JP2006032933A - Iii族窒化物半導体発光素子 - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2006032933A
JP2006032933A JP2005175292A JP2005175292A JP2006032933A JP 2006032933 A JP2006032933 A JP 2006032933A JP 2005175292 A JP2005175292 A JP 2005175292A JP 2005175292 A JP2005175292 A JP 2005175292A JP 2006032933 A JP2006032933 A JP 2006032933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
group iii
nitride semiconductor
iii nitride
emitting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005175292A
Other languages
English (en)
Inventor
Takenori Yasuda
剛規 安田
Akira Bando
章 坂東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2005175292A priority Critical patent/JP2006032933A/ja
Publication of JP2006032933A publication Critical patent/JP2006032933A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Led Devices (AREA)

Abstract

【課題】 発光素子内部に傾斜側面を有する凹凸構造を形成するための簡便かつ信頼性の高い方法を提供し、その方法によって製造された光取り出し効率の優れたIII族窒化物半導体発光素子を提供すること。
【解決手段】 基板上に形成されたIII族窒化物半導体からなる発光素子に於いて、表面にピットを有するGeドープIII族窒化物半導体からなる第1層および該第1層上に接する該第1層と屈折率の異なる第2層を有することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
【選択図】 図3

Description

本発明はIII族窒化物半導体発光素子、特に光取り出し効率を高めることができる積層界面の構造に特徴を有するIII族窒化物半導体発光素子に関する。
エネルギー消費効率(外部量子効率)を高めた発光素子が省エネルギーを進める上で望まれている。サファイア基板上に積層したGaN系発光ダイオード(LED)において、従来の382nm付近のLEDの外部量子効率は、例えば特許文献1では24%であった。外部量子効率は、「内部量子効率」×「光取り出し効率」の積として概ね2要素に分解されるが、結晶品質や構造最適化による内部量子効率の向上が主に検討されてきた。
一方、光取り出し効率の向上例として、半導体の屈折率と空気の屈折率との間の屈折率を有する樹脂でLEDチップを覆うことによって、発光した光を効率良く樹脂に透過させ、更に樹脂表面を曲面に加工することで外部への光取り出し効率を上げる手法が古くから行われてきた。また、基板を逆ピラミッド状に研削することによって2倍程度の光取り出し効率の増加を実現している例として、米国クリー(Cree)社がXブライト(X-Bright)シリーズとして市販している。
一般にLEDは、発光層の屈折率が空気の屈折率より大きい為、スネルの法則で決まる全反射角より大きい入射角の光線は発光層から外部に取り出す事ができない。発光素子基板の表面を故意に荒らしたり、側面を逆ピラミッド状に傾斜した面にする事で凹凸構造を作り、入射角を変化させ、光取り出し効率を高める取り組みは既に実施されている。しかし、発光層から発した光が発光層の屈折率に対し屈折率が大きく異なる最初の層に入射する界面に凹凸構造を形成する方が最も効果的である。即ち、半導体結晶中に屈折率の大きく異なる層を設け、その界面に凹凸を形成した方が効果的である。
一方、キャリア濃度が制御されたn型III族窒化物半導体層を得る目的でゲルマニウム(Ge)によるドーピング法が知られている(例えば特許文献2参照)。しかし、Siの場合と比較すると、ドーピング効率は低く(例えば非特許文献1参照)、低抵抗のn型III族窒化物半導体層を得るには不利とされている。また、高濃度にGeをドーピングすると、n型III族窒化物半導体層の表面には、平坦性を損なう小孔(ピット)が発生し、その上に積層する半導体層の結晶性が悪化する欠点があった(例えば非特許文献2参照)。従って、n型ドーピング材料としては専らSiが用いられ、Geは用いられなかった。
特開2002−164296号公報 特開平4−170397号公報 Jpn.J.Appl.Phys.,1992年、31巻(9A)、2883頁 「III族窒化物半導体化合物(Group III Nitride Semiconductor Compounds)」CLARENDON Press.(OXFORD)、1998年、104頁
発光素子半導体結晶層内部に屈折率の異なった傾斜側面を有する凹凸構造を形成した発光素子構造とすることで光取り出し効率が向上する。
本発明の目的は、発光素子内部に傾斜側面を有する凹凸構造を形成する手段として、簡便かつ信頼性の高い手法を提供し、その手法によって得られた光取り出し効率の優れたIII族窒化物半導体発光素子を提供することである。
本発明は、屈折率の異なる2層の界面に傾斜した側面を有する凹凸を導入することにより、全反射されていた光線を外部に取り出すことを可能にし、発光素子の光取り出し効率を高めたものである。
即ち、本発明は以下の発明を提供する。
(1)基板上に形成されたIII族窒化物半導体からなる発光素子に於いて、表面にピットを有するGeドープIII族窒化物半導体からなる第1層および該第1層上に接する該第1層と屈折率の異なる第2層を有することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
(2)第1層のGe原子濃度が1×1016cm-3以上1×1022cm-3以下である上記1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(3)第2層がIII−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、および透光性または反射性の金属、金属酸化物、酸化物、窒化物ならびに樹脂からなる群から選ばれる少くとも一種である上記1または2項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(4)第1層がGaNであり、第2層がAlxGa1-xN(0<x≦1)である上記1〜3項のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(5)第1層がAlxGa1-xN(0<x≦1)であり、第2層がGaNである上記1〜3項のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(6)発光層を有し、第1層および第2層が該発光層の基板側に存在する上記1〜5項のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