JP2006002187A - Sm−Fe−N系磁性粒子粉末及び該Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有するボンド磁石 - Google Patents

Sm−Fe−N系磁性粒子粉末及び該Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有するボンド磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ボンド磁石形成時の流動性に優れ、しかも、樹脂との混練時の安定性に優れたSm−Fe−N系磁性粒子粉末及びボンド磁石を提供する。
【解決手段】 カルシウムの含有量が0.001〜0.2重量%であり炭素の全含有量が0.01〜0.1重量%であるSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末とを混合した後、当該混合物に還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物とし、次いで、前記混合物に金属Caを混合して不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とした後、窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水に分散させ水洗した後、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末とする製造法において、前記水洗後粉砕する際の水懸濁液に炭酸ガスを吹き込む又は炭酸化合物を添加して得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボンド磁石形成時の流動性及び混練安定性に優れたSm−Fe−N系磁性粒子粉末及び該Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有するボンド磁石を提供する。
また、本発明は、Caを用いた還元拡散および窒化処理によって作製されたCaを含むSm−Fe−N粒子を、合理的に水洗・乾燥して可及的にCaを低減するとともに、最大の磁気特性を発現させ、しかも、磁気特性の劣化及び表面の活性が抑制されたSm−Fe−N粒子である。
ボンド磁石は、その形状自在性や高寸法精度などの利点があるため、従来から電気製品や自動車部品等の各種用途に広く使用されているが、近年、電気製品や自動車部品の小型・軽量化に伴って、これに使用されるボンド磁石自体の高性能化が強く要求されている。
ボンド磁石は、一般に、ゴム又はプラスチック材料等の結合剤樹脂と磁性粉末とを混練した後、成形することによって製造されているため、ボンド磁石の高性能化のためには、磁性粉末の高性能化、即ち、大きな残留磁束密度Brと高い保磁力iHcとを有し、その結果、最大磁気エネルギー積(BH)maxが大きな磁性粉末が強く要求されている。
磁性粉末としては、バリウムフェライトやストロンチウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトやSm−Fe−N系磁性粒子粉末及び希土類−鉄−ホウ素系磁石が知られている。特に、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末は、飽和磁化値と異方性磁界が共に高く、更に、高いキュリー温度を有することから、近年特に注目されている。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末はサマリウムと鉄との合金を窒化反応して得ることができるが、ボンド磁石に用いるためには適度な大きさに粉砕する必要がある。しかしながら、粉砕工程を経ることによって磁気特性が低下したり、均一な粒子形状を得ることが困難であることから、粉砕することなくSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得ることが要求されている。
即ち、ボンド磁石の残留磁束密度は結合剤樹脂中に磁性粉末を多量に充填できることが重要である。そこで、粒子形状が均一で、粒度分布に優れ、しかも、流動性に優れた磁性粉末が要求されている。
また、ボンド磁石の残留磁束密度は、磁性粉末の飽和磁化値に左右されることから、高い飽和磁化値を有する磁性粉末であることが重要である。そのためには、優れた磁気特性を有するSm−Fe−N系磁性粒子粉末が要求されている。
更に、ボンド磁石の製造時において、結合剤樹脂と磁性粉末との混練時には、加熱及び加圧するため、磁性粉末が酸化されやすく、磁性粉末の酸化に伴って、結合剤樹脂が変質しやすい。そこで、酸化されにくく、混練時の安定性に優れたSm−Fe−N系磁性粒子粉末が要求されている。
従来、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末中にアルカリ金属などを含有させる技術(特許文献1)、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造において炭素を用いる技術(特許文献2)又はSm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造において炭酸ガスを用いる技術(特許文献3、4)等が知られている。
特開平9−143636号公報 特開2000−100610号公報 特開2000−192101号公報 特開2002−180111号公報
