JP2013229594A - 光電変換素子及びその製造方法、並びに太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子及びその製造方法、並びに太陽電池モジュール Download PDF

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孝理 横山
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Abstract

【課題】塗布変換法を用いて、変換効率のより高い逆型光電変換素子を作製する。また、大気安定性の高い光電変換素子を作製する。
【解決手段】少なくとも一対の電極と活性層を有する光電変換素子の製造方法であって、活性層は、(I)第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する第1の層を形成する工程と、(II)第1の層の上に、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を含有する第2の層を形成する工程と、(III)第1の層内の第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程と、により形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子の製造方法及びこの製造方法に従って製造された光電変換素子、並びにこの光電変換素子を備える太陽電池モジュールに関する。
有機光電変換素子としては、基板側に正孔を捕集する電極(アノード)を有する順型素子が従来からよく用いられていたが、近年基板側に電子を捕集する電極(カソード)を有する逆型素子に注目が集まっている(例えば非特許文献1及び2)。逆型素子の場合、通常仕事関数が小さいカソードが基板側に位置するため、大気安定性が向上しうる。また、順型素子の場合、p型半導体層の膜厚を厚くすると、p型半導体層と電極との界面で吸収された光が電流として取り出せない、いわゆるフィルタ効果が生じ、変換効率が悪くなるという問題が生じうる。
また、有機光電変換素子の活性層を作製する方法として、半導体化合物前駆体を含む層を塗布成膜し、その後半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換することにより、半導体化合物を含む活性層を作製する技術が近年提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の光電変換素子は、具体的には、基板側に電極等を介して積層されたp型半導体層上に、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが共存するi層と、n型半導体層とを順次積層することにより得られる、p−i−n構造を有する。特許文献1においては、p型半導体層は塗布成膜及び続く変換反応によって形成され、こうして形成されたp型半導体層上に、i層が塗布成膜及び続く変換反応によって形成されている。このような方法には、半導体化合物の溶媒への溶解性が低い場合であっても、溶解性の高い半導体化合物前駆体を塗布法により成膜した後に変換反応することで、半導体層を形成できるという利点がある。
国際公開第2007/126102号
SK.Hau et.al. Appl.Phys.Lett.2008,92,253301. J.Meiss et.al. Adv.Func.Mater.2012,22,405−414.
しかしながら、特許文献1に記載の方法を参照して逆型素子を作製した場合、得られる光電変換素子の変換効率が低いという課題があった。
本発明は、塗布変換法を用いて、変換効率のより高い逆型光電変換素子を作製することを目的とする。また、大気安定性の高い光電変換素子を作製することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑みて、i−p構造等の活性層を作成する際に、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する第1の層を形成して、第1のp型半導体化合物前駆体を変換する前に、前記第1の層の上に、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を含有する第2の層を形成する、塗布変換方法を用いた光電変換素子の製造方法を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]少なくとも一対の電極と活性層を有する光電変換素子の製造方法であって、
前記活性層は、
(I)第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する第1の層を形成する工程と、
(II)前記第1の層の上に、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を含有する第2の層を形成する工程と、
(III)前記第1の層内の前記第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程と、
により形成される、光電変換素子の製造方法。
[2]前記工程(III)において、前記第1の層を加熱し若しくは電磁波を照射し、又は前記加熱と前記照射との双方を行うことを特徴とする、[1]に記載の光電変換素子の製造方法。
[3]前記第2の層が前記第2のp型半導体化合物前駆体を含み、前記工程(III)において前記第2のp型半導体化合物前駆体は前記第2のp型半導体化合物に変換されることを特徴とする、[2]に記載の光電変換素子の製造方法。
[4]前記第1のp型半導体化合物と前記第2のp型半導体化合物とが同じ化合物であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
[5]前記第1のp型半導体化合物及び前記第2のp型半導体化合物がポルフィリン化合物又はポルフィリン化合物の金属錯体であることを特徴とする、[4]に記載の光電変換素子の製造方法。
[6]前記第1のp型半導体化合物前駆体及び前記第2のp型半導体化合物前駆体が、それぞれ独立に、下記式(A1)で表される化合物であることを特徴とする、[1]から[5]のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
(式(A1)中、X及びXはそれぞれ独立して2価の芳香族基、又は置換基を有していてもよいエテニレン基であり、X及びXの少なくとも一方は2価の芳香族基であり、Z−Zは熱又は光により脱離可能な基である。)
[7]前記第1のp型半導体化合物前駆体及び前記第2のp型半導体化合物前駆体が、それぞれ独立に、下記一般式(A3)又は(A4)で表される化合物であることを特徴とする、[1]から[6]のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
(式(A3)及び式(A4)中、R〜Rはそれぞれ独立して1価の有機基であり、(R,R10)、(R11,R12)、(R13,R14)及び(R15,R16)の組はそれぞれ独立して式(A5)又は式(A6)で表される基であり、式(A4)中、Mは金属原子あるいは軸配位子を有する金属原子である。)
(式(A5)及び(A6)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R17〜R20はそれぞれ独立して1価の有機基である。)
[8]前記n型半導体化合物がフラーレン誘導体であることを特徴とする、[1]から[7]のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
[9]前記フラーレン誘導体のガラス転移温度が50℃以上200℃以下であることを特徴とする、[8]に記載の光電変換素子の製造方法。
[10][1]から[9]のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法により製造されたことを特徴とする光電変換素子。
[11]太陽電池であることを特徴とする、[10]に記載の光電変換素子。
[12][11]に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
塗布変換法を用いて、変換効率のより高い逆型光電変換素子を作製することができる。また、大気安定性の高い光電変換素子を作製することができる。
本発明の一実施例としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施例としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施例としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。 加熱処理前後における積層体の透過スペクトルを示す。
<1.光電変換素子>
以下で、本発明に係る光電変換素子の製造方法について説明する。本発明に係る光電変換素子の製造方法によって製造される光電変換素子は、少なくとも一対の電極と活性層を有する。
図1は、本発明に係る第1の実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図を示す。第1の実施形態に係る光電変換素子101は、カソード103と、アノード108と、活性層109とを備える。また、第1の実施形態に係る光電変換素子101はさらに、基板102と、バッファ層104と、バッファ層107とを備える。以下で、これらの各層について説明する。
<1.1 活性層(109)>
第1の実施形態において活性層109は、i層105と、p型半導体層106とによって構成される。
より具体的には活性層109は、(I)第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する第1の層を形成する工程と、(II)第1の層の上に、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を含有する第2の層を形成する工程と、(III)第1の層内の第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程と、によって形成される。
第1の層はi層105となり、第2の層はp型半導体層106となる。具体的には、第1の層内の第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換することによってi層105が形成される。また、第2の層が第2のp型半導体化合物前駆体を含有する場合には、第2の層内の第2のp型半導体化合物前駆体を第2のp型半導体化合物へと変換することによってp型半導体層106が形成される。続けて、活性層109を形成するための各工程について詳しく説明する。
[1.1.1 第1の層を形成する工程(工程I)]
第1の層を形成する方法は任意であり、例えば第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する塗布液を塗布する塗布法、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を真空下で共蒸着させる蒸着法、等を用いることができる。より簡単に層を形成できるという観点からは、塗布法を用いることがより好ましい。塗布法としては、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、又はドロップキャスティング法等を用いることができる。
塗布法を用いる場合、塗布液の溶媒としては、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン系炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。その中でも、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン系炭化水素類を用いることは好ましく、トルエン、キシレン等の非ハロゲン系芳香族炭化水素類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類;等の非ハロゲン性溶媒を用いることはさらに好ましい。なお、溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
塗布液中の第1のp型半導体化合物前駆体の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは200g/L以下である。
塗布液中のn型半導体化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは200g/L以下である。
具体的な塗布方法に制限はなく、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、又はインクジェット法等を用いることができる。
第1の層に含まれる第1のp型半導体化合物前駆体とn型半導体化合物との割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、第1のp型半導体化合物前駆体とn型半導体化合物との合計重量に対して、第1のp型半導体化合物前駆体の重量は、通常5%以上、中でも10%以上、特には15%以上、また、通常95%以下、中でも90%以下、特には85%以下とすることが好ましい。第1のp型半導体化合物前駆体とn型半導体化合物との割合がこの範囲にあることは、光電変換特性が向上しうる点で好ましい。
