JP2006021409A - 積層シート、当該積層シートからなる容器、及び当該容器の製造方法 - Google Patents

積層シート、当該積層シートからなる容器、及び当該容器の製造方法 Download PDF

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徹郎 安池
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Abstract

【課題】防湿性、保形性、剛性に優れ、製造時に熱板への付着や打ち抜き時の打ち抜き部における樹脂ヒゲの発生を防止して、安定した容器の製造を行うことができる積層シート、当該シートからなる容器、及び当該容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂層2と、ホモポリプロピレン及び/またはブロックポリプロピレンからなるポリプロピレン樹脂層3を含み、ポリプロピレン樹脂層3のメルトフローレート(MFR)が12g/10分以下、厚みが15〜60μmであり、総厚みが800μm以下である積層シート1、この積層シートからなる容器10、及び、当該積層シート1の上下方面から熱板を面接触させて加熱する加熱工程と、加熱された積層シート1を熱成形して容器形状とする熱成形工程と、容器形状となった積層シート1から容器10を打ち抜く打ち抜き工程と、を含むことを特徴とする容器の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層シート、当該積層シートからなる容器、及び当該容器の製造方法に関する。
ポーションミルクやガムシロップ等を収納する容器を製造するには、一般に、樹脂シートを熱板で挟み込んで加熱し、プラグアシスト圧空成形等で容器形状に熱成形して、内容物となるポーションミルクやガムシロップ等を充填後、容器の開口部を蓋材でヒートシールした後、トリミング(打ち抜き)を行い蓋付きの容器を得るようにしている(このような製造方法を実施する装置は、「上下熱板加熱方式−熱成形−充填−シール−トリミング一貫カップ包装機」とも呼ばれている)。
このような製造方法で用いられる樹脂シートとしては、対象となる容器が1回きりの使い捨てという性格を有するため、製造コスト等を考慮して、ポリスチレン系樹脂からなる単層シートが用いられていた。このポリスチレン系樹脂からなる単層シートは、容器としての剛性があり、また熱成形性やトリミングにおける打ち抜き性にも優れているため、包装機運転時のトラブルが少なく生産性が良好なものとして、ポーションミルク等を収納する容器として適用されていた。
一方、ポリスチレン系樹脂からなる単層シートは、剛性や熱成形性には優れるものの、防湿性に劣り、水蒸気透過性が高いため、当該単層シートで成形した容器に内容物として水分の多いミルクやガムシロップ等の液状食品が充填された場合にあって、保存期間が長い場合には特に、保存中に食品中の水分が蒸発してしまって内容物が目減りしたり、内容物が容器壁面に付着して出しにくかったり、あるいは内容物が腐敗しているように見えてしまうという問題が生じていた。
このような問題を解決するために、ポリスチレン系樹脂層の中間層や外層として、防湿性能を備えたポリオレフィン樹脂層を設ける技術が提供されている。例えば、ポリスチレン系樹脂層とランダムポリプロピレン層を接着層を介して積層した多層シートや、ポリスチレン系樹脂層と高密度ポリエチレン層を接着層を介して積層した多層シートを熱成形して得られた容器が提供されていた(例えば、特許文献1)。また、他の例としては、ポリスチレン樹脂層にポリプロピレンフィルムを、エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物等の接着性樹脂層を介して接着させた積層体が開示されていた(例えば、特許文献2)。
特開2003−231515号公報 特開平9−290492号公報
しかしながら、ポリスチレン系樹脂層とポリオレフィン系樹脂とを接着層を介して積層させた多層シートを、前記したような方法を用いて容器を製造した場合にあっては、トリミング(打ち抜き)における打ち抜き性が低下したり、容器の打ち抜いた部分に細い糸状の樹脂ヒゲが残ってしまい商品性が損なわれることが多かった。加えて、熱板による接触加熱により、熱板にシートが付着したり、また、付着しないまで、付着跡が容器の表面に残り、生産性や製品特性に支障を来す場合があった。同様に、特許文献1に記載された容器を製造した場合にあっても、熱板で加熱する際にシートが熱板に付着してしまい、容器を安定して製造することができず、また、得られた容器も、表面光沢が低く、外観的にも良好なものではなかった。加えて、この多層シートは、トリミング(打ち抜き)時においては、容器の打ち抜いた部分に細い糸状のヒゲが残ってしまう等、打ち抜き性にも問題があった。
また、特許文献2に記載された積層体は、層間強度が悪く、また、かかる積層体を用いて容器を製造した場合にあっては、エチレン−酢酸ビニル共重合体が伸びてしまい、トリミング性が悪かったり、また、容器表面の光沢性も良好でない等の問題があり、改善が望まれていた。
従って、本発明の目的は、防湿性、保形性、剛性に優れ、製造時に熱板への付着や打ち抜き時の打ち抜き部における樹脂ヒゲの発生を防止して、安定した容器の製造を行うことができる積層シート、当該シートからなる容器、及び当該容器の製造方法を提供することにある。
前記した目的を達するために、本発明の積層シートは、上下方向から熱板を面接触させて加熱された後、所定の形状に熱成形される容器を構成するための積層シートであって、ポリスチレン系樹脂層と、ホモポリプロピレン及び/またはブロックポリプロピレンからなるポリプロピレン樹脂層を含み、下記の(1)〜(3)を具備することを特徴とする。
(1)ポリプロピレン樹脂層のメルトフローレート(MFR)が12g/10分以下である
(2)ポリプロピレン樹脂層の厚みが15〜60μmである
