JP2006005120A - 熱電材料およびそれを用いた熱電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子冷却や熱電発電に利用されている熱を電気に変換する熱電材料および熱電材料の作製方法に関するものであり、ドーパント添加による熱伝導率の低減により、性能指数の向上をはかるものである。
【解決手段】ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料であって、ドーパントとしてリン酸塩を使用することで、リンが熱伝導率を大きく低減させ、かつ対元素が電気伝導率を向上させ、性能指数を向上させた熱電材料を供することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料であって、ドーパントとしてリン酸塩を使用することで、リンが熱伝導率を大きく低減させ、かつ対元素が電気伝導率を向上させ、性能指数を向上させた熱電材料を供することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱を電気に変換する熱電材料およびその熱電材料を用いた熱電素子に関するものである。
一般に、熱電素子はP型半導体とN型半導体をCu等の金属電極を介し、電気的に直列に接合し、電流を流すことにより一方の面が発熱し、一方の面が冷却する。また、電流の向きを反対にすると発熱と冷却の各面が切換わり反対になる。
前記熱電素子は、このようなペルチェ効果あるいはゼーベック効果を利用し、電子冷却や熱電発電に利用されている。具体的には、センサー素子や光素子、LSI基板などの半導体回路、宇宙ステーションで使用される電子機器の冷却、レーザーダイオード等の精密温度制御が要求されるところに使用されている。
前記熱電素子の熱電材料には、多くの系が存在するが、中でもBi2Te3、Bi2Se3及びSb2Te3のような熱電材料は、室温付近で使用できる材料である。特に、Bi2Te3化合物は菱面体結晶の単位胞中にBiとTeの原子をそれぞれ2と3個を含む層状構造で物理的性質に大きな異方性を持つ。
この構造は六方晶表示のC軸方向にTe原子層の重なりが3組存在し、このTe−Te原子の結合はファン・デル・ワールス結合のため、共有結合やイオン結合およびそれらの混合結合で結合した他の原子間の結合より著しく弱く、容易に劈開する。また、C軸方向に垂直(C面に平行)な方向で電気特性が高い。熱電材料の特性を表す性能指数Zは次式で示すようにゼーベック係数αの2乗と電気伝導率σの積を熱伝導率κで割ったもので表される。
Z=α2・σ/κ
従って、Zを大きくするためには、α2・σを大きくし、かつκを小さくする必要がある。
従って、Zを大きくするためには、α2・σを大きくし、かつκを小さくする必要がある。
κは伝導キャリアによる熱伝導κeとフォノンによる熱伝導κLに分解され、C軸方向に垂直な方向では電気伝導が向上するため、κeも大きくなり、性能指数Zとしては必ずしも増加するとは限らない。従って、Zを大きくするためにはドーパントを添加しκLを減少させることでκを減少させる必要がある。
また、κは次式に示されるように密度dと比熱Cpと熱拡散係数κdの積で表される。
κ=d×Cp×κd
比熱は材料成分により決まってしまうので、κを低減させるには、密度もしくは熱拡散係数を小さくすればよいことになる。フォノン散乱を起こしκLを低減させ、熱伝導率を低減させるドーパントとしては例えば窒化ホウ素(BN)などがある(例えば特許文献1参照)。
特開平10−242535号公報
比熱は材料成分により決まってしまうので、κを低減させるには、密度もしくは熱拡散係数を小さくすればよいことになる。フォノン散乱を起こしκLを低減させ、熱伝導率を低減させるドーパントとしては例えば窒化ホウ素(BN)などがある(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、ドーパントの添加といった簡便な方法により、熱拡散係数を小さくするには十分な効果があるとは言えず、また、添加量が多すぎると逆に抵抗となり、電気伝導率が低下するため、より大きな効果が望める適当なドーパントはなかった。
本発明は、熱伝導率を低減させるとともに、電気伝導率を向上させるドーパントの添加により、性能指数を向上した熱電材料および熱電素子を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱電材料は、ドーパントとしてリン酸塩を使用するものである。
これによって、リン酸塩中のリンが密度低下、熱拡散係数低下に効果があり、熱伝導率を低減することができる。また、リン酸塩の対元素がドーパントとなり、キャリア濃度が向上し電気伝導率を向上することができる。
また、本発明の熱電材料は、焼結体としたもので、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料となる。
また、本発明の熱電材料は、熱間押出成形で作製するもので、結晶配向性が高く、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料となる。
