JP2006009824A - オイルシール - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルシールにおいて、軸の回転速度に拘らず高いシール性能を確保することができると共に磨耗を抑制可能とする。
【解決手段】シリンダヘッド11にステムガイド21,22により吸気弁19及び排気弁20を軸方向に移動自在に支持し、この吸気弁19及び排気弁20とステムガイド21,22との摺動部にオイルシール35,36を設け、このオイルシール35,36にて、シール部材42に固定されたシールリング43を吸気弁19及び排気弁20に押圧するためのコイルスプリング44を形状記憶合金により構成し、コイルスプリング44を高温に移行するほどその押圧力が大きくなるように設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、潤滑部から外部へのオイル漏れを防止するためのオイルシールに関し、特に、互いに相対回転自在、または、軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間に設けられた環状の隙間を密封するためのものである。
例えば、内燃機関においては、吸気弁及び排気弁の開閉駆動を行う動弁系、クランクシャフトやピストンなどを駆動する摺動系に対して、常時潤滑油としてのオイルを供給して磨耗や発熱を防止し、円滑な作動を確保するようにしている。一般的に、オイルはエンジン下部に装着されたオイルパンに貯留されており、オイルポンプによってオイルギャラリ(オイル通路)を通してエンジンの各潤滑必要部に供給され、再び、オイルパンに戻されるようになっている。そして、動弁系や摺動系では、このオイルが外部に漏れないように、軸とこれを回転自在または摺動自在に支持するハウジングとの間に設けられた環状の隙間を密封するオイルシールが設けられている。
この内燃機関に適用される一般的なオイルシールは、金属環にシールリップを構成する合成ゴムを焼き付け接着して構成されており、ハウジングに対して軸が回転自在に支持された構造にて、ハウジングにオイルシールの基端部が嵌合して固定される一方、先端部のシールリップがコイルスプリングにより軸の外周面に密接した状態に保持されている。従って、このオイルシールは、シールリップが軸の外周面に隙間なく密接することで、ハウジング内からのオイルの漏洩を防止することができる。
なお、従来のオイルシールとしては、例えば、下記特許文献1、2に記載されたものがある。
特開平09−310689号公報 実開昭64−055370号公報
ところで、内燃機関に適用されるオイルシールによるシール力は、シールリップが軸の外周面に密接するその緊迫力であり、オイルシール自体の弾性力とコイルスプリングの付勢力によって設定されるものである。このオイルシールの緊迫力は、内燃機関の停止時におけるオイルシールと軸との隙間がなくなるような値に設定されるものであるが、内燃機関の高回転時には、ハウジング内圧が上昇してこの圧力がオイルシールと軸との隙間を大きくする方向に作用することから、このときの圧力に基づいてオイルシールの緊迫力、特に、コイルスプリングの付勢力を設定している。
そのため、内燃機関の低回転時には、オイルシールと軸との間に過剰な緊迫力が作用し、両者の間の摩擦抵抗が増大してしまう。すると、オイルシールと軸との間の摺動部における磨耗が増大して耐久性が低下して寿命が短くなってしまうという問題がある。また、オイルシールと軸との間に大きな摩擦抵抗が作用すると、内燃機関の始動時に大きな起動力が必要となり、また、低回転時にも大きな駆動力が必要となり、燃費が悪化するばかりでなく、スタータやバッテリの大型化が必要となり、高コスト化を招いてしまう。更に、内燃機関の低回転時には、オイルシールと軸との間の摺動部から騒音が発生しやすく、軸の表面粗さを向上させるなどの対策が必要となり、この点でも高コスト化を招いてしまうという問題がある。