第1の層の厚さに制限はないが、通常5nm以上、中でも10nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下とすることが好ましい。厚さを増加させることにより十分に光を吸収することが可能となり、厚さを抑えることにより直列抵抗を低くすることができる。
また、第1の層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物以外の化合物を含んでいてもよい。
[1.1.1.1 第1のp型半導体化合物前駆体]
第1のp型半導体化合物前駆体は、例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることによりp型半導体化合物へと変換される化合物である。本実施形態においては、第1のp型半導体化合物前駆体を変換することにより、第1のp型半導体化合物が得られるものとする。第1のp型半導体化合物の種類は、本発明の効果が損なわれない限り任意である。また、第1のp型半導体化合物前駆体の種類も、第1のp型半導体化合物への変換が可能である限り任意である。
第1のp型半導体化合物前駆体は、成膜性に優れることが好ましい。特に、塗布法により第1の層を形成するためには、第1のp型半導体化合物前駆体は、液状であるか、又は塗布液の溶媒に対して溶解性が高いことが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、第1のp型半導体化合物前駆体の、塗布液の溶媒に対する溶解性は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。溶解度が高いほど、第1のp型半導体化合物前駆体を含む膜の成膜が容易となる。
第1のp型半導体化合物前駆体から得られる第1のp型半導体化合物は、可視光を効率よく吸収すること、光で誘起された正孔を効率よく輸送するために高い移動度を有すること等の性質を有することが好ましい。また、光電変換素子を屋外で用いることを考慮すると、第1のp型半導体化合物は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上の耐熱性を有することが好ましい。
本実施形態に係る第1のp型半導体化合物前駆体は、容易に第1のp型半導体化合物へと変換できることが好ましい。第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換するために用いる外的刺激の種類は任意であるが、例えば、熱処理及び/又は光処理等を行うことができる。好ましくは、熱処理である。この場合には、第1のp型半導体化合物前駆体の骨格の一部に、逆ディールス・アルダー反応によって脱離可能な基が含まれていることが好ましい。この脱離可能な基は、溶媒に対して、特に塗布液の溶媒に対して親溶媒性を有することが好ましい。
本実施形態に係る第1のp型半導体化合物前駆体の、第1のp型半導体化合物への変換収率は、本発明の効果を損なわない限り任意であるが、より高いことが好ましい。収率の好適な範囲をあげると、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。収率が高いほど、光電変換素子の変換効率が上がることが期待される。
本実施形態に係る第1のp型半導体化合物前駆体の例としては、例えば特開2007−324587号公報に記載の化合物が挙げられる。その中でも好ましい例としては、下記式(A1)で表わされる化合物が挙げられる。
式(A1)において、X及びXはそれぞれ独立して2価の芳香族基、又は置換基を有していてもよいエテニレン基である。また、X及びXの少なくとも一方は2価の芳香族基である。好ましくは、X及びXの一方が2価の芳香族基であり、他方が置換基を有していてもよいエテニレン基である。
2価の芳香族基の例としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,2−ナフタレンジイル基、3,4−ピロールジイル基、3,4−フランジイル基、等でありうる。また、この2価の芳香族基は、21H,23H−ポルフィン−2,3−ジイル基のような、ポルフィリン誘導体を構成する連続する2つの炭素原子から水素原子を除くことによって得られる置換基、又は29H,31H−フタロシアニン−2,3−ジイル基のような、フタロシアニン誘導体を構成する連続する2つの炭素原子から水素原子を除くことによって得られる置換基、等であってもよい。これらの2価の芳香族基はさらに置換基を有していてもよい。
式(A1)において、Z−Zは熱又は光により脱離可能な基である。具体的な例としては、Z−Zは置換基を有していてもよいエタノ基でありうる。置換基としては炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。Z−Zの具体的な例としては、エタノ基、メチルエタノ基、1,1−ジメチルエタノ基、1,2−ジメチルエタノ基、等が挙げられる。
式(A1)で表される化合物は、下記式(A2)に示すように熱又は光によりZ−Zが脱離して、平面性の高いπ共役化合物を生成する。この生成されたπ共役化合物が本発明に係る第1のp型半導体化合物である。
式(A1)で表わされる化合物の例としては、以下のものが挙げられる。なお、t−Buはt−ブチル基を表し、Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表す。
第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する具体例としては、以下のものが挙げられる。以下の例において、Buはブチル基を表し、Hexはヘキシル基を表す。
式(A1)で表わされる半導体化合物前駆体は、位置異性体が存在する構造でありうる。すなわち、第1のp型半導体化合物前駆体は、位置異性体の混合物であってもよい。位置異性体の混合物は比較的溶媒に対する溶解度が高いことが多く、塗布法で成膜するためにより好適でありうる。
第1のp型半導体化合物としてはポルフィリン化合物若しくはポルフィリン化合物の金属錯体、又はフタロシアニン化合物若しくはフタロシアニン化合物の金属錯体であることが好ましく、第1のp型半導体化合物前駆体がこのような第1のp型半導体化合物を与えることは好ましい。すなわち、第1のp型半導体化合物前駆体のより好ましい例として、ポルフィリン化合物若しくはポルフィリン化合物の金属錯体、又はフタロシアニン化合物若しくはフタロシアニン化合物の金属錯体が挙げられる。特に好ましい例として、以下の一般式(A3)又は(A4)で表されるポルフィリン化合物誘導体が挙げられる。
式(A3)及び式(A4)中、R〜Rはそれぞれ独立して1価の有機基である。1価の有機基としては、発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、具体的な例としては、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、ニトリル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、シリル基、ボリル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又は芳香族基等でありうる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−プロピルペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基又はベンジル基等が挙げられる。また、アルキル基の別の例としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基等の、炭素数1〜12のフッ化アルキル基又はパーフルオロアルキル基も挙げられる。アルキル基のさらなる例としては、トリメチルシリルメチル基、ジアリールメチルシリルメチル基、ジメチルアリールシリルメチル基又はトリアリールシリルメチル基のようなシリルアルキル基もまた挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはビニル基、スチリル基又はジフェニルビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはメチルエチニル基、フェニルエチニル基又はトリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基又はn−ブトキシ基等の直鎖アルコキシ基;i−プロポキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基等の分岐アルコキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としては、フェノキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としては、フェニルチオ基等が挙げられる。
アルキルアミノ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、オクチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基又はドデシルアミノ基等が挙げられる。なかでも、ジメチルアミノ基、オクチルアミノ基又は2−エチルヘキシルアミノ基が好ましい。
アリールアミノ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基又はナフチルフェニルアミノ基等が挙げられる。なかでも、ジフェニルアミノ基が好ましい。
N−アリール−N−アルキルアミノ基としては、炭素数3〜40のものが好ましく、具体例としてはN−フェニル−N−メチルアミノ基又はN−ナフチル−N−メチルアミノ基等が挙げられる。
アルキルカルボニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基又はドデシルカルボニル基等が挙げられる。なかでも、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基又はドデシルカルボニル基が好ましい。
アリールカルボニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはベンゾイル基、ナフチルカルボニル基又はピリジルカルボニル基等が挙げられる。なかでも、ベンゾイル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、n−ヘキソキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基、2−プロピルペントキシカルボニル基、2−エチルヘキソキシカルボニル基又はシクロヘキシルメトキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数3〜20のものが好ましく、具体例としてはベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはアセチルオキシ基又はエチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アリールカルボニルオキシ基としては、炭素数3〜20のものが好ましく、具体例としてはベンジルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
シリル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはトリメチルシリル基、ジメチルフェニル基、トリフェニルシリル基等の置換基としてアルキル基、アリール基を有するシリル基が挙げられる。
ボリル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはアリール基で置換されたジメシチルボリル基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基又はドデシルスルホニル基等が挙げられる。なかでも、オクチルスルホニル基又は2−エチルヘキシルスルホニル基が好ましい。
アリールスルホニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基又は2−ピリジルスルホニル基等が挙げられる。なかでも、フェニルスルホニル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数2〜30のものが好ましく、これらは単環基に何ら限定されず、縮合多環式炭化水素基又は環縮合炭化水素基であってもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ビフェニレニル基、トリフェニレン基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基等の芳香族炭化水素基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロール基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾイル、フェノキサチエニル基、キサンテニル基、ベンゾフラニル基、チアントレニル基、インドリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、キノキサリニル基等の芳香族複素環基が挙げられる。好ましくは、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、トリフェニレン基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、アセナフテニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾイル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、キノキサリニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾイル、キサンテニル基、フェノキサジニル基等の芳香族複素環基である。
