以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した第1実施形態の液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、いわゆるフラットディスプレイの製造ラインに組み込まれるものであり、機能液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出法により、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成する。
図1および図2に示すように、液滴吐出装置1は、機台2と、機台2上の全域に広く載置され、機能液滴吐出ヘッド61を有する描画装置3と、描画装置3に添設するように機台2上に載置したヘッド保守装置4と、を備えている。また、液滴吐出装置1には、図外の制御装置5が設けられており、制御装置5による制御に基づいて、描画装置3がワークWに対する描画動作を行うと共に、機能液滴吐出ヘッド61に対して、ヘッド保守装置4が適宜保守動作(メンテナンス)を行うようになっている。
描画装置3は、主走査方向(X軸方向)に延在するX軸テーブル21およびX軸テーブル21に直交するY軸テーブル31から成るX・Y移動機構11と、Y軸テーブル31に移動自在に取り付けられたメインキャリッジ12と、メインキャリッジ12に支持され、複数の機能液滴吐出ヘッド61を搭載した吐出ヘッド装置13と、を有している。
X軸テーブル21は、X軸方向の駆動系を構成するX軸モータ(図示省略)駆動のX軸スライダ22に、ワークWをセットするセットテーブル23を移動自在に搭載して構成されている。セットテーブル23は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル24、および吸着テーブル24にセットしたワークWの位置をθ軸方向に補正するθテーブル25等を有している。Y軸テーブル31は、X軸テーブル21と略同様に構成されており、Y軸方向の駆動系を構成するY軸モータ(図示省略)駆動のY軸スライダ32を有し、これに吐出ヘッド装置13を支持するメインキャリッジ12をY軸方向に移動自在に搭載している。すなわち、X・Y移動機構11により、請求項にいうヘッド移動手段が構成されており、X軸テーブル21によりワークWが主走査方向に移動すると共に、Y軸テーブル31により吐出ヘッド装置13が副走査方向に移動する。
なお、X軸テーブル21は、機台2上に直接支持され、X軸方向に平行に配設されている。一方、Y軸テーブル31は、機台2上に立設した左右の支柱41に支持されており、X軸テーブル21およびヘッド保守装置4を跨ぐようにY軸方向に延在している(図1および図2参照)。そして、描画装置3では、X軸テーブル21およびY軸テーブル31が交わるエリアがワークWの描画を行う描画エリア42、Y軸テーブル31およびヘッド保守装置4が交わるエリアが機能液滴吐出ヘッド61に対する機能回復処理を行う保守エリア43となっており、ワークWに描画を行う場合には描画エリア42に、機能回復処理を行う場合には保守エリア43に、吐出ヘッド装置13を臨ませるようになっている。
図3に示すように、吐出ヘッド装置13は、複数の機能液滴吐出ヘッド61を搭載したヘッドユニット51と、ヘッドユニット51の機能液滴吐出ヘッド61に機能液を供給する複数の機能液タンク101を備えたタンクユニット52と、機能液タンク101から機能液滴吐出ヘッド61に供給する機能液の供給圧力を一定圧に調整する複数の圧力調整弁141を搭載したバルブユニット53と、機能液タンク101、圧力調整弁141、および機能液滴吐出ヘッド61を接続する接続ユニット54と、を備えている。
図4に示すように、ヘッドユニット51は、機能液滴吐出ヘッド61を搭載した複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド61と、12個の機能液滴吐出ヘッド61を支持するヘッドプレート62と、上記したメインキャリッジ12に支持されると共に、ヘッドプレート62を支持するヘッド支持フレーム63と、を備えている。
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド61は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針72を有する機能液導入部71と、機能液導入部71に連なる2連のヘッド基板73と、機能液導入部71の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体74と、を備えている。
接続針72は、図外の機能液タンク101に接続され、機能液滴吐出ヘッド61のヘッド内流路に機能液を供給する。ヘッド本体74は、キャビティ75(ピエゾ圧電素子)と、吐出ノズル78が開口したノズル面77を有するノズルプレート76と、で構成されている。ノズル面77には、多数(180個)の吐出ノズル78から成るノズル列が2列形成されている。機能液滴吐出ヘッド61を吐出駆動すると、キャビティ75のポンプ作用により、吐出ノズル78から機能液滴が吐出される。
ヘッドプレート62は、ステンレス等からなる方形の厚板で構成されている。ヘッドプレート62には、12個の機能液滴吐出ヘッド61を位置決めし、これを、裏面側からヘッド保持部材81を介して固定するための12個の装着開口(図示省略)が形成されている。12個の装着開口は、2個ずつ6組に分けられており、各組の装着開口は、一部が重複するように、機能液滴吐出ヘッド61のノズル列と直交する方向に(ヘッドプレート62の長手方向)に位置ずれして形成されている。すなわち、12個の機能液滴吐出ヘッド61は、2個ずつ6組に分けられ、ノズル列と直交する方向において、各組の機能液滴吐出ヘッド61のノズル列が一部重複するように、階段状に配置される(図4参照)。
なお、各機能液滴吐出ヘッド61に形成された2列のノズル列は、4ドット分のピッチを有して配設された多数(180個)の吐出ノズル78によってそれぞれ構成されており、両ノズル列は、列方向に2ドット分位置ずれして配設されている。すなわち、各機能液滴吐出ヘッド61には、2列のノズル列により、2ドットピッチの描画ラインが形成されている。一方、同一組の隣接する2個の機能液滴吐出ヘッド61は、それぞれの(2ドットピッチの)描画ラインが列方向に1ドット分位置ずれするように配設され、一組の機能液滴吐出ヘッド61により、1ドットピッチの描画ラインが形成される。すなわち、同一組2個の機能液滴吐出ヘッド61は、1/4解像度の各ノズル列が相互位置ずれするように配置され、他の5組10個の機能液滴吐出ヘッド61と合わせて、1描画ラインの高解像度(1解像度)のノズル列が構成されるようになっている。
ヘッド支持フレーム63は、メインキャリッジ12のキャリッジ本体313(後述する)に着脱自在に支持されている。ヘッド支持フレーム63は、略方形の枠状に形成され、(機能液滴吐出ヘッド61を搭載した)ヘッドプレート62を下側から遊嵌するヘッド開口(図示省略)を有している。ヘッド支持フレーム63には、ヘッドプレート62の側端面に当接して、これを位置決めする3本の位置決めピンが設けられており、ヘッド支持フレーム63に対して、ヘッドプレート62を精度良く位置決め保持させることができるようになっている。なお、ヘッド支持フレーム63には、一対のハンドル82が取り付けられており、この一対のハンドル82を手持ち部位として、ヘッド支持フレーム63(ヘッドユニット51)をメインキャリッジ12に着脱可能に投入できるようになっている。
図3および図6に示すように、タンクユニット52は、上記したバルブユニット53と共に共通支持フレーム91に支持されており、共通支持フレーム91を介して、メインキャリッジ12(キャリッジ本体313)に搭載される。共通支持フレーム91は、タンクユニット52のタンクプレート102およびバルブユニット53のバルブユニット53(いずれも後述する)を位置決めした状態で支持している。ヘッド支持フレーム63と同様に、共通支持フレーム91にも把持部となる一対のハンドル92が設けられている。
図6に示すように、タンクユニット52は、ヘッドユニット51の各機能液滴吐出ヘッド61に対応して、これに機能液を供給する12個の機能液タンク101と、12個の機能液タンク101を支持するタンクプレート102と、を備えている。
機能液タンク101は、カートリッジ形式のものであり、機能液を真空パックした機能液パック111と、機能液パック111を収容する扁平な箱状の樹脂製のカートリッジケース112と、で構成されている(図9参照)。なお、機能液パック111に貯留される機能液は、その溶存気体量は略ゼロとなるように予め脱気されており、機能液滴吐出ヘッド61からの液滴吐出時に、機能液中に気泡によりドット抜け等が生じないよう配慮されている。
機能液パック111は、2枚の長方形の(可撓性の)フィルムシート113を重ね合わせて熱溶着した袋状のものに、機能液を供給する樹脂製の供給口114を取り付けたものであり、貯留する機能液の減少に伴い、扁平に変形して、機能液を最後まで使い切ることができるように構成されている。フィルムシート113には、機能液に対する耐食性や気体非透過性、防水性等を有する複数の素材を積層した積層構造のものが用いられている。供給口114には、パック内に連通する連通開口115が形成されており、連通開口115は、機能液耐食性を有するブチルゴム等の弾性材で構成した閉塞部材116により閉栓されている(図9参照)。このような構成により、機能液パック111内に空気(酸素)や湿気の侵入することを極力防止できるようになっている。
図6に示すように、タンクプレート102は、ステンレス等の厚板で略平行四辺形に形成されており、共通支持フレーム91に位置決めして固定される。タンクプレート102には、機能液タンク101の供給口114をバルブユニット53側に向けた状態で機能液タンク101を縦置きに位置決めすると共に、これを着脱自在にセットする12個のセット部121と、セット前の機能液タンク101をセット部121に導くセットガイド部122と、が設けられている。なお、ここに言う縦置きとは、機能液パック111のフィルムシート113を略垂直とする置き方であり、フィルムシート113が略水平となる横置きに比べ、機能液タンク101の設置スペースをコンパクトに抑えることができる。
同図に示すように、12個のセット部121は、ヘッドプレート62に搭載した12個の機能液滴吐出ヘッド61の配置に倣って、12個の機能液タンク101をセットすべく配置されている。セットガイド部122は、セット部121に連なり、機能液タンク101(カートリッジケース112)の厚みに合わせて形成した溝である。