なお、上述した特許文献1は、スクロール型圧縮機にて、可動スクロールの渦巻状の歯に形成された溝にチップシールを嵌入し、クランクシャフトの高回転時には、その遠心力によりチップシールの押付力を減少させて摩擦力を小さくし、磨耗を減少させるようにしたものである。また、特許文献2は、回転側シール部材に固定側シール部材に接触する端面リップを傾斜して設け、回転軸の高回転時には、遠心力により固定側シール部材に対する端面リップの接触面圧が減少し、磨耗を減少させるようにしたものである。ところが、各特許文献1、2とも、軸の高回転時には、遠心力によりシールを変形させて摺動部の摩擦抵抗を減少させるものであり、磨耗は減少するものの、このときの十分なシール性を確保することができない。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、軸の回転速度に拘らず高いシール性能を確保することができると共に磨耗を抑制可能としたオイルシールを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のオイルシールは、互いに相対回転自在または軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間に設けられた環状の隙間を密封するオイルシールにおいて、基端部が前記ハウジング側または前記軸側のいずれか一方に固定されて先端部が前記いずれか他方に接触可能なシール部材と、該シール部材の先端部を前記他方に押圧するスプリングとを有し、前記スプリングを形状記憶合金により構成して高温に移行するほど前記押圧力が大きくなるように設定したことを特徴とするものである。
また、本発明のオイルシールでは、前記ハウジングに対して前記軸が軸方向に移動自在に支持され、前記シール部材は、基端部が前記ハウジング側に固定される一方、先端部が前記軸の外周面に接触可能であり、該シール部材の外側に前記スプリングが配設されたことを特徴としている。
本発明のオイルシールでは、前記ハウジングに対して前記軸が回転自在に支持され、前記ハウジング側に設けられたコ字形状断面を有する第1噛み合い部と、前記軸側に設けられた第2噛み合い部とがシールプレートを介して且つ所定間隔をもって噛み合うと共に、前記第2噛み合い部に固定された前記シール部材の先端部が前記第1噛み合い部の先端部に接触可能であり、該シール部材の外側に前記スプリングが配設されたことを特徴としている。
本発明のオイルシールでは、前記スプリングは、2元系合金からなる第1スプリングと、3元系合金からなる第2スプリングであり、前記第1スプリングと前記第2スプリングは変態温度が相違することを特徴としている。
本発明のオイルシールによれば、ハウジングまたは軸に接触するシール部材の先端部を押圧するスプリングを形状記憶合金により構成し、高温に移行するほどその押圧力が大きくなるように設定したので、軸の低回転時には、スプリングによるシール部材の押圧力が小さくなり、摩擦力が低減して軸をスムースに回転することができる一方、軸の高回転時には、スプリングによるシール部材の押圧力が大きくなり、高いシール性能を確保することができる。
以下に、本発明にかかるオイルシールの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係るオイルシールの半断面図、図2は、実施例1のオイルシールの温度に対する緊迫力を表すグラフ、図3は、実施例1のオイルシールが適用されたエンジンの要部断面図である。
実施例1のオイルシールが適用されたエンジンにおいて、図1に示すように、シリンダヘッド11の下部にシリンダブロック12が組み付けられ、複数の図示しない締結ボルトにより組み付けられている。シリンダブロック12には複数のシリンダボア13が形成され、各シリンダボア13にピストン14が摺動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック12の下部に図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド15を介してこのクランクシャフトに連結されている。
