JP2006001970A - 自動車部品用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性ポリアミド樹脂を含有する連続相組成物と、前記連続相組成物中に分散している分散相組成物とからなる自動車部品用熱可塑性樹脂組成物であって、前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が31質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
したがって、本発明は、耐ガス透過性、耐水分透過性、耐熱性、耐油性等に優れ、特に耐燃料油性に優れる自動車部品用熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明者は、更に、上記アクリロニトリル−ブタジエンゴム組成物中に、層状粘土鉱物を含有させることにより、耐燃料油性がより向上することを見出した。
更に、本発明者は、アクリロニトリル量が極めて高い場合には、層状粘土鉱物を用いなくても、耐燃料油性が優れたものになることを見出した。
本発明者は、これらの知見に基づき、本発明を完成させた。
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が31質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が25質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有し、
前記連続相組成物の一部または全部が、熱可塑性ポリアミド樹脂中に層状粘土鉱物が分散してなるナノコンポジットである、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が25質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムと、前記アクリロニトリル−ブタジエンゴムに分散した層状粘土鉱物とを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。
本発明の第一の態様は、熱可塑性ポリアミド樹脂を含有する連続相組成物と、前記連続相組成物中に分散している分散相組成物とからなる自動車部品用熱可塑性樹脂組成物であって、
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が31質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物である。
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が25質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有し、
前記連続相組成物の一部または全部が、熱可塑性ポリアミド樹脂中に層状粘土鉱物が分散してなるナノコンポジットである、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物である。
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が25質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムと、前記アクリロニトリル−ブタジエンゴムに分散した層状粘土鉱物とを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物である。
熱可塑性ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン6/ナイロン66共重合体(N6/N66)、芳香族ナイロン(MXD6)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体等のポリアミド系樹脂およびポリエーテルエステルアミドエラストマーが挙げられる。
また、本発明の第二および第三の態様の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物は、分散相組成物に含有されるゴムとして、上述したようなアクリロニトリル量が比較的高いアクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いているため、同様に、ブチル系ゴムを用いている特許文献1に記載の組成物と比べて、耐燃料油性が格段に優れている。
本発明に用いられるアクリロニトリル−ブタジエンゴムは、アクリロニトリル量以外は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
分散相組成物に含有される層状粘土鉱物としては、モンモリロナイトが好ましい。
φR :分散相組成物の体積分率
ηM :連続相組成物の溶融粘度
ηR :分散相組成物の溶融粘度
γ:せん断速度
相溶化剤としては、例えば、熱可塑性ポリアミド樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエンゴムの一方または両方の構造を有する共重合体;熱可塑性ポリアミド樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエンゴムの一方または両方と反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、ヒドロキシ基等の官能基を有する共重合体が挙げられる。具体的には、例えば、カルボキシ化NBR、グリシジルメタクリレートを有するコポリマー、分子鎖内にエポキシ基を有するポリマーが挙げられる。
相溶化剤の配合量は、ポリマー成分(熱可塑性ポリアミド樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエンゴム)の合計量100質量部に対して、0.5〜20質量部であるのが好ましい。
また、この相溶化剤の配合により、分散相のゴム粒子径を10μm以下とするのが好ましく、5μm以下とするのがより好ましく、0.1〜2μmとすることが更に好ましい。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、硫黄系加硫剤として、粉末硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が例示され、例えば、0.5〜4phr(「phr」は、ゴム100質量部あたりの質量部を表す。)程度の割合で用いられる。
また、有機過酸化物系の加硫剤として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度の割合で用いられる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤として、アルキルフェノール樹脂の臭素化物;塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示され、例えば、1〜20phr程度の割合で用いられる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等が挙げられる。スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−(チモールポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等が挙げられる。ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等が挙げられる。チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等が挙げられる。
加硫剤は、混練時に添加される。加硫剤以外の連続相組成物および分散相組成物への各種配合剤は、混練中に添加してもよいが、混練の前にあらかじめ混合しておくのが好ましい。
混練に用いられる装置は、特に限定されず、例えば、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリーミキサー、二軸混練押出機が挙げられる。中でも、二軸混練押出機が好ましい。なお、2種以上の装置を用いて、順次混練してもよい。