(3)総厚みが800μm以下である
この本発明の積層シートは、ポリスチレン系樹脂層と、ホモポリプロピレン及び/またはブロックポリプロピレンからなるポリプロピレン樹脂層を含み、当該ポリプロピレン樹脂層を構成するホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)、ポリプロピレン樹脂層の厚み及び積層シートの総厚みがそれぞれ特定の範囲内にあるため、この積層シートを用いて上下方向から熱板を面接触させて加熱された後、所定の形状に熱成形される容器を製造した場合であっても、熱板に積層シートが付着したりすることもなく、成形性にも優れたものとなり、生産性の良好な容器を提供可能な積層シートとなる。また、熱成形された容器を打ち抜く場合であっても、打ち抜き部に糸状の樹脂ヒゲが残ることもない。
そして、本発明の積層シートにより得られた容器も、ポリプロピレン樹脂層を備えているため、ポリスチレン系樹脂層の単層からなる容器と比較して防湿性に優れるとともに、従来のポリスチレン系樹脂層の有する保形性、剛性を備えた商品価値の高い容器となる。
また、本発明の容器の製造方法は、前記した本発明の積層シートの上下方面から熱板を面接触させて当該積層シートを加熱する加熱工程と、加熱された積層シートを熱成形して容器形状とする熱成形工程と、容器形状となった積層シートから容器を打ち抜く打ち抜き工程と、を含むことを特徴とする。
この本発明の容器の製造方法によれば、容器を製造するに際して、前記した構成の本発明の積層シートを用いているので、上下方向から熱板を面接触させて積層シートを加熱しても、積層シートが熱板に付着したり、当該付着によりシートが波打ってしまうこともなく、また、容器形状となった積層シートから容器を打ち抜いても、打ち抜きが良好に行われ、打ち抜き部に糸状の樹脂ヒゲが残ることもなく、安定して容器を製造することができる。
また、製造された容器も、前記のような製造中の積層シート熱板への付着や変形等もなく、防湿性、保形性、剛性を兼ね備えた商品価値の高い容器となる。
本発明の容器の製造方法は、積層シートの上面がポリスチレン系樹脂層、下面がポリプロピレン樹脂層となるようにして、ポリプロピレン樹脂層を加熱する下側の熱板の温度を、上側の熱板の温度より高くすることが好ましい。
この本発明によれば、容器を製造するに際し、熱板を用いて積層シートのうちポリプロピレン樹脂層側を、ポリスチレン系樹脂層側より高い温度で熱するようにしているので、
容器の成形性が向上するとともに、ポリプロピレン樹脂層に光沢を効率的に付与することができる。また、製造される容器もかかるポリプロピレン樹脂層が外側に表れるため、表面光沢に優れ、外観が良好となるとともに、ゴミや塵、ホコリが付着しにくい容器となる。
本発明の容器は、前記した本発明の積層シートからなる容器であって、内容物と接する層がポリスチレン系樹脂層であり、外側に表れる層がポリプロピレン樹脂層であることを特徴とする。
この本発明の容器によれば、容器が本発明の積層シートからなり、内容物と接する層がポリスチレン系樹脂層、外側に表れる層がポリプロピレン樹脂層となるような構成としているので、防湿性、保形性、剛性が良好であることに加え、外側に表れる層がポリプロピレン樹脂層であるため、表面光沢に優れ、外観であり、かつ、外側に表れる層をスチレン系樹脂層とした場合と比較して、ゴミや塵、ホコリが付着しにくくなり、商品価値により優れた容器となる。
本発明の容器は、前記した本発明の積層シートの上下方向から熱板を面接触させて当該積層シートを加熱し、加熱された積層シートを熱成形して容器形状として、容器形状となった積層シートから容器を打ち抜くことにより得られることが好ましく、かかる手段により製造された容器は、前記した本発明の容器の効果を、より一層好適に奏することができることとなる。
図1は、本発明の積層シート1を示した断面図である。この図1の積層シート1は、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3を基本構成として、この両層2,3が接着層4を介して積層されている。このような構成の図1の積層シート1は、上下方向から熱板を面接触させて加熱された後に、所定の形状に熱成形される容器を構成するに使用されるものである。
ポリスチレン系樹脂層2を構成するポリスチレン系樹脂としては、耐衝撃性ポリスチレン、汎用ポリスチレン等が挙げられる。また、これらのスチレン系樹脂を混合したポリスチレン系樹脂組成物を使用してもよく、あるいは、これらスチレン系樹脂やスチレン系樹脂組成物とスチレン系エラストマーとの混合物としてもよい。このうち、耐衝撃性ポリスチレンと汎用ポリスチレンとを混合したポリスチレン系樹脂組成物を使用することが好ましい。ポリスチレン系樹脂層2を構成するポリスチレン系樹脂として、耐衝撃性ポリスチレンを混合したポリスチレン系樹脂組成物を使用する場合にあっては、耐衝撃性ポリスチレンの含有量は、組成物全体に対して50〜100質量%程度とすることが好ましい。ポリスチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、一般に、1〜10g/10分が好ましく、2〜5g/10分がより好ましい。
なお、ポリスチレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠して測定すればよい(200℃、49N荷重)。
また、ポリプロピレン樹脂層3は、ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンといったポリプロピレン樹脂からなり、これらの一種を単独で使用してもよく、これらを組み合わせて使用してもよい。ポリプロピレン樹脂のうちホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンは、融点が160℃付近であることもあって、積層シート1に対して例えば140〜170℃、好ましくは140〜165℃の熱板を接触させることによりシートを加熱して容器を熱成形する手段を用いる本発明にあっては、熱板に接して加熱した際にも熱板にシート1が付着しにくくなり、また、容器の外側の層となるポリプロピレン樹脂層3の表面に良好な光沢感を与えることができる。
ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、12g/10分以下であり、9g/10分以下であることが好ましい。MFRが12g/10分より大きいと、ポリプロピレン樹脂としてホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンを使用しても、容器の成形の際に加熱した熱板に付着しやすくなるため、生産性が悪くなる。また、成形された容器も、その表面には光沢がなく、商品価値が低くなる。
なお、前記したポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠して測定すればよい(230℃、21.2N荷重)。
また、積層シート1において、ポリプロピレン樹脂層3の厚みは、15〜60μmであり、20〜40μmであることが好ましい。ポリプロピレン樹脂層3の厚みが15μmより小さいと、ポリプロピレン樹脂層3が薄すぎてしまい、ポリプロピレン樹脂が備える防湿性が積層シート1ないしは当該シート1により成形される容器に十分に付与されないこととなる。一方、ポリプロピレン樹脂層3の厚みが60μmを超えると、ポリプロピレン樹脂層3が厚すぎてしまい、製造される容器の剛性が悪くなるとともに、打ち抜き時に打ち抜いた部分に糸状の抜きヒゲが発生しやすくなるため、容器の安定した生産が困難となり、また、商品外観も悪くなる。
更には、積層シート1全体の厚み(総厚み)は、800μm以下であり、200〜800μmであることが好ましく、400〜600μmであることが特に好ましい。積層シート1の総厚みが800μmを超えると、シート1が厚すぎることから熱板からシート1の中心部に熱が伝わりにくくなり、当該中心部の昇温速度が遅くなるため、熱板の温度を上げるか、加熱時間を長くせざるを得ず、シート1の表面を加熱しすぎて、熱板にシート1が付着してしまい、生産性が悪くなる。加えて、熱板に積層シート1が付着するため、成形される容器の表面光沢がなくなり、外観が悪くなってしまう。
なお、積層シート1の総厚みが200μmより小さいと、熱板への圧着にムラができ、成形不良の原因となる場合がある。
このようなポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3は、層間の接着力を向上させるために、図1に示すように、接着層4を介して積層することが好ましい。接着層4を構成する材料としては、特に制限はないが、前記したスチレン系樹脂層2やポリプロピレン樹脂層3を構成する樹脂の混合物に対し、相溶化剤としてスチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)を添加した材料を用いることができる。更に、これらの材料にポリオレフィン系樹脂が含有されているものを用いてもよい。
なお、相溶化剤のガラス転移温度(T)は低い方が、低温衝撃性が良好となり好ましい。具体的には、ガラス転移温度(T)は、−60℃以下であることが好ましく、−70℃以下であることが特に好ましい。
このような相溶化剤は、接着層4の成形材料中に2〜10質量%含まれていることが好ましい。相溶化剤の含有量をかかる範囲とすることにより、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3が良好に接着され、トリミング性が損なわれること好適に防止することができる。
これらポリスチレン系樹脂層2、ポリプロピレン樹脂層3及び必要により接着層4を積層した積層シート1は、前記した樹脂を用いて、共押出成形やラミネート加工法等の公知の積層手段により得ることができる。
ここで、共押出成形法としては、例えば、前記した3層をそれぞれ異なった押出機を用いて溶融押出し、これをフィードブロックにて積層し、フラットダイにて製膜する方法や、多層ダイを用いてダイ内にて積層し製膜する方法が挙げられる。また、ラミネート加工としては、例えばエキストルージョンラミネート、ホットメルトラミネート、ドライラミネート、ウェットラミネートなどの方法を用いることができる。
なお、図1の構成の積層シート1は、このようにポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3を備えることにより、容器を構成した場合にあっては、ポリスチレン系樹脂層2が、成形される容器に高い剛性、優れた保形性を付与し、また、防湿性の良好なポリプロピレン樹脂層3により、ポリスチレン系樹脂層の単層からなる容器と比較して防湿性に優れた、商品価値の高い容器を好適に提供することができる。
更には、積層シート1を用いて容器を製造した場合にあっては、上下方向から熱板を面接触させて積層シート1を加熱しても、積層シート1が熱板に付着したり、この付着によりシートが波打ってしまうこともなく、また、容器形状となった積層シート1から容器を打ち抜いても、打ち抜きが良好に行われ、打ち抜き部に糸状の樹脂ヒゲが残ることもなく、容器を安定して製造することができる。
図2は、図1の積層シート1を用いて製造される、本発明の容器である蓋付き容器10を示した図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B断面図である。
図2の蓋付き容器10は、図1の積層シートからなり、被包装物収納用の開口部13の周縁にフランジ部14が形成された容器本体11と、フランジ部14にヒートシールされて開口部13を塞ぐ円形状の蓋材20とを備える。なお、18は、ガムシロップ等の液状の内容物を示している