燃焼室16は、シリンダブロック12に形成されたシリンダボア13と、シリンダヘッド11の下面と、ピストン14の頂面により構成されており、天井部(シリンダヘッド12の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この燃焼室16の上部、つまり、シリンダヘッド11の下面に吸気ポート17及び排気ポート18が対向して形成されており、この吸気ポート17及び排気ポート18に対して吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ位置している。この吸気弁19及び排気弁20は、シリンダヘッド11に固定された各ステムガイド21,22により軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、各バルブスプリング23,24により吸気ポート17及び排気ポート18を閉止する方向に付勢支持されている。また、吸気弁19及び排気弁20は、上端部にローラロッカアーム25,26の一端部が連結され、このローラロッカアーム25,26の他端部はシリンダヘッド11に固定されたラッシュアジャスタ27,28に連結されており、吸気カムシャフト29の吸気カム30及び排気カムシャフト31の排気カム32が各ラッシュアジャスタ27,28に接触している。
従って、エンジンに同期して吸気カムシャフト29及び排気カムシャフト31が回転すると、吸気カム30及び排気カム32がローラロッカアーム25,26を作動させ、各吸気弁19及び排気弁20が所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート17及び排気ポート18を開閉し、吸気ポート17と燃焼室16、燃焼室16と排気ポート18とをそれぞれ連通することができる。
燃焼室16の側部、つまり、吸気ポート17側のシリンダヘッド11の下面には、この燃焼室16に直接燃料を噴射する燃料噴射弁33が装着されている。また、燃焼室16の天井部中央、つまり、各吸気ポート17及び各排気ポート18の間のシリンダヘッド11の下面には、点火プラグ34が装着されている。そして、車両には電子制御ユニット(ECU)が搭載されており、このECUは、燃料噴射弁33の燃料噴射タイミングや点火プラグ34による点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、スロットル開度(アクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
上述した吸気弁19及び排気弁20等からなる動弁機構にて、カムシャフト29,31の周辺部には図示しないオイル通路を通してオイル(潤滑油)が供給されているが、このオイルが吸気弁19及び排気弁20を伝って燃焼室16内に浸入しないように、吸気弁19及び排気弁20とステムガイド21,22との摺動部に本実施例のオイルシール35,36が設けられている。以下に、このオイルシール35,36について説明するが、両者はほぼ同様の構成であるため、吸気弁19とステムガイド21との摺動部に設けられたオイルシール35についてのみ詳細に説明する。
オイルシール35は、図1に示すように、ステムガイド(ハウジング)21に対して吸気弁19の軸部19aが軸方向に移動自在に組み付けられ、このステムガイド21と吸気弁19の軸部19aとの間に設けられた環状の隙間を密封するためのものである。このオイルシール35において、ケーシング41は金属製で円筒形状をなし、ステムガイド21の外径より大きい内径を有するケーシング本体41aと、このケーシング本体41aの軸方向の上端部が内方に屈曲したフランジ部41bとが一体に形成されてなり、このフランジ部41bの内径はステムガイド21の外径より小さく、且つ、吸気弁19の軸部19aより大きく設定されている。
このケーシング41の内周部にはシール部材42の基端部が固定されている。このシール部材42は合成ゴム製で円筒形状をなし、ケーシング41の内周部に溶着されてステムガイド21の外周面に嵌合する嵌合部42aと、この嵌合部42aの軸方向の上端部が内方に屈曲したフランジ部42bと、このフランジ部42bからケーシング41の外方に延出されて吸気弁19の軸部19aに沿うシールリップ(先端部)42cとが一体に形成されて構成されている。そして、このシール部材42のフランジ部42bからシールリップ42cに至るその内側にシールリング43が溶着されている。
このシールリング43は金属製で円筒形状をなし、ステムガイド21の端面に接触するフランジ部43aと、このフランジ部43aから屈曲して吸気弁19の軸部19aに対して傾斜すると共に、板厚が漸次薄くなるリング部43bと、このリング部43bの上端部に形成されて吸気弁19の軸部19aの外周面に接触可能なシール部43cとが一体に形成されて構成されている。そして、このシールリング43の内面、少なくとも軸部19aの外周面に接触するシール部43cにゴム部材が表面処理によりコーティングされている。