また、上記以外の低透過性ホース、空気透過防止層を有する空気入りタイヤ等にも好適に用いられる。更に、防舷材、ゴム袋、燃料タンク等にも好適に用いられる。
まず、本発明の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物を所定の幅と厚さの薄膜状に押し出し、それをタイヤ成形用ドラム上に円筒に貼り付ける。その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。ついで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望の空気入りタイヤを得ることができる。なお、カーカス層の外側に空気透過防止層を設ける場合も、これに準じて行うことができる。
まず、本発明の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物のペレットを使用し、あらかじめ離型剤を塗布したマンドレル上に、樹脂押出機によりクロスヘッド押出方式で、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物を押し出し、内管を形成させる。内管上に、更に、他の本発明の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物または一般の熱可塑性エラストマーを押し出し、内管および外層を形成させてもよい。つぎに、内管上に必要に応じ、接着剤を塗布、スプレー等により施す。更に、内管上に、編組機を使用して、補強糸または補強鋼線を編組する。必要に応じ、補強層上に外管との接着のために接着剤を塗布した後、本発明の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物または一般の熱可塑性エラストマーを、クロスヘッドの樹脂用押出機により押し出し、外管を形成させる。最後にマンドレルを引き抜くと、所望のホースを得ることができる。
内管上または補強層上に施される接着剤としては、イソシアネート系、ウレタン系、フェノール樹脂系、レゾルシン系、塩化ゴム系、HRH系等が挙げられる。中でも、イソシアネート系、ウレタン系が特に好ましい。
なお、上述した製造方法ではマンドレルを使用しているが、本発明の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物を用いる場合、通常のゴムホースまたはゴム/樹脂複合ホースの製造時に必要な加硫の工程がないため、加硫時の熱による収縮変形および加硫時の圧力による変形等がなく、ホースの寸法精度を維持しやすいので、特に厳密な寸法精度を必要としなければ、マンドレルを使用せずに製造することもできる。
(実施例1〜9ならびに比較例1および2)
1.試験サンプルの作製
下記第1表に示す分散相組成物の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、容量16Lのバンバリーミキサーを用いて5分間混合した。ついで、ゴムペレタイザーにてペレット化し、ゴムペレットを得た。
つぎに、ゴムペレットと連続相組成物の各成分と加硫系の成分とを下記第1表に示す組成(質量部)で二軸混練機に投入して混練し、分散相組成物を動的に架橋させた。混練条件は、230℃、3分間で、せん断速度1000sec-1であった。
その後、得られた自動車部品用熱可塑性樹脂組成物をTダイ押出機を用いて、230℃でシート状に成形して、試験サンプルを得た。
上記で得られた各自動車部品用熱可塑性樹脂組成物の試験サンプルについて、以下のようにして、耐燃料油性を評価した。
図1は、耐燃料油性の評価に用いたカップの模式的な断面図である。
図1に示されるようなステンレス製のカップ10(容量10mL)に、5gのガソリン(メタノール10質量%添加品)12を入れた。カップ10の上部開口を、上記で得られた試験サンプルを切断して得られた試料シート14(厚さ1mm)で覆い、その上部に燒結金属板16をのせ、固定部材18を介して、ボルト20とナット22で締め、質量を測定した。
その後、カップを逆にしてガソリンが試料シートに接触する状態とし、20℃の雰囲気下に2000時間放置した後、質量を測定した。
下記式より、耐ガソリン透過係数を求めた。
第1表中の記号の意味は以下のとおりである。
◎:耐ガソリン透過係数が2.0×10-3mg・mm/(24h・cm2)以下
○:耐ガソリン透過係数が2.0×10-3mg・mm/(24h・cm2)を超え、4.0×10-2mg・mm/(24h・cm2)以下
△:耐ガソリン透過係数が4.0×10-2mg・mm/(24h・cm2)を超え、5.0×10-2mg・mm/(24h・cm2)以下
×:耐ガソリン透過係数が5.0×10-2mg・mm/(24h・cm2)を超える
これに対し、極高NBRおよびナノコンポジットの両方とも用いない場合(比較例1)ならびにナノコンポジットを用いるが低NBRを用いる場合(比較例2)は、耐燃料油性に劣る。
<分散相組成物>
・極高NBR:Nipol DN003、日本ゼオン社製、ムーニー粘度78、アクリロニトリル量50質量%
・高NBR:Nipol 1041L、日本ゼオン社製、ムーニー粘度78、アクリロニトリル量41質量%
・中高NBR:Nipol 1042、日本ゼオン社製、ムーニー粘度78、アクリロニトリル量33質量%
・中NBR:Nipol 1043、日本ゼオン社製、ムーニー粘度78、アクリロニトリル量29質量%
・低NBR:Nipol DN401、日本ゼオン社製、ムーニー粘度78、アクリロニトリル量18質量%
・モンモリロナイト:BENTONE27、NL INDUSTRIES社製
・カーボンブラック:HTC #G、新日化カーボン社製、GPF級
・可塑剤:アデカサイザーRS−1000、旭電化社製
・亜鉛華(酸化亜鉛):亜鉛華3号、三井金属鉱業社製
・ステアリン酸
・老化防止剤
・PA(ナイロン6,66共重合体):UBEナイロン5013B、宇部興産社製
・ナノコンポジットPA:UBEナイロン5034C2、宇部興産社製、ナイロン6,66共重合体中にモンモリロナイトが分散してなるナノコンポジット
・N,N′−フェニレンジマレイミド:HVA−2、デュポン社製
12 ガソリン(メタノール10質量%添加品)
14 試料シート
16 焼結金属板
18 固定部材
20 ボルト
22 ナット
Claims (4)
- 熱可塑性ポリアミド樹脂を含有する連続相組成物と、前記連続相組成物中に分散している分散相組成物とからなる自動車部品用熱可塑性樹脂組成物であって、
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が31質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。 - 熱可塑性ポリアミド樹脂を含有する連続相組成物と、前記連続相組成物中に分散している分散相組成物とからなる自動車部品用熱可塑性樹脂組成物であって、
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が25質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有し、
前記連続相組成物の一部または全部が、熱可塑性ポリアミド樹脂中に層状粘土鉱物が分散してなるナノコンポジットである、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。 - 熱可塑性ポリアミド樹脂を含有する連続相組成物と、前記連続相組成物中に分散している分散相組成物とからなる自動車部品用熱可塑性樹脂組成物であって、
前記分散相組成物が、動的に架橋された、アクリロニトリル量が25質量%以上55質量%未満であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムと、前記アクリロニトリル−ブタジエンゴムに分散した層状粘土鉱物とを含有する、自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。 - 前記連続相組成物の一部または全部が、熱可塑性ポリアミド樹脂中に層状粘土鉱物が分散してなるナノコンポジットである、請求項3に記載の自動車部品用熱可塑性樹脂組成物。
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