ボンド磁石形成時の流動性及び混練時の安定性に優れ、且つ、高い磁気特性を劣化させることなく維持することができるボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粒子粉末は現在最も要求されているところであるが、このような特性を有するボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法は未だ得られていない。
即ち、前出特許文献1には、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を均一に含有するものであるが、炭素成分を含有しておらず、樹脂と混練した場合に、樹脂の安定性が低下し流動性、分散性に優れるとは言い難いものである。
また、前出特許文献2には、Sm−Fe−N系磁性粒子の結晶成長中に炭素を導入する技術が記載されているが、炭素の残存量が少なく、かつ残留した炭素も還元拡散後には炭酸カルシウムなどの炭酸塩となる前に大部分が洗い流されるため、本発明のような効果は期待できない。
また、前出特許文献3には、Sm−Fe−N系合金粉末にCOガスを接触させる技術が記載されているが、Sm−Fe−N系合金粉末を酸洗し、水洗・脱水・乾燥を完了させた後にガス接触による炭酸化合物を表面に生成させる技術であり、脱水される直前まで水を介した溶解析出反応が起こり、Sm−Fe−N粒子表面に微細な含水酸化物が生成し、脱水後も大気中の水分によってその含水酸化物が反応を再開し、保磁力など特性の低下を起こす。また、樹脂との混練特性も十分とは言い難い。
また、前出特許文献4には、希土類−遷移金属の合金をpH4.5〜6.0の炭酸水で洗浄した後、窒化処理することが記載されているが、窒化処理によって、その後のSm−Fe−N粒子表面は、大気中の水分によってFeやSmがイオン化しやすい状態のため、粒子表面から含水酸化物微粒子が析出し、保磁力などの低下を招きやすく、樹脂との混練特性も劣化する。
そこで、本発明は、磁気特性の劣化及び表面の活性が抑制されたボンド磁石用のSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末であって、カルシウムの含有量が0.001〜0.2重量%であり炭素の含有量が0.01〜0.1重量%であることを特徴とするSm−Fe−N系磁性粒子粉末である(本発明1)。
また、本発明は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末であって、カルシウムの含有量が0.02〜0.2重量%であり炭素の全含有量が0.02〜0.1重量%であることを特徴とするSm−Fe−N系磁性粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末であって、カルシウムの含有量が0.001〜0.2重量%であって炭酸成分の含有量がC換算で0.01〜0.1重量%であることを特徴とするSm−Fe−N系磁性粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は、酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末とを混合した後、当該混合物に還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物とし、次いで、前記混合物に金属Caを混合して不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とした後、窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水に分散させ水洗した後、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末とする製造法において、前記水洗後粉砕する際の水懸濁液に炭酸ガスを吹き込む又は炭酸化合物を添加することを特徴とする前記Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法である(本発明4)。
また、本発明は、酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末とを混合した後、当該混合物に還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物とし、次いで、前記混合物に金属Caを混合して不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とした後、窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水に分散させ水洗した後、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末とする製造法において、粉砕後に、水分が存在するときに炭酸ガスを吹き込む又は炭酸化合物を添加することを特徴とする前記Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法である(本発明5)。
