JP2011199202A - 熱拡散部材、放熱部材及び冷却装置 - Google Patents

熱拡散部材、放熱部材及び冷却装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱拡散部材の熱拡散性能の向上及び基板等との線膨張係数の相違に起因する故障等の防止を実現する。
【解決手段】基準軸((D)参照)の軸回りの互いに異なる位置に、配向性黒鉛から成る黒鉛層が形成された4個の熱伝導部材24,26,28,30を、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第1方向((A)のA方向又はC方向)が基準軸と各々平行となり、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿いかつ第1方向と直交する第2方向((A)のB方向又はD方向)が、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上の熱伝導部材の第2方向と交差する向きになると共に、他の熱伝導部材と接触するように各々配置し、各熱伝導部材を互いに接合することでヒートシンク16を構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は熱拡散部材、放熱部材及び冷却装置に係り、特に、配向性黒鉛から成る黒鉛層によって熱を拡散させる熱拡散部材、前記熱拡散部材を含む放熱部材、及び、前記放熱部材を含んで構成された冷却装置に関する。
半導体素子等の発熱体からの熱を拡散させて発熱体の過熱等を防止するヒートシンクとしては、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属で製造することが一般的であるが、ダイヤモンドに匹敵する高い熱伝導率を示しかつ安価な配向性黒鉛を用いてヒートシンクを構成することも提案されており、例えば特許文献1には、配向性黒鉛から成り黒鉛層が複数積層された矩形状のヒートシンクを、発熱体としての長尺状の半導体素子(レーザダイオード)に対してc面(黒鉛層の面)が垂直となるように配置した構成が開示されている。
また、特許文献2には、マトリックス金属材と炭素繊維布を組み合わせた炭素繊維強化金属(CFRM)から成るヒートスプレッダにおいて、炭素繊維布に含まれる炭素繊維材はヒートスプレッダの第1面に沿う延び成分を有し、前記第1面に対する個々の炭素繊維材の仮想投影線が、ヒートスプレッダ厚さ方向に延びる基準軸を中心として放射状に延びるように、個々の複数の炭素繊維材を配置した構成が開示されている。
特開平8−191121号公報 特開2005−347616号公報
配向性黒鉛は、黒鉛層に沿った方向(c面方向ともいう)の熱伝導率は1000W/m・K以上と極めて高いものの、黒鉛層と垂直な方向(c軸方向ともいう)の熱伝導率は10W/m・K程度と低い。このため、特許文献1に記載のヒートシンクにおいて、黒鉛層と垂直な方向に沿った両端面は発熱体から受けた熱の拡散に殆ど寄与しないことになり、熱拡散性能の点で改善の余地がある。
また、半導体素子の線膨張係数は、例えばシリコンであれば約3ppm/K、シリコンカーバイドであれば4〜6ppm/Kのように金属よりも小さく、半導体素子を搭載する基板の線膨張係数についても、例えば窒化アルミであれば約4〜6ppm/Kのように金属よりも小さい。これに対して配向性黒鉛は線膨張係数にも異方性があり、黒鉛層に沿った方向の線膨張係数は極めて小さい(温度上昇に対して僅かに収縮する)が、黒鉛層と垂直な方向の線膨張係数は30ppm/K近くにも達する。
特許文献1に記載の技術では、発熱体としての長尺状の半導体素子をヒートシンクの黒鉛層と垂直な方向に沿って配置しているので、半導体素子とヒートシンクを構成する配向性黒鉛との線膨張係数の差は20ppm/K近くにもなり、半導体素子とヒートシンクをはんだ等によって接合していたとすると、温度が変化する度にはんだに歪や応力が加わることが繰り返されることで、はんだにクラックが発生したり、場合によっては半導体素子が破壊される恐れもある。
また、特許文献1に記載のヒートシンクは、前述のように、黒鉛層と垂直な方向に沿った両端面を除く各表面から熱が放散されるので、ヒートシンクによる冷却対象の素子の周辺に他の素子も配置する場合、ヒートシンク自体の冷却が阻害されず、かつヒートシンクから放散される熱を受けて故障等が生ずることの無いように、他の素子の配置位置を定める必要があり、冷却対象の素子の周辺への他の素子の配置レイアウトの自由度が制限されるという問題もある。
また、特許文献2に記載の技術は、炭素繊維強化金属(CFRM)を従来例として、炭素繊維布に銅やアルミを含浸した構造である。このとき、炭素繊維中のグラフェン(黒鉛層)の場合、熱の伝導は軸方向で最も高く、1次元的である。炭素繊維を布に織ることにより、熱伝導の方向が布の縦糸や横糸の方向へ分散される(約1/2になる)。
これに対して本発明では、高配向黒鉛を放射状に配置したことにより、熱の伝導は縦横共に高い値を示す。これは、2次元的に連なったベンゼン環の網目を、熱が縦方向や横方向に限定されず自由に伝導するためである。このように、マクロに見た場合(図上では)、特許文献2に記載の炭素繊維布と本発明の黒鉛層には顕著な差異が無いように見えるが、内部構造や分子構造まで立ち入ると、両者は全く異なり、その構造に起因する効果(冷却性能、線膨張係数)も本発明の方が圧倒的に優れている。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、熱拡散性能の向上及び線膨張係数の相違に起因する故障等の防止を実現できる熱拡散部材を得ることが目的である。
また本発明は、発熱体としての素子の周辺に他の素子を配置する場合の配置レイアウトの自由度を向上させることができる放熱部材及び冷却装置を得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る熱拡散部材は、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、配向性黒鉛から成る黒鉛層が形成された3個以上の熱伝導部材が、個々の前記熱伝導部材の前記黒鉛層に沿った第1方向が前記基準軸と各々平行となり、個々の前記熱伝導部材の前記黒鉛層に沿いかつ前記第1方向と直交する第2方向が、前記基準軸と各々直交しかつ他の1個以上の前記熱伝導部材の前記第2方向と交差する向きになると共に、他の前記熱伝導部材と接触するように各々配置され、3個以上の前記熱伝導部材が互いに接合されて構成されている。
請求項1記載の発明に係る熱拡散部材は、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、配向性黒鉛から成る黒鉛層が形成された3個以上の熱伝導部材が各々配置されて構成されている。ここで個々の熱伝導部材は、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第1方向が基準軸と平行となり、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿いかつ第1方向と直交する第2方向が、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上の熱伝導部材の第2方向と交差する向きとされている。これにより、基準軸の軸回りに配置された3個以上の熱伝導部材の黒鉛層は、個々の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状又は放射状に近い向きとなるように配列されることになる。そして、個々の熱伝導部材は他の熱伝導部材と接触するように各々配置されており、請求項1記載の発明に係る熱拡散部材は、3個以上の熱伝導部材が互いに接合されて構成されている。
