JP2005529191A - バイオマスからの細胞壁誘導体及びその調製法 - Google Patents

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Abstract

第1の態様において、本発明は、真菌又は酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法に関する。この方法により、キチンポリマー又はキチン−グルカンコポリマーを得ることができる。別の態様において、本発明は、キチンからキトサンを調製する方法に関する。本発明は更に、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、キチン−グルカンポリマー及びキトサンポリマーに関する。更には、本発明は、医療、医薬、農業、栄養補助食品、食品、テキスタイル、化粧品、工業及び/又は環境応用における、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーの使用に関する。

Description

発明の分野
第1の態様において、本発明は、真菌又は酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法に関する。別の態様において、本発明は、キチンからキトサンを調製する方法に関する。本発明は更に、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、キチン−グルカンコポリマー及びキトサンポリマーに関する。更には、本発明は、医薬、医療、農業、栄養補助食品、食品、テキスタイル、化粧品、工業及び/又は環境応用における、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーの使用に関する。
発明の背景
デンプン、セルロース又はキチンのような天然の多糖類は、大量のものが容易に利用でき、かつ合成ポリマーにはあまり見られない独特の特徴を示すため、技術的に非常に重要である。例えば、真菌の細胞壁は、多糖類、タンパク質、脂質のネットワークにより組織化されており、多糖鎖の大部分は、β−グルカンとキチンである。
キチンは、自然界に広く見られる天然高分子量ポリマーであり、実際セルロースに次ぐ第2の主要なバイオポリマーである。キチンは、構造が、セルロースのそれに近い多糖である。これは、昆虫及び甲殻類のクチクラの主要な構成要素であり、また幾つかの真菌及び他の生物の細胞壁の一部でもある。キトサンは、工業レベルでキチンの化学修飾により製造され、そして少数の生物では天然に見られる。キチンは、β(1.4)グリコシド結合により結合したN−アセチル−(D)−グルコサミンの線状ポリマーであり、これは式(I)により表すことができる。キトサンは、N−アセチル−(D)−グルコサミンと(D)−グルコサミンのランダムコポリマーであり、これは式(II)により表すことができる。キチンとキトサンは、グリコサミノグリカンファミリーのポリマーの一部である。
セルロースと同様に、キチンは、多くの工業及び医療応用において有用な化学的及び生物学的性質を追加的に持つ、繊維性多糖である。それにもかかわらず、キチンは通常、他の物質と密接に結びついている天然構造中に見い出されるため、抽出するのがより困難である。
キトサンは、N−アセチル−グルコサミン単位のアセチル基の部分加水分解により調製することができ、このため、このポリマーは大抵の酸の希溶液に可溶性になる。キトサンは、バイオマスから抽出されるポリマーであるキチンから誘導することができる。これは、2つの分子性状、平均分子量及びアセチル化度(即ち、ポリマー基本骨格に沿うアセチル化グルコサミン単位の割合である)により規定される。
Figure 2005529191
キチン及びキトサンの工業的製造は、一般に甲殻類の殻、例えばカニやエビの殻の廃棄物を有効活用している。2工程:酸処理による脱灰及びアルカリ処理による除タンパクによって、キチンが単離でき、次に熱濃アルカリ溶液を用いる脱アセチル化工程が続く。しかし甲殻類のバイオマスから製造されるキチンは、しばしば高レベルの鉱物(主として炭酸カルシウムであり、その量は、キチン乾燥重量の90%にも達することがある)を含む。よってキチンとキトサンの品質は、しばしば再現不可能であり、季節変動や甲殻類の種類に依存する。脱アセチル化法は、分解法であり、そしてキトサンは、しばしば非常に変わりやすい分子量とアセチル化度のものになり、このため、ユーザーによる製品開発が困難になっている。更に、高生産コストは、莫大な発熱エネルギーの必要、及び大量の水酸化ナトリウムの必要、並びに、量がキチン乾燥重量の90%にも達することがある炭酸カルシウムからのキチンの分離により必要とされる大規模な酸処理に起因する。
しかし、例えば、細胞壁が壁乾燥重量の40%までも含むことがある真菌のような、キチン及びキトサンの代替供給源が存在する。真菌の菌糸体は、細胞からできたフィラメントの複雑なネットワークである。菌糸体細胞壁は、ヘミセルロース、キチン及びβ−グルカン類からできている。充分な量のキチンを含む真菌は、キチンの抽出のために特異的に選択及び培養することができる。更に、真菌又は酵母の発酵後に回収されるバイオマスのような、工業的発酵プロセスの副産物もまた、他のバイオポリマー(主として、グルカン類、マンナン類、タンパク質及び脂質)と結びついたキチンを含む。これらの発酵副産物は、その貯蔵が経済的に引き合わないため、一般に培地から分離直後に焼却される。
キチン及びキトサンをできるだけ多くの応用に使用するには、その品質は均一かつ純粋であるべきである。よって、再現性あるやり方で大量に入手でき、かつ無機及びタンパク質の不純物を少量しか含まない、純粋なキチンからのキトサンの製造は、この分野における実質的な進歩となろう。
甲殻類の供給源に変わるキチン及びキトサンの代替供給源に関する技術の現状は、それほど幅の広いものではない。少数の特許及び特許出願が、キチンの可能性ある工業的供給源として真菌の菌糸体に言及している(例えば、特許の米国4,960,413号、6,255,085号、4,195,175号、4,368,322号、4,806,474号、5,232,842号、6,333,399号及び特許出願WO 01/68714、GB-A-458,839、GB-A-2,026,516、GB-A-2,259,709、DE-A-2,923,802及びRU-C-2,043,995)。これらの文書の多くは、真菌の菌糸体からキトサン又はキトサン−グルカンを調製する方法を開示している。更に、これらの方法は、キチンの単離及び精製のための中間工程が何もない、真菌細胞壁に含まれるキチンの直接の変換法を記載している。したがってこれらの特許及び特許出願に記載されている方法では、純粋なキトサンの供給源としての純粋なキチンの単離ができない。これらの方法では、高度な濃アルカリ溶液と、激しい温度及び持続時間の条件が利用されているが、これらは再び高い汚染のリスクをもたらす。更に、これらの強引なプロセスでは、恐らく非常に低分子量のキチン誘導体及びキトサンが生じるため、高分子量キトサンの製造には使用することができない。
他の論文は、幾つかの真菌種の細胞壁構造の基本的研究を記述している(例えば、Hartlandら (1994) Yeast 10, 1591-1599;Hongら (1994) Yeast, 10, 1083-1092;Hearnら (1994) Microbiology 140, 789-795;Fontaineら (2000) Journal of Biological Chemistry 275, 27594-27607)。これらの研究は、細胞壁が、主としてキチン及びベータ−グルカン類からできていること、並びにこの2つの型のポリマー鎖が、大抵の真菌では恐らく共有結合により、密接に結びついていることを相次いで結論している。これらの研究の幾つかは、最初の多糖組成を推定できるように更に糖残基を同定するために、細胞壁の構成要素を選択的に分解するための特異的酵素、即ち、グルカナーゼ及びキチナーゼの使用に言及している。一般に、本発明の目的は、真菌又は酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離するための改善法を提供することである。詳細には、本発明の目的は、キチンポリマー又はキチン−グルカンポリマーを単離する方法を提供することである。本発明の別の目的は、キトサンを調製する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、環境に対して有害であろう高エネルギー消費も化学物質も必要としない迅速なプロセスにより、キチンポリマーを単離すること、及びキトサンを調製することである。
本発明の別の態様は、非動物供給源から、純粋なキチンポリマーを単離するため、及びキトサンポリマーを調製するための方法を提供することであり、そしてこれらは、種々の分野における応用に適している。
本発明はまた、高度の純度を有するキチンのポリマーを提供することを目的とする。更に、本発明の別の目的は、キチンとベータ−グルカンの量が調整可能である、キチン−グルカンコポリマーを提供することである。本発明は更に、高度の純度、並びに制御可能なアセチル化度及び分子量を有する、キトサンを提供することを目的とする。
発明の開示
第1の態様において、本発明は、真菌又は酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法であって、次の工程:
a)該バイオマスを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、該細胞壁誘導体を含む該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、該細胞壁誘導体を含む酸性化アルカリ不溶性画分の懸濁液を得る工程、及び
c)アルカリ不溶性画分の該酸性化懸濁液をβ−グルカナーゼ酵素と接触させることにより、該細胞壁誘導体を得る工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
本発明の本方法において処理される真菌又は酵母のバイオマスは、細胞壁がキチンを含む真菌又は酵母細胞からできている。あるいは、該バイオマスはまた、真菌又は酵母培養物が使用される工業的培養プロセスの副産物であってもよい。
本発明は、既存法の主な欠点を回避する方法を提供する。更に詳細には、本発明は、既存の方法及び供給源を超える経済上及び環境上の利点を持つキチン単離法を提供する。更に詳細には、本発明は、キチン鎖の分解又は変換がなく、制御されたやり方でβ−グルカンからキチンを分離することができる方法を開示する。
好ましい実施態様において、本発明は、工程c)で得られる該細胞壁誘導体が、キチンポリマー又はキチン高含量のキチン−グルカンコポリマーである方法に関する。更に詳細には、本発明は、β−グルカンのような他の多糖類を本質的に含まない、キチンポリマーを得るための、真菌又は酵母のバイオマスからキチンを単離するための方法に関する。