また、本発明の熱電素子は、熱間押し出し成形し作製した熱電材料を押し出し方向と平行に電流が流れるように成形すること、もしくは一軸加圧焼結により作製した熱電材料を加圧方向とは垂直に電流が流れるように成形するものである。
これによって、結晶配向性が高く、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料を押し出し方向と平行な方向に電流が流れるように加工することで、高い熱電性能を有する熱電素子となる。
本発明の熱電材料は、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料であって、ドーパントとしてリン酸塩を使用することを特徴とすることで、リン酸塩中のリンが密度低下、熱拡散係数低下に効果があり、熱伝導率を低減することができ、また、リン酸塩の対元素がドーパントとなり、キャリア濃度が向上し電気伝導率を向上することができる。
また、本発明の熱電材料は、焼結体であるため、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料とすることができる。
また、本発明の熱電材料は、熱間押出成形で作製するため、結晶配向性が高く、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料とすることができる。
また、本発明の熱電素子は、熱間押し出し成形し作製した熱電材料を押し出し方向と平行に電流が流れるように成形すること、もしくは一軸加圧焼結により作製した熱電材料を加圧方向とは垂直に電流が流れるように成形するため、より電流が流れやすい方向に電流を流すことで、高い熱電性能を有する熱電素子とすることができる。
請求項1に記載の発明は、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料であって、ドーパントとしてリン酸塩を使用するものである。
これにより、リン酸塩中のリンが密度低下、熱拡散係数低下に効果があり、熱伝導率を低減することができ、また、リン酸塩の対元素がドーパントとなり、キャリア濃度が向上し電気伝導率を向上することができる。
請求項2に記載の発明は、前記リン酸塩の添加量を0.001〜5wt%としたものである。
すなわち、リン酸塩が少なすぎると効果は見られず、リン酸塩を過剰に添加すると結果としてキャリア濃度の増加によるゼーベック係数の低下もしくはリンが過剰になる事による電気伝導率の低下現象が現れてくるため、添加量を0.001〜5wt%にすることでより高性能な熱電材料を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、前記リン酸塩を無機リン酸塩としたもので、有機物元素に比べ、電気伝導率を向上させるという効果を得ることができる。
請求項4記載の発明は、前記無機リン酸塩の無機元素を、Ag、Cu、Au、Zn、Sb、Te、Bi、Pb、Ptからなる群から少なくとも1つを含有する熱電材料としたものである。
これらの無機元素は、特に電気伝導率の向上に優れる。
請求項5に記載の発明は、前記熱電材料を焼結体としたもので、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料とすることができる。
請求項6に記載の発明は、前記熱電材料を、熱間押出成形により形成したもので、結晶配向性が高く、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料とすることができる。
請求項7に記載の発明は、前記焼結体を、一軸方向の加圧により形成したものである。
このように、一軸加圧で焼結することにより、加圧方向と垂直な方向にC面が配向するため、材料強度が高く、配向性が向上し、熱電性能が高い熱電材料を作製することができる。
請求項8に記載の発明は、前記焼結体を、パルス通電加圧焼結法により作製したものである。
これにより、短時間で焼結ができ、また、粒成長も抑制できることでより高性能な熱電材料を作製することができる。
請求項9記載の発明は、前記熱電材料を、メカニカルアロイング法により混合・合金化したものである。
これによれば、より微細な合金粉末を作製でき、ドーパントであるリン酸塩をより微細かつ均一に混合することができ、性能が均一な熱電材料を作製することができる。
請求項10記載の発明は、前記熱電材料を、溶製法で作製したインゴットを粉砕、微細化したものとしたものである。
これによれば、均一な合金でかつ微細結晶を有することで熱伝導率を低減できる。また、短時間で作製することができる。
請求項11に記載の発明は、前記焼結体からなる熱電素子であって、前記焼結体を加圧方向と垂直に電流が流れるように成形したものである。
前記焼結体を、加圧方向と垂直に電流が流れるように成形することで、C面に平行な方向へ電流を流すことができ、より高性能な熱電素子となる。
請求項12に記載の発明は、前記熱間押出成形により形成された熱電素子であって、前記熱間押出成型品を押出方向と平行に電流が流れるように成形したものである。
