JP2006013006A - 半導体複合基板及びそれを用いた化合物半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 4H−SiC基板上に高品質のGaN系化合物半導体がエピタキシャル成長された半導体複合基板を提供する。
【解決手段】 半導体複合基板1は、SiC単結晶基板101の主表面上にAl1−xGaxN(0≦x≦1)エピタキシャル成長層100が直接形成されている。SiC単結晶基板101は4H−SiC単結晶基板であり、Al1−xGaxNエピタキシャル成長層の厚さが少なくとも4μmである。
【選択図】 図1
Description
この発明は、半導体複合基板及びそれを用いた化合物半導体素子に関する。
化合物半導体の多層構造は、周知の通り、MESFET(Metal-Semiconductor Field
Effect Transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)などの超高速トランジスタや、発光ダイオードやレーザーなどの発光素子に応用され、多くの需要を獲得するに至っている。近年注目を集めている半導体多層構造に、GaN系化合物半導体を用いたヘテロ接合構造がある。GaN系化合物半導体は室温におけるバンドギャップが2.0eV〜6.2eVまで変化可能であり、化学的にも安定であることから、青色等の発光素子に応用され、普及しつつある。また、GaN系化合物半導体はバンドギャップの広さに加え、高い電子移動度を有し、かつヘテロ接合形成が容易であることから、高温環境での動作が可能であり、より高速・高出力の次世代型超高速トランジスタへの応用も注目されており、研究が重ねられている。
Effect Transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)などの超高速トランジスタや、発光ダイオードやレーザーなどの発光素子に応用され、多くの需要を獲得するに至っている。近年注目を集めている半導体多層構造に、GaN系化合物半導体を用いたヘテロ接合構造がある。GaN系化合物半導体は室温におけるバンドギャップが2.0eV〜6.2eVまで変化可能であり、化学的にも安定であることから、青色等の発光素子に応用され、普及しつつある。また、GaN系化合物半導体はバンドギャップの広さに加え、高い電子移動度を有し、かつヘテロ接合形成が容易であることから、高温環境での動作が可能であり、より高速・高出力の次世代型超高速トランジスタへの応用も注目されており、研究が重ねられている。
GaN系化合物半導体は、GaAs系化合物などと異なり、ホモエピタキシャル成長を可能とする半絶縁性単結晶基板を製造することが困難であるため、ヘテロ接合構造を有する素子層を形成するに際しては、SiC単結晶基板やサファイア(単結晶アルミナ)基板が使用されている。しかしながら、サファイアはGaN系化合物との格子不整が13パーセント以上もあるので、この上に成長されるGaN系化合物の結晶は結晶欠陥が非常に大きいといった問題を有する。従って、GaN系半導体装置を高出力電子デバイスとして応用する場合には、GaN系半導体との格子不整が小さく熱伝導率の大きいSiC基板を用いるほうが有利とされている。
SiC結晶には多数のポリタイプが存在することが知られているが、結晶成長用の単結晶基板としては、昇華法によりバルク成長が比較的容易な4H−SiC及び6H−SiCが用いられ、研究も進んでいる。図2は、4H−SiCと6H−SiCとの結晶積層構造を対比して示すものであり、前者はc面上への4周期積層構造を有し、後者は同じく6周期積層構造を有している。
SiCはGaN系半導体の結晶成長用以外にも用途が多く、単結晶基板も4H型のものと6H型のものとの双方が製造されている。GaN系化合物半導体の成長用としては4H−SiCと6H−SiCとのいずれも使用可能であり、品質や価格に応じて適宜使い分けられているのが現状である。
しかしながら、本発明者が検討したところ、次のようなことがわかった。すなわち、4H−SiC基板と6H−SiC基板とでは、その上に成長するGaN系化合物エピタキシャル層への影響が異なり、結果として、得られるエピタキシャル層の結晶品質に差が生じる。この場合、高品質なエピタキシャル層を得るには、4H−SiCと6H−SiCとに対し、それぞれ好適な成長条件を選択する必要がある。そして、基板上のバッファ層に由来するピーク強度やフリンジの急峻性の差異、及びバッファ層上のエピタキシャル層について測定されたロッキングカーブ半値幅などから、高品質なエピタキシャル層を得るのは、4H−SiCの方が6H−SiCよりも困難であることがわかった。電子デバイス用途としては、半絶縁性半導体基板が用いられるが、6H−SiCについては半絶縁性基板が現在入手困難であり、半絶縁性基板が比較的入手しやすい4H−SiC上で、結晶品質の良好なエピタキシャル層が得られるようにする必要がある。