「キチンポリマー」という用語は、80%を超えるキチン(そして好ましくは、90%を超えるキチン、更に好ましくは95%を超えるキチン)と20%未満のβ−グルカンを含む、キチンポリマーを意味する。
「キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー」という用語は、キチンポリマーと共にグルカンポリマーをある相対量で含むが、グルカンよりもキチンを高い相対量で含むポリマーを意味する。本発明の方法により、このようなキチン−グルカンコポリマー中のキチンとグルカンの量を具体的に調整することができる。コポリマー中のキチンの量は、本方法において酵素的加水分解工程の条件を制御することにより調整することができる。よって本発明は、制御可能な純度でキチンを含むことを特徴とするコポリマーを得る方法を提供する。「制御可能な純度でキチンを含むことを特徴とするポリマー」という用語は、キチンの量を、グルカナーゼ酵素によって制御可能なやり方で調整できる、ポリマー生成物を意味する。好ましい実施態様において、該キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー中のキチンの量は、調整可能であり、そして好ましくは75%より高く、更に好ましくは80%より高い。
別の好ましい実施態様において、本発明は、工程a)又はb)で得られる該細胞壁誘導体がキチン−グルカンコポリマーであり、グルカンを上まわるキチンの相対量が、使用されるバイオマスに依存する方法に関する。本明細書において使用されるとき「キチン−グルカンコポリマー」という用語は、真菌又は酵母のバイオマスの抽出後であるが、グルカナーゼ酵素による酵素反応の前に得られるコポリマーを意味する。該キチン−グルカンコポリマー中のキチンの量は、これが抽出される生物によって規定される。好ましい実施態様において、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の菌糸体が本発明の方法において使用され、そしてアスペルギルス・ニガーの菌糸体から抽出されるキチン−グルカンコポリマーは、30〜50%(w/w)の間のキチンと50〜70%の間のベータ−グルカンを含むことを特徴とする。
「キチン」及び「キチンポリマー」という用語は、本明細書では同義語として使用される。更に、「キトサン」及び「キトサンポリマー」という用語は、本明細書では同義語として使用される。
第2の態様において、本発明は、キチンからキトサンを調製する方法であって、次の工程:
a)該キチンを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、部分的脱アセチル化キチンを含む該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、該部分的脱アセチル化キチンを含む酸性化アルカリ不溶性画分を得る工程、及び
c)該酸性化画分をキチンデアセチラーゼと接触させることにより、キトサンを得る工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
この態様において、本発明は、キチンデアセチラーゼ酵素でのキチンの酵素的脱アセチル化反応によって、制御されたアセチル化度を持つ高分子量キトサンが得られる、キトサンを調製するための方法を提供する。この態様において、本発明はまた、制御可能なアセチル化度を有する低及び中分子量キトサンを得ることができる、キトサンを調製する方法を提供する。
「低及び中分子量」という用語は、ウッベローデ(Ubbellohde)毛細管粘度測定法により測定するとき、100kDaより低い平均分子量を意味する。「高分子量」という用語は、毛細管ウッベローデ粘度測定法により測定するとき、100kDaより高い平均分子量を意味する。
「制御されたアセチル化度を有するキトサン」という用語は、アセチル化の程度、即ち、N−アセチル−グルコサミン単位の割合が、制御可能なやり方で調整できる、生成物を意味する。
好ましい実施態様において、本発明は、該キチンが、本発明の真菌又は酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法によって得ることができる真菌又は酵母のキチンである方法に関する。このキチンの供給源が、非常に高い純度であるため、本発明によりキトサンを調製することができるが、これも高い純度が得られる。更に、本方法における酵素的脱アセチル化の条件を制御することにより、アセチル化度を調整できるため、本方法は、調整可能なアセチル化度を有するキトサンをも提供する。
別の態様において、本発明は、真菌又は酵母のキチンからキトサンを調製する方法であって、次の工程:
a)該キチンを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、それにより、酸不溶性画分と酸可溶性画分を得て、そこで該酸不溶性画分を廃棄して、キトサンを含む該酸可溶性画分を保持する工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
この態様において、本発明は、キトサンを調製する方法を提供するが、これにより低及び中分子量が得られる。この方法は、真菌又は酵母のバイオマスから得られるキチンのアルカリ加水分解反応を特徴とする。「低及び中分子量」という用語は、上記と同義の、100kDaより低い平均分子量を意味する。
別の態様において、本発明は、本発明の方法により得られる、キチンポリマーに関する。
更に、本発明はまた、本発明の方法により得ることができる、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマーに関する。
本発明は更に、本発明の方法により得られる、キトサンポリマーに関する。
本発明は更に、別の態様において、本発明の方法により得られる、キチンポリマー、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーを含むことを特徴とする複合材料に関する。
別の態様において、本発明は、医療、医薬、農業、栄養補助食品、食品、テキスタイル、化粧品、工業及び/又は環境応用における、本発明の方法により得られる、キチンポリマー、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーの使用に関する。
当業者であれば、以下に記載の提供される詳細な説明と実施例から、本方法の多くの他の効果や利点、並びに本発明の最終用途の数多くの可能性を即座に認識するであろう。
図面の詳細な説明
図1は、本発明の細胞壁誘導体を単離する方法における第1工程の真菌のバイオマスのアルカリ消化後に得られた、精製キチン−グルカンポリマーを含むアルカリ不溶性画分の固体13C−NMRスペクトルを表す。計算されたキチン−グルカン比は、41:59(w/w)である。
図2は、本発明の細胞壁誘導体を単離する方法における第1工程の真菌のバイオマスのアルカリ消化後に得られた、アルカリ不溶性画分(このキチン:グルカン比は、38:62±3(w/w)であった)のX線散乱試験を表す。
図3は、本発明の細胞壁誘導体を単離する方法における第1工程の真菌のバイオマスのアルカリ消化後に得られた、アルカリ不溶性画分(このキチン:グルカン比は、85:15±8(w/w)であった)のX線散乱試験を表す。
発明の詳細な説明
細胞壁誘導体を単離する方法
本発明は、第1の態様において、上述のような工程を含む、真菌及び酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法を開示する。
好ましい実施態様において、本発明は、該細胞壁誘導体がキチンポリマーであることを特徴とする方法に関する。「ポリマー」という用語は本明細書において使用されるとき、1種又は数種のタイプのモノマー単位の反復からできた鎖の混合物である、高分子量物質を意味する。一般に、ポリマーは、少なくとも3つのモノマー単位からできている。モノマー単位は、ポリマー鎖を構成する反復単位である。「キチンポリマー」という用語は、β(1,4)−N−アセチル−(D)−グルコサミンの少なくとも3つのモノマー反復単位(好ましくは10を超える、そして更に好ましくは20を超えるモノマー単位)からできているポリマーを意味する。キチンポリマーは、共有結合のβ(1−4)グリコシド結合により結合したモノマーのβ(1,4)−N−アセチル−(D)−グルコサミン単位の鎖である。
本発明は、真菌及び酵母の菌糸体に含まれるキチンを抽出可能にする方法を提供する。先行技術では、ほとんどの酵母及び真菌の細胞壁において、キチンが他のポリマーと(例えば、β−グルカン型の多糖類と)共有結合を介して結びつくことにより、典型的なフィブリル構造を形成することを繰り返し証明している。これが、キチンを真菌及び酵母のバイオマスから抽出することを困難にし、また純粋な形で回収することを困難にしている理由である。キチン鎖を得るために、キチン鎖は、好ましくは非分解法により、他のポリマー鎖から分離することが必要である。本発明は、キチン鎖の分解なしに、主としてβ−グルカン類を含む他のポリマーからキチンを分離可能にする方法を開示する。
キチンは、非動物性バイオマスから、具体的には、接合菌類(Zygomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)及び/又はこれらの混合物(好ましくは子嚢菌類)を含む数群からの、真菌の菌糸体又は酵母の細胞壁から得ることができる。アスペルギルス(Aspergillus)及びサッカロミケス(Saccharomyces)のような酵母は、後者の群(子嚢菌類)に属する。好ましい実施態様において、本発明は、該バイオマスが、コウジカビ属(Aspergillus)、アオカビ属(Penicillium)、トリコデルマ属(Trichoderma)、サッカロミケス(Saccharomyces)、及びシゾサッカロミケス(Schizosaccharomyces)種、並びにハラタケ属(Agaricus)、ヒラタケ属(Pleurotus)、ヤマドリタケ属(Boletus)、及びシイタケ(Lentinula)種などの食用キノコ類、及び/又はこれらの混合物のような、糸状菌又は酵母をはじめとする群から選択されることを特徴とする方法に関する。これらの真菌及び酵母の共通の特色は、その細胞壁におけるキチンの存在である。更に好ましい実施態様では、該バイオマスは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から得られる。
別の実施態様では、本方法は、該バイオマスが、真菌又は酵母培養物が使用される培養プロセスにおいて得られる副産物であることを特徴とする。真菌の菌糸体は、例えば、クエン酸、酵素、及び抗生物質のような化合物の工業生産のために設計された真菌培養物として回収することができる。キチンは、これらの培養副産物の細胞壁から抽出することができる。好ましい実施態様では、該方法は、該バイオマスが、アスペルギルス・ニガー培養物がクエン酸を得るために使用される培養プロセスの副産物であることを特徴とする。