図中に示す符号131は、セットガイド部122上の機能液タンク101をスライドさせることによりセット部121にセットするためのタンクセット治具である。タンクセット治具131は、機能液タンク101の後面(供給口114の形成面に対向する面)を前方に押し込むことにより、機能液タンク101をセット部121にセットするセット部材132と、セット部材132を支持するセット支持部材133と、を有している。タンクプレート102には、タンク後面側の辺に沿ってガイド溝134が形成されており、セット支持部材133は、ガイド溝134に案内されてタンクプレート102上をスライドする。そして、機能液タンク101のセット位置に合わせてセット支持部材133を移動させることにより、セットガイド部122に仮置きした機能液タンク101(の後面)にセット支持部材133を対峙させることができ、機能液タンク101を適切にセットできるようになっている。
図6に示すように、バルブユニット53は、12組24個の圧力調整弁141と、12組24個の圧力調整弁141を支持する24個のバルブ支持部材142と、24個のバルブ支持部材142を介して24個の圧力調整弁141を支持するバルブプレート143と、で構成されている。
12組の圧力調整弁141は、12個の機能液滴吐出ヘッド61に対応しており、機能液滴吐出ヘッド61の接続針72に、圧力調整弁141が1個ずつ対応している(図3、図9等参照)。図7および図8に示すように、圧力調整弁141の外郭を構成するバルブハウジング151内には、機能液タンク101に連なる1次室161と、機能液滴吐出ヘッド61に連なる2次室162と、1次室161および2次室162を連通する連通流路163とを形成されている。2次室162の1の面には外部に面して円形のダイヤフラム164が設けられ、連通流路163にはダイヤフラム164により開閉動作する弁体165が設けられている。そして、機能液タンク101から1次室161に導入された機能液は、2次室162を介して機能液滴吐出ヘッド61に供給されるが、その際、ダイヤフラム164により大気圧を調整基準圧力として、連通流路163に設けた弁体165が開閉動作することにより、2次室162内(機能液)の圧力調整が行われる。
以下、圧力調整弁141について詳細に説明するが、圧力調整弁141は、ダイヤフラム164を垂直にした縦置きで用いられるため、図7(a)における紙面の先方を「上」、手前を「下」、左方を「前」および右方を「後」として説明する。なお、図中の符号166は、圧力調整弁141をフレーム等(本実施形態ではバルブ支持部材142)に取り付けるための取付プレート166である。
図7および図8に示すように、バルブハウジング151は、内部に1次室161を形成した1次室ハウジング152と、内部に2次室162を形成し、1次室ハウジング152より一回り大きく形成された2次室ハウジング153と、2次室ハウジング153にダイヤフラム164を固定するリングプレート154との3部材で構成され、いずれもステンレス等の耐食性材料で形成されている。1次室ハウジング152、2次室ハウジング153およびリングプレート154は、2次室ハウジング153に対し、前後からリングプレート154および1次室ハウジング152を重ね、複数本の段付平行ピン等でそれぞれ位置決めした後、ねじ止めするようにして組み立てられており、いずれも円形のダイヤフラム164の中心を通る軸線と同心円となる外観を有している。そして、1次室ハウジング152および2次室ハウジング153は、Oリング157を介して相互に気密に突合せ接合され、2次室ハウジング153およびリングプレート154は、ダイヤフラム164の縁部およびパッキン158を挟込み込んで相互に気密に突合せ接合されている。なお、1次室ハウジング152および2次室ハウジング153は、一体に形成することも可能である。
図8に示すように、1次室ハウジング152には、ダイヤフラム164と同心となる円錐台(略円筒)形状の1次室161が形成されており、1次室161の内周壁161aは、後方に向かって僅かに拡開するテーパ面となっている。また、1次室ハウジング152の背面上部に形成した上部ボス部171には、機能液タンク101に連なる流入ポート172が形成されている。
流入ポート172は、1次室ハウジング152の外周面に開口した流入口173と、1次室161の上端部に開口した1次室側開口174と、これらを連通する流入流路175とから成り、流入流路175は、所定の下り勾配となるように周方向斜めに形成されている。流入口173には、流入流路175の軸線方向から流入コネクタ(ユニオン継手)が螺合しており、この流入コネクタ176が介して、接続ユニット54の接続チューブ271(後述する)が接続されている。流入コネクタ176の内部流路は、下流端で拡開形成されており、内部流路に段部が生じないように且つ機能液の流速に大きな変化が生じないようになっている。1次室側開口174は、1次室の頂部を周方向に外れた位置に開口しており、機能液タンク101から流入する機能液は、流入流路175の勾配に従って斜めに流下し、1次室側開口174から1次室161の内周壁161aに沿って1次室161に流入する。
図8に示すように、2次室ハウジング153と密接する1次室ハウジング152の前面には、1次室161の外側に位置して断面矩形の第1環状溝178が形成され、この第1環状溝に上記のOリング157が挿填されている。また、1次室ハウジング152の下部は、弓形に切り欠かれており、この欠損部分には、接続ユニット54の接続管ブロック301(後述する)が配設される。
図8に示すように、2次室ハウジング153には、ダイヤフラム164を取り付けるための前面を開放した円錐台(略円筒)形状の主室181、および主室181の後方に連なり、主室側に拡開した円錐台(略円筒)形状のばね室182から成る2次室162と、ばね室182と1次室161を連通する上記の連通流路163とが形成されている。また、これら主室181、ばね室182および連通流路163は、いずれもダイヤフラム164と同心の円形断面を有している。ただし、連通流路163は、後述する弁体165の軸部222がスライド自在に収容される円形断面の軸遊挿部191と、軸遊挿部191から径方向四方に延びる十字状断面の流路部192とで構成されている(図7(b)参照)。
主室181の内周壁181aは、ダイヤフラム164のマイナス変形に倣うように前方に向かって大きく拡開するテーパ面となっており、このテーパ面の下端部に臨むように流出ポート201が形成されている。流出ポート201は、2次室ハウジング153の背面下部に位置する傾斜ボス部202に形成されおり、2次室ハウジング153の背面下部(1次室ハウジング152の弓形の欠損部分)に開口した流出口203と、2次室162のテーパ面に開口した2次室側開口204と、これらを連通する流出流路205とを有している。流出流路205は、テーパ面に略直交して所定の下り勾配となるように、前後方向斜めに形成され、2次室162から流出する機能液は、2次室側開口204から流出流路205の勾配に従って斜めに流下し、機能液滴吐出ヘッド61側に流出する。
なお、流出口203を構成する2次室ハウジング153の内周面には、雌ねじ部206が形成されており、接続ユニット54の接続管ブロック301を螺合するようになっている(詳細は後述する)。
図8(a)に示すように、ダイヤフラム164は、樹脂フィルムで構成したダイヤフラム本体211と、ダイヤフラム本体211の内側に貼着した樹脂性の受圧板212とで構成されている。受圧板212は、ダイヤフラム本体211と同心の円板状に、且つダイヤフラム本体211に対し十分に小さい径に形成されており、その中央に後述する弁体165の軸部222が当接する。ダイヤフラム本体211は、耐熱PP(ポリプロピレン)と特殊PPとシリカを蒸着したPET(ポリエチレンテレフタレート)とを積層して構成されており、2次室ハウジング153の前面と同径の円形に形成されている。ダイヤフラム164は、これに外側から添設したパッキン158と共にリングプレート154により2次室ハウジング153の前面に気密に固定される。なお、受圧板212は、ダイヤフラム本体211の外側に設けてもよいが、後述する弁体165の軸部222が離接を繰り返すため、ダイヤフラム本体211の損傷を防止すべく本実施形態では内側に設けている。
図8に示すように、弁体165は、円板状の弁体本体221と、弁体本体221の中心から断面横「T」字状を為すように一方向に延びる軸部222と、弁体本体221の軸部側(前面)に設けた(接着した)環状のバルブシール223とで構成されている。弁体本体221および軸部222は、ステンレス等の耐食材料で一体に形成されており、弁体本体221の前面には、軸部222の外側に位置して環状の小突起224が形成されている。バルブシール223は、軟質のシリコンゴムで構成され、その前面には、上記の小突起224に対応して、環状の突起となるシール突起225が突設されている。このため、弁体165の閉弁時には、弁座となる2次室バルブハウジング151の背面、すなわち連通流路163の開口縁にシール突起225が強く当接して、連通流路163が1次室側から液密に閉塞される。なお、2次室162の僅かな圧力変動に応じて弁体165を開閉可能とするために、弁体本体221は、ダイヤフラム164よりも十分に小さく形成されている。
軸部222は、連通流路163(軸遊挿部191)にスライド自在に遊嵌され、閉弁状態でその先端(前端)が中立位置にあるダイヤフラム164の受圧板212に当接する。すなわち、ダイヤフラム164が外部に向かって膨出するプラス変形の状態では、軸部222の前端と受圧板212との間には所定の間隙が生じており、この状態からダイヤフラム164がマイナス側に変形してゆくと、リングプレート154と平行な中立状態で軸部222の前端と受圧板212とが当接し、さらにダイヤフラム164のマイナス変形がすすむと、受圧板212が軸部222を介して弁体本体221を押し開弁させることになる。したがって、2次室162の容積のうち、ダイヤフラム164がプラス変形から中立状態となる容積分は、1次室側の圧力を一切受けることなく、機能液の供給が為される。
一方、弁体165(弁体本体221)の背面と1次室161の後面壁との間の間には、弁体165を2次室側、すなわち閉弁方向に付勢する弁体付勢ばね231が介設されている。同様に、受圧板212と2次室162のばね室182との間には、受圧板212を介してダイヤフラム本体211を外部に向かって付勢する受圧板付勢ばね232が介設されている。この場合、弁体付勢ばね231は、弁体165の背面に加わる機能液タンク101の水頭を補完するものであり、機能液タンク101の水頭とこの弁体付勢ばね231のばね力により、弁体165が閉塞方向に押圧される。一方、受圧板付勢ばね232は、ダイヤフラム164のプラス変形を補完するものであり、大気圧に対し2次室162が僅かに負圧になるように作用する。なお、本実施形態では、ダイヤフラム164、弁体、弁体付勢ばね231、および受圧板付勢ばね232によって、請求項にいう圧力調整部が構成されている。
ここで、圧力調整弁141の動作について説明する。機能液滴吐出ヘッド61による機能液の消費(吐出)により2次室162の負圧が増すと、ダイヤフラム164がプラス変形の状態から、ダイヤフラム164が大気圧に押されて中立状態からマイナス変形に移行する。これにより、受圧板212を介して弁体165が押されてゆっくり開弁する。弁体165が開弁すると、連通流路163を介して1次室161から2次室162に機能液が流入する。これにより2次室162の圧力が増し、弁体165がゆっくりと閉弁する。そして、弁体165の閉弁後も大気圧に抗して受圧板付勢ばね232が作用してゆき、ダイヤフラム164をプラス変形させると共に、2次室162内の機能液圧力を僅かに負圧状態にさせる。上記の動作をゆっくり繰り返すことにより、2次室162をほぼ一定の圧力に維持したまま、機能液が供給される。