本発明の課題は、4H−SiC基板上に高品質のGaN系化合物半導体がエピタキシャル成長された半導体複合基板と、それを用いて得られる化合物半導体素子とを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の半導体複合基板は、SiC単結晶基板の主表面上にAl1−xGaxN(0≦x≦1)エピタキシャル成長層が直接形成されてなり、SiC単結晶基板は4H−SiC単結晶基板であり、かつ、Al1−xGaxNエピタキシャル成長層の厚さを少なくとも4μmとなしたことを特徴とする。
また、本発明の化合物半導体素子は、上記本発明の半導体複合基板の、Al1−xGaxNエピタキシャル成長層(以下、単に「AlGaN(下位概念はGaN及びAlNを含む)層」ともいう)の主表面上に、InxGayAl1−x−yN(ただし、0≦x<1、0≦y≦1、0<x+y≦1)よりなる半導体素子層がエピタキシャル成長されてなることを特徴とする。
SiC基板上に形成したAlGaN層の結晶品質は、周知のX線回折(X-Ray Diffraction:XRD)による、特定回折ピークの半値幅にて評価できる。具体的には、そのピークが急峻で半値幅が狭いものほど、規則性の乱れた結晶欠陥等の少ない良好な結晶品質が実現していることを意味する。図3は、6H−SiC基板を用いた場合と4H−SiC基板を用いた場合とのそれぞれについて、GaN層をエピタキシャル成長したときの、GaN層の層厚と、そのXRD(ωスキャン)による(002)ロッキングカーブの半値幅との関係を示すものである。6H−SiC基板の場合、GaN層の厚さが2μm程度と比較的小さくてもロッキングカーブの半値幅は比較的小さく、良好な結晶品質のGaNが得られていることがわかる。この場合、さらにGaN層の厚さを増加させても、膜厚2μm以上の領域では、ロッキングカーブの半値幅は減少せず、結晶品質の改善効果は見られない。
これに対し、4H−SiC基板の場合は、GaN層の厚さが2μmでは、6H−SiC基板を用いた場合よりもロッキングカーブの半値幅が相当大きく、結晶品質の劣るGaN層しか得られていない。従って、このようなGaN層上にエピタキシャル成長した半導体素子層も当然高品質のものは期待できず、電流リークや耐電圧不足などの不具合につながりうる。しかしながら、本発明らは、4H−SiC基板上にエピタキシャル成長するGaN層をさらに増加させて見たところ、図3に示すように、厚さ増大に伴ってロッキングカーブの半値幅が顕著に縮小し、特に、厚さが4μ以上の領域では、半値幅比較にて、6H−SiC上のGaN層との結晶品質の差をかなり改善できることがわかった。この傾向は、エピタキシャル成長するのがAlGaN混晶層やAlN層の場合でも、基本的には変わらないが、GaN層の場合に特に効果は顕著である。
これにより、用いる基板が4H−SiCであっても、成長されるAlGaN層(Al1−xGaxNエピタキシャル成長層)の結晶品質を大幅に向上することができ、ひいては半導体素子層をさらにエピタキシャル成長して得られる化合物半導体素子の性能も改善することができる。AlGaN層は、その厚みを4μm以上とすることで、具体的には、ωスキャンによるXRD(002)ロッキングカーブを測定したときの半値幅が200”以下となる程度に、結晶品質を改善することができる。また、結晶品質のばらつきの影響も受け難くなる。なお、AlGaN層の厚みの上限に特に制限はないが、生産性を考慮すれば、該厚みは8μm以下の範囲で選定することが望ましいといえる。
図4は、本発明の半導体素子をHEMTとして構成した例を示す。該HEMT200は、SiC単結晶基板101上にGaN層(GaNエピタキシャル成長層)100を形成した半導体複合基板1の、該GaN層100の主表面上に、、InxGayAl1−x−yN(ただし、0≦x<1、0≦y≦1、0<x+y≦1)よりなる半導体素子層103をヘテロエピタキシャル成長法により形成したものである。
図1に示すように、半導体複合基板1に使用するSiC単結晶基板101は、c面を主表面と一致させた4H−SiC基板である。また、GaN層(AlGaN混晶層またはAlN層でもよい)100の厚さtは4μm以上8μm以下である。