本発明の方法は、該バイオマスを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、該細胞壁誘導体を含む該アルカリ不溶性画分を保持することを特徴とする。真菌又は酵母のバイオマスを消化するのに使用されるアルカリ溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム(好ましくは水酸化ナトリウム又はカリウム)のようなアルカリの水溶液である。好ましい実施態様において、該塩基性溶液は、10%(w/v)より低い濃度であることを特徴とする。アルカリ濃度は、好ましくは0.1〜15%(w/v)の範囲であり、そして更に好ましくは10%より低い。この反応は、好ましくは5〜120℃の範囲の温度、そして更に好ましくは60℃より低い温度で実行される。バイオマスは、好ましくは1〜15%(乾燥重量、w/v)、そして更に好ましくは3〜12%の範囲の濃度でアルカリ溶液に懸濁して反応させる。反応は、好ましくは4〜48時間、そして更に好ましくは30時間未満実行される。この最初の抽出工程により、色素、タンパク質、一部の脂質、及び一部の多糖類を含む、アルカリ可溶性化合物を除去することができる。
別の好ましい実施態様において、バイオマスは、第1のアルカリ溶液中で処理し、濾過して、再度第2のアルカリ溶液中で処理することができる。アルカリ不溶性産物の抽出を改善するために、アルカリ懸濁液中に添加剤を使用することができる。このような添加剤は、シクロヘキサン、酢酸エチル、メタノール又はエタノールのような有機溶媒;ストラクトール(structol)のような消泡剤;ドデシル硫酸ナトリウム、ポリ(ビニルアルコール)、トゥイーン又はポロキサマーのような界面活性剤(tensio-active agents);あるいはカルボキシルエステラーゼ、カルボン酸エステルヒドロラーゼ又はトリアシルグリセロールリパーゼ(全てEC3.1.1.3の同義語)を含んでもよく、これらに限定されない。
多くの真菌及び酵母のバイオマス中のキチン−グルカンコポリマーである、バイオマス細胞壁のアルカリ不溶性産物の単離には、第1工程の後に、水中で繰り返し洗浄する工程、次に濾過及び乾燥が続く。キチンポリマーの単離には、この第1工程に続いて、水中で繰り返し洗浄し、次に後述のように本方法における更なる工程が行われる。
本発明の方法における第2工程は、該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、該細胞壁誘導体を含む酸性化アルカリ不溶性画分の懸濁液を得ることを特徴とする。
上記に説明の最後の濾過工程の後、アルカリ不溶性産物を、好ましくは1〜8%(w/v)、更に好ましくは1〜5%の間の濃度を得るために水に懸濁する。次にアルカリ不溶性産物の水性懸濁液のpHを、酸性溶液の添加によって7.0未満に調整する。酸性溶液は、好ましくは酸、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はグリコール酸(好ましくは酢酸)の水溶液である。この工程は、好ましくは5〜60℃、更に好ましくは30℃未満の温度で実行される。
本発明の方法における第3工程は、該酸性化アルカリ不溶性画分をβ−グルカナーゼ酵素と接触させることにより、該細胞壁誘導体を得ることを特徴とする。更に好ましい実施態様において、本方法は、β−グルカナーゼ酵素が、エンド−β(1,3)−グルカナーゼ、エキソ−β(1,3)−グルカナーゼ、β(1,3)(1,4)−グルカナーゼ、β(1,6)−グルカナーゼ酵素、又はこれらの任意の混合物を含む群から選択されることを特徴とする。更に好ましくは、キチンと結びついたβ−グルカン鎖を加水分解するために、酸性化アルカリ不溶性画分の懸濁液に酵素の混合物が加えられる。β−グルカナーゼ酵素活性は、数社から供給されるβ−グルカナーゼの市販の調製物で容易に見い出すことができる。この加水分解反応は、好ましくは5〜60℃、更に好ましくは40℃未満の温度で実行される。反応時間は、好ましくは5日間未満である。
好ましい調製物は、主としてβ−グルカナーゼ活性を含み、そして好ましくはキチナーゼ活性が低いか又は含まれない。例えば、バシラス・スブティリス(Bacillus subtilis)、アルスロバクター・ルテウス(Arthrobacter luteus)、ペニシリウム・エメルソニイ(Penicillium emersonii)、ペニシリウム・フニコロスム(Penicillium funicolosum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ・ハルザニウム(Trichoderma harzanium)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)のような生物から抽出される、市販の酵素調製物を使用することができる。該調製物は、ノボザイム(NovoZymes)、エルブスロ(Erbsloh)、ロシュ(Roche)又はライヴェン(Lyven)のような会社から入手できる。真菌の菌糸体の細胞壁から抽出される多糖類のβ−グルカン鎖を加水分解するために、好ましい酵素調製物は、以下のβ−グルカナーゼ活性を含むものである:エンド−β(1.3−1.4)−グルカナーゼ(EC3.2.1.6);エンド−β(1.3)−グルカナーゼ(EC3.2.1.39);エキソ−β(1.3)−グルカナーゼ(EC3.2.1.58);エンド−β(1.6)−グルカナーゼ(EC3.2.1.75);及び/又はβ−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21、β−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ)。以下に記載の実施例3において、本発明の方法で使用するために、幾つかの市販の酵素調製物が説明される。
好ましい実施態様において、本発明は、該細胞壁誘導体が、キチン高含量ポリマー(即ち、キチンポリマー又はキチン高含量のキチン−グルカンコポリマー)であることを特徴とする方法に関する。この方法で得られる不溶性画分は、主として、一定量の残留β−グルカンのオリゴマー鎖又は高分子鎖と結合したキチンの高分子鎖を含む。キチン対グルカンの比は、主として使用されるβ−グルカナーゼ調製物によって、及び反応時間によって、反応の条件を制御することにより、容易に調整することができる。更に好ましい実施態様において、本発明は、キチンの相対量が、調整可能であり、好ましくは80%より高く、そして更に好ましくは90%より高く、更に好ましくは95%より高いことを特徴とする方法に関する。キチンの相対量は、固体13C−NMRにより測定することができる。該キチン高含量の不溶性画分はまた、残留タンパク質、脂質及び炭水化物を含んでいてもよい。
場合により、本方法の更なる工程において、第2のアルカリ溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、そして好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)は、加水分解反応の最後に加えられる。この更なる工程は、好ましくは20〜80℃、そして更に好ましくは70℃未満の温度で、好ましくは30分〜3時間、そして更に好ましくは2時間未満の時間行われる。この第2のアルカリ処理により、キチンとβ−グルカンの分離を完了して、キチンを単離することができる。
キチンポリマーの製造のために、本プロセスには、好ましくは繰り返し洗浄する工程と、次に乾燥工程が続く。
別の態様において、本発明は、本発明の方法により得られるキチンポリマーに関する。本発明に開示される方法には幾つかの利点がある。本方法によって、純粋なキチン、β−グルカン鎖から部分的に又は完全に分離されたキチンを抽出することができる。対照的に、他の方法では、キトサン、キチン−グルカン又はキトサン−グルカン生成物が直接生じる。
好ましい実施態様において、このキチンポリマーは、80%を超えるキチンを、そして好ましくは90%を超えるキチンを、そして更に好ましくは95%を超えるキチンを含む。
更に、真菌又は酵母のバイオマスから本発明により得られるキチンは、甲殻類の殻から得られるキチンポリマーよりも低い結晶化度(crystalline index)の値であることを特徴とする。好ましい実施態様において、キチンポリマーの結晶化度は、80%より低く、そして更に好ましくは70%未満、そして更に好ましくは65%未満である(ここでキチンは、アスペルギルス・ニガーのバイオマスから得られる)。結晶化度は、Struszczykらの方法により算出することができる(J. Appl. Polym. Sci., 1987, 33:177-189)。
別の実施態様において、本発明は、本発明の方法により得られるキチン高含量のキチン−グルカンコポリマーに関する。好ましい実施態様において、該キチン高含量のキチン−グルカンコポリマーは、調整可能な量のキチンを有しており、そしてこの量は、好ましくは80%より高い。
更に別の実施態様において、本発明は、本発明により、具体的には酵素的加水分解工程の前に得られるキチン−グルカンコポリマーに関する。キチンがアスペルギルス・ニガーのバイオマスから得られる好ましい実施態様において、酵素的加水分解工程の前に得られる該キチン−グルカンコポリマーは、好ましくは30〜50%である、ある量のキチンを含む。
更に、本方法は、濃アルカリ溶液を利用する他の方法とは対照的に、キチン鎖の分解を誘導しない。本抽出方法は、強引な界面活性剤や酸性化合物の使用を必要としない。本方法により、甲殻類の殻の有用な代替供給源である、再生可能な供給源、例えば、真菌又は酵母のバイオマスからキチンが得られる。更に、本方法に使用されるアルカリ溶液は、抽出プロセスの過程で再生利用することができる。
キトサンを調製する方法
別の態様において、本発明は、キトサンを調製する方法に関する。本発明は、第1のプロセスにより高分子量を有するキトサン、及び第2のプロセスにより低分子量を有するキトサンを調製する方法を開示する。
1つのプロセスにおいて本発明は、キチンからキトサンを調製する方法であって、次の工程:
a)該キチンを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、部分的脱アセチル化キチンを含む該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、該部分的脱アセチル化キチンを含む酸性化アルカリ不溶性画分の懸濁液を得る工程、及び
c)アルカリ不溶性画分の該酸性化懸濁液をキチンデアセチラーゼ酵素と接触させることにより、キトサンを得る工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
この方法においてキトサンを調製するためのキチン供給源は、甲殻類起源のキチン又は真菌若しくは酵母起源のキチンを含むことを特徴としてよい。好ましい実施態様において、使用されるキチン供給源は、本発明の上述の方法により得られる真菌のキチン又は酵母のキチンである。