このように、弁体165は、大気圧と機能液滴吐出ヘッド61に連なる2次室162と圧力バランスにより弁体165が進退して開閉するが、その際、弁体付勢ばね231および受圧板付勢ばね232に力が分散して作用し、且つ軟質シリコンゴムのバルブシール223の弾性力が作用するため、その開閉動作は、極めてゆっくりなものとなる。したがって、弁体165の開閉による圧力変動(キャビテーション)が抑制され、機能液滴吐出ヘッド61の吐出駆動に影響を与えないようになっている。もちろん、機能液タンク側(1次側)で発生する脈動等も、弁体165で縁切りされるため、これを吸収する(ダンパー機能)ことも可能である。
そして、本実施形態の圧力調整弁141は、大気圧を調整基準圧力として弁体が開閉する構造であるため、1次側が極端に高い圧力とならない限り、一定の低い圧力で機能液を機能液滴吐出ヘッド61に供給することができる。すなわち、機能液タンク101の水頭に影響されることなく、機能液の機能液滴吐出ヘッド61に対する供給を安定に行うことができるようになっている。
なお、2次室162内の機能液の圧力は、受圧板付勢ばね232により大気圧よりも低い圧力に維持されており、機能液滴吐出ヘッド61(ノズル面77)の位置と、圧力調整弁141(ダイヤフラム164の中心)の位置との高低差を一定の値(本実施形態では95mm)にしておくことにより、機能液滴吐出ヘッド61からの液垂も防止される。本実施形態では、上記した取付プレート166の両面に、ダイヤフラム164の中心位置を示す線状のマーク241が刻設されており、圧力調整弁141を設置するときの指標として、このマーク241が用いられるようになっている。
各バルブ支持部材142は、バルブプレート143にねじ止めする固定部245と、固定部245から鉛直に延び、圧力調整弁141をねじ止めする鉛直支持部246と、を有しており、(取付プレート166を介して)圧力調整弁141を位置決めし、かつ縦置き状態で支持している(図9等参照)。上述したように、圧力調整弁141の1次室161、2次室162、および連通流路163は、ダイヤフラム164と同心の円形に形成されているため、圧力調整弁141を縦置きするとその内壁に気泡が残留し難くなっている。したがって、圧力調整弁141を縦置きすることにより、流入ポート172から供給された機能液に気泡が混入していたとしても、気泡は1次室161または2次室162の上方に溜まるため、流出ポート201から気泡が流出することを防止できるようになっている。
図6に示すように、バルブプレート143は、タンクユニット52(タンクプレート102)と同様に、共通支持フレーム91に位置決めして固定されている。バルブプレート143には、12組24個のバルブ支持部材142が立設されていると共に、12個のバルブ開口251が形成されており、これらは12個の機能液滴吐出ヘッド61のそれぞれに対応している。具体的には、12組24個の圧力調整弁141をバルブ支持部材142に固定すると、各圧力調整弁141に固定された24個の接続管ブロック301が、12個の機能液滴吐出ヘッド61の接続針72の配置に倣って配置されると共に、その一端(受容部:後述する)がバルブ開口251から下方に突出し、機能液滴吐出ヘッド61の各接続針72に対して、各接続管ブロック301とを差し込み接続できるようになっている(詳細は後述する)。
図9に示すように、接続ユニット54は、機能液タンク101と圧力調整弁141とを接続するタンク側接続ユニット261と、機能液滴吐出ヘッド61と圧力調整弁141とを接続するヘッド側接続ユニット262と、を備えている。
タンク側接続ユニット261は、同一の機能液滴吐出ヘッド61に対応する、機能液タンク101と(2個の)圧力調整弁141とを接続する12本の接続チューブ271と、機能液タンク101に接続チューブ271を接続するための接続具272と、を有している。なお、圧力調整弁141の流入口173には、ユニオン継手で構成された流入コネクタ176が設けられており、圧力調整弁141および接続チューブ271は、この流入コネクタ176を介して接続される。
図9に示すように、各接続チューブ271は、途中で2分岐しており、単一の機能液タンク101と2個の圧力調整弁141とを接続できるようになっている。接続チューブ271は、機能液パック111と同様に、機能液に対する耐食性、気体非透過性、防水性等を考慮した積層構造のもので構成されている。
図9に示すように、接続具272は、機能液タンク101および接続チューブ271を接続するための12個のタンク側アダプタ273を有している。タンク側アダプタ273は、接続チューブ271の一端に直接接続されるチューブ接続部274と、機能液タンク101に接続されるタンク接続部275と、を有しており、両接続部274、275の内部には、機能液を供給するための機能液流路が形成されている。
チューブ接続部274は、接続チューブ271を軸心に挿嵌する円筒雄ねじ部281と、円筒雄ねじ部281を支持するチューブ側フランジ282と、円筒雄ねじ部281の外側に螺合する雌ねじキャップ283と、円筒雄ねじ部281と雌ねじキャップ283との間に介設され、接続チューブ271を液密に保持するチューブ側Oリング284と、で構成されている。一方、タンク接続部275は、軸心に流路を形成したタンク接続針291と、タンク接続針291を保持するタンク側フランジ292と、チューブ側フランジ282の接続針受入れ溝285に介設したタンク側Oリング293とで構成されている。チューブ接続部274とタンク接続部275とは、チューブ側フランジ282とタンク側フランジ292とをフランジ接合することにより接続される。なお、両Oリング284、293は、ブチルゴム等の機能液耐食性、気体非透過性、および防水性を備えたものであることが好ましい。
図示省略したが、タンク接続針291は、先端が鋭利に形成されており、この先端部分には内部流路に連なる微小な複数の流入孔を形成されている。すなわち、タンク接続針291は、上記した機能液パック111の閉塞部材116を貫いて差し込まれることにより機能液パック111(機能液タンク101)に接続され、機能液パック111から機能液を流出させて流路を形成する。また、タンク接続針291の基部は接続チューブ271に挿入されており、内部流路と接続チューブ271の流路とが接続される。
なお、12個のタンク側アダプタ273は、かつ上記したタンクプレート102に固定され、直角に折り曲げられた(6個の)アダプタ固定部材296に位置決めされた状態で支持されており、セット部121に機能液タンク101を完全にセット(装着)すると、タンク側アダプタ273のタンク接続針291と機能液タンク101の連通開口115とが接続されるようになっている(図9参照)。
ヘッド側接続ユニット262は、圧力調整弁141とヘッドユニット51に搭載された機能液滴吐出ヘッド61の各接続針72とを接続する24個の接続管ブロック301を備えている(図3等参照)。接続管ブロック301は、機能液に対して耐食性を有するステンレス等で構成されており、内部には、機能液流路が形成されている。
図7ないし図9に示すように、接続管ブロック301の一端には、雄ねじ部302が形成されており、この雄ねじ部302を圧力調整弁141の流出口203に形成された雌ねじ部206に螺合させることにより、接続管ブロック301の機能液流路と圧力調整弁141の流出ポート201とを接続できるようになっている。なお、雄ねじ部302が形成された接続管ブロック301の内部流路は、上流端で拡開形成されており、流路内に段部が生じないように且つ機能液の流速に大きな変化が生じないように構成されている。
一方、接続管ブロック301の他端(下流端)には、機能液滴吐出ヘッド61の接続針72を抜き差し自在に受容する受容部303が設けられている。機能液流路を構成する受容部303の内周面には、環状の溝304が形成されており、この溝には、機能液耐食性を有するシール材305(Oリング)が設けられている。これにより、受容部303と、これに挿入した機能液滴吐出ヘッド61の接続針72とが液密に封止され、接続管ブロック301の機能液流路と機能液滴吐出ヘッド61とが接続される。
接続管ブロック301は側面視略「L」字状に形成されており、接続管ブロック301の雄ねじ部302を圧力調整弁141に固定すると、受容部303は、ダイヤフラム164と平行な状態で、かつ下向きに保持される。接続管ブロック301は、圧力調整弁141を介してバルブプレート143上に位置決めされており、圧力調整弁141をバルブ支持部材142に支持させると、ヘッドユニット51上における機能液滴吐出ヘッド61の接続針72の配置に倣って受容部303が配置される。このとき、受容部303は、バルブプレート143のバルブ開口251から下方に突出し、機能液滴吐出ヘッド61の接続針72と接続可能な状態となる。したがって、メインキャリッジ12に位置決め固定したヘッドユニット51に対して、圧力調整弁141を搭載したバルブプレート143を位置決めすると、複数の機能液滴吐出ヘッド61(接続針72)と、複数の接続管ブロック301とを一挙に接続することができるようになっている(詳細は後述する)。
このように、機能液滴吐出ヘッド61と圧力調整弁141とは、接続管ブロック301により直接接続されているため、可撓性のチューブを用いて接続する場合のように、接続管ブロック301と機能液滴吐出ヘッド61、または接続管ブロック301と圧力調整弁141との間に継手を介在させる必要がなく、その分機能液流路を短く抑えることができるようになっている。また、接続管ブロック301は、可撓性のチューブのように撓むことがないので、機能液流路が変形することが無い。したがって、機能液供給圧力を一定とすることができ、圧力調整弁141から機能液滴吐出ヘッド61に安定して機能液を供給することができる。また、接続管ブロック301の受容部303の形状を、適用する機能液滴吐出ヘッド61の接続針72に形状に合わせて形成することにより、汎用の機能液滴吐出ヘッド61を含め、様々な機能液滴吐出ヘッド61を液滴吐出装置1に搭載可能となっている。
図2に示すように、メインキャリッジ12は、Y軸テーブル31(Y軸スライダ32)に下側から固定される外観「I」形の吊設部材311と、吊設部材311の下面に取り付けられ、(ヘッドユニット51の)θ方向に対する位置補正を行うためのθ回転機構312と、θ回転機構312の下方に吊設するよう取り付けられ、吐出ヘッド装置13を支持するボックス状のキャリッジ本体313と、で構成されている。
キャリッジ本体313(の下面)には、ヘッドユニット51を遊嵌するための方形の開口が形成されており、キャリッジ本体313に対して、(ヘッド支持フレーム63を介して)ヘッドユニット51を下側から固定するようになっている。キャリッジ本体313にもヘッド支持フレーム63と同様な位置決め機構が設けられており、ヘッドユニット51を位置決めした状態でキャリッジ本体313に固定できるようになっている。
