JP2006002240A - 高熱伝導・低熱膨脹複合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い熱伝導率を有し、電気回路保護用の放熱板、熱交換器やヒートポンプ等の熱的機械において、従来使用されている銅やアルミニウム等の代替材料として有用な高熱伝導材を提供する。
【解決手段】 テープ状、シート状、フィルム状、マット状の結晶性カーボン材(黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等)を用い、金属(Cu、Al、Ag、Mg、Si、Zn等)を溶浸し、複合化させて得られる複合体であって、前記繊維軸と直行する方向の熱伝導率が200W/(m・K)以下であり、前記繊維軸と直行する方向の熱伝導率が繊維軸方向の熱伝導率に対して0.7以下の比率である。
【選択図】 図4
【解決手段】 テープ状、シート状、フィルム状、マット状の結晶性カーボン材(黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等)を用い、金属(Cu、Al、Ag、Mg、Si、Zn等)を溶浸し、複合化させて得られる複合体であって、前記繊維軸と直行する方向の熱伝導率が200W/(m・K)以下であり、前記繊維軸と直行する方向の熱伝導率が繊維軸方向の熱伝導率に対して0.7以下の比率である。
【選択図】 図4
Description
本発明は、高熱伝導・低熱膨脹複合体及びその製造方法に関する。本発明の高熱伝導・低熱膨脹複合体は、電気回路保護用の放熱板、熱交換器やヒートポンプ等の熱的機械の高熱伝導性が要求されるヒートシンク材料として有用である。
従来、熱交換、熱伝達の現象を伴う熱的機械又は放熱用のヒートシンク材料としては、主に銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金等が使用されている。特に、高熱伝導率が要求される熱交換器等の熱的機械には、常温から高温までの温度範囲にわたって熱伝導率が最も高い銅やアルミニウム等が使用されている。
また、最近では、炭素粒子又は炭素繊維と金属との複合材を放熱基板として使用する試みが数多く提案されている。例えば、特許文献1(特開平10-168502号公報)には、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、フラーレン又はカーボンナノチューブから選ばれた1種類以上からなる結晶性カーボン材1〜200重量部と、Fe、Cu、Al、Ag、Be、Mg、W、Ni、Mo、Si、Zn及びこれらの合金からなる群から選ばれた金属の粉末100重量部とを混合し、ホットプレス焼結することにより得られた高熱伝導率複合材を開示している。この複合材によれば金属マトリックスに結晶性カーボン材が分散した構造を有した高熱伝導率の複合体が得られている。
また、特許文献2(特開2001-58255号公報)には、黒鉛結晶を含む炭素粒子又は炭素繊維を含むプリフォーム炭素成形体にアルミニウム、銅、銀又はこれらの合金を溶湯鍛造法で加圧含浸させることにより製造された炭素基金属複合材であって、室温における厚さ方向の熱伝導率が150 W/mK以上であり、熱膨張率が4×10-6/K〜12×10-6/Kである炭素基金属複合材を開示している。これらの炭素基金属複合材は、高剛性で高熱伝導率及び低熱膨張率を有する黒鉛マトリックスを骨格とし、その気孔に金属が含浸した構造を有するので、黒鉛の低熱膨張率と金属の高熱伝導率を兼備する。
また、最近では、炭素粒子又は炭素繊維と金属との複合材を放熱基板として使用する試みが数多く提案されている。例えば、特許文献1(特開平10-168502号公報)には、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、フラーレン又はカーボンナノチューブから選ばれた1種類以上からなる結晶性カーボン材1〜200重量部と、Fe、Cu、Al、Ag、Be、Mg、W、Ni、Mo、Si、Zn及びこれらの合金からなる群から選ばれた金属の粉末100重量部とを混合し、ホットプレス焼結することにより得られた高熱伝導率複合材を開示している。この複合材によれば金属マトリックスに結晶性カーボン材が分散した構造を有した高熱伝導率の複合体が得られている。
また、特許文献2(特開2001-58255号公報)には、黒鉛結晶を含む炭素粒子又は炭素繊維を含むプリフォーム炭素成形体にアルミニウム、銅、銀又はこれらの合金を溶湯鍛造法で加圧含浸させることにより製造された炭素基金属複合材であって、室温における厚さ方向の熱伝導率が150 W/mK以上であり、熱膨張率が4×10-6/K〜12×10-6/Kである炭素基金属複合材を開示している。これらの炭素基金属複合材は、高剛性で高熱伝導率及び低熱膨張率を有する黒鉛マトリックスを骨格とし、その気孔に金属が含浸した構造を有するので、黒鉛の低熱膨張率と金属の高熱伝導率を兼備する。
ところが、ホットプレス焼結では炭素と金属の界面に空隙を残し、緻密な焼結体が得られない。また、炭素繊維やカーボンナノチューブをフィラーとして溶浸法により複合体を作製する場合、溶浸時の溶融金属の圧力により形状が固定されず、また均質な構造を有する複合体を得ることができなかった。
そこで、バインダとなるピッチを含浸し、焼成、黒鉛化を行い、炭素繊維含有の炭素質成形体をプリフォームとしたり、水ガラス等で固化させてプリフォームとしていた。炭素質成形体の作製には3000℃程度まで昇温させることができる炉が必要であり、また、水ガラスの使用は、溶浸金属に不純物が混入し熱伝導率を低下させるなどの課題があった。