また、シール部材42のシールリップ42cの外周部には周方向に沿って取付溝42dが形成されており、この取付溝42dにはリング状をなすコイルスプリング44が装着されている。このコイルスプリング44は、その張力によりシールリップ42cを介してシールリング43のシール部43cを吸気弁19の軸部19aの外周面に押圧することで、吸気弁19の軸部19aを伝ってステムガイド21側に浸入するオイルを阻止するものである。なお、コイルスプリング44の取付位置とシールリング43のシール部43cの位置とは、軸方向にてほぼ同位置となっている。
そして、本実施例では、このコイルスプリング44を形状記憶合金により構成することで、コイルスプリング44が高温に移行するほどシールリング43を吸気弁19の軸部19aに押圧する押圧力が大きくなるように設定している。即ち、このコイルスプリング44は、チタン(Ti)とニッケル(Ni)との合金により構成されており、所定の温度以下では柔らかく張力が低いが、所定の温度を超えると、その硬度が増して張力が高くなるようにその配合が設定されている。形状記憶合金を加熱すると、低温のマルテンサイト相からある温度(オーステナイト変態開始温度)から変態が始まり、オーステナイト相に変化する一方、高温のオーステナイト相を冷却すると、ある温度(マルテンサイト変態開始温度)から変態が始まり、マルテンサイト相に変化する。この場合、オーステナイト変態開始温度<マルテンサイト変態開始温度であり、オーステナイト相は、マルテンサイト相に比べて非常に硬くて変形がしにくいため、スプリングに用いると張力が増大する。
そのため、本実施例のオイルシール35のように、シールリング43を吸気弁19の軸部19aに押圧する押圧力を得るために形状記憶合金製のコイルスプリング44を用いると、温度に応じて2種類の吸気弁19の軸部19aに対する緊迫力を確保することができる。即ち、コイルスプリング44は、図2に太線で示すように、所定温度T1より低い温度では小さい緊迫力F1であるが、温度が上昇してこの所定温度T1を超えると緊迫力が上昇し、所定温度T2を超えると大きい緊迫力F2となる。なお、図2にて表す点線は従来のオイルシールの緊迫力であり、温度に拘らず一定となっている。
ここで、本実施例のオイルシール35,36の作用について説明する。図1乃至図3に示すように、エンジンの停止時は、エンジン自体が低温状態であるため、オイルシール35,36のコイルスプリング44も低温であって、その緊迫力は小さなものとなっている。そのため、この状態からエンジンを始動すると、吸気弁19及び排気弁20とオイルシール35,36との間に大きな摩擦抵抗が作用することはなく、この吸気弁19及び排気弁20は大きな起動力を必要とせずにスムースに作動することができる。また、このとき、エンジン自体が高温状態で出ないため、オイルシール35,36に作用する圧力も大きくなく、低い緊迫力で所定のシール性能を確保することができる。
一方、エンジンの高回転時には、エンジン自体が高温状態となるため、オイルシール35,36のコイルスプリング44も高温であって、その緊迫力は大きなものとなる。そのため、エンジン自体が高温状態であってオイルシール35,36に作用する圧力が大きくなるものの、高い緊迫力により十分なシール性能を確保することができる。また、このとき、吸気弁19及び排気弁20とオイルシール35,36との間に大きな摩擦抵抗が作用するものの、この吸気弁19及び排気弁20の駆動力が大きいため、作動抵抗とならずにスムースに作動することができる。
このように実施例1にあっては、シリンダヘッド11にステムガイド21,22により吸気弁19及び排気弁20を軸方向に移動自在に支持し、この吸気弁19及び排気弁20とステムガイド21,22との摺動部にオイルシール35,36を設け、このオイルシール35,36にて、シール部材42に固定されたシールリング43を吸気弁19及び排気弁20に押圧するためのコイルスプリング44を形状記憶合金により構成し、コイルスプリング44を高温に移行するほどその押圧力が大きくなるように設定している。