上記構成により、請求項1記載の発明に係る熱拡散部材を、例えば請求項7にも記載したように、当該熱拡散部材のうち基準軸(第1方向)に沿った一端部を含む端部が発熱体と接触するように配置すると、発熱体から受けた熱は、個々の熱伝導部材の黒鉛層を第1方向及び第2方向に沿って高い熱伝導率で伝導することで、熱拡散部材のうち基準軸に沿った他端部側から熱が放射・拡散されると共に、熱拡散部材のうち基準軸と直交する方向に沿った端部からも基準軸の軸回りの全周に亘って熱が放射・拡散されることになるので、特許文献1に記載のヒートシンクと比較して熱拡散性能の向上を実現することができる。
また、請求項1記載の発明に係る熱拡散部材は、前述のように、3個以上の熱伝導部材の黒鉛層が、個々の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状又は放射状に近い向きとなるように配列されているので、線膨張係数の高い方向、すなわち黒鉛層に直交する方向が基準軸の周方向又は周方向に近い向きとなり、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に配置された個々の熱伝導部材によって線膨張係数の高い方向が相違することから、温度変化に伴う熱拡散部材全体としての膨張/収縮が抑制される(熱拡散部材全体としての線膨張係数は、例えば半導体素子と同等のレベルに抑制される)。従って、請求項1記載の発明に係る熱拡散部材を発熱体と接触・接合した場合にも、配向性黒鉛と発熱体との線膨張係数の相違に起因してクラックの発生や発熱体の破壊等の故障等が生ずることを防止することができる。
なお、請求項1記載の発明において、例えば請求項2に記載したように、個々の熱伝導部材は、第1方向を含み第2方向と交差する第1平面が形成され、第1平面が他の熱伝導部材と面接触している構成であることが好ましい。請求項2に記載の第1平面は第1方向を含み第2方向と交差しているので、個々の熱伝導部材の第1平面上には、第1方向に沿って延びる黒鉛層の端部が露出することになり、第1平面に面接触している他の熱伝導部材から伝導された熱、或いは第1平面に沿って伝導された熱は、第1平面上に端部が露出している黒鉛層を第1方向及び第2方向に沿って伝導することになる。これにより、例えば第1方向及び第2方向を含む平面(黒鉛層と平行な平面)を他の熱伝導部材と面接触させる構成とした場合よりも熱拡散性能を向上させることができる。
また、請求項2記載の発明において、例えば請求項3に記載したように、個々の熱伝導部材は、第1方向を含み第2方向と交差し第1方向と平行な辺を挟んで第1平面と隣り合う第2平面も形成され、前記辺が基準軸に沿うように各々配置されると共に、第2平面が、第1平面が面接触している熱伝導部材とは異なる他の熱伝導部材と面接触している構成であることが好ましい。請求項3に記載の第2平面も第1方向を含み第2方向と交差しているので、個々の熱伝導部材の第2平面上にも、第1方向に沿って延びる黒鉛層の端部が露出することになり、第2平面に面接触している他の熱伝導部材から伝導された熱、或いは第2平面に沿って伝導された熱は、第2平面上に端部が露出している黒鉛層を第1方向及び第2方向に沿って伝導することになる。これにより、請求項2に記載の第1平面と、第1方向及び第2方向を含む別の平面(黒鉛層と平行な平面)を他の熱伝導部材と各々面接触させる構成とした場合よりも熱拡散性能を向上させることができる。
また、請求項3記載の発明において、熱拡散部材を構成する熱伝導部材の数が4個の場合、個々の熱伝導部材は、例えば請求項4に記載したように、前記辺を挟んで隣り合う第1平面と第2平面との成す角度を90°とすることができる。
また、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明において、例えば請求項5に記載したように、配向性黒鉛としては配向性熱分解黒鉛又は化学気相成長黒鉛を適用することができる。
また、請求項1〜請求項5の何れかに記載の発明において、個々の熱伝導部材は配向性黒鉛のみから構成されていてもよいが、例えば請求項6に記載したように、個々の熱伝導部材は、黒鉛層が形成された黒鉛部材層と、熱伝導率が所定値以上の材料(例えば金属材料や樹脂材料等)又は接着剤から成る基材層と、が交互に形成されて構成されていてもよい。
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の発明に係る熱拡散部材は、例えば請求項7に記載したように、基準軸に沿った一端部を含む端部が発熱体と接触するように配置することが好ましい。これにより、本発明に係る熱拡散部材が発熱体から受けた熱が、本発明に係る熱拡散部材の高い熱拡散性能によって効率良く拡散されることで、発熱体の温度上昇を効果的に抑制することができる。
請求項8記載の発明に係る放熱部材は、熱伝導率が所定値以上の材料から成り全体形状が平板状とされた基体と、前記基準軸が前記基体の厚さ方向と平行となる向きで、前記基体内のうち前記厚さ方向と直交する方向に沿った一端部側に偏倚した位置に埋設された請求項1〜請求項7の何れか1項記載の前記熱拡散部材と、配向性黒鉛から成る黒鉛層の一端が前記熱拡散部材の何れかの前記熱伝導部材の前記黒鉛層と接触され、他端が前記基体内のうち前記厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側へ延設された状態で前記基体内に埋設されて成る熱拡散経路と、を含んで構成されている。
請求項8記載の発明に係る放熱部材は、熱伝導率が所定値以上の材料から成り全体形状が平板状とされた基体を備えており、基体内のうち基体の厚さ方向と直交する方向に沿った一端部側に偏倚した位置には、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の熱拡散部材が、基準軸が基体の厚さ方向と平行となる向きで埋設されている。従って、請求項8記載の発明に係る放熱部材は、熱拡散部材のうち基準軸に沿った一端部を含む端部又は当該端部に対応する部分が発熱体と接触するように配置されることで、基体内のうち基体の厚さ方向と直交する方向に沿った一端部側に偏倚した位置に埋設された熱拡散部材が発熱体から受熱する。
また、請求項8記載の発明に係る放熱部材は、配向性黒鉛から成る黒鉛層の一端が熱拡散部材の何れかの熱伝導部材の黒鉛層と接触され、他端が基体内のうち厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側へ延設された構成の熱拡散経路が基体内に埋設されている。これにより、基体内のうち基体の厚さ方向と直交する方向に沿った一端部側に偏倚した位置に埋設された熱拡散部材が発熱体から受けた熱は、熱拡散部材から熱拡散経路へ伝導された後に、熱拡散経路に沿って基体の厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側へ伝導されることで、前記他端部側で放射・拡散されることになる。
このように、請求項8記載の発明では、放熱部材に埋設された熱拡散部材が発熱体から受けた熱を、熱拡散部材の配置位置とは異なる位置で放射・拡散することができるので、発熱体が素子であり、当該素子の周辺に他の素子を配置するにあたり、放熱部材の冷却や放熱部材からの前記他の素子の受熱量等を考慮する必要性が低減される。従って、請求項8記載の発明によれば、発熱体としての素子の周辺に他の素子を配置する場合の配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
請求項9記載の発明に係る冷却装置は、基体の厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側に冷却用の媒体(例えば水或いは空気)が通過するための通路が設けられ、熱拡散部材のうち基準軸に沿った一端部を含む端部又は当該端部に対応する部分が発熱体と接触するように配置された請求項8記載の放熱部材と、放熱部材の通路に冷却用の媒体を供給する冷却手段と、を含んで構成されているので、請求項8記載の発明と同様に、発熱体としての素子の周辺に他の素子を配置する場合の配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