そこで、バインダとなるピッチを含浸し、焼成、黒鉛化を行い、炭素繊維含有の炭素質成形体をプリフォームとしたり、水ガラス等で固化させてプリフォームとしていた。炭素質成形体の作製には3000℃程度まで昇温させることができる炉が必要であり、また、水ガラスの使用は、溶浸金属に不純物が混入し熱伝導率を低下させるなどの課題があった。
そこで、本発明は、炭素繊維やカーボンナノチューブをフィラーとし、溶浸法により複合体を作製する時に用いるプリフォームにおいて、焼成や黒鉛化がともなうプリフォームの作製工程が必要のない、あるいは不純物が混入することのないプリフォームを提供してなることを特徴としている。
前記課題を解決するために、本発明者らは高い放熱性を有するとともに、半導体素子の発熱により半導体素子と熱膨張率の違いによる剥離の問題のないヒートシンクを得るべく、種々検討を行い、半導体素子と同等の熱膨張率を有するとともに、一方向の熱伝導率を大きくした結晶性カーボンと金属からなる複合体を得て、本発明を完成した。
すなわち、本発明の複合体は、300μm以上の長さを有するテープ状、シート状、フィルム状、マット状、織物状の、炭素繊維あるいはカーボンナノチューブから選ばれた結晶性カーボン材を用い、Cu、Al、Ag、Mg、Si、Znからなる群から選ばれた金属または前記群から選ばれた金属を含む合金を溶浸し、複合化した高熱伝導・低熱膨脹複合体である。この複合体は、前記繊維軸と直交する方向の熱伝導率が200W/(m・K)以下であり、前記繊維軸と直交する方向の熱伝導率が繊維軸方向の熱伝導率に対して0.7以下の比率であることを特徴としている。
また、前記複合体の繊維軸と直行する方向の熱膨張係数が8〜30×10−6/Kで、繊維軸方向の熱膨張係数が8×10−6/K以下であることを特徴とする。また、前記複合体を構成する金属と結晶性カーボン材との割合が、体積割合で9:1〜1:9であることを特徴とする。
すなわち、本発明の複合体は、300μm以上の長さを有するテープ状、シート状、フィルム状、マット状、織物状の、炭素繊維あるいはカーボンナノチューブから選ばれた結晶性カーボン材を用い、Cu、Al、Ag、Mg、Si、Znからなる群から選ばれた金属または前記群から選ばれた金属を含む合金を溶浸し、複合化した高熱伝導・低熱膨脹複合体である。この複合体は、前記繊維軸と直交する方向の熱伝導率が200W/(m・K)以下であり、前記繊維軸と直交する方向の熱伝導率が繊維軸方向の熱伝導率に対して0.7以下の比率であることを特徴としている。
また、前記複合体の繊維軸と直行する方向の熱膨張係数が8〜30×10−6/Kで、繊維軸方向の熱膨張係数が8×10−6/K以下であることを特徴とする。また、前記複合体を構成する金属と結晶性カーボン材との割合が、体積割合で9:1〜1:9であることを特徴とする。
また、前記厚さ方向に積層される結晶性カーボン材は、面内においてランダムか、または、一軸方向にあるいは平織り状に配向されているのが好ましい。
本発明で使用する結晶性カーボン材は、テープ状やシート状、フィルム状、マット状、織物状の炭素繊維やカーボンナノチューブ等いずれの種類でもよいが、特に繊維軸方向の熱伝導率が高い黒鉛化したピッチ系炭素繊維や黒鉛化した気相成長炭素繊維やアーク放電法にて作製されたカーボンナノチューブが好適である。
本発明で使用する結晶性カーボン材は、テープ状やシート状、フィルム状、マット状、織物状の炭素繊維やカーボンナノチューブ等いずれの種類でもよいが、特に繊維軸方向の熱伝導率が高い黒鉛化したピッチ系炭素繊維や黒鉛化した気相成長炭素繊維やアーク放電法にて作製されたカーボンナノチューブが好適である。
本発明によれば、単なる混合粉の焼結より高い熱伝導率で繊維軸方向では低い熱膨張係数が得られる。本発明の高熱伝導・低熱膨張複合材は、高熱伝導率、低熱膨張率を有し、しかも、様々な形状に加工することができるので、電気回路保護用の放熱板、熱交換器やヒートポンプ等の熱的機械の高熱伝導性が要求される構築材料として有用である。
先ず、本発明で用いる金属としては、Cu、Al、Ag、Mg、Si、Zn等の金属単体又はこれらの金属を1種類以上含む合金を使用することが好ましい。熱伝導率の高い金属、例えば、Cu、Ag、Al等を使用することにより、より熱伝導率の高い複合体を得ることができる。Alを溶浸する場合は、Al中にSi、Mg、Zn、Cuなどの金属が1%以上含まれる合金を用いると、Alの炭化物が生成しにくくなり好ましい。炭化物の生成は、Alとカーボンの界面に脆性材料を形成させ、機械的な強度の低下、熱伝導率の低下を引き起こす。好ましくは10〜15%Siである。
結晶性カーボン材としては、300μm以上の長さを有するピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、その他の結晶性を有する繊維状のカーボン材を使用することができる。300μmより短くなると熱伝導率が低下し、機械的強度も劣化する。さらに、それらの結晶性カーボンはテープ状、シート状、フィルム状、マット状、織物状として使用することが好ましい。よって、従来、炭素繊維、カーボンナノチューブなどは、複合化に際し、マトリックス中に、いかに均一に分散させるかが課題であった。そのために、過酷な粉砕を行い、繊維が切断され、繊維状カーボンの特長を活かすことができなかった。しかし、本発明は、例えば、製造されたそのままのテープ状、シート状、フィルム状、マット状等のまま積層しプリフォームとすることができるため、粉砕工程がなく、繊維状の特長を活かすことができる。長繊維の炭素繊維などは、織物にするとより好ましいが、長繊維の炭素繊維をそのまま適当に並べるだけでもよい。結晶性のよいカーボン材としては、特に、黒鉛化されたピッチ系炭素繊維や気相成長法炭素繊維、アーク放電法にて作製されたカーボンナノチューブ、気相成長法によって作製された後、黒鉛化されたカーボンナノチューブ等を使用することにより、より熱伝導率の高い複合体を得ることができる。
