JP2005539359A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、サンプルを受け取るように配列されたサンプル・ホルダと、サンプルに放射線を照射するための光軸に沿って第1の電気荷電粒子の主ビームを生成するように配列された粒子源と、照射によってサンプルから生ずる二次電子のような電子を検出するように配列された第1の検出手段と、少なくともサンプル・ホルダと第1の検出手段によって形成された検出スペースと、主ビームをサンプル・ホルダの近くに集束させるための磁界を供給するように配列された界浸レンズとを備える環境走査電子顕微鏡に関し、第1の検出手段は、検出スペースに電界を供給するように配列され、さらに検出スペースはガスを含むように配列されている。
上述のようなデバイスは、日本特許出願3−53811号に対応する特開平5−174768号公報に開示されている。この公報は1993年7月13日に公開された。
そのようなデバイスは、環境走査電子顕微鏡(ESEM)という名前でよく知られており、走査電子顕微鏡(SEM)の原理に基づいている。SEMでは、調査すべきサンプルの領域は、デバイスの光軸に沿って動く電気荷電粒子(一般に、電子)の主ビームで検査される。衝突で解放されたエネルギーの結果として、サンプルに入射する荷電粒子はサンプル中で他の荷電粒子の解放を引き起こし、この粒子はある特定の運動エネルギーを持ってサンプルから出る。主ビームの粒子のエネルギーよりも実質的に低いこの二次粒子のエネルギーは、サンプルの性質、構造および組成についての情報を与える。この理由のために、SEMは二次電子検出装置を備えることが多く、この二次電子検出装置はこの解放された粒子を検出することができる。例えば、二次電子検出装置が正の電圧に保たれた電極を備え、かつサンプルから解放された二次粒子が(負に帯電した)二次電子であると推定される場合には、この二次電子は電極の方に向かって動く。電極で捕獲された二次電子は検出器に電流を生成し、この電流は増幅されて、サンプルについて必要な情報を与えることができる。粒子源からの主ビームはサンプルのある領域を検査するので、検出器を使って得られた情報を集めてサンプルの像を得ることができる。明らかになることであろうが、このようにして得られる像の質、特に像が記録される速度および信号対雑音比(SNR)に関連して、できるだけ大きな検出電流を得ることが有用である。
ESEMでは、調査すべきサンプルは、0.1トール(13Pa)から50トール(6575Pa)までの圧力を有するガスの雰囲気中に置かれるが、従来のSEMでは、サンプルは真空中にある。従来のSEMに比べてESEMの有利な点は、従来のSEMの通常の真空条件下では像を形成するのが困難であるかもしれない湿りサンプルまたは非導電性サンプル(例えば、生物サンプル、湿りサンプル、プラスチック、セラミック材料、またはガラス・ファイバ)の像を形成する可能性を持っていることである。ESEMは、従来のSEMを使用する調査で通常必要な乾燥、凍結または真空コーティングという不利な効果にさらす必要なしに、サンプルを自然状態に保つ可能性を与える。
使用されるガス雰囲気の他の利点は、照射の結果としてサンプルに蓄積する表面電荷(サンプルが非導電性サンプルであると仮定して)を散逸することであり、その結果として、顕微鏡の分解能は向上する。
また、ESEMでガス雰囲気を使用することで、改善された検出手段が可能になる。ESEMでは、二次電子検出器の方向に動く解放された二次電子は、途中で、経路に存在するガス分子と衝突する。この衝突は、結果として、ガス分子から新しい電子(いわゆる、娘電子)を解放することになり、この新しい電子がまた二次電子検出器の方向に動く。そして次に、この新しく解放された娘電子が再び他のガス分子と衝突するなど、その結果、ガス雰囲気を使用する結果として、二次電子信号の増幅が起こることになる。明らかなことであろうが、二次電子が二次電子検出器まで移動しなければならない距離が長いほど、二次電子とガス分子の間で起こる衝突の数は多い。このシナリオで、考慮に入れなければならないことであるが、電子顕微鏡のサンプル・チャンバまたは検出スペースの寸法は、好ましくは、主ビームが加圧されたサンプル・チャンバの中を通り抜けなければならない経路の長さができるだけ小さいようなものである。これは、主ビームの電子がガス分子と衝突することができることからして、存在するガス分子が主ビームの散乱を引き起こすからである。
引用された特開平5−174768号公報に、粒子源からの主ビームが界浸レンズによってサンプルに集束されるESEMが開示されている。界浸レンズは磁気双極子から成り、この双極子の極は、サンプル・ホルダと主ビーム源で形成されたサンプル・チャンバの相対する側に位置付けされている。このようにして、サンプル・チャンバに磁界が存在する。サンプルから解放された二次電子は、検出器に向かう途中で磁界の影響を受け、その結果として、ヘリカル経路(螺旋状の経路)をたどる。このようにして、二次電子が通り抜ける距離は非常に増し、その結果、衝突の確率は比例して増加し、検出装置の増幅率は増加すると言える。上述の開示されたデバイスの不利点は、所定の構成で、磁界に対して平行に延びる軸のまわりのヘリカル経路を電子がたどることである。サンプルから検出器まで電子が通り抜ける距離は、磁界方向での検出器とサンプルの間の距離に直接依存している。例示のケースでは、このことは、できるだけ大きな増幅率を実現するために、検出器電極はサンプルの上にできるだけ高く位置付けされるべきであることを意味する。このことに付随することは、主ビームがサンプル・チャンバの中を通り抜ける(したがって、ガス雰囲気を通過する)距離も大きいことである。この結果として、主ビームの散乱が増加する。このようにして、例示のデバイスの分解能を犠牲にして、検出装置の増幅率の増加が実現される。
特開平5−174768号公報