また、請求項9記載の発明において、例えば請求項10に記載したように、放熱部材を平行となるように一対設け、発熱体を一対の放熱部材の間隙に配置し、一対の放熱部材を、個々の放熱部材に埋設された熱拡散部材のうち、基準軸に沿った一端部を含む端部又は当該端部に対応する部分が発熱体と接触するように各々配置してもよい。
以上説明したように本発明は、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、配向性黒鉛から成る黒鉛層が形成された3個以上の熱伝導部材が、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第1方向が基準軸と各々平行となり、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿いかつ第1方向と直交する第2方向が、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上の熱伝導部材の第2方向と交差する向きになると共に、他の熱伝導部材と接触するように各々配置し、3個以上の前記熱伝導部材が互いに接合して構成したので、熱拡散性能の向上及び線膨張係数の相違に起因する故障等の防止を実現できる、という優れた効果を有する。
また本発明は、熱伝導率が所定値以上の材料から成り全体形状が平板状とされた基体内のうち基体の厚さ方向と直交する方向に沿った一端部側に偏倚した位置に、基準軸が基体の厚さ方向と平行となる向きで熱拡散部材を埋設すると共に、配向性黒鉛から成る黒鉛層の一端が熱拡散部材の何れかの熱伝導部材の黒鉛層と接触され、他端が基体内のうち基体の厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側へ延設された状態の熱拡散経路を基体内に埋設したので、発熱体としての素子の周辺に他の素子を配置する場合の配置レイアウトの自由度を向上させることができる、という優れた効果を有する。
第1実施形態に係るパワーモジュールの、(A)は側面図、(B)は平面図である。 (A)は第1実施形態に係るヒートシンクの斜視図、(B),(C)は第1実施形態に係るヒートシンクの作製工程を説明するための斜視図である。 (A)は第2実施形態に係るパワーモジュールの概略側面図、(B)は第2実施形態に係るヒートシンクの内部構成を示す平面図である。 第3実施形態に係るカード型のパワーモジュールの、(A)は側面図、(B)は(A)の4A−4A線に沿った断面図、(C)は第3実施形態に係るヒートシンクの内部構成を示す平面図である。 (A)は第3実施形態に係るヒートシンクの斜視図、(B),(C)は第3実施形態に係るヒートシンクの作製工程を説明するための図である。 ヒートシンクの構成の他の例を示す平面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1(A)及び(B)には、本第1実施形態に係るパワーモジュール10が示されている。パワーモジュール10は、平面形状が矩形で厚みを有する平板状の基板12と、当該基板12のおよそ中央に搭載された半導体素子14と、半導体素子14を冷却するためのヒートシンク16及び冷却器18と、が一体化されて構成されている。基板12はDBA(Direct Brazed Aluminum)から成り、例えば窒化アルミニウム(AlN)等で形成された絶縁基板12Aの表面及び裏面に、例えばアルミニウム等で形成された配線金属層12Bが各々形成されて構成されている。
基板12に搭載される半導体素子14としては、駆動時の発熱量が比較的大きい半導体素子が好適であり、具体的には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)や整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET等の電力用半導体素子が好適であるが、サイリスタやゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアック等の他の電力用半導体素子であってもよいし、駆動時の発熱量が比較的大きい他の半導体素子を適用することも可能である。半導体素子14は半田付け等によって基板12の配線金属層12Bと接合され、配線金属層12Bと電気的に接続されている。
また冷却器18は、熱伝導率が所定値以上の金属材料(例えばアルミニウムやアルミニウム合金等のアルミニウム系金属)から成り、平面形状が基板12よりも大面積の矩形で厚みを有する平板状とされた天板20を備えており、この天板20の一方の面に、天板20と同一の材料から成る放熱用フィン22が複数立設されて構成されている。冷却器18は、天板20のうち放熱用フィン22が立設されている側と反対側の面(上面)が基板12側を向くように配置されている。なお、冷却器18のうち放熱用フィン22が立設されている側には、図示しない冷却水供給手段により冷却用の水流(図1(A)に示す矢印も参照)が供給される。
一方、ヒートシンク16は、その平面形状が、冷却器18の天板20よりも小面積かつ基板12よりも僅かに大面積の矩形で、ほぼ一定の厚みを有する形状とされており、冷却器18(の上面)と基板12(の底面:半導体素子14が搭載されている側と反対側の面)の間に配置されている。図2(A)に示すように、ヒートシンク16は、各々高配向熱分解黒鉛から成る4個の熱伝導部材24,26,28,30が接合されて構成されている。
4個の熱伝導部材24,26,28,30のうち、熱伝導部材24,26は、平面形状が直角二等辺三角形でほぼ一定の厚みを有する形状とされ、熱伝導部材24,26の厚さ方向(図2(A)の矢印A方向:本発明における第1方向)を含み、かつ、直角二等辺三角形の平面形状において内角が直角の頂点を通り斜辺と直角に交わる仮想線の方向(図2(A)の矢印B方向:本発明における第2方向)を含む面(この面を図2(A)に「熱伝導部材24,26のc面」と表記して示す)と平行な黒鉛層32が各々複数形成されている。なお、高配向熱分解黒鉛等の配向性黒鉛に形成される黒鉛層は目視では確認できない場合もあるが、図2では説明を簡単にするために、個々の熱伝導部材に形成されている黒鉛層を線で示しており、個々の熱伝導部材に形成されている黒鉛層の数は、図2(やその他の図面)で黒鉛層として示している線の数は必ずしも一致しないことを付記しておく。
また熱伝導部材28,30は、その平面形状が、直角二等辺三角形の斜辺に、長辺が前記斜辺と長さの等しい矩形を、前記斜辺が前記長辺と接するように付加した五角形で、ほぼ一定の厚みを有する形状とされ、熱伝導部材28,30の厚さ方向(図2(A)の矢印C方向:本発明における第1方向)を含み、かつ、五角形状の平面形状のうちの直角二等辺三角形状部において内角が直角の頂点を通り斜辺と直角に交わる仮想線の方向(図2(A)の矢印D方向:本発明における第2方向)を含む面(この面を図2(A)に「熱伝導部材28,30のc面」と表記して示す)と平行な黒鉛層34が各々複数形成されている。
上述の形状で、かつ上述の方向に黒鉛層が形成された熱伝導部材24,26,28,30は、例えば以下の工程を経て作製することができる。すなわち、炭化水素ガスを気相中で高温熱分解して堆積させた後、圧力を印加しつつ、高温(例えば3400℃程度)で長時間再焼鈍することで、黒鉛層が形成された高配向熱分解黒鉛を作製する。なお、高配向熱分解黒鉛の厚みは炭化水素ガスを気相中で高温熱分解して堆積させる時間を増減させることで調整できる。そして、上記のようにして作製した高配向熱分解黒鉛を、図2(B),(C)に示すように、黒鉛層が前述の矢印A方向及び矢印B方向を含む方向、又は、矢印C方向及び矢印D方向を含む方向となり、かつ平面形状が前述の形状となるようにダイヤモンドソーにより切断する。これにより熱伝導部材24,26,28,30を得ることができる。