図4に示すHEMT200は、GaNバッファ層102に近い側から、ノンドープのGaNチャネル層119、ノンドープのGaAlNスペーサ層105、Si等によりn型にドープされたGaAlN電子供給層110、電極とのコンタクト層として機能するn型GaN層111がこの順序にて積層された構造を有する。GaNバッファ層102及びGaNチャネル層119が半導体複合基板1のGaN層100に割り振られ、残余の層が半導体素子層103としてGaN層100上にエピタキシャル成長されている。n型GaN層111上には、ドレイン電極106、ソース電極107が形成され、n型GaN層111の非形成領域に露出するn型GaAlN層110にゲート電極108が形成されている。ドレイン電極106とソース電極107とはn型GaN層111との間でオーミック接合を形成する金属(例えばTi/Al)により、ゲート電極108はn型GaAlN電子供給層110との間でショットキー(Schottky)接合を形成する金属(例えばPd/Au)により、それぞれ構成されている。GaAlNスペーサ層105は、n型GaAlN電子供給層110を成長する際に、すでに形成されているGaNチャネル層119にn型ドーパントであるSi等の不純物が拡散することを防止するためのものである。
GaAlNスペーサ層105とGaNチャネル層119との間には、電子移動度の高い二次元電子ガス(2DEG)層が形成される。そして、ドレイン電極106とソース電極107との間に電圧を印加し、ゲート電極108でその電流値を制御しながら、ドレイン電極106とソース電極107との間でGaNチャネル層119を経由した通電を行なうことができる。
以下、半導体複合基板1を含めた上記のHEMT200の製造方法について説明する。バッファ層102及び半導体素子層103の形成は、公知のMOVPE法あるいはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法を用いた気相成長法により行なうことができる。MOVPE法を採用する場合、原料ガスとしては次のようなものを用いることができる。
・Ga源:トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など
・In源:トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
・Al源;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・N源:アンモニア(NH3)など。
また、p型ドーパント源及びn型ドーパント源となるドーパントガスは、以下のものが使用可能である。
・Mg源:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)など。
・Si源:シランなどのシリコン水素化物など;
なお、本実施例においては、ドーパント元素としてSiおよびMgを採用しているが、n型ドーパントとしてC、Ge、SnなどのIV族元素を、p型ドーパントとしてCa、Sr、ZnなどのII族元素を用いることができる。
上記の各原料ガスは、キャリアガス(例えば窒素ガス)により適度に希釈した形で、基板101を配置した反応容器内に供給される。
・Ga源:トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など
・In源:トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
・Al源;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・N源:アンモニア(NH3)など。
また、p型ドーパント源及びn型ドーパント源となるドーパントガスは、以下のものが使用可能である。
・Mg源:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)など。
・Si源:シランなどのシリコン水素化物など;
なお、本実施例においては、ドーパント元素としてSiおよびMgを採用しているが、n型ドーパントとしてC、Ge、SnなどのIV族元素を、p型ドーパントとしてCa、Sr、ZnなどのII族元素を用いることができる。
上記の各原料ガスは、キャリアガス(例えば窒素ガス)により適度に希釈した形で、基板101を配置した反応容器内に供給される。
