JP2009059796A - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料と、PbSe粒子とを含む混合半導体膜を有する光電変換素子。この光電変換素子を有機顔料の前駆体とPbSe粒子とを含む塗布液を塗布した後、該前駆体を有機顔料に変換して前記混合半導体膜を形成することにより製造する。
【選択図】図1
Description
過程1:光吸収による励起状態(励起子)の生成。
過程2:励起子のイオン対(所謂キャリア)への解離。
過程3:イオン対が分離して電極に到達。
そこで、励起子の解離場所を増やすことにより、高効率が達成できると考えられる。
ところが、太陽電池の製造のために、有機顔料を含む層を成膜しようとする場合、通常は有機顔料が高結晶性の性質を有しているので、前記有機顔料は真空蒸着以外の方法では成膜が困難であった。従って、大面積の成膜が実用上難しく、高コストになっていた。
及び
有機顔料の前駆体とPbSe粒子とを含む塗布液を混合半導体膜形成面に塗布する成膜工程と、得られた塗膜の該前駆体を有機顔料に変換して前記混合半導体膜を形成する変換工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法、
に存する。
本発明の光電変換素子は、ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料と、PbSe粒子とを含む混合半導体膜を有する。
本発明の光電変換素子の製造方法は、有機顔料の前駆体(以下「顔料前駆体」と称す場合がある。)とPbSe粒子とを含む塗布液を混合半導体膜形成面に塗布して成膜(以下、この塗布膜を「前駆体膜」と称す場合がある。)する成膜工程と、この成膜工程の後で、顔料前駆体を有機顔料に変換する変換工程とを有し、これにより、有機顔料及びPbSe粒子を含有する混合半導体膜を形成する。
本発明では、顔料前駆体とPbSe粒子とを、形状、寸法、配設位置などの構成を所望の構成として成膜し、その後、顔料前駆体を半導体である有機顔料に変換して混合半導体膜を得ることにより光電変換素子を製造する。
本発明で用いるポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料は、π共役分子が強い分子間相互作用により凝集しているものである。このため、本発明に係る有機顔料は可視光領域に強い吸収帯を有し、程度の差はあれ、電荷を輸送できる半導体特性を有する。
PbSe粒子を形成しているPbSeは、その粒子内では半導体特性を有する必要があり、そのために粒子内の不純物や欠陥はある程度以下に低減されている必要がある。その半導体特性の程度は光電変換素子の材料として使用しうる限り任意であるが、キャリア移動度の値として、好ましくは10−5cm2/Vs以上、より好ましくは10−3cm2/Vs以上である。通常、バルク体でPbSeは真性半導体であるため、電子移動度1200cm2/Vs、ホール移動度1000cm2/Vs程度であるが、ナノ粒子化することでPbSeは主にn型の半導体特性を示し、粒子表面を適切に処理することで電子移動度が2.5cm2/Vs、ホール移動度が0.18cm2/Vs程度まで報告されており、大量の不純物や欠陥が無い材料であれば用いることができる(Science 2005,310,86-89)。
なお、PbSe粒子の粒径とは、PbSe粒子が略球状である場合はその直径をさし、また、ファイバー状、その他の形状である場合にはその繊維長さや長径(最も長い部分の長さ)をさす。混合半導体膜内におけるPbSe粒子の粒径は、電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。
PbSe粒子の大気中又は加熱による安定性を高めるために、シェル化を行うことも可能であり、シリカやPbS等でシェル化させた報告、例えば、J.Phys.Chem.B 2006,110,25356−25365、Chem.Mater.2007,19,3112−3117などがある。
本発明に係る混合半導体膜は、ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料とPbSe粒子とを含むものであるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料並びにPbSe粒子以外の成分を含有していてもよい。また、ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料並びにPbSe粒子は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ナフタセン、ペンタセン、ピレン、フラーレン等の縮合芳香族炭化水素、α−セキシチオフェン等のオリゴマー類、フタロシアニンやポルフィリン等の大環状化合物、α−セキシチオフェン、ジアルキルセキシチオフェン、に代表される、チオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類、あるいは、チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環を合計4個以上連結したもの、ナフタレン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、フラーレン等の縮合芳香族炭化水素、アントラジチオフェン、ジベンゾチエノビスチオフェン、α,α’−ビス(ジチエノ[3,2-b’:2’、3’-d]チオフェン)等の縮合チオフェン及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の、芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン
そのほかにも、無機のナノ粒子、例えば、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、シリカ、Si、GaAs、CuInGaSeなどの化合物半導体などのナノ粒子を含ませることができる。