また、キャリッジ本体313には、タンクユニット52、バルブユニット53、および接続ユニット54を搭載した共通支持フレーム91を支持する直方体形状の4個の支持ブロック314が設けられている。支持ブロック314には、キャリッジ本体313に装着されたヘッドユニット51に対し、共通支持フレーム91を位置合わせした状態でキャリッジ本体313に搭載するための位置決めガイド機構371(後述する)が設けられている。
このように、本実施形態では、吐出ヘッド装置13全体をメインキャリッジ12(キャリッジ本体313)に搭載することにより、機能液タンク101から機能液滴吐出ヘッド61に至る機能液流路を著しく短縮することができるようになっている。
ここで、描画装置3における描画動作について簡単に説明する。先ず、描画前の準備として、セットテーブル23にセットされたワークWのθ補正を行うと共に、ヘッドユニット51のθ補正を行う。次に、X・Y移動機構11(X軸テーブル21)を駆動して、ワークWを主走査(X軸)方向に往動させる。ワークWの往動と同期して、(12個の)機能液滴吐出ヘッド61が選択的に駆動され、ワークWに対する機能液の選択的な吐出動作が行われる(主走査)。ワークWが一往動すると、X・Y移動機構11(Y軸テーブル31)をさらに駆動して、ヘッドユニット51を副走査(Y軸)方向に所定距離だけ移動させる(副走査)。
そして、X・Y移動機構11を駆動して、ワークWを復動させると共に、これと同期して機能液滴吐出ヘッド61の選択的な駆動を行う(主走査)。ワークWの一復動が終了すると、X・Y移動機構11により、ヘッドユニット51を副走査させる。このような主走査および副走査が繰り返されることにより、ワークWに対する描画がなされてゆく。
なお、本実施形態では、ワークWを移動させることにより主走査を行っているが、X軸テーブル21にヘッドユニット51を支持させ、固定のワークWに対し、ヘッドユニット51を移動させることにより主走査を行うことも可能である。この場合、メインキャリッジ12に搭載するバルブユニット53の圧力調整弁141は、そのダイヤフラム164が主走査方向と平行になるよう配設される。これにより、主走査時(機能液滴の吐出時)にダイヤフラム164が受ける慣性の影響を最小限とすることができる。したがって、主走査時に2次室162内に圧力変動が生じることを抑えることができ、ワークWに対する描画精度を安定させることができる。
ヘッド保守装置4は、機台2上に載置され、X軸方向に延在する移動テーブル321と、移動テーブル321上に載置した吸引ユニット322と、吸引ユニット322に並んで移動テーブル321上に配設されたワイピングユニット323と、を備えている。移動テーブル321は、X軸方向に移動可能に構成されており、機能液滴吐出ヘッド61の保守時には、吸引ユニット322およびワイピングユニット323を適宜保守エリア43に移動させる構成となっている。なお、上記の各ユニットに加え、機能液滴吐出ヘッド61から吐出された機能液滴の飛行状態を検査する吐出検査ユニットや、機能液滴吐出ヘッド61から吐出された機能液滴の重量を測定する重量測定ユニット等を、ヘッド保守装置4に搭載することが好ましい。
図1に示すように、吸引ユニット322は、キャップスタンド331と、キャップスタンド331に支持され、機能液滴吐出ヘッド61のノズル面77に密着させる(機能液滴吐出ヘッド61の配置に対応した12個の)キャップ332と、各キャップ332を介して(12個の)機能液滴吐出ヘッド61を吸引可能な単一の吸引ポンプ333と、各キャップ332と吸引ポンプ333とを接続する吸引チューブ(図示省略)と、を有している。なお、図示省略したが、キャップスタンド331には、モータ駆動により、各キャップ332を昇降させるキャップ昇降機構334が組み込まれており、保守エリア43に臨んだヘッドユニット51の各機能液滴吐出ヘッド61に対して、対応するキャップ332を離接できるようになっている。
そして、機能液滴吐出ヘッド61の吸引を行う場合には、キャップ昇降機構334を駆動して、機能液滴吐出ヘッド61のノズル面77にキャップ332を密着させると共に、吸引ポンプ333を駆動する。これにより、キャップ332を介して機能液滴吐出ヘッド61に吸引力を作用させることができ、機能液滴吐出ヘッド61から機能液が強制的に排出される。この機能液の吸引は、機能液滴吐出ヘッド61の目詰まりを解消/防止するために行われる他、液滴吐出装置1を新設した場合や、ヘッドユニット51における機能液滴吐出ヘッド61のヘッド交換を行う場合などに行われ、機能液タンク101から機能液滴吐出ヘッド61に至る機能液流路に機能液を充填される。
なお、キャップ332は、機能液滴吐出ヘッド61の捨て吐出(予備吐出)により吐出された機能液を受けるフラッシングボックスの機能を有しており、ワークWの交換時のように、ワークWに対する描画を一時的に停止するときに行う定期フラッシングの機能液を受けるようになっている。この捨て吐出(フラッシング動作)では、キャップ昇降機構334は、機能液滴吐出ヘッド61のノズル面77からキャップ332(の上面)を僅かに離間する位置に移動させる。
また、吸引ユニット322は、液滴吐出装置1の非稼動時に、機能液滴吐出ヘッド61を保管するためにも用いられる。この場合、保守エリア43にヘッドユニット51を臨ませ、機能液滴吐出ヘッド61のノズル面77にキャップ332を密着させる。これにより、ノズル面77が封止され、機能液滴吐出ヘッド61(吐出ノズル78)の乾燥を防いで、吐出ノズル78のノズル詰まりを防止できるようになっている。
図1に示すように、ワイピングユニット323は、巻取りモータ342(図示省略)の駆動により、ロール状に巻回したワイピングシート343を繰り出しながら巻き取ってゆく巻取りユニット341と、洗浄液ノズル(噴霧ノズル:図示省略)を有し、繰り出したワイピングシート343に洗浄液を散布する洗浄液供給ユニット344と、洗浄液が散布されたワイピングシート343でノズル面77を拭取る拭取りユニット345と、を備えている。そして、保守エリア43に位置するヘッドユニット51に対してワイピングユニット323を臨ませ、機能液滴吐出ヘッド61のノズル面77を、洗浄液を含浸したワイピングシート343でワイピング動作(拭き取り)することにより、ノズル面77に付着する(機能液)汚れを除去できるようになっている。
制御装置5は、パソコン等で構成されている。図示省略したが、装置本体には、キーボードやマウス等の入力装置、FDドライブやCD−ROMドライブ等の各種ドライブ(図示省略)、モニタディスプレイ等の周辺機器が接続されている。
次に、図10を参照しながら液滴吐出装置1の主制御系について説明する。液滴吐出装置1は、描画装置3を有する描画部351と、ヘッド保守装置4を有するヘッド保守部352と、描画装置3やヘッド保守装置4の各種センサを有し、各種検出を行う検出部353と、各部を駆動する駆動部354と、各部に接続され、液滴吐出装置1全体の制御を行う制御部355(制御装置5)と、を備えている。
制御部355には、描画装置3およびヘッド保守装置4を接続するためのインタフェース361、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM362、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM363、ワークWに描画を行うための描画データや、描画装置3およびヘッド保守装置4からの各種データ等を記憶すると共に、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するハードディスク364、ROM363やハードディスク364に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU365、これらを互いに接続するバス366、が備えられている。
そして、制御部355は、描画装置3、ヘッド保守装置4等からの各種データを、インタフェース361を介して入力すると共に、ハードディスク364に記憶された(または、CD−ROMドライブ等により順次読み出される)プログラムに従ってCPU365に演算処理させ、その処理結果を、インタフェース361を介して描画装置3やヘッド保守装置4等に出力することにより、各手段を制御している。
ところで、本実施形態の液滴吐出装置1では、複数の接続管ブロック301の配置は、ヘッドユニット51における複数の機能液滴吐出ヘッド61の配置パターンに対応しており、描画装置3の組立て時やヘッドユニット51の着脱時等には、複数の機能液滴吐出ヘッド61と複数の接続管ブロック301とを一度で接続可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット51を位置決めして搭載したキャリッジ本体313に対し、バルブプレート143を位置決めして搭載した共通支持フレーム91を位置合わせして固定することにより、ヘッドユニット51の全機能液滴吐出ヘッド61と、バルブプレート143の全接続管ブロック301と、を接続できるようになっている。
そして、図3に示すように、キャリッジ本体313および共通支持フレーム91には、全機能液滴吐出ヘッド61および全接続管ブロック301が適切に接続されるよう、共通支持フレーム91を位置合わせ(ガイド)するための位置決めガイド機構371が設けられている。位置決めガイド機構371は、キャリッジ本体313の4個の支持ブロック314に1本ずつ立設された4本のガイド支柱41と、共通支持フレーム91に形成され、ガイド支柱41を挿通する4つのガイド孔373と、を有している。
図示省略したが、4本のガイド支柱のうち、3本のガイド支柱41は、ガイド孔に遊挿される遊挿部と、遊挿部に連なると共に、下方に拡開した円錐台形状のテーパ部と、を有している。テーパ部の基部(下端)は、ガイド孔373の径と同一に形成されている。したがって、4つのガイド孔373に(対応する)ガイド支柱41を挿通させるように、共通支持フレーム91をキャリッジ本体313に載せてゆくと、共通支持フレーム91は、3本のガイド支柱41のテーパ部に案内される。これにより、共通支持フレーム91は、キャリッジ本体313に搭載されたヘッドユニット51と位置合わせされると共に、3つのテーパ部の基部により位置決めされる。なお、ガイド支柱41の先端部には、雄ねじが切られており、共通支持フレーム91を位置合わせした状態で、ナット(図示省略)を締結することにより、共通支持フレーム91を4つの支持ブロック314(キャリッジ本体313)に固定するようになっている。
このように、本実施形態では、位置決めガイド機構371を用いることにより、ヘッドユニット51に搭載された12個の機能液滴吐出ヘッド61とバルブプレート143に搭載された24個の接続管ブロック301とを容易に位置合わせすることができ、これらを迅速に接続することができるようになっている。