(7)第1層および第2層の発光波長における屈折率の比n1/n2が0.35以上0.99以下であることを特徴とする上記6項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(8)第2層および発光層の発光波長における屈折率の比n2/neが0.35以上1以下であることを特徴とする上記6または7項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(9)第1層表面におけるピットの個数密度が104cm-2以上1014cm-2以下であることを特徴とする上記1〜8項のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(10)基板がサファイア、SiC、GaN、AlN、ZnO、ZrB2、LiGaO2、GaAs、GaPおよびSiからなる群から選ばれる少くとも一種である上記1〜9項のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(11)上記1〜10項のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子を用いたランプ。
本発明の発光素子は光取り出し効率が最大2倍程度まで増加するので、LEDの発光出力、電光変換効率ともに最大2倍程度まで向上させる事ができる。この事は省エネルギーに寄与するだけでなく、光の再吸収による素子の発熱も抑制し、LEDの安定動作および寿命の向上も促す。
また、III族窒化物半導体の成長中にGeをドーピングするという簡便な方法で、屈折率の異なる2層の界面に傾斜した側面を有する凹凸を確実に導入することができる。
なお、本発明で傾斜とは、前記2層間の平均的な界面(平坦面)に対する傾斜をいう。通常、平均的な界面は基板に平行な面となる。
本願発明のIII族窒化物半導体発光素子は、Geをドーピングすることによってピットが形成されたIII族窒化物半導体からなる第1層とその上に接する屈折率の異なる第2層を有することを特徴とする。該素子は、融点が比較的高く、耐熱性のあるサファイア(α−Al23単結晶)等の基板上に形成することが望ましい。発光層からの光を透過できる、光学的に透明な単結晶材料は基板として特に有効である。
基板としては、III族窒化物半導体をエピタキシャル成長できる基板であれば全てよいが、具体的にはサファイア、立方晶或いは六方晶結晶型の炭化珪素(SiC)、AlNやGaNをはじめとする窒化物単結晶材料、酸化亜鉛(ZnO)或いは酸化ガリウム・リチウム(LiGaO2)等の酸化物単結晶材料、珪素(Si)単結晶(シリコン)、リン化ガリウム(GaP)や砒化ガリウム(GaAs)等のIII−V族化合物半導体単結晶材料およびZrB2等が利用できる。好ましくはサファイア、SiC、GaN、AlNおよびZnOであり、さらに好ましくはサファイアおよびAlNである。
基板上に設けるIII族窒化物半導体層は、組成式AlXGaYInZ1-aa(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1で且つ、X+Y+Z=1。記号Mは窒素とは別の第V族元素を表し、0≦a<1である。)で表わされるIII族窒化物半導体から構成する。結晶基板とその上に形成するIII族窒化物半導体層との間で格子ミスマッチがある場合、そのミスマッチを緩和して、結晶性に優れるIII族窒化物半導体層をもたらす低温緩衝層或いは高温緩衝層を介在させて積層するのが得策である。緩衝層は、例えば、窒化アルミニウム・ガリウム(AlXGaYN:0≦X,Y≦1で且つ、X+Y=1)で構成できる。
これらのIII族窒化物半導体の成長方法は特に限定されず、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)、HVPE法(ハイドライド気相成長法)、MBE法(分子線エピタキシー法)、などIII族窒化物半導体を成長させることが知られている全ての方法を適用できる。好ましい成長方法としては、膜厚制御性、量産性の観点からMOCVD法である。MOCVD法では、キャリアガスとして水素(H2)または窒素(N2)、III族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMGa)またはトリエチルガリウム(TEGa)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMAl)またはトリエチルアルミニウム(TEAl)、In源としてトリメチルインジウム(TMIn)またはトリエチルインジウム(TEIn)、V族原料であるN源としてアンモニア(NH3)、ヒドラジン(N24)などが用いられる。ゲルマニウムの添加源としては、ゲルマンガス(GeH4)や、テトラメチルゲルマニウム(TMGe)やテトラエチルゲルマニウム(TEGe)等の有機ゲルマニウム化合物を利用できる。MBE法では、元素状のゲルマニウムもドーピング源として利用できる。また、他のドーパントとしては、n型にはSi原料としてモノシラン(SiH4)またはジシラン(Si26)を、p型にはMg原料として例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)またはビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム((EtCp)2Mg)を用いる。
III族窒化物半導体発光素子は基板上に、III族窒化物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層を、n型半導体層とp型半導体層が発光層を挟むように有し、n電極およびp電極が所定の位置に設けられている。例えば、図1にその断面を模式的に示したような、サファイアからなる基板(1)上に、AlNからなるバッファ層(6)を介して、アンドープGaNからなる下地層(3a)、nコンタクト層(3b)およびnクラッド層(3c)からなるn型半導体層(3)、障壁層(4a)および井戸層(4b)を交互に数回積層させた後にさらに障壁層(4a)を設けた多重量子井戸構造の発光層(4)、pクラッド層(5a)およびpコンタクト層(5b)からなるp型半導体層(5)を順に積層したIII族窒化物半導体積層物のpコンタクト層(5a)上にp電極(10)を、nコンタクト層(3b)上にn電極(20)を形成した構造が一般によく知られている。
本発明における第1層およびその上に接する第2層は上述の構造の発光素子中どこにでも配置できる。n型半導体層の内部でもよいし、p型半導体層の内部でもよい。例えば、アンドープGaNからなる下地層(3a)の一部にGeをドープして第1層を形成し、その上にアンドープAlNからなる第2層を設けてもよい。また、最初の障壁層(4a)の直下に障壁層とは組成の異なる(屈折率の異なる)GeドープIII族窒化物半導体層を設けて第1層とし、最初の障壁層(4a)を第2層としてもよい。AlNからなるバッファ層(6)にGeをドープして第1層とし、GaNからなる下地層(3a)を第2層としてもよい。
さらに、pコンタクト層(5b)の一部にGeをドープして第1層を形成し、その上にGeをドープしない組成の異なる(屈折率の異なる)III族窒化物半導体層を設けて第2層としてもよい。この場合、第1層はp型ドーパントと共にGeをドープしてp型の第1層としてもよいし、Geだけドープした層としてもよい。