ヒートシンク16は、図2(D)に示すように、上記のようにして作製した熱伝導部材24,26,28,30を、基準軸(図2(D)参照)の軸回りの互いに異なる位置に、個々の熱伝導部材の厚さ方向(第1方向)が基準軸と各々平行となり、直角二等辺三角形の平面形状における内角が直角の頂点、又は、五角形の平面形状のうち直角二等辺三角形状部における内角が直角の頂点が基準軸上に各々位置するように配置し(図2(A)に示すように、個々の熱伝導部材24,26,28,30は、この配置状態で、その側面のうち前記頂点を挟んで隣り合う一対の側面(請求項2に記載の第1平面、請求項3に記載の第2平面に相当)が、互いに異なる他の熱伝導部材の前記一対の側面の何れかと面接触する)、この配置状態が維持されるように4個の熱伝導部材24,26,28,30を接合することで作製される。これにより、個々の熱伝導部材における第2方向は、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上(この場合は2個)の熱伝導部材の第2方向と交差する向きとなり、4個の熱伝導部材の黒鉛層は、個々の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きで配列される。なお、本第1実施形態に係るヒートシンク16は、請求項1〜請求項5、請求項7に記載の熱拡散部材に各々対応している。
本第1実施形態に係るパワーモジュール10は、冷却器18、ヒートシンク16、半導体素子14が搭載された基板12が図1(A)に示す順に積層・密着され、これらが半田付け(ロウ付けでもよい)によって一体化されると共に、基板12上にNiめっきが施されることで作製される。なお、図示は省略するが、パワーモジュール10は、合成樹脂製で外面に露出する端子が設けられたケースが接着されることで、パワーモジュール10のうちの半導体素子14側がケースによって被覆される。また、半導体素子14又は配線金属層12Bに設けられた端子は、ケースに設けられた端子とをAl細線でワイヤボンド接合される等によって電気的に接続される。
次に本第1実施形態の作用を説明する。パワーモジュール10の半導体素子14が駆動されると、半導体素子14に電流が流れることで半導体素子14が発熱し、半導体素子14が搭載された基板12も、半導体素子14から熱を受けることで温度が上昇する。このように、本第1実施形態では半導体素子14及び基板12が請求項7等に記載の発熱体となる。
ここで、基板12の底面にはヒートシンク16が密着されているので、半導体素子14で発生した熱は基板12を経由してヒートシンク16(を構成する個々の熱伝導部材)に伝導する。ヒートシンク16を構成する4個の熱伝導部材24,26,28,30は、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第1方向が基準軸と平行で、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きとなるように配列され、個々の熱伝導部材が互いに接合されているので、ヒートシンク16が基板12から受けた熱は、個々の熱伝導部材の黒鉛層を第1方向及び第2方向に沿って高い熱伝導率で伝導し、個々の熱伝導部材の黒鉛層を第1方向に沿って伝導した熱は、ヒートシンク16の下面に密着している冷却器18へ速やかに伝導し、個々の熱伝導部材の黒鉛層を第2方向に沿って伝導した熱は、ヒートシンク16の側面から基準軸の軸回りの全周に亘って放射・拡散される。
本第1実施形態では、冷却器18のうち放熱用フィン22が立設されている側に冷却用の水流が供給され、冷却器18と冷却用水流との熱交換により冷却器18へ伝導した熱が排熱され、冷却器18の温度上昇が抑制されるので、半導体素子14で発生し基板12を経由してヒートシンク16に伝導した熱は、主に冷却器18と冷却用水流との熱交換によって排熱されるが、ヒートシンク16に伝導した熱のうち個々の熱伝導部材の黒鉛層を第2方向に沿って伝導する熱についても、高い熱伝導率で伝導してヒートシンク16の側面から基準軸の軸回りの全周に亘って放射・拡散される。従って、本第1実施形態に係るヒートシンク16は特許文献1に記載のヒートシンクよりも熱拡散性能が高く、ヒートシンク16自体の温度上昇が抑制されると共に、発熱体(半導体素子14及び基板12)をより効率良く冷却することができる。
また、本第1実施形態に係るヒートシンク16を構成する4個の熱伝導部材24,26,28,30は、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きとなるように配列されているので、線膨張係数の高い方向、すなわち黒鉛層に直交する方向が基準軸の周方向に近い向きとなり、線膨張係数の高い方向が個々の熱伝導部材によって相違することから、温度変化に伴うヒートシンク16全体としての線膨張係数が、例えば半導体素子14や基板12と同等程度のレベルに抑制される。従って、本第1実施形態に係るパワーモジュール10は、半導体素子14の駆動/駆動停止が繰り返され、これに伴い半導体素子14、基板12、ヒートシンク16及び冷却器18の温度上昇/低下が繰り返された場合にも、ヒートシンク16と半導体素子14及び基板12との線膨張係数の相違により、基板12とヒートシンク16との接合部にクラックが生じたり、半導体素子14が破壊される等の故障が生ずることも防止することができる。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図3(A)には本第2実施形態に係るパワーモジュール40が示されている。パワーモジュール40は、冷却器18が省略され、ヒートシンク16に代えてヒートシンク42が設けられている点で第1実施形態で説明したパワーモジュール10と相違している。
本第2実施形態に係るヒートシンク42は、熱伝導率が所定値以上の金属材料(例えばアルミニウムやアルミニウム合金等のアルミニウム系金属)から成り、図3(A),(B)に示すように、平面形状が基板12よりも大面積(基板12の数倍程度の面積)の矩形(例えば正方形)で、ほぼ一定の厚みを有する形状とされた基体44を備えており、この基体44内に、受熱部材46及び熱伝達部材56が埋設されて構成されている。
本第2実施形態では基板12の平面形状が正方形とされ、受熱部材46は、その平面形状が、基板12の平面形状に合わせて、基板12よりも僅かに大面積の正方形とされ、ほぼ一定の厚みを有する形状とされている。また受熱部材46は、第1実施形態で説明したヒートシンク16と同様に、各々高配向熱分解黒鉛から成る4個の熱伝導部材48,50,52,54が接合されて構成されている。4個の熱伝導部材48,50,52,54は、第1実施形態で説明した熱伝導部材24,26と同様に、平面形状が直角二等辺三角形でほぼ一定の厚みを有する形状とされ、熱伝導部材の厚さ方向を含み、かつ、直角二等辺三角形の平面形状において内角が直角の頂点を通り斜辺と直角に交わる仮想線の方向を含む面と平行な黒鉛層が各々複数形成されている。
受熱部材46は、第1実施形態で説明したヒートシンク16と同様に、上記構成の熱伝導部材48,50,52,54を、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、個々の熱伝導部材の厚さ方向(第1方向)が基準軸と各々平行となり、直角二等辺三角形の平面形状における内角が直角の頂点が基準軸上に各々位置するように配置することで作製される。これにより、個々の熱伝導部材における第2方向は、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上(この場合は2個)の熱伝導部材の第2方向と交差する向きとなり、4個の熱伝導部材の黒鉛層は、個々の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きで配列される。なお、本第2実施形態に係る受熱部材46も請求項1〜請求項5、請求項7に記載の熱拡散部材に各々対応している。
