JP2006024495A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換効率の一層の向上を図り得る光電変換素子を提供する
【解決手段】本発明の光電変換素子は、周期構造を有し、該周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層20を備えており、この周期構造は多層膜積層構造21,22から成り、あるいは又、この周期構造はフォトニック結晶から成ることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の光電変換素子は、周期構造を有し、該周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層20を備えており、この周期構造は多層膜積層構造21,22から成り、あるいは又、この周期構造はフォトニック結晶から成ることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、色素増感太陽電池に例示される光電変換素子に関する。
我国において太陽光発電システムは導入・普及の段階に達しており、シリコンのpn接合を用いた太陽電池(接合型太陽電池と呼ぶ)が、一部、市場に出回っている。しかしながら、配電線から購入する電力料金と比較してコストが非常に高く、太陽光発電システムの一層の普及のためには、太陽電池の一層の低コスト化が要求されている。
図18に、従来の色素増感太陽電池のセル断面構造の模式図を示す。この色素増感太陽電池は、ガラス基板等から成る基板210上に、例えばフッ素(F)をドープした酸化スズ(SnO2)から成る透明電極211が形成され、その上に光吸収層212が形成されている。光吸収層212上には電解質層213が設けられ、電解質層213上に対向電極214が設けられている。尚、参照番号215は、ガラス基板である。このような構造を有する色素増感太陽電池は、例えば、特開2001−345125や特開2003−252624に開示されている。また、光吸収層212に電解液が浸潤された状態の構造を有する色素増感太陽電池も知られている。
特開2001−345125に開示された色素増感太陽電池にあっては、光吸収層212は、導電性物質の粒子(粒径:好ましくは100nm以下)、及び、この粒子の外表面を被覆する半導体材料から構成され、粒子と粒子の隙間に増感色素が配されている。また、特開2003−252624に開示された色素増感太陽電池にあっては、光吸収層212は、酸化チタン微粒子(平均粒径:通常5〜50nm)から成り、この酸化チタン微粒子に色素が吸着している。
このような色素増感太陽電池は、接合型太陽電池と比べた場合、より長い波長領域の光も電力に変換できるという利点を有している。また、真空プロセス等の多量のエネルギーを消費するが故に高コストとならざるを得ない接合型太陽電池と比べて、比較的簡便なプロセスで、しかも、少ないエネルギーで製造することができるという利点も有する。
しかしながら、色素増感太陽電池は、光電変換効率(光−電気エネルギー変換効率であり、入射光量に対する電池出力の比)の低いことが実用化への大きな障害となっている。この光電変換効率の低さは、色素自体の光吸収が非常に小さいこと、特に、長波長領域の光吸収効率の低さに原因がある。光吸収効率を改善するためには、例えば、色素を吸着させた半導体微粒子から成る光吸収層を厚くすることが考えられる。しかしながら、このような方法では、光吸収層の厚さに起因して光吸収層の直列抵抗が高くなり、結局、光電変換効率の低下を招くという問題がある。一方、直列抵抗を改善するために光吸収層を薄くした場合、長波長領域の光吸収効率が更に低下してしまう。従って、色素増感太陽電池における光電変換効率の向上は極めて解決が困難な問題である。
光吸収層中に散乱微粒子を混ぜることにより光吸収層に入射した入射光を散乱させて、入射光が光吸収層を透過するまでの光路長を長くすることにより、光吸収層の光吸収量を増加させる試みもなされている。このような手段によれば、散乱微粒子を光吸収層中に混入させるので、従来の構造では光吸収層を透過していた入射光を、光吸収層によって或る程度吸収することができる。しかしながら、このような手段は、光路長を長くしたというだけであって、やがては入射光は光吸収層を透過してしまい、光電変換効率の向上は十分なものであるとは云い難い。
また、特開2001−345125あるいは特開2003−252624においては、光電変換効率の向上のために、導電性物質の粒子や酸化チタン微粒子をどのように配列するかといった点については、何ら言及されていない。
従って、本発明の目的は、光電変換効率の一層の向上を図り得る光電変換素子を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の光電変換素子は、周期構造を有し、該周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層を備えていることを特徴とする。
本発明の光電変換素子にあっては、周期構造を多層膜積層構造から構成する態様とすることができる。尚、このような態様を、便宜上、本発明の第1の態様に係る光電変換素子と呼ぶ場合がある。ここで、多層膜の総層数として、例えば、4層〜20層を例示することができる。
本発明の第1の態様に係る光電変換素子にあっては、多層膜積層構造は、屈折率n1を有する外因性半導体膜と、屈折率n2(但し、n2≠n1)を有する誘電体膜とが交互に積層された積層構造から成る構成とすることができる。尚、屈折率が複素屈折率で表される場合、複素屈折率をn1 *,n2 *とした場合、
n1 *=n1−k1・i
n2 *=n2−k2・i
である。但し、n1,n2は所謂屈折率であり、k1,k2は消衰係数であり、iは複素数である。そして、この場合には、n2≠n1、あるいは、k2≠k1、あるいは、n2≠n1及びk2≠k1を満足すればよい。尚、このような条件、あるいは、屈折率n1,n2が通常の屈折率である場合のn2≠n1といった条件を、便宜上、n1 *≠n2 *と表現する。
n1 *=n1−k1・i
n2 *=n2−k2・i
である。但し、n1,n2は所謂屈折率であり、k1,k2は消衰係数であり、iは複素数である。そして、この場合には、n2≠n1、あるいは、k2≠k1、あるいは、n2≠n1及びk2≠k1を満足すればよい。尚、このような条件、あるいは、屈折率n1,n2が通常の屈折率である場合のn2≠n1といった条件を、便宜上、n1 *≠n2 *と表現する。
そして、これらの場合、誘電体膜には光吸収体が含まれている構成とすることができ、更には、光吸収体は色素から成る構成(このような構成を、便宜上、本発明の第1Aの態様に係る光電変換素子と呼ぶ)、あるいは又、光吸収体は半導体微粒子(より具体的には、外因性半導体微粒子)から成る構成(このような構成を、便宜上、本発明の第1Bの態様に係る光電変換素子と呼ぶ)とすることができる。
一般に、吸収効率を特に高めたい光の波長をλとしたとき、n1 *≠n2 *の条件下、外因性半導体膜1層当たりの平均厚さt1=λ/(4×n1)、誘電体膜1層当たりの平均厚さt2=λ/(4×n2)を満足するように、外因性半導体膜及び誘電体膜を形成することで、波長λの光がブラッグ反射を受け、吸収効率が高くなる。
太陽光のスペクトルは波長0.46μm付近にピークを持つので、例えば、
t1(μm)=0.46/(4×n1)
t2(μm)=0.46/(4×n2)
とすればよいが、実際には、太陽光のスペクトルがブロードであることを考慮すると、
[0.46/(4×n1)]×0.8(μm)<t1<[0.46/(4×n1)]×2.0(μm)
[0.46/(4×n2)]×0.8(μm)<t2<[0.46/(4×n2)]×2.0(μm)
を満たせば、十分に高い吸収効率が見込まれる。
t1(μm)=0.46/(4×n1)
t2(μm)=0.46/(4×n2)
とすればよいが、実際には、太陽光のスペクトルがブロードであることを考慮すると、
[0.46/(4×n1)]×0.8(μm)<t1<[0.46/(4×n1)]×2.0(μm)
[0.46/(4×n2)]×0.8(μm)<t2<[0.46/(4×n2)]×2.0(μm)
を満たせば、十分に高い吸収効率が見込まれる。
尚、通常屈折率に関しては、n1とn2との差分Δnは、0.2以上、望ましくは0.4以上であることが好ましい。また、消衰係数に関しては、k1とk2との差分Δkは、0.05以上、望ましくは0.1以上であることが好ましい。