また、pコンタクト層(5b)の最表部にGeをドープして第1層とし、第2層を正極としてもよい。この場合、正極を格子状としてその上に形成される絶縁性保護膜や素子封止樹脂を第2層とすることもできる。さらには、格子状の正極の上には何も設けずに第1層は直接空気に接しており、空気が第2層を形成していてもよい。
発光層に対し、基板側にp型半導体層、表面側にn型半導体層を積層した素子構造の場合も上記構造と同様に第1層および第2層を設ければよい。例えば、発光層より表面側のn型半導体層の一部にGeをドーピングすることによってピットが形成された第1層と、その上に組成の異なる(屈折率の異なる)第2層を設ければよい。
ところで、一般的な半導体発光素子において、発光層の屈折率neは発光波長付近で概ね1〜4である。空気中に光を取り出す必要があることから、発光層は発光波長における発光層の屈折率neが発光波長における空気の屈折率n0(=1)に近づく物質である程、光取り出し効率は100%に近づく。
即ち、スネルの法則により屈折率neの媒質中から屈折率n0の媒質へ向かう光線は、媒質間の界面に垂直な方向を0°、界面と平行な方向を90°と定義した入射角αに対し、sinαc=n0/neで決まる全反射角αcより大きな入射角の光はn0の媒質に出て行くことができず、その分、光取り出し効率は減少する。n0/neが1に近づく程、αcは90°に近づき、光取り出し効率は100%に近づく。III族窒化物半導体発光素子の場合、発光層の屈折率は通常2〜3であり、最終的に光を取り出す外気(空気)の屈折率は約1であるから、その差は大きく、光取り出し効率の低下も大きくなる。
本発明はこの光取り出し効率の低さを斜面を形成することで改善するものである。平坦界面だけでは取り出せなかった入射角の光線について、斜面を形成することで入射角を実質上変換し、出射可能にしている。但し、形成する斜面の両側の媒質の屈折率が同じでは、光学的には斜面が無いのと同じである。よって、斜面を形成する第1層とこの上に設ける第2層について、発光波長における屈折率が異なる媒質であることが重要であり、更に言えば、発光層から外気までの積層構造のうち、界面を構成する2つの層の屈折率の比が大きい界面において、斜面を形成することが光取り出し効率向上の為には効果的である。
従って、本願発明の効果を高める要件は2つある。以下に、この要件について説明するが、ここで、第1層および第2層の内、発光層に近い層をA層と呼び、発光層から遠い層をB層と呼ぶ。即ち、光は発光層からA層、B層の順に経由して外部に向かう。第1の要件は発光波長におけるA層の屈折率nAを発光波長における発光層の屈折率neに近づけることである。第2の要件は発光波長におけるB層の屈折率nBを発光波長におけるA層の屈折率nAに近づけさせないことである。第2の要件はB層と空気との屈折率の比を1に近づけることに繋がり、B層から空気への光取り出し効率を100%に近づける効果を含む。
発光波長での発光層の屈折率neとA層の屈折率nAとの比nA/neは、0.35以上1以下が適する。好ましくは、0.7以上1以下であり、さらに好ましくは、0.9以上1以下である。発光波長でのB層の屈折率nBとA層の屈折率nAとの比nB/nAは、0.35以上0.99以下が適する。好ましくは、0.35以上0.95以下であり、さらに好ましくは、0.35以上0.90以下である。
また、B層の発光波長での屈折率nBは、1.0以上3.0以下が適する。好ましくは、1.0以上2.5以下であり、さらに好ましくは、1.0以上2.3以下である。
本発明において、第1層および第2層の積層構造が発光層の基板側にある場合、第1層がB層であり、第2層がA層である。また、その積層構造が発光層の基板と反対側にある場合、第1層がA層であり、第2層がB層である。
第1層の表面に存在するピットは、III族窒化物半導体の結晶構造に基づいて通常六角錐状の形状である。六角錐状のピットの傾斜角は、基本的にはピットが形成される第1層の結晶面の傾斜角で決定される。図2に示すように、基板平面からの仰角(θ)を傾斜角と定義すると、例えば、GaNの{1−102}面で形成されたピットであれば約43.2°、{11−22}面で形成されたピットであれば約58.4°である。また、AlNの{1−102}面で形成されたピットであれば約42.8°、{11−22}面で形成されたピットであれば約58.0°である。これら角度はさらに第1層が受ける応力の度合いによって変化する。また、成長条件等により結晶面が明確に出ていない不定形のピットが形成される場合がある。断面が半円状や半楕円状、あるいは結晶面で構成された部分と不定形の部分が組み合わされたピットが形成される場合もある。これらの形状のピットについてもある点における接面を仮定することで傾斜角を定義できる。
光取り出し効率を高めるためには、基板面に対する傾斜角は5°以上85°以下が適する。好ましくは、15°以上75°以下であり、さらに好ましくは、30°以上60°以下である。本発明では、傾斜角は発光素子の断面SEM写真から測定する。
六角錐状のピットの大きさは、発光素子の大きさにもよるが、一般に一辺の長さが0.001μm以上100μm以下が適する。好ましくは、0.1μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは、0.3μm以上3μm以下である。一辺の長さが0.001μm以下になると光の入射角を変化させる効果が得られなくなる。また、100μm以上にするとピットの個数密度が小さくなるので好ましくない。
ピットの深さは、0.001μm以上100μm以下が適する。好ましくは、0.1μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは、0.3μm以上3μm以下である。ピットの深さが0.001μm以下になると光の入射角を変化させる効果が得られなくなる。また、ピットの深さを100μm以上にすると、それにつれてしてピットの大きさも大きくなり、ピットの個数密度が小さくなるので好ましくない。
第1層の表面に存在するピットの密度に関して、第1層の表面全面積に対するピット総面積の比率で定義すると、ピット面積比率は1%以上100%以下が適する。好ましくは、10%以上100%以下であり、さらに好ましくは、30%以上100%以下である。ピット面積比率が大きい方が光の入射角を変化させる効果は高い。また、ピットの個数密度は、104cm-2以上1014cm-2以下が適する。好ましくは、105cm-2以上1010cm-2以下であり、さらに好ましくは、106cm-2以上109cm-2以下である。
なお、上述のピットの形状等は発光素子の断面SEM写真から測定するが、通電した状態の発光素子表面を光学顕微鏡で観察しても概ね分かる。
第1層の層厚に関しては上述の深さのピットが形成できる厚さであればよい。即ち、0.001μm以上100μm以下が適する。好ましくは、0.1μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは、0.3μm以上3μm以下である。
本発明において、第1層の表面に存在するピットは、第1層を構成するIII族窒化物半導体層中にGeをドーピングすることによって形成する。従って、III族窒化物半導体を成長させる際に、Geの添加量を調整することによって、簡便に且つ確実に目的とする形状のピットを形成することができる。
ピットの数密度および大きさ等を制御する要因として、第1層成長時のGeドーピング量、成長温度、成長圧力、V/III族比等が挙げられる。第1層中のGe原子濃度を直接変化させるGeドーピング量が要因となるのは当然である。前記他の条件も要因となるのは、III族窒化物半導体の成長条件においても、基板面と平行な結晶面の成長に対して、斜面となる結晶面の成長に切り替わりやすい成長条件範囲が存在するためである。