本第2実施形態において、半導体素子14が搭載された基板12は、ヒートシンク42の上面上のうち、その中央部から前記上面に沿う方向(ヒートシンク42の厚さ方向と直交する方向)に沿ってヒートシンク42の一端部側に偏倚した位置に配置される。このため、受熱部材46は、基準軸が基体44の厚さ方向と平行となる向きで基体44内に埋設されているが、ヒートシンク42の上面上のうち基板12が配置される位置に受熱部材46の端面(基準軸に沿った両端面の一方)が露出するように、ヒートシンク42の厚さ方向と直交する方向に沿った位置がヒートシンク42の一端部側に偏倚されると共に、ヒートシンク42の厚さ方向に沿った位置がヒートシンク42の上面側に偏倚されている。
また熱伝達部材56は、長尺状で長手方向に沿って黒鉛層が形成された高配向熱分解黒鉛から構成されている。図3(B)に示すように、ヒートシンク42の基体44内には熱伝達部材56が複数本埋設されているが、個々の熱伝達部材56は、一端が受熱部材46を構成する4個の熱伝導部材48,50,52,54の何れかの互いに異なる黒鉛層と接触され、熱伝達部材56の他端は、ヒートシンク42の厚さ方向と直交する方向に沿ったヒートシンク42(基体44)の他端まで延設されている。
上記構成のヒートシンク42の作製は、第1実施形態と同様にして4個の熱伝導部材48,50,52,54を作製すると共に熱伝達部材56として用いる高配向熱分解黒鉛部材を作製し、基体44を作製するための型の中に、4個の熱伝導部材48,50,52,54を図3(B)に示すように配置すると共に、熱伝達部材56として用いる高配向熱分解黒鉛部材を図3(B)に示すように配設した後に、型の中にアルミニウム系金属の熔湯を注ぎ、ヒートシンク42の側面及び上面の全面をアルミニウム系金属で鋳包むことによって実現できる。この鋳込みにより4個の熱伝導部材48,50,52,54の間及び熱伝導部材と熱伝達部材56との間も接合される。なお、上記構成のヒートシンク42は請求項8に記載の放熱部材に対応しており、受熱部材46は請求項8に記載の熱拡散部材に、熱伝達部材56は請求項8に記載の熱拡散経路に各々対応している。
そして、本第2実施形態に係るパワーモジュール40は、作製したヒートシンク42の天地を反転させることで、ヒートシンク42のうち受熱部材46の端面が露出している面をヒートシンク42の上面として用い、この上面上に半導体素子14が搭載された基板12に配置し、これらを半田付け等によって一体化することで作製することができる。なお、図3では図示を省略しているが、熱伝達部材56の端部が延設されているヒートシンク42の側部には、冷却用の媒体(例えば水又は空気)によって冷却する冷却手段が設けられている。
次に本第2実施形態の作用を説明する。パワーモジュール40の半導体素子14が駆動されると、半導体素子14に電流が流れることで半導体素子14が発熱し、半導体素子14が搭載された基板12も、半導体素子14から熱を受けることで温度が上昇する。基板12の底面はヒートシンク42の上面と密着しているが、ヒートシンク42の上面のうち基板12の底面が密着している部分には、ヒートシンク42の基体44内に埋設された受熱部材46の端面が露出しているので、半導体素子14で発生した熱は基板12を経由してヒートシンク42の受熱部材46(を構成する個々の熱伝導部材)に伝導する。
受熱部材46を構成する4個の熱伝導部材48,50,52,54は、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第1方向が基準軸と平行で、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きとなるように配列され、個々の熱伝導部材が互いに接合されているので、受熱部材46が基板12から受けた熱は、受熱部材46を構成する個々の熱伝導部材の黒鉛層を第1方向及び第2方向に沿って伝導する。本第2実施形態に係るヒートシンク42は、受熱部材46が基体44内に埋設されているので、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿って伝導した熱は基体44に伝導し、ヒートシンク42全体に拡散される。
また、受熱部材46を構成する個々の熱伝導部材の黒鉛層のうち、熱伝達部材56の一端が接合されている一部の黒鉛層は、基体44より熱伝達部材56の方が熱伝導率が高いために、当該一部の黒鉛層に沿って伝導した熱は大部分が熱伝達部材56へ伝導し、熱伝達部材56の長手方向に沿って基板12の配置位置と反対側のヒートシンク42の側部まで高い熱伝導率で伝導した後に、ヒートシンク42の側部から排熱される。また、このヒートシンク42の側部及びその周辺は前述の冷却手段によって冷却される。これにより、ヒートシンク42自体の温度上昇が抑制されると共に、発熱体(半導体素子14及び基板12)が効率良く冷却される。
また、上記のように、熱伝達部材56の一端が接合されている一部の黒鉛層は、熱伝達部材56の一端が接合されていない他の黒鉛層よりも排熱効率が高いため、基板12からの熱は、その多くが熱伝達部材56の一端が接合されている黒鉛層に伝導し、ヒートシンク42の側部から排熱される。従って、例えばヒートシンク42の上面上のうち半導体素子14(基板12)の配置位置以外の範囲内に他の素子を配置する場合にも、前記範囲内に他の素子を配置することでヒートシンク42の冷却が阻害されたり、前記範囲内に配置した他の素子がヒートシンク42から放散された熱によって故障したりする可能性は低く、半導体素子14の周辺への他の素子の配置レイアウトの自由度が向上する。
また、受熱部材46を構成する4個の熱伝導部材48,50,52,54は、第1実施形態で説明したヒートシンク16を構成する4個の熱伝導部材24,26,28,30と同様に、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きとなるように配列されているので、受熱部材46全体としての線膨張係数も半導体素子14や基板12と同等程度のレベルに抑制される。従って、半導体素子14の駆動/駆動停止が繰り返され、これに伴い半導体素子14、基板12及びヒートシンク42の温度上昇/低下が繰り返された場合にも、ヒートシンク42と半導体素子14及び基板12との線膨張係数の相違により、基板12とヒートシンク42との接合部にクラックが生じたり、半導体素子14が破壊される等の故障が生ずることも防止される。
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図4には本第3実施形態に係るパワーモジュール60が示されている。本第3実施形態に係るパワーモジュール60は、三相インバータ回路の一部を構成するIGBT62及びダイオード64が搭載され、このうち特に発熱量の大きいIGBT62を冷却する機能を備えたモジュールであり、平面形状が矩形とされていると共に、厚さ方向のサイズがこの種のモジュールとしては小さく抑制されることで、全体形状がおよそカード型とされている。
IGBT62及びダイオード64は、およそ平行に配置された一対の基板66に挟まれている。一対の基板66は各々DBAから成り、絶縁基板66Aの一方の面に配線金属層66Bが形成されて構成されている。一対の基板66は配線金属層66Bが形成されている側の面が内側(IGBT62側)となる向きで各々配置されており、IGBT62及びダイオード64は半田付け等によって一対の基板66の配線金属層66Bと各々接合され、一対の基板66の配線金属層66Bと電気的に各々接続されている。