このキトサンを調製する方法により、キチンは、キチン鎖が膨張することができるように、そしてキチン基質へのキチンデアセチラーゼの更なる接近が促進されるように、アルカリの濃溶液中で処理される。好ましいアルカリ溶液は、水酸化ナトリウム又はカリウム溶液であり、アルカリ対キチンの重量比が、5〜25、好ましくは10〜25の範囲であるような量で使用される。キチン鎖が分解するのを回避するために、そして膨張キチンヒドロゲルの形成を促進するために、アルカリ濃度は、好ましくはできる限り高くする。好ましい実施態様において、該アルカリ溶液は、40%(w/v)という高い濃度であることを特徴とする。本反応は、50〜120℃の温度で行われる。好ましい実施態様では、工程a)は、50〜120℃、そして更に好ましくは80℃〜120℃の温度で実行される。別の好ましい実施態様では、工程a)は、30〜180分、そして好ましくは30〜120分の時間、実行される。工程a)で得られるアルカリ不溶性画分は、懸濁して次に希釈し、濾過して水で充分に洗浄する。
好ましくは、使用されるアルカリ溶液を、第1工程の後に回収し、濃縮して、上述の本発明のキチン単離方法においてリサイクル及び再使用する。
次に、得られる懸濁アルカリ不溶性画分を、酸溶液と接触させることにより、部分的脱アセチル化キチンを含む酸性化画分が得られる。この懸濁液のpHは、酸、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、グルタミン酸、フタル酸、そして好ましくはギ酸の添加により、好ましくは7.0未満、そして更に好ましくは4.8未満の値に調整する。この工程は、室温で行われる。
続いて、得られた該酸性化画分を、キチンデアセチラーゼと接触させる。好ましくは、ムコール・ロウキシイ(Mucor rouxii)からのキチンデアセチラーゼをコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換されたピチア・パストリス(Pichia pastoris)酵母により産生される、組換えキチンデアセチラーゼが使用される。組換えキチンデアセチラーゼ(rCDA)対キチン比は、好ましくは0.5〜10mg/gキチン、そして更に好ましくは0.5〜5mg/gの範囲である。デアセチラーゼ加水分解反応は、好ましくは15〜50℃、更に好ましくは20〜40℃の温度で、120時間未満の時間、残留アセチル化グルコサミン単位が目的の割合に達するまで実行される。
重要なのは、この酵素的工程が、酸性条件下で実行されることに注意することである。好ましくは、この酵素的工程のpH値は、5.0より低く、更に好ましくは3.5〜4.5の間である。組換えデアセチラーゼ酵素の最適pH値は、5.0〜5.5に含まれるのに、意外にもこの低いpH値で良好な酵素的脱アセチル化が得られる。低いpH値で、酵素は活性を保ち、酵素的脱アセチル化反応は、短時間で有利に実行することができる。即ち、CDA酵素は、組換えCDA酵素の安定性及び活性にとって最適な条件に相当しない反応条件下で使用される。実際、CDA酵素は、60℃、及び好ましくは5.0未満の、更に好ましくは4.0〜5.0に含まれるpHの最適条件下で活性であるが、本工程は、酵素の活性に弊害をもたらすことなく、異なる条件で実行される。
更に別の実施態様において、本発明の方法は、得られた該キトサンを沈殿させることを含む、更なる工程を含むことを特徴とする。よって、懸濁液は、非脱アセチル化キチン鎖を除去するために濾過して、水酸化ナトリウム、カリウム又はアンモニウムのようなアルカリの添加により、pHを7.0を超える値に調整する。次に沈殿化合物を濾過し、洗浄して、乾燥することによりアミノ型でキトサンを得るか、又は酸性溶液に再可溶化して凍結乾燥する。例えば、沈殿する化合物は、塩酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリコール酸、安息香酸、ソルビン酸(2,4−ヘキサジエン酸)、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、ラウリン酸、又はパルミチン酸に、あるいは任意の他の鉱酸又は有機酸に、あるいは任意の他の多価酸(例えば、ヒアルロン酸又はポリ(アクリル酸)など)に可溶化することができる。
この酵素法により、真菌又は甲殻類起源のキチンから高分子量キトサンを回収することができ、また、キチンデアセチラーゼ反応の条件、例えば、反応のpH又は時間を慎重に選択することにより、最終のアセチル化度を所望の値に制御することができる。
本発明の別の好ましい実施態様において、分子量の喪失なしの、真菌又は甲殻類起源のいずれかからの、キトサンの脱アセチル化を拡大適用するために、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)で発現されるムコール・ロウキシイ(Mucor rouxii)からの組換えキチンデアセチラーゼを使用することもできる。
例えば、粘度測定による分子量が500,000Daであり、かつアセチル化度が19mol%であるキトサンは、ギ酸溶液(1N)中で0.5g/lのポリマー濃度でpH3.8で6時間、室温で、rCDAと反応させることができる。次に溶液のpHを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化アンモニウムのようなアルカリの添加により、好ましくは7.0以上に上昇させることにより、キトサンの沈殿を促進し、そしてこれを好ましくは濾過により取り出し、続いて洗浄及び乾燥する。この実施例において、最終のアセチル化度は10mol%を含み、そして分子量は変化しなかった。
キトサンを調製するための本発明の酵素的脱アセチル化法により、有利には、分子量の喪失なしに、物質の喪失なしに、かつポリマー鎖を分画する必要なく、高度に脱アセチル化されたキトサンを製造することができる。組換えキチンデアセチラーゼを製造する方法は、高容量の発酵バッチを意図した方法であるため、酵素的に転換することができるキチンとキトサンの量は、非常に費用効率が良く、かつ環境を破壊しないやり方での、生じる高度脱アセチル化キトサンの工業的な生産及び使用に適している。
第2のプロセスにおいて、本発明は、真菌又は酵母のキチンからキトサンを調製する方法であって、次の工程:
a)該キチンを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、それにより酸不溶性画分と酸可溶性画分を得て、そこで該酸不溶性画分を廃棄して、キトサンを含む該酸可溶性画分を保持する工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
好ましい実施態様において、使用されるキチン供給源は、本発明の上述の方法により入手できる真菌のキチン又は酵母のキチンである。
低分子量キトサンを調製する方法は、高温での強アルカリ性反応にある。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、又は水酸化アンモニウム、そして好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのようなアルカリは、乾燥キチン質量に対するアルカリの重量比が好ましくは1〜20(w/w)、そして更に好ましくは1〜15(w/w)の範囲であるように、キチン懸濁液に加える。キチン鎖の分解を最小限に抑えるために、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、チオフェノールのような添加剤を使用することができ、そしてメタノール、エタノールのような有機溶媒も加えることができる。
好ましくは、使用されるアルカリ溶液は、第1工程の後に回収し、濃縮して、上述の本発明のキチン単離法においてリサイクル及び再使用する。
続いて、得られたアルカリ不溶性画分を分離して懸濁する。好ましい実施態様において、該工程は、80℃より高い温度で実行される。好ましくは、この懸濁液は、80〜140℃、更に好ましくは100〜120℃の範囲の温度に置かれ、そして反応は、好ましくは30〜300分、更に好ましくは240分未満の時間行われる。
アルカリ不溶性画分を、濾過により取り出して、水で洗浄する。次にこれを希酸溶液、例えば、0.1〜1Nの濃度の塩酸、酢酸、ギ酸、そして好ましくは酢酸に可溶化する。酸不溶性画分は濾過により除去する。
更に別の実施態様において、本方法は、該酸可溶性画分を塩基性溶液と接触させることにより、該画分からキトサンを沈殿させる更なる工程を含むことを特徴とする。酸可溶性画分のpHは、好ましくは、水酸化ナトリウム又はアンモニウムの濃厚溶液のようなアルカリ溶液で、pH8.0を超えて上昇させる。沈殿した化合物を、濾過し、水で繰り返し洗浄して、乾燥する。得られた化合物は、アミノ型の下のキトサンである。一例において、14mol%のアセチル化度と20kDaの粘度測定による分子量(毛細管粘度計により測定される)を持つキトサンを得ることができる。
更に別の実施態様において、キトサン塩も、酸可溶性画分から得ることができる。よって、酸可溶性画分は、水酸化ナトリウム又は水酸化アンモニウムのようなアルカリ溶液の添加により沈殿させる。沈殿する化合物は、濾過し、水で繰り返し洗浄し、次に酸性溶液に可溶化して、次いでこの酸性溶液から凍結乾燥する。沈殿する化合物は、塩酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリコール酸、安息香酸、ソルビン酸(2,4−ヘキサジエン酸)、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、ラウリン酸、又はパルミチン酸に、あるいは任意の他の鉱酸又は有機酸に、あるいは任意の他の多価酸(例えば、ヒアルロン酸又はポリ(アクリル酸)など)に可溶化することができる。
別の実施態様において、本発明は、本発明の方法により得ることができるキトサンポリマーに関する。
好ましい実施態様において、本発明は、調整可能な分子量を有するキトサンポリマーに関する。脱アセチル化反応のプロセス及び条件に応じて、低、中又は高分子量を有するキトサンが入手できる。好ましくは、該キトサンは、ウッベローデ(Ubbellohde)毛細管粘度測定法により測定するとき、10〜1000kDaの分子量を有する。
別の好ましい実施態様において、本発明は、脱アセチル化度が調整可能なキトサンポリマーに関する。脱アセチル化反応のプロセス及び条件に応じて、アセチル化度は、好ましくは0〜40mol%に含まれる範囲で調整することができる。
工業的応用
本発明は、本発明の方法により得ることができる、非動物起源からのキチンポリマー及びキチン高含量のキチン−グルカンコポリマーを提供する。
本発明のキチン−グルカンコポリマー、即ち、本発明の酵素的加水分解工程の前に得られるコポリマーは、一部のベータ−グルカン鎖を含むことを特徴とするが、コポリマーの構造及び組成は、これが抽出される生物によって規定される。好ましい実施態様において、キチン−グルカンコポリマーは、アスペルギルス・ニガーの菌糸体から抽出され、主としてキチン、並びにベータ−(1,3)(1,4)及びベータ−(1,3)グルカン鎖を含むことを特徴とする。本発明では、このようなポリマー中のキチンとグルカンの量は、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマーを得るために、酵素的加水分解中に適用される具体的な条件に応じて、更に調整可能である。