また、ピットの大きさは第1層の層厚によっても制御可能である。層厚を厚くすれば、ピットは大きく且つ深くなる。
第1層中のGe原子濃度は1×1016cm-3以上1×1022cm-3以下が適する。好ましくは、1×1018cm-3以上1×1021cm-3nm以下、さらに好ましくは、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。第1層中のGe原子濃度が1×1016cm-3未満になるとピットを形成できなくなり、1×1022cm-3を超えるとGaN等のIII族窒化物半導体母体の結晶性を維持できなくなるので好ましくない。Ge濃度を高くした方が、通常、大きなピットが多数できる。
Ge原子の濃度は、例えば、2次イオン質量分析法(SIMS)で測定できる。これは、試料の表面に1次イオンを照射することにより、イオン化して飛び出した元素を質量分析する手法であり、特定元素の深さ方向の濃度分布を観察かつ定量できる。III族窒化物半導体層中に存在するGe元素についてもこの手法が有効であり、本発明においてもこの方法で測定した。
第1層の成長温度は300℃以上1800℃以下が適する。好ましくは、600℃以上1500℃以下、さらに好ましくは、800℃以上1200℃以下である。300℃未満では良質の母体結晶を形成する事は難しく、1800℃を超えると十分な成長速度を得ることが難しい。一般に、成長温度の低い方がピットは形成し易い。
第1層の成長圧力は10-11MPa以上103MPa以下が適する。好ましくは、10-4MPa以上10-1MPa以下、さらに好ましくは、10-3MPa以上10-1MPa以下である。10-11MPa未満ではMBE法においても良質な結晶を得る事は難しく、103MPa超では高圧バルク結晶成長法でも十分な成長速度を得ることが難しい。この圧力範囲では一般に圧力が高いと、ピットは形成し易い。
第1層成長時のV/III族比は1以上100000以下が適する。好ましくは、10以上10000以下、さらに好ましくは、100以上5000以下である。1未満ではIII族金属が析出し、100000を超えると第1層の結晶性を良好に保つ事ができないため、良好な形状のピットを形成し難い。
本発明の第2層は、第1層とは異なる組成(異なる屈折率)のIII族窒化物半導体または他のIII−V族化合物半導体やII−VI族化合物半導体から構成することができる。また、p型半導体層の最表面に第1層を設けた場合は、前述した如く、その直上に設けたp電極、絶縁性保護膜または封止樹脂として用いられる透光性または反射性の金属(正極)、金属酸化物(絶縁性保護膜)、SiO2等の酸化物(絶縁性保護膜)、窒化珪素等の窒化物(絶縁性保護膜)あるいはエポキシ樹脂等の樹脂(封止樹脂)から第2層を構成することができる。透光性または反射性の正極としては、Au/NiまたはAl/Tiの二層構造の金属が例として挙げられる。これら以外の周知の正極材料または絶縁保護膜材料から第2層を構成しても、光取り出し効率の向上効果は高い。
さらに、p型半導体層の最表面に第1層を設けた場合は、その上に正極、絶縁性保護膜または封止樹脂を設けずに、即ち、第2層を構成する物質を空気としても、光取り出し効率の向上効果は高い。
第2層を構成する材料の選択にあたっては、発光層および第1層の発光波長における屈折率を考慮して、屈折率が上述の好ましい範囲を満足するように適宜選択すればよい。
第2層の厚さに関しては特に制約はなく、どのような厚さでもよいが、通常0.001μm以上100μm以下が適する。好ましくは、0.1μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは、0.3μm以上15μm以下である。第1層に形成されているピットを埋めて平坦化している必要は必ずしもないが、さらにその上に成長させる半導体層の結晶性等を考慮すれば、第1層のピットを埋めて平坦化していることが好ましい。
本発明のIII族窒化物半導体発光素子から、例えば当業界周知の手段によりランプを作製できる。また、本願発明のIII族窒化物半導体発光素子と蛍光体を組み合わせて多色のLEDあるいは白色のLEDを作製することもできる。
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図3に本実施例で作製したIII族窒化物半導体発光素子50の断面構造を模式的に示す。III族窒化物半導体層101〜109は、一般的な減圧MOCVD手段を利用して以下の手順で形成した。なお、図中、100は基板、110はp型電極および111はn型電極である。
先ず、(0001)面サファイア基板100を、高周波(RF)誘導加熱式ヒータで成膜温度に加熱される半導体用高純度グラファイト製のサセプタ上に載置した。載置後、該サセプタを備えたステンレス鋼製の気相成長反応炉内に窒素ガスを流通し、炉内をパージした。
気相成長反応炉内に、窒素ガスを8分間に亘って流通させた後、誘導加熱式ヒータを作動させ、基板100の温度を、10分間で室温から600℃に昇温した。基板100の温度を600℃に保ったまま、水素ガスと窒素ガスを流通させて、気相成長反応炉内の圧力を1.5×104Paとした。この温度及び圧力下で2分間、放置して、基板100の表面をサーマルクリーニングした。サーマルクリーニングの終了後、気相成長反応炉内への窒素ガスの供給を停止した。水素ガスの供給は継続させた。
その後、水素雰囲気中で、基板100の温度を1120℃に昇温させた。1120℃で温度が安定したのを確認した後、トリメチルアルミニウム(TMAl)の蒸気を随伴する水素ガスを8分30秒間、気相成長反応炉内へ供給した。これにより、気相成長反応炉の内壁に以前より付着していた窒素(N)を含む堆積沈着物の分解により生じる窒素(N)原子と反応させて、サファイア基板100上に、数nmの厚さの窒化アルミニウム(AlN)バッファ層101を付着させた。TMAlの蒸気を随伴する水素ガスの気相成長反応炉内への供給を停止しAlNバッファ層の成長を終了させた後、4分間待機し、気相成長炉内に残ったTMAlを完全に排出した。
続いて、アンモニア(NH3)ガスを気相成長反応炉内に供給開始した。供給開始から4分が経過した後、アンモニアガスの流通を続けながら、サセプタの温度を1040℃に降温した。サセプタの温度が1040℃になったのを確認した後、暫時、温度が安定するのを待ち、トリメチルガリウム(TMGa)の気相成長反応炉内への供給を開始し、アンドープのGaN層102を20分間に亘って成長させた。アンドープGaN層102の層厚は1μmであった。
次に、TMGaの供給を止め、トリメチルアルミニウム(TMAl)、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)の供給を開始した。240分で層厚1μmのGeドープのn型AlN層103を形成した。反応炉に備えられた表面反射率測定装置によるその場観察にて表面反射率の低減が観測された。ピットが形成され表面に凹凸が形成された可能性が示唆された。
次に、TMAl、(CH34Geの供給を止め、TMGaの供給を開始した。30分で層厚1.5μmのアンドープGaN層104を形成した。表面反射率のその場観察にて表面反射率が回復し、再度表面が平坦化された様子が見られた。