次に、第2実施形態の液滴吐出装置について説明する。第2実施形態の液滴吐出装置1は、第1実施形態と略同様に構成されているが、機能液タンクに相当する機能液貯留室421および圧力調整弁に相当する圧力調整弁機構422が、機能液供給装置401として一体に構成されている点で異なっている。なお、ここにいう圧力調整弁機構422とは、第1実施形態における圧力調整弁141のバルブハウジング151を除いた部分、すなわち圧力調整弁141の機構部分を示しており、第1実施形態の圧力調整弁と同様の動作原理で機能液の圧力調整を行うものである。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、図面において、第1実施形態と同一概念の部材については、第1実施形態と同様の符号としている。
図11に示すように、機能液供給装置401は、耐溶剤性およびガスバリア性を備えた共通ハウジング411(実施形態ではステンレス)により外郭を構成されている。共通ハウジング411は、機能液を貯留する機能液貯留室421と、ダイヤフラム164を有し、機能液貯留室421から機能液滴吐出ヘッド61に供給する機能液の圧力を調整する圧力調整弁機構422と、が作り込まれたハウジング本体412と、機能液貯留室421の上方を開閉する開閉蓋413と、を有している。
図11に示すように、ハウジング本体412には、機能液貯留室421と圧力調整弁機構422の2次室162とが、隔壁431を隔て、隣り合って形成されていると共に、隔壁431には、機能液貯留室421と2次室162とを連通する連通流路163が形成されている。同図に示すように、2次室162は、機能液貯留室421側から拡開する円錐台(テーパ)状に形成され、機能液貯留室421と2次室162との並設方向に直交するようにダイヤフラム164が設けられている。連通流路163には、弁体165が遊挿されている。機能液貯留室421側の隔壁431に形成された開口縁が弁座となっており、弁体165の閉弁時には、連通流路163は(弁体本体221によって)機能液貯留室421側から液密に閉塞される。
機能液貯留室421には、弁座と対面するように、ダイヤフラム164と平行に立設したばね受け板432が設けられており、このばね受け板432と弁体165の背面との間に、圧力調整弁機構422の弁体付勢ばね231が介設される。すなわち、ばね受け板432と機能液貯留室421側の隔壁431との間の空間が1次室161に相当しており、機能液供給装置401では、機能液貯留室421と1次室161とが一体に構成されている。なお、ばね受け板432は、機能液貯留室421の幅よりも狭く形成されており、1次室161および機能液貯留室421は、連通した状態となっている。
機能液貯留室421は、開閉蓋413を開放することにより、上端部が外部に開放されるいわゆる開放タンクとなっている。機能液貯留室421には、機能液供給口114が設けられており、外部から機能液を適宜補充可能に構成されている。図示省略したが、機能液貯留室421の底面には、機能液を排出する排出口が設けられており、この排出口に機能液処理設備を接続することにより、機能液貯留室421に残留する機能液を外部に排出できるようになっている。
また、ハウジング本体412には、2次室162から下方に延在する流出ポート201が形成されている。2次室側開口204は、2次室162下端部のテーパ面に開口し、流出口203は、ハウジング本体412の底面に開口しており、これらを接続する流出流路は、所定の下り勾配となるよう形成されている。ハウジング本体412の流出口203を形成する部分には、第1実施形態と同様に、雌ねじ部206が形成されており、接続管ブロック301をねじ込むことができるようになっている。
接続管ブロック301は、直管状に形成されており、接続管ブロック301の一端となる雄ねじ部302をハウジング本体412の雌ねじ部206に螺合させると、接続管ブロック301の他端となる受容部303が下方に向かって垂直な姿勢で保持される。
なお、本実施形態の機能液貯留室421は、ダイヤフラム164の変位方向に長い平面視長方形に形成されており、機能液貯留室421には、貯留する機能液の波立ちを防止する消波手段441が設けられている。図11に示すように、消波手段441は、機能液貯留室421に貯留した機能液の液面の略全域を覆うように設けたフロート部材451であり、機能液の液面上に浮遊して、液面の波立ち(揺れ)を抑えるようになっている。これにより、機能液貯留室421内における機能液の波立ちに起因した圧力変動を防止できるようになっている。
また、フロート部材451に代えて、機能液貯留室421を機能液貯留室421の長手方向に仕切る複数の仕切り壁461を設けるようにしても、同様の効果を得ることが可能である(図12参照)。各仕切り壁461は、機能液貯留室421における機能液の上限位置および下限位置に亘って配設されており、仕切り壁461によって仕切られる複数の空間は、下端部で相互に連通している。
メインキャリッジ12には、共通支持フレーム91を介して、12個の機能液供給装置401を搭載したタンクプレート102が載せ込まれる。各機能液供給装置401は、12個の接続管ブロック301を介して、ヘッドユニット51上の12個の機能液滴吐出ヘッド61にそれぞれ接続される。なお、本実施形態では、機能液滴吐出ヘッド61の2本の接続針72のうち、1本のみに機能液を供給する構成となっている。
図11または図12に示すように、タンクプレート102には、機能液供給装置401から下方に突出する接続管ブロック301の受容部303を遊挿する12個の遊挿開口471が形成されている。タンクプレート102には、12個の機能液供給装置401が位置決めされて配置されるが、その配置パターンは、機能液供給装置401に固定した12個の接続管ブロック301(の受容部303)の配置に基づいて設定されている。すなわち、機能液の供給を受ける機能液滴吐出ヘッド61の接続針72の配置と、接続管ブロック301の受容部303の配置が一致するように、12個の機能液供給装置401の配置が設定されている。これにより、タンクプレート102を位置決めしてメインキャリッジ12に載せ込むと、接続管ブロック301と機能液滴吐出ヘッド61の接続針72が一括して接続される。
このように、本実施形態の機能液供給装置401では、共通ハウジング411に機能液貯留室421および圧力調整弁機構422が作り込まれ、機能液貯留室421の一部が圧力調整弁機構422の1次室161を兼ねた構成となっているため、機能液貯留室421と圧力調整弁機構422とを接続するための接続手段(第1実施形態におけるタンク側接続ユニット261)を設ける必要がない。すなわち、機能液貯留室421および圧力調整弁機構422間の機能液流路を最短に抑えることができると共に、機能液供給装置401廻りの装置構成を簡易なものとすることができる。
次に、第3実施形態の液滴吐出装置について説明する。第3実施形態の液滴吐出装置1も、第1実施形態と略同様に構成されているが、圧力調整弁に相当する圧力調整弁機構422および機能液滴吐出ヘッドに相当する機能液滴吐出ヘッド機構481(機能液滴吐出ヘッド61のハウジング部分を除いた吐出機構部分)が共通ハウジング411に作り込まれ、一体に構成されている点で異なっている。
図13に示すように、共通ハウジング411の内部上方には、圧力調整弁機構422の1次室161、2次室162、および連通流路163が形成されている。一方、共通ハウジング411の内部下方には、機能液滴吐出ヘッド機構481が設けられており、供給流路491を介して2次室162に連なるヘッド内流路が形成されていると共に、ヘッド基板73と、キャビティ75およびノズルプレート76から成るヘッド本体74が組み込まれている。
このように、圧力調整弁機構422および機能液滴吐出ヘッド機構481を同一の共通ハウジング411内に設けることにより、圧力調整弁機構422および機能液滴吐出ヘッド機構481間の機能液流路を短縮することができる。また、接続チューブ271や接続管ブロック301等の接続手段を介することなく、圧力調整弁機構422の2次室162と機能液滴吐出ヘッド機構481のヘッド内流路とを直接連通することができるため、ヘッド内流路に機能液を安定して供給することができる。
なお、本実施形態では、圧力調整弁機構422および機能液滴吐出ヘッド機構481を単一のハウジング内に作り込む構成としたが、共通ハウジング411を、圧力調整弁機構422を組み込んだバルブハウジング部と、機能液滴吐出ヘッド機構481を組み込んだヘッドハウジング部と、から成る分割構造とし、これらをねじ等で一体に固定する構成とすることも可能である。
この場合、バルブハウジング部に、2次室162に連なる流出ポートを形成すると共に、ヘッドハウジング部に、ヘッド内流路に連なる流入ポートを形成することが好ましい。そして、バルブハウジング部に開口した流出ポートの流出口は、上記した接続管ブロック301の受容部303と同様に構成する。一方、流入ポートは、ヘッドハウジング部を機能液滴吐出ヘッド61の接続針様に突出させ、その内部に形成する。この構成によれば、ヘッドハウジング部の突出部分を流出ポートの流出口に差し込むことにより、ヘッドハウジング部の流入ポートと、バルブハウジング部の流出ポートと、を簡単に接続することができ、機能液滴吐出ヘッド機構481に不具合が生じた場合等には、これを容易に交換可能となる。なお、当然のことながら、第1実施形態の圧力調整弁141(バルブハウジング151)のように、バルブハウジング部をさらに分割構造としてもよい。
次に、第4実施形態の液滴吐出装置について説明する。図14に示すように、この液滴吐出装置1の吐出ヘッド装置13は、機能液滴吐出ヘッドに相当する機能液滴吐出ヘッド機構481、圧力調整弁に相当する圧力調整弁機構422および機能液タンクに相当する機能液貯留室421が共通ハウジング411に作り込まれ、一体に構成されている。このように、機能液滴吐出ヘッド機構481、圧力調整弁機構422および機能液貯留室421を共通ハウジング411内に作り込むことにより、これらを接続するための接続手段を別途設ける必要が無くなり、機能液流路を極端に短縮することができる。なお、本実施形態の液滴吐出装置1は、第1〜第3実施形態と略同様であり、機能液滴吐出ヘッド機構481、圧力調整弁機構422および機能液貯留室421の装置構成もこれらのものに準じている。
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、更にこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、及び薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板を言う。