蓋材20は、図2に示した態様にあっては、容器本体11の開口部13のフランジ部14の形状と合わせて円形状とされており、その外周の1箇所に丸みを帯びた半楕円形状のタブ17を備えている。蓋材20の外径は、フランジ部14の外径と略同じ大きさである。また、タブ17は、開封時に把持できる程度であれば大きさには特に制限はない。
蓋材20を構成する材料としては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミニウム層/エチレン−ビニルアルコール(EVA)共重合体ホットメルト剤(接着層)等の積層体等が挙げられ、これらの材料からなら単層または積層のフィルムを蓋材として用いることができる。また、蓋材20の厚みは、特に制限はないが、30〜90μmであることが好ましく、40〜70μmであることが特に好ましい。
一方、容器本体11は、図2に示した態様にあっては、円形状の底面111と、この底面111から立ち上げて一体形成される円筒状であって、底面111に向かって縮径している側面112と、上部には円形状の開口部13と、開口部13の周縁外側に延出するリング状のフランジ部14とが一体形成されている。
なお、図2の蓋付き容器10のフランジ部14の外周方向には、タブ17に対応する位置および形状に開封開始部16が設けられているが、この開封開始部16のポリプロピレン樹脂層3側には、フランジ部14の開封開始部16の延出している方向と垂直方向に、切欠溝15が形成されているようにしてもよい。このような切欠溝15を形成した構成にすることにより、ポリプロピレン樹脂層3が容器本体11側の部分とフランジ部14側の外側の部分とが分離され、容器本体11に接着される蓋材20を好適に開封することができる。
この切欠溝15は、深さ方向に向かうに従って次第に幅狭になる断面V字形状であり、その深さは、容器本体11のポリプロピレン樹脂層3の厚みよりも大きく、接着層4にまで達している。なお、切欠溝15の断面形状は、U字形、線形、半円弧形等にしてもよい。この切欠溝15の深さは、蓋材20を剥がすときに蓋付き容器10を構成するポリプロピレン樹脂層3を容易に切断できるものであれば特に制限はなく、任意の深さとして構わない。
このような図2に示した蓋付き容器10は、図1に示した積層シート1を用いて、例えば、下記の図3の製造装置を用いて、積層シート1の上下面から熱板を接触させて当該シートを加熱し、加熱された積層シート1を熱成形して容器形状とし、当該容器形状の積層シート1に内容物を充填し、蓋材20をヒートシールした後、容器形状となった積層シート1から容器を打ち抜くことにより簡便に製造することができる。
図3は、本発明の容器の製造方法を実施する製造装置30の模式図を示している。この製造装置30は、図1の構成の積層シート1を供給する供給部31と、熱板で積層シート1を加熱する加熱部32と、積層シート1を容器形状(容器本体11の形状)に熱成形する熱成形部33と、熱成形された容器本体11に内容物を充填する充填部34と、容器本体11の上面に蓋材20をヒートシールする蓋材シール部35と、積層シート1から蓋付き容器10を打ち抜くトリミング部36(打ち抜き部36)を基本構成としている。
供給部31は、容器本体11を構成する積層シート1を送り出すためのものであり、ロール状に巻き取られた積層シート1を回転させて、進行方向(図3の矢印方向)に送り出していく。この場合、積層シート1のポリスチレン系樹脂層2が上面、ポリプロピレン樹脂層3が下面になるようにして送り出していけば、成形される容器本体11は、内容物18と接する層がポリスチレン系樹脂層2、容器本体11の外側にくる層がポリプロピレン樹脂層3となる。
加熱部32は、供給部31より送り出されてくる積層シート1を加熱して軟化状態として、次工程の熱成形部33にて積層シート1を熱成形しやすい状態とする。この加熱部32では、熱板321,322で積層シート1の上下面を挟み込んで面接触させることにより、熱板321,322の熱を積層シート1に伝導して、積層シート1を加熱、軟化させる。
また、加熱部32は、積層シート1の上側に配置される上側熱板321と、下側に配置される下側熱板322を備えて構成される。この上側熱板321及び下側熱板322は上下に移動可能であり、上側熱板321を下降、下側熱板322を上昇させることにより積層シート1と面接触して、積層シート1に対して熱を伝導する。上側熱板321及び下側熱板322には、例えば、電気加熱方式等の公知のヒーターが内蔵されることにより、温度の調整が簡便に行われる。
上側熱板321と下側熱板322の温度は、例えば140〜170℃、好ましくは140〜165℃程度に設定しておけばよく、かかる温度とすることにより、図1の構成の、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3を備えた積層シート1を効率よく加熱することができる。
なお、温度設定は、ポリプロピレン樹脂層3と接する下側熱板322を、ポリスチレン系樹脂層2を加熱する上側熱板321より高い温度として設定することが好ましい。ポリプロピレン樹脂層3と接する下側熱板322の温度を上側熱板321より高くすることにより、容器本体11の成形性が良くなるうえ、容器本体11(蓋付き容器10)の外側にくる層となるポリプロピレン樹脂層3の表面に効率的に光沢を与えることになるため、得られる容器本体11ないしは蓋付き容器10の表面光沢を良好なものとすることができる。
熱成形部33は、積層シート1の上側に配置されるプラグ331及び圧空チャンバー332と、積層シート1の下側に配置され、容器本体11の形状に対応した形状の型部333とを備えている。この熱成形部33は、加熱部32で加熱された軟化状態の積層シート1を、圧空チャンバー332で圧空状態にしながら、プラグ331と型部333で上下から挟み込んで、プラグアシスト圧空成形により容器本体11の形状を成形する。また、その際にあっては、型部333に設けられた、容器本体11の切欠溝15に対応する図示しない切り込み刃等により、容器本体11のフランジ部14の開封開始部16に切欠溝15を形成するようにしてもよい。