次に、TMGa、NH3ガスの供給を続けながらウェーハ温度を1120℃に上昇し、温度が安定したところで、モノシラン(SiH4)の供給を開始した。30分で層厚1.5μmのSiドープn型GaNコンタクト層105を形成した。
高SiドープGaN層105を成長した後、TMGaとSiH4のバルブを切り替えて、これらの原料の炉内への供給を停止した。アンモニアはそのまま流通させながら、バルブを切り替えてキャリアガスを水素から窒素へ切り替えた。その後、基板の温度を1120℃から830℃へ低下させた。
炉内の温度の変更を待つ間に、SiH4の供給量を変更した。流通させる量は事前に検討してあり、SiドープInGaNクラッド層の電子濃度が1×1017cm-3となるように調整した。アンモニアはそのままの流量で炉内へ供給し続けた。また、あらかじめトリメチルインジウム(TMIn)とトリエチルガリウム(TEGa)のバブラへのキャリアガスの流通を開始しておいた。SiH4ガス、およびバブリングによって発生したTMInおよびTEGaの蒸気は、クラッド層の成長工程が始まるまでは、キャリアガスと一緒に除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して系外へ放出した。
その後、炉内の状態が安定するのを待って、TMInとTEGaとSiH4のバルブを同時に切り替え、これらの原料の炉内への供給を開始した。約10分間に渡って供給を継続し、10nmの膜厚を成すSiドープのIn0.03Ga0.97Nからなるn型クラッド層106を形成した。その後、TMIn、TEGaおよびSiH4のバルブを切り替え、これらの原料の供給を停止した。
次に、GaNよりなる障壁層とIn0.06Ga0.94Nよりなる井戸層で構成される多重量子井戸構造の発光層107を作製した。多重量子井戸構造の作製にあたっては、SiドープIn0.03Ga0.97Nからなるn型クラッド層106上に、始めにSiドープGaN障壁層を形成し、そのGaN障壁層上にIn0.06Ga0.94N井戸層を形成した。この構造を5回繰り返し積層したのち、5番目のIn0.06Ga0.94N井戸層上に、非ドープのGaN障壁層を形成し、多重量子井戸構造の両側をGaN障壁層から構成した構造とした。
すなわち、n型クラッド層の成長終了後、30秒間に渡って停止したのち、基板温度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はそのままで、TEGaとSiH4のバルブを切り替えてTEGaとSiH4の炉内への供給を行った。7分間に渡ってTEGaとSiH4の供給を行った後、再びバルブを切り替えてTEGaとSiH4の供給を停止してSiドープGaN障壁層の成長を終了した。これにより、7nmの膜厚を成すSiドープGaN障壁層を形成した。
SiドープGaN障壁層の成長を行っている間、除害設備への配管に流していたTMInの流量を、クラッド層の成長の時と比較して、モル流量にして2倍になるように調節しておいた。
SiドープGaN障壁層の成長終了後、30秒間に渡ってIII族原料の供給を停止したのち、基板温度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はそのままで、TEGaとTMInのバルブを切り替えてTEGaとTMInの炉内への供給を行った。2分間に渡ってTEGaとTMInの供給を行った後、再びバルブを切り替えてTEGaとTMInの供給を停止して非ドープのIn0.06Ga0.94N井戸層の成長を終了した。これにより2nmの膜厚を有する非ドープのIn0.06Ga0.94N井戸層を形成した。
非ドープのIn0.06Ga0.94N井戸層の成長終了後、30秒間に渡ってIII族原料の供給を停止したのち、基板温度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はそのままで、TEGaとSiH4の炉内への供給を開始し、再びSiドープのGaN障壁層の成長を行った。
このような手順を5回繰り返し、5層のSiドープのGaN障壁層と5層の非ドープのIn0.06Ga0.94N井戸層を作製した。更に、最後の非ドープのIn0.06Ga0.94N井戸層上に非ドープのGaN障壁層を形成した。
この非ドープのGaN障壁層で終了する多重量子井戸構造上に、MgドープのAl0.2Ga0.8Nからなるp型クラッド層108を作製した。
TEGaの供給を停止して、非ドープのGaN障壁層の成長が終了した後、2分間をかけて、基板の温度を1100℃に上昇した。更に、キャリアガスを水素に変更した。また、あらかじめTMGa、トリメチルアルミニムウム(TMAl)、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)のバブラへのキャリアガスの流通を開始しておいた。バブリングによって発生したTMGa、TMAl、Cp2Mgの蒸気は、MgドープAl0.2Ga0.8N層の成長工程が始まるまでは、キャリアガスと一緒に除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して系外へ放出した。
炉内の成長条件が安定するのを待って、TMGa、TMAl、Cp2Mgのバルブを切り替え、これらの原料の炉内への供給を開始した。Cp2Mgを流通させる量は事前に検討してあり、MgドープのAl0.2Ga0.8Nからなるp型クラッド層108の正孔濃度が5×1017cm-3となるように調整した。2分間に渡って成長を行ったあと、TMGa、TMAl、Cp2Mgの供給を停止し、MgドープのAl0.2Ga0.8N層の成長を停止した。これにより、0.15μmの膜厚を成すMgドープAl0.2Ga0.8N層108が形成された。
このMgドープのAl0.2Ga0.8Nからなるp型クラッド層108上に、MgドープのGaNからなるp型コンタクト層109を作製した。
TMGa、TMAl、Cp2Mgの供給を停止して、MgドープのAl0.2Ga0.8Nクラッド層の成長が終了した後、30秒間に渡ってIII族原料とドーパントの供給を停止したのち、p型GaNコンタクト層の正孔濃度が8×1017cm-3となるようにCp2Mgの流通させる量を変更した。基板温度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はそのままで、TMGaとCp2Mgの炉内への供給を開始し、Mgドープのp型GaNコンタクト層109の成長を行った。その後、2分30秒に渡って成長を行ったあと、TMGaとCp2Mgの供給を停止し、Mgドープのp型GaNコンタクト層の成長を停止した。これにより、0.15μmの膜厚を成すMgドープp型GaN層109が形成された。
Mgドープp型GaN層の成長を終了した後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板の温度を室温まで20分をかけて降温した。成長温度から300℃までの降温中は、反応炉内のキャリアガスを窒素のみから構成し、容量にして1%のNH3を流通した。その後、基板温度が300℃となったのを確認した時点でNH3の流通を停止し、雰囲気ガスを窒素のみとした。基板温度が室温まで降温したのを確認して、ウェーハを大気中に取り出した。
以上のような手順により、半導体発光素子用のエピタキシャル層構造を有するエピタキシャルウェーハを作製した。ここで少なくとも最表面のMgドープGaN層はp型キャリアを活性化するためのアニール処理を行なわなくてもp型を示した。
なお、本実施例における第1層の屈折率は約2.0であり、第2層の屈折率は約2.4であった。また、発光層の屈折率は約2.4であった。