又、縮合多環芳香族基を形成する環として好ましくは、置換基を有していてもよい環状アルキル環、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環である。環状アルキル基の具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等が挙げられる。芳香族炭化水素環の具体例としては、ベンゼン環等が挙げられる。芳香族複素環の具体例としては、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、等が挙げられる。芳香族複素環として好ましくは、ピリジン基又はチオフェン環である。縮合多環芳香族基は、これらの環が縮合した基でありうる。
〜Rは、さらに置換基を有していてもよい。R〜Rが有する置換基は何でもよい。例えばR〜Rは、R〜Rの例として挙げた1価の有機基を置換基として有していてもよい。R〜Rが置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。
また、R〜Rが有する置換基は、さらなる置換基を有していてもよい。このさらなる置換基は何でもよく、例えば、R〜Rが有する置換基は、R〜Rの例として挙げた1価の有機基をさらなる置換基として有していてもよい。
変換反応により得られる第1のp型半導体化合物の平面性が向上しうる観点から、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましい。ここで、炭化水素基には、例えば、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基等が含まれる。
式(A4)中、Mは金属あるいは軸配位子を有する金属である。金属Mの例としては、Cu、Zn、Pb、Mg、Co、若しくはNi等の2価の金属が挙げられる。金属Mの他の例としては、TiO、VO、SnCl、AlCl、InCl、若しくはSi等の、軸配位子を有する3価以上の金属が挙げられる。
式(A3)及び式(A4)中、(R,R10)、(R11,R12)、(R13,R14)及び(R15,R16)の組はそれぞれ独立して式(A5)又は式(A6)で表される基である。それぞれの置換基の配向は任意であり、例えばR19はR側に位置してもR10側に位置してもよい。
式(A5)及び(A6)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。炭素数1〜10のアルキル基としてより好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜2のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。R〜Rがアルキル基であることは、式(A3)又は式(A4)で表される化合物の溶解性が向上しうる点で好ましい。また、R〜Rの炭素数が少ないことは、変換反応によって生じる脱離分子の揮発性が高くなりうる点で好ましい。
式(A5)及び(A6)中、R17〜R20はそれぞれ独立して1価の有機基である。1価の有機基としては、特に限定されず、例えばR〜Rの例として挙げたものでありうる。R17〜R20はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましい。
また、第1のp型半導体化合物前駆体の別の好ましい例として、ベンゾポルフィリン化合物のようなポルフィリン誘導体、又はフタロシアニン誘導体に対して、式(A5)又は(A6)で表される2価の置換基が1つ以上8つ以下、好ましくは4つ付加して得られる化合物も挙げられる。
式(A3)又は(A4)で表される化合物の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を任意に採用することができる。例えば、式(A3)で表される化合物の一例である以下の化合物CP−1は、以下の合成経路を経て製造することができる。下式において、Etはエチル基を表し、t−Buはt−ブチル基を表す。
第1の層は、第1のp型半導体化合物前駆体として上述のポルフィリン化合物誘導体のみを含んでいてもよいし、上述のポルフィリン化合物誘導体に加えて他のp型半導体化合物前駆体を含んでいてもよい。光電変換効率を向上させる観点からは、p型半導体化合物前駆体全体に占めるポルフィリン化合物誘導体の割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。
[1.1.1.2 n型半導体化合物]
n型半導体化合物は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。第1の層を塗布法により形成するためには、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する塗布液の溶媒に対して、n型半導体化合物の溶解度が高いことが好ましい。
n型半導体化合物の例としては、フラーレン誘導体、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセン等縮合多環芳香族の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、ポリキノリン、ポリピリジン、ポリアニリン、ポリ(ベンゾビスイミダゾベンゾフェナントロリン)、ホウ素ポリマー、シアノ置換されたポリフェニレンビニレン等が挙げられる。n型半導体化合物は、一種類の化合物で構成されていてもよいし、二種類以上の化合物で構成されていてもよい。n型半導体化合物として好ましくはフラーレン誘導体である。第1の層が複数種類のn型半導体化合物を含んでいる場合、光電変換効率を向上させる観点から、n型半導体化合物全体に占めるフラーレン誘導体の割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。
また、第1の層が含むn型半導体化合物には、例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることによりn型半導体化合物へと変換される、n型半導体化合物前駆体も含まれる。
電荷分離を効率よく起こすためには、p型半導体化合物とn型半導体化合物との最低空軌道(LUMO)エネルギー準位の相対関係が重要である。具体的には、第1のp型半導体化合物前駆体から得られる第1のp型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位より高いことが好ましい。このエネルギー準位の差は用途により変化しうるが、通常は0.1eV以上、好ましくは0.2eV以上、より好ましくは0.3eV以上であり、また、通常0.6eV以下、好ましくは0.4eV以下である。
n型半導体化合物としてより好ましくは、一般式(B1)に示されるフラーレン誘導体が挙げられる。
式(B1)においてFLNはフラーレンを表す。本明細書においてフラーレンとは閉殻構造を有する炭素クラスターである。フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。その中でも、C60もしくはC70が好ましく、C60がさらに好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素−炭素結合が切れていてもよい。又、一部の炭素原子が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらに、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団をフラーレンケージ内に内包していてもよい。
式(B1)においてmは通常1以上10以下の整数であり、好ましくは2以上6以下の整数である。付加基R21が複数存在する場合、それぞれの付加基R21は同一でもよいし、異なっていてもよい。また、それぞれの付加基R21が、直接又は付加基を介して環を形成してもよい。もっとも、全ての付加基R21が水素ではないことが好ましい。付加基R21を複数有する場合は、付加する位置により異性体が存在しうる。この場合、単一の異性体をn型半導体化合物として用いてもよいし、複数の異性体の混合物をn型半導体化合物として用いてもよい。
付加基R21は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、R〜Rについて例示した1価の有機基でありうる。
付加基R21又は付加基R21が有する置換基が、金属への配位能を有する場合、一般式(B1)で表される化合物は、金属原子との配位結合を介して金属錯体を形成していてもよい。
本実施例に係るn型半導体化合物は、一般式(B2)及び/又は(B3)に示される構造を有するフラーレン誘導体であることがより好ましい。
式(B2)及び(B3)においてFLNは、式(B1)と同様にフラーレンを表す。式(B2)及び(B3)において、p及びqは各々0以上の整数であり、通常pとqの合計は1〜5であり、好ましくは1〜3である。
付加基R22〜R24は、各々独立してフラーレン骨格に付加する付加基を表す。付加基R22〜R24は、フラーレン骨格中の同一の五員環もしくは六員環に付加されることが好ましい。R22とR23とは、直接又は置換基を介して環を形成してもよい。付加基R22〜R24はどのような基でもよい。例えば付加基R22〜R24は、R〜Rについて例示した1価の有機基でありうる。
本実施例に係るn型半導体化合物は、一般式(B4)〜(B7)に示される構造のうちの少なくとも1つを有するフラーレン誘導体であることがより好ましい。
式(B4)〜(B7)においてFLNは、式(B1)と同様にフラーレンを表す。式(B4)〜(B7)中、r,s,t,及びuは各々0以上の整数であり、通常r,s,t,uの合計は1〜5であり、好ましくは1〜3である。一般式(B4)〜(B7)に示される構造は、フラーレン骨格中の同一の五員環もしくは六員環に付加されることが好ましい。Lは1以上8以下の整数であり、好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
置換基R25〜R39は、各々独立な置換基である。また、置換基R25〜R39はどのような基でもよい。例えば置換基R25〜R39は、R〜Rについて例示した1価の有機基でありうる。Arは、任意の芳香環でありうる。
また、R34又はR35と、R36又はR37との間で、直接又は置換基を介して環を形成してもよい。さらには、R34〜R37のいずれかと、式(B6)で表される付加基の骨格を形成する炭素原子との間で、直接又は置換基を介して環を形成してもよい。例えば本実施例に係るn型半導体化合物は、一般式(B8)に示される構造を有しうる。
式(B8)においてXは、酸素原子又は硫黄原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいメタノ基、置換基を有していてもよいエタノ基、等でありうる。窒素原子が有しうる置換基としては、例えばメチル基及びエチル基等の炭素数1〜6のアルキル基でありうる。また、メタノ基又はエタノ基が有しうる置換基としては、メトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシル基、又は炭素数1〜5の炭化水素基でありうる。vは、1以上t以下の整数でありうる。
式(B4)の構造として好ましくは、R26〜R28がそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であるものが挙げられる。特に、R26〜R28のうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましい。炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
また、置換基R25の好ましい例として、−(CH)LSiR404142が挙げられる。ここで、Lは1以上8以下の整数であり、好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。また、R40〜R42はそれぞれ独立に1価の有機基であり、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。特に、R40〜R42のうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましい。炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
式(B7)の構造として好ましくは、R38、R39が共にアルコキシカルボニル基であるか、R38、R39が共に芳香族基であるか、R38が芳香族基でありかつR39が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基である。