あるいは又、本発明の光電変換素子にあっては、周期構造はフォトニック結晶から成る態様とすることができる。尚、このような態様を、便宜上、本発明の第2の態様に係る光電変換素子と呼ぶ場合がある。ここで、「周期構造はフォトニック結晶から成る」とは、より具体的には、光電変換層が、規則的に配列された複数の微粒子から成る微粒子層が積層された積層構造から構成されていると想定した場合、微粒子層の積層構造を構成する複数の微粒子1つ1つの並びが恰も原子のように配列されており、微粒子層全体としてフォトニック結晶としての挙動を示す状態にあることを意味する。
本発明の第2の態様に係る光電変換素子にあっては、フォトニック結晶は、規則的に配列された複数の微粒子から成る微粒子層が積層された積層構造から構成されていることが好ましい。そして、この場合、光吸収体としての半導体微粒子(より具体的には、外因性半導体微粒子)及び色素が、微粒子と微粒子との隙間に配されている構成(このような構成を、便宜上、本発明の第2Aの態様に係る光電変換素子と呼ぶ)とすることができる。あるいは又、この場合、微粒子は外因性半導体微粒子から成り、光吸収体が、微粒子と微粒子との隙間に配されている構成(このような構成を、便宜上、本発明の第2Bの態様に係る光電変換素子と呼ぶ)とすることができ、更には、光吸収体は色素から成る構成とすることができる。尚、規則的に配列された複数の微粒子から成る微粒子層が積層された積層構造として、具体的には、微粒子層においては複数の微粒子が、少なくとも部分的に、最密充填されており、しかも、積層方向に沿って、少なくとも部分的に、微粒子が、ABCABC・・・の状態に配列された状態(立方最密構造を有する状態)、あるいは又、ABABAB・・・の状態に配列されている状態(六方最密構造を有する状態)を挙げることができる。ここで、このような状態を、微粒子が配向した状態と呼ぶ場合がある。
以上に述べた各種の形態、構成を含む本発明の光電変換素子は、基板上に設けられた下部電極の上に光電変換層が形成されており、光電変換層上に電解質層が設けられており、電解質層上に上部電極が設けられている構造とすることができる。そして、この場合、より具体的には、光電変換素子として、太陽光による発電を主目的とした色素増感太陽電池を挙げることができるが、それ以外にも、光センサー、光電池化学電池を例示することができる。
本発明の第1の態様に係る光電変換素子にあっては、多層膜積層構造における外因性半導体膜を構成する半導体材料として、酸化チタン(TiO2)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)や酸化カドミウム(CdO)を例示することができ、この中でも、好ましくはアナターゼ型の酸化チタン(TiO2)である。更には、多層膜積層構造における外因性半導体膜を構成する半導体材料として、In、Pb、Mo、Sb、Bi、Cu、Hg、Ag、Mn、Fe、V、Zr、Sr、Ga、Si、Crの酸化物;CaTiO3のようなペロブスカイト;CdS、ZnS、In2S3、PbS、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS2、Cu2Sといった硫化物;CdSe、In2Se3、WSe2、HgSe、PbSe、CdTeといった金属カルコゲナイド;その他、GaAs、Si、Se、Cd2P2、Zn2P3、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3;これらの材料から選択された材料を少なくとも2種類以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSX/CdSe1-X、CdSX/Te1-X、CdSeX/Te1-X、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd3P2、CdS/CdSeCdYZn1-YS、CdS/HgS/CdSを挙げることができる。通常、外因性半導体膜を構成する半導体材料は粒子状であり、粒子状の半導体材料の平均粒径として、0.005μm〜0.05μmを例示することができる。
外因性半導体膜の成膜方法として、外因性半導体膜を構成する半導体材料を分散させた溶液を下地(例えば下部電極や誘電体膜)の上に形成し、その後、加熱したり、あるいは、エネルギー線(例えば、紫外線や電子線)を照射する方法を挙げることができる。ここで、形成方法として、スピンコート法;ゾル−ゲル法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法、キャップコーター法といった各種コーティング法;スタンプ法;リフトオフ法;シャドウマスク法;及び、スプレー法の内のいずれかを挙げることができる。あるいは又、外因性半導体膜を構成する材料にも依るが、外因性半導体膜の形成方法として、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)や各種の化学的気相成長法(CVD法)を挙げることもできる。
一例として、外因性半導体膜を酸化チタン(TiO2)から構成し、外因性半導体膜をゾル−ゲル法にて形成する場合、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート、チタニウムラクテート等のチタンのアルコキシドを原料として用いればよい。
また、本発明の第1の態様に係る光電変換素子にあっては、多層膜積層構造における誘電体膜を構成する誘電体材料として、SiOX(0<X≦2)、Al2O3、MgF2、ZrO2、SnO2、ポリイミド系樹脂、PMMA系樹脂、 アクリル系樹脂、 ポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。誘電体膜の成膜方法として、誘電体膜を構成する誘電体材料を分散させた溶液を下地(例えば下部電極や外因性半導体膜)の上に形成し、その後、加熱したり、あるいは、エネルギー線(例えば、紫外線や電子線)を照射する方法を挙げることができる。ここで、形成方法として、上述した各種の形成方法を挙げることができる。あるいは又、誘電体膜を構成する材料にも依るが、誘電体膜の形成方法として、真空蒸着法やスパッタリング法に例示されるPVD法や各種のCVD法を挙げることもできる。
一方、本発明の第2Aの態様に係る光電変換素子にあっては、フォトニック結晶を構成するための微粒子材料として、SiOX(但し、0<X≦2)、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、Pb(Zr,Ti)O3といった無機酸化物材料;ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカプロラクトンやポリビニルトルエン、各種液晶を含む各種の有機材料;非晶質炭素、カーボンブラック、黒鉛といった炭素系材料;金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、コバルト、鉄等の金属を挙げることができる。尚、微粒子は、一種類の微粒子から構成されていてもよいし、複数種の微粒子の混合物であってもよい。これらの微粒子は、構成する材料に依存するが、例えば、ゾル−ゲル法、分子線エピタキシー法、CVD法、所謂逆ミセル法、所謂ホットソープ法、燃焼方法、粉砕法、溶液からの沈殿法や、超臨界液体中での反応を利用する方法といった、種々の物理的方法や化学的方法によって得ることができる。
また、本発明の第2Bの態様に係る光電変換素子にあっては、フォトニック結晶を構成する微粒子としての外因性半導体微粒子として、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化カドミウム(CdO);BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs(AlGaAs等を含む)、GaSb、InN、InP(GaInAsP等を含む)、InAs、InSbといった組成式で表されるIII−V族化合物材料;ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeといった組成式で表されるII−VI族化合物材料;炭素、ケイ素、ゲルマニウムといった半導体材料を例示することができ、この中でも、好ましくはアナターゼ型の酸化チタン(TiO2)である。尚、外因性半導体微粒子は、一種類の外因性半導体微粒子から構成されていてもよいし、複数種の外因性半導体微粒子の混合物であってもよい。これらの外因性半導体微粒子は、構成する材料に依存するが、例えば、ゾル−ゲル法、分子線エピタキシー法、CVD法、所謂逆ミセル法、所謂ホットソープ法、燃焼方法、粉砕法、溶液からの沈殿法や、超臨界液体中での反応を利用する方法といった、種々の物理的方法や化学的方法によって得ることができる。
