JP2006009439A - 建築構造物の構築工法及びそれに使用する構造要素体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中空補強管2に木質材1を外挿させた構造要素体Aを用いて梁と柱とよりなる建築構造物を構築するための建築構造物構築方法であって、木質材1より長く該木質材の両端から突出した中空補強管2を有する構造要素体Aを用い、該構造要素体の中空補強管同士を連結した後、該構造要素体同士の間で露出している中空補強管を別の木質小片Wで覆う建築構造物の構築工法。
【選択図】 図4
Description
特に、木質材と金属材とにより構成要素体を形成し、木質材として視認される外観性と金属材を用いることによる機械的強度の向上とを兼ね備えることができる構造要素体を用いた建築構造物の構築工法に関する。
この鉄骨材は木質材に比べ不燃であり且つ十分な耐震強度を保証することができ、特に地震等の多い日本では有用されている。
しかし、鉄骨材を使った建築構造物では、室内に鉄骨の表面が露出することや、火事等によって鉄骨材が高温に加熱されること等のため、鉄骨材に木質材のメリットを取り入れた建築用材料が要望されていた。
そして、そのような背景の中で、鉄骨材と木質材との両者の良い点を組み合わせた建築用材料、すなわち金属製の中空補強管(鉄骨材に相当)を木質材で覆った構造要素体が開発されている。
この複合建築材は、4枚の鉄板を備えた断面十字状の鉄骨長尺材20と4本の角材10とよりなるものであり、4枚の鉄板の間に形成されるそれぞれの空間に各々4本の角材10を配設固定した構造となっている。
そして建築構造物を構築する場合は、この断面十字状の鉄骨長尺材20を次々に連結していくものである。
このような個々の複合建築材は容積が小さいため扱い易く、一つ一つの複合建築材を連結して徐々に大きく組み付けていくことができ、建造物全体を安全に且つ簡単に建築することができる点でメリットがある。
その上、複合建築材を組み付けて柱や梁を形成しても、その複合建築材の連結部分は金属の鉄骨長尺材が露出しており、見栄えが悪い。
しかも、4本もの角材を固定具等によって十字状の鉄骨長尺材に固定する必要があることから、複合建築材そのものの製造が面倒でもある。
更にまた、この複合建築材は内部が中空でなく無垢のため配線等を通すことができない上、重量的にも重くなる。
更にまた、火事等が発生した場合この露出した金属部分が直接加熱され易く、そのため熱も建築構造物全体に伝わり易い。
すなわち、本発明は、鉄骨等の表面が露出しない建築構造物を比較的軽い構造要素体を使って簡単に構築できる建築構造物の構築工法を提供することを目的とする。
また更に、その建築構造物の構築工法に使用する構造要素体を提供することである。
また、このような構造要素体Aは、挿通されている中空補強管2が木質材1の両端から突出するように形成されているために、両端を他の構造要素体と互いに連結することが容易である。
また、その突出する部分があることで継ぎ手3等を固定することができる。
また中空補強管2によって強度が向上しており、また中空補強管内に中空部が形成されているため、構造要素体Aの軽量化も図れる。
このようにすることで、外観が向上するだけでなく、パイプの破損や電気配線の切断から生じる各種問題を防止することができる。
また、建築構造物を構築した後、構造要素体同士の間に露出している中空補強管2を構造要素体Aとは別の木質小片Wで覆うので、中空補強管2が露出することがない。
また火事等になっても木質材1があるために直接に中空補強管2が加熱されにくい。
そのため中空補強管2を介して建築構造物全体に熱が伝わりにくい。
先ず、本発明の技術的原理について説明する。
図1は、本発明の構造要素体Aを示す概略図である。
すなわち、構造要素体Aは、木質材1と該木質材1の両端から突出した中空補強管2を有するものであり、中空補強管2は木質材1より長尺である。
この木質材1は、その中央に長手方向に貫通する貫通穴Hを備えており、構造要素体Aはその貫通穴Hに中空補強管Hを挿通することで得られる。
木質材1と中空補強管2とが相互にスライド自在となっている場合は、後述する連結工程や覆い工程の際に施工が行い易くなる。
さて、建築構造物の構築工法を遂行するには、このような構造要素体Aを前もって多数用意しておく。