また、本発明は、本発明1乃至3のいずれかのSm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有することを特徴とするボンド磁石である(本発明6)。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、磁性粒子表面の樹脂等への活性が抑制されるとともに、流動性及び混練安定性に優れているので、ボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粒子粉末として好適である。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末を用いたボンド磁石は、流動性及び混練安定性に優れたボンド磁石が得られるので、ボンド磁石として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、SmFe17を主成分とし、カルシウムと炭素を含有する。炭素のほぼ全量が炭酸成分であり、更に前記炭酸成分の一部はカルシウムとの化合物(炭酸カルシウム)として存在してもよい。なお、前記炭素又は炭素成分はSm−Fe−N系磁性粒子の粒子表面に存在することが好ましい。また、炭酸サマリウム、炭酸鉄が微量存在してもよい。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末のカルシウム含有量は0.001〜0.2重量%である。カルシウム含有量を0.001重量%未満に低減することは工業的に困難である。0.2重量%を超える場合には、非磁性成分が増加するため磁化の低下を招くことになる。好ましくは0.02〜0.20重量%であり、より好ましくは0.02〜0.10重量%である。なお、カルシウムの全量が炭酸カルシウムを形成した場合、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末中に含有することが好ましい。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末の炭素の含有量は0.01〜0.1重量%である。炭素の含有量が0.01重量%未満のSm−Fe−N系磁性粒子粉末は工業的に生産することが困難である。0.1重量%を超える場合には、非磁性成分が増加するため磁化の低下を招くことになる。好ましくは0.02〜0.1重量%、より好ましくは0.03〜0.1重量%である。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末の炭酸成分(CO3)の含有量はC換算で0.01〜0.1重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1重量%である。なお、CO3換算では、0.05〜0.5重量%が好ましい。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、前記カルシウムと炭酸成分とが炭酸カルシウムを形成していてもよい。炭酸カルシウムが存在することによって樹脂とのなじみがよくなる。炭酸カルシウムの含有量は0.02〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.3重量%である。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末の粉体pH値は7.0〜11.0が好ましい。粉体pH値が7.0未満の場合には、Sm−Fe−N系磁性粒子自体が劣化しやすいだけでなく、樹脂との混練において樹脂を酸化・劣化させることになる。粉体pH値が11.0を超える場合には、Sm−Fe−N系磁性粒子表面に不要な分解・析出反応を引き起こす原因となることがある。より好ましくは7.0〜10.0である。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末の平均粒径は2.0〜6.0μmが好ましい。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末のBET比表面積値は0.10〜1.80m/gが好ましい。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末の磁気特性は(粉末を磁場中配向させて測定したところ)、保磁力が238.7〜1428.6kA/m(3000〜18000Oe)であり、残留磁束密度が800〜1300mT(8〜13kG)であり、最大磁気エネルギー積が79.4〜396.8kJ/m(10〜50MGOe)である。
次に、本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法について述べる。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末とを混合した後、当該混合物に還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物とし、次いで、金属Caを混合して800〜1200℃の温度範囲、不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とし、次いで、窒素雰囲気に切り替え、300〜600℃の温度範囲で窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水に分散させ水洗した後、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末とする製造法において、前記水洗後粉砕する際に、炭酸ガスを吹き込むか炭酸化合物を添加する、又は、粉砕後に炭酸ガスを吹き込むか炭酸化合物を添加することによって得ることができる。
本発明における酸化鉄粒子粉末は、ヘマタイト粒子粉末又はマグネタイト粒子粉末が好ましい。