本発明の方法により得られる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマーは、これらを全ての種類の応用における使用に適したものにする、興味深い性質を提供する。これらの生成物の主要な有利な特徴は、これらの創傷治癒性及びこれらのキレート化活性を含む。
非動物性キトサンもまた、本発明の方法により得ることができる。有利には、非常に純粋なキチンから出発して、非常に純粋なキトサンを得ることができる。更に、制御可能な酵素的脱アセチル化プロセスにより、高分子量であると同時に調整可能な(低い)脱アセチル化度のキトサンを得ることができる。また、真菌又は酵母のバイオマスを比較的無限に得ることができるため、大容量のキトサンを、再現性があり調整可能なやり方で製造することができる。有利には、このような生産は、甲殻類のキトサン供給源を使用する場合のように、季節による変動を受けない。
種々の応用において動物供給源からのキトサンを使用すると、幾つかの問題に遭遇する。例えば、栄養食品の応用において、このようなキトサンは、菜食主義者には適切でなく、甲殻類製品に対するアレルギーを引き起こすことがあり、よって食品にラベルを貼ることが必要になる。化粧品の応用では、このようなキトサンは、アレルギーを引き起こすことがあり、非動物性製品を使用する傾向がある。したがって、本発明の方法により得ることができる非動物性キトサンは、これらの問題に解決策を提供する。
本発明の方法により得られるキトサンの幾つかの興味深い性質は、カチオン性電荷、生分解性、非毒性、キレート化、創傷治癒、保湿を含む。更に、本発明のキトサンは、アレルギー反応を誘導せず、そして抗真菌及び抗菌活性を提供することができる。
本発明により得ることができるキチン及びキトサン生成物は、種々の系におけるこれらの適用に応じて、多様な形で使用することができる。キトサンポリマーは、例えば、アンモニウム塩の形で、塩酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリコール酸、安息香酸、ソルビン酸(2,4−ヘキサジエン酸)、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、ラウリン酸、又はパルミチン酸をはじめとする、種々の鉱酸及び有機酸、あるいは任意の他の鉱酸又は有機酸、任意の他の多価酸(例えば、ヒアルロン酸又はポリ(アクリル酸)など)中の希溶液として使用することができる。このような溶液中のキトサンの濃度は、好ましくは必要とされる粘度の関数で選択される。よって、本発明ではまた、本発明のキチン又はキトサン生成物を含む、異なる程度の粘度を有する溶液を得ることができる。
本発明により得ることができるキトサン生成物はまた、ヒドロゲルの形で使用することができる。このようなヒドロゲルは、当該分野において既知の方法を用いて、例えば、濃厚溶液の調製により、アルギン酸、ヘパリン、キサンタン若しくはペクチンのようなアニオン性(マクロ)分子との複合体の形成により、化学的架橋により、又はキトサンのアミノ基と他の(マクロ)分子との間の共有結合の形成により調製することができる。本生成物はまた、熱可逆性ヒドロゲルの形で使用することができる。
本発明により得ることができるキチン及びキトサン生成物は、更にフィルムの形で使用することができる。例えば、高分子量を有する、本発明により調製されたキトサンは、フィルム形成性が改善されており、よってより安定なフィルムを提供することができる。また他のポリマーと結びついたキトサンを含む多層膜又は基体を調製することができる。
更に、当業者には既知の方法を適用することにより細孔のサイズを制御できる、本発明により得ることができるキチン及びキトサン生成物は更に、多孔性フィルム又は多孔性物体として製造するのに使用することができる。
別の実施態様において、本発明により得ることができるキチン及びキトサン生成物は、マイクロ−、ミリ−又はナノ−粒子の形で提供することができ、そしてこれらは、当業者には既知の手法により得ることができる(例えば、Polymeric Biomaterials, S Dimitriu編, Marcel Dekker, 2002, Chap.1を参照のこと)。本発明により得ることができ、かつ粒子の形で提供されるキトサン生成物は、種子、細胞、色素、香味剤、におい物質、薬物、ワクチン、生物活性(抗菌性又は抗真菌性)物質、酵素のような、物質、生物又は活性分子の封入を含む、多様な応用の可能性を持つことができる。キトサン粒子に封入することによって、活性物質を制御されたやり方で固定化、保護、輸送、又は放出することができる。
本発明のキチン−グルカンコポリマーは、親水性ではあるが、本質的にどの溶媒にも不溶性であり、よって粉末、繊維の形状で、又は凍結乾燥形態で使用するのに適している。
本発明の別の実施態様において、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーを含む複合材料が提供される。本発明による真菌起源のキチンポリマー又はキトサンポリマーは、1つ以上の他の物質との混合物として使用することができる。新しい性質又は相乗作用性を与えるために、例えば、他のポリマーと混合することができ、この混合物は、上述の形状の1つとして使用できる。
本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、低分子量の分子と混合することができる。他の物質と組合せて、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーはまた、物質が負の電荷を示すならば、錯化剤としても適しているか、又は薬物若しくは活性物質の制御放出のためのマトリックスとして適しているか、又は色素、香味剤、若しくはにおい物質のような化粧品成分のためのマトリックスとして適している。
本発明の方法により得ることができるキトサンポリマーはまた、ワクチンと混合することができ、ここでこれらは、アジュバントとして適している。キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは更にまた、無機物質と、例えば、セラミックス、好ましくはリン酸カルシウムと混合することもでき、これによって軟骨や骨のような組織の再生を支持するのに適したマトリックスを作り出すことができる。
本発明の別の実施態様は、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーの誘導体に関する。キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、当業者に既知の手法により、化学修飾することによって誘導体を得ることができるポリマーである。化学修飾は、例えば、D−グルコース、N−アセチル−D−グルコサミン又はD−グルコサミン単位の1つ以上の官能基で、例えば、6位の酸素原子で、又はN−アセチル−D−グルコサミン及びD−グルコサミンの1位に位置する炭素のアルファ位の窒素原子で実施することができる。
本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、好ましくは医療、医薬、農業、栄養補助食品、食品、テキスタイル、化粧品、工業及び/又は環境応用におけるような、種々の製品及びシステムに応用することができる。
好ましい実施態様において、本発明のキトサンポリマーは、医薬の製造における賦形剤として使用することができる。これらは、動物用並びにヒトの医療応用において使用することができる。本発明はまた、本発明のキトサンポリマーを含むことを特徴とする医薬組成物に関する。医薬形態にキトサンが使えるようにするには、化合物の制御された再現性ある分子量分布、アセチル化度、及び不純物の低くて再現性あるレベルが必要とされる。本発明の方法により、このような性状を持つ化合物を得ることができる。
キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、抗原性がなく、完全に生体適合性である。更にこれらは、酵素的加水分解により、例えば、リゾチームの存在下で生分解性である。これらの抗血栓性及び止血性のため、これらは、医療の全ての分野において使用することができる。したがって、本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、創傷治癒システムにおいて適用することができる。本発明の方法により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーはまた、創傷におけるフィブリン小片の形成を妨げるために、及び瘢痕形成を妨げるために、及び細胞再生を支持するために使用することができる。キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、組織工学、細胞移植及び細胞封入のためのシステムにおいて使用することができる。この生成物は、通気性フィルムを形成することができるため、これらは、微生物の攻撃から組織を保護しながら細胞の再生を支持することができる。これらはまた、縫糸、包帯を形成するために、そして好ましくは分解性の縫糸及び包帯を形成するために使用することができる。本発明の方法により得ることができるキトサンポリマーは、更に、人工皮膚の製造のために、そして組織や臓器の再建及び/又は細胞の移植のためのシステムにおいても適している。例えば、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、整形外科若しくは歯科矯正における骨修復のため、皮膚、角膜、網膜、軟骨の修復のため、又は膵臓、胃、及び神経系のような臓器の再建のためのシステムにおいて使用することができる。
本発明のキトサンポリマーはまた、コンタクトレンズ、ドライアイ防止組成物において、局所用ヒドロゲルの形態で代用涙液として、眼用薬のための局所担体として、眼の内部の局所送達のための粒子又はヒドロゲルシステムとして、網膜剥離及び黄斑変性を修復するための装置において、並びに外科用の手術補助において使用するのに適している。
良好な生体接着性のため、本発明のキトサンポリマーは、例えば、手術中の組織間の接着を防止するために、抗接着性手術補助として適用することができる。これらはまた、良好な粘膜接着性のため、ワクチン用のアジュバントとして適用することができる。
本発明により得ることができるキトサンポリマーは更に、植物、動物及びヒトにおける活性化合物の輸送及び徐放のための支持体として適用することができる。医薬の経口投与剤形に関して、封入生成物を変質させることなく腸に到達させることが必要なとき、キトサンポリマーを使用することは、この生成物が胃で消化されないため、特に適している。キトサンは、粒子として処方することができるが、これにより、経口及び非経口の制御放出応用には更に好機を得る。キトサンは、薬物又は他の生体機能性分子の化学修飾及び結合により、経口担体の効力を増大させることができる。キトサンポリマーは、良好なフィルム及びゲル形成性を有するため、経皮的な膜の製造に用いることができる。その粘膜接着性は、外皮層との良好な接触のために望ましい。キトサンはまた、膣内、頬内、及び非経口経路のような、局所及び全身経路の投与のための革新的な薬物送達システムを製造するのに有用でありうる。