従って、エンジンの低回転時には、オイルシール35,36のコイルスプリング44が低温であってその張力が小さいため、オイルシール35,36と吸気弁19及び排気弁20との間に過剰な緊迫力が作用することはなく、摩擦抵抗が小さくなって磨耗が増大することもなく、この吸気弁19及び排気弁20をスムースに作動することができる。その結果、オイルシール35,36の耐久性を向上して寿命を延長することができ、また、エンジンの低回転時に大きな駆動力が不要となり、燃費を向上することができると共に、スタータやバッテリの大型化も不要となり、高コスト化を抑制することができる。異音の発生がほとんどなく、吸気弁19及び排気弁20の軸の表面粗さを向上させる必要もなく、この点でも高コスト化を抑制することができる。更に、このとき、エンジン自体が高温状態で出ないため、オイルシール35,36に作用する圧力も大きくなく、低い緊迫力で所定のシール性能を確保することができる。
一方、エンジンの高回転時には、エンジンの熱によりオイルシール35,36のコイルスプリング44が高温となってその張力が大きくなるため、オイルシール35,36に作用する圧力が大きくなるものの、高い緊迫力により十分なシール性能を確保することができる。また、このとき、吸気弁19及び排気弁20とオイルシール35,36との間に大きな摩擦抵抗が作用するものの、この吸気弁19及び排気弁20の駆動力が大きいため、作動抵抗とならずにスムースに作動することができる。
図4は、本発明の実施例2に係るオイルシールの半断面図、図5は、実施例2のオイルシールの温度に対する緊迫力を表すグラフである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2において、図4に示すように、オイルシール51は、ステムガイド21に対して吸気弁19の軸部19aが軸方向に移動自在に組み付けられ、このステムガイド21と吸気弁19の軸部19aとの間に設けられた環状の隙間を密封するためのものである。このオイルシール51において、ケーシング41は金属製で円筒形状をなし、ケーシング本体41aとフランジ部41bとが一体に形成されて構成されている。このケーシング41の内周部に固定されるシール部材42は合成ゴム製で円筒形状をなし、嵌合部42aとフランジ部42bとシールリップ42cとが一体に形成されて構成され、シールリップ42cの外周部に周方向に沿って互いに平行をなす2つの取付溝42d,42eが形成されている。このシール部材42のフランジ部42bからシールリップ42cに至るその内側に固定されたシールリング43は金属製で円筒形状をなし、フランジ部43aとリング部43bとシール部43cとが一体に形成されて構成されている。
そして、シール部材42の各取付溝42d,42eにはリング状をなすコイルスプリング52,53が装着されており、このコイルスプリング52,53は、その張力によりシールリップ42cを介してシールリング43のシール部43cを吸気弁19の軸部19aの外周面に押圧することで、吸気弁19の軸部19aを伝ってステムガイド21側に浸入するオイルを阻止するものである。本実施例では、このコイルスプリング52,53を形状記憶合金により構成することで、コイルスプリング52,53が高温に移行するほどシールリング43を吸気弁19の軸部19aに押圧する押圧力が大きくなるように設定している。即ち、このコイルスプリング(第1スプリング)52は、チタン(Ti)とニッケル(Ni)との二元系合金により構成され、コイルスプリング(第2スプリング)53は、チタン(Ti)とニッケル(Ni)と他の金属の三元系合金により構成されている。この場合、他の金属とは、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、銅(Cu)、バナジウム(V)などである。
各コイルスプリング52,53は、所定の温度以下では柔らかく張力が低いが、所定の温度を超えると、その硬度が増して張力が高くなるようにその配合が設定されている。二元系合金のコイルスプリング52は、前述した実施例1のコイルスプリング44と同様の性質を有するものであるが、三元系合金のコイルスプリング53は、変態する温度及び変態度合が相違している。即ち、一方のコイルスプリング52を用いたオイルシールでは、図5に一点鎖線示すように、所定温度T1より低い温度では小さい緊迫力F1であるが、温度が上昇してこの所定温度T1を超えると緊迫力が上昇し、所定温度T2を超えると大きい緊迫力F2となる。また、他方のコイルスプリング53を用いたオイルシールでは、図5に二点鎖線示すように、所定温度T2より低い温度では緊迫力F1は0であるが、温度が上昇して所定温度T2を超えると緊迫力F1となり、この温度勾配がなだらかなものとなっている。従って、コイルスプリング52,53を用いた本実施例のオイルシール51では、図5に太線で示すように、所定温度T1より低い温度では小さい緊迫力F1であり、この所定温度T1を超えると緊迫力F2まで急激に上昇し、所定温度T2を超えると緊迫力F3までなだらかに上昇して一定となる。