充填部34は、蓋付き容器10の内容物18となる種々の液体を充填する充填機341を備え、熱成形部33で容器本体11の形状に成形された積層シート1の内部に内容物18となる液体を注入して充填する。
蓋材シール部35は、蓋材20となるフィルム201を巻き付けたロール351を備えており、蓋材20となるフィルム201を、前記した充填部34により内容物18となる液体が充填された容器本体11の形状の積層シート1の上面の全面に対してヒートシール等で溶着させて貼り付ける。
このヒートシールは、蓋材シール部35に配設された、加熱されたシールバー352と受け台353によって行われる。これら352,353はいずれも上下に移動可能であり、受け台353が上昇して容器本体11の形状の積層シート1を支えた状態で、加熱されたシールバー352が蓋材20となるフィルム201を挟み込むようにして下降して、容器本体11の形状の積層シート1の上面全面にフィルム201が簡便にヒートシールされることになる。
トリミング部36(打ち抜き部36)は、容器本体11の形状となった積層シート1及び蓋材20となるフィルム201を所定の形状に打ち抜いて切り離し、これにより、積層シート1及びフィルム201から蓋付き容器10が分離される。トリミング部36(打ち抜き部36)には、打ち抜き刃361が配設されており、この打ち抜き刃361が下降して、蓋材20となっているフィルム201の上面から積層シート1を押さえつけるようにして、蓋材20がヒートシールされた容器本体11(蓋付き容器10)を好適に打ち抜くことができる。なお、このようにして蓋付き容器10が打ち抜かれた、フィルム201や積層シート1は、図示しないロール等に巻き取られていくことになる。
この製造装置30を用いて、図2に示す構成の蓋付き容器10を製造する手順の一例を説明すると、次のようになる。
まず、供給部31から積層シート1を進行方向に送り出し、加熱部32において、積層シート1の上下面から熱板321,322を面接触させ、熱板321,322の温度を積層シート1に伝導させることにより、積層シート1加熱溶融させて、軟化させる(加熱工程)。
軟化した積層シート1は、熱成形部33に送り出され、型部333の上面側に到達したところで、プラグ331を積層シート1に接近させる。この場合にあっては、プラグ331と積層シート1とで囲まれた空間は密閉状態となる。そして、積層シート1を予備成形するとともに、プラグ331の積層シート1と面する側に設けられた圧空チャンバー332により高圧空気を注入して圧空状態にしながら型部333に押しつけ、プラグアシスト圧空成形を行い、容器本体11の形状に成形される(熱成形工程)。
なお、この工程により、切欠溝15もフランジ部14の下面に形成されるようにしてもよい。
容器本体11の形状に成形された積層シート1は、充填部34に移動され、この充填部34において、充填機341から容器本体11の形状に成形された積層シート1の内部に内容物18となる所定の液体が注入・充填される(充填工程)。
内容物18として液体が内部に充填された、容器本体11の形状の積層シート1を蓋材シール部35に移動させる。蓋材シール部35では、受け台353が上昇して容器本体11の形状の積層シート1を支える一方、加熱されたシールバー352が、ロール351から送り出された蓋材20となるフィルム201を挟み込むようにして下降して、容器本体11の形状の積層シート1の上面全面にフィルム201がヒートシールされることになる(蓋材シール工程)。なお、このヒートシールは、容器本体11のフランジ部14の切欠溝15よりも外周側をヒートシールする。
そして、蓋材20となるフィルム201がヒートシールされた容器本体11の形状の積層シート1は、トリミング部36(打ち抜き部36)に移動される。トリミング部36(打ち抜き部36)に配設された打ち抜き刃361が下降して、蓋材20がヒートシールされた容器本体11(蓋付き容器10)を打ち抜き、フィルム201や積層シート1と分離されることになる(打ち抜き工程)。
このようにして得られる蓋付き容器10は、容器本体が図1の構成の積層シート1からなるため、防湿性、保形性、剛性が良好となり、また、内容物と接する層がポリスチレン系樹脂層2、外側に表れる層がポリプロピレン樹脂層3となり、特に、外側に表れる層がポリプロピレン樹脂層3であるため、表面光沢に優れた外観であり、かつ、外側に表れる層をスチレン系樹脂とした場合と比較して、ゴミや塵、ホコリが付着しにくくなり、商品価値により優れた容器(蓋付き容器10)となる。
また、図2の構成の蓋付き容器10を得るに際し、図1の構成の積層シート1の上下方面から熱板321,322を面接触させて積層シート1を加熱する加熱工程と、加熱された積層シート1を熱成形して容器本体11の形状とする熱成形工程と、容器本体11の形状となった積層シート1から容器本体11と蓋材となるフィルム201を打ち抜く打ち抜き工程とを含むように製造するが、上下方向から熱板321,322を面接触させて積層シート1を加熱しても、積層シート1が熱板に付着したり、当該付着によりシートが波打ってしまうこともない。また、容器本体11の形状となった積層シート1からフィルム201とともに蓋付き容器10を打ち抜いても、打ち抜きが良好に行われ、蓋付き容器10の打ち抜いた部分に糸状の樹脂ヒゲが残ることもなく、安定して蓋付き容器10を製造することができる。
更には、蓋付き容器10の製造に際し、積層シート1の上面がポリスチレン系樹脂層2、下面がポリプロピレン樹脂層3となるようにして、ポリプロピレン樹脂層3を加熱する下側の熱板322の温度を、上側の熱板321の温度より高くするようにすれば、容器本体11の成形性が良好となるとともに、ポリプロピレン樹脂層3に光沢を効率的に付与することができる。
また、製造される容器本体11ないし蓋付き容器10も、かかるポリプロピレン樹脂層3が外側に表れるため、表面光沢に優れ、外観が良好となるとともに、ゴミや塵、ホコリが付着しにくい。