したがって、本発明の目的は、作動距離(主ビームが検出スペースの中を通り抜ける距離)はできるだけ小さいが検出手段の増幅率ができるだけ大きな環境走査電子顕微鏡を提供することである。理解すべきことであるが、検出は、荷電粒子の直接収集および荷電粒子の移動による外部回路中の信号誘起を含む。
本発明において、この目的および他の目的は、電界が磁界に対して横向きになっている第1の領域を検出スペースが含むようなやり方で、前記第1の検出手段および前記界浸レンズが電界および磁界を供給するように配列されることで実現された。証明できることであるが、この界構成での低エネルギー電子の運動は、電界および磁界のある特定の値が存在していれば、大きな増幅率を生じさせることができる。さらに証明できることであるが、主ビームの散乱をさらに減少する低ガス圧でも、この大きな増幅率は起こり得る。
本発明では、磁界と電界の中を動く電子のような電気荷電粒子に対して結果として生じる力F ̄(ここで、F ̄はベクトルFを意味する(本来はFの上に ̄を記載すべきであるが明細書中ではそのような記載ができないため右にずらしてある))は、粒子に対する電気力FE ̄と磁気力FB ̄で構成されるという原理が使用される。電気力FE ̄は、粒子の電荷に依存し、電界E ̄に対して平行または反平行であり、そして、磁気力は、粒子の速度v ̄および磁束B ̄に対して垂直方向に向いている。磁気力FB ̄の方向は、さらに、粒子の電荷の極性(正/負)によって決定される。
電気力および磁気力は次式で与えられる。
ここで、qは粒子の電荷である(正または負が可能である)。
結果として生じる力Fは、次のベクトル関係で与えられる。
本発明は、電界に対して直交する磁界中で静止(または、低エネルギー)から動き始める電子がたどる運動を使用する。電子は、いわゆるサイクロイド経路をたどり、電子の運動エネルギーは、始動エネルギーからより高いエネルギーへそれから元のエネルギーに戻るように繰り返し循環する。このサイクルは、高真空中ではいつまでも繰り返す。しかし、ガス環境では、電子はガス分子と衝突する可能性がある。電子の運動エネルギーが検出スペース中に存在するガスのイオン化エネルギーを超えると、電子はガス分子との衝突で別の電子(いわゆる娘電子)を解放することができる。この衝突が起こったとき、元の電子および娘電子もまたサイクロイド経路をたどり、そして連鎖反応が、各二次電子に対して多数の電子をもたらす可能性がある。このように、二次電子信号の大きな増幅がある。この増幅された信号は、電界を供給する電極に集められる。
本発明のさらに他の実施形態では、電界は放射形対称であることができ、電子は、サイクロイド運動と組み合わされた一般的な円経路をたどる。同じ大きな増幅が起こることができる。この半径方向の電界は、都合のよいことには、環状電極で実現することができ、この環状電極は信号検出器としても作用することができる。さらに証明できることであるが、この大きな増幅率は、ガスの低圧力で起こることができる。
理解されることであろうが、電界と磁界は、基本的に、互いに垂直になっているべきであるので、サンプルと検出器の間を粒子が通り抜ける距離は、主電子の主ビームが検出スペースの中を通り抜ける作動距離に依存しない。粒子の通り抜ける距離は、光軸と検出器電極の最も接近した点の間の距離に依存する。説明した検出方法を行うことは、環境走査電子顕微鏡の分解能を犠牲にしない。上記のことに重要なのは、サイクロイド運動の電子をガス分子のイオン化エネルギーよりも高い運動エネルギーの状態にするのに十分な大きさの磁界B ̄に対して垂直である成分E ̄を、検出スペースの少なくとも一部で、電界が有しなければならないことである。このことから、平均的な当業者は、電界および磁界に関して重要なそれらのパラメータを計算することができる。
本発明の実施形態では、第1の検出手段および界浸レンズは、電界および磁界が平行になっている第2の領域を検出スペースが備えるようなやり方で、電界および磁界を供給するように配列されている環境走査電子顕微鏡が開示される。
検出スペースの第2の領域において、電界が磁界B ̄に平行な成分E ̄を有する場合、磁束B ̄に対して完全には平行でないランダムな速度を有する粒子は、ヘリカル経路をたどる。このことの説明は、電気力FE ̄の結果粒子は電界E ̄の方向に一様に加速されることである。しかし、磁束B ̄に対して垂直な粒子の速度成分V”は、速度および磁界に対して垂直な力FB ̄を経験する。磁束B ̄に対して垂直な粒子のこの速度成分V”は、必然的に方向が絶えず変わる。したがって、粒子は、電界E ̄の方向に向いた軸のまわりにヘリカル運動を描いて動く。
電界E ̄を正から負に変化させることができる場合、二次電子は、また磁界のせいでヘリカル運動を描いて動きながら、前後に振動する。この2つの動きの組合せで、ガス中での電子の経路は非常に増加し、それによって、信号の増幅が増す。この結果として、本発明の環境走査電子顕微鏡の検出器は、いっそう感度が良くなる。
本発明の環境走査電子顕微鏡の他の実施形態では、第1の検出手段は、電界を供給しかつ二次電子および娘電子を検出するように配列された第1の電極を備え、この第1の電極は、光軸のまわりに対称的に配列された中心の開口を備える。この実施形態は、光軸のまわりに放射形対称電界を生成する簡単な構成を提供する。動作中にサンプルが位置付けされているサンプル・ホルダが光軸の延長に配置されているこの構成は、中心開口の寸法が適切に選ばれるとき、光軸に対して垂直な大きな成分を検出器の近くに含み、さらに光軸に対して平行な大きな成分をサンプル・ホルダの近くに含むであろう電界を生成する。当業者に知られている方法を使用して光軸に対して主に平行な磁界を生成することで、前述の実施形態が得られ、検出スペースは、電界と磁界が平行である領域並びに電界と磁界が互いに垂直すなわち横向きになっている領域を備える。このようにして、本発明は、簡単なやり方で環境走査電子顕微鏡に応用することができる。