このように実施例2にあっては、吸気弁19とステムガイド21との摺動部に設けたオイルシール51にて、シール部材42に固定されたシールリング43を吸気弁19及び排気弁20に押圧するために二元系のコイルスプリング52と三元系のコイルスプリング53とを設け、各コイルスプリング52,53を高温に移行するほどその押圧力が大きくなるように設定している。
従って、エンジンの低回転時には、オイルシール51のコイルスプリング52,53が低温であってその張力が小さいため、オイルシール51と吸気弁19との間に過剰な緊迫力が作用することはなく、摩擦抵抗が小さくなって磨耗が増大することもなく、この吸気弁19をスムースに作動することができる。また、このとき、エンジン自体が高温状態で出ないため、オイルシール51に作用する圧力も大きくなく、低い緊迫力で所定のシール性能を確保することができる。一方、エンジンの高回転時には、エンジンの熱によりオイルシール51のコイルスプリング52,53が高温となってその張力が大きくなるため、オイルシール51に作用する圧力が大きくなるものの、高い緊迫力により十分なシール性能を確保することができる。また、このとき、吸気弁19とオイルシール51との間に大きな摩擦抵抗が作用するものの、この吸気弁19の駆動力が大きいため、作動抵抗とならずにスムースに作動することができる。
また、コイルスプリング52,53が低温から高温に加熱されるとき、段階的に、且つ、徐々にその張力(緊迫力)が大きくなることで、オイルシール51と吸気弁19との間のシール性能に応じた緊迫力を付与することができ、吸気弁19の駆動性能とオイルシール51のシール性能の両立を図ることができる。更に、吸気弁19の共振点近傍にオイルシール51の最大張力(最大緊迫力)を設定することが可能であり、これによりシール性能を更に向上することができる。
なお、この実施例1、2にて、オイルシール35,36,51を吸気弁19の軸部19a方に押圧するスプリングとして、コイルスプリング44または二元系のコイルスプリング52と三元系のコイルスプリング53を適用したが、その素材の配合による緊迫力は各オイルシール35,36,51の適用部位に応じて適宜設定すればよいものであり、各実施例のものに限定されるものではない。また、実施例2では、2つのコイルスプリング52,53を適用したが、3つ以上のコイルスプリングを組み合わせて適用しても良い。
図6は、本発明の実施例3に係るオイルシールの要部断面図、図7は、実施例3のオイルシールの温度に対する緊迫力を表すグラフである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例3において、図6に示すように、オイルシール71は、シリンダブロック61と、このシリンダブロック61及び図示しないクランクケースにより回転自在に支持されたクランクシャフト62との間に設けられた環状の隙間を密封するためのものである。このオイルシール71において、シリンダブロック61に形成された凹部63には、第1ケーシング(第1噛み合い部)72が固定される一方、クランクシャフト62の外周部には、第1ケーシング72とシールプレート73を介して所定間隔をもって噛み合う第2ケーシング(第2噛み合い部)74が固定されている。
第1ケーシング72は、金属製で円筒形状をなすと共にコ字形状断面であって、基端部72aがシリンダブロック61の凹部63の内周面に第1ラバー75を介して固定され、先端部72bがクランクシャフト62側に所定角度で屈曲している。一方、第2ケーシング74は、金属製で円筒形状をなすと共にコ字形状断面であって、基端部74aがクランクシャフト62の外周面に固定され、先端部74bがシリンダブロック61側に所定角度で屈曲し、内側に第2ラバー76が取付けられている。第1ケーシング72の先端部72bと、第2ケーシング74の先端部74bとの間には、リング形状をなすシールプレート73が設けられており、第1ケーシング72とシールプレート73と第2ケーシング74とが所定間隔で油膜を介して密着することで、シール可能となっている。