先ず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図15は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図16は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ600(フィルタ基体600A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S11)では、図16(a)に示すように、基板(W)601上にブラックマトリクス602を形成する。ブラックマトリクス602は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス602を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス602を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
続いて、バンク形成工程(S12)において、ブラックマトリクス602上に重畳する状態でバンク603を形成する。即ち、まず図16(b)に示すように、基板601及びブラックマトリクス602を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層604を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム605で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図16(c)に示すように、レジスト層604の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層604をパターニングして、バンク603を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク603とその下のブラックマトリクス602は、各画素領域607aを区画する区画壁部607bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド61により着色層(成膜部)608R、608G、608Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
以上のブラックマトリクス形成工程及びバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体600Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク603の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)601の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク603(区画壁部607b)に囲まれた各画素領域607a内への液滴の着弾位置精度が向上する。
次に、着色層形成工程(S13)では、図16(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド61によって機能液滴を吐出して区画壁部607bで囲まれた各画素領域607a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド61を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層608R、608G、608Bを形成する。着色層608R、608G、608Bを形成したならば、保護膜形成工程(S14)に移り、図16(e)に示すように、基板601、区画壁部607b、および着色層608R、608G、608Bの上面を覆うように保護膜609を形成する。
即ち、基板601の着色層608R、608G、608Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜609が形成される。
そして、保護膜609を形成した後、カラーフィルタ600は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
図17は、上記のカラーフィルタ600を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置620に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ600は図16に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
この液晶装置620は、カラーフィルタ600、ガラス基板等からなる対向基板621、及び、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層622により概略構成されており、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板621およびカラーフィルタ600の外面(液晶層622側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板621側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層側)には、図17において左右方向に長尺な短冊状の第1電極623が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極623のカラーフィルタ600側とは反対側の面を覆うように第1配向膜624が形成されている。
一方、対向基板621におけるカラーフィルタ600と対向する面には、カラーフィルタ600の第1電極623と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極626が所定の間隔で複数形成され、この第2電極626の液晶層622側の面を覆うように第2配向膜627が形成されている。これらの第1電極623および第2電極626は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
液晶層622内に設けられたスペーサ628は、液晶層622の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材629は液晶層622内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極623の一端部は引き回し配線623aとしてシール材629の外側まで延在している。
そして、第1電極623と第2電極626とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
通常の製造工程では、カラーフィルタ600に、第1電極623のパターニングおよび第1配向膜624の塗布を行ってカラーフィルタ600側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板621に、第2電極626のパターニングおよび第2配向膜627の塗布を行って対向基板621側の部分を作成する。その後、対向基板621側の部分にスペーサ628およびシール材629を作り込み、この状態でカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材629の注入口から液晶層622を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板621側の部分にカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる前に、シール材629で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材629の印刷を、機能液滴吐出ヘッド61で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜624,627の塗布を機能液滴吐出ヘッド61で行うことも可能である。
図18は、本実施形態において製造したカラーフィルタ600を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置630が上記液晶装置620と大きく異なる点は、カラーフィルタ600を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置630は、カラーフィルタ600とガラス基板等からなる対向基板631との間にSTN液晶からなる液晶層632が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板631およびカラーフィルタ600の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層632側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極633が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極633の液晶層632側の面を覆うように第1配向膜634が形成されている。
対向基板631のカラーフィルタ600と対向する面上には、カラーフィルタ600側の第1電極633と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極636が所定の間隔で形成され、この第2電極636の液晶層632側の面を覆うように第2配向膜637が形成されている。
液晶層632には、この液晶層632の厚さを一定に保持するためのスペーサ638と、液晶層632内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材639が設けられている。
そして、上記した液晶装置620と同様に、第1電極633と第2電極636との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
図19は、本発明を適用したカラーフィルタ600を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置したものである。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600と、これに対向するように配置された対向基板651と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ600の上面側(観測者側)に配置された偏光板655と、対向基板651の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ600の保護膜609の表面(対向基板651側の面)には液晶駆動用の電極656が形成されている。この電極656は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極660が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極656の画素電極660とは反対側の面を覆った状態で配向膜657が設けられている。