本発明の第1Aの態様、第2Aの態様、若しくは、第2Bの態様に係る光電変換素子において、光吸収体としての色素として、ルテニウム系色素、ローダミンB、エオシン等のキサンテン系色素、キノシアニン、クリプトシアニン等のシアニン系色素、フェノサラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルー等の塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリン等のポルフィリン系化合物、アゾ系色素、フタロシアニン系化合物、Ruトリスビピリジル等の錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素等、光を吸収して電子と正孔を生成するものを挙げることができる。
本発明の第1Bの態様あるいは第2Aの態様に係る光電変換素子において、光吸収体としての半導体微粒子(より具体的には、外因性半導体微粒子)として、例えば、平均粒径0.005μm〜0.05μmを有する、Ti、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crの酸化物;SrTiO3、CaTiO3のようなペロブスカイト;CdS、ZnS、In2S3、PbS、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS2、Cu2Sといった硫化物;CdSe、In2Se3、WSe2、HgSe、PbSe、CdTeといった金属カルコゲナイド;その他、GaAs、Si、Se、Cd2P2、Zn2P3、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3;これらの材料から選択された材料を少なくとも2種類以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSX/CdSe1-X、CdSX/Te1-X、CdSeX/Te1-X、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd3P2、CdS/CdSeCdYZn1-YS、CdS/HgS/CdSを挙げることができる。
光吸収体としての色素や半導体微粒子を配する方法として、例えば、色素や半導体微粒子を溶かした溶液あるいは分散させた溶液を用いた上述の各種コーティング法を挙げることができる。尚、溶液の溶媒とし、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミド等の色素を溶解あるいは分散可能な溶媒であれば、如何なる溶媒も使用することができる。あるいは又、誘電体膜やフォトニック結晶を形成するための原料中に色素や半導体微粒子を適切な方法で混合しておく方法を挙げることができる。
本発明の第2Aの態様に係る光電変換素子における微粒子、あるいは、本発明の第2Bの態様に係る光電変換素子における外因性半導体微粒子(以下、本発明の第2Aの態様若しくは第2Bの態様に係る光電変換素子における微粒子等、あるいは、単に、微粒子等と呼ぶ)の平均粒径Dは、1.0×10-8m乃至1.0×10-6mの範囲にあることが好ましい。本発明の第2Aの態様若しくは第2Bの態様に係る光電変換素子における微粒子等の径は揃っていることが望ましく、微粒子等の径のばらつきの度合いを標準偏差σで表したとき、標準偏差σの値は平均粒径Dの±10%以内、好ましくは±8%以内の範囲内にあることが望ましい。また、微粒子層における微粒子等の堆積周期(積層周期)として、限定するものではないが、六方最密構造の場合、6周期〜15周期、立方最密構造の場合、4周期〜10周期を挙げることができる。
本発明の第2の態様に係る光電変換素子にあっては、フォトニック結晶を形成する方法として、微粒子等が分散した分散溶液(以下、微粒子分散溶液と呼ぶ)を使用した、引き上げ法、自然沈降法、微粒子等よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを用いる方法、メニスカスを応用する方法を挙げることができる。
引き上げ法では、例えば微粒子等を分散媒に分散させて微粒子分散溶液とし、微粒子分散溶液に対して親和性のよい下地を微粒子分散溶液中に垂直に浸漬した後、この下地を微粒子分散溶液から引き上げていく。この下地の引き上げ時に、適量の微粒子分散溶液が下地表面に移し取られる。その後、移し取られた微粒子分散溶液から分散媒が蒸発していく過程で微粒子等の自己組織化が起こり、微粒子等が規則的に配列した微粒子等の集合体(微粒子集合体と呼ぶ)が下地上に形成される(例えば、K. Nagayama, J. Soc. Powder Technol. Japan (1995), 32, 476 や、J. D. Joannopoulos, Nature (2001), 414(15), 257、Yong-Hong Ye et al., Appl. Phys. Lett. (2001), 78(1), 52 を参照)。
自然沈降法では、引き上げ法と同様に、微粒子分散溶液を調製した後、下地を微粒子分散溶液の下部に静置する。微粒子等は、自身の重みによって徐々に下地上に沈降し、微粒子等が規則的に配列した微粒子集合体が形成される(例えば、H. Miguez et al., Adv. Mater. (1998), 10(6), 480 参照)。
微粒子等よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを用いる方法では、微粒子等よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを、微粒子分散溶液中に垂直に浸漬し、静置する。微粒子分散溶液は、毛管現象に基づきマイクロセル内に充填される。その後、マイクロセル内に充填された微粒子分散溶液から分散媒が蒸発していく過程で微粒子等の自己組織化が起こり、微粒子等が規則的に配列した微粒子集合体がマイクロセル内に形成される(例えば、B. Gates, D. Qin, Y. Xia, Adv. Mater. (1999), 11, 466 参照)。
メニスカスを応用する方法にあっては、微粒子分散溶液を下地上に塗布して微粒子分散溶液層を形成した後、メニスカス形成手段をこの微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の微粒子層を得ることができる(このような方法を、便宜上、第1のメニスカス応用方法と呼ぶ)。
尚、この第1のメニスカス応用方法を拡張して、微粒子等が配向した状態のM層から成る微粒子層多層構造を得る方法に適用する場合には、
第1番目の微粒子分散溶液を下地上に塗布して第1番目の微粒子分散溶液層を形成した後、第1番目のメニスカス形成手段を該第1番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第(m+1)番目(但し、m=1,2・・・M−1であり、M≧2)の微粒子分散溶液を第m番目の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を該第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目の微粒子層表面に対して微粒子等が配向した状態の第(m+1)番目の微粒子層を得る工程を、(M−1)回、繰り返せばよい。
第1番目の微粒子分散溶液を下地上に塗布して第1番目の微粒子分散溶液層を形成した後、第1番目のメニスカス形成手段を該第1番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第(m+1)番目(但し、m=1,2・・・M−1であり、M≧2)の微粒子分散溶液を第m番目の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を該第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目の微粒子層表面に対して微粒子等が配向した状態の第(m+1)番目の微粒子層を得る工程を、(M−1)回、繰り返せばよい。
あるいは又、メニスカスを応用する方法にあっては、下地の上又は上方にメニスカス形成手段を配置した状態で、このメニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を下地上に塗布し、以て、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の微粒子層を得ることができる(このような方法を、便宜上、第2のメニスカス応用方法と呼ぶ)。