さらに他の実施形態では、環境走査電子顕微鏡は、ガスと電子の間の相互作用によってガス中に形成されたイオンのような第2の荷電粒子を検出するように配列された第2の検出手段をさらに備える。例えば二次電子は検出スペースでガス分子と衝突するので、二次電子の運動エネルギーがガス分子のイオン化エネルギーを超えるとき、娘電子が形成されるだけでなく、電気帯電ガス・イオン(第2の荷電粒子)も形成される。このガス・イオンを第2の検出手段で検出することで、サンプルの組成および性質についての情報を提供する追加の信号を受け取ることができる。ガス・イオンの極性は二次電子の極性に対して反対であるので、ガス・イオンの検出は、最初に、第1の検出手段からの信号に対して極性反転した信号を与える。
本発明のさらに他の実施形態では、検出手段は、サンプルと第1の検出器の間に位置する第2の電極を備え、さらに、この第2の電極は光軸のまわりに対称的に配置された中心の開口を備える。
そのような電極は、第1の電極の放射状電界を非対称的に乱さないという利点を持っている。電子は、質量を考慮して、通常イオンよりもずっと動きやすいので、第1の電極とサンプルの間に第2の電極を配置することは、第2の電極によってイオンがより容易に捕獲されるという利点をもたらす。このように、正イオンは第2の電極と衝突し、それによって、正イオンは、再結合で中性化され、このようにして第2の電極で測定できる信号を生じさせる。
本発明の他の実施形態では、サンプル・ホルダは第3の電極を備え、そして、第3の検出手段を少なくともサンプル・ホルダが備える。
そのような実施形態では、ガスからの正に帯電したイオンのいくらかは、サンプル・ホルダで集められる。このようにして、第3の検出器で電流を生成することができ、この電流は所望の信号を与える。
本発明の他の実施形態は、さらに、ガスと電子の間の相互作用の結果として解放された光子を検出するように配列された第4の検出手段を備える。例えばサンプルからの二次電子とガス分子の間の衝突の結果として、第4の検出手段で検出できる光子が生成されるかもしれない。検出された光子の数、すなわち検出された光の強度は、二次電子とガス分子の間で起こった衝突の数に比例する。その結果、検出された光強度は、サンプルからの二次電子信号および第1の検出器からの信号に直接関係している。この光子の検出は、サンプルについての情報を与え、この情報は、信号処理および像形成で使用することができる。
本発明の好ましい実施形態は、さらに、第1、第2、第3および第4の検出手段によって与えられる少なくとも2つの信号の組合せに基づいた信号を供給するための手段を備える。
異なる検出手段からの信号を組み合わせることで、信号対雑音比を高めることができる。検出手段で得られた信号は、ある特定量の雑音を含む。第1の検出器からの信号を他の検出器のうちの1つからの信号と比較すれば、様々な検出器からの信号に存在する雑音のいくらかは関連付けられ、またいくらかは関連付けられない。このことで、平均的な当業者に知られているいくつかの方法で雑音を除去することが可能になる。
本発明のさらに他の実施形態では、環境走査電子顕微鏡は、負バイアスでサンプルを電気的に片寄らせるように具現される手段を備える。そのようなシナリオでは、サンプルと第1の検出器の間の電界は増し、これによってガスでの増幅が増す。
本発明の第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に従った環境走査電子顕微鏡の第1の検出器手段として使用するように配列された、リング状電極および増幅手段を備える検出手段に関係する。
第3の態様で、本発明は、環境走査電子顕微鏡で電子を検出する方法に関し、この方法では、サンプルが荷電粒子の主ビームを照射されそして前記照射によって前記サンプルから二次電子が解放され、前記二次電子が検出手段の方に加速されそして検出スペースが前記検出手段と前記サンプルによって少なくとも形成されており、前記検出スペースはガスを含み、さらに、界浸レンズが前記検出スペースに磁界を供給し、前記電界および前記磁界は、前記電界が前記磁界に対して横向きになっている部分を検出スペースが少なくとも備えるように供給される。
本発明は、いくつかの実施形態の助けを借り、添付の図面およびそこに含まれた参照番号を参照してさらに明らかにされ、留意すべきことであるが、説明された実施形態は、本説明および図面を考慮に入れて読まれる本出願の特許請求の範囲で明らかにされるような保護範囲に排他的な影響を及ぼさない。
図1aは、電子1の運動の模式的な図示であり、この電子1は、速度ゼロでkから動き始め、電界E(Y軸に平行である)および磁界B(紙面に対して垂直であり、かつ紙面の中に向かっている)の影響を受けて動く。初めに、電子は電界EによってYの方に加速する。電子は、磁界および電子速度の影響のためにX方向の力を経験する。これによって、電子は2として示す経路をたどるようになる。mと示した点で、電子は最高速度および最大エネルギーを得る。mからnまでの経路の間に、電子は減速し、遂にはnで再び静止するようになる。この運動はサイクロイド運動として知られている。この電界EがX軸の全ての点に沿って一定であれば、サイクロイド運動は、電子が真空中にある限り、いつまでも繰り返される。電子のこの運動は当業者にはよく知られており、平面マグネトロンとして知られている。
なお、本明細書では、真空中において電子がサイクロイド運動を行う場合だけでなく、ガス環境中において電子がサイクロイド運動を行う場合についても、すなわち、互いに直交する磁界と電界を受けて電子がサイクロイド運動を行う場合について広く「マグネトロン」という用語を用いて説明を行うものとする。
なお、本明細書では、真空中において電子がサイクロイド運動を行う場合だけでなく、ガス環境中において電子がサイクロイド運動を行う場合についても、すなわち、互いに直交する磁界と電界を受けて電子がサイクロイド運動を行う場合について広く「マグネトロン」という用語を用いて説明を行うものとする。