一対の基板66の配置位置の近傍の一端側には、直流電力(P極及びN極)を供給するための2本の給電線68,70が、パワーモジュール60の厚さ方向に沿って延設されている。給電線68,70の各々には、何れか一方の基板66の配線金属層66Bと同じ高さ位置に、配線金属層66Bへ向けて突出する接続用端子78が取付けられており、一対の基板66の何れか一方は、配線金属層66Bと、2本の給電線68,70の何れか一方の接続用端子78と、の間に接続部材80が掛け渡されることで、給電線68,70の何れか一方と電気的に接続されている。
また、一対の基板66を挟んで給電線68,70の配設位置と反対側には、三相の交流電流(u相、v相及びw相)を出力するための3本の出力配線72,74,76が、パワーモジュール60の厚さ方向に沿って延設されている。出力配線72,74,76の各々にも、何れか一方の基板66の配線金属層66Bと同じ高さ位置に、配線金属層66Bへ向けて突出する接続用端子78が取付けられており、一対の基板66の何れか一方は、配線金属層66Bと、3本の出力配線72,74,76の何れの接続用端子78と、の間に接続部材80が掛け渡されることで、3本の出力配線72,74,76の何れかと電気的に接続されている。
なお図4(A),(B)では、一対の基板66のうち、図4(A)で上側に位置している基板66の配線金属層66Bが給電線70と電気的に接続されていると共に、図4(A)で下側に位置している基板66の配線金属層66Bが出力配線72と電気的に接続されている例を示しているが、同一の三相インバータ回路を構成する別のIGBT62及びダイオード64が搭載された他のパワーモジュール60では、電気的に接続される給電線及び出力配線の少なくとも一方が上記と相違される。
また、一対の基板66は、およそ平行に配置された一対のヒートシンク82によって挟持されている。本第3実施形態に係るヒートシンク82は、熱伝導率が所定値以上の金属材料(例えばアルミニウム系金属)から成り、図4(A)〜(C)に示すように、平面形状が基板66よりも大面積(基板12の数倍程度の面積)の長方形で、ほぼ一定の厚みを有する形状とされた基体84を備えており、この基体84内に、図4(C)に示すように、受熱部材86、熱伝達部材112及び放熱部材110が各々埋設されて構成されている。なお、基体84には、前述の給電線68,70を挿通するための2個の貫通孔84Aと、後述する給水管114,116を挿通するための2個の貫通孔84Bと、後述する連通部材118の突出部分を挿入するための4個の貫通溝84Cと、が各々穿設されている。
図5(A)に示すように、本第3実施形態に係る受熱部材86は、高配向熱分解黒鉛から成る黒鉛部材層96と、熱伝導率が所定値以上の金属材料(例えばアルミニウム系金属)から成る基材層98と、が交互に形成されて構成された4個の熱伝導部材88,90,92,94が集成されて構成されている。なお、黒鉛部材層96は請求項6に記載の黒鉛部材層に、基材層は請求項6に記載の基材層に各々対応している。また、基材層98としては、金属材料に代えて、熱伝導率が所定値以上の樹脂材料や接着剤を用いてもよい。
個々の熱伝導部材88,90,92,94は、第1実施形態で説明した熱伝導部材28,30と同様に、その平面形状が、直角二等辺三角形の斜辺に、長辺が前記斜辺と長さの等しい矩形を、前記斜辺が前記長辺と接するように付加した五角形で、ほぼ一定の厚みを有する形状とされている。また、個々の熱伝導部材88,90,92,94の黒鉛部材層96には、その厚さ方向(図5(A)の矢印E方向又は矢印G方向:本発明における第1方向)を含み、かつ、五角形状の平面形状のうちの直角二等辺三角形状部において内角が直角の頂点を通り斜辺と直角に交わる仮想線の方向(図5(A)の矢印F方向又は矢印H方向:本発明における第2方向)を含む面(この面を図5(A)に「熱伝導部材88,90のc面」又は「熱伝導部材92,94のc面」と表記して示す)と平行な黒鉛層が各々形成されている。
上記構成の熱伝導部材88,90,92,94は、例えば以下の工程を経て作製することができる。すなわち、まず第1実施形態で説明した手順により、平板状(例えば厚さ0.1mm程度)で黒鉛層が形成された高配向熱分解黒鉛部材を作製し、図5(B)に示すように、作製した高配向熱分解黒鉛部材100と、同じく平板状(例えば厚さ0.1mm程度)で高配向熱分解黒鉛部材100よりも面積が若干大きい金属部材102を交互に積層する。このとき、金属部材102の上面のうち高配向熱分解黒鉛部材100が載置されていない部分には、高配向熱分解黒鉛部材100と同じ厚さのブレイジングシート104を挿入する。
次に、高配向熱分解黒鉛部材100と金属部材102の積層体に、ネジにより圧力を発生するステンレス製の冶具を装着し、装着した治具によって積層方向に加圧する。また、加圧状態の前記積層体を炉内に投入し、450℃以上(好ましくは600℃程度)の窒素ガス雰囲気中で3分以上加熱してロウ付けを行うことで、高配向熱分解黒鉛部材100と金属部材102の積層体を一体化させる。そして、上記のようにして作製した高配向熱分解黒鉛部材100と金属部材102の積層体106を、図5(C)に示すように、黒鉛部材層96に形成された黒鉛層が前述の矢印E方向及び矢印F方向を含む方向、又は、矢印G方向及び矢印H方向を含む方向となり、かつ平面形状が前述の形状となるようにダイヤモンドソーにより切断する。これにより熱伝導部材88,90,92,94を得ることができる。
受熱部材86は、第1実施形態で説明したヒートシンク16と同様に、上記構成の熱伝導部材88,90,92,94を、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、個々の熱伝導部材の厚さ方向(第1方向)が基準軸と各々平行となり、五角形の平面形状のうち直角二等辺三角形状部における内角が直角の頂点が基準軸上に各々位置するように配置する(図5(A)に示すように、個々の熱伝導部材24,26,28,30は、この配置状態で、その側面のうち前記頂点を挟んで隣り合う一対の側面(請求項2に記載の第1平面、請求項3に記載の第2平面に相当)が、互いに異なる他の熱伝導部材の前記一対の側面の何れかと面接触する) ことで作製される。これにより、個々の熱伝導部材の黒鉛部材層96に形成された黒鉛層の第2方向は、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上(この場合は2個)の熱伝導部材の黒鉛層の第2方向と交差する向きとなり、4個の熱伝導部材の黒鉛層は、個々の黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きで配列される。なお、本第3実施形態に係る受熱部材86は請求項1〜請求項7に記載の熱拡散部材に各々対応している。
本第3実施形態において、一対の基板66は、ヒートシンク82の面上のうち、その中央部からヒートシンク82の長手方向に沿ってヒートシンク82の一端部側に偏倚した位置に配置される。本第3実施形態において、受熱部材86は、基準軸が基体84の厚さ方向と平行となる向きで基体84内に埋設されているが、ヒートシンク82の面上のうち
、特に発熱量の大きいIGBT62に対応する位置に受熱部材86の端面(基準軸に沿った両端面の一方)が露出するように、ヒートシンク82の面上の位置がヒートシンク82の長手方向に沿った一端部側に偏倚されると共に、ヒートシンク82の厚さ方向に沿った位置がヒートシンク82の一方の面(基板66と接触する面)側に偏倚されている。
また、基体84に穿設された4個の貫通溝84Cは、ヒートシンク82の長手方向に沿った他端側(基板66の配置位置と反対側)に配置されている。放熱部材110は長尺状で幅方向に沿って黒鉛層が形成された高配向熱分解黒鉛から構成されており、図4(C)に示すように、4個の貫通溝84Cの両側壁に沿って合計8個配設されている。