これにより、前記C面に平行な方向へ電流を流すことができ、より高性能な熱電素子となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるパルス通電加圧焼結装置による焼結の状態を示す概略図である。
図1は本発明の実施の形態1におけるパルス通電加圧焼結装置による焼結の状態を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態1におけるパルス通電加圧焼結装置パルス通電加圧焼結装置1は、上下に電極2と加圧セル3をそれぞれ有する。そして、メカニカルアロイング法により作製されたリン化合物を含む合金粉末4を、カーボンモールド5内に設けられた空間6に封入し、上下にカーボンパンチ7を設ける。前記加圧セル3は上下移動可能で、合金粉末5充填後、上下の各加圧セル3を図1中矢印A及び矢印B方向に移動させ、合金粉末4を所定圧力で一軸方向(図示上下方向)に加圧しながら、電極2にパルス電流8を通電し、合金粉末4にもパルス電流8を流し、ジュール熱を発生させて合金粉末4内から発熱させる。
そして、前記合金粉末4を所定温度に到達後、所定時間、温度を保持し熱電材料を焼結する。
リン酸塩を含む熱電材料は微細かつポーラスであり、従って、熱伝導率の低減をはかることができる。
前記熱電材料は、それぞれの原材料粉末をジルコニア(ZrO2)ボールおよびジルコニアミル容器を用いてメカニカルアロイング法により作製する(図示せず)。
ミリングにおける原料粉末とボールの重量比は、1:100とし、また、この時の容器の容積に対するボールの体積分率は80%とし、ミリング時間は200hrとする。生成したメカニカルアロイング粉は、分級して粒度75μm以下の粉末に調製する。焼結温度は、618K、焼結時間は10分とする。
ここでメカニカルアロイング法により作製した理由は、メカニカルアロイング粉は非常に微細な粉体であることから、微細粒子による粒界の増大効果が得られ、更に熱伝導率を低減させることができるからである。
なお、ミリングの方法は、回転ミル、遊星ミル又は振動ミルのいずれを用いても同様の効果が得られる。
また、メカニカルアロイのミリング時間は1時間以上250時間以下とするのが好ましく、これは使用するボール又は添加したドーパントが粒界に均一に分散するようになるためである。
ミリング時間が1時間未満であると、熱電材料の合金化が不十分であり、逆にミリング時間が250時間を超えると不純物の混入やガス成分の吸収が多くなり、さらに作業能率が悪くなる。
また、ブリッジマン法等で作製したリンを添加したインゴットを、回転ミル、遊星ミル又は振動ミル等の合金粉砕装置を用い、得られた合金微粉末を用いても同様の効果が得られる。この場合のミリング時間は数10分から数十時間と短時間で良い。
また、本実施の形態においては、メカニカルアロイング法や合金粉砕で微細化するに際し、ジルコニア(ZrO2)ボールとジルコニア容器を用いたが、ステンレスなど十分な硬度と重量を有するものであれば良い。ただし、ジルコニアは、他の不純物の混入を防ぎながら原料粉末をミリングすることができ、不純物の混入に原因する固溶体の不安定化及び結晶粒の粗大化を防止または抑制することができるため、より好ましい。
更には、ジルコニアボール又はジルコニア容器からのジルコニアの混入を利用して、より微細かつ均一分散をより効率的に促進することができ、ジルコニアの均一な粒界分散によるフォノン散乱が熱伝導率を低減させるため、より好ましい。
更には、ジルコニアは絶縁体であり、焼結の際の通電や磁場による影響を受けないので、粉末粒子のより均一な分散が可能であるため、より好ましい。
また、ミリングにおける原料粉末とボールの重量比は1:250〜1:10が好ましく、この条件を外れると、振動による衝突エネルギーの変化により、目的とした合金化が得られ難くなる。
また、容器の容積に対するボールの体積分率を50%〜85%とするのが好ましく、この条件を外れると、振動による衝突エネルギーの変化により、目的とした合金化が得られ難くなるためである。
Bi2Te3やSb2Te3、Bi2Se3といった熱電材料は一般に六方晶系として表され、これらの化合物はC軸方向にTe−TeやSe−Seのファン・デル・ワールス結合がある。ブリッジマン法等で作製した溶製材などは配向性が高いため、C面で劈開を生じやすく、機械的強度が弱い。
一方、C面に沿った方向では、電気伝導率が高く、配向性が高い程、電気伝導率が高くなり、性能指数が高くなる。
従って、熱電材料を焼結体にする理由は、熱電材料の機械的強度を向上させることができるからである。
また、一軸方向の加圧により加圧方向と垂直な方向に結晶配向性が向上し、性能指数の向上を図ることができる。
また、焼結方法をパルス通電加圧焼結法により、加圧中に通電することにより、ジュール熱により自己発熱するため、短時間での焼結が可能で、結晶の粒成長を抑制することができる。ただし、ホットプレスや冷間プレスであっても、焼結に時間がかかったり、粒成長がおこるがリン酸塩の添加による効果は見られる。