本発明により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、錠剤の形成、粉末の顆粒化、ゲル及びフィルムの製造、乳液の調製における賦形剤として、また湿潤剤及びコーティング剤として使用することができる。キトサンのもう少し独自な性質(マトリックスとして薬物の制御放出を提供するその能力、その生体接着性、そのフィルム形成性、アニオン性薬物及びアニオン性ポリマーと複合体を形成するその能力など)は、経口薬物送達システムにおいて利用することができる。したがって、これらは、水溶性の低い薬物の溶解度を改善するため、粘膜組織を通して薬物の吸収を増強するためのヒドロゲルを形成するため、ワクチンの免疫応答を強化するために薬物システムにおいて使用することができる。
別の実施態様において、本発明により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは更に、農業及び農芸化学システムに応用することができる。これらは、新鮮果物、野菜及び穀物に適用されると保存コーティング及びバイオ殺カビ剤として適用することができるか、又は肥料として適用することにより、有用な土壌微生物の数を増加させ、有害な微生物を減少させることができる。植物種子は、キトサンの水溶液に浸漬することにより、微生物感染を防ぎ、作物生産高を増加させることができる。本発明のキチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは更に、種子の溶液、粉末又はコーティングにおいて使用することができる。水1立方メートル当たり約数ミリグラムという低量で、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、寄生生物の感染及び攻撃に対する植物の防御機序を始動させるために使用することができる。抗真菌性の他に、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、植物の根を強化するため、及び植物の幹を太くするために適用することができる。本発明のキチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーはまた、植物による保護物質の合成を刺激するために使用することができる。更にこれらは、植物の発芽及び成長を促進するために使用することができる。土壌栄養の領域では、これらは、種子、堆肥又は農薬のコーティングに使用することができる。
これらのフィルム形成性のため、本発明のキトサンポリマーは、農薬の良好な接触及び良好な浸透を提供するために農薬中の添加物として使用することができる。更に、少量の本発明のキチン又はキトサンと農薬の結合は、使用される農薬の量を減少させるのに適している。
別の実施態様において、本発明により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは更に、栄養補助食品及び食品応用における使用に特に適している。キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、栄養補助食品として使用することができる。詳細には、キトサンポリマーは、食餌栄養学における食品成分として適用することができる。キトサンポリマーは、ヒトの身体で消化されないため、食餌において重要な要素である、繊維のように挙動するのに適している。キトサンポリマーは、カチオン性電荷を持つため、これらは負に荷電した脂質と複合体を形成することができ、そして消化管内で脂質を捕捉するのに適している。更に、キトサンポリマーは、コレステロール低下効果を得るために栄養補助製品に適用することができる。
更に、本発明のキトサンポリマーは、広い範囲の食品媒介の真菌、酵母及び細菌に対する抗菌及び抗真菌活性を得るための天然食品添加物として使用することができる。更にこれらは、従来の食品保存料用のアジュバントとして、抗渇変剤として、果物/野菜貯蔵に適したガス透過性食用フィルムの成分として、増粘剤、安定剤若しくは乳化剤として、チキソトロープ剤として、又は自然香料増量剤として使用することができる。更に、本発明のキトサンポリマーは、食品加工において使用することができるが、ここでこれらは、例えば、発泡剤として、増粘剤又は安定剤として適用することができる。これらの凝固及び凝集能力のため、キトサンポリマーはまた、ワイン、ビール及びフルーツジュースのような飲み物の清澄化プロセスにおいて適用することができる。ここでこれらは、これらの飲み物の濁りの原因となる化合物を沈殿させることができる。
食品工業の別の態様において、キトサンポリマーはまた、生鮮又は加工食品の貯蔵寿命を延長するための食用フィルム及びコーティングを調製するために使用することができる。真菌のキトサンポリマーは、果物及び野菜に直接適用することができ、これによって貯蔵寿命の延長、果物/野菜の腐敗の良好な制御及び熟成の遅延が可能になる。キトサンポリマーは、果物及び野菜の抗渇変剤として適している。よってこれらは、健康に悪影響を及ぼすことが疑われているものの、現在最も有効な渇変阻害剤である亜硫酸塩の、有利な代替品として使用することができる。
別の態様において、本発明のキトサンポリマーの抗菌及び抗真菌活性は、肉、甲殻類(カキ)、果物、野菜及び完成品の保存用に、単独か又は従来の保存料(例えば、亜硫酸塩又は安息香酸ナトリウムなど)と相乗的に組合せて、食品工業において利用することができる。他の保存料と一緒にすると、これは、阻害効果に必要な保存料濃度を最小化するために使用することができる。
別の実施態様において、本発明により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは更に、テキスタイル応用において有用である。キトサンポリマーは、例えば、フィルムの形状でテキスタイル繊維に、該繊維又は薄織物を溶液に浸漬することにより適用することができる。そうすることによって、繊維又はテキスタイルの性質は変化し、例えば、キチン又はキトサンの適用により、このような繊維又はテキスタイルは、抗菌性を導入することができる。医療用テキスタイルもまた、本発明のキチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーに浸漬することができ、そして創傷の治療用のシステムに適したものになる。
化粧品応用において、本発明により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、クリームのような皮膚のケアに適した組成物に、スプレー、シャンプー及びアフターシャンプーのような毛髪に適した組成物に、メイクアップ用組成物に、又は練り歯磨きにおいて有用である。これらは更に、抗UV組成物に、デオドラントの調製に、口腔衛生用組成物に、及び色素の封入用の組成物において応用できる。本発明に記載された方法により得られるキチン又はキトサンが非動物起源ということによって、アレルギーのリスクを排除することができる。
環境応用において、本発明により得ることができる、キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、キレート化剤として、例えば、重金属錯化剤として適用することができる。キチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、重金属を捕捉するため、及び水精製技術において適用することができるか、あるいはこれらは、有機化合物及び重金属を分離するための飲用水システムに適用することができる。これらはまた、ある種のゴミを沈殿させることにより、及びDDTやポリクロロベンゼンのような汚染物質を捕捉することにより、水処理に適用することができる。更に、これらはまた、ラジカルの固定に適した適用において使用することができる。
更に、本発明のキチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーは、紙の製造プロセスにおいて使用することができる。このプロセスにおいて、これらは、ゴム又は統合多糖類のように幾つかのアミノ置換基を置換することができ、そして化学添加剤の使用を減少させ、生産高を改善するのに適している。本発明のキチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーを使用することにより製造される紙は、滑らかな表面を持ち、湿気に対する良好な抵抗性を示すことができる。更に、本発明のキチンポリマー、(キチン高含量の)キチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーはまた、衛生紙、包装用紙及び板紙の製造にも適用することができる。
実施例
実施例1 アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌糸体のアルカリ消化
この実施例は、本発明による真菌のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法における第1工程を説明する。バイオマスは、アスペルギルス・ニガーを用いるクエン酸の製造のための培養プロセスの副産物として得られた。
この実施例において、71%の水を含むバイオマス995gを集めて、水2リットル及び水酸化ナトリウムペレット93gを含む反応液中で室温でインキュベートすることにより、3.4%(w/v)の最終バイオマス濃度に到達させた。この実施例において、NaOHの最終濃度は10.6%(w/v)になり、バイオマスに対するNaOHの比(乾燥重量)は32%であった。26時間後、この混合物を濾過することにより、残留バイオマスの不溶性画分を回収し、これを、中性pHが得られるまで繰り返し洗浄した。この実施例において、不溶性画分の乾燥質量は145gであった。固相での13C−NMRによるこの画分の分析によって、主としてキチンとグルカンポリマーの混合物が得られたことが明らかになった。この実施例において、キチン対グルカンの比は、固体13C−NMRスペクトルから計算すると、52:48±15(w/w)であった。
不溶性画分中のキチン含量は、Jeuniaux("Chitine et chitinolyse: un chapitre de biologie moleculaire" 1963, Masson, Paris, 181)及びReissigら(J. Biol. Chem., 1955, 217:959)の方法による、キチナーゼ及びキトビアーゼ酵素での不溶性画分の加水分解後放出されるN−アセチルグルコサミンの分析によって求めた。キチン含量はまた、バイオマスのアルカリ消化後に得られたアルカリ不溶性画分の固相での炭素13の核磁気共鳴分析法(13C−NMR)から求めた。図1は、主として精製キチン−グルカンポリマーを含む、アルカリ不溶性画分の13C−NMRスペクトルを表す。N−アセチル−(D)−グルコサミンと(D)−グルコース単位の炭素原子のシグナルの逆重畳積分及び積分後、キチン:グルカンの重量比を計算すると41:59(w/w)であった。