また、第2ラバー(シール部材)76は、第1ケーシング72の先端部72bに接触するシールリップ76aを有しており、このシールリップ76aの外側にコイルスプリング(スプリング)77が装着されており、このコイルスプリング77は、その張力によりシールリップ76cを第1ケーシング72の先端部72bに押圧することで、クランクシャフト62を伝ってシリンダブロック61の外側に漏洩するオイルを阻止するものである。本実施例では、このコイルスプリング77を形状記憶合金により構成することで、コイルスプリング77が高温に移行するほど、シールリップ76aが第1ケーシング72の先端部72bを押圧する押圧力が大きくなるように設定している。
コイルスプリング77は、所定の温度以下では柔らかく張力が低いが、所定の温度を超えると、その硬度が増して張力が高くなるようにその配合が設定されている。即ち、図7に示すように、エンジン回転数が低くてエンジン自体が低温であるとき、コイルスプリング77は所定温度T1にあって低張力であるため、シールリップ76aによる緊迫力F1はその弾性力により維持されている。そして、エンジン回転数が上昇すると、その遠心力によりシールリップ76aが外方に移動して緊迫力が低下して緊迫力F2となる。しかし、更に回転数が上昇してエンジン自体が高温となると、コイルスプリング77は所定温度T2を超えて高張力となるため、シールリップ76aによる緊迫力F3を確保することができる。なお、図7にて表す点線は従来のオイルシールの緊迫力であり、エンジン回転数と共に温度が上昇すると緊迫力は低下して緊迫力F2のまま一定となっている。
ここで、本実施例のオイルシール71の作用について説明する。図6に示すように、エンジンの停止時は、エンジン自体が低温状態であるため、オイルシール71のコイルスプリング77も低温であってその張力は小さく、オイルシール71の緊迫力はコイルスプリング77の張力とシールリップ76aの弾性力の合力となる。この場合、クランクシャフト62を伝ってオイルシール71に至るオイルは、同図に矢印で示すように流れ、第1ケーシング72とシールプレート73と第2ケーシング74との第1シール部でシールされる。そのため、クランクシャフト62は大きな摩擦抵抗を受けることなくスムースに回転することができ、また、所定のシール性能を確保することができる。
一方、エンジンの高回転時には、エンジン自体が高温状態となるため、オイルシール71のコイルスプリング71も高温であって、その張力は大きなものとなる。そのため、高い遠心力により第1ケーシング72とシールプレート73と第2ケーシング74との第1シール部が不十分となると共に、シールリップ76aがこの遠心力により第1ケーシング72の先端部72bから離れる方向に移動しようとするが、コイルスプリング77の大きな張力によりシールリップ76aの移動が阻止され、シールリップ76aが第1ケーシング72の先端部72bに確実に密着し、オイルはこの第2シール部でシールされることとなり、高い緊迫力により十分なシール性能を確保することができる。
このように実施例3にあっては、シリンダブロック61とクランクシャフト62との回転部に設けたオイルシール71にて、シリンダブロック61に第1ケーシング72を固定する一方、クランクシャフト62に第1ケーシング72とシールプレート73を介して所定間隔をもって噛み合う第2ケーシング74を固定すると共に、第2ケーシング74取付けた第2ラバー76のシールリップ76aを第1ケーシング72の先端部72bに接触させると共に、その外側にコイルスプリング77が装着し、このコイルスプリング77を高温に移行するほどその押圧力が大きくなるように設定している。
従って、エンジンの低回転時には、第1ケーシング72とシールプレート73と第2ケーシング74とが接触する第1シール部でシールされることとなり、クランクシャフト62は大きな摩擦抵抗を受けることなくスムースに回転することができ、また、所定のシール性能を確保することができる。一方、エンジンの高回転時には、コイルスプリング71が高温となってその張力が大きくなるため、高い遠心力により第1シール部が不十分となると共に、シールリップ76aが外方に移動しようとするが、コイルスプリング77の大きな張力によりシールリップ76aは第1ケーシング72の先端部72bに確実に密着し、高い緊迫力により十分なシール性能を確保することができる。