図1bは、電子がガス環境中にある場合の状況を示す。電子がサイクロイド経路をたどるときに、電子は、いつかは、点qとして示すガス分子と衝突する。qでの電子のエネルギーがガス分子のイオン化エネルギーを超える場合、ガス分子はイオン化され、別の電子が解放される。この第2の電子が娘電子3と呼ばれる。
元の電子1および娘電子3は両方ともqから動き始め、4として示すサイクロイド運動をする。この2個の電子は各々さらに他のガス分子をイオン化し、それによってカスケード増倍を引き起こす。この機構は、本発明の主要なクレイムで開発される。
図2aは、円筒形マグネトロンの界構成を示す。内側電極5と外側電極6の2つの円筒形要素があり、この電極の間に電位が加えられている。図は外側電極が内側電極よりも正の電圧にあり、放射形対称の電界Eを生じさせている。再び、磁界B(紙面に対して垂直である)がある。証明できることであるが、電極の間の真空中で静止から動き始める電子は外側電極の方に向かって加速し、図1に示すサイクロイドに似た運動をすることができるが、一方で、同時に、内側電極のまわりの一般的に曲がった経路で移動する。この経路を図2bに7として示す。
2つの電極間のスペースがガスで満たされていれば、イオン化が起こる可能性があり、娘電子が生成されるかもしれない(平面マグネトロンに関して上で説明したように)。衝突ごとに、電子および娘電子は外側電極にいっそう近くなる。これを図2cに示す。最終的には、元の電子およびカスケードの娘電子は外側電極に達する。このようにして、元の各電子は、外側電極に増幅された数の電子を生成する。元の電子がサンプルについての情報を表している場合、外側電極に集められた信号は、この情報の増幅されたものである。この増幅機構の他の利点は、電子はガス分子との衝突が起こるまで、内側電極と外側電極の間の軌道を回り続けることである。したがって、低いガス圧力でも大きな増幅が起こる。
ある特定の値のEおよびBが存在すれば、娘電子の生成およびその後のカスケード増幅が起こる。サイクロイド運動している電子の最大エネルギーは、
で与えられる。ここで、mは電子の質量であり、qは電子の電荷である。この最大エネルギーがガスのイオン化エネルギーよりも大きい場合、イオン化事象が起こることができ、娘電子を生成することができる。したがって、与えられたBの値について、必要とされるEの臨界値がある。円対称の電界では、Eの値は半径と共に変わり、そして、大きな増幅を得るために、検出スペースの大部分にわたって臨界値が与えられなければならない。
当業者にはよく知られていることであるが、半径方向の電界は様々な異なる構造で実現することができる。例えば、リング電極または円形の穴のある板電極は、両方とも放射形対称な電界を与えることが知られている。さらに、証明できることであるが、リング電極または板電極で生成される電界は、説明した優先増幅を発生させる。したがって、そのリングまたは板は、荷電粒子ビームのまわりに対称的に配置することができ、これによって、荷電粒子ビームに対する電界の影響が最小限になる。また、当業者にはよく知られていることであるが、必要な軸方向磁界は、様々な異なる構造で実現することができる。適切な磁界は、荷電粒子ビーム装置のいわゆる界浸レンズで実現することができ、または、荷電粒子ビーム装置のいわゆるピンホール・レンズの磁極片内に実現することができ、または荷電粒子ビーム装置のいわゆる単極レンズで実現することができる。
図3は、例えば電子主ビームによってサンプルから解放された二次電子であるかもしれない電子15が電界と磁界の中を伝播する場合を示し、その電界強度18および磁界強度17は主として互いに平行でかつ座標軸5で示すようにZ軸の方向にある。このことは、電界強度18および磁界強度17は、互いに垂直である成分よりも遥かに大きな平行成分を有することを意味する。この状況で、電子15は、例えば初速度16を有し、この初速度16は、電界18および磁界17に対して平行な(しかし、例えば反対方向に向いた)成分16’を有し、その速度16はさらに電界および磁界17に対して垂直な成分16”を有する。
電界18は、最初から、電界18の方向に対して反対の方向に電子15を一様に加速する。両方の界17および18に対して垂直な速度の成分16”は、磁界との相互作用が起こって速度成分16”に対して絶えず垂直である電子に対する磁気力が生じるようになることを保証する。このようにして、一部では電界18の方向に対して反対の方向への加速のために、粒子は、ヘリカル経路あるいはネジ山状経路を通り抜ける。この経路の半径は、平均的な当業者は知っているいわゆるラーモア半径で決定される。
図4aは、電位9がZ軸に沿って最大値Vまで増加し、それから減少する状況を示す。この電位の影響下にある電子10は、最初はこの電位でつくられる電界によって加速され、それから再び減速され、そして方向を逆にする。すなわち、電子10は、妨害されなければ、一番高い電位の点または面のまわりを振動する。
ガス環境において電子のたどる経路を図4bに12で示す。電子とガスの間に衝突があり、この衝突で電子はエネルギーを失うようになる。電子は電界中で振動するが、振幅は減少する。電界が十分に強い場合には、電子は十分な運動エネルギーを得て、衝突時にガス分子をイオン化するようになり、それによって娘電子を生成する。娘電子は、また、電界によって加速される可能性があり、カスケード増幅が起こるかもしれない。
実際の状況では、このカスケードで生成された電子は、電界を与える電極の方に向かってドリフトし、そして、カスケードはあまりにも早く終了する。図4aの電位をつくる電界に対して平行な磁界を与えるのが非常に有益であり、その結果、図3で説明したヘリカル運動は、図4bの振動効果と組み合わさって、さらにより大きなカスケード増幅を実現する。当業者は、この組合せをいわゆる磁気ペニング効果として認める。