上述のフラーレン誘導体の製造方法としては、特に制限はない。例えば、式(B4)で表される構造を有するフラーレンは、国際公開第2008/059771号又はJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(46),15429−15436に記載されている方法に従って合成可能である。
また、式(B5)で表される構造を有するフラーレンは、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798−9799、Chem.Mater.2007,19,5363−5372、又はChem.Mater.2007,19,5194−5199に記載されている方法に従って合成可能である。
また、式(B6)で表される構造を有するフラーレンは、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1993,32,78−80、Tetrahedron Lett.1997,38,285−288、又は国際公開第2009/086210号に記載されている方法に従って合成可能である。
また、式(B7)で表される構造を有するフラーレンは、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1997,1595、Thin Solid Films 489(2005)251−256、Adv.Funct.Mater.2005,15,1979−1987、又はJ.Org.Chem.1995,60,532−538に記載されている方法に従って合成可能である。
本実施形態においてn型半導体化合物として用いられうるフラーレン誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
本実施形態において型半導体化合物として用いられうるフラーレン誘導体のガラス転移温度としては、50℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上であり、一方、上限は好ましくは300℃以下、さらに好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。ガラス転移温度が低すぎると、製膜過程における温度範囲で化合物がアモルファス状態と結晶状態との間で変化することにより、n型半導体としての機能安定性が損なわれるため、光電変換素子効率が低下しうる。一方ガラス転移温度が高すぎると、混合層における塗布変換型材料の結晶化を阻害し、光電変換素子効率が低下しうる。ガラス転移温度は公知の方法で測定すれば良く、例えばDSC法が挙げられる。
本実施形態においてn型半導体化合物として用いられうるフラーレン誘導体の最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位は、特段制限はないが、例えばサイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値が、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。n型半導体化合物のLUMOが低すぎると光電変換素子の開放電圧が低くなりうる。
本実施形態においては、1種類の化合物をn型半導体化合物として用いてもよいし、複数種の化合物の混合物をn型半導体化合物として用いてもよい。
[1.1.2 第2の層を形成する工程(工程II)]
第2の層を形成する方法は任意であり、例えば第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を含有する塗布液を塗布する塗布法、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を真空下で蒸着させる蒸着法、等を用いることができる。形成された第1の層の溶解を防ぐ観点からは蒸着法を用いることが好ましく、より簡単に第2の層が形成できるという観点からは塗布法を用いることが好ましい。塗布法としては、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、又はドロップキャスティング法等を用いることができる。
塗布法により第2の層を形成する場合、第1の層の溶解を防ぐ観点から、第2の層を形成するための塗布液に対する、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物の溶解度が低いことが好ましい。この観点から、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物と比較して、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体の、第2の層を形成するための塗布液の溶媒に対する溶解度は高いことが好ましい。具体的には、第2の層を形成するための塗布液の溶媒に対する、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体の溶解度(重量%)は、第1のp型半導体化合物前駆体の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがさらに好ましく、10倍以上であることがより好ましい。また、第2の層を形成するための塗布液の溶媒に対する、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体の溶解度(重量%)は、n型半導体化合物の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがさらに好ましく、10倍以上であることがより好ましい。
第2の層を形成するための塗布液の溶媒の種類としては、第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物の溶解度が低く、かつ第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されない。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。その中でも好ましくは、メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類である。
塗布液中の第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは200g/L以下である。
具体的な塗布方法に制限はなく、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法又はインクジェット法等を用いることができる。
第2の層の厚さに制限はないが、通常5nm以上、中でも10nm以上、また、通常500nm以下、中でも200nm以下とすることが好ましい。第2の層をより薄くすることにより直列抵抗がより小さくなり、より厚くすることにより均一な層の形成が可能となる。
また、第2の層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体以外の化合物を含んでいてもよい。
[1.1.2.1 第2のp型半導体化合物]
第2のp型半導体化合物の種類は本発明の効果が損なわれない限り任意である。第2のp型半導体化合物の例としては、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環、及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも1つを合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体並びにテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体等の大環状化合物;シアニン誘導体、スクアリリウム誘導体、ポリアセン有導体、共重合ポリマー等が挙げられる。好ましくは、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、もしくはテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体である。その具体例を挙げると、29H,31H−フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、オキソチタニウム(IV)フタロシアニン、銅(II)4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン又はインジウム(III)フタロシアニンクロリド等のフタロシアニン化合物;テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン又はテトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;等が挙げられる。
i層105内の第1のp型半導体化合物と、p型半導体層内の第2のp型半導体化合物との相互作用が向上しうる観点から、第1のp型半導体化合物と第2のp型半導体化合物とは同じ化合物であることが好ましい。すなわち、第1のp型半導体化合物前駆体から得られる第1のp型半導体化合物と同じ化合物を、第2のp型半導体化合物として選択することは好ましい。
[1.1.2.2 第2のp型半導体化合物前駆体]
第2のp型半導体化合物前駆体は、例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることにより第2のp型半導体化合物へと変換される化合物である。本実施形態においては、後述する変換工程において、第2のp型半導体化合物前駆体を第2のp型半導体化合物へと変換することが好ましい。第2のp型半導体化合物の種類は、本発明の効果が損なわれない限り任意である。また、第2のp型半導体化合物前駆体の種類も、第2のp型半導体化合物への変換が可能である限り任意である。第2のp型半導体化合物前駆体としては、第1のp型半導体化合物前駆体として上述したものと同様のものを用いることができる。
上述のように、第1のp型半導体化合物と第2のp型半導体化合物とは同じ化合物であることが好ましい。この点で、第1のp型半導体化合物前駆体と第2のp型半導体化合物前駆体とは同じ化合物であってもよい。しかしながら、第1のp型半導体化合物前駆体と第2のp型半導体化合物前駆体とが、同じp型半導体化合物を与える異なる化合物であることは好ましい。
上述のように、第1のp型半導体化合物前駆体と比較して、第2のp型半導体化合物前駆体の溶解度が高いことは好ましい。したがって、第1のp型半導体化合物前駆体よりも溶解度が高いが、変換反応により同じp型半導体化合物を与えるような、第2のp型半導体化合物前駆体を選択することが好ましい。例えば、第1のp型半導体化合物前駆体及び第2のp型半導体化合物前駆体が式(A3)又は(A4)で表される化合物である場合、第2のp型半導体化合物前駆体についての置換基R〜Rの合計の炭素数が、第1のp型半導体化合物前駆体についての置換基R〜Rの合計の炭素数よりも多くなるように、第2のp型半導体化合物前駆体を選択することが考えられる。より具体的な例としては、第1のp型半導体化合物前駆体についてはR〜Rが水素原子であり、第2のp型半導体化合物前駆体についてはR〜Rのうち1つ以上がメチル基、残りが水素原子である場合が挙げられる。
[1.1.3 第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程(工程III)]
第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程(以下では変換工程と称する)においては、少なくとも第1の層を加熱し若しくは電磁波を照射し、又はその両方を行う。この変換工程により、第1の層に含まれる第1のp型半導体化合物前駆体が、第1のp型半導体化合物へと変換される。
このようにして作製された光電変換素子は、変換効率が向上しうる。これは、第2の層内で配列している第2のp型半導体化合物と相互作用しながら、第1の層内において第1のp型半導体化合物が生成することにより、好適な電荷輸送経路が生じることがその理由として考えられる。
この観点からは、第1の層を形成する工程から、第2の層を形成する工程が終了するまでには、第1のp型半導体化合物前駆体が第1のp型半導体化合物へと変換されるような処理を行わないことが好ましい。具体的には、第1の層を形成する工程から、第2の層を形成する工程が終了するまでの処理は、100℃以下で、好ましくは70℃以下で行うことが好ましい。
第2の層が第2のp型半導体化合物前駆体を含んでいる場合、第2のp型半導体化合物前駆体から第2のp型半導体化合物への変換は、第1のp型半導体化合物前駆体から第1のp型半導体化合物への変換と同時に行われうる。一方で、好適な電荷輸送経路を得る観点からは、第2のp型半導体化合物前駆体から第2のp型半導体化合物への変換が行われてから、第1のp型半導体化合物前駆体から第1のp型半導体化合物への変換が行われることが、より好ましい。
このことは、第2のp型半導体化合物前駆体として、第1のp型半導体化合物前駆体よりも低い温度で変換反応が起こるものを選択し、第1の温度での加熱と、第1の温度よりも高い第2の温度での加熱を行うことにより実現できる。例えば、第1の温度で加熱することにより第2のp型半導体化合物前駆体から第2のp型半導体化合物への変換を行い、第1の温度よりも高い第2の温度で第1のp型半導体化合物前駆体から第1のp型半導体化合物への変換を行うことができる。
