなどが生じ易く単結晶化することができないため望ましくない。
【0035】
次に、酸窒化被膜を形成するときに酸窒化被膜の内側のシリコン中に混入した酸素を除去するために、あるいは溶融凝固後の単結晶シリコンの結晶性を向上させるために、7においてさらに降温し、8において700〜1350℃、望ましくは1250℃程度で約2時間程度熱アニールする。シリコン中に混入した酸素は後工程の熱履歴で析出すると積層欠陥となって電気特性を大幅に劣化させる。酸素析出核の収縮と成長は温度に依存するため、高温になれば析出物のサイズが大きくなってその密度は減少する。700℃より低い場合には酸素析出物の密度は減少せず、1350℃より高い場合には密度は減少するが、酸素析出物のサイズが非常に大きくなるために望ましくない。また、溶融凝固後の単結晶の結晶性を向上させる方法としても熱アニールは有効である。高温で保持することにより、原子の再配列が起こって結晶内の歪低減や欠陥等を減少させる効果がある。そして、9において室温まで降温する。
【0036】
上記雰囲気ガスは、その酸素分圧が1〜20%で、窒素分圧が4〜80%であることが望ましい。すなわち、雰囲気ガス中の酸素分圧が1%未満で、窒素分圧が4%未満の場合、粒子同志の結合が発生しやすくなって望ましくない。酸窒化膜は酸化膜に比べて粒子が隣合っても粒子間の表面拡散が少ないためにより結合しにくくなり、たとえ高温で粒子同士が接触していても結合したり合体したりせず大粒子化することを回避できる。また、雰囲気ガス中の酸素分圧が20%以上で、窒素分圧が80%以上の場合、単結晶化するシリコン表面に形成された酸窒化被膜に亀裂が発生しやすくなる。
【0037】
炉内のアルゴン不活性ガス、酸素ガス、および窒素ガスを含む雰囲気ガス中の酸素ガスと窒素ガスの分圧は、アルゴン流量に対する酸素ガスと窒素ガスの流量で調整できる。圧力とガス濃度が調整可能な機構を持つものであればよい。また、酸素ガスと窒素ガスの分圧は酸窒化膜の形成からアニール後の冷却まで変化させずに一定に保ってもよい。
【0038】
また、形成される粒状シリコン中の酸素濃度は6×1018atoms/cc以下で、窒素濃度は8×1016atoms/cc以下であることが望ましい。粒状シリコン中の酸素濃度が6×1018atoms/cc以上で、窒素濃度が8×1016atoms/cc以上の場合、光電変換特性を示しにくい。なお、粒状シリコン中の酸素濃度と窒素濃度はSIMS分析で、フッ酸および硝フッ酸のエッチングで酸窒化膜が除去された状態の粒状シリコンの最表面から0.5μmよりも深い部分で一定濃度に落ち着いたところを測定する。
【0039】
このようにして得られる単結晶シリコン粒子は、太陽電池を形成するために使用される。
【0040】
図2に得られた粒状シリコン106を用いて形成する太陽電池を示す。まず、粒状シリコン106の表面に形成された酸窒化膜をフッ酸および硝フッ酸でエッチング除去する。除去される酸窒化膜の膜厚は1μm以上である。次に、金属基板107の上に粒状シリコン106を配置する。次に、これを全体的に加熱して粒状シリコン106を金属基板107に接合層108を介して接合する。粒状シリコン106の間に、金属基板107上に絶縁層109を形成する。これらの上側の全体にわたってアモルファスまたは多結晶のシリコン膜110を成膜する。このとき、粒状シリコン106は第1導電形のp型またはn型であるので、シリコン膜110は第2導電形のn型またはp型で成膜する。さらに、その上から透明導電膜111を形成する。このようにして、金属基板107を一方の電極にし、シリコン膜110上に銀ペースト等を塗布してもう一方の電極112とする光電変換素子が得られる。
【0041】
【実施例】
RCA洗浄した粒径約400μmの粒状シリコンを石英ガラスのサヤ上に一層に充填した。酸素ガスと窒素ガスを含むアルゴン雰囲気ガスで満たされた雰囲気焼成炉内でシリコン全体を加熱した。室温から約1380℃まで昇温させながら酸窒化被膜をシリコン表面に形成し、約1420℃で被膜内側のシリコンを約2分間溶融させた後、凝固過程で約1380℃で約10分程度温度を保持した。その後約1250℃まで降温し、約2時間アニールした。最後に室温まで降温した。
【0042】
上記炉内のアルゴン不活性ガス中の酸素ガスと窒素ガスの分圧は、アルゴン流量に対する酸素ガスと窒素ガスの流量で調整した。酸素ガスと窒素ガスの分圧は終始一定に保ちつつ室温状態まで流しつづけた。
【0043】
酸素ガスを含むが窒素ガスを含まない雰囲気ガス中で作製した粒状単結晶シリコンのESRは3×1014spins/ccであるのに対して、酸素ガスと窒素ガスを含む雰囲気ガス中で作製した粒状単結晶シリコンのESR(電子スピン法)は2×1013spins/ccであり、酸素ガスと窒素ガスを含む雰囲気ガス中で作製した粒状単結晶シリコンのダングリングボンドはバルク単結晶シリコンと同等以上であり、結晶性が非常に優れていることがわかった。
【0044】
また、雰囲気ガス中の酸素ガスと窒素ガスの分圧をそれぞれ10%、40%となるように酸素ガスと窒素ガスの流量を調整して雰囲気ガスを調整して粒状単結晶シリコンを作製したところ、回収した粒状単結晶シリコンは個々の粒子が独立している単分散粒子であった。
【0045】
一方、窒素ガスを停止し、酸素分圧が10%の雰囲気ガス中で粒状単結晶シリコンを作製したところ、回収した粒状シリコンは個々の粒子が結合して合体している凝集体が多く含まれていた。
【0046】
次に、表1に示すように、雰囲気ガス中に含まれる酸素ガスと窒素ガスの分圧を段階的に変化させた雰囲気ガスで粒状単結晶シリコンを作製した。
【0047】
【表1】
【0048】
その結果、酸素分圧が20%でも窒素ガス導入がない雰囲気ガス中では粒子同志の結合が25%程度という高い割合で発生していた。また、酸素分圧が20%、もしくは窒素分圧が80%を超えた場合、結合はなかったがシリコンの酸窒化被膜の表面に亀裂が発生して形状が崩れてしまった。
【0049】