図5は、検出スペース20を模式的に示し、この検出スペースは、少なくとも、リング状陽極32(断面で示されている)と、サンプル41を備える環境走査電子顕微鏡の模式的に示されたベース構造31とで形成される。電子主ビーム(図示されない)が電子源(図示されない)によって生成され、この電子源の端部(これの先端30だけが図に示されている)が磁気双極子の第1の極を形成する。環境走査電子顕微鏡のベース構造31は、磁気双極子の第2の極を形成することができる。このシナリオで、磁力線35で模式的に示される磁界が生じる。
陽極32は、一般に、10Vと2000Vの間の正電位にバイアスされる。主ビーム開口33およびベース構造31は一般に接地電位にバイアスされる。この条件は、一般に、電気力線34で模式的に示される電界を与える。証明できることであるが、Z軸に沿った電位分布は、図4に示される所望の形を有する。さらに、磁界35によって集束された電子主ビーム(図示されない)は、電子源の主ビーム開口33を通過し、検出スペース20を横切り、そして、ベース構造31の上に位置するサンプル41に衝突する。図示の検出スペース20の中に、電気力線34と磁力線35が主として互いに垂直であるサブスペース(第1の領域)がある。図5で理解できるように、このサブスペースは、主として、リング状陽極32の開口に形成される。
検出スペース20は、さらに、電気力線と磁力線が主として互いに平行になっているサブスペース(第2の領域)を含む。このサブスペースにベース構造31が少なくとも隣接している。図示の例では、そのようなサブスペースは、電子源の先端30の近くに存在している。理解されることであろうが、図5に与えられる模式的な図示は、主ビーム開口を通り抜けベース構造31に対して垂直な主ビーム軸(図示されない)のまわりに放射形対称である。
証明できることであるが、電界および磁界についてある特定の組合せの値が存在すれば、この界構成での低エネルギー電子の運動は大きな増幅率を生じさせることができる。陽極の穴サイズは、電界の平行成分および横向き成分の強度を決定するときの要素である。陽極の穴があまりにも小さい場合には、磁気ペニング機構によって増幅は高められるが、電界が図2に関して上で説明した臨界値を達成しないので、マグネトロン機構は低下するか無くなる。穴があまりにも大きな場合には、磁気ペニング機構によって高められる増幅は無くなるかもしれないが、マグネトロン増幅は増すかもしれない。証明できることであるが、磁気ペニング機構とマグネトロン機構の両方を可能にする条件が存在するとき、低ガス圧力でも大きな増幅が起こり得る。これによって、主ビームの散乱はさらに減少する。
図7は、ガス増幅のグラフを陽極電圧の関数として示す。ガス増幅は、各二次電子に対して検出された電荷の数である電子の増幅率を示す。線70は、検出スペースに磁界が無い状態でのESEM検出器の増幅を示すが、線72は、検出スペースに磁界を与える磁気界浸レンズと一緒に使用されたESEM検出器の増幅を示す。線72は、増幅プロセスは主にペニング機構であるのが特徴である第1の領域73、増幅はマグネトロン機構とペニング機構の組合せであるのが特徴である第2の領域74、および遷移領域75で構成される。ペニング機構領域73の傾斜76は、組合せ機構領域74の傾斜77よりも十分に小さい。図7に示すように、組合せ機構は約1000よりも大きな、約2000よりも大きな、約5000よりも大きな、さらに約10,000よりも大きな電子の増幅率を、全て約350Vまたは約400Vより下の陽極電圧で実現することができる。遷移領域75よりも上で、かつ組合せ領域74で動作する本発明の実施形態は、ペニング領域73だけで動作する従来技術の検出器よりも実質的に大きな増幅率を実現する。線72は一実施形態のデータを示し、他の実施形態で異なる増幅率および異なる傾斜が生じることを当業者は認めるであろう。
したがって、図5に示した検出スペース20は、寸法の適切な値が選ばれることを条件として、さらに、陽極32の適切な電位の値および磁界Bが与えられた陽極穴サイズに対して選ばれることを条件として、磁気ペニング機構の条件とマグネトロンの条件の両方を実現することができる。この検出スペースの増幅は、磁気ペニング機構およびマグネトロン機構を使用する増幅の増殖効果によって非常に高くなることができる。
磁気ペニング機構とマグネトロン機構の両方の条件を実現する一組の条件には、陽極穴サイズ約3mm、最高約0.3テスラの磁界、約400Vよりも大きな陽極電位、および約0.3トールのガス圧がある。これらの条件は、400Vでのどんな以前のESEM検出器よりも遥かに大きな増幅率を生じさせることが知られている。一般的な動作圧力は、0.1トールと0.7トールの間である。
図5に示した検出スペース20は、図6の本発明の実施形態の模式的な図示で再び示す。図5のものと同様な機能を有する部分は、対応する同様な参照数字を使用して示す。また、図示の実施形態にイオン・プレート36が見え、このイオン・プレートは、望ましい場合には、バイアスすることができ、または接地することができる。電子源の真空雰囲気と検出スペース20の必要な雰囲気の間の圧力差の維持は、分離ダイアフラム37によって行われる。今は、主ビーム開口33は、分離ダイアフラム37の一部である。さらに、リング状電極32は増幅器38に接続され、この増幅器38は、陽極32の電位を与えるようにバイアスされている。増幅器38は、検出された電子の数に比例する信号を出力39に生成する。電子源(図示されない)によって生成された主ビームは光軸40に沿って、主ビーム開口33を通過し、検出スペース20を横切って進み、サンプル41に衝突する。このサンプルは、サンプル・ホルダ42に一時的に固定されている。