また、この際、焼結温度は323K以上673K以下の温度が好ましく、焼結温度が323K未満では、焼結が充分でないためであり、また673Kを超えると、結晶粒の径が増大し特性の劣化をもたらす。
また、焼結時間は5分以上30分以下が好ましく、その理由は、5分未満では焼結完了までに要する時間が不十分であり、また30分を超えると結晶粒の増大化とともに、粒界に分散されていた介在物が結晶粒内へ移動し、熱電特性の低下をもたらすからである。
また、熱電材料は、Bi2Te3、Sb2Te3、Bi2Se3、Sb2Se3、BiSb単独あるいはこれらの混合系であれば、冷却用熱電素子として高性能の熱電材料となる。
また、ドーパントであるリン酸塩は、何でも良いが、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸等のポリリン酸塩、シクロオクタリン酸塩等の環状リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩等がある。
無機リン酸塩としてはAg3PO4、Ag4P2O7、Cu3(PO4)2、Cu3PO4、Pb3(PO4)2、Zn3(PO4)2、BiPO4などのリン酸塩は電気伝導率の向上への効果が大きい。その他Au、Sb、Te、Bi、Ptのリン酸塩も同様の効果を示す。また、これらの水和物も同様である。
なお、ドーパントの添加量は少なすぎると効果は見られず、5wt%を越えると、キャリア濃度の増加によるゼーベック係数の低下もしくはリンが過剰になる事による電気伝導率の低下現象が現れてくるため、添加量を0.001〜5wt%にすることで、高性能な熱電材料を得ることができる。
また、一軸加圧による焼結体は、加圧し方向に垂直な方向に電流が流れるように加工することで、材料強度に優れ、製造時の歩留まりも高い、高性能熱電素子とすることができる。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における熱間押し出し工程の熱間押し出し装置を示す概略図である。
図2は本発明の実施の形態2における熱間押し出し工程の熱間押し出し装置を示す概略図である。
図2に示すように、本実施の形態2における熱間押し出し工程は、ダイス10とダイス10の中に熱電材料の圧粉体11とパンチ12とがあり、ダイス10の回りをヒーター13で取り囲み、加圧装置14がパンチ11を矢印Dで示す如く上部から加圧するようになっている。そのため、加圧後、押し出し成型品15がダイス10の下部から押し出されるように構成されている。
以上のように構成された熱間押し出し工程について、以下その動作、作用を説明する。
まず、ダイス10をヒーター13で所定の温度にまで加熱する。そして、所定の温度に達した後、ダイス10内に圧粉体11を入れ、その上にパンチ12を設置する。前記圧粉体11の温度が上昇するまで数分間放置後、加圧装置14にてパンチ11を押し出し方向Dに加圧する。それによりダイス10の下部から、押し出し成型品15が押し出される。
熱間押し出し工程の際、押し出し温度は473K以上823K以下で行うことにより、熱間押し出し成形が良好に行われ、動的再結晶により成型品の結晶粒はより微細化され、熱伝導率もより低減し、より高性能の熱電材料とすることができる。
また、熱間押し出し成形押し出し圧力を50MPa以上で行うことにより、熱間押し出し成形がさらに良好に行われるとともに、熱間押し出し速度も増加し、動的再結晶が促進され、成型品の結晶粒はさらに微細化されて熱伝導率をさらに低減し、さらに高性能な熱電材料とすることができる。
また、熱電材料は、Bi2Te3、Sb2Te3、Bi2Se3、Sb2Se3、BiSbのいずれかの単独あるいは、これらの混合系であれば、より結晶配向の効果がみられ、冷却用熱電素子として高性能の熱電材料となる。
また、ドーパントであるリン酸塩は、何でも良いが、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸等のポリリン酸塩、シクロオクタリン酸塩等の環状リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩等がある。
無機リン酸塩としてはAg3PO4、Ag4P2O7、Cu3(PO4)2、Cu3PO4、Pb3(PO4)2、Zn3(PO4)2、BiPO4などのリン酸塩は電気伝導率の向上への効果が大きい。その他Au、Sb、Te、Bi、Ptのリン酸塩も同様の効果を示す。また、これらの水和物も同様である。
なお、ドーパントの添加量は少なすぎると効果が見られず、5wt%を越えると、キャリア濃度の増加によるゼーベック係数の低下もしくはリンが過剰になり、これに起因して電気伝導率の低下現象が現れてくるため、添加量を0.001〜5wt%にすることで、高性能な熱電材料を得ることができる。
また、熱電材料微粉末の作製手段は、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法等でよく、その作製手段は特に問わない。
また、押し出し成型品13は、押し出し方向と平行な方向にC面が配向するため、矢印Eで示す押し出し方向と平行な方向に電流が流れるように加工することで、材料強度に優れ、製造時の歩留まりも高い、高性能熱電素子とすることができる。