第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程は、第2の層を形成した後に行う。例えば、第2の層を形成した後、別の層を形成する前に行ってもよいし、第2の層上に例えばバッファ層又は電極のような他の層を形成した後に行ってもよい。特に、バッファ層を形成した後に、第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換することは、より高い変換効率を有する光電変換素子を得られることができるために好ましい。これは、加熱の際に上部にバッファ層が存在することで、加熱による物理的構造変化により第1の層及び第2の層が劣化することが抑えられるためである。すなわち、バッファ層が無い場合、加熱の際に、第1の層及び第2の層内で有機物が基板とは逆側へと動くことにより、膜の面内に欠陥ができ、リーク電流が増えたり、フィルファクター(FF)が下がったりすることがある。しかしながら、上部にバッファ層が有る場合、基板とは逆側へと有機物が移動する物理的構造変化が抑制されるため、欠陥が出来にくくなる。
加熱する場合の加熱温度としては、変換反応が起きるのであれば特に制限されないが、通常100℃以上、好ましくは150℃以上である。上限は任意であるが、化合物の分解を防ぐ観点から、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。
加熱する場合の加熱時間としては、変換反応が十分に進むのであれば特に制限されないが、通常10秒以上、好ましくは30秒以上である。また、活性層に対する損傷を防ぐ観点から、通常100時間以下、好ましくは50時間以下である。
電磁波を照射する場合、照射する電磁波としては、紫外線、可視光又はマイクロ波、等が挙げられる。これらの中でも、活性層中に含まれる物質の熱伝導率に依存せず、短時間で均一な加熱が行える点から、マイクロ波照射が好ましく用いられる。マイクロ波を照射する場合、強度(周波数)は0.4GHz以上であることが好ましく、41GHz以下であることが好ましい。照射時間としては、変換反応が十分に進むのであれば特に制限されないが、通常10秒以上、好ましくは60秒以上である。また、活性層に対する損傷を防ぐ観点から、通常10時間以下、好ましくは1時間以下である。
変換工程において、又は変換工程の前後に、第1の層及び/又は第2の層に物理構造変化を生じさせることが好ましい。本明細書中、「物理構造変化」とは、アモルファス状態、ガラス状態、及び結晶状態の間での変化のような相変化;会合状態、クラスター状態、又は凝集状態変化のような集合状態変化;結晶化度の変化のような結晶状態変化;2成分の分離状態の変化のような相分離状態変化等が挙げられる。これらの物理構造変化の状態は、物理構造変化の前後の状態に応じて、X線散乱、X線回折、光吸収、光学顕微鏡観察又は電子顕微鏡観察等の手法により確認することができる。また、示差熱分析等により物理構造変化の発生する条件を把握した上で、この条件を適用することによっても間接的に確認できる。さらに物理構造変化は、キャリア移動度、電子親和力、又は仕事関数のような物性を測定することによっても確認しうる。
物理構造変化は例えば、第1の層及び/又は第2の層を加熱し若しくは電磁波を照射し、又はその両方を行うことにより生じさせることができる。通常は、第1の層及び第2の層を加熱し若しくは電磁波を照射し、又はその両方を行う。この操作により、第1の層及び第2の層のうち、少なくとも一部に物理構造変化を生じさせ、光吸収及びキャリア運搬のためにより適した物理構造を得ることができる。
第1の層の物理構造変化は、第2の層の物理構造変化よりも後に起きることが好ましい。第2の層に物理構造変化が生じた後に第1の層に物理構造変化が生じることにより、第1の層から得られるi層105に好適な電荷輸送経路が生じることが期待される。第1のp型半導体化合物と第2のp型半導体化合物とが異なる場合、第1の層の物理構造変化が、第2の層の物理構造変化よりも後に起きるように、第1のp型半導体化合物と第2のp型半導体化合物とを選択することにより、このことは実現しうる。また、第1の層の物理構造変化が、第2の層の物理構造変化よりも遅い速度で起きるように、第1のp型半導体化合物と第2のp型半導体化合物とを選択することによっても、このことは実現しうる。
第1のp型半導体化合物前駆体から第1のp型半導体化合物への変換、及び/又は第2のp型半導体化合物前駆体から第2のp型半導体化合物への変換と、第1の層及び/又は第2の層の物理構造変化とが、異なる温度で行われてもよい。例えば、第1の温度で変換反応を行った後に、第1の温度よりも高い第2の温度で物理構造変化を生じさせてもよい。
さらに、第1のp型半導体化合物前駆体から第1のp型半導体化合物への変換が、第2の層の物理構造変化よりも後に起きることもまた好ましい。
第1の層内の第1のp型半導体化合物前駆体から第1のp型半導体化合物への変換と、第1の層及び/又は第2の層における物理構造変化と、の少なくとも一方が生じることにより、第1の層及び/又は第2の層の透過スペクトルは変化する。このため、前駆体からの変換及び/又は物理構造変化が生じていることは、透過スペクトルを測定することにより確認することができる。透過スペクトルを測定した際に、透過スペクトルに変化があった場合に、前駆体からの変換及び/又は物理構造変化が生じていると判定できる。具体的な判定方法として、690nmの光の透過率が10%以上変化した場合に、透過スペクトルに変化があったものと判定することができる。測定に用いるサンプルは、スピンコート法によりガラス基板上に30nm以上の厚さの層を形成することにより作製できる。透過スペクトルは、分光光度計を用いて測定することができる。
<1.2 カソード(103)>
カソード103は、電子を捕集する電極である。カソード103は、活性層109での電荷分離により生じた電子を受け取る役割を持つ。カソード103の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。効率よく電子収集を行なうためには、カソード103の材料として、隣接する層と接触性のよい金属を用いることが好ましい。
カソード103の材料の好適な例を挙げると、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金が用いられる。また、カソード103を透明電極として形成する場合、カソード103の材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜等が挙げられる。
電子の捕集効率を向上させる観点からは、カソード103の材料としては小さい仕事関数を有する材料を用いることが好ましく、このような材料としては例えばアルミニウム等が挙げられる。また、カソード103の活性層109側に、例えばLiF、MgF、LiO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、光電変換素子101の効率を向上させる有効な方法である。
カソード103の厚さに制限はない。ただし、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下とすることが好ましい。カソード103が厚すぎると、製造に時間がかかったりコストが高くなったりする可能性がある。また、薄すぎると直列抵抗が大きくなり光電変換効率が低下する可能性がある。
カソード103が光電変換素子101の受光面側に位置する場合、カソード103は透明性を有することが好ましく、具体的にはカソード103を透過する可視光(波長360〜830nm)の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上であることが好ましい。
カソード103の形成方法に制限はない。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができる。また、カソード103は、2層以上の積層構造を有してもよく、表面処理により特性(電気特性やぬれ特性等)が改良されていてもよい。カソード103の材料としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1.3 アノード(108)>
アノード108は、正孔を捕集する電極である。アノード108は、活性層109で電荷分離により生じた正孔を受け取る役割持つ。アノード108の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。効率よく正孔収集を行なうためには、アノード108の材料として、隣接する層と接触性のよい金属を用いることが好ましい。
アノード108の材料として好適なものを挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化スズ等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料等が挙げられる。その中でもアノード108の材料として好適な例を挙げると、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化物等が挙げられる。
また、アノード108を透明電極として形成する場合、その材料の好適な例としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜等が挙げられる。
正孔の捕集効率を向上させる観点からは、アノード108の材料としては大きい仕事関数を有する材料を用いることが好ましく、このような材料としては例えば金、ITO等が挙げられる。
アノード108が光電変換素子101の受光面側に位置する場合、アノード108は透明性を有することが好ましく、具体的にはアノード108を透過する可視光(波長360〜830nm)の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上であることが好ましい。
アノード108の厚さに制限はない。ただし、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下とすることが好ましい。アノード108が厚すぎると、製造に時間がかかったりコストが高くなったりする可能性がある。また、薄すぎると直列抵抗が大きくなり光電変換効率が低下する可能性がある。
アノード108の形成方法に制限はない。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができる。また、アノード108は、2層以上の積層構造を有してもよく、表面処理により特性(電気特性やぬれ特性等)が改良されていてもよい。アノード108の材料としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1.4 基板(102)>
基板102は光電変換素子101の支持体となるものであり、基板102上に、カソード103、活性層109、及びアノード108が設けられる。また、必要に応じて、基板102上には、バッファ層104、及びバッファ層107が設けられる。
基板102の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。中でも、ガラス;ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の合成樹脂が好ましい。なお、基板材料としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
基板材料として合成樹脂を用いる場合には、ガスバリア性に留意することが好ましい。基板102のガスバリア性が低すぎると、基板102を通過する外気により光電変換素子101が劣化する可能性がある。このため、合成樹脂で基板102を形成する場合、基板102の片側もしくは両側に、ガスバリア性を有する層(ガスバリア層)を形成することが好ましい。このガスバリア層としては、例えば、緻密なシリコン酸化膜等が挙げられる。別の方法としては、後述するように、ガスバリアフィルムで光電変換素子101をラミネートする方法も挙げられる。
基板102が光電変換素子101の受光面側に位置する場合、基板102は透明性を有することが好ましく、具体的には基板102を透過する可視光(波長360〜830nm)の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上であることが好ましい。
基板102の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状でありうる。基板102の厚さには制限はないが、通常5μm以上、中でも20μm以上、また、通常20mm以下、中でも10mm以下であることが好ましい。基板102が薄すぎると光電変換素子101を保持する強度が不足する可能性があり、厚すぎるとコストが高くなったり、重量が重くなりすぎたりする可能性がある。
<1.5 バッファ層(104)>
バッファ層(電子取り出し層)104は、活性層109で生成した電子をカソード103へと輸送する。また、バッファ層104は、活性層109で生成した励起子(エキシトン)がカソード103により消光されるのを防ぎうる。これらの観点から、バッファ層104の材料は、活性層のp型半導体材料及びn型半導体材料が有する光学的ギャップより大きい光学的ギャップを有することが好ましい。