これらは半導体としての機能以外にも、光散乱などの半導体以外の機能を有していてもよい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
混合半導体膜の厚さが薄過ぎると吸収が弱く、十分に光を利用できず、効率が低下し、厚過ぎると、抵抗が増し、内部損失となって効率が低下する。
光電変換素子は、少なくとも一対の電極間に挟まれた活性層(半導体層)を備えて構成される。また、通常は、電極及び活性層(半導体層)を支持するため、基板を備えている。
光電変換素子の一般的な構造例を図1に示す。
以下、光電変換素子の各要素について説明する。
基板は、任意の材料により形成することが可能である。
基板の構成材料の例を挙げると、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料などが挙げられる。なお、基板の構成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、基板の形状及び寸法に制限はなく、任意に設定することができる。
さらに、基板には、ガスバリヤー性の付与や表面状態の制御のために、別の層を積層してもよい。
電極(正極・負極)は、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。
電極の構成材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその複合酸化物(例えばITO、IZO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なお、電極の構成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
活性層は、半導体材料を含有する層であって、光を吸収して電荷を分離する層である。
この活性層は、単層の膜のみによって構成されていてもよく、2以上の積層膜によって構成されていても良い。
活性層が単一の膜によって形成されている場合、本発明の光電変換素子においては、当該膜は、前述のポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料と、PbSe粒子とを含んだ混合半導体膜として形成されている。
一方、活性層が2以上の膜からなる場合、活性層は、ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料と、PbSe粒子とを含んだ混合半導体膜を少なくとも一層備えて形成される。
活性層と電極との間には、電気特性の改良のために電極界面層を設けることが望ましい。通常は、正孔を捕集する電極(正極)には、電子をブロックして正孔のみ伝導する層(正極界面層)を、電子を捕集する電極(負極)には、正孔をブロックして電子のみ伝導する層(負極界面層)を形成することができる。
さらに、正極界面層を通して活性層に光を取り込む場合、正極界面層材料として透明性の高い材料を用いることが好ましい。通常は光のうちでも可視光を活性層に取り込むことになるため、透明な正極界面層材料としては、当該正極界面層を透過する可視光の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上となるものを用いることが好ましい。
さらに、光電変換素子の製造コストの抑制、大面積化などを実現するためには、正極界面層材料として、有機半導体材料を用い、正極界面層をp型有機半導体層として形成することが好ましい。
また、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物以外の好ましい正極界面層材料の例としては、正孔輸送性高分子にドーパントを混合した系が挙げられる。この場合、正孔輸送性高分子の例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが挙げられる。一方、ドーパントの例としては、ヨウ素;ポリ(スチレンスルホン酸)、カンファースルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;などが挙げられる。
なお、正極界面層材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このような観点から、負極界面層材料の好適な例を挙げると、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体等の電子輸送性を示す有機化合物;TiO2等の無機半導体などのn型半導体材料が挙げられる。なお、これらの半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
光電変換素子は、上述した基板、電極、電極界面層及び活性層以外の構成部材を備えていても良い。
例えば、光電変換素子は、外気の影響を最小限にするために、半導体部分、更には電極部分を含めて覆うように保護膜を備えていても良い。保護層は、例えば、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンポリビニルアルコール共重合体、等のポリマー膜;酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜;あるいはこれらの積層膜などにより構成することができる。
本発明の光電変換素子の製造方法においては、前記の混合半導体膜を有する活性層を作製する工程を経て光電変換素子を製造する。この際、混合半導体膜を含む活性層は、活性層以外の光電変換素子の構成部材とは別に作製し、光電変換素子の作製後に他の構成部材と組み合わせるようにしてもよいが、通常は、基板や電極等の構成部材上に直接成膜することにより活性層を形成する。