金属粉末と結晶性カーボン材との混合割合については、体積割合で9:1〜1:9、好ましくは7:3〜3:7とすることにより、熱伝導率が高く且つ複合化が容易な複合体を得ることができる。9:1より金属が多くなると、フィラーの充填状態が不均質となる。1:9より金属が少なくなると、金属の均一な溶浸が困難になる。
金属粉末と結晶性カーボン材との混合割合については、体積割合で9:1〜1:9、好ましくは7:3〜3:7とすることにより、熱伝導率が高く且つ複合化が容易な複合体を得ることができる。9:1より金属が多くなると、フィラーの充填状態が不均質となる。1:9より金属が少なくなると、金属の均一な溶浸が困難になる。
複合化にはプリフォームを用いても良い。このプリフォームは、テープ状、シート状、フィルム状、マット状、織物状の炭素繊維、カーボンナノチューブからなる群から選ばれた結晶性カーボン材を積層し、積層体の周囲を金属製の網部材と金属製のワイヤー部材で固定すればよい。具体的には積層された結晶性カーボン材を金網にてサンドイッチし、金網の間にある結晶性カーボン材が動かないように銅線、アルミ線、針金のような線材で周囲を固定したものをプリフォームとする。あるいは、積層された結晶性カーボン材をW線、銅線、アルミ線、鉄線などの線材で固定してもよい。これは結晶性カーボン材からなる積層体の厚さが10mm以上の厚さの場合、有効である。それより薄い場合、線材で固定しただけでは、溶浸中、容易にプリフォームが変形してしまい好ましくない。そこで、積層された結晶性カーボン材の周囲を図4、図5に示すように、積層された結晶性カーボン材1の周囲を金網2で固定し、さらに線材3で固定すると溶浸時に積層体が動くことなく、溶浸が円滑に進むので好ましい。
また、前記金属製の網が溶浸用金属の溶湯温度より50℃以上高い融点を有する金属であることが好ましい。溶浸を行う場合、プリフォームは溶湯温度と同等か、あるいはそれ以上の温度に予備加熱される。すると、溶湯温度が低下することなく溶浸が円滑に行われ、良好な複合体を作製することができる。溶浸用金属と同じ金属を固定用に用いた場合、予備加熱温度を溶湯温度以上に上げることができず、欠陥のない良好な複合体を得ることが困難である。溶湯温度より、低い融点を有する金属を用いると、プリフォームの予備加熱温度を溶湯温度より高くできないだけでなく、溶浸用金属中へ不純物が混入することになり、熱伝導率が低下するという問題が起こる。
また、前記金属製の網が溶浸用金属の溶湯温度より50℃以上高い融点を有する金属であることが好ましい。溶浸を行う場合、プリフォームは溶湯温度と同等か、あるいはそれ以上の温度に予備加熱される。すると、溶湯温度が低下することなく溶浸が円滑に行われ、良好な複合体を作製することができる。溶浸用金属と同じ金属を固定用に用いた場合、予備加熱温度を溶湯温度以上に上げることができず、欠陥のない良好な複合体を得ることが困難である。溶湯温度より、低い融点を有する金属を用いると、プリフォームの予備加熱温度を溶湯温度より高くできないだけでなく、溶浸用金属中へ不純物が混入することになり、熱伝導率が低下するという問題が起こる。
好ましい実施形態の一つとして、金属と結晶性カーボン材とが複合化された、あるいは、カーボンと金属からなる混合層と金属層が層状に積層された複合体が挙げられる。金属と結晶性カーボン材との積層後の複合化は、いわゆる溶浸法により実施することができる。溶浸法と一口にいっても様様な方法がある。常圧下、減圧下のプリフォームに金属溶湯を加圧下で含浸させる加圧溶浸法が一般的である。他には、減圧下で金属溶湯を含浸させる減圧溶浸法もある。本発明は、そのいずれでもよい。加圧溶浸法の場合、溶湯への圧力負荷は、ガスによる場合とプレス放置を用いる場合がある。特に、後者を溶湯鍛造法という。ガスの場合は安全性が充分に確保された耐圧容器が必要であり、融点の低い金属に有用である。融点が1000℃以上となる場合は、耐圧容器の必要のない溶湯鍛造法が適している。もちろん、融点が低い金属でも溶湯鍛造法は有効である。加圧含浸時の圧力は、1MPa以上が好ましい。プリフォームがカーボンナノチューブのような微細な組織を有している場合、減圧下においたプリフォームに溶融金属を加圧含浸するとさらに良好な複合体が得られる。
以下、本発明の実施例と比較例を示し、本発明を説明する。
(実施例1)
繊維長100mm、繊維径8μmのピッチ系炭素繊維の平織物を積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに、周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が15:85となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金溶湯を投入し、10MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例1)
