JP2005538292A - 可変ノズル装置を備えたターボ過給機 - Google Patents

Abstract

ターボ過給機は、可変ノズル装置とおよび排気ハウジングとを備えている。排気ハウジングは可変ノズル装置から機械的および／または熱的に分断される。種々の軸方向および半径方向間隙ならびに種々の密封要素を含めて、追加の任意の有利な機能が設けられる。

Description

本発明は、可変ノズル装置を備えたターボ過給機に関する。

ターボ過給機においては、異なる運転条件の下で使用されるターボ過給機の効率を改善するために、タービンを駆動する排気ガス流の調整がしばしば必要になる。ガス流のこのような制御を達成するために、可変形状のノズル通路を備えた可変ノズル装置が設けられる。ノズル通路は、内側ノズル壁と外側ノズル壁との間でタービンの周りに円周方向に配置されたベーン間に形成される。ベーンは、ノズル通路にさまざまな異なる形状を与えるため、そしてそれによってタービンを駆動する排気ガス流を制御するために、ピボット運動可能である。

文献ＷＯ−Ａ１−０２０６６３７によれば、ターボ過給機の中央ハウジングに連結されたカートリッジとして形成された可変ノズル機構を備えるターボ過給機であって、排気ハウジングがカートリッジに装架され且つシート状金属からつくられているターボ過給機が公知である。

本発明の目的は、改良されたターボ過給機、特に一層効率的に生産されかつ維持され、向上された信頼性を有するターボ過給機を提供することにある。

この目的を達せする一技術的解決手段によれば、請求項１に特定された構成に基づくターボ過給機が提供される。このようなターボ過給機の好適実施例は従属請求項に記載されている。

請求項１に記載された発明の利点は、特に、排気ハウジングから可変ノズル装置の構成部品まで、機械的および熱的に発生した負荷の伝達が効率的に回避されることである。これは、排気ハウジングが可変ノズル装置から機械的および／または熱的に分断される構成によって達成される。

本発明の好適実施例によれば、ターボ過給機の排気ハウジングが、タービン・ホイールを有するシャフトを担持するターボ過給機の中央ハウジングに直接装架され、その結果、両ハウジングは、可変ノズル装置およびタービン・ホイールが配置されるところの内側空間を画成する。

ターボ過給機の排気ハウジングは、好ましくは、中央ハウジングに取り付けられたガス入口部分と、軸方向延長間隙を伴って可変ノズル装置のガス出口部分を包囲するガス出口部分とを備えている。このような実施例においては、排気ハウジングのガス入口部分は、好ましくはフランジ部材を備えており、該フランジ部材は、密封要素を介して中央ハウジングに軸方向に当接され、且つ、締結部材または手段によって該中央ハウジングに装架されている。

可変ノズル装置のガス出口部分は、排気ハウジングのガス入口側からそのガス出口側へのガス漏れを回避するピストン・リングを収容する円周方向凹部を設けられてもよい。ガス漏れを回避する代案または追加対策として、少なくとも１つの別の円周方向凹部が、排気ハウジングのガス入口側とピストン・リングとの間で排気ハウジングのガス出口部分に形成されてもよい。

典型的には、ターボ過給機の可変ノズル装置は、ノズル・リングと外側リングとの間に、ベーンの環状構造を備えている。外側リングは、ノズル・リングに嵌合し且つ中央ハウジングに固定された周辺リングと一体に形成される。ベーンはノズル・リングにピボット運動自在に支持され、また、ノズル・リングは周辺リングによって中央ハウジングに支持された環状円板部材に対して軸方向に好ましくは押し付けられる。

代案または追加の分断手段として、本発明に基づくターボ過給機の構造は、排気ハウジングが可変ノズル装置の周辺リングを、別の軸方向延長間隙を伴って包囲することができる。

しかしながら、ターボ過給機をより小型かつ機能的構成のものとするために、可変ノズル装置の周辺リングは、排気ハウジングのフランジ部材が中央ハウジングに固定される際に介挿される密封要素と同じ密封要素に対して当接されるようにしてもよい。