まず、半導体複合基板1を製造する。4H−SiC単結晶基板1の主表面上に、バッファ層102を成長し、引き続き、GaNチャネル層119を成長する。この時点で半導体複合基板1の製造工程が終わる。その後、原料ガス及びドーパントガスとなる有機金属ガスの流量比を層毎に調整することにより、GaAlNスペーサ層105、GaAlN電子供給層110及びn型GaN層111を順次エピタキシャル成長させる。そして、n型GaN層111の一部をフォトリソグラフィー等により一部除去し、露出したGaAlN電子供給層110にゲート電極108を、また、残留したn型GaN層111上にドレイン電極106及びソース電極107を形成する。その後、基板101とともにダイシングしてチップとなし、各電極に導通するリードフレームとともに樹脂モールドすることにより、最終的なHEMT200となる。
半導体複合基板1において、バッファ層102+GaNチャネル層119からなるGaN層100の厚さを4μm以上とすることで、用いる基板が4H−SiCであるにもかかわらず、成長されるGaN層100、ひいては半導体素子層103の結晶品質を大幅に向上することができ、得られるHEMTの耐圧不足やゲート電流リークなどといった性能上の不具合も起こりにくくなる。
特許文献2及び特許文献3に開示されているごとく、薄膜結晶成長に用いるSiC単結晶基板は、その品質が現状ではSi基板に遠く及ばず、表面の研磨傷当の残留量も多い。特に、4H−SiC基板については6H−SiC基板よりも研磨傷の残留を生じやすく、直接成長するGaN層100の厚さを増加させることで、層の結晶品質を改善できる一つの要因になっている可能性がある。
以上説明した実施形態では、化合物半導体素子をHEMTとして構成したが、それ以外の超高速トランジスタ、例えばMESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)やHBT(Hetero Bipolar Transistor)などにも本発明を適用することもできる。さらに、化合物半導体素子を発光素子として構成することもできる。
1 半導体複合基板
101 4H−SiC基板
102 バッファ層
103 半導体素子層
119 I−GaNチャネル層(AlGaNエピタキシャル成長層)
200 HEMT(化合物半導体素子)
101 4H−SiC基板
102 バッファ層
103 半導体素子層
119 I−GaNチャネル層(AlGaNエピタキシャル成長層)
200 HEMT(化合物半導体素子)
Claims (4)
- SiC単結晶基板の主表面上にAl1−xGaxN(0≦x≦1)エピタキシャル成長層が直接形成されてなり、前記SiC単結晶基板は4H−SiC単結晶基板であり、かつ、前記Al1−xGaxNエピタキシャル成長層の厚さを少なくとも4μmとなしたことを特徴とする半導体複合基板。
- 前記Al1−xGaxNエピタキシャル成長層は、ωスキャンによるXRD(002)ロッキングカーブを測定したときの半値幅が200”以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体複合基板。
- 前記Al1−xGaxNエピタキシャル成長層がGaNからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体複合基板。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の半導体複合基板の、前記Al1−xGaxNエピタキシャル成長層の主表面上に、InxGayAl1−x−yN(ただし、0≦x<1、0≦y≦1、0<x+y≦1)よりなる半導体素子層がエピタキシャル成長されてなることを特徴とする化合物半導体素子。
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JP2004185563A JP2006013006A (ja) | 2004-06-23 | 2004-06-23 | 半導体複合基板及びそれを用いた化合物半導体素子 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2017514316A (ja) * | 2014-03-14 | 2017-06-01 | オーエムエムイシー | ヘテロ接合電界効果トランジスタ |
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2004
- 2004-06-23 JP JP2004185563A patent/JP2006013006A/ja active Pending
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