尚、この第2のメニスカス応用方法を拡張して、微粒子等が配向した状態のN層から成る微粒子層多層構造を得る方法に適用する場合には、
下地の上又は上方に第1番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、該第1番目のメニスカス形成手段を介して第1番目の微粒子分散溶液を下地上に塗布し、以て、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第n番目(但し、n=1,2・・・N−1であり、N≧2)の微粒子層の上又は上方に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、該第(n+1)番目のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目の微粒子分散溶液を第n番目の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目の微粒子層表面に対して微粒子等が配向した状態の第(n+1)番目の微粒子層を得る工程を、(N−1)回、繰り返せばよい。
下地の上又は上方に第1番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、該第1番目のメニスカス形成手段を介して第1番目の微粒子分散溶液を下地上に塗布し、以て、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第n番目(但し、n=1,2・・・N−1であり、N≧2)の微粒子層の上又は上方に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、該第(n+1)番目のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目の微粒子分散溶液を第n番目の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目の微粒子層表面に対して微粒子等が配向した状態の第(n+1)番目の微粒子層を得る工程を、(N−1)回、繰り返せばよい。
これらのメニスカスを応用する方法にあっては、微粒子分散溶液として、上述した各種の微粒子等を分散媒に分散させたものを挙げることができる。ここで、分散媒として、水や純水、メチルアルコールやエチルアルコール、トルエン等の有機溶剤を例示することができる。また、塗布方法として、引き上げ法、自然沈降法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、噴霧法等を例示することができる。尚、メニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を塗布する形態には、メニスカス形成手段を介在させた状態で微粒子分散溶液を塗布する形態が包含される。
ここで、第1のメニスカス応用方法及び第2のメニスカス応用方法におけるメニスカス形成手段として、多数の開口を有するシート状あるいは板状の部材であるメッシュを挙げることができる。メッシュとして、具体的には、網目状部材や篩状部材、ストライプ形状の開口を多数有するシート状あるいは板状の部材を挙げることができ、メッシュに設けられた開口の平面形状を、円形、楕円形、正方形、矩形、多角形、丸みを帯びた正方形や矩形、丸みを帯びた多角形、ストライプ形状等、任意の形状とすることができる。メッシュにおける開口率(メッシュ単位面積当たりの開口の占める面積の割合)は、本質的に、任意の値とすることができる。メッシュを構成する材料として、各種の金属や合金から成るシート状あるいは板状の部材、天然繊維や合成繊維、金属線材を例示することができ、周知の方法で製造することができる。尚、メニスカス形成手段としてのメッシュにあっては、開口の中心から隣接する開口の中心までの距離であるメッシュのピッチは、一定であってもよいし、メッシュの位置によって異なっていてもよいし、ランダムな値としてもよい。あるいは又、メニスカス形成手段として、例えばガラスから作製されたチップ状の短い糸や、チップ状の短い糸が枝分かれしたもの、表面が起毛状態にあるシート部材や板状部材を例示することができる。チップ状やチップ状の短い糸が枝分かれしたものは、最終的に、微粒子層から除去されてもよいし、微粒子層に残されてもよい。
微粒子分散溶液の組成にも依るが、第1のメニスカス応用方法にあっては、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、あるいは又、第1番目のメニスカス形成手段を第1番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、あるいは又、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、微粒子分散溶液あるいは第1番目の微粒子分散溶液あるいは第(m+1)番目の微粒子分散溶液を乾燥させることが好ましく、第2のメニスカス応用方法にあっては、微粒子分散溶液を下地上に塗布した後、あるいは又、第1番目の微粒子分散溶液を下地上に塗布した後、あるいは又、第(n+1)番目の微粒子分散溶液を第n番目の微粒子層上に塗布した後、微粒子分散溶液あるいは第1番目の微粒子分散溶液あるいは第(n+1)番目の微粒子分散溶液を乾燥させることが好ましい。尚、これらの場合、メニスカス形成手段と微粒子分散溶液とが接した状態で、微粒子分散溶液を乾燥させる。
第1のメニスカス応用方法においては、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とし、あるいは又、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とするが、これらの状態においては、メニスカス形成手段は、下地あるいは第m番目の微粒子層と接触した状態としてもよいし、接触していない状態としてもよい。そして、これらのいずれの状態にあっても、更には、必要に応じて微粒子分散溶液を乾燥させている間に、メニスカス形成手段と下地あるいは第(m+1)番目の微粒子分散溶液層との相対的な位置関係が変化しないように、メニスカス形成手段と下地とを任意の手段によって固定することが好ましい。メニスカス形成手段を、下地あるいは第m番目の微粒子層と接触した状態とする場合、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とし、あるいは又、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、直ちに、あるいは、所定の時間経過後に、メニスカス形成手段と下地あるいは第m番目の微粒子層との接触状態を解除してもよいし、メニスカス形成手段と下地あるいは第m番目の微粒子層との接触状態を保持し続けてもよい。
一方、第2のメニスカス応用方法においては、下地の上にメニスカス形成手段を配置し、あるいは又、第n番目の微粒子層の上に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置するが、これらの状態においては、メニスカス形成手段は下地と接触した状態である。あるいは又、下地の上方にメニスカス形成手段を配置し、あるいは又、第n番目の微粒子層の上方に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置するが、これらの状態においては、メニスカス形成手段は下地と接触していない状態である。そして、これらのいずれの状態にあっても、微粒子分散溶液を塗布している間に、更には、必要に応じて微粒子分散溶液を乾燥させている間に、メニスカス形成手段と下地あるいは第n番目の微粒子層との相対的な位置関係が変化しないように、メニスカス形成手段と下地とを任意の手段によって固定することが好ましい。また、下地の上にメニスカス形成手段を配置し、あるいは又、第n番目の微粒子層の上に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置した場合には、微粒子分散溶液を下地上あるいは第n番目の微粒子層上に塗布した後、直ちに、あるいは、所定の時間経過後に、メニスカス形成手段と下地あるいは第n番目の微粒子層との接触状態を解除してもよいし、メニスカス形成手段と下地あるいは第n番目の微粒子層との接触状態を保持し続けてもよい。