次いで、上記のサファイア基板上にエピタキシャル層構造が積層されたエピタキシャルウェーハを用いて半導体発光素子の一種である発光ダイオード50を以下の手順で作製した。図4は、本実施例で作製した発光ダイオード50の電極形状を示した模式図である。作製したウェーハについて、公知のフォトリソグラフィー技術によってドライエッチング用のマスクを形成し、その後ウェーハ表面のドライエッチングを行った。ドライエッチングはハロゲン系のガスを用いたリアクティブイオンエッチングで行い、高Siドープn型GaNコンタクト層105のn側電極を形成する部分301を露出させた。露出したn型GaNコンタクト層の表面の一部にTi(1000Å)/Au(2000Å)のn型電極302を作製した。ドライエッチングさせなかった部分のMgドープp型GaNコンタクト層303の表面上には、表面側から順にチタン、アルミニウム、金を積層した構造を持つp電極ボンディングパッド305とそれに接合したAu(75Å)/Ni(50Å)の透光性p型電極304を形成し、p側電極を作製した。
このようにしてp側およびn側の電極を形成したウェーハについて、サファイア基板の裏面側から基板の厚さが100μmになるまで研削し、更に研磨してミラー状の面とした。その後、該ウェーハを350μm角の正方形のチップに切断し、電極が下になるように、サブマウントに載置した。サブマウントをリードフレームのカップ内にマウントし、サブマウントからリードフレームへ結線して発光素子とした。更に、シリコーン樹脂でほぼ半球形状になるように樹脂封止し、砲弾型LEDを作製した。
上記のようにして作製した発光ダイオードのp側およびn側の電極間に順方向電流を流したところ、電流20mAにおける発光波長は380nm、積分球を用いて計測した光出力値は20mW、順方向電圧は3.2Vであった。
また、樹脂封止する前のLEDチップに通電した際のチップ表面を光学顕微鏡で観察した所、一様に光っている部分と、この部分より更に輝いている概ね1μmサイズの六角形状の輝点が観測され、発光層から発したあらゆる方向の光が効率よく取り出せることが可能になったことを伺わせた。輝点は六角錘状のピットが形成された部分に対応しており、六角形の向きから考えてピットはAlNの6つの{11−22}面で構成されていると考えられた。輝点即ちピットの個数密度は1.4×107cm-2、輝点(ピット)のサイズは直径0.4μm〜1μmであった。
また、GeをドープしたAlN層のGe原子濃度は4×1019cm-3であった。断面SEM像の観察から、第1層に形成されたピットの傾斜角は約60°であった。また、断面SEM像から測定したピットの深さは0.6μm〜1μmであった。
(比較例1)
Geをドープしてピットを形成したn型AlN層103の形成を行なわないこと以外は実施例1と同様にLEDの作製を行なった。得られたLEDを実施例1と同様に評価した所、順方向電流20mAにおける発光波長は380nm、積分球を用いて計測した光出力値は12mW、順方向電圧は3.2Vであった。
また、実施例1で観測された六角形状の輝点は観測されなかった。Geドープによるピット形成層103が光取り出し効率の向上に関与していると判断される。
(実施例2)
実施例2ではサファイア基板上にAlN層を形成し、途中からGeドーピングすることで第1層を形成した例を示す。
実施例1と同様に、(0001)面サファイア基板100を、MOCVD炉内のサセプタ上に載置した。載置後、窒素ガスを流通し、炉内をパージした。
気相成長反応炉内に、窒素ガスを8分間に亘って流通させた後、基板100の温度を、10分間で室温から600℃に昇温し、2分間、放置して、基板100の表面をサーマルクリーニングした。
その後、基板100の温度を1120℃に昇温させ、トリメチルアルミニウム(TMAl)の蒸気を随伴する水素ガスを8分30秒間、気相成長反応炉内へ供給した。TMAlの供給を停止し、次いでNH3を流通し、サファイア基板100上に、40nmの厚さの窒化アルミニウム(AlN)バッファ層101を形成した。
続いて、アンモニアガスの流通を続けながら、サセプタの温度を1040℃に降温した。サセプタの温度が1040℃になったのを確認した後、TMAlの供給を開始し、アンドープのAlN層102を60分に亘って成長させた。アンドープAlN層102の層厚は0.25μmであった。
次に、TMAl、NH3の供給はそのままで、(CH34Geの供給を開始した。240分で層厚1μmのGeドープのn型AlN層103を形成した。実施例1と同様の表面反射率のその場観察にて表面反射率の低減が観測され、ピットが形成された様子が見られた。
次に、TMAl、(CH34Geの供給を止め、TMGaの供給を開始した。30分で層厚1.5μmのアンドープGaN層104を形成した。表面反射率のその場観察にて表面反射率が回復し、再度表面が平坦化された様子が見られた。
以下、実施例1と同様にして、Siドープn型GaNコンタクト層105以降を形成した。更に、実施例1と同様に砲弾型の発光ダイオードを作製した。
なお、本実施例における第1層、第2層および発光層の屈折率は、実施例1と同様それぞれ約2.0、約2.4および約2.4である。
得られた発光ダイオードを実施例1と同様に評価したところ、電流20mAにおける発光波長は380nm、積分球を用いて計測した光出力値は22mW、順方向電圧は3.2Vであった。また、輝点の個数密度は1.4×107cm-2、輝点のサイズは直径0.4μm〜1μmであった。GeドープしたAlN層のGe原子濃度も実施例1と同様に4×1019cm-3であり、断面SEM像から観察した第1層に形成されたピットの傾斜角も実施例1と同様に約60°であった。断面SEM像から測定したピットの深さは0.6μm〜1μmであった。
(実施例3)
実施例3ではサファイア基板上にAlNバッファ層101、その上にGaN層102を順次形成した後、GeドーピングGaN層で第1層103を形成した例を示す。
実施例1と同様に、(0001)面サファイア基板100を、MOCVD炉内のサセプタ上に載置した。載置後、窒素ガスを流通し、炉内をパージした。
気相成長反応炉内に、窒素ガスを8分間に亘って流通させた後、基板100の温度を、10分間で室温から600℃に昇温し、2分間、放置して、基板100の表面をサーマルクリーニングした。
その後、基板100の温度を1150℃に昇温させ、トリメチルアルミニウム(TMAl)の蒸気を随伴する水素ガスを8分30秒間、気相成長反応炉内へ供給した。TMAlの供給を停止し、次いでNH3を流通し、サファイア基板100上に、40nmの厚さの窒化アルミニウム(AlN)バッファ層101を形成した。
続いて、アンモニアガスの流通を続けながら、サセプタの温度を1150℃に維持し、TMGaの供給を開始し、アンドープのGaN層102を40分に亘って成長させた。アンドープGaN層102の層厚は2μmであった。
次に、TMGa、NH3の供給はそのままで、TMGeの供給を開始した。20分で層厚1μmのGeドープのn型GaN層103を形成した。表面反射率のその場観察にて表面反射率の低減が観測され、ピットが形成された様子が見られた。
次に、TMGa、TMGeの供給を止め、TMAlの供給を開始した。120分で層厚0.5μmのアンドープAlN層104を形成した。表面反射率のその場観察にて表面反射率がある程度回復し、不完全ではあるが再度表面が平坦化された様子が見られた。
以下、実施例1と同様にして、Siドープn型GaNコンタクト層105以降を形成した。更に、実施例1と同様に砲弾型の発光ダイオードを作製した。