また熱伝達部材112は、長尺状で長手方向に沿って黒鉛層が形成された高配向熱分解黒鉛から構成されている。図4(C)に示すように、ヒートシンク82の基体84内には熱伝達部材112が複数本埋設されているが、個々の熱伝達部材112は、一端が受熱部材86を構成する4個の熱伝導部材88,90,92,94の何れかの互いに異なる黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)と接触されると共に、中間部がヒートシンク82の長手方向に沿った他端側へ延設され、熱伝達部材112の他端は8個の放熱部材110の何れかと各々接触されている。
上記構成のヒートシンク82の作製は、前述のように4個の熱伝導部材88,90,92,94を作製すると共に、熱伝達部材112として用いる高配向熱分解黒鉛部材及び放熱部材110として用いる高配向熱分解黒鉛部材を各々作製し、基体84を作製するための型の中に、4個の熱伝導部材88,90,92,94、熱伝達部材112として用いる高配向熱分解黒鉛部材、及び、放熱部材110として用いる高配向熱分解黒鉛部材を図4(C)に示すように各々配置した後に、型の中にアルミニウム系金属の熔湯を注ぎ、ヒートシンク82の側面及び上面の全面をアルミニウム系金属で鋳包むことによって実現できる。この鋳込みにより4個の熱伝導部材88,90,92,94の間、熱伝導部材と熱伝達部材112との間、及び、熱伝達部材112と放熱部材110との間も接合される。なお、上記構成のヒートシンク82は請求項8に記載の放熱部材に対応しており、受熱部材86は請求項8に記載の熱拡散部材に、熱伝達部材112は請求項8に記載の熱拡散経路に各々対応している。
また、本第3実施形態に係るパワーモジュール60を複数組み合わせて構成される三相インバータ回路が搭載される装置には、図示しない冷却装置が設けられている。この冷却装置は、冷却用の水流を循環路内で循環させると共に、循環路の途中に設けられた熱交換器による熱交換によって、循環路内を循環する冷却水流の水温の上昇を抑制する構成であり、パワーモジュール60には、パワーモジュール60を複数組み合わせて三相インバータ回路を構成した状態で、冷却装置(の循環路)の一部を構成する部材として、2本の給水管114,116と、給水管114,116との間を連通する連通部材118が取付けられている。
給水管114,116はパワーモジュール60の厚さ方向に沿って配設され、一対のヒートシンク82に各々穿設された貫通孔84Bを各々貫通している。また、一方のヒートシンク82において4個の貫通溝84Cの間に位置している3個の部材は、パワーモジュール60が組立てられた状態で、熱伝導率が所定値以上の金属材料(例えばアルミニウム系金属)から成る3本のフィン120を介して、他方のヒートシンク82における3個の同部材の何れかと各々連結される。また、連通部材118は一方のヒートシンク82の間に配置されており、給水管114から流入し連通部材118内を通過して給水管116へ流出する冷却水流が、3本のフィン120の表側及び裏側を各々通過するように、中間部が4本の水路に分岐されていると共に、冷却水流の一部が4個の貫通溝84C内も通過するように、各水路の上端及び下端に突出部も形成された形状(この突出部はパワーモジュール60の組立時に貫通溝84C内に挿入される)とされている。
次に本第3実施形態の作用を説明する。本第3実施形態に係るパワーモジュール60は、当該パワーモジュール60を厚さ方向に複数積層し、IGBT62をオンオフさせる制御信号の配線等の一部配線をワイヤボンド接合で追加する等により、サイズも小型化された三相インバータ回路を構成することができる。また、パワーモジュール60を複数組み合わせて三相インバータ回路を構成した状態で、個々のパワーモジュール60のIGBT62が駆動されると、IGBT62に電流が流れることでIGBT62が発熱し、IGBT62を挟んで配置された一対の基板66も、IGBT62から熱を受けることで温度が上昇する。一対の基板66のうちIGBT62と反対側の面はヒートシンク82の表面と密着しているが、ヒートシンク82の表面のうちIGBT62と対応する部分には、ヒートシンク82の基体84内に埋設された受熱部材86の端面が露出しているので、IGBT62で発生した熱は基板66を経由してヒートシンク82の受熱部材86(を構成する個々の熱伝導部材)に伝導する。
受熱部材86を構成する4個の熱伝導部材88,90,92,94は、個々の熱伝導部材の黒鉛部材層96に形成された黒鉛層に沿った第1方向が基準軸と平行で、個々の熱伝導部材の黒鉛部材層96に形成された黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きとなるように配列され、個々の熱伝導部材が互いに接合されているので、受熱部材86が基板66経由でIGBT62から受けた熱は、受熱部材86を構成する個々の熱伝導部材の黒鉛部材層96に形成された黒鉛層を第1方向及び第2方向に沿って伝導する。本第3実施形態に係るヒートシンク82は、受熱部材86が基体84内に埋設されているので、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿って伝導した熱は基体84に伝導し、ヒートシンク82全体に拡散される。
また、受熱部材86を構成する個々の熱伝導部材の黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)のうち、熱伝達部材112の一端が接合されている一部の黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)は、基体84より熱伝達部材112の方が熱伝導率が高いために、当該一部の黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)に沿って伝導した熱は大部分が熱伝達部材112へ伝導し、熱伝達部材112の長手方向に沿ってヒートシンク82の他端側(給電線68,70を挟んで基板66と反対側)へ高い熱伝導率で伝導した後に放熱部材110に伝導し、放熱部材110及びフィン120から排熱される。また、放熱部材110及びフィン120は連通部材118内を通過する冷却水流との熱交換によって冷却される。これにより、ヒートシンク82自体の温度上昇が抑制されると共に、発熱体(IGBT62及び基板66)が効率良く冷却される。
また、上記のように、熱伝達部材112の一端が接合されている一部の黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)は、熱伝達部材112の一端が接合されていない他の黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)よりも排熱効率が高いため、基板66からの熱は、その多くが熱伝達部材112の一端が接合されている黒鉛部材層96(に形成された黒鉛層)に伝導し、放熱部材110及びフィン120から排熱される。従って、一対の基板66の間に配置されたダイオード64等の他の素子によってヒートシンク82の冷却が阻害されたり、前記他の素子がヒートシンク82から放散された熱によって故障したりする可能性は低く、IGBT62の周辺への他の素子の配置レイアウトの自由度が向上する。
また、受熱部材86を構成する4個の熱伝導部材88,90,92,94は、第1実施形態で説明したヒートシンク16を構成する4個の熱伝導部材24,26,28,30と同様に、個々の熱伝導部材の黒鉛部材層96に形成された黒鉛層に沿った第2方向が基準軸を中心として放射状に近い向きとなるように配列されているので、受熱部材86全体としての線膨張係数もIGBT62や基板66と同等程度のレベルに抑制される。従って、IGBT62の駆動/駆動停止が繰り返され、これに伴いIGBT62、基板66及びヒートシンク82の温度上昇/低下が繰り返された場合にも、ヒートシンク82とIGBT62及び基板66との線膨張係数の相違により、基板66とヒートシンク82との接合部にクラックが生じたり、IGBT62が破壊される等の故障が生ずることも防止される。