そして、図2に示した構成の蓋付き容器10は、ポーションミルク、ガムシロップ、濃縮飲料、酢、しょうゆ、ケチャップ、サラダドレッシング等の液体を封入する包装体として好適に利用することができる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
例えば、図1に示した積層シート1は、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3が接着層4を介して積層されている構成を示したが、これには限定されず、本発明の効果、特にトリミング性を妨げない範囲で、さらに他の層を積層することができる。
この他の層としては、特に制限はないが、例えば、酸素ガスバリアー性の向上や、容器とした場合の変形を抑える目的で、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン(ポリアミド)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂層を積層することができる。
また、図1に示した積層シート1は、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3を、接着層4を介することにより接着したものであったが、例えば、ポリプロピレン樹脂層3を構成するホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンの融点があまり下がらない程度に、接着層4の構成材料として挙げた材料や、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等を当該ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンに配合させたり、または、ポリスチレン系樹脂層2を構成するポリスチレン系樹脂やポリスチレン系樹脂組成物に前記した接着層4の構成材料として挙げた材料を配合させることにより、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3との接着強度が向上する場合がある。この場合には、接着層4を省いてしまってもよい。
一方、容器の内容物に接する層(例えば、ポリスチレン系樹脂層2)に相溶化剤を配合すると、内容物の油成分に相溶化剤が溶出したり、また、ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンに無水マレイン酸変性ポリプロピレンを配合すると、ホモポリプロピレン等の融点が低下して、容器の表面光沢の向上効果を妨げてしまう場合もあるため、図1の構成のように接着層4を設けて、ポリスチレン系樹脂層2とポリプロピレン樹脂層3を接着することが好ましい。
図2に示した構成の蓋付き容器10は、図1の積層シート1からなり、円形状の底面111及び開口部13を有し、開口部13の周縁に外側に延出するリング状のフランジ部14を備えたカップ状の容器本体11と、当該フランジ部14を塞ぐタブ17付きの蓋材20からなる例を示したが、これには限定されず、例えば容器本体11はカップ状でなくトレー状であってもよい。また、蓋材20も必須でなく、容器本体11をそのまま蓋なし容器として用いてもよい。
また、図3中の熱成形部33にあっては、プラグアシスト圧空成形を用いた例を示したが、熱成形により容器の形状が成形できるのであれば、その手法は任意のものを採用して構わない。
その他、本発明の実施における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(A)積層シート1の製造:
ポリプロピレン樹脂層3、接着層4、及びポリスチレン系樹脂層2を構成する材料として下記の材料を用いて、ポリプロピレン樹脂層3の厚みが30μm、接着層4の厚みが30μm、総厚みが550μmとなるように多層共押出法を用いて積層させ(ダイ出口温度は230℃)、図1に示した構成の3層の本発明の積層シート1を製造した。
なお、メルトフローレート(MFR)は、下記の実施例及び比較例も含めて、JIS K7210に準拠して測定した(230℃、21.2N荷重、または、200℃、49N荷重)
( ポリプロピレン樹脂層3 )
ホモポリプロピレン(メルトフローレート(MFR) 8g/10分)100質量%を使用した。
( 接着層4 )
耐衝撃性ポリスチレン(MFR 3g/10分)60質量%、ホモポリプロピレン(MFR 8g/10分)及び相溶化剤としてスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(ガラス転移温度(Tg):−77℃)5質量%からなる樹脂組成物を使用した。
( ポリスチレン系樹脂層2 )
耐衝撃性ポリスチレン(出光PS HT52:出光石油化学(株)製)80質量%、汎用ポリスチレン(出光PS HH30:出光石油化学(株)製)20質量%からなるポリスチレン系樹脂組成物を使用した。
(B)蓋付き容器10の製造:
このようにして得られた積層シート1を、図3に示す製造装置30と同様な構成の容器高速熱成形充填包装機(TFA4948:ボッシュ社製)を用いて、上側、下側熱板の温度を160℃として、また、蓋材20のヒートシールを下記の条件に従うことにより、図2に示す構成の本発明の蓋付き容器10(容量 7ml)を製造した。なお、充填工程においては、内容物18として水を5ml充填するようにした。
( 蓋材20のヒートシール工程 )
蓋材20となるフィルム201:
ポリエチレンテレフタレート(PET) 12μm/アルミニウム層 9μm/エチレン−ビニルアルコール(EVA)共重合体接着層 20μm
シール条件: 210℃、30ショット/分
[実施例2]
積層シート1の総厚みを550μmから800μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、本発明の積層シート1を製造した。
そして、得られた積層シート1を、熱板の温度を160℃から165℃とした以外は、実施例1(B)と同様な方法を用いて、本発明の蓋付き容器10を製造した。