このような観点から、バッファ層104の材料の好適な例を挙げると、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、ホスフィンオキシド化合物、ホスフィンスルフィド化合物等の電子輸送性を示す有機化合物;酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、又は酸化インジウム等の金属酸化物等が挙げられる。なお、バッファ層104の材料として、1種の材料を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
バッファ層104が光電変換素子101の受光面側に位置する場合、バッファ層104は透明性を有することが好ましく、具体的にはバッファ層104を透過する可視光(波長360〜830nm)の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上であることが好ましい。
バッファ層104の形成方法に制限はないが、例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式塗布法等により形成することができる。
バッファ層104の厚さに制限はないが、通常2nm以上、中でも5nm以上、また、通常400nm以下、中でも300nm以下とすることが好ましい。バッファ層104をこのような範囲の厚さとすることにより、直列抵抗の増大を抑えることができ、膜の均一性を保つことができる。
<1.6 バッファ層(107)>
バッファ層(正孔取り出し層)107は、活性層109で生成した正孔をアノード108へと輸送する。正孔の輸送効率を向上させる観点から、バッファ層107の材料が有することが好ましい性質としては、正孔移動度が高いこと、導電率が高いこと、バッファ層107からアノード108への正孔注入障壁が小さいこと、活性層109からバッファ層107への正孔注入障壁が小さいこと、なとが挙げられる。
このような観点から、好適なバッファ層107の材料としては、ポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は、中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。その具体例を挙げると、29H,31H−フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;等が挙げられる。
また、その他のバッファ層107の材料の例としては、正孔輸送性高分子にドーパントを混合したものが挙げられる。正孔輸送性高分子の例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。一方、ドーパントの例としては、ヨウ素;ポリ(スチレンスルホン酸)、カンファースルホン酸等のブレンステッド酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;等が挙げられる。このようなバッファ層107の材料の具体例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)等が挙げられる。
バッファ層107の材料のさらなる例としては、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、酸化ニッケル(NiO)、酸化モリブデン(MoO)、又は酸化タングステン(WO)が挙げられる。
また、光電変換素子101の製造コストの抑制、大面積化等を実現するためには、バッファ層107の材料は有機材料であることが好ましい。バッファ層107の材料としては、1種の材料を単独で用いてもよく、2種以上の材料を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
バッファ層107が光電変換素子101の受光面側に位置する場合、バッファ層107は透明性を有することが好ましく、具体的にはバッファ層107を透過する可視光(波長360〜830nm)の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上であることが好ましい。
バッファ層107の厚さに制限はないが、通常3nm以上、中でも10nm以上、また、通常200nm以下、中でも100nm以下とすることが好ましい。バッファ層107が厚すぎると光の透過率が低下したり、直列抵抗が増大したりする可能性があり、薄すぎると不均一な膜となる可能性がある。
<1.7 光電変換素子の製造方法>
本実施形態に係る光電変換素子101は、上述の各層を順次形成することにより製造することができる。具体的には、以下のように光電変換素子101を作製することができる。まず、基板102を用意し、その上にカソード103を上述のように形成する。次いで、カソード103上に、バッファ層104を上述のように形成する。さらに、バッファ層104上に、活性層109を上述のように形成する。
活性層109の形成後、バッファ層107を上述のように形成する。その後、バッファ層107上にアノード108を形成する。以上の工程により、本実施形態に係る光電変換素子101を製造することができる。
<1.8 光電変換素子の性能>
本実施形態に係る光電変換素子101が発揮する光電変換特性の具体的な値は任意である。ただし、具体的な指標としては、以下の指標のうち少なくとも1つ、中でも全てを満たすことが好ましい。
即ち、本実施形態に係る光電変換素子101において、開放電圧(Voc)は、通常0.3V以上、好ましくは0.4V以上、より好ましくは0.5V以上である。なお、上限に制限はない。
本実施形態に係る光電変換素子101において、短絡電流密度(Jsc)は、通常1mA/cm以上、好ましくは3mA/cm以上、より好ましくは5mA/cm以上である。なお、上限に制限はない。
本実施形態に係る光電変換素子101において、エネルギー変換効率(PCE)は、通常0.5%以上、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上である。なお、上限に制限はない。
本実施形態に係る光電変換素子101において、形状因子(FF)は、通常0.3以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上である。なお、上限に制限はない。
これらの開放電圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、エネルギー変換効率(PCE)、及び形状因子(FF)は、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で光電変換素子101に照射して、電圧−電流特性を測定することにより算出することができる。
<1.9 その他>
上述した光電変換素子101の受光面は、カソード103側であってもアノード108側であってもよい。また、上述した光電変換素子101の各層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した構成材料以外の成分を、1種又は2種以上含有していてもよい。
本発明に係る光電変換素子の構成は、上述した実施形態には限られない。例えば、アノード108上にさらに基板を形成してもよい。また、バッファ層104とバッファ層107との少なくとも一方が存在しなくてもよい。
また、上述の実施形態において活性層109は、i層105と、p型半導体層106とによって構成された。別の実施形態において活性層109は、n型半導体層110と、i層105と、p型半導体層106との積層構造を有していてもよい。n型半導体層110はn型半導体化合物を含む層である。n型半導体層110が含むn型半導体化合物は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば第1の層が含むn型半導体化合物として例示したものでありうる。このような活性層109は、例えば、n型半導体層110を塗布法又は蒸着法等によって形成した後、n型半導体層110上に上述の方法でi層105及びp型半導体層106を形成することにより、作製することができる。
さらに、光電変換素子101は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した基板102、カソード103、バッファ層104、活性層109、バッファ層107、及びアノード108以外の層や構成要素を備えていてもよい。具体例としては、アノード108を覆うように、保護層(図示せず)が形成されていてもよい。
保護層とは、例えば、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンポリビニルアルコール共重合体、等のポリマー膜;酸化ケイ素、酸化アルミニウム等無機酸化膜や窒化膜;あるいはこれらの積層膜等により構成することができる。なお、これらの保護層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<2.本発明に係る太陽電池>
本発明に係る光電変換素子101は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[2.1 耐候性保護フィルム(1)]
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び/又は機械強度等の、薄膜太陽電池14の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム1も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム1の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
耐候性保護フィルム1を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子6を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコン系樹脂又はポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム1は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、耐候性保護フィルム1は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上200μm以下である。
また耐候性保護フィルム1には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及び/又はプラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池14の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
[2.2 紫外線カットフィルム(2)]
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池14の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3、9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム2に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、下限に制限はない。また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム2も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム2の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
また、紫外線カットフィルム2は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうるものが好ましい。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系又はエステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系のものを用いることができる。なお、紫外線吸収剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。前記したように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラスティック株式会社)等が挙げられる。なお、紫外線カットフィルム2は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、紫外線カットフィルム2は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の受光面6aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子6の受光面6aの全てを覆う位置に設ける。ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
[2.3 ガスバリアフィルム(3)]