対向基板651のカラーフィルタ600と対向する面には絶縁層658が形成されており、この絶縁層658上には、走査線661及び信号線662が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線661と信号線662とに囲まれた領域内には画素電極660が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極660上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
また、画素電極660の切欠部と走査線661と信号線662とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ663が組み込まれて構成されている。そして、走査線661と信号線662に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ663をオン・オフして画素電極660への通電制御を行うことができるように構成されている。
なお、上記の各例の液晶装置620,630,650は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
次に、図20は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置700と称する)の要部断面図である。
この表示装置700は、基板(W)701上に、回路素子部702、発光素子部703及び陰極704が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置700においては、発光素子部703から基板701側に発した光が、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるとともに、発光素子部703から基板701の反対側に発した光が陰極704により反射された後、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるようになっている。
回路素子部702と基板701との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜706が形成され、この下地保護膜706上(発光素子部703側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜707が形成されている。この半導体膜707の左右の領域には、ソース領域707a及びドレイン領域707bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域707cとなっている。
また、回路素子部702には、下地保護膜706及び半導体膜707を覆う透明なゲート絶縁膜708が形成され、このゲート絶縁膜708上の半導体膜707のチャネル領域707cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極709が形成されている。このゲート電極709及びゲート絶縁膜708上には、透明な第1層間絶縁膜711aと第2層間絶縁膜711bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜711a、711bを貫通して、半導体膜707のソース領域707a、ドレイン領域707bにそれぞれ連通するコンタクトホール712a,712bが形成されている。
そして、第2層間絶縁膜711b上には、ITO等からなる透明な画素電極713が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極713は、コンタクトホール712aを通じてソース領域707aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜711a上には電源線714が配設されており、この電源線714は、コンタクトホール712bを通じてドレイン領域707bに接続されている。
このように、回路素子部702には、各画素電極713に接続された駆動用の薄膜トランジスタ715がそれぞれ形成されている。
上記発光素子部703は、複数の画素電極713上の各々に積層された機能層717と、各画素電極713及び機能層717の間に備えられて各機能層717を区画するバンク部718とにより概略構成されている。
これら画素電極713、機能層717、及び、機能層717上に配設された陰極704によって発光素子が構成されている。なお、画素電極713は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極713の間にバンク部718が形成されている。
バンク部718は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層718a(第1バンク層)と、この無機物バンク層718a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層718b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部718の一部は、画素電極713の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部718の間には、画素電極713に対して上方に向けて次第に拡開した開口部719が形成されている。
上記機能層717は、開口部719内において画素電極713上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層717aと、この正孔注入/輸送層717a上に形成された発光層717bとにより構成されている。なお、この発光層717bに隣接してその他の機能を有する他の機能層を更に形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成する事も可能である。
正孔注入/輸送層717aは、画素電極713側から正孔を輸送して発光層717bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層717aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
発光層717bは、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の何れかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層717bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層717aを再溶解させることなく発光層717bを形成することができる。
そして、発光層717bでは、正孔注入/輸送層717aから注入された正孔と、陰極704から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
陰極704は、発光素子部703の全面を覆う状態で形成されており、画素電極713と対になって機能層717に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極704の上部には図示しない封止部材が配置される。
次に、上記の表示装置700の製造工程を図21〜図29を参照して説明する。
この表示装置700は、図21に示すように、バンク部形成工程(S21)、表面処理工程(S22)、正孔注入/輸送層形成工程(S23)、発光層形成工程(S24)、及び対向電極形成工程(S25)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
まず、バンク部形成工程(S21)では、図22に示すように、第2層間絶縁膜711b上に無機物バンク層718aを形成する。この無機物バンク層718aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層718aの一部は画素電極713の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層718aを形成したならば、図23に示すように、無機物バンク層718a上に有機物バンク層718bを形成する。この有機物バンク層718bも無機物バンク層718aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部718が形成される。また、これに伴い、各バンク部718間には、画素電極713に対して上方に開口した開口部719が形成される。この開口部719は、画素領域を規定する。
表面処理工程(S22)では、親液化処理及び撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層718aの第1積層部718aa及び画素電極713の電極面713aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極713であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層718bの壁面718s及び有機物バンク層718bの上面718tに施され、例えば4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド61を用いて機能層717を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部719から溢れ出るのを防止することが可能となる。
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体700Aが得られる。この表示装置基体700Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル23に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S23)及び発光層形成工程(S24)が行われる。
図24に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S23)では、機能液滴吐出ヘッド61から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部719内に吐出する。その後、図25に示すように、乾燥処理及び熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面713a)713上に正孔注入/輸送層717aを形成する。