酸化鉄粒子粉末の粒子形状は球状もしくは8面体か6面体であり、平均粒子径は0.05〜10μmが好ましい。平均粒子径が0.05μm未満の場合には、酸化鉄から鉄への還元時に異常な粒子成長を招き、結果として還元拡散反応時に均一な合金組成及びシャープな粒度分布を有するSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得ることが困難となる。10μmを越える場合には、粒子サイズが大きく、目的とする粒子サイズを有するSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得ることが困難となる。また、還元拡散反応による、鉄粒子へのSmのドーピングも、粒子内部まで均一に及ぶことが困難となり、望ましくない。
前記酸化鉄粒子粉末のうちマグネタイト粒子粉末は、例えば、硫酸第一鉄水溶液とアルカリ水溶液とを反応して得られる水酸化第一鉄塩コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に酸素含有ガスを通気することにより得ることができる。また、ヘマタイト粒子粉末は、前記マグネタイト粒子粉末を700〜1000℃の温度範囲で加熱焼成を行って得ることができる。
本発明における酸化サマリウム粒子粉末の粒子形状は粒状であり、平均粒子径は0.5〜5.0μmであることが好ましい。
前記酸化鉄粒子粉末と前記酸化サマリウム粒子粉末との混合割合は、化学量論比であるSmFe17となるSmとFeとの割合に対して、サマリウムをSm換算で100〜130モル%となるように過剰の酸化サマリウムを混合する。
前記酸化鉄粒子粉末と前記酸化サマリウム粒子粉末との混合は、酸化鉄粒子と酸化サマリウム粒子とが均一に接触するように混合できればよく、例えば、アトライタなどを用いた湿式混合もしくは湿式粉砕混合が好ましい。
前記酸化鉄粒子粉末と前記酸化サマリウム粒子粉末との混合物は、還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物にする。還元反応は、例えば、水素ガス雰囲気下で500〜1000℃の温度範囲で加熱して行うことができる。
本発明においては、鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物に安定化処理を行って、鉄粒子の粒子表面に酸化被膜を形成してもよい。鉄粒子の粒子表面に酸化被膜を形成することによって、後述する還元拡散反応を均一に進行させることができ、粒子間の焼結を抑制することができる。
安定化処理は、鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物を酸素含有雰囲気下で30〜150℃の温度範囲で加熱する。反応時間は1〜5時間程度である。安定化処理の雰囲気は酸素含有雰囲気であり、酸素含有量は30体積%以下が好ましく、より好ましくは1〜25体積%である。
鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物に、金属カルシウムを混合して還元拡散反応を行う。
金属カルシウムの混合割合は、混合物中の酸化サマリウム(Sm)1モルに対して3〜15モルが好ましい。3モル未満の場合には、還元拡散反応が十分ではなく、サマリウムの還元が不十分となる。15モルを越える場合には効果が飽和するため必要以上に添加する意味がない。
還元拡散反応は、不活性ガス雰囲気下で800〜1200℃の温度範囲で行う。800℃未満の場合には酸化サマリウムの還元が不十分となる。1200℃を越える場合にはカルシウム及びサマリウムの蒸発が起こり始め組成比が変化しやすく、また、焼結が進行しやすくなる。
還元拡散反応を行うことによって、鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物を鉄とサマリウムとの合金にする。
還元拡散反応後の鉄とサマリウムとの合金に対して300〜600℃の温度範囲で窒化反応を行う。300℃未満の場合には鉄とサマリウムとの合金に必要量の窒素を侵入させることが困難となる。600℃を越える場合にはα−FeとSmの窒化物などへの分解が始まるため好ましくない。窒化反応の時間は1〜100時間程度である。なお、窒化雰囲気に切り替える前に温度を300℃以下に下げることが望ましい。窒化反応はSmFe17合金粒子だけでなく残留している金属カルシウムにも起こるが、その時発熱反応を伴うため、最適な温度を超え、SmFe17合金が分解することがある。300℃以下になったところから窒化反応を開始して、所定の窒化温度に昇温することで、SmFe17合金粒子の窒化反応を安定して行うことができる。
窒化反応は、SmFe17に対して2.8〜3.5重量%の窒素を含有するように行う。
窒化反応後のSm−Fe−N系磁性粒子は水洗、粉砕、濾過、乾燥して取り出すことができるが、本発明においては、水洗完了後に炭酸ガスを通気する。水洗後のSm−Fe−N系磁性粒子を含有する水懸濁液のpHは10〜11程度であるので、水懸濁液のpHが6.0〜8.0の間に維持できるように炭酸ガスを通気すればよい。
Sm−Fe−N系磁性粒子を含有する水懸濁液に炭酸ガスを吹き込むことで、微量に残留しているカルシウムと結び付き炭酸水素カルシウムという形で存在する。この炭酸水素カルシウムは、水懸濁液のpHを緩衝する働きがあり、このことによってSm−Fe−N系磁性粒子の劣化を防ぐことができるものと推定している。この炭酸水素カルシウムの大部分は水洗除去されるが、残部は乾燥されSm−Fe−N系磁性粒子の粒子表面に炭酸カルシウムとして残留するものとなる。
また、炭酸ガスを吹き込む代わりに、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウムを水懸濁液中に添加しても同様の効果が得られる。
水洗の効率を良くするために、塩酸や酢酸などを適量スラリーに添加して、攪拌することによる酸洗浄を行っても良い。