[実施例3]
ポリプロピレン樹脂層3の厚みを30μmから15μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、本発明の積層シート1を製造した。
そして、得られた積層シート1を、実施例1(B)と同様な方法を用いて、本発明の蓋付き容器10を製造した。
[実施例4]
ポリプロピレン樹脂層3の厚みを30μmから60μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、本発明の積層シート1を製造した。
そして、得られた積層シート1を、実施例1(B)と同様な方法を用いて、本発明の蓋付き容器10を製造した。
[実施例5]
メルトフローレート(MFR)が12g/10分のホモポリプロピレンを用い、積層シート1の総厚みを550μmから400μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、本発明の積層シート1を製造した。
そして、得られた積層シート1を、熱板の温度を160℃から150℃とした以外は、実施例1(B)と同様な方法を用いて、本発明の蓋付き容器10を製造した。
[比較例1](ブランク)
積層シート1の代わりとして、耐衝撃性ポリスチレン(出光PS HT52:出光石油化学(株)製)80質量%、汎用ポリスチレン(出光PS HH30:出光石油化学(株)製)20質量%からなるポリスチレン系樹脂組成物を用いたポリスチレン系樹脂層の単層シート(厚み 550μm)を押出成形法により成形し、この単層シートを、実施例1(B)と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
[比較例2]
積層シート1の総厚みを550μmから850μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、積層シートを製造した。
そして、得られた積層シートを、熱板の温度を160℃から170℃とした以外は、実施例1(B)と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
[比較例3]
ポリプロピレン樹脂層3の厚みを30μmから10μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、積層シートを製造した。
そして、得られた積層シートを、実施例1(B)と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
[比較例4]
ポリプロピレン樹脂層3の厚みを30μmから70μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、積層シートを製造した。
そして、得られた積層シートを、実施例1(B)と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
[比較例5]
メルトフローレート(MFR)が13g/10分のホモポリプロピレン(Y501N:三井住友ポリオレフィン(株)製)を用い、積層シートの総厚みを550μmから400μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、積層シートを製造した。
そして、得られた積層シートを、熱板の温度を160℃から150℃とした以外は、実施例1(B)と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
[比較例6]
ホモポリプロピレンの代わりにランダムポリプロピレン(F744NP:出光石油化学(株)製、MFR 6g/10分)を用い、積層シートの総厚みを550μmから400μmとした以外は、実施例1(A)と同様な方法を用いて、積層シートを製造した。
そして、得られた積層シートを、熱板の温度を160℃から150℃とした以外は、実施例1(B)と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
なお、前記した実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例6で用いた積層シート(比較例1はポリスチレン系樹脂の単層シート)の構成、及び蓋付き容器を製造する際における熱板の加熱温度を表1に示した。
( 積層シートの構成及び熱板の温度 )
Figure 2006021409
[試験例1]
前記した実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例6について、下記の方法により容器の製造性及び容器特性を比較・評価した。結果を表2に示す。なお、(4)容器外観、(5)容器剛性、及び(6)防湿性については、何れも比較例1の蓋付き容器(容器本体がポリスチレン系樹脂層からなるもの)をブランクとして評価した。
(1)成形性(保形性):
成形された蓋付き容器を手で摘み、容器の部位の剛性を確かめるとともに、金型形状の再現が取れているものを「良好」と判断し、再現が取れていないものを「不良」と判断した。
(2)熱板への付着:
熱板による加熱が終わり、積層シートから熱板が離れるときの熱板へのシートの上下動が認められた場合や、成形された容器外側の光沢ムラ(付着跡)が無いものを「良好」と判断し、どちらかが認められたものを「不良」と判断した。
(3)打ち抜き性:
ダイトリミング時に打ち抜けないで容器が積層シートに繋がった状態となるか、あるいは打ち抜かれた断面に糸状の樹脂ヒゲが残る状態を「不良」と判断し、これらのいずれもが認められない状態を「良好」と判断した。
(4)容器外観:
得られた蓋付き容器の側部の光沢を、比較例1で得られた蓋付き容器の光沢を目視で比較して、光沢に勝るものを「光沢良好」と判断し、同等ないし劣るものを「光沢なし」と判断した。
(5)容器剛性:
得られた蓋付き容器の側部を2方向(この2方向は直交する)から手で摘んでへこませるようにして剛性を確認し、比較例1で得られた蓋付き容器の剛性と同等のものを「良好」と判断し、劣るものを「不良」と判断した。
(6)防湿性:
5mlの水が充填された蓋付き容器を、温度23℃、湿度50%RHの環境下に10日間放置したときの容器内の水の減った量を精密天秤で測定し、この減った量が比較例1の蓋付き容器の結果の65%未満である場合を「良好」と判断し、65%以上である場合を「不良」と判断した。
そして、総合評価として、全ての項目について、「良好」(「(4)容器外観」については「光沢良好」)であるものを「○」と、そうでないものを「×」と判断した。結果を併せて表2に示す。
( 結 果 )
Figure 2006021409
表2の結果から分かるように、実施例1〜実施例5については、全ての項目について
満足のいく結果が得られた。すなわち、実施例1〜実施例5にあっては、蓋付き容器の製造時には熱板への付着や打ち抜き時の打ち抜き部における樹脂ヒゲの発生もなく、蓋付き容器を安定して製造することができ、かつ、得られた蓋付き容器は、防湿性、保形性、剛性にも優れるものであった。
一方、積層シートの厚みが800μmより厚い(850μm)比較例2は、シートを軟化させるための温度が高くなることもあり、シートが熱板に付着してしまった。また、得られた容器の表面も光沢がなく、外観も悪かった。
積層シートにおけるポリプロピレン樹脂層の厚みが15μmより薄い(10μm)比較例3は、ポリプロピレン樹脂層が薄すぎて、防湿性を向上させることができなかった。
積層シートにおけるポリプロピレン樹脂層の厚みが60μmより厚い(70μm)比較例4は、トリミング性(打ち抜き性)が悪く、蓋付き容器の打ち抜き断面に糸状の樹脂ヒゲが残ってしまうほか、シート全体に対するポリプロピレン樹脂層の割合が高いため、剛性も良くなかった。
また、ポリプロピレン樹脂層を構成するポリプロピレン樹脂として、メルトフローレート(MFR)が12g/10分より大きい(13g/10分)ホモポリプロピレンを用いた比較例5は、シートが熱板に付着してしまった。また、得られた蓋付き容器の表面も光沢がなく、外観も悪かった。
ポリプロピレン樹脂層を構成するポリプロピレン樹脂として、ランダムポリプロピレンを用いた比較例6は、シートが熱板に付着し、得られた蓋付き容器の表面も光沢がなく、外観も悪く、かつ、トリミング性(打ち抜き性)も悪かった。
従って、本発明の要件を具備しない積層シートを用いた比較例2〜比較例6は、いずれも全ての項目を具備することはできず、実施例1〜実施例6に対して劣るものであった。
[試験例2]
容器に対するゴミ等の付着の確認:
前記した実施例1及び比較例1において、内容物である水を充填しない以外は、実施例1及び比較例1と同様な方法を用いて、蓋付き容器を製造した。
この容器を、倉庫内に30日間静置した。静置後、両容器の外観を観察してゴミや塵の付着を確認したところ、実施例1により得られた容器には、空気中の微細なゴミや塵の付着は殆ど見られなかった。一方、比較例1で得られた容器には、微細なゴミや塵が付着しており汚れていた。このように、実施例1により得られた容器は、ポリスチレン系樹脂の単層からなる比較例1により得られた容器と比較して、空気中の微細なゴミや塵の付着を防止できることが確認できた。
本発明は、例えば、ポーションミルク、ガムシロップ、濃縮飲料、酢、しょうゆ、ケチャップ、サラダドレッシング等の液体を収納する容器を構成する積層シート、容器及び当該容器の製造方法として広く利用することができる。
本発明の積層シートの断面図である。 本発明の容器の製造方法で製造された容器の一態様を示した図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B断面図である。 本発明の容器の製造方法を実施する製造装置の一態様を示した模式図である。
符号の説明
1 … 積層シート
2 … ポリスチレン系樹脂層
3 … ポリプロピレン樹脂層
4 … 接着層
10 … 容器(蓋付き容器)
11 … 容器本体
20 … 蓋材
30 … 製造装置

Claims (5)

  1. 上下方向から熱板を面接触させて加熱された後、所定の形状に熱成形される容器を構成するための積層シートであって、
    ポリスチレン系樹脂層と、ホモポリプロピレン及び/またはブロックポリプロピレンからなるポリプロピレン樹脂層を含み、下記の(1)〜(3)を具備することを特徴とする積層シート。
    (1)ポリプロピレン樹脂層のメルトフローレート(MFR)が12g/10分以下である
    (2)ポリプロピレン樹脂層の厚みが15〜60μmである
    (3)総厚みが800μm以下である
  2. 請求項1に記載の積層シートの上下方面から熱板を面接触させて当該積層シートを加熱する加熱工程と、
    加熱された積層シートを熱成形して容器形状とする熱成形工程と、
    容器形状となった積層シートから容器を打ち抜く打ち抜き工程と、
    を含むことを特徴とする容器の製造方法。
  3. 請求項2に記載の容器の製造方法において、
    積層シートの上面がポリスチレン系樹脂層、下面がポリプロピレン樹脂層となるようにして、
    ポリプロピレン樹脂層を加熱する下側の熱板の温度を、上側の熱板の温度より高くすることを特徴とする容器の製造方法。
  4. 請求項1に記載の積層シートからなる容器であって、
    内容物と接する層がポリスチレン系樹脂層であり、
    外側に表れる層がポリプロピレン樹脂層であることを特徴とする容器。
  5. 請求項4に記載の容器において、
    請求項1に記載の積層シートの上下方向から熱板を面接触させて当該積層シートを加熱し、加熱された積層シートを熱成形して容器形状として、容器形状となった積層シートから容器を打ち抜くことにより得られることを特徴とする容器。
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