リング状陽極32で生成された電界(図示されない)、および電子源の壁30とベース構造31で形成された磁気双極子によって生成された磁界(図示されない)は、図5に似てサブスペース(第2の領域)がサンプル41の近くに形成されることを保証し、このサブスペースでは、電界と磁界は互いに平行である。主ビームによってサンプル41から解放された各二次電子は、図4に示すいわゆる「磁気ペニング」機構の結果として、陽極32の中心でいくつかの娘電子を生成する。ガスとの衝突で、これらの電子は、陽極の中心から離れるようになり、そしてマグネトロン運動をする。したがって、磁気ペニング機構を使用して生成された各娘電子は、マグネトロン運動の結果としてより多くの娘電子を生成することができる。このように、元の各二次電子に対して非常に多数の電子が陽極に達するように、2段増幅が形成される。
いくつかの実施形態では、ガス中で生成されたイオンは、荷電粒子ビームによるサンプルの帯電を妨げるように使用することができる。
磁気ペニング機構およびマグネトロン機構を使用する娘電子の生成で、また、正に帯電したガス・イオンが生成される。このイオンのいくらかは、分離ダイアフラム37に移動し、いくらかはサンプル41の方に向かって移動する。サンプルに移動したイオンのいくらかは、荷電粒子ビームによってサンプルに誘起された電荷を逃がすために必要である。しかし、この検出体積の高増幅率のために、過剰のイオンが生成される可能性がある。この過剰ガス・イオンは、サンプルと陽極の間の電極で集めることができる。そのような電極は、格子、線、線の組、またはイオン・プレート36のような板の形をとるかもしれない。この電極は電気的にバイアスすることができるし、また接地電位であることができる。
他の実施形態では、ベース構造31と電子源の壁30の間の間隔は、電界と磁界が主として互いに平行であるサブスペースが非常に小さくなるかまたはさらに無くなる程度に小さく選ぶことができる。したがって、検出スペースは非常に「平たく」、電界と磁界は主として互いに横向きである。このようにして、サンプル41から解放された二次電子は、電界と磁界が主として互いに垂直である環境に、直ちに、さらされる。磁気ペニング機構を使用する増幅は無いかもしれないが、検出器の組合せ32、38、39は、依然として、マグネトロンによって大きな増幅率を実現することができる。この増幅率は、検出器39の出力に所望の信号を生成するように十分に大きく、その上、作動距離−電子主ビームが主ビーム開口33からサンプル41まで検出スペース20の中を通り抜けなければならい距離−はできるだけ小さく保つことができる。この実施形態では、検出スペースに存在するガス分子からの電子主ビームの散乱は、最小限に保たれる。
検出された信号の質は、サンプルの照射および二次電子の検出中に生成される他の信号を検出して改善することができる。
図8は、いくつかの追加の検出手段を追加したことを除いて、図6の実施形態に似た実施形態を示す。図6の同様な部分の機能と同じである機能を有する部分は、対応する同様な参照数字を使用して示す。さらに、再び留意されたいことであるが、図示の実施形態は、本発明に従った環境走査電子顕微鏡の実施形態の断面であり、光軸40のまわりの主な放射形対称を実証している。図8で理解できることであるが、イオン・プレート36は、サンプル41から解放された二次電子が検出スペースに存在するガス分子と衝突するために生成される過剰ガス・イオンを捕獲するように具現されて、捕獲イオンの数に比例した信号を出力46に生成する増幅器45に接続されている。出力46で受け取られる信号は、一般に、検出された粒子の極性が異なるために、出力39で検出された信号と符号が逆である。出力46で受け取られた信号に基づいて像が生成される場合、これは、検出器の組合せ32、38および39によって生成された信号に基づいて生成された像の反転したものである。
今や、結果として生じる信号の信号対雑音比が改善されるようなやり方で、出力39および46の信号を互いに組み合わせることができる。留意されたいことであるが、検出器からの信号に存在する雑音のいくらかは相関があり、平均的な当業者には知られているいくつかのフィルタ処理方法を可能にしている。図8は、さらに、サンプル・ホルダ42を示し、このサンプル・ホルダ42は、例えば、検出電極を形成する。この検出電極を増幅器47に接続することによって、サンプル41に移動する正イオンの数に比例した信号が増幅器の出力48に生成される。ここで上に説明したのと同様なやり方で、この出力の信号を使用して信号対雑音比を改善することができ、または結像の質を改善することができる。
環境走査電子顕微鏡からサンプルの情報を得るさらに他の可能性は、光子検出器49で提供される。この光子検出器49は、増幅器50に接続され、検出スペースに存在する光強度に比例した信号を出力51に生成する。例えばサンプルからの二次電子とガス分子の間の衝突の結果として、49で検出できる光子が生成されるかもしれない。検出された光子の数、すなわち検出された光の強度は、二次電子とガス分子の間で起こった衝突の数に比例する。その結果、検出された光強度は、サンプルからの二次電子に直接に関係している。
図8はさらにデータ処理ユニット55を示し、このデータ処理ユニット55は、前記の検出器の組合せ32、38、39および36、45、46および42、47、48および49、50、51の出力39、46、48および51からの信号を、環境走査電子顕微鏡(図示されない)から得られた任意の他の情報と一緒に組み合わせ、サンプルの像を形成する。この像は、表示装置57に表示することができ、または、コンピュータ56に送ることができ、そこでさらに処理することができる。
本発明の他の実施形態では、サンプル取付け台42は、ある電位にバイアスすることができる。負電位は、界強度を増して磁気ペニング機構の強さを高める。また、同じ目的を達成するために、分離ダイアフラム37にバイアス電位を加えるのが有利である。
上の開示は、本発明の実施形態の予期しない大きな増幅の理由を説明するために、出願人の考えた理論的な機構の説明を含むが、本発明は、実際に機能することが実証されており、また本発明の有効性は、理論的な前提の正しさに依存しない。