酸洗直後では、スラリーのpHは7.0〜8.0程度である。その場合も同様に、スラリーのpHが6.0〜8.0の間に維持できるように炭酸ガスを吹き込めばよい。
なお、水洗が十分に完了する前に炭酸ガスを通気した場合、十分な効果が得られない。
また、粉砕完了後の水懸濁液に、炭酸ガスの吹き込み又は炭酸化合物の添加を行ってもよい。
更に、乾燥時の水分が残存する状態のときに炭酸ガスを含有する雰囲気下で乾燥させても良い。その場合、速やかに乾燥するため脱水し、含水量をできるだけ低減してから乾燥を行う。さらに速やかに乾燥できるように粉体が凝集しないよう解しながら乾燥する。乾燥の雰囲気は不活性雰囲気が好ましく、窒素ガス中、減圧した窒素ガス中又は減圧した大気中でもよい。乾燥温度は40℃以上として、なるべく低温で速やかな乾燥とする。その際、発生する水蒸気は常に排気するようにし、ガス流入と排気を減圧下として定常状態を維持するようにする。そのガス中に炭酸ガスを含ませることで、まだ蒸発していない水分中に炭酸が溶け込み、水分が蒸発するまでのSm−Fe−N系磁性粒子の粒子表面での劣化反応を抑えることができる。
乾燥温度は、減圧雰囲気の気圧に対して水の水蒸気分圧が上回る温度になれば良いが、工業的には、40℃以上が選ばれる。
炭酸ガスの量は、乾燥中に吹き込むガス全体量の1〜100%を占めるようにすればよい。
次に、本発明におけるボンド磁石用樹脂組成物について述べる。
本発明におけるボンド磁石用樹脂組成物は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を結合剤樹脂中に分散してなるものであって、当該Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を85〜99重量%含有し、残部が結合剤樹脂とその他添加剤とからなる。
前記結合剤樹脂としては、成形法によって種々選択することができ、射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形の場合には熱可塑性樹脂が使用でき、圧縮成形の場合には、熱硬化性樹脂が使用できる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン(PA)系、ポリプロピレン(PP)系、エチレンビニルアセテート(EVA)系、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系、液晶樹脂(LCP)系、エラストマー系、ゴム系等の樹脂が使用でき、前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系、フェノール系等の樹脂を使用することができる。
なお、ボンド磁石用樹脂組成物を製造するに際して、成形を容易にしたり、磁気特性を十分に引き出すために、必要により、結合剤樹脂の他に可塑剤、滑剤、カップリング剤など周知の添加物を使用してもよい。また、フェライト磁石粉末などの多種の磁石粉末を混合することもできる。
これらの添加物は、目的に応じて適切なものを選択すればよく、可塑剤としては、それぞれの使用樹脂に応じた市販品を使用することができ、その合計量は使用する結合剤樹脂に対して0.01〜5.0重量%程度が使用できる。
前記滑剤としては、ステアリン酸とその誘導体、無機滑剤、オイル系等が使用でき、ボンド磁石全体に対して0.01〜1.0重量%程度が使用できる。
前記カップリング剤としては、使用樹脂とフィラーに応じた市販品が使用でき、使用する結合剤樹脂に対して0.01〜3.0重量%程度が使用できる。
他の磁性粉末としては、フェライト磁石粉末、アルニコ系磁石粉末、希土類系磁石粉末などが使用できる。
ボンド磁石用樹脂組成物の混練安定性は、後述する評価法において20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。混練安定性が20%を越える場合には、磁性粉末と結合剤樹脂とを混練する工程において、熱と圧力が加わる中で、磁性粉末が酸化などすると、それに伴って結合剤樹脂も化学的に変質し、プラストミルのトルクが上昇することになり好ましくない。
ボンド磁石用樹脂組成物の流れ性(MFR)は、後述する評価法において、150〜600g/10min程度が望ましい。150g/10min未満の場合には、射出成型の成形性と生産性が著しく低下する。
本発明に係るボンド磁石用樹脂組成物は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を結合剤樹脂と混合、混練してボンド磁石用樹脂組成物を得る。
前記混合は、ヘンシェルミキサー、V字ミキサー、ナウター等の混合機などで行うことができ、混練は一軸混練機、二軸混練機、臼型混練機、押し出し混練機などで行うことができる。
次に、本発明に係るボンド磁石について述べる。
ボンド磁石の磁気特性は目的とする用途に応じて種々変化させることができるが、残留磁束密度は350〜800mT(3.5〜8.0kG)であり、保磁力は238.7〜1428.5kA/m(3000〜18000Oe)であり、最大エネルギー積は23.9〜158.7kJ/m(3〜20MGOe)であることが好ましい。
ボンド磁石の成形密度は4.5〜5.0g/cmであることが好ましい。
本発明におけるボンド磁石は、前記ボンド磁石用樹脂組成物を用いて、射出成形、押出成形、圧縮成形又はカレンダー成形等の周知の成形法で成形加工した後、常法に従って電磁石着磁やパルス着磁することにより、ボンド磁石とすることができる。
<作用>