なお、本実施例における第1層の屈折率は約2.4であり、第2層の屈折率は約2.0であった。また、発光層の屈折率は約2.4であった。
得られた発光ダイオードを実施例1と同様に評価したところ、電流20mAにおける発光波長は380nm、積分球を用いて計測した光出力値は19mW、順方向電圧は3.2Vであった。また、輝点の個数密度は1.4×107cm-2、輝点のサイズは直径0.4μm〜1μmであった。GeドープしたGaN層のGe原子濃度は4×1019cm-3であり、断面SEM像から観察した第1層に形成されたピットの傾斜角は約60°であった。断面SEM像から測定したピットの深さは0.6μm〜1μmであった。
(実施例4)
実施例4ではp型GaNコンタクト層上にGeドープしたGaN層で第1層を形成した例を示す。
比較例1と同様に、p型GaNコンタクト層まで形成したLED用エピタキシャルウェーハを作製した。その後、Mgドープp型GaNコンタクト層の表面上に、Rh/Ir/Pt3層構造(Ptが半導体側)の格子状電極を形成し、その上にチタン、アルミニウム、金を積層した構造を持つp電極ボンディングパッドを形成し、p側電極とした。格子状電極の構成は電極幅2μm、開口部幅5μmとし、ボンディングパッド部分を除いた開口部面積/電極面積の比率は25/49である。
この様にp型電極を先に形成し、p型GaN層が一部表出しているウェーハを再度MOCVD成長装置に投入し、原料としてTMGa、NH3、TEGeを、キャリアガスとしてN2を用いて、成長温度500℃にて1μm厚のGeドープGaNをp型GaNが表出している部分に形成した。再成長実施後の表面を観察した所、p型格子状電極の一部にGeドープGaNが覆い被さる様子も見られた。また5μm角の開口部に形成されたGeドープGaN層には、一辺の長さが約1μmの六角形のピットが平均12個形成されている事が観測された。断面SEM像の観察から、ピットの深さは0.6μm〜1μmであった。傾斜角は約60°であった。
このウェーハを用いて砲弾型LEDを作製し、実施例1と同様に評価したところ、電流20mAにおける発光波長は382nm、積分球を用いて計測した光出力値は16mW、順方向電圧は3.4Vであった。
なお、砲弾型LEDの作製には封止樹脂としてエポキシ樹脂を用いたので、本実施例における第1層、第2層および発光層の屈折率はそれぞれ2.4、1.5および2.4であった。
本発明のIII族窒化物半導体発光素子は光取り出し効率が向上し、高い発光出力を有するので、産業上の利用価値は極めて大きい。
III族窒化物半導体発光素子の断面を模式的に示した図である。 本発明におけるピットを俯瞰的に示した模式図である。 実施例1で作製したIII族窒化物半導体発光素子の断面構造を模式的に示した図である。 実施例1で作製したIII族窒化物半導体発光素子の電極形状を示した模式図である。
符号の説明
1 基板
3 n型半導体層
4 発光層
5 p型半導体層
6 バッファ層
10 p電極
20 n電極
50 LED
100 基板
101 AlNバッファ層
102 GaN層、またはAlN層
103 GeドープAlN層
104 GaN層
105 n型GaNコンタクト層
106 n型InGaNクラッド層
107 多重量子井戸構造発光層
108 p型AlGaNクラッド層
109 p型GaNコンタクト層
110 p型電極
111 n型電極
301 エッチングされ表出したn型コンタクト層
302 n型電極
303 p型コンタクト層表面
304 p型透光性電極
305 p型ボンディングパッド

Claims (11)

  1. 基板上に形成されたIII族窒化物半導体からなる発光素子に於いて、表面にピットを有するGeドープIII族窒化物半導体からなる第1層および該第1層上に接する該第1層と屈折率の異なる第2層を有することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  2. 第1層のGe原子濃度が1×1016cm-3以上1×1022cm-3以下である請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  3. 第2層がIII−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、および透光性または反射性の金属、金属酸化物、酸化物、窒化物ならびに樹脂からなる群から選ばれる少くとも一種である請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  4. 第1層がGaNであり、第2層がAlxGa1-xN(0<x≦1)である請求項1〜3のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  5. 第1層がAlxGa1-xN(0<x≦1)であり、第2層がGaNである請求項1〜3のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  6. 発光層を有し、第1層および第2層が該発光層の基板側に存在する請求項1〜5のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  7. 第1層および第2層の発光波長における屈折率の比n1/n2が0.35以上0.99以下であることを特徴とする請求項6に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  8. 第2層および発光層の発光波長における屈折率の比n2/neが0.35以上1以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  9. 第1層表面におけるピットの個数密度が104cm-2以上1014cm-2以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  10. 基板がサファイア、SiC、GaN、AlN、ZnO、ZrB2、LiGaO2、GaAs、GaPおよびSiからなる群から選ばれる少くとも一種である請求項1〜9のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子を用いたランプ。
JP2005175292A 2004-06-18 2005-06-15 Iii族窒化物半導体発光素子 Pending JP2006032933A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005175292A JP2006032933A (ja) 2004-06-18 2005-06-15 Iii族窒化物半導体発光素子

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004181561 2004-06-18
JP2005175292A JP2006032933A (ja) 2004-06-18 2005-06-15 Iii族窒化物半導体発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006032933A true JP2006032933A (ja) 2006-02-02

Family