繊維長100mm、繊維径8μmのピッチ系炭素繊維の平織物を積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに、周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が15:85となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金溶湯を投入し、10MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
繊維長500mm、繊維径6μmの気相成長炭素繊維の繊維軸が一方向となるように積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が30:70となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金溶湯を投入し、50MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
繊維長500mm、繊維径6μmの気相成長炭素繊維の繊維軸が一方向となるように積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が30:70となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金溶湯を投入し、50MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
繊維長500mm繊維径6μmのピッチ系炭素繊維を繊維軸が直交するように積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲をタンタル線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が12:88となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中1300℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、1350℃のCu溶湯を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
繊維長500mm繊維径6μmのピッチ系炭素繊維を繊維軸が直交するように積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲をタンタル線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が12:88となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中1300℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、1350℃のCu溶湯を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例4)
アーク放電法により作製された繊維長300μm以上を有するテープ状のカーボンナノチューブを積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲をステンレス線で固定し、厚さ5mmで、金属と黒鉛の体積比率が25:75となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中1300℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、1350℃のCu溶湯を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
アーク放電法により作製された繊維長300μm以上を有するテープ状のカーボンナノチューブを積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲をステンレス線で固定し、厚さ5mmで、金属と黒鉛の体積比率が25:75となるようなプリフォームとした。このプリフォームをアルゴン雰囲気中1300℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、1350℃のCu溶湯を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例5)
繊維長300mm繊維径8μmのピッチ系炭素繊維を金網上に並べて繊維軸が一方向となるように積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が15:85となるようなプリフォームとした。そのプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金溶湯を投入し、50MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
繊維長300mm繊維径8μmのピッチ系炭素繊維を金網上に並べて繊維軸が一方向となるように積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が15:85となるようなプリフォームとした。そのプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金溶湯を投入し、50MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例6)