そして構造設計に基づき、第1の構造要素体の端部1Aを第2の構造要素体の端部1Aに、次に第2の構造要素体の端部1Aを第3の構造要素体の端部1Aにというように、順次連結していくものである(連結工程)。
なお、これら端部1Aの相互の連結には、継ぎ手3を使って連結することとなる。
このような構造要素体の連結によって全体の骨組み(梁や柱)が完成した時点では、木質材1から突出した中空補強管2は露出したままの状態になっている。
次に、この露出部分Rを木質材1の小片Wを用いて覆って隠していくのである(覆い工程)。
その結果、全体の骨組みは表面から見て構造要素体Aは露出部分Rが無くなり、全体が木質材1に覆われたものとなる。
図4は、本発明の第1実施形態に係る建築構造物の構築工法を示している。
構築方法においては、構造要素体Aを用いてその中空補強管同士を順次連結していき、全体の骨組みを構築する。
その後、構造要素体同士の間で中空補強管2が露出している部分を別の木質小片W,Wで覆うのである。
ここで図5にその構造要素体Aを拡大して概略的に示す。
この構造要素体Aは断面矩形のビーム状の木質材1とそれより長尺で且つ小径な中空補強管2とよりなる。
木質材1の中心には長手方向に貫通穴Hが形成され、この貫通穴Hには、金属製の中空補強管2が挿通されている。
木質材1の両端から中空補強管2が突出されて構造要素体Aが形成されている。
この貫通穴Hは、長尺の木質材1の中央部を、例えば、図示しない芯抜き加工機等を使って芯削バイトにより切削することにより形成される。
なお、この芯抜き加工機等においては、通常、同時に発生する切り粉(木屑等)は空気流により排除される。
またその形態は生木や集成材を使ったり、木粉等を固めた木材を使って当然よい。
また、単なる金属材料でなく、例えば炭素鋼の表面にメッキや塗装等施し腐食等を防止するようにしたものであっても当然良い。
中空補強管2と木質材1とが固定されているものは、それら両者を接着剤等を使って固定する場合と、木質材1の貫通穴Hの径を中空補強管2の径より僅かに小さく形成しておき、貫通穴Hに中空補強管2を圧入し、言わば締まりバメにより固定する場合がある。
いずれの場合も中空補強管2と木質材1とが固定されているものは、運搬等により両者が外れてしまうことはなく安全である。
露出部分Rは木質材1を長さ方向に沿って移動させて中空補強管2の露出部分Rを多くしたり少なくしたり調整することができる利点がある。
具体的には、図示しない蓋体を取り付けた上で、継ぎ手3が固定される。
この継ぎ手3は、板状継ぎ手3であり、中空補強管2の一方端の板状継ぎ手3は2枚の間隔を開けた板体31よりなり、他方端の板状継ぎ手3は、一枚の板体31よりなる。
その際は、板体に形成された小穴Pにボルトを挿入して固定することとなる。
ここで継ぎ手3の形状や、その取り付け方向を変更することにより、構造要素体A同士の連結の自由度が大きくなり、あらゆる形状の建築構造物にも対応可能である。
なお、例えば、この継ぎ手3は構造要素体Aの中空補強管2の周囲に3方継ぎ手3Aを外挿したものが採用される。
中空補強管2の露出部分に取り付けられる木質小片Wは、その露出部分Rを簡単に覆うことができるように、複数に(例えばここでは2つに)分割された木質小片Wを使う。
この木質小片Wは木質材1を2分割した形状をしており、外側は木質材1に合わせており、内側は中空補強管2や継ぎ手3を内包する形状となっている。
この木質小片W,Wを露出部分の両側から当てがって覆うものであり、その際、接着剤等を使って固定する。
このような構造要素体Aは、内部に金属製の中空補強管2が挿通されているため強度も十分あり、また中空補強管は中空部Sを有することから、構造要素体Aが軽量となる。
例えば、図6に示す如く、円筒継ぎ手3を使うことで、中空補強管2の中空部Sと継ぎ手の中空部S1とを連続させることができる。
このような円筒継ぎ手3を使うことで電気配線、給排水管等が連続して配設される利点がある。 また、構造要素体A同士の間に露出している中空補強管2を別の木質材で覆うので、中空補強管2が露出することなく、火災等による中空補強管の直接の加熱を阻止できる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る建築構造物の構築工法を示している。
この第2実施形態の建築構造物の構築工法は、第1実施形態の建築構造物の構築工法に比べて、構造要素体Aに用いられる中空補強管2の数のみ異なるためその部分についてのみ説明する。