ID=35898848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005175292A Pending JP2006032933A (ja) 2004-06-18 2005-06-15 Iii族窒化物半導体発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006032933A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120017937A (ko) * 2010-08-20 2012-02-29 엘지이노텍 주식회사 발광소자
JP2017050406A (ja) * 2015-09-02 2017-03-09 信越半導体株式会社 発光素子及び発光素子の製造方法
KR101778161B1 (ko) * 2011-01-26 2017-09-13 엘지이노텍 주식회사 발광소자
KR101814052B1 (ko) 2011-09-08 2018-01-02 엘지이노텍 주식회사 발광소자
KR101843738B1 (ko) * 2011-02-01 2018-03-30 엘지이노텍 주식회사 발광소자

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11220172A (ja) * 1994-07-06 1999-08-10 Nichia Chem Ind Ltd 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子
JP2001168387A (ja) * 1999-09-29 2001-06-22 Toyoda Gosei Co Ltd Iii族窒化物系化合物半導体素子
JP2004111514A (ja) * 2002-09-17 2004-04-08 Sanyo Electric Co Ltd 窒化物系半導体発光素子およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11220172A (ja) * 1994-07-06 1999-08-10 Nichia Chem Ind Ltd 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子
JP2001168387A (ja) * 1999-09-29 2001-06-22 Toyoda Gosei Co Ltd Iii族窒化物系化合物半導体素子
JP2004111514A (ja) * 2002-09-17 2004-04-08 Sanyo Electric Co Ltd 窒化物系半導体発光素子およびその製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120017937A (ko) * 2010-08-20 2012-02-29 엘지이노텍 주식회사 발광소자
KR101662008B1 (ko) 2010-08-20 2016-10-04 엘지이노텍 주식회사 발광소자
KR101778161B1 (ko) * 2011-01-26 2017-09-13 엘지이노텍 주식회사 발광소자
KR101843738B1 (ko) * 2011-02-01 2018-03-30 엘지이노텍 주식회사 발광소자
KR101814052B1 (ko) 2011-09-08 2018-01-02 엘지이노텍 주식회사 발광소자
JP2017050406A (ja) * 2015-09-02 2017-03-09 信越半導体株式会社 発光素子及び発光素子の製造方法
WO2017038031A1 (ja) * 2015-09-02 2017-03-09 信越半導体株式会社 発光素子及び発光素子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4201079B2 (ja) 発光素子、その製造方法およびledランプ
TWI269466B (en) Group III nitride semiconductor light emitting device
JP4908381B2 (ja) Iii族窒化物半導体層の製造方法、及びiii族窒化物半導体発光素子、並びにランプ
US9299881B2 (en) Light emitting devices having light coupling layers
JP5201563B2 (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
US7981775B2 (en) Nitride semiconductor light-emitting device having high light efficiency and method of manfacturing the same
TW201013987A (en) Group III nitride semiconductor light emitting device, process for producing the same, and lamp
JP2004281863A (ja) 窒化物半導体素子及びその製造方法
JP2007103774A (ja) Iii族窒化物半導体積層構造体およびその製造方法
JP4925580B2 (ja) 窒化物半導体発光素子およびその製造方法
JP4641812B2 (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体積層物およびその製造方法
JP2009021638A (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子
JP2006313771A (ja) Iii族窒化物半導体素子用エピタキシャル基盤
JP5025168B2 (ja) Iii族窒化物半導体積層構造体の製造方法
JP2006032933A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
JP2005277401A (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体積層物およびその製造方法
JP2005340762A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
JP5094493B2 (ja) Iii族窒化物半導体発光素子、iii族窒化物半導体発光素子の製造方法、及びランプ
JP2006013463A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
JP3874779B2 (ja) Geドープn型III族窒化物半導体層状物及びその製造方法、ならびにそれを用いたIII族窒化物半導体発光素子
JP2005340789A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
JP2008288617A (ja) Ledランプ
JP5094488B2 (ja) Iii族窒化物半導体発光素子、iii族窒化物半導体発光素子の製造方法、及びランプ
JP2006013473A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
JP2006019713A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子およびそれを用いたled

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080509

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110329