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。ガスバリアフィルム3で太陽電池素子6を被覆することにより、太陽電池素子6を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリアフィルム3に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム3の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ガスバリアフィルム3の具体的な構成は、太陽電池素子6を水から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム3を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なガスバリアフィルム3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムにSiOを真空蒸着したフィルム等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム3の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6を被覆して湿気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム3が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子6の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[2.4 ゲッター材フィルム(4)]
ゲッター材フィルム4は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び/又は酸素から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。ここで、ゲッター材フィルム4は前記のようなガスバリアフィルム3とは異なり、水分の透過を妨げるものではなく、水分を吸収するものである。水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム3等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム4が捕捉して水分による太陽電池素子6への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム4の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm以下である。また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム3及び9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できる。
さらに、ゲッター材フィルム4は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム4も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム4の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ゲッター材フィルム4を構成する材料は、水分及び/又は酸素を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr又はBa等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO又はBaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム又は酸化鉄等が挙げられる。またFe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4、8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3、9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[2.5 封止材(5)]
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池14の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材5以外の耐候性保護フィルム1やバックシート10の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池14全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
封止材5の厚みは特に規定されないが、通常2μm以上通常700μm以下である。
封止材5の基板に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池モジュールを廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さはJIS K6854に準拠する方法により測定する。
封止材5の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機・無機の太陽電池の封止、有機・無機のLED素子の封止、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料を用いる事ができる。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂組成物及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは例えば、紫外線、可視光、電子線等で硬化する樹脂のことである。より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物、炭化水素系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、又はシリコン系樹脂組成物等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等の特性が発現する。
また、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、封止材5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材5の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
封止材5中の封止材用構成材料の密度は、0.80g/cm以上が好ましく、上限に制限はない。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112に準拠する方法によって実施することができる。
封止材5を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子6を挟み込むように設ける。太陽電池素子6を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子6の正面及び背面にそれぞれ封止材5及び封止材7を設けるようにしている。
[2.6 太陽電池素子(6)]
太陽電池素子6は、前述の光電変換素子101と同様である。
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池14一個につき一個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子6を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子6同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子6から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため通常は太陽電池素子は直列に接続される。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池14の発電量を増加させるためである。
[2.7 封止材(7)]
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材7と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.8 ゲッター材フィルム(8)]
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.9 ガスバリアフィルム(9)]
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.10 バックシート(10)]
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.11 寸法等]
本実施形態の薄膜太陽電池14は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池14を形成することにより、薄膜太陽電池14を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池14は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため更に多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管等流通面でも好ましい。更に、膜状であるためロール・トゥ・ロール式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池14の具体的な寸法に制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上3000μm以下である。
[2.12 製造方法]
本実施形態の薄膜太陽電池14の製造方法に制限は無いが、例えば、図2の形態の太陽電池製造方法としては、図2に示される積層体を作成した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減される点で好ましい。
図2に示される積層体作成は周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート、サーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート、サーマルラミネートが好ましく、さらに、ホットメルトラミネート、サーマルラミネートがシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材5、7がはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子6を直列又は並列接続したものも上記と同様にして、製造することができる。
[2.13 用途]
本発明の太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明の薄膜太陽電池を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等である。
本発明の太陽電池、特には薄膜太陽電池はそのまま用いても、基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
基材12は太陽電池素子6を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア及びチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート及びポリノルボルネン等の有機材料;紙及び合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン及びアルミニウム等の金属;ステンレス、チタン及びアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。
なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これら有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。基材12の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)等が挙げられる。
基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。この太陽電池パネルは、建物の外壁等に設置することができる。
<合成例1:ビシクロポルフィリン化合物CP−1の合成>
ポルフィリン化合物CP−1(1,4,8,11,15,18,22,25−オクタヒドロ−1,4:8,11:15,18:22,25−テトラエタノ−29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィリン)の合成は、特開2003−304014号に記載の方法を参考にして行った。
<合成例2:フラーレン化合物1(SIMEF2)の合成>
フラーレン誘導体化合物SIMEF2の合成は、特開2011−098906号に記載の方法を参考にして行った。
<合成例3:ベンゾポルフィリン化合物BP−1の合成>
合成例1で合成したビシクロポルフィリン化合物CP−1を窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱変換することで、ベンゾポルフィリン化合物BP−1を得た。
[実施例1:本発明に係る光電変換素子の作製と評価]
(電子取り出し層の形成)