なお、第2実施形態及び第3実施形態では、本発明に係る放熱部材の一例として、受熱部材46又は受熱部材86の端面が表面に露出している構成のヒートシンク42,82を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受熱部材の一端をヒートシンクの表面に露出させずに、基体内に埋設した構成としてもよい。
また、上記では本発明に係る熱拡散部材の一例として、4個の熱伝導部材を集成した構成を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱拡散部材の構成する熱伝導部材の数は、例として図6(A)に示すように3個であってもよいし、5個以上(例えば図6(B)に示すように6個)であってもよい。熱伝導部材の数が3個以上でかつ4個以外の場合にも、個々の熱伝導部材を、基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿った第1方向が基準軸と各々平行となり、個々の熱伝導部材の黒鉛層に沿いかつ第1方向と直交する第2方向が、基準軸と各々直交しかつ他の1個以上(例えば図6(A)の例では2個、図6(B)の例では4個)の熱伝導部材の第2方向と交差する向きになると共に、他の熱伝導部材と接触するように各々配置して接合することで、本発明に係る熱拡散部材を構成することができる。
また、上記では熱拡散部材を構成する熱伝導部材として、その平面形状が、黒鉛層の第1方向を含み第2方向と交差する第1平面と、黒鉛層の第1方向を含み第2方向と交差し第1方向と平行な辺を挟んで第1平面と隣り合う第2平面と、が各々形成された形状とされ、第1平面及び第2平面が互いに異なる他の熱伝導部材と面接触するように集成される構成を説明したが、本発明に係る熱拡散部材はこれに限定されるものではなく、例として図6(B)に示すように、熱拡散部材を構成する個々の熱伝導部材の平面形状を、黒鉛層の第1方向を含み第2方向と交差する第1平面130と、黒鉛層と平行で第1方向と平行な辺を挟んで第1平面130と隣り合う平面132が各々形成された形状とし、個々の熱伝導部材の第1平面130及び平面132が互いに異なる他の熱伝導部材と面接触するように集成した構成としてもよい。この構成では、平面132を通過して個々の熱伝導部材に伝導する熱の熱伝導率が低いため、熱拡散部材の熱拡散性能は低下するものの、本発明はこのような態様も権利範囲に含むものである。
更に、上記では本発明に係る配向性黒鉛の一例として高配向熱分解黒鉛を用いた態様を説明したが、これに代えて化学気相成長黒鉛を用いてもよい。
次に、本発明の有効性を確認するために本願発明者が行った実験について説明する。この実験では、本発明を適用したパワーモジュールとして、第1実施形態で説明したパワーモジュール10(但し、半導体素子14としてはIGBTを搭載した)を用いると共に、上記のパワーモジュール10におけるヒートシンク16を、特許文献1に記載のヒートシンクのように、黒鉛層が一定方向にのみ配列されたヒートシンクに入れ替えたパワーモジュール(比較用のパワーモジュール)も作製した。
そして、まず双方のパワーモジュールの冷却性能を比較するため、温水循環装置により冷却器18に65℃の冷却水を供給している状態で、IGBTに電力を供給してIGBTを発熱させ、各部の温度を測定して熱抵抗を算出することを、双方のパワーモジュールについて各々行った。その結果、本発明を適用したパワーモジュールは、比較用のパワーモジュールに対して熱抵抗が20%程度低減されていることが明らかとなった。
次に、本発明を適用したパワーモジュールに対して冷熱サイクル試験を行った。この試験には液槽冷熱サイクル試験装置を用い、低温槽の温度が−40℃、高温槽の温度が+105℃、さらし時間が各5分間の条件で、冷熱サイクルを3000サイクル繰り返した。試験後にヒートシンク16と基板12との接合部のはんだを観察したが、はんだにクラックが生じていることは確認できたもののその長さは1mm以下であった。従って、ヒートシンク16全体としての線膨張係数は、基板12や半導体素子14(IGBT)の線膨張係数に近い値に抑制されているものと推察される。
10,40,60 パワーモジュール
12,66 基板
14 半導体素子
16,42,82 ヒートシンク
24,26,28,30,48,40,52,54,88,90,92,94 熱伝導部材
32,34 黒鉛層
44,84 基体
46, 86 受熱部材
56, 112 熱伝達部材
62 IGBT
96 黒鉛部材層
98 基材層
110 放熱部材

Claims (10)

  1. 基準軸の軸回りの互いに異なる位置に、配向性黒鉛から成る黒鉛層が形成された3個以上の熱伝導部材が、個々の前記熱伝導部材の前記黒鉛層に沿った第1方向が前記基準軸と各々平行となり、個々の前記熱伝導部材の前記黒鉛層に沿いかつ前記第1方向と直交する第2方向が、前記基準軸と各々直交しかつ他の1個以上の前記熱伝導部材の前記第2方向と交差する向きになると共に、他の前記熱伝導部材と接触するように各々配置され、3個以上の前記熱伝導部材が互いに接合されて構成された熱拡散部材。
  2. 個々の前記熱伝導部材は、前記第1方向を含みかつ前記第2方向と交差する第1平面が形成され、前記第1平面が他の前記熱伝導部材と面接触している請求項1記載の熱拡散部材。
  3. 個々の前記熱伝導部材は、前記第1方向を含みかつ前記第2方向と交差すると共に、前記第1方向と平行な辺を挟んで前記第1平面と隣り合う第2平面も形成され、前記辺が前記基準軸に沿うように各々配置されると共に、前記第2平面が、前記第1平面が面接触している前記熱伝導部材とは異なる他の前記熱伝導部材と面接触している請求項2記載の熱拡散部材。
  4. 前記辺を挟んで隣り合う前記第1平面と前記第2平面との成す角度が90°とされた4個の前記熱伝導部材から構成されている請求項3記載の熱拡散部材。
  5. 前記配向性黒鉛は配向性熱分解黒鉛又は化学気相成長黒鉛である請求項1〜請求項4の何れか1項記載の熱拡散部材。
  6. 個々の前記熱伝導部材は、前記黒鉛層が形成された黒鉛部材層と、熱伝導率が所定値以上の材料又は接着剤から成る基材層と、が交互に形成されて構成されている請求項1〜請求項5の何れか1項記載の熱拡散部材。
  7. 前記基準軸に沿った一端部を含む端部が発熱体と接触するように配置される請求項1〜請求項6の何れか1項記載の熱拡散部材。
  8. 熱伝導率が所定値以上の材料から成り全体形状が平板状とされた基体と、
    前記基準軸が前記基体の厚さ方向と平行となる向きで、前記基体内のうち前記厚さ方向と直交する方向に沿った一端部側に偏倚した位置に埋設された請求項1〜請求項7の何れか1項記載の前記熱拡散部材と、
    配向性黒鉛から成る黒鉛層の一端が前記熱拡散部材の何れかの前記熱伝導部材の前記黒鉛層と接触され、他端が前記基体内のうち前記厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側へ延設された状態で前記基体内に埋設されて成る熱拡散経路と、
    を含む放熱部材。
  9. 前記基体の厚さ方向と直交する方向に沿った他端部側に冷却用の媒体が通過するための通路が設けられ、前記熱拡散部材のうち前記基準軸に沿った一端部を含む端部又は当該端部に対応する部分が発熱体と接触するように配置された請求項8記載の前記放熱部材と、
    前記放熱部材の前記通路に前記冷却用の媒体を供給する冷却手段と、
    を含む冷却装置。
  10. 前記放熱部材は平行となるように一対設けられており、前記発熱体は一対の前記放熱部材の間隙に配置され、一対の前記放熱部材は、個々の前記放熱部材に埋設された前記熱拡散部材のうち、前記基準軸に沿った一端部を含む端部又は当該端部に対応する部分が前記発熱体と接触するように各々配置されている請求項9記載の冷却装置。
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