本発明およびその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変化、代替え、および変更を行うことができることは理解すべきである。さらに、本出願の範囲は、明細書で説明されたプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法およびステップの特定の実施形態に制限されないように意図されている。本発明の開示から当業者は容易に理解するように、本明細書で説明された対応する実施形態と実質的に同じ機能を行うか、または実質的に同じ結果を達成する現在存在するかまたは後で開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法またはステップは、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法またはステップを、その範囲内に含むように意図されている。
Claims (28)
- サンプルを保持するサンプル・ホルダと、
前記サンプルに第1の電気荷電粒子の主ビームを照射するための光軸に沿って配列された粒子源と、
前記主ビームの照射によって前記サンプルから生ずる電子を検出するように配列された、開口を有する第1の検出器と、
少なくとも前記サンプル・ホルダと前記第1の検出器で形成された検出スペースと、
前記主ビームを前記サンプル・ホルダの近くに集束させるための磁界を供給するように配列された界浸レンズと、を備え、
前記第1の検出器は前記検出スペースに電界を供給するように配列され、
前記検出スペースはガスを含み、
前記第1の検出器によって供給される電界には、前記磁界Bに対して直交する成分Eが含まれており、
mを電子の質量、qを電子の電荷としたときに、
前記磁界Bとこれに直交する電界の成分Eが存在して電子がサイクロイド経路をたどって移動する際に、前記ガスをイオン化して別の電子を解放することにより、サンプルから放出される電子を増幅する増幅領域としての第1の領域が前記検出スペースに含まれ、
前記第1の検出器および前記界浸レンズが前記電界および前記磁界を供給するように配列されている環境走査電子顕微鏡。 - 前記検出スペースには、さらに、前記電界と前記磁界が平行になっている第2の領域が含まれるように、前記第1の検出器および前記界浸レンズが配列されている請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記第1の検出器は、前記電界を供給しかつ前記電子を検出するように配列された第1の電極を備え、さらに、前記開口は、前記光軸のまわりに対称的に形成された中央開口部である請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記第1の検出器は、前記電界を供給しかつ前記電子を検出するように配列された第1の電極を備え、さらに、前記開口は、前記光軸のまわりに対称的に形成された中央開口部である請求項2に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記ガスと前記電子の間の相互作用によって前記ガス中に解放されたイオンを集めるように配列されたイオン収集器をさらに備える請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記ガスと前記電子の間の相互作用によって前記ガス中に解放された、イオンのような第2の荷電粒子を検出するように配列された第2の検出器をさらに備える請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記第2の検出器が第2の電極を備え、前記第2の電極が前記サンプルと前記第1の検出器の間に位置し、さらに前記第2の電極が前記光軸のまわりに対称的に配置された中心開口部を備える請求項6に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記サンプル・ホルダが第3の検出器を備える請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記ガスと前記電子の間の相互作用の結果として形成された光子を検出するように配列された検出器をさらに備える請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記検出スペース中の前記電界に影響を及ぼすために、前記サンプルを電気的にバイアスする手段をさらに備える請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 荷電粒子を検出しかつこの検出に基づいて信号を供給するように配列された複数のさらに他の検出器と、前記複数のさらに他の検出器および前記第1の検出器のうちのどれか1つまたは複数によって供給された少なくとも2つの信号の組合せで構成される出力信号を供給する手段とをさらに備える請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 磁気ペニング機構による増幅と電子がサイクロイド経路をたどった移動に伴う増幅とが組み合わされて行われる請求項2に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 400V未満の陽極電圧において、電子の増幅率が1000よりも大きい請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記増幅率が5000よりも大きい請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記増幅率が10000よりも大きい請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- サンプルを保持するサンプル・ホルダと、