本発明において混合半導体膜を構成するポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料の前駆体となる顔料前駆体としては、後述の変更工程でポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料を形成し得るものであれば良く、特に制限はないが、例えば、以下に示すような特開2003−304014号公報に記載されるビシクロ化合物が挙げられる。
成膜工程では、前駆体膜を成膜する。
成膜の手法は顔料前駆体とPbSe粒子とを混合して塗布法により成膜する方法であるが、通常は、適切な溶媒に顔料前駆体を溶解させるとともにPbSe粒子を当該溶媒に溶解又は分散させた塗布液を用意し、この塗布液を基板、電極等の塗布対象の混合半導体膜形成面に塗布して成膜を行なう。
成膜工程で前駆体膜を形成した後、当該前駆体膜に外部から刺激を与え、前駆体膜における分散状態を保ったまま顔料前駆体を有機顔料に変換する。これにより、顔料とPbSe粒子とを含有する混合半導体膜を形成することができる。この際、前駆体膜における分散状態を保ったまま顔料前駆体を半導体である有機顔料に変換するため、混合半導体膜内においても有機顔料及びPbSe粒子の分散性は良好に維持される。
本発明の光電変換素子の製造方法においては、本発明の要旨を逸脱しない限り、上述した工程以外の工程を行なうようにしてもよい。例えば、塗布液を塗布する前に、顔料前駆体の一部を変換しても良い。例えば、塗布前の塗布液を加熱して顔料前駆体の一部を有機顔料に変換する場合には、加熱により顔料及び/又は顔料前駆体が溶液中に析出することがあるが、この顔料及び/又は顔料前駆体は塗布液中に分散しているため、分散性及び塗布性は良好に保たれる。
以上のように、本発明の光電変換素子の製造方法によれば、塗布プロセスを用いて光電変換素子を製造することが可能である。ここで、ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料並びにPbSe粒子は一般に耐久性が高い。このため、PbSe粒子とポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料とが分散した混合半導体膜を備えた本発明の光電変換素子、例えば太陽電池は、長寿命を実現することができる。
具体的な光電変換素子の寿命に制限は無いが、長いほうが好ましく、通常1年以上、好ましくは3年以上、より好ましくは5年以上である。
例えば、本発明の光電変換素子の製造方法によって製造された光電変換素子においては、その混合半導体膜において有機顔料及びPbSe粒子が良好に分散している。このため、高い光電変換率が実現可能である。具体的な光電変換率の範囲を挙げると、通常3%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上である。この光電変換率の上限に制限はなく、高いほど好ましい。
さらに、本発明の光電変換素子の製造方法では、塗布法により成膜を行なうため、印刷プロセスを利用した大面積素子の実現が可能である。また、塗布法の利用により、低コストでの光電変換素子の製造が可能である。さらに、従来適用困難であった有機顔料やPbSe粒子の利用も可能となる。
Pb前駆体溶液として、三口フラスコに、酸化鉛(II)4mmol(0.8892g)、及びオレイン酸10mmol(2.8246g)を入れ、更に、オクタデセンを溶液の合計が16gになるよう仕込んだ。三口フラスコ内をアルゴン置換し、Pb前駆体溶液を180℃に加熱した。
Se前駆体溶液としてセレン粉末1.262g(16mmol)に対して5重量%になるようにトリオクチルホスフィンを仕込み、それに対してジフェニルホスフィンを0.55mmol(0.1g)加えた。
180℃に加熱されたPb前躯体溶液中にSe前駆体溶液を急速注入し、150℃で1分反応させた。
反応終了後、室温付近まで風冷し、エタノール200ml、ヘキサン100mlを加えて遠心分離を行い、上澄みを除去し、エタノール10mlで2回洗浄(遠心分離)を行うことで、過剰なオレイン酸を除去した。
得られたナノ粒子は、窒素乾燥、真空乾燥を行い、粉末保存をし、PbSeナノ粒子Aを得た。
合成例1で得られたPbSeナノ粒子A 1mgに対して、ブチルアミンを10μL加え、窒素雰囲気下で12時間反応させることで、粒子表面をオレイン酸からブチルアミンへ置換し、PbSeナノ粒子Bを得た。
Chem.Commun.1998,1661記載の方法により、下記のテトラベンゾポルフィリン(BP)前駆体化合物を製造した。
ITO基板にシーリングを行い、塩酸に20分浸すことで、エッチング処理を行った。その後、超音波洗浄を次の順番で行った。
メルク社製エキストラン10分、
純水5分×2回、
超純水5分×2回、
アセトン5分×2回、
イソプロピルアルコール5分×2回。
洗浄後の基板は、120℃で加熱しながら真空乾燥を30分行った。乾燥後、窒素雰囲気に移し、ITO電極部分を3M社製カプトンテープでシールした。
さらに、Alを蒸着して光電変換素子を得た。
この光電変換素子の構造を図2に示す。この光電変換素子の大きさは2mm×2mmであった。
PbSeナノ粒子AをPbSeナノ粒子Bに変更した他は実施例1と同様にして、光電変換素子を得、光電変換特性を評価し、結果を図5に示した。
2 正極
2A 正極界面層
3 負極
3A 負極界面層
4 活性層
Claims (2)
- ポルフィリン及び/又はフタロシアニン骨格を有する有機顔料と、PbSe粒子とを含む混合半導体膜を有することを特徴とする光電変換素子。
- 有機顔料の前駆体とPbSe粒子とを含む塗布液を混合半導体膜形成面に塗布する成膜工程と、得られた塗膜の該前駆体を有機顔料に変換して前記混合半導体膜を形成する変換工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
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