アーク放電法により作製された繊維長300μm以上のマット状のカーボンナノチューブを積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が30:70となるようなプリフォームとした。そのプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
アーク放電法により作製された繊維長300μm以上のマット状のカーボンナノチューブを積層し、ステンレス製金網で周囲を固定し、さらに周囲を銅線で固定し、厚さ10mmで、金属と黒鉛の体積比率が30:70となるようなプリフォームとした。そのプリフォームをアルゴン雰囲気中800℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、800℃のAl-12%Si合金を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
銅と平均粒径50μmの人造黒鉛粉末の体積比率が15:85の混合粉を作製し、パルス通電加圧焼結法にて焼結した。得られた試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
銅と平均粒径50μmの人造黒鉛粉末の体積比率が15:85の混合粉を作製し、パルス通電加圧焼結法にて焼結した。得られた試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
繊維長の平均が200μm以下のピッチ系炭素繊維をフェノール樹脂を添加して混合した後、金属と黒鉛の体積比率が30:70となるような成形体を得、プリフォームとした。そのプリフォームをアルゴン雰囲気中1300℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、1350℃のCu溶湯を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
繊維長の平均が200μm以下のピッチ系炭素繊維をフェノール樹脂を添加して混合した後、金属と黒鉛の体積比率が30:70となるような成形体を得、プリフォームとした。そのプリフォームをアルゴン雰囲気中1300℃にて予備加熱した。予備加熱されたプリフォームを、これもまた、予備加熱された金型内に設置し、1350℃のCu溶湯を投入し、100MPaで加圧含浸した。冷却後、所望の形状に加工した試料を室温でレーザーフラッシュ法による熱伝導率を、熱機械分析装置にて熱膨張係数を測定した。その結果を表1に示す。
以上のように、実施例による複合体は、繊維軸と直交する方向の熱伝導率が200W/(m・K)以下であり、この繊維軸と直交する方向の熱伝導率は繊維軸方向の熱伝導率に対して0.7以下の比率に収まっている。同時に複合体の繊維軸と直交する方向の熱膨張係数は8〜30×10−6/Kであり、且つ繊維軸方向については熱膨張係数が8×10−6/K以下に収まっている。よって、高熱伝導率と低熱膨張を有する複合体となすことが出来ている。
Claims (6)
- 300μm以上の長さを有するテープ状、シート状、フィルム状、マット状、織物状の、炭素繊維、あるいはカーボンナノチューブから選ばれた結晶性カーボン材を用い、Cu、Al、Ag、Mg、Si、Znからなる群から選ばれた金属または前記群から選ばれた金属を含む合金を溶浸し、複合化したことを特徴とする高熱伝導・低熱膨脹複合体。
- 前記複合体の繊維軸と直交する方向の熱伝導率が200W/(m・K)以下であり、前記繊維軸と直交する方向の熱伝導率が繊維軸方向の熱伝導率に対して0.7以下の比率であることを特徴とする請求項1記載の高熱伝導・低熱膨脹複合体。
- 前記複合体の繊維軸と直行する方向の熱膨張係数が8〜30×10−6/Kで、繊維軸方向の熱膨張係数が8×10−6/K以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の高熱伝導・低熱膨脹複合体。
- 前記複合体を構成する金属と結晶性カーボン材との割合が、体積割合で9:1〜1:9であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の高熱伝導・低熱膨脹複合体。
- テープ状、シート状、フィルム状、マット状、織物状の黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブからなる群から選ばれた結晶性カーボン材を積層し、当該積層体を金属製の網部材と金属製のワイヤー部材で固定したものをプリフォームとし、これにCu、Al、Ag、Mg、Si、Znからなる群から選ばれた金属または前記群から選ばれた金属を含む合金を溶浸し、複合化することを特徴とする高熱伝導・低熱膨脹複合体の製造方法。
- 前記金属製の網部材が溶浸用金属の溶湯温度融点より50℃以上高い融点を有する金属であることを特徴とする請求項5に記載の高熱伝導・低熱膨脹複合体の製造方法。
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- 2004-06-21 JP JP2004182257A patent/JP2006002240A/ja active Pending
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