前記サンプルに第1の電気荷電粒子の主ビームを照射するための光軸に沿って配列された粒子源と、
前記主ビームを前記サンプル・ホルダの近くに集束させるための磁界を供給するように配列された界浸レンズと、
を備える環境走査電子顕微鏡において、前記主ビームの照射によって前記サンプルから生ずる電子を検出するように配列されて、リング状電極および増幅器を備える検出器であって、
少なくとも前記サンプル・ホルダと前記検出器によって、前記サンプルから生じる電子を増幅するためのガスが含まれる検出スペースを形成し、
前記検出器は、前記検出スペースに電界を供給しかつ前記主ビームの照射によって前記サンプルから生ずる前記電子を検出するように配列され、
前記電界には前記磁界Bに対して直交する成分Eが含まれており、
mを電子の質量、qを電子の電荷としたときに、
前記磁界Bとこれに直交する電界の成分Eが存在して電子がサイクロイド経路をたどって移動する際に、前記ガスをイオン化して別の電子を解放することにより、サンプルから放出される電子を増幅する増幅領域としての第1の領域が前記検出スペースに含まれる検出器。 - 環境走査電子顕微鏡でサンプルから放出される電子を検出する方法であって、
前記サンプルに荷電粒子の主ビームを照射することによって前記サンプルから二次電子が解放され、
前記二次電子が検出器の方に加速され、
少なくとも前記検出器および前記サンプルによって検出スペースが形成されており、
前記検出スペースはガスを含み、
界浸レンズは前記検出スペースに磁界を供給し、
前記検出器によって供給される電界には、前記磁界Bに対して直交する成分Eが含まれており、
mを電子の質量、qを電子の電荷としたときに、
前記磁界Bとこれに直交する電界の成分Eが存在して電子がサイクロイド経路をたどって移動する際に、前記ガスをイオン化して別の電子を解放することにより、サンプルから放出される電子を増幅する増幅領域が前記検出スペースに含まれる方法。 - ペニング効果を用いる前記電子の増幅のために前記電界が前記磁界に平行な成分を含む領域を前記検出スペースが少なくとも備える請求項17に記載の方法。
- 少なくともいくつかの二次電子あるいは娘電子が、ガス分子と衝突する前に電極に衝突しないような電子の運動を前記電界あるいは磁界が作り出す請求項17に記載の方法。
- 前記電界が、前記開口の内部で実質的に放射状に向いている成分を含んでいる請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記電界が、前記開口の内部の領域内において実質的に放射状の成分を含んでおり、前記開口の上下の領域において光軸に対して実質的に平行な成分を含んでいる請求項2に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 前記第1の検出器が、電界を供給し前記電子を検出するように配列された第1の電極を含んでおり、
前記サンプルから実質的に放出される電子および娘電子が、ガス分子との衝突によってエネルギーを損失するまで前記第1の電極と衝突することなく、前記検出スペース内でサイクロイド運動を維持することにより、増加する請求項1に記載の環境走査電子顕微鏡。 - 電気荷電粒子の主ビームを生成し、かつサンプルに前記主ビームを照射するための光軸に沿って配列された粒子源と、
前記主ビームの照射によって前記サンプルから生じ、かつガスによって増幅された電子を検出するように配列された第1の検出器と、
イオン化用のガスを含み、かつ、mを電子の質量、qを電子の電荷、Bを磁界の軸方向成分、Eを前記磁界に対して直交する成分としたときに、
を備え、前記増幅スペースにおいて、ペニング効果による電子の増幅と、前記磁界Bとこれに直交する電界の成分Eが存在して電子がサイクロイド経路をたどって移動する際に前記ガスをイオン化して別の電子を解放する電子の増幅とが組み合わされる環境走査電子顕微鏡。 - 前記サンプルと前記粒子源との間に位置した第1の極を有し、前記磁界を供給する界浸レンズをさらに備え、
前記第1の検出器は、前記サンプルと前記第1の極との間に位置して開口を有する電極を備え、
前記増幅スペースは、前記サンプルと前記第1の極との間に位置しており、
前記界浸レンズが前記開口の内部に磁界を供給し、
前記電極が前記電界を供給する請求項23に記載の環境走査電子顕微鏡。 - 前記電極は前記サンプルと前記第1の極に対して正電位に保たれて、前記電界を供給する請求項24に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 400V未満の陽極電圧において、電子の増幅率が1000より大きい請求項24に記載の環境走査電子顕微鏡。
- 電気荷電粒子の主ビームを生成し、かつサンプルに前記主ビームを照射するための光軸に沿って配列された粒子源と、
前記サンプルと前記粒子源との間に位置する第1の極を有する界浸レンズと、
前記主ビームの照射によって前記サンプルから生じ、かつガスによって増幅された電子を検出するように配列され、開口を有し、かつ前記サンプルおよび前記第1の極に対して正電位に維持されている第1の検出器と、
前記サンプルと前記第1の極との間に形成され、イオン化用のガスを含む増幅スペースと、
を備え、前記増幅スペースにおいて、前記界浸レンズが前記開口の内部に磁界を供給し、前記第1の検出器が、前記開口の内部で実質的に放射状に向いている電界を供給するとともに、前記開口の上下の領域において磁界に対して平行な成分を有する電界を供給し、
前記電界と前記磁界の組み合わせによって、350V未満の陽極電圧において500より大きい電子の増幅率を有する環境走査電子顕微鏡。 - 400V未満の陽極電圧において、電子の増幅率が1000より大きい請求項27に記載の環境走査電子顕微鏡。
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