また、作製した各粒子からフッ酸と硝酸の混酸で表面の酸窒化皮膜をエッチング除去した後、図2に示すような太陽電池を作製し、所定の強度、所定の波長の光を照射して、太陽電池特性を測定して変換効率を計算した結果を表2に示す。
【0050】
一方、変換効率の測定とは別にエッチングした後のシリコン球についてSIMSで表面から酸素濃度と窒素濃度を分析した。その結果を表2に示す。ここでの分析値は最表面から1μmよりも深い部分で酸素濃度と窒素濃度の値が一定になった値を記した。
【0051】
【表2】
【0052】
その結果、単結晶シリコンの粒子中の酸素濃度が6×1018atoms/cc、窒素濃度が8×1016atoms/ccを超えるものは、光電変換特性を示さなかった。また、酸素分圧が同じでも窒素ガスを含む雰囲気ガス中で作製した粒状単結晶の変換効率は窒素ガスを含まない場合に比べて高く、シリコン中の酸素濃度も低かった。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半導体物質の単結晶化法では、反応ガスとして酸素ガスと窒素ガスを含む雰囲気ガス中で半導体物質表面に酸窒化被膜を形成して内側の半導体物質を溶融凝固させて単結晶化することから、半導体物質表面上には半導体物質の酸窒化被膜が形成され、被膜の厚みを薄くでき、粒状半導体物質の大きさや形状も安定化できる。
【0054】
また、半導体物質中へ汚染物や不純物が拡散することを大幅に阻止でき、被膜内側の半導体物質中に導入される酸素の量も大幅に低減することが可能となり、酸素析出を抑制するための溶融後の冷却過程におけるアニール処理も短時間で済む。
【0055】
さらに、窒素ガスは酸素に比べて半導体物質中への拡散係数が二桁以上大きいため半導体物質の最表面に速やかに酸窒化被膜を形成して安定化することができ、酸化半導体物質被膜を形成する前の段階で不活性ガスと塩化水素の混合ガスで半導体物質表面から汚染物を除去する工程が不要となり、ガス置換制御等の設備も不必要となって装置を安価にすることができる。
【0056】
さらにまた、酸窒化膜は酸化膜に比べて粒子が隣合っても粒子間の表面拡散が少ないために結合しにくくなり、たとえ高温で粒子同士が接触していても結合したり合体したりせず、大粒子化による歩留まり低下を防ぐことができ、その結果量産性を向上させることが可能となる。
【0057】
以上より、太陽電池向けに用いる粒状半導体物質を安価に量産性よく多結晶から高品質化された単結晶に変換できるため、太陽電池に効率的な半導体物質材料を利用できると同時にその高効率化と信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体物質の単結晶化法で用いる温度プロファイルを示す。
【図2】本発明の単結晶化法で得られる粒状単結晶半導体物質を用いて作製した太陽電池を示す図である。
【符号の説明】
1 室温〜1380℃
2 1380℃(3分間)
3 1380℃〜1440℃(8分間)
4 1440℃(2分間)
5 1440℃〜1380℃(5分間)
6 1380℃(10分間)
7 1380℃〜1250℃
8 1250℃(2時間)
9 1250℃〜室温
106 粒状シリコン
107 金属基板
108 接合層
109 絶縁層
110 シリコン膜
111 透明導電層
112 電極
Claims (10)
- 半導体物質を反応性ガスを含む雰囲気ガス中で加熱して表面に該ガスの成分を含む被膜を形成して内側の半導体物質を溶融させて凝固させて単結晶化する半導体物質の単結晶化法において、前記反応ガスとして酸素ガスと窒素ガスを用いることを特徴とする半導体物質の単結晶化法。
- 前記雰囲気ガス中にアルゴンガスを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記雰囲気ガス中の酸素分圧が1〜20%で、窒素分圧が4〜80%であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記反応性ガスを室温から導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記半導体物質がシリコンから成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記被膜がシリコンの酸窒化膜であることを特徴とする請求項1または5に記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記被膜の厚みが1μm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記半導体物質の単結晶化後の酸素濃度が6×1018atoms/cc以下で、窒素濃度が8×1016atoms/cc以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記半導体物質を1450℃以下の温度で溶融することを特徴とする請求項1に記載の半導体物質の単結晶化法。
- 前記半導体物質を溶融した後に所定温度まで降温してその温度で所定時間熱アニールすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の半導体物質の単結晶化法。
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WO2008035793A1 (fr) * | 2006-09-22 | 2008-03-27 | Kyocera Corporation | Procédé de fabrication de grains de silicium cristallins |
JP2012001379A (ja) * | 2010-06-15 | 2012-01-05 | Sharp Corp | 太陽電池モジュール、シリコンリボンの製造方法および球状シリコンの製造方法 |
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