Sm−Fe−N系磁性粒子が水に接している間、Sm−Fe−N系磁性粒子表面から、Fe及びSmイオンが溶出、再析出する反応が起こり続けている。また、Sm−Fe−N系磁性粒子表面にCaが残留しているので、前記析出反応は、水中だけではなく、乾燥後も大気中の水分で引き起こされる。
再析出による微粒子がSm−Fe−N系磁性粒子の粒子表面に存在する場合、保磁力の低下や、活性な点の増加によって発熱・酸化反応が進行しSm−Fe−N系磁性粒子の磁気特性の劣化や反応がより進行した場合には発火の危険がある。
本発明においては、Sm−Fe−N系磁性粒子を含有する水懸濁系中に炭酸ガスを吹き込むか炭酸化合物を添加することで、pHが中性付近に維持され、溶解および析出反応が抑制されるとともに、反応を引き起こすCaイオンの基であるSm−Fe−N系磁性粒子の粒子表面のCaを炭酸化合物として固定されているものと推定している。また、不安定なSmも炭酸化合物を形成し安定化するものと推定している。
本発明では、水洗完了後のSm−Fe−N系磁性粒子を含有する水懸濁液において、粉砕中に炭酸処理、もしくは粉砕直後に炭酸処理を施すことによって、Sm−Fe−N系磁性粒子の活性面を速やかに被覆することができ、水中で次々と発生する微粒子の核を粒子表面に残存させることなくSm−Fe−N系磁性粒子を取り出すことができるので、安定性が向上する。
また、炭酸ガスを含有する水で洗浄することによって、微量のカルシウムを残存させることができる。
更に、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末がカルシウムを含有することによって、樹脂との相溶性が向上すると共に、カルシウムが樹脂の安定剤として機能して、樹脂組成物及びボンド磁石の安定性が向上する。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末のカルシウム含有量は、粉末を塩酸で溶かしICPで測定する。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の炭素含有量は、堀場製作所製炭素・硫黄分析装置(高周波誘導加熱炉方式)EMIA−820を用いて炭素量を測定した。また、前記炭素の全量が炭酸化合物となっているとして算出した。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の粉体pH値は、JIS K 5101に従って測定した。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の形状は走査型電子顕微鏡で観察した。
酸化鉄粒子粉末及びSm−Fe−N系磁性粒子粉末の粒度分布はHELOSで測定し、各粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたとき、その累積割合が10%、50%、90%となる点の粒子径をそれぞれD10、D50(平均粒子径)、D90として示した。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の磁気特性は、アクリル製のカプセル中に蝋と磁性粒子粉末を入れて、配向磁場を印加しながら、加熱冷却し、磁粉を配向した上で、試料振動型磁力計VSM(東英工業株式会社製)で測定した値で示した。
ボンド磁石用樹脂組成物の混練安定性は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末90.3重量部と12ナイロン樹脂8.2重量%、酸化防止剤0.5重量%及び表面処理剤1.0重量%とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、二軸押出混練機により混練(混練温度190℃)を行い、得られた組成物をプラストミルで120分間連続して混練したとき、その混練トルクが0.2kg・mを超えることがなく、且つ、最低トルクの値を(A)、120分後のトルクの値を(B)としたとき、[(B)−(A)]/(A)×100(%)で示す。
ボンド磁石用樹脂組成物の流れ性(MFR)はセミメルトインデクサ(型式2A、東洋精機(株)製)を用いて加熱温度270℃、加重10kgfの条件で測定した。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有するボンド磁石の磁気特性は、配向磁場中で成型したボンド磁石をBHトレーサー(東英工業工業株式会社)により測定した。
ボンド磁石の密度は、成形ボンド磁石を室温約25℃に十分冷却した後、ボンド磁石の大きさを測定し、測定値から体積を求めた。次に、当該成形ボンド磁石の重量を測定し、重量値(g)を体積値で除した値で示した。
実施例1
平均粒径1.31μmのヘマタイト粒子3118.52gと平均粒子径4.40μmの酸化サマリウム粒子881.48gをミキサにて混合した。
<還元反応及び安定化処理>
ここに得た混合粉末を水素を流通させた熱処理炉にて600℃で5時間加熱して還元反応を行う。還元反応後に窒素雰囲気にして40℃に冷却した後、窒素雰囲気にAirを1/10程度混入させ、徐酸化による粒子表面の安定化を施し、取り出す。ライカイキを用いて解しておく。
<還元拡散反応および窒化反応>
ここに得た粉末の521.51gと粒状金属Caを103.49gを混合して、雰囲気炉に挿入し、雰囲気をアルゴンガス気流中にし、1000℃に昇温する。炉内の温度が所定の温度に達したら、次に冷却し、300℃以下にて雰囲気を窒素雰囲気に切り替える。窒素雰囲気にした後、420℃に昇温し、12時間、420℃にて保持して窒化反応した後、室温まで冷却する。
<水洗・乾燥>