以上に説明したメニスカスを応用する方法にあっては、基本的には、微粒子分散溶液を下地上に塗布して微粒子分散溶液層を形成した後、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とし、あるいは又、下地の上又は上方にメニスカス形成手段を配置した状態で、メニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を下地上に塗布する。従って、メニスカス形成手段と微粒子分散溶液とが接する領域においては、微粒子分散溶液にメニスカスが形成され、その結果、微粒子分散溶液中の微粒子等が順序よく集合する。それ故、下地表面に対して微粒子等が配向した状態の、即ち、欠陥の少ない微粒子層を得ることができる。このように、メニスカスを応用する方法にあっては、容易な方法であるにも拘わらず、塗布むらや、下地の濡れ性の不均一性に起因した塗布むら等による欠陥の発生が効果的に抑制され、均一な厚さを有する微粒子層を得ることが可能となるし、欠陥部分が少ない構造を得ることができる。
本発明の光電変換素子における基板として、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等のプラスチックスフィルムあるいはプラスチックス基板を挙げることができる。また、下部電極あるいは上部電極を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)等の金属や、これらの金属を含む合金;炭素;インジウム−錫酸化物やフッ素をドープした酸化錫(SnO2)といった導電性の金属酸化物を挙げることができる。尚、下部電極及び上部電極の少なくとも一方を、例えば、インジウム−錫酸化物や、フッ素をドープした酸化錫(SnO2)といった導電性の金属酸化物から成る透明電極とする必要がある。下部電極は、上側の層とのコンタクトをとるために壁が形成されたセル構造を有していてもよい。更には、電解質層を構成する電解液として、例えば、ヨウ素のプロピレンカーボネート溶液を用いることができるが、電解液はこれに限られるものではなく、ホール伝導機能があるものであれば公知のものを使用することができる。
本発明の光電変換素子は、周期構造を有し、そして、この周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層を備えている。即ち、光電変換層は、或る特定波長領域の光に対してブラッグ反射を起こすので、光電変換層の内部や表面周辺において、その波長領域の光密度を高くすることができる。つまり、光電変換層にあっては、或る特定波長領域の光の回折又は反射によって十分なる光閉込め効果が生じる結果、光密度の高い空間領域に配された光吸収体である色素や半導体微粒子に効率的な光吸収を生じさせることができ、光電変換効率を高めることができる。即ち、従来の技術では吸収が低い波長の入射光を、効率良く、電気エネルギーに変換することができる。また、光電変換素子の製造プロセスに関しても、簡便な方法、プロセスとすることができるので、大面積化、低製造コスト化を容易に図ることができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の光電変換素子に関し、より具体的には、本発明の第1Aの態様に係る光電変換素子、更に詳しくは、色素増感太陽電池に関する。実施例1の色素増感太陽電池のセル断面構造の模式的一部断面図を、図1の(A)に示す。
この実施例1の色素増感太陽電池は、白金(Pt)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に光電変換層20が形成されている。そして、光電変換層20上には電解質層12が設けられ、電解質層12上にITOから成る上部電極13が設けられている。尚、参照番号14はガラス基板である。
ここで、光電変換層20は、周期構造を有し、この周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する。具体的には、実施例1においては、この周期構造は多層膜積層構造から成り、より具体的には、多層膜積層構造は、10層の外因性半導体膜21と10層の誘電体膜22とが交互に積層された積層構造(総層数:20層であるが、図1の(A)及び(B)には8層のみを示した)から成る。外因性半導体膜21は、屈折率n1(=2.20)を有するTiO2から成り、平均厚さt1は61nmである。一方、誘電体膜22は、屈折率n2(但し、n2≠n1であり、n2=1.46)を有するSiOX(但し、X=2)から成り、平均厚さt2は93nmである。誘電体膜22には光吸収体である色素(ルテニウム系色素)23が含まれている。尚、外因性半導体膜21及び誘電体膜22には、通常、ボイドや割れ目が存在し、これらを伝わって電解質及びイオンがこれらの膜中に入り込むことによりキャリアの授受が可能である。
このような多層膜積層構造の表面(外因性半導体膜21から構成されている)から光(波長:540nm)が垂直に入射したときの、光密度計算結果(但し、計算上、色素は存在しないものとしている)を、図2に示す。尚、図2の縦軸は光密度(P)を規格化したものであり、図2の横軸は、多層膜積層構造の表面からの層数(図2の横軸における「1層」は、外因性半導体膜21の1層と誘電体膜22の1層とで構成される)を表す。図2から、多層膜積層構造の表面側において光密度が高いことが判る。このことは、屈折率の異なる層を積層することで2次元的な周期構造を形成することによって、入射光が多層膜積層構造中でブラッグ反射を多重に受け、多層膜積層構造中に光が十分に閉じ込められ、多層膜積層構造内部や表面周辺において光密度が高い領域が形成されていることを意味する。そして、この場合、この高い光密度領域に光吸収体である色素や半導体微粒子を配することで効率的な光吸収を起こさせ、その結果、光電変換効率を向上させることができる。
以下、実施例1の光電変換素子の作製方法の概要を説明する。
先ず、白金(Pt)から成り、セル構造を有する下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、電子線加熱による真空蒸着法に基づき、SiOXから成り、平均厚さt2=93nmの誘電体膜22を形成した。次いで、ルテニウム系色素を分散した溶液を、キャップコーター法にて誘電体膜22に塗布し、乾燥させた。次に、電子線加熱による真空蒸着法に基づき、TiO2から成り、平均厚さt1=61nmの外因性半導体膜21を形成した。この誘電体膜22の形成、色素の塗布及び乾燥、外因性半導体膜21の形成といった一連の工程を10回、繰り返した。尚、誘電体膜22の形成、及び、外因性半導体膜21の形成は、真空蒸着法に限定されるものではなく、CVD法やゾル−ゲル法にて形成することもできる。ゾル−ゲル法の場合、SiOXから成る誘電体膜22の形成にあっては、シリコンメトキシド[Si(OCH3)4]を用いればよいし、TiO2から成る外因性半導体膜21の形成にあっては、Ti(OC3H7)4を用いればよい。
こうして、多層膜積層構造を形成した後、ITOから成る上部電極13が蒸着されたガラス基板14を多層膜積層構造上に載せて、メトキシプロピオニトリルに、ヨウ素0.5モル/リットル、ヨウ化リチウム0.1モル/リットル、4−tert−ブチルピリジン0.05モル/リットル、ヨウ化 1−プロピル−2,3ジメチルイミダゾ−ル(1-propyl-2,3 dimethylimidazolium iodide)0.5モル/リットルを溶解させた電解液を電極間に染み込ませて、電解質層12を設けた。その後、基板10とガラス基板14の周縁部をシールした。
こうして得られた実施例1の光電変換素子である色素増感太陽電池にあっては、周期構造を有し、この周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層20を備えているが故に、外部量子収率の向上が図れることが確認された。
実施例2は、実施例1の変形であり、本発明の第1Bの態様に係る光電変換素子、更に詳しくは、色素増感太陽電池に関する。実施例2の色素増感太陽電池のセル断面構造の模式的一部断面図を、図1の(B)に示す。実施例1においては、誘電体膜22に光吸収体である色素(ルテニウム系色素)23が含まれていたが、実施例2においては、誘電体膜22に光吸収体である半導体微粒子(TiO2から成る外因性半導体微粒子)24が含まれている。この点、及び、誘電体膜22を構成する材料が異なる点を除き、実施例2の光電変換素子は、実施例1の光電変換素子と同じ構成、構造を有している。このように、誘電体膜22に半導体微粒子24が含まれているが故に、キャリアの伝導性を保つことが可能になる。また、外因性半導体膜21及び誘電体膜22には、通常、ボイドや割れ目が存在し、これらを伝わって電解質及びイオンがこれらの膜中に入り込むことによりキャリアの授受が可能である。