実施例2 アスペルギルス・ニガーの菌糸体のアルカリ消化
この実施例もまた、本発明による真菌のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法における第1工程を説明する。バイオマスは、アスペルギルス・ニガーを用いるクエン酸の製造のための培養プロセスの副産物として得られた。
この実施例において、アスペルギルス・ニガーの菌糸体を種々の条件により処理した。アッセイ1〜4番は10L反応器で実行し、アッセイ5〜6番は30Lプロトタイプ反応器で実行した。アッセイ1〜5は、1工程で実行したが、一方アッセイ4’及び6は、2工程で実行した。アッセイ4’番では、バイオマスを第1のNaOH溶液(3.4%)で処理し、次に濾過して、再度第2のNaOH溶液(2.8%)中で処理した。アッセイ6番では、バイオマスを、低量のNaOHと、次には高量のNaOHと一緒に、連続して反応器に入れた2つの画分に分離した。結果は、表1に示す。
Figure 2005529191
Folchら(1957, J. Biol. Chem. 224:497-509)により報告されたように、アッセイ4番において回収されたアルカリ不溶性画分に適用された抽出手順によって、開始時乾燥重量の6%という親油性化合物の量が判った。
アッセイ4’番において回収されたアルカリ不溶性画分(そのキチン−グルカン比は37:63(w/w)であった)のX線散乱試験(ジーメンス(Siemens)D5000、Cu−Kα、λ=0.15406nm、2θ=1.5〜30°、スリット1mm、T=25℃)によって、2θ=20°に大きな散乱バンドが見られた(図2)が、これは半晶質構造を示す。結晶化度は、Yinhaiら(Chem. Mag. 2002, 4:27)又はStruszczykら(J. Appl. Polym. Sci., 1987, 33:177-189)により提唱されたように、化合物中の無定形領域に対する結晶性領域の割合の指標として算出することができる。Struszczykの計算によれば、このキチン−グルカンアルカリ不溶性化合物の結晶化度(CrI)は、64%であったが、これは、エビの殻から抽出されたキチン試料について求められ、同じ条件でX線散乱により分析された値(CrI=87%)よりはるかに低い値である。
実施例3 酵素のβ−グルカナーゼ調製物
この実施例は、本発明の方法において使用するための、β−グルカナーゼの幾つかの市販の調製物を試験するための好ましい手順を説明する。β−グルカナーゼ活性は、標準β−グルカン基質と反応する純粋な基準β−グルカナーゼ酵素で確立した標準曲線から定量することができる。例えば、EC3.2.1.6のβ−グルカナーゼ活性を試験するには、リケナーゼ(メガザイム(Megazyme))又はβ−グルカナーゼ(フルカ(Fluka))をオオムギのβ−グルカン基質(メガザイム)と反応させることができ、EC3.2.1.39のβ−グルカナーゼ活性を試験するには、エンド−β−(1,3)酵素(メガザイム、フルカ)をパキマン又はカードラン基質(メガザイム)と反応させることができ、EC3.2.1.58の活性を試験するには、エキソ−β−グルカナーゼ(メガザイム)をラミナリン又はスクレログルカン基質(シグマ(Sigma)、メガザイム)と反応させることができ、そしてEC3.2.1.75のβ−グルカナーゼ活性を試験するには、β−(1.6)グルカナーゼをプスツラン(シグマ)と反応させることができる。β−グルカナーゼ活性(U、単位として)は、推奨pHで標準基質とインキュベーション後、37℃で1分間にグルコース1μmolを放出するのに必要な酵素の量として定義される。
市販の酵素調製物に含まれるタンパク質の量は、アルカリ条件でタンパク質によるCu(II)イオンのCu(I)イオンへの還元に依存する、BCA(ビシンコニン酸)法により測定することができる。Cu(I)イオンは、BCAと複合体を形成することができ、その526nmの吸光度は、タンパク質濃度に比例する(PK Smithら (1985) Anal. Biochem. 150, 76)。市販の調製物により示されるβ−グルカナーゼ比活性(U/mgとして)は、調製物に含まれる酵素活性とタンパク質の質量の比である。
上に列挙される1つ又は幾つかのβ−グルカナーゼ活性を含む酵素調製物を、好ましくは試験する(表2を参照のこと)。試験手順において、選択される酵素の組合せは、好ましくはアスペルギルス・ニガーの消化菌糸体のアルカリ不溶性画分のβ−グルカン鎖を加水分解するその能力について調査される。
Figure 2005529191
β−グルカナーゼ加水分解反応は、好ましくは、本発明によるバイオマスの、好ましくは4.0〜7.0の間、そして更に好ましくは4.5〜6.8のpHでのアルカリ処理後に得られる、アルカリ不溶性画分の懸濁液中で実行される。β−グルカナーゼ調製物の混合物、例えば、エンド−β(1,3)、エキソ−β−(1,3)及びエンド−β−(1,3)(1,4)−グルカナーゼ酵素の混合物を懸濁液に加える。アスペルギルス・ニガーのバイオマスから抽出されたキチン−グルカンのβ−グルカン鎖を加水分解するために、乾燥消化バイオマスの質量当たりの活性の単位として表されるβ−グルカナーゼの割合は、好ましくは5〜1500U/gの間、そして更に好ましくは20〜500U/gの間の範囲である。消化バイオマス濃度は、好ましくは0.5〜15%(w/v)、そして更に好ましくは2〜8%(w/v)の間の範囲である。好ましい反応温度は、40℃未満である。加水分解反応の期間は、1〜8日間の間、好ましくは5日間未満の範囲である。
実施例4 本発明によるアスペルギルス・ニガーのバイオマスからの細胞壁誘導体の単離
この実施例は、本発明の方法による真菌のバイオマスからの細胞壁誘導体の単離法を説明する。バイオマスは、アスペルギルス・ニガーを用いるクエン酸の製造のための培養プロセスの副産物として得られた。
この実施例において、71%の水を含むバイオマス3.3kg、水7.2リットル及びNaOHペレット320gを室温で反応器に入れた。26時間後、この混合物を濾過することにより、残留バイオマスの不溶性画分を回収して、これを3回洗浄した。このアルカリ不溶性画分を回収して、水4リットルに懸濁した。懸濁液のpHは、氷酢酸の添加により5.5に調整した。この酸性化懸濁液に、β−グルカナーゼ調製物5番(表2を参照のこと)13.2g、及びベータ−グルカナーゼ調製物6番(表2を参照のこと)8.25mlを加えた。反応は、37℃で4日間実施した。次にこの懸濁液を濾過して、不溶性画分を水中で洗浄して、凍結乾燥することにより、開始時のキチン−グルカンの34%の質量を得た。この実施例では、化合物の固体13C−NMRスペクトルにより、キチン及び残留β−グルカンポリマーの存在が、94:6±14(w/w)のキチン:グルカン比で明らかになった。
実施例5 アスペルギルス・ニガーのバイオマスのキチン−グルカン画分のベータ−グルカナーゼ加水分解
この実施例は、本発明の方法による真菌のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法において実行されるβ−グルカナーゼ加水分解反応を説明する。
この実施例において、β−グルカナーゼ加水分解反応は、種々の量の市販のベータ−グルカナーゼ調製物2、5及び6番(表2を参照のこと)により種々の条件で、かつ5日間の期間で実行した。加水分解すべき出発化合物は、上述の方法によりアスペルギルス・ニガーの菌糸体から抽出された凍結乾燥キチン−グルカン結合体であり、そのキチン対グルカンの比は、32:68(アッセイ1番)又は38:62(アッセイ2〜7番)のいずれかであった。結果は、表3に示す。
Figure 2005529191
キチン−グルカン比が85:15±8(w/w)であったアッセイ2番のキチン高含量のアルカリ不溶性画分のX線散乱試験(ジーメンスD5000、Cu−Kα、λ=0.15406nm、2θ=1.5〜30°、スリット1mm、T=25℃)によって、2θ=20°に大きな散乱バンドが見られた(図3)。この実施例において、Struszczykら(J. Appl. Polym. Sci. (1987) 33, 177-189)により算出した化合物の結晶化度は、67%であったが、一方エビの殻から抽出されたキチンでは87%である。
実施例6 真菌のキチンからのキトサンの調製
この実施例は、アスペルギルス・ニガー菌糸体のキチン:グルカン画分のβ−グルカナーゼ加水分解後に得られたキチンからのキトサンの調製法を説明する。
実施例4においてベータ−グルカナーゼ加水分解により得られた不溶性画分4g、NaOH 40g及び水40mlを120℃で1時間静置した。得られた懸濁液を水200mlに懸濁して、酢酸を加えることにより、pHが3.5とした。12時間後、この溶液を濾過して、濾液を回収した。この実施例において、濾液のpHは、水酸化アンモニウムの添加により9.5に調整することによって、キトサンの沈殿を促進した。遠心分離、洗浄及び凍結乾燥後、酸可溶性画分1gを得た。この実施例において、化合物の固体13C−NMRスペクトルによって、酸可溶性画分が、残留β−グルカン鎖のない純粋なキトサンであることが明らかになった。N−アセチル−D−グルコサミンの割合は、14mol%であり、粘度測定法による分子量は、ウッベローデ(Ubbellohde)毛細管粘度測定法により測定するとき、およそ20,000Daであった。
実施例7 真菌のキチンからのキトサン塩化物の調製
この実施例は、アスペルギルス・ニガー菌糸体のキチン−グルカン画分のベータ−グルカナーゼ加水分解後に得られたキチンからのキトサン塩化物の調製法を説明する。
この実施例において、例えば、実施例4のようにβ−グルカナーゼ加水分解により得られたキチン高含量の不溶性画分60g、NaOH 300g、水素化ホウ素ナトリウム6g、及び水300gを120℃で1時間静置した。得られた懸濁液を次に遠心分離し、濾過して、導電率が低くなるまで洗浄した。この不溶性画分を0.5M酢酸200mlに懸濁した。12時間後、この溶液を濾過して、濾液を回収した。この実施例において、濾液のpHは、水酸化アンモニウムの添加により9.5に調整することによって、キトサンの沈殿を促進させた。遠心分離及び洗浄後、酸可溶性画分をpH3.6の1N HCl 28mlに可溶化した。次にこの溶液を凍結乾燥することにより、塩化アンモニウム塩の形でキトサン6gを得た。N−アセチル−グルコサミンの割合は、17mol%であり、粘度測定法による分子量は、およそ20,000Daである。
実施例8 キチンの酵素的脱アセチル化によるアセチル化度の低い高分子量キトサンの調製