なお、第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
木質材1には複数の貫通穴Hが形成されており、この複数の貫通穴Hの各々に中空補強管2が挿通されているものである。
そしてこの平板状の木質材1に3本の中空補強管2A,2B,2Cがそれぞれ一列に並べて挿通されている。
この場合は、骨組としては幅広のものが可能となり、複数本の中空補強管2A,2B,2Cを使っているために、強度的により高い建築構造物とすることができる。
以上説明した実施の形態では、梁や柱が複数の構造要素体Aで形成する場合を示したが、梁或いは柱を1つの構造要素体Aで形成する場合もある。
この場合も、柱部を構成する構造要素体Aと梁部を構成する構造要素体Aの端部同士を継ぎ手を介して連結していく(連結工程)。
図8は、このような連結工程によって連結された状態の骨組みを模式的に示す図である。
連結された後は、構造要素体Aの露出している部分(中空補強管及び継ぎ手)Rを木質材で覆う(覆い工程)のである。
図9は、このような覆い工程によって露出部分Rが覆われ隠された状態の骨組みを模式的に示す図である。
その結果、全体の骨組みは表面から見て構造要素体Aは露出部分Rが無くなり、全体が木質材1に覆われたものとなる。
例えば、上述した実施形態では、木質材1の断面形状は矩形の他、円形、角形等種々の形が可能である。
また木質小片Wを中空補強管2に固定するには接着剤以外にもボルト等の固着具を使用する方法もある。
また、継ぎ手3としては、構造要素体Aを相互に連結できるものであれば採用可能であるか、内部空間に配線等を通す場合は、構造要素体Aの中空補強管が連通するような継ぎ手3を選択することとなる。
継ぎ手3としては、構造要素体A同士を直線状に連結するものや、垂直に連結するもの、或いは角度を持たせて連結するもの等種々の継ぎ手が採用される。
それらは、梁と梁、柱と柱、柱と梁等の如何なる連結にも対応できるものである。
1A 端部
2 中空補強管
2A 中空補強管
2B 中空補強管
2C 中空補強管
3 継ぎ手(板状継ぎ手、円筒継ぎ手)
3A 多方継ぎ手(3方継ぎ手)
31 板体
10 角材
20 鉄骨長尺材
A 構造要素体
H1,H2,H3,貫通穴
P 小穴
R 露出部分
S 中空部
S1 中空部
W 木質小片
Claims (8)
- 中空補強管に木質材を外挿させた構造要素体を用いて梁と柱とよりなる建築構造物を構築するための建築構造物構築方法であって、
木質材より長く該木質材の両端から突出した中空補強管を有する構造要素体を用い、該構造要素体の中空補強管同士を連結した後、該構造要素体同士の間で露出している中空補強管を別の木質小片で覆うことを特徴とする建築構造物の構築工法。 - 前記木質材と前記中空補強管とは相互に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構築工法。
- 前記木質材と前記中空補強管とは相互にスライド可能にされていることを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構築工法。
- 前記構造要素体の中空補強管同士の連結は、中空補強管の端部に固定された別体の継ぎ手を介して行うことを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構築工法。
- 前記梁と前記柱との連結は、多方継ぎ手を介して行ったことを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構築工法。
- 前記構造要素体が木質材より長く、該木質材の両端から突出した複数の中空補強管を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構築工法。
- 建築構造物を構築するための互いに連結可能な構造要素体であって、木質材と中空補強管とよりなり、木質材には貫通穴が形成され、該貫通穴に中空補強管が挿通され、該中空補強管が木質材の両端から突出されているものであることを特徴とする建築構造物の構造要素体。
- 前記木質材には複数の貫通穴が形成され、該複数の貫通穴に対応した複数の中空補強管が挿通され、該複数の中空補強管が木質材の両端から突出されているものであることを特徴とする請求項7に記載の建築構造物の構造要素体
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