実施例2の光電変換素子の作製方法の概要を説明する。
先ず、白金(Pt)から成り、セル構造を有する下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、半導体微粒子(TiO2から成る)が分散されたポリイミド系高分子溶液をインクジェット印刷法で塗布した後、紫外線を照射してポリイミド系高分子を硬化させ、平均厚さt2=87nmの誘電体膜22(屈折率n2=1.55)を形成した。尚、その後、ルテニウム系色素を分散した溶液を、例えばキャップコーター法や浸漬法にて誘電体膜22に塗布し、乾燥する。次に、Ti(OC3H7)4を用いたゾル−ゲル法に基づき、TiO2から成り、平均厚さt1=61nmの外因性半導体膜21(屈折率n1=2.20)を形成した。この誘電体膜22の形成、(色素の塗布及び乾燥)、外因性半導体膜21の形成といった一連の工程を10回、繰り返した。
こうして、多層膜積層構造を形成した後、ITOから成る上部電極13が蒸着されたガラス基板14を多層膜積層構造上に載せて、実施例1と同じ電解液を電極間に染み込ませて、電解質層12を設けた。その後、基板10とガラス基板14の周縁部をシールした。
こうして得られた実施例2の光電変換素子である色素増感太陽電池にあっても、周期構造を有し、この周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層20を備えているが故に、外部量子収率の向上が図れることが確認された。
実施例3は、本発明の第2Aの態様に係る光電変換素子、更に詳しくは、色素増感太陽電池に関する。実施例3の色素増感太陽電池のセル断面構造の模式的一部断面図を、図3の(A)に示し、光電変換層を拡大した模式図を図3の(B)に示す。
この実施例3の色素増感太陽電池も、白金(Pt)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に光電変換層120が形成されている。そして、光電変換層120上には電解質層12が設けられ、電解質層12上にITOから成る上部電極13が設けられている。
ここで、光電変換層120は、周期構造を有し、この周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する。具体的には、実施例3においては、周期構造はフォトニック結晶から成り、より具体的には、フォトニック結晶は、規則的に配列された複数の微粒子(平均粒径D=280nmのシリカ,SiOX)121から成る微粒子層122が積層された積層構造から構成されている。そして、光吸収体としての半導体微粒子(チタニア,TiO2から成る外因性半導体微粒子であり、図3の(B)には小さな白丸で示す)124及び色素123(図3の(B)には小さな黒丸で示す)が、微粒子121と微粒子121との隙間に配されている。
実施例3にあっては、微粒子121と微粒子121との隙間やその周辺、表面に、光吸収体としての半導体微粒子124及び色素123が存在する。ここで、色素123及び半導体微粒子124は光を吸収して電子と正孔を生成する光吸収体であり、n型半導体微粒子124は、このようにして生成した電子を下部電極11に運ぶ役割を担う。ところで、半導体微粒子124は、微粒子121の隙間において連続的に接触した状態にあるので下部電極11まで電子を運ぶことが可能である。また、イオンを含む電解質が微粒子121と微粒子121との間に染込んでおり、正孔に電子を与えることで酸化されたイオンは上部電極13の表面で還元され、再び最初の状態に戻ることで電流が流れる。
このような状態を、図4の(A)にエネルギー構造で示す。即ち、光吸収体が色素123から構成されている場合、色素123のHOMOレベルとLUMOレベルのエネルギー差に相当するエネルギーを有する光を吸収することになる。一方、光吸収体が半導体微粒子124から構成されている場合、価電子帯と伝導体のエネルギー差に相当するエネルギーを有する光を吸収することになる。そして、電子の授受が生じ易い状態とするためには、エネルギーレベルの関係が、図4の(A)のような関係となることが望ましい。即ち、例えば、LUMOレベルより半導体微粒子124のフェルミレベルが低く、更には、下部電極11のレベルが半導体微粒子124のフェルミレベルよりも低いことが望ましい。一方、HOMOレベルよりもイオンのレドックスレベルが高く、更には、上部電極13のレベルの方が高いことが望ましい。
尚、半導体微粒子124がp型である場合、p型半導体微粒子は、生成した正孔を下部電極11に運ぶ役割を担う。一方、イオンは電子を運ぶ役割を担う。この場合、光吸収体においてイオンは還元され、上部電極13において酸化されることになる。このような状態を、図4の(B)にエネルギー構造で示す。電子の授受が生じ易い状態とするためには、エネルギーレベルの関係が、図4の(B)のような関係となることが望ましい。即ち、例えば、HOMOレベルより半導体微粒子124のフェルミレベルが高く、更には、下部電極11のレベルが半導体微粒子124のフェルミレベルよりも高いことが望ましい。一方、LUMOレベルよりもイオンのレドックスレベルが低く、更には、上部電極13のレベルの方が低いことが望ましい。
図5及び図6にフォトニック結晶の光場シミュレーション(マクスウェル方程式に基づく光場計算)の結果を示す。尚、以下の説明における「フォトニック結晶」とは、規則的に配列された複数の微粒子121から成る微粒子層122が積層された積層構造を意味する。また、そのモデルを、図7の(A)、(B)及び(C)に示す。このモデルは、直径D=280nmの球状のシリカ微粒子を最密充填構造に並べた層構造(図7の(A)参照)を正方体で近似し(図7の(B)参照)、そして、最密充填構造に並べた層構造が30周期積層されたもの(図7の(C)参照)である。
ここで、図5及び図6に示す結果は、フォトニック結晶に光を図の横軸左側から入射させたときのフォトニック結晶内部における光の通過/反射状態を光密度分布として示しており、横軸は、フォトニック結晶の表面(図における値は「1.0」)からの深さ方向(光進入出方向)の距離(単位:μm)を示し、縦軸は、フォトニック結晶の表面の或る一点からの表面と平行な方向の距離(単位:μm)を示す。尚、横軸と縦軸のスケールを異ならせている。また、図5及び図6における縦長の小さな長方形は、図7の(B)、(C)に示した正方体で表されたシリカ微粒子を示している。図5及び図6においては、黒っぽい色で示された領域において、入射光が強く反射されている。
図5及び図6の結果から、入射光の波長を変えて、フォトニック結晶に光を左から右に向けて入射させたところ、625nmの波長の光が強く反射され、他の波長の光はフォトニック結晶を透過することが判る。また、625nmの波長の入射光にあっては、フォトニック結晶の表面から約3μmまでの内部の領域、及び、フォトニック結晶の表面から外側の領域で光密度が高くなっていることが判る。
ところで、直径D=280nmの微粒子121が、ABCABC・・・の状態に配列された状態(立方最密構造を有する状態)にある場合の周期ΛC、及び、ABABAB・・・の状態に配列されている状態(六方最密構造を有する状態)にある場合の周期ΛHは、それぞれ、
ΛC=727.5nm
ΛH=485.0nm
である。そして、この場合のブラッグ条件は、垂直に入射する入射光の波長(ブラッグ波長)をλ0、屈折率をnとしたとき、
2nΛ=mλ0
となる。ここで、mは、1,2,3・・・である。n=1.3としたときのλ0の値は以下の表1のとおりである。
ΛC=727.5nm
ΛH=485.0nm
である。そして、この場合のブラッグ条件は、垂直に入射する入射光の波長(ブラッグ波長)をλ0、屈折率をnとしたとき、
2nΛ=mλ0
となる。ここで、mは、1,2,3・・・である。n=1.3としたときのλ0の値は以下の表1のとおりである。
[表1]
m ΛC=727.5nmの場合 ΛC=485.0nmの場合
1 λ0=1891nm λ0=1261nm
2 λ0= 946nm λ0= 630nm
3 λ0= 630nm λ0= 420nm
4 λ0= 473nm λ0= 315nm
m ΛC=727.5nmの場合 ΛC=485.0nmの場合
1 λ0=1891nm λ0=1261nm
2 λ0= 946nm λ0= 630nm
3 λ0= 630nm λ0= 420nm
4 λ0= 473nm λ0= 315nm