この実施例では、エビの殻からの市販のキチンを種々の条件で処理することによりキトサンを得た。先ず最初に、これを種々の濃度及びNaOH:キチン比でNaOHの強アルカリ溶液で処理することにより、キチンをゲル形状に変換して、グルコサミン単位へのN−アセチル−グルコサミンの部分的脱アセチル化を誘導した。次に、この部分的脱アセチル化キチンを濾過し、洗浄して、pH5.5のフタル酸ナトリウムの溶液(10mM)に再懸濁することにより、5%(w/v)のキチン濃度にした。続いて、組換えキチンデアセチラーゼ酵素(rCDA)を加えることにより、5:1000のrCDA:キチン比に達し、そしてこの懸濁液を37℃で5日間静置した。rCDAにより促進された脱アセチル化の程度を推定するために、放出された酢酸を評価した。懸濁液を濾過して、アルカリ不溶性画分を水で洗浄して乾燥した。次にこれを酢酸の溶液に可溶化し、濾過し、次にpHを水酸化アンモニウムの添加により上昇させることによって、キトサン鎖の沈殿を促進させた。次に沈殿物を洗浄して乾燥した。アッセイの結果は、表4に表される。
Figure 2005529191
この実施例において、rCDAとの反応の前後でのDAの差(DDA)により示される、rCDA酵素の効果は、その前のアルカリ処理、主としてNaOH濃度と温度に依存した。この実施例のアッセイ5〜8番において観測されるように、rCDAが脱アセチル化反応を触媒することが可能になるキチンは、アルカリ濃度が50%(w/w)を上まわるとき好ましくはゲル化形状であり、そして好ましくは充分に前もって脱アセチル化されている。
実施例9 キトサンの酵素的脱アセチル化による高分子量キトサンの調製
この実施例は、キトサンの酵素的脱アセチル化による、高分子量と低いアセチル化度を有するキトサンの調製法を説明する。その開始時の粘度測定による分子量(Mv0)及びアセチル化度(DA0)を特徴とする種々のキトサン試料を、組換えキチンデアセチラーゼ(rCDA)と反応させることにより、アセチル化度を低い値に低下させた(DAF)。この一連のアッセイにおいて、反応媒体は、1N塩酸(アッセイ1〜4番)若しくは1Nギ酸(アッセイ5〜10番)の非緩衝溶液、又はフタル酸ナトリウム(10番)若しくはグルタミン酸塩(11番)による1Nギ酸の緩衝溶液(種々のpH)のいずれかとした。この実施例において、rCDA対キトサンの比は、1:1000(4番)又は5:1000のいずれかとした。
次にキトサンを上述の実施例に記載されたように、7.0を上まわるpHでの沈殿により回収した。アッセイの結果は、表5に表される。全ての試料について、最終の粘度測定による分子量は変化しなかった。
Figure 2005529191
実施例10 キトサンを含む多孔性支持体の調製
本発明の方法により得られたキトサンは、細孔のサイズが制御された、フィルム又は多孔性物体の調製に使用することができる。
例えば、水溶性分子(例えば、塩化ナトリウム)からなる計測されたサイズの粒子を酸溶液中でキトサンと混合することができる。次にこのキトサンマトリックスを、溶媒蒸発又は凍結乾燥により凝固させる。洗浄によりこの粒子を除去することによって、細孔を生成させる。
キトサンを含む多孔性マトリックスはまた、熱的に誘導される、液体対固体又は液体対液体型のポリマー/溶媒相分離によって調製することができる。例えば、キトサンを濃又は希有機酸(例えば、酢酸又はギ酸)のような溶媒に溶解し、続いて溶媒の凝固の温度(凝固点)より低い温度で凍結させ、そして次に凍結乾燥する。細孔は、液相から固相への転移の機序により凍結の時点で形成される、溶媒結晶の部分で生成する。キトサンを溶媒と非溶媒(両方とも凍結乾燥することができる)の混合物に溶解することにより、液相から液相への転移もまた誘導することができる。溶媒は、酢酸又はギ酸のような濃有機酸であってよい。細孔のサイズと分布は、ポリマー/溶媒相からの転移の機序に依存する。

Claims (30)

  1. 真菌又は酵母のバイオマスから細胞壁誘導体を単離する方法であって、次の工程:
    a)該バイオマスを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、該細胞壁誘導体を含む該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
    b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、該細胞壁誘導体を含む酸性化アルカリ不溶性画分懸濁液を得る工程、及び
    c)アルカリ不溶性画分の該酸性化懸濁液をβ−グルカナーゼ酵素と接触させることにより、該細胞壁誘導体を得る工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 工程c)で得られる該細胞壁誘導体が、キチンポリマー又はキチン高含量のキチン−グルカンコポリマーであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー中のキチンの量が、調整可能であり、そして好ましくは80%より高いことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
  4. 工程a)又はb)で得られる該細胞壁誘導体が、キチン−グルカンコポリマーであり、これに由来するキチンとグルカンの相対量が、使用されるバイオマスに依存することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 該塩基性溶液が、10%(w/v)より低い濃度であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法s。
  6. 該バイオマスが、接合菌類、担子菌類、子嚢菌類及び不完全菌類及び/又はこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 該バイオマスが、真菌又は酵母培養物が使用される培養プロセスにおいて入手できる副産物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. β−グルカナーゼ酵素が、エンド−β−(1,3)−グルカナーゼ、エキソ−β−(1,3)−グルカナーゼ、β−(1,3)(1,4)−グルカナーゼ、β−(1,6)−グルカナーゼ酵素又はこれらの任意の混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. キチンからキトサンを調製する方法であって、次の工程:
    a)該キチンを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分が得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、部分的脱アセチル化キチンを含む該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
    b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、該部分的脱アセチル化キチンを含む酸性化アルカリ不溶性画分懸濁液を得る工程、及び
    c)アルカリ不溶性画分の該酸性化懸濁液をキチンデアセチラーゼ酵素と接触させることにより、キトサンを得る工程
    を含むことを特徴とする方法。
  10. 得られた該キトサンを沈殿させることを特徴とする更なる工程が提供される、請求項9記載の方法。
  11. 該キチンが、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により入手できる、真菌のキチン又は酵母のキチンである、請求項9又は10記載の方法。
  12. 該塩基性溶液が、40%(w/v)より高い濃度であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 塩基性溶液対キチンの質量の比が、5〜25(w/w)の間であることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 工程a)が、50〜120℃の間である温度で実行される、請求項9〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 真菌又は酵母のキチンからキトサンを調製する方法であって、次の工程:
    a)該キチンを塩基性溶液と接触させることにより、アルカリ可溶性画分とアルカリ不溶性画分を得て、そこで該アルカリ可溶性画分を廃棄して、該アルカリ不溶性画分を保持する工程、
    b)該アルカリ不溶性画分を懸濁して、該懸濁画分を酸性溶液と接触させることにより、該アルカリ不溶性画分を該酸性溶液と接触させ、それにより、酸不溶性画分と酸可溶性画分を得て、そこで該酸不溶性画分を廃棄して、キトサンを含む該酸可溶性画分を保持する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  16. 酸可溶性画分を塩基性溶液と接触させることにより、該酸可溶性画分からキトサンを沈殿させることを特徴とする更なる工程が提供される、請求項15記載のキトサンを調製する方法。
  17. 使用される該キチンが、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により入手できる、真菌のキチン又は酵母のキチンである、請求項15又は16記載の方法。
  18. 塩基性溶液対キチンの質量の比が、1〜20(w/w)の間であることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 最初の工程が、80°〜140℃の間の温度で実行されることを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により入手できる、キチンポリマー。
  21. 該キチンポリマーが、80%を超えるキチンを含むことを特徴とする、請求項20記載のキチンポリマー。
  22. 80%未満の結晶化度を有する、請求項20又は21記載のキチンポリマー。
  23. 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により入手できる、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー。
  24. 80%より高いキチンの量を有する、請求項23記載のキチン高含量のキチン−グルカンコポリマー。
  25. 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により入手できる、キチン−グルカンコポリマー。
  26. 請求項9〜19のいずれか1項記載の方法により得られる、キトサンポリマー。
  27. 調整可能な分子量を有する、請求項26記載のキトサンポリマー。
  28. 調整可能な脱アセチル化度を有する、請求項26又は27記載のキトサンポリマー。
  29. 請求項20〜28のいずれか1項記載の、キチンポリマー、キチン−グルカンコポリマー、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーを含むことを特徴とする、複合材料。
  30. 医療、医薬、農業、栄養補助食品、食品、テキスタイル、化粧品、工業及び/又は環境応用における、請求項20〜29のいずれか1項記載の、キチンポリマー、キチン−グルカンコポリマー、キチン高含量のキチン−グルカンコポリマー又はキトサンポリマーの使用。
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