本発明の上記およびその他の観点が、添付図面に示される一実施例を参照した例示によって以下により詳細に記載されかつ図示されている。

図１に示す実施例に基づくターボ過給機は、シャフト３を担持する中央ハウジング１を備えている。シャフト３の一端にはタービン・ホイール５が取り付けられている。シャフト３は、中央ハウジング１内のベアリング装置によって支持される。この点は特に図１に示されているが詳細には記載されていない。図１の左側に、ターボ過給機の背板７およびコンプレッサ羽根９のみが示されている。他方、図１において中央ハウジング１の右側に可変ノズル装置が詳細に示されている。

可変ノズル装置は、基本的にリング形状とされたインサート１１を一体部材として含む。この一体部材は、周辺リング１３と、脚部分１７によって周辺リング１３に接続された外側リング１５とを備えている。

図２に示すように、リング形状インサート１１の周辺リング１３は、中央ハウジング１の段部分１９に嵌合し、円周方向に離間された状態で配置されかつ中央ハウジング１の対応する穴に固定されたボルト２１（図１）によって段部分１９に装架される。ノズル・リング２３が、周辺リング１３内に嵌合し、タービン５の周りで円周方向に沿ってノズル・リング２３に配置され且つベーン２７に固定された複数のベーン・ピン２５を支持する（図１）。

ターボ過給機のこの実施例においては、脚部分１７は、ノズルの内壁を形成するノズル・リング２３とノズルの外壁を形成するリング形状インサートの外側リング１５との間でノズル空間を画成するスペーサの機能を満たす。各ベーン・ピン２５の他端は、好ましくは溶接によってベーン・アーム２９に取り付けられる。ベーン・アーム２９は、ユニゾン・リング（ｕｎｉｓｏｎ ｒｉｎｇ）３１の内周に形成された溝に受けられる。ユニゾン・リング３１は、ベーン・アーム２９およびベーン・ピン２５、ひいてはこれらに取り付けられたベーン２７をピボット運動させるために回転自在に配置される。

回動自在にするために、ユニゾン・リング３１は、その内周が、図３に最もよく示すように、円周方向に離間されたローラ３３上に支持される。ローラ３３は、ダボ（ｄｏｗｅｌ）３５に回転自在に装架される。ダボ３５は、ノズル・リング２３に形成された対応する穴に回転自在に支持される。ダボ３５の長さは、ダボが中央ハウジング１に向かってわずかな軸方向移動をすることができるが、ダボの対応する端と中央ハウジングとの間の距離が、ローラ３３が離脱せずかつ中央ハウジングとノズル・リングとの間に鎖錠されたままに留まるようになっているように設定される。

特に図４に示すように、ユニゾン・リング３１の内周にある溝の１つと係合する作動アーム３７は、作動ロッド３９を介してアクチュエータ・クランク４１に接続される。
リング形状インサート１１は、該リング形状インサート１１に嵌合し且つベーン作動機構のすべての可動要素を担持するユニゾン・リング２３と共に、ボルト２１によって中央ハウジング１に取り付けられた一種のカートリッジに相当する可変ノズル装置を形成する。この構成に関して、リング形状インサートの周辺リング１３を中央ハウジング１に取り付けるときに、ノズル・リング２３が中央ハウジング１に軸方向に支持された環状円板部材４５に対して脚段部分４３によって軸方向に挟み付けられるようにする。このようにして、ボルト２１のみによって、完全な可変ノズル装置が中央ハウジング１に連結される。中央ハウジング１およびリング形状インサート１１は、可変ノズル装置の可動要素を保護する一種の安定シェル（殻体）を形成する。

タービン・ハウジングまたは排気ハウジング４７は、図１ないし図６の各図に示すように、Ｖバンドまたは同等の締結部材４９によって中央ハウジング１に装架される。締結部材４９は、図６に最もよく示すように、排気ハウジング４７の入口部分５３のフランジ部材５１を中央ハウジング１の別のフランジ部分に押し付ける。これら２つのフランジ部分間にガスケット５５が設けられる。ガスケット５５はガス気密を与えるために密封装置として働き、排気ハウジング４７から排気ガスのいかなる漏れをも効率よく回避する。この実施例においては、入口部分５３は、排気ハウジング４７の渦形室を形成し、かつ、特に図２に示すように、排気ガスをノズル２８に送出する。