次に発光層形成工程(S24)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層717aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層717aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717a上に吐出しても、正孔注入/輸送層717aと発光層717bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層717bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層717aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層717a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層717aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717aに均一に塗布することができる。
そして次に、図26に示すように、各色のうちの何れか(図26の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部719)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層717a上に広がって開口部719内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部718の上面718t上に着弾した場合でも、この上面718tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部719内に転がり込み易くなっている。
その後、乾燥工程等を行う事により、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図27に示すように、正孔注入/輸送層717a上に発光層717bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層717bが形成されている。
同様に、機能液滴吐出ヘッド61を用い、図28に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層717bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)及び緑色(G))に対応する発光層717bを形成する。なお、発光層717bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
以上のようにして、画素電極713上に機能層717、即ち、正孔注入/輸送層717a及び発光層717bが形成される。そして、対向電極形成工程(S25)に移行する。
対向電極形成工程(S25)では、図29に示すように、発光層717b及び有機物バンク層718bの全面に陰極704(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極704は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極704の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
このようにして陰極704を形成した後、この陰極704の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置700が得られる。
次に、図30は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置800と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、及びこれらの間に形成される放電表示部803を含んで概略構成される。放電表示部803は、複数の放電室805により構成されている。これらの複数の放電室805のうち、赤色放電室805R、緑色放電室805G、青色放電室805Bの3つの放電室805が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
第1基板801の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極806が形成され、このアドレス電極806と第1基板801の上面とを覆うように誘電体層807が形成されている。誘電体層807上には、各アドレス電極806の間に位置し、且つ各アドレス電極806に沿うように隔壁808が立設されている。この隔壁808は、図示するようにアドレス電極806の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極806と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁808によって仕切られた領域が放電室805となっている。
放電室805内には蛍光体809が配置されている。蛍光体809は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室805Rの底部には赤色蛍光体809Rが、緑色放電室805Gの底部には緑色蛍光体809Gが、青色放電室805Bの底部には青色蛍光体809Bが各々配置されている。
第2基板802の図中下側の面には、上記アドレス電極806と直交する方向に複数の表示電極811が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層812、及びMgOなどからなる保護膜813が形成されている。
第1基板801と第2基板802とは、アドレス電極806と表示電極811が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極806と表示電極811は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極806,811に通電することにより、放電表示部803において蛍光体809が励起発光し、カラー表示が可能となる。
本実施形態においては、上記アドレス電極806、表示電極811、及び蛍光体809を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板801におけるアドレス電極806の形成工程を例示する。
この場合、第1基板801を液滴吐出装置1のセットテーブル23に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド61により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、又はニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
補充対象となる全てのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極806が形成される。
ところで、上記においてはアドレス電極806の形成を例示したが、上記表示電極811及び蛍光体809についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極811の形成の場合、アドレス電極806の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体809の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド61から液滴として吐出し、対応する色の放電室805内に着弾させる。
次に、図31は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置900と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置900を、その一部を断面として示してある。
この表示装置900は、互いに対向して配置された第1基板901、第2基板902、及びこれらの間に形成される電界放出表示部903を含んで概略構成される。電界放出表示部903は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部905により構成されている。
第1基板901の上面には、カソード電極906を構成する第1素子電極906aおよび第2素子電極906bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bで仕切られた部分には、ギャップ908を形成した導電性膜907が形成されている。すなわち、第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907により複数の電子放出部905が構成されている。導電性膜907は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ908は、導電性膜907を成膜した後、フォーミング等で形成される。
第2基板902の下面には、カソード電極906に対峙するアノード電極909が形成されている。アノード電極909の下面には、格子状のバンク部911が形成され、このバンク部911で囲まれた下向きの各開口部912に、電子放出部905に対応するように蛍光体913が配置されている。蛍光体913は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、各開口部912には、赤色蛍光体913R、緑色蛍光体913Gおよび青色蛍光体913Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
そして、このように構成した第1基板901と第2基板902とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置900では、導電性膜(ギャップ908)907を介して、陰極である第1素子電極906aまたは第2素子電極906bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極909に形成した蛍光体913に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極906a、第2素子電極906b、導電性膜907およびアノード電極909を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体913R,913G,913Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907は、図32(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図32(b)に示すように、予め第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜907を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜907を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板901および第2基板902に対する親液化処理や、バンク部911,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。