実際に平均粒径D=280nmのシリカ微粒子をガラス基板に自己組織化技術に基づき最密充填構造に配列させた状態とし、これに、白色光を垂直に照射して、反射スペクトルを測定した結果を、図8に示す。図8に示す結果から、625nmの波長のところで反射ピークを持つことが判る。このことはブラッグ波長(λ0)が625nmであることを示している。即ち、このフォトニック結晶にあっては、立方最密構造における3次(m=3)のブラッグ反射、あるいは、六方最密構造における2次(m=2)のブラッグ反射が存在することが判る。また、反射の波長領域が60nm以上あることも判る。
更には、微粒子の粒子径を変化させることでブラッグ波長(λ0)を変えることができる。図9に、粒子径を変化させたときの反射スペクトルを示すが、粒子径が小さいものほど、短波長側にピークが存在することが判る。
これらの反射スペクトルから、ブラッグ波長(λ0)と粒子径の関係を図10に示す。ブラッグ波長(λ0)と粒子径はほぼ直線的なリニアな関係にあり、所望のブラッグ波長(λ0)を得るためには、適切な粒子径を選択すればよいことが判る。即ち、粒子径を変化させることで、望みの波長領域を効率良く、色素等に吸収させることができる。
しかも、フォトニック結晶には、微粒子と微粒子の隙間において光密度が強くなる。このことを示すための詳細なシミュレーション結果を図11に示す。図11は、FDTD(時間領域有限成分差分法)に基づき計算された電界成分の強度分布である。図11において、黒っぽい色で示された部分は、光場の電界成分が高い部分である。光強度は電界成分の強度を2乗したものであるが故に、黒っぽい色で示された部分は、光密度が高いところに対応する。図11は、図面の下側から波長410nmのパルス光が平面波で入射したときの電界強度分布状態を示している。尚、フォトニック結晶を構成する微粒子(図11においては、円形の印で示す)の粒子径Dを250nm、微粒子の屈折率を1.50としており、更には、微粒子と微粒子の隙間の屈折率を1.20としている。
図11から、微粒子と微粒子の隙間において高い光密度となっていることが判る。これは、光が入射する過程でフォトニック結晶内部に定在波が生じることによって隙間に光密度の高い領域が形成されると考えられる。このような隙間の部分に光吸収体を配するので、光吸収体における入射光の吸収が強く生じ、一層効率の良い光−電気エネルギー変換が可能となる。
そして、内部に3次元的な周期構造が形成されたこのようなフォトニック結晶から光電変換層を構成することで、入射光がフォトニック結晶中でブラッグ反射を多重に受け、フォトニック結晶中に光が十分に閉じ込められ、フォトニック結晶内部やその表面周辺において、光密度が高い領域が形成される。即ち、光電変換層において、特定波長領域の光密度を高めることができるし、光吸収効率を高めることができる。そして、この場合、この高い光密度領域に光吸収体である色素や半導体微粒子を配することで効率的な光吸収を起こさせ、その結果、光電変換効率を向上させることができる。こうして、従来では光吸収が十分にできなかった波長領域に対して、図12に示すように、所望の波長領域におけるブラッグ反射が生じるようなフォトニック結晶から光電変換層を構成することで、光吸収効率を高めることができる。
実施例3の光電変換素子の作製方法の概要を説明する。
先ず、フッ素(F)をドープした酸化スズ(SnO2)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、平均粒径15nmのチタニア(TiO2)微粒子ペーストを厚さ0.1μm塗布し、50゜Cのホットプレート上で30分間、予備乾燥した。
これとは別に、平均粒径D=250nmのシリカ微粒子から成るフォトニック結晶を形成した。具体的には、平均粒径D=250nmのシリカが20重量%、純水に分散された微粒子分散溶液を準備した。そして、基体である表面をサンドブラスト処理したPET基板をこの微粒子分散溶液に垂直に浸漬した後、基体を微粒子分散溶液から10mm/秒の速度で垂直に引き上げ、次いで、基体を水平に保持し、1時間、この状態を維持し、微粒子分散溶液を自然乾燥させることで、基体上にフォトニック結晶を形成することができた。尚、基体(PET基板)を微粒子分散溶液から垂直に引き上げている状態を、図13の模式図に示す。図13においては1層の微粒子層が形成された状態を図示しているが、実際には多層の微粒子層が形成される。このフォトニック結晶の走査型電子顕微鏡写真を図14に示すが、微粒子が、自己組織化に基づき、最密充填構造に配列していることが判る。また、このフォトニック結晶の反射率は30%であり、光散乱強度は9cd/m2であり、ほぼ最密充填構造となっていた。また、フォトニック結晶の厚さを、5μmとした。
こうして得られたフォトニック結晶を、先ほど形成しておいたチタニア微粒子ペースト層の上に転写した。具体的には、フォトニック結晶とチタニア微粒子ペースト層とを重ね、55゜Cに保ったホットプレス機で0.5トン/cm2の圧力を加えて30分間放置した。こうして得られた積層構造の表面から基体(PET基板)を除去し、次いで、フォトニック結晶上に、平均粒径15nmのチタニア(TiO2)微粒子ペーストを厚さ0.15μm塗布した。このとき、フォトニック結晶の隙間にチタニア微粒子が充填されるように、チタニア微粒子ペーストを塗布して圧力をかけるといった作業を5回繰り返した。その後、ホットプレート上で80゜C、30分間、保持した後、450゜Cで1時間、加熱、焼結した。
その後、ルテニウム系色素を分散させたエタノール溶液中に浸漬し、24時間、室温で放置した。そして、余分な溶液等を洗浄し、20μmのスペーサー(図示せず)を載置し、更に、その上に上部電極(対向電極)13として白金電極が形成されたガラス基板14を載置し、実施例1と同じ電解液を電極間に染み込ませて、電解質層12を設けた。その後、基板10とガラス基板14の周縁部をシールした。
比較のために、以下に述べる光電変換素子を作製した。即ち、フッ素(F)をドープした酸化スズ(SnO2)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、平均粒径15nmのチタニア微粒子ペーストを厚さ0.15μm塗布し、80゜Cのホットプレート上で30分間、予備乾燥した後、450゜Cで1時間、加熱、焼結した。その後、ルテニウム系色素を分散させたエタノール溶液中に浸漬し、24時間、室温で放置した。そして、余分な溶液等を洗浄し、20μmのスペーサー(図示せず)を載置し、更に、その上に上部電極(対向電極)13として白金電極が形成されたガラス基板14を載置し、実施例1と同じ電解液を電極間に染み込ませて、電解質層12を設けた。その後、基板10とガラス基板14の周縁部をシールした。尚、こうして得られた光電変換素子を比較例の光電変換素子と呼ぶ。
実施例3の光電変換素子と比較例の光電変換素子において、外部量子収率の波長依存性を測定した結果を図15に示す。尚、図15には、実施例3の光電変換素子と比較例の光電変換素子の外部量子収率の差分も、フォトニック結晶の効果として表示している。図15から、ルテニウム系色素において吸収効率が低下する410nm近傍においても、光電変換層をフォトニック結晶から構成することによって、外部量子収率が向上することが確認された。
実施例4は、実施例3の変形であり、本発明の第2Bの態様に係る光電変換素子、更に詳しくは、色素増感太陽電池に関する。実施例4の色素増感太陽電池のセル断面構造の模式的一部断面図は図3の(A)に示したと同様である。光電変換層を拡大した模式図を図16に示す。実施例3においては、光吸収体としての半導体微粒子124及び色素123が微粒子121と微粒子121との隙間に配されていたが、実施例4においては、微粒子は外因性半導体微粒子121Aから成り、光吸収体としての色素123(図16には小さな白丸で示す)が、微粒子121Aと微粒子121Aとの隙間に配されている。ここで、外因性半導体微粒子121Aは平均粒径D=170nmのTiO2微粒子から成る。この点を除き、実施例4の光電変換素子は、実施例3の光電変換素子と同じ構成、構造を有している。
実施例4の光電変換素子の作製方法の概要を説明する。