本発明に基づくターボ過給機のこの格別な実施例においては、タービン・ハウジングが密封装置５５を介して中央ハウジング１と軸方向にのみ接触しているけれども、締結部材５５は、それが半径方向にも排気ハウジングの信頼できる位置決めを与えるようになっている。このようにして、排気ハウジングは、いかなる追加の固定手段をも必要としない。

排気ハウジングのフランジ部材５１およびリング形状インサート１１の周辺リング１３の装架箇所は、図６に最もよく示すように、軸方向延長間隙５７がそれらの間に確立されるような状態になっている。排気ハウジングの別の半径方向延長部分５９が、周辺リング１３から軸方向に離間されているが、これは排気ハウジングと可変ノズル装置のリング形状インサート１１との間の接触を回避するための、別の半径方向延長間隙６１を与えるためである。

排気ハウジング４７の外側出口部分６３は、可変ノズル装置の内側ガス出口部分６５を包囲するスリーブとして形成される。内側ガス出口部分６５は、インサートの外側リング１５の軸方向管状延長部として形成される。これら２つの部分間には、好ましくは０．０５ｍｍないし０．１５ｍｍの軸方向延長間隙がある。この間隙は、ガス漏れを回避するには十分に小さく、同時に排気ハウジング４７とリング形状インサート１１との間の適切な機械的分断を与えるには十分な大きさである。ガス漏れを防止する追加の密封装置としては、排気ハウジングの外側ガス出口部分に形成されて排気ハウジングからのガス漏れの乱れを減衰する手段として働く２つの凹部のほか、内側ガス出口部分６５に形成された凹部に間挿されたピストン・リング６７を含む密封要素が設けられる。

本発明の実施例を示す図１ないし図６はまた、ターボ過給機構造の詳細をさらに明らかにしている。例えば、図５はノズル・リング２３が中央ハウジング１に対して回転することを防止する鎖錠ダボ２４を示す。さらに、図３は、インサートと排気ハウジングとの間の機械的および熱的分断を損なうことなしに間隙６１を包囲する追加の弾性密封部材６０を示す。

上述したように、本発明の一つ観点は、排気ハウジングが高い機械的および熱的負荷を受けることに鑑み、排気ハウジングを可変ノズル装置から機械的および／または熱的に分断することである。さらに、ノズル・リングを収容し且つすべてのノズル構成部品を含むカートリッジを形成する小型の帽子状インサートが、ノズル構成部品を変形しないように助け、その結果、ベーンが固着または不動状態となることを防止する。

排気ハウジングが、密封要素を介して中央ハウジングと直接接触し、完全可変ノズル装置が配置される内側空間を形成するので、ターボ過給機の効率的なガス漏れ防止が達成される。

本発明に基づくターボ過給機のさらなる改良のために、追加の任意の有利な機構が、様々な軸方向および半径方向間隙ならびに様々な密封要素を含めて、設けられてもよい。
図面に示された実施例においては、排気ハウジングが可変ノズル装置のカートリッジを完全に包囲し、かつ、その周辺リングが排気ハウジングのフランジ部材と軸方向に整合するようになされており、その結果、周辺リングおよびフランジ部材の双方が、中央ハウジングのフランジ部分に支持された一つの同じ半径方向延長密封部材に当接されているけれども、可変ノズル装置カートリッジおよび排気ハウジングを中央ハウジングに装架させる、他の変更された構造または形状の採用が可能である。例えば、鎖錠ダボ２４があれば、ボルト２１をなくしてもよく、完全可変ノズル装置が、締結部材４９によって与えられる間接的接触の使用によって中央ハウジングに連結されるようにしてもよい。

可変ノズル装置を中央ハウジングに連結するための別の可能性ある態様は、締まり嵌めの使用である。この目的のために、中央ハウジングの周縁には周辺リング１３が係合するための内側凹部を設けてもよい。

同様に、図示する実施例は、タービン５の周りで円周方向に沿ってノズル・リング上に配置されたベーン・ピンであってピボット運動するベーン２７に固定装架された複数のベーン・ピン２５を担持するよう嵌合されたノズル・リング２３を含むものとして、可変ノズル装置を示しているが、可変ノズル装置のその他の変更された構造または形状が可能である。例えば、ベーンは、ピボット運動を利用すると言うよりはむしろ、またはピボット運動に追加的に、半径方向および／または軸方向に滑ることによって排気ガス流れを制御する公知の形式のベーンであってもよい。