室温まで冷却した後、炉内の焼成物を取り出し、水中に投じる。これにより、水中にて自然に崩壊し、合金粉末とCaの分離が始まる。さらに機械的な解砕を加えることで、凝集体の中までCa成分を水洗する。さらに薄い酸性水溶液を添加して数回デカンテーションを繰り返すことでCa成分を適度に残し除去する。
適度にCaを除去した後のスラリーを攪拌しながら炭酸ガスを吹き込む。pHはアルカリ側であったのが中性のpH7より下がってくる。
pH7〜6の間に落ち着くまで吹き込みを続けて、炭酸ガスの処理を終える。
処理後は、速やかにスラリーをろ過し、乾燥工程を施す。
得られたSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、粒子形状は球状であってその粒子表面は滑らかであり、平均粒径3.0μm、粒度分布のうちD10が1.03μm、D90が5.70μm、BET比表面積値1.10m/gであった。カルシウム含有量は358ppmであり、炭素含有量は0.0582wt%であり、ほぼ全量が炭酸成分と推定され(CO3換算で0.2908wt%)、CaCO3としては0.0894wt%含有している。粉体pH値は9.30であった。
磁気特性は、保磁力が897kA/m(11300Oe)であり、残留磁束密度が1244mT(12.44kG)であり、最大磁気エネルギー積が222kJ/m(28.0MGOe)であった。
実施例2:
反応タンクに水、苛性ソーダ、硫酸鉄FeSOを所定量投入し、温度を80℃に保ち、空気を吹き込み、反応溶液をpH5に調整して、反応、合成、粒状マグネタイト粒子を得る。次いで、ろ過・水洗・乾燥して、800〜1000℃の範囲で大気中で焼成を行う。焼成後、ピンミルで解砕して酸化鉄粒子粉末を得た。
得られた酸化鉄粒子粉末はヘマタイト(α−Fe)であり、粒子形状はほぼ球状に近い形であり、平均粒子径1.31μmであり、粒度分布のうちD100.6μm、D902.24μmであり、BET比表面積値2.2m/gであった。
<湿式混合>
ここに得た酸化鉄粒子粉末のうち3118.52gと酸化サマリウム(Sm、粒子形状:粒状、平均粒子径4.40μm)881.48gとをアトライタにて、水を用いて湿式混合した。得られたスラリーを濾過、乾燥し、ほぐして混合粉末を得た。
<還元反応及び安定化処理>
次いで、得られた混合粉末3000gを回転熱処理炉に充填し、純度100%の水素を40リットル/minで流通させながら、600℃で5時間加熱して還元反応を行った。還元反応後は、鉄粒子と酸化サマリウム粒子の混合物であった。その後、回転炉中雰囲気をNに置換し、温度を40℃にまで冷却する。温度が安定したら、およそ2.0vol%の酸素を含有するN流通下にて1時間安定化処理を行って、前記鉄粒子の粒子表面を徐酸化し、粒子表面に酸化被膜を形成した。反応熱を観察し、反応熱が収まったら、系全体を室温まで冷却し、大気中に当該混合物を取り出し、ライカイキでほぐして粒子表面に酸化被膜を形成した鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物からなる黒色粉末を得た。鉄粒子に形成された酸化被膜は、鉄粒子中のマグネタイトとして7.0重量%であった。
<還元拡散反応および窒化反応>
ここに得た黒色粉末521.51gと粒状金属Caを103.49g(Smに対して600モル%)とを混合して、純鉄製トレーに入れて、雰囲気炉に挿入する。炉内を真空排気した後、アルゴンガス気流中で1050℃まで昇温する。炉内の温度が所定の温度に到達したら、次に、450℃まで冷却し、温度が450℃で安定したら、一度真空排気し、Nガス気流中とする。N気流中としてから、8時間、450℃に保持して窒化反応した後、室温まで冷却する。
<水洗・乾燥>
窒化反応後の粉末を水中に投じる。これにより、水中にて、自然に崩壊し、合金粉末とCa成分との分離が始まる。さらに機械的解砕を加えることで、凝集体の中まで、Ca成分を水洗する。この湿式機械的解砕中に溶媒である水に炭酸ガスを吹き込むことで、水洗され、新しい面の出た粒子表面に炭酸化合物の被覆を施せる。数回デカンテーションを繰り返すことで、当該粉末からCa成分を除去した後、濾過し、N気流中で乾燥させてSm−Fe−N系磁性粒子粉末500gを得た。
実施例3〜6:
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末と炭酸ガスとを接触させる時期を下記のとおり種々変化させた以外は前記実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得た。
実施例3は、実施例1と同様に十分水洗した後に機械的解砕を施し、そのスラリーを攪拌しながら、0.5リットル/minの炭酸ガスを25分間程度吹き込み、炭酸処理を行った。その後、前記実施例1と同様にろ過・乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得た。
実施例4は、実施例1と同様に十分水洗した後のスラリーを、攪拌しながら0.5リットル/minの炭酸ガスを25分間程度吹き込み、炭酸処理した。その後、機械的解砕を施し、前記実施例1と同様にろ過・乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得た。
実施例5では、前記実施例1と同様に水洗・解砕を施し、その後にろ過して乾燥機に投入、乾燥機内で減圧窒素気流中に炭酸ガスを通気し乾燥した。ガス量は窒素5リットル/min、炭酸ガス0.5リットル/minとした。
比較例1〜3:
比較例1では、実施例2と同様に処理し、炭酸ガスを通気しなかった。
比較例2では、実施例2と同様に炉から取り出した焼成物を水中に投入しスラリーとした後、デカンテーション水洗を施す前に攪拌しながら、0.5リットル/minの炭酸ガスを25分間程度吹き込み、炭酸処理した。その後解砕・水洗した後、ろ過・乾燥をした。