実施例4においては、フォトニック結晶の形成方法として、第1のメニスカス応用方法を採用した。この第1のメニスカス応用方法にあっては、微粒子分散溶液を基体上に塗布して微粒子分散溶液層を形成した後、メニスカス形成手段をこの微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の微粒子層(フォトニック結晶)を得る。実施例4においては、平均粒径D=170nmのTiO2微粒子を純水に分散させた微粒子分散溶液(20重量%の微粒子分散溶液)を使用した。また、基体として、サンドマット加工によって表面が粗面化されたPET基板を用いた。尚、PET基板の厚さを0.05mm、PET基板の表面の凹凸の高さを、0.1μm乃至2μmとした。サンドマット加工によって表面が粗面化されたPET基板の表面は、微粒子分散溶液に対する濡れ性がよい。更には、微粒子分散溶液を基体上に塗布して微粒子分散溶液層を形成する方法として、引き上げ法を採用した。メニスカス形成手段30として、太さ0.1mmのステンレス鋼線材を縦横に張架した篩状部材から成るメッシュ(メッシュのピッチpM=6mm)を用いた。このメッシュの開口形状は概ね一辺が5.5mmの正方形である。メッシュのピッチpMは、メッシュのどの位置においても一定の値である構成とした。
実施例4においては、具体的には、上述した微粒子分散溶液中に、基体であるPET基板を垂直に浸漬し、次いで、基体を微粒子分散溶液から30mm/秒の速度で垂直に引き上げた。こうして、微粒子分散溶液を基体上に塗布して微粒子分散溶液層を基体上に形成することができた。
次いで、室内において基体を水平に保持し、メニスカス形成手段30であるメッシュをこの微粒子分散溶液層に接触した状態とした(図17の(A)及び(B)の模式的な一部平面図及び一部端面図を参照)。具体的には、微粒子分散溶液層に、メニスカス形成手段30であるメッシュを被せた。このとき、メニスカス形成手段30を基体から浮かせ、メニスカス形成手段30と基体とを非接触状態とした。そして、1時間、この状態を維持し、微粒子分散溶液層を自然乾燥させた。
こうして、図17の(C)に模式的に示すように、基体の表面に対して微粒子が配向した状態の微粒子層(フォトニック結晶)を得ることができた。即ち、基体の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、より具体的には、基体の法線方向に沿って、少なくとも部分的に、ABCABC・・・の状態に配列された状態(立方最密構造を有する状態)と、ABABAB・・・の状態に配列されている状態(六方最密構造を有する状態)とが混在した状態を得ることができた。尚、この混在状態にあっても、ブラッグ波長は同じである。微粒子層(フォトニック結晶)の厚さを5μmとした。
そして、フッ素(F)をドープした酸化スズ(SnO2)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、フォトニック結晶を転写した。具体的には、先ず、フォトニック結晶層を、PET基板から比較的剥がれやすい両面粘着フィルムの付いたガラス基板上に転写する。尚、必ずしもガラス基板である必要はなく、ある程度硬い基板であれば何でもよい。次に、酸化スズ(SnO2)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、フォトニック結晶側が下部電極11に直接接触するように、フォトニック結晶層が転写されたガラス基板を置いた。次いで、ガラス基板及び基板10を重ねた状態で、55゜Cに保持したホットプレス機で0.5トン/cm2の力を、30分間、加えた。その後、両面粘着フィルムの付いたガラス基板を粘着フィルムごと剥がして、フォトニック結晶層だけをガラス基板から成る基板10に形成された下部電極11上に転写させた。
あるいは又、PET基板上のフォトニック結晶を、酸化スズ(SnO2)から成る下部電極11が形成されたガラス基板から成る基板10上に、フォトニック結晶側が下部電極11に直接接触するように置いた。更に、PET基板の上にガラス基板を置いた。そして、ガラス基板、PET基板、基板10の3枚を重ねた状態で、55゜Cに保持したホットプレス機で0.5トン/cm2の力を、30分間、加えた。その後、ガラス基板とPET基板を剥がして、フォトニック結晶層だけをガラス基板から成る基板10に形成された下部電極11上に転写させた。
その後、ルテニウム系色素を分散させたエタノール溶液中に浸漬し、24時間、室温で放置した。そして、余分な溶液等を洗浄し、20μmのスペーサー(図示せず)を載置し、更に、その上に上部電極(対向電極)13として白金電極が形成されたガラス基板14を載置し、実施例1と同じ電解液を電極間に染み込ませて、電解質層12を設けた。その後、基板10とガラス基板14の周縁部をシールした。
尚、メッシュの代わりに、長さ1mm乃至2mmのガラス製のチップ状の短い糸をメニスカス形成手段として使用して、微粒子層(フォトニック結晶)を形成することもできる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した光電変換素子の構造や構成、光電変換素子の製造方法、光電変換素子を製造するために用いた材料や製造条件等は例示であり、適宜、変更することができる。
実施例においては、フォトニック結晶を基板に転写したが、その代わりに、下部電極が設けられた基板上に微粒子を堆積させることで、フォトニック結晶を形成することもできる。また、フォトニック結晶を構成する微粒子に対して半導体微粒子のサイズが十分に小さい場合、ナノサイズの半導体微粒子は溶媒分子と同等に振舞うので、例えば、実施例3において、フォトニック結晶を形成する際、微粒子分散溶液にナノサイズの半導体微粒子及び色素を分散させることで、光吸収体としての半導体微粒子及び色素が微粒子と微粒子との隙間に配されたフォトニック結晶を得ることもできる。
微粒子の平均粒径Dが異なるフォトニック結晶を積層した構造から光電変換層を構成することもできる。このような構造とすることで、一層幅広い波長の入射光において高い光電変換効率を達成することができる。
10・・・基板、11・・・下部電極、12・・・電解質層、13・・・上部電極、14・・・ガラス基板、20,120・・・光電変換層、21・・・外因性半導体膜、22・・・誘電体膜、23,123・・・色素、24・・・半導体微粒子、121・・・微粒子、121A・・・外因性半導体微粒子、122・・・微粒子層、124・・・半導体微粒子
Claims (13)
- 周期構造を有し、該周期構造に起因したブラッグ反射に基づく光閉込め効果を有する光電変換層を備えていることを特徴とする光電変換素子。
- 周期構造は多層膜積層構造から成ることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 多層膜積層構造は、屈折率n1を有する外因性半導体膜と、屈折率n2(但し、n2≠n1)を有する誘電体膜とが交互に積層された積層構造から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
- 誘電体膜には光吸収体が含まれていることを特徴とする請求項3に記載の光電変換素子。
- 光吸収体は色素から成ることを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子。
- 光吸収体は半導体微粒子から成ることを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子。
- 周期構造はフォトニック結晶から成ることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- フォトニック結晶は、規則的に配列された複数の微粒子から成る微粒子層が積層された積層構造から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 光吸収体としての半導体微粒子及び色素が、微粒子と微粒子との隙間に配されていることを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子。
- 微粒子は外因性半導体微粒子から成り、
光吸収体が、微粒子と微粒子との隙間に配されていることを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子。 - 光吸収体は色素から成ることを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
- 基板上に設けられた下部電極の上に光電変換層が形成されており、
光電変換層上に電解質層が設けられており、
電解質層上に上部電極が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の光電変換素子。 - 色素増感太陽電池であることを特徴とする請求項12に記載の光電変換素子。
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