酸化亜鉛(ZnO)のナノ粒子分散液(カタログナンバー721107、アドルリッチ社製)を、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA,東京化成工業社製)により6倍に希釈した分散液を調製した。次に、窒素雰囲気下で、酸化インジウムスズ(ITO)の透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)の上に、得られた分散液を1mL滴下し、スピンコーター(ミカサ社製,MS−A100)を用いて5000rpm、30秒間の条件でスピンコートすることでバッファ層(電子取り出し層)を形成した。電子取り出し層の膜厚は180nmであった。
(第1の層の形成)
合成例1で合成したビシクロポルフィリン化合物CP−1を0.60重量%含み、さらに合成例2で合成したフラーレン化合物1(SIMEF2)を1.6重量%含む、クロロホルム/クロロベンゼン=1/1(重量比)溶液を調製した。次に調製した溶液を0.20μmのメンブレンフィルタでろ過し、窒素雰囲気下で、得られたろ液400μLを電子取り出し層上に1500rpm、30秒間の条件でスピンコートし、第1の層を形成した。第1の層の膜厚は170nmであった。
(第2の層の形成)
真空蒸着装置内に、第1の層を形成した基板を入れた。真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに、合成例3で合成したベンゾポルフィリン化合物BP−1を入れ、加熱して、第1の層上に膜厚50nmになるまで蒸着した。こうして、第1の層上に第2の層を形成した。
(基板の加熱)
第2の層が形成された基板を窒素雰囲気下180度で20分間加熱処理した。この加熱処理により、第2の層に含まれるベンゾポルフィリン化合物BP−1の結晶構造は、良好な半導体特性を持った結晶構造へと変化する。また、第1の層中のビシクロポルフィリン化合物CP−1は、加熱処理によってp型半導体化合物であるベンゾポルフィリン化合物BP−1へと変化する。こうして第1の層中に生成したベンゾポルフィリン化合物BP−1の結晶構造は、第2の層中のベンゾポルフィリン化合物BP−1の結晶構造が変化するのと同時に、あるいはこれに続けて、良好な半導体特性を持った結晶構造へと変化する。以上の処理により、第1の層と第2の層とから、220nm程度の厚さの活性層を得た。
図4に、上記加熱処理の前後における積層体の透過スペクトルを示す。図4は、実施例1に記載の方法によりガラス基板上に酸化インジウムスズ(ITO)の透明導電膜、電子取り出し層、第一の層及び第二の層を形成した積層体についての、加熱処理の前後における積層体の透過スペクトルを示す。この透過スペクトルは、分光光度計(オーシャンオプティクス社製 USB4000)を用いて測定した。690nmの光の透過率は、加熱前には68%であったのに対し、加熱後は13%であった。このことから、第1の層に含まれるp型半導体化合物前駆体がp型半導体化合物へと変換され、第1の層及び/又は第2の層において構造変化が生じたことがわかる。
(正孔取り出し層の形成)
真空蒸着装置内に、活性層を形成した基板を入れた。真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに三酸化モリブデン(MoO)を入れ、加熱して、活性層上に膜厚20nmになるまで蒸着した。こうして、活性層上にバッファ層(正孔取り出し層)を形成した。
(電極の形成と加熱)
次いで正孔取り出し層上に、真空蒸着により、電極層として銀を厚さ80nmとなるように成膜した。最後に得られた積層体を窒素雰囲気下、120度で5分間加熱することで5mm角の光電変換素子を作製した。
(光電変換素子の評価)
このようにして作製した光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。
表1に、電流−電圧特性から算出した光電変換素子の開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、及び光電変換効率(PCE)を示す。本発明に係る光電変換素子によれば、高い変換効率が得られることが分かる。
[実施例2:本発明に係る光電変換素子の作製と評価、及び大気安定性の評価]
第1の層の形成において、ビシクロポルフィリン化合物として0.6重量%の化合物CP−1と、フラーレン化合物として1.0重量%の化合物PCBNB(QM)と、を含む溶液を用いて、基板の加熱を210度で20分間行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で光電変換素子を作製した。フラーレン化合物PCBNB(QM)は、特開2011−222957号公報に記載のPCBM(QM)の合成方法において、PCBMの代わりにPCBNB(フェニルC61酪酸n−ブチルエステル,フロンティアカーボン社製 E200)を用いたこと以外は同様の方法で、α,α’−ジブロモ−o−キシレンとの反応により作製した。
このように作製した光電変換素子について、実施例1と同様に電流−電圧特性を測定した。また、このように作製した光電変換素子を大気に暴露し(3日間及び13日間)、再び窒素雰囲気下に戻した後、実施例1と同様に電流−電圧特性を測定した。得られた特性を表1に示す。
[実施例3:本発明に係る光電変換素子の作製と評価]
基板の加熱を、三酸化モリブデンの蒸着前(正孔取り出し層の形成前)ではなく、正孔取り出し層の形成後に行ったこと、及び加熱条件を230℃で20分間に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で光電変換素子を作製した。このように作製した光電変換素子について、実施例1と同様に電流−電圧特性を測定した。得られた特性を表1に示す。
[比較例1]
ITO電極がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)上に、正孔取り出し層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液(エイチ・シー・スタルク社製 商品名「CLEVIOUSTM PVP AI4083」)をスピンコートにより塗布した後、基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間加熱した。得られた正孔取り出し層の膜厚は約30nmであった。
正孔取り出し層が形成された基板を、まず、窒素雰囲気下で、195℃で3分間加熱した。その後、クロロベンゼンとクロロホルムとを1対1で混ぜた溶媒に対して合成例1で合成したビシクロポルフィリン化合物CP−1を0.5重量%加えた溶液を、ろ過してから、上記基板上に500rpmでスピンコートすることにより塗布した。その後、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で20分加熱処理することにより、ビシクロポルフィリン化合物CP−1を、p型半導体化合物であるベンゾポルフィリン化合物BP−1へと変換した。こうして、正孔取り出し層上に約25nmのベンゾポルフィリン化合物BP−1の層を形成した。
次に、モノクロロベンゼンにフラーレン化合物C60(ind)(フロンティアカーボン社製 Q400)を1重量%溶解した液を調製してろ過した。そして、得られたろ液を、ベンゾポルフィリン化合物BP−1の層上に、窒素雰囲気下で500rpmでスピンコートし、120℃で5分間加熱処理を施した。これによって、ベンゾポルフィリン化合物BP−1の層上に、フラーレン化合物C60(ind)の層を形成した。
続いて、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに化合物POPyを入れ、加熱して、フラーレン化合物C60(ind)の層上に膜厚4.5nmになるまで蒸着した。こうして、電子取り出し層を形成した。化合物POPyとしては、特開2011−046697号公報に記載の方法で合成したものを使用した。
さらに、真空蒸着により、電子取り出し層上に厚さ80nmのアルミニウム電極を形成した。その後、得られた積層体を180℃のホットプレートで5分間加熱することにより、光電変換素子を作製した。
このように作製した光電変換素子について、実施例1と同様に電流−電圧特性を測定した。また、このように作製した光電変換素子を大気に暴露し(3日間及び10日間)、再び窒素雰囲気下に戻した後、実施例1と同様に電流−電圧特性を測定した。得られた特性を表1に示す。
比較例1において作製した光電変換素子に対して、実施例1〜3において作製した光電変換素子は高い変換効率を示した。また、比較例1で作製した光電変換素子は、大気暴露の時間が長くなるにつれて、著しく変換効率が低下した。一方で、実施例2において作製した光電変換素子では、大気暴露の時間を長くしても変換効率の低下が見られず、高い大気安定性を示すことが分かった。以上のように、本発明の方法を用いることで、高い変換効率を有し、かつ高い耐久性を有する光電変換素子を提供することができる。
また、実施例3の結果から分かるように、基板の加熱処理を正孔取り出し層の形成後に行った場合、基板の加熱処理を正孔取り出し層前に行った場合(実施例1及び2)と比較して、より変換効率の高い光電変換素子が得られた。このように、加熱処理を正孔取り出し層(バッファ層)の形成後に行うことは効果的であった。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
101 光電変換素子
102 基板
103 カソード
104 電子取り出し層
105 i層
106 p型半導体層
107 正孔取り出し層
108 アノード
109 活性層

Claims (12)

  1. 少なくとも一対の電極と活性層を有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記活性層は、
    (I)第1のp型半導体化合物前駆体及びn型半導体化合物を含有する第1の層を形成する工程と、
    (II)前記第1の層の上に、第2のp型半導体化合物又は第2のp型半導体化合物前駆体を含有する第2の層を形成する工程と、
    (III)前記第1の層内の前記第1のp型半導体化合物前駆体を第1のp型半導体化合物へと変換する工程と、
    により形成される、光電変換素子の製造方法。
  2. 前記工程(III)において、前記第1の層を加熱し若しくは電磁波を照射し、又は前記加熱と前記照射との双方を行うことを特徴とする、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 前記第2の層が前記第2のp型半導体化合物前駆体を含み、前記工程(III)において前記第2のp型半導体化合物前駆体は前記第2のp型半導体化合物に変換されることを特徴とする、請求項2に記載の光電変換素子の製造方法。
  4. 前記第1のp型半導体化合物と前記第2のp型半導体化合物とが同じ化合物であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 前記第1のp型半導体化合物及び前記第2のp型半導体化合物がポルフィリン化合物又はポルフィリン化合物の金属錯体であることを特徴とする、請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 前記第1のp型半導体化合物前駆体及び前記第2のp型半導体化合物前駆体が、それぞれ独立に、下記式(A1)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
    (式(A1)中、X及びXはそれぞれ独立して2価の芳香族基、又は置換基を有していてもよいエテニレン基であり、X及びXの少なくとも一方は2価の芳香族基であり、Z−Zは熱又は光により脱離可能な基である。)
  7. 前記第1のp型半導体化合物前駆体及び前記第2のp型半導体化合物前駆体が、それぞれ独立に、下記一般式(A3)又は(A4)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
    (式(A3)及び式(A4)中、R〜Rはそれぞれ独立して1価の有機基であり、(R,R10)、(R11,R12)、(R13,R14)及び(R15,R16)の組はそれぞれ独立して式(A5)又は式(A6)で表される基であり、式(A4)中、Mは金属原子あるいは軸配位子を有する金属原子である。)
    (式(A5)及び(A6)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R17〜R20はそれぞれ独立して1価の有機基である。)
  8. 前記n型半導体化合物がフラーレン誘導体であることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  9. 前記フラーレン誘導体のガラス転移温度が50℃以上200℃以下であることを特徴とする、請求項8に記載の光電変換素子の製造方法。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の光電変換素子の製造方法により製造されたことを特徴とする光電変換素子。
  11. 太陽電池であることを特徴とする、請求項10に記載の光電変換素子。
  12. 請求項11に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2018216679A1 (ja) * 2017-05-22 2020-03-26 国立大学法人京都大学 テトラフェニルポルフィリン誘導体

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