別個の可変ノズル装置カートリッジの使用によって、排気ハウジングの製造は単純化されうる。排気ハウジングは、例えば、シート状金属からつくられるか、単純化された鋳造方法（例えば、低級な排気ハウジング材料を使用する薄鋳造技術）によってつくられてもよい。

本発明に基づくターボ過給機の実施例の軸に沿った第１横断面図を示す。 本発明に基づくターボ過給機の実施例の第２横断面図を示す。 本発明に基づくターボ過給機の実施例の第３横断面図を示す。 本発明に基づくターボ過給機の実施例の第４横断面図を示す。 本発明に基づくターボ過給機の抽出横断面図であって、排気ハウジングを中央ハウジングに装架する構造を示す。 本発明に基づくターボ過給機の抽出横断面図であって、排気ハウジングを中央ハウジングに装架する構造を示す。

Claims (10)

1. 可変ノズル装置（１１、２３、２５、２７、２９、３１）と、該可変ノズル装置から機械的および／または熱的に分断された排気ハウジング（４７）とを備えた、ターボ過給機。
2. 前記排気ハウジング（４７）が、タービン・ホイール（５）を有するシャフト（３）を担持する中央ハウジング（１）に直接装架されており、それによって、両ハウジング（１、４７）が、前記可変ノズル装置（１１、２３、２５、２７、２９、３１）および前記タービン・ホイール（５）が配置されるところの内側空間を画成している、請求項１に記載のターボ過給機。
3. 前記排気ハウジング（４７）が、前記中央ハウジング（１）に取り付けられたガス入口部分（５３）と、軸方向延長間隙を伴って前記可変ノズル装置のガス出口部分（６５）を包囲するガス出口部分（６３）と、を備えている、請求項２に記載のターボ過給機。
4. 前記排気ハウジング（４７）のガス入口部分（５３）がフランジ部材（５１）を備えており、該フランジ部材（５１）が、密封要素（５５）を介して前記中央ハウジング（１）に対して軸方向に当接され、且つ、締結部材（４９）によって該中央ハウジング（１）に装架されている、請求項３に記載のターボ過給機。
5. 前記排気ハウジング（４７）と前記可変ノズル装置（１１、２３、２５、２７、２９、３１）との間のガス漏れを回避するための密封装置（６５、６７）を備えている、請求項３または４に記載のターボ過給機。
6. 前記密封装置（６５、６７）が、前記可変ノズル装置の前記ガス出口部分（６５）に形成された円周方向凹部を備え、該円周方向凹部はピストン・リング（６７）を収容している、請求項５に記載のターボ過給器において、前記排気ハウジングの前記ガス出口部分（６３）に少なくとも１つの別の円周方向凹部（６９）が形成されており、該別の円周方向凹部（６９）は、前記排気ハウジングのガス入口側と前記ピストン・リング（６７）との間の前記軸方向延長間隙に開口している、請求項５に記載のターボ過給機。
7. 前記可変ノズル装置（１１、２３、２５、２７、２９、３１）が、ノズル・リング（２３）と外側リング（１５）との間に挿入された円周方向配置ベーン（２７）を備えており、前記外側リングは前記ノズル・リングに嵌合し且つ前記中央ハウジング（１）に連結された周辺リング（１３）と一体に形成されている、請求項３ないし６のいずれかに記載のターボ過給機。
8. 前記ベーン（２７）は前記ノズル・リング（２３）にピボット運動自在に支持され、前記ノズル・リングは、前記中央ハウジング（１）に支持された環状円板部材（４５）に対して前記周辺リング（１３）によって軸方向に押し付けられている、請求項７に記載のターボ過給機。
9. 前記排気ハウジング（４７）の前記ガス入口部分（５３、５１）は、さらに別の軸方向延長間隙（５７）を伴って前記可変ノズル装置の前記周辺リング（１３）を包囲している、請求項７または８に記載のターボ過給機。
10. 前記周辺リング（１３）は、前記排気ハウジング（４７）のフランジ部材（５１）が前記中央ハウジング（１）に固定される際に介挿される密封要素と同じ密封要素（５５）に当接される、請求項７または８に記載のターボ過給機。

Images