以上のように、本発明の熱電材料は、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料であって、ドーパントとしてリン酸塩を使用するもので、リン酸塩中のリンが密度低下、熱拡散係数低下に効果があり、熱伝導率を低減することができ、また、リン酸塩の対元素がドーパントとなり、キャリア濃度が向上し電気伝導率を向上することができる。また、焼結体とすることで、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料とすることができる。また、熱間押出成形で作製することで、結晶配向性が高く、材料強度が高く、熱電性能が高い熱電材料とすることができる。
また、本発明の熱電素子は、熱間押し出し成形し作製した熱電材料を押し出し方向と平行に電流が流れるように成形すること、もしくは一軸加圧焼結により作製した熱電材料を加圧方向とは垂直に電流が流れるように成形することで、より電流が流れやすい方向に流れ、高い熱電性能が得られ、センサー素子や光素子、LSI基板などの半導体回路、宇宙ステーションで使用される電子機器の冷却、レーザーダイオード等の精密温度制御、熱電発電等の用途にも適用できる。
1 放電プラズマ焼結装置
2 電極
3 加圧セル
4 合金粉末
5 カーボンモールド
6 空間
7 カーボンパンチ
8 パルス電流
10 ダイス
11 圧粉体
12 パンチ
13 ヒーター
14 加圧装置
15 押し出し成型品
2 電極
3 加圧セル
4 合金粉末
5 カーボンモールド
6 空間
7 カーボンパンチ
8 パルス電流
10 ダイス
11 圧粉体
12 パンチ
13 ヒーター
14 加圧装置
15 押し出し成型品
Claims (12)
- ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料であって、ドーパントとしてリン酸塩を使用することを特徴とする熱電材料。
- 前記リン酸塩の添加量が0.001〜5wt%であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。
- 前記リン酸塩が無機リン酸塩からなることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電材料。
- 前記無機リン酸塩の無機元素がAg、Cu、Au、Zn、Sb、Te、Bi、Pb、Ptからなる群の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の熱電材料。
- 前記熱電材料が焼結体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電材料。
- 前記熱電材料が、熱間押出成形により、形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電材料。
- 前記焼結体は、一軸方向の加圧により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の熱電材料。
- 前記焼結体は、パルス通電加圧焼結法により作製されていることを特徴とする請求項5または7に記載の熱電材料。
- 前記熱電材料は、メカニカルアロイング法により混合・合金化されることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の熱電材料。
- 前記熱電材料は、溶製法で作製したインゴットを粉砕、微細化したものであることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の熱電材料。
- 請求項5、7、8、9、10いずれか一項に記載の焼結体からなる熱電素子であって、前記焼結体を加圧方向と垂直に電流が流れるように成形したことを特徴とする熱電素子。
- 請求項6、9、10いずれか一項に記載の熱間押出成形により形成された熱電素子であって、前記熱電材料を押出方向と平行に電流が流れるように成形したことを特徴とする熱電素子。
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KR101027483B1 (ko) * | 2010-07-07 | 2011-04-06 | (재)대구기계부품연구원 | 열전소재의 제조방법 및 제조장치 |
JP2016009857A (ja) * | 2014-06-24 | 2016-01-18 | コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティテュートKorea Electrotechnology Research Institute | 侵入型ドーピング材の添加によって複合結晶構造が形成されたTe系熱電材料 |
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2004
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