なお、本発明のオイルシールを、上述した実施例1、2では、内燃機関にて、互いに軸方向に相対移動自在に組み付けられたステムガイド21,22と吸気弁19及び排気弁20の間の隙間を密封するオイルシール35,36として、また、実施例3では、互いに回転自在に組み付けられたシリンダブロック61とクランクシャフト62の間の隙間を密封するオイルシール71として説明したが、この分野に限定されるものではなく、互いに相対回転自在または軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間に設けられた環状の隙間を密封するものであれば、いずれの分野のオイルシールにも適用することができる。
以上のように、本発明にかかるオイルシールは、シール部材の先端部を押圧するスプリングを形状記憶合金により構成して高温に移行するほど押圧力が大きくなるように設定したものであり、内燃機関に拘らず、互いに相対回転自在または軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間に設けられるようなオイルシールとして有用である。
本発明の実施例1に係るオイルシールの半断面図である。 実施例1のオイルシールの温度に対する緊迫力を表すグラフである。 実施例1のオイルシールが適用されたエンジンの要部断面図である。 本発明の実施例2に係るオイルシールの半断面図である。 実施例2のオイルシールの温度に対する緊迫力を表すグラフである。 本発明の実施例3に係るオイルシールの要部断面図である。 実施例3のオイルシールの温度に対する緊迫力を表すグラフである。
符号の説明
19 吸気弁(軸)
20 排気弁(軸)
21,22 ステムガイド(ハウジング)
35,36,51,71 オイルシール
41 ケーシング
42 シール部材
43 シールリング
44,77 コイルスプリング
52 コイルスプリング(第1スプリング)
53 コイルスプリング(第2スプリング)
61 シリンダブロック(ハウジング)
62 クランクシャフト(軸)
72 第1ケーシング(第1噛み合い部)
73 シールプレート
74 第2ケーシング(第2噛み合い部)
76 第2ラバー(シール部材)

Claims (4)

  1. 互いに相対回転自在または軸方向に相対移動自在に組み付けられたハウジングと軸との間に設けられた環状の隙間を密封するオイルシールにおいて、基端部が前記ハウジング側または前記軸側のいずれか一方に固定されて先端部が前記いずれか他方に接触可能なシール部材と、該シール部材の先端部を前記他方に押圧するスプリングとを有し、前記スプリングを形状記憶合金により構成して高温に移行するほど前記押圧力が大きくなるように設定したことを特徴とするオイルシール。
  2. 請求項1記載のオイルシールにおいて、前記ハウジングに対して前記軸が軸方向に移動自在に支持され、前記シール部材は、基端部が前記ハウジング側に固定される一方、先端部が前記軸の外周面に接触可能であり、該シール部材の外側に前記スプリングが配設されたことを特徴とするオイルシール。
  3. 請求項1記載のオイルシールにおいて、前記ハウジングに対して前記軸が回転自在に支持され、前記ハウジング側に設けられたコ字形状断面を有する第1噛み合い部と、前記軸側に設けられた第2噛み合い部とがシールプレートを介して且つ所定間隔をもって噛み合うと共に、前記第2噛み合い部に固定された前記シール部材の先端部が前記第1噛み合い部の先端部に接触可能であり、該シール部材の外側に前記スプリングが配設されたことを特徴とするオイルシール。
  4. 請求項1から4のいずれか一つに記載のオイルシールにおいて、前記スプリングは、二元系合金からなる第1スプリングと、三元系合金からなる第2スプリングであり、前記第1スプリングと前記第2スプリングは変態温度が相違することを特徴とするオイルシール。

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JP2009068613A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Keeper Co Ltd オイルシール

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