比較例3では、実施例2と同様に水洗を施している途中から炭酸ガスを通気し、あとは実施例2と同様に、解砕・ろ過・乾燥処理を施した。
得られたSm−Fe−N系磁性粒子粉末の諸特性を表1に示す。
Figure 2006002187
実施例6:ボンド磁石用樹脂組成物の製造
実施例1で得たSm−Fe−N系磁性粒子粉末90.3重量%と12ナイロン樹脂8.2重量%、酸化防止剤0.5重量%及び表面処理剤1.0重量%とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、二軸押出混練機により混練(混練温度190℃)を行い、ボンド磁石用樹脂組成物を得た。
得られたボンド磁石用樹脂組成物の混練安定性は前述した評価法で4%であり、流動性を示すMFRは加熱温度270℃、加圧10kgの条件で464g/10minであった。
<ボンド磁石の製造>
得られたボンド磁石用樹脂組成物を用いて射出成形し、ボンド磁石を作製した。
得られた射出成形ボンド磁石の室温磁気特性は残留磁束密度が700mT(7.00kG)、保磁力が724kA/m(9.10kOe)、最大磁気エネルギー積が123kJ/m(15.5MGOe)であり、密度は4.77g/ccであった。
実施例7〜10、比較例4〜6:
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を種々変化させた以外は前記実施例6と同様にしてボンド磁石を得た。
このときの製造条件及びボンド磁石の諸特性を表2に示す。
Figure 2006002187
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、磁性粒子粉末の粒子表面の樹脂等に対する活性が抑制され、流動性及び混練安定性に優れたボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粒子粉末が得られるので、ボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粒子粉末として好適である。
本発明に係るSm−Fe−N系磁性粒子粉末を用いたボンド磁石は、流動性及び混練安定性に優れたボンド磁石が得られるので、ボンド磁石として好適である。

Claims (6)

  1. Sm−Fe−N系磁性粒子粉末であって、カルシウムの含有量が0.001〜0.20重量%であり炭素の全含有量が0.01〜0.1重量%であることを特徴とするSm−Fe−N系磁性粒子粉末。
  2. Sm−Fe−N系磁性粒子粉末であって、カルシウムの含有量が0.02〜0.20重量%であり炭素の全含有量が0.02〜0.1重量%であることを特徴とするSm−Fe−N系磁性粒子粉末。
  3. Sm−Fe−N系磁性粒子粉末であって、カルシウムの含有量が0.001〜0.2重量%であって炭酸成分の含有量がC換算で0.01〜0.1重量%であることを特徴とするSm−Fe−N系磁性粒子粉末。
  4. 酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末とを混合した後、当該混合物に還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物とし、次いで、前記混合物に金属Caを混合して不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とした後、窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水に分散させ水洗した後、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末とする製造法において、前記水洗後粉砕する際の水懸濁液に炭酸ガスを吹き込む又は炭酸化合物を添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のSm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法。
  5. 酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末とを混合した後、当該混合物に還元反応を行って鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物とし、次いで、前記混合物に金属Caを混合して不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とした後、窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水に分散させ水洗した後、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末とする製造法において、粉砕後に、水分が存在するときに炭酸ガスを吹き込む又は炭酸化合物を添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のSm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法。
  6. 請求項1乃至3のいずれかに記載のSm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有することを特徴とするボンド磁石。
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