JP2016185126A - イソフラボノイド高度含有スプラウト及びその生産方法 - Google Patents

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光彦 中田
嘉中 猪野
Yoshinaka Ino
嘉中 猪野
慎一郎 横山
Shinichiro Yokoyama
慎一郎 横山
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Abstract

【課題】より実用的なイソフラノイド高度含有スプラウトを提供する。
【解決手段】細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程、
を備えることにより、細胞壁構成成分組成物又はキチン・キトサンにより、前記スプラウト中のイソフラボノイド量を増大させる。
【選択図】なし

Description

本明細書は、イソフラボノイドを高濃度に含有するスプラウト、その生産方法、スプラウトにおけるフラボノイドの組成の調節方法等を提供する。
ダイズ、ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)などのマメ科植物には、ダイゼイン又はその配糖体、ゲニステイン又はその配糖体などのイソフラボンやクメストロールを含むイソフラボノイドが多く含まれていることが知られている。これらのイソフラボノイドは、エストロゲン受容体の結合能力を有しており、それ自体女性ホルモン様活性などが期待されている。なかでも、クメストロールは、エストロゲン受容体に対する結合活性も高いことがわかっている(非特許文献1)。
イソフラボノイドの一種であるクメストロールは、クマリン類似化合物であって、以下の化学式で表される。
クメストロールは、ダイズやアルファルファに含まれていることが報告されているものの、その含有量は極めて少ないとされている。
例えば、クメストロールを効率的に生産する方法として、ダイズの発芽の際に、リゾプス・ミクロポラス・オリゼ(Rhizopus microporus oryzae)やアスペルギルス・ニガー(Aspergillus nigar)などを接種して発酵等することが記載されている(特許文献1、2)。
特表2013−517793号公報 特表2013−540422号公報
大豆たん白質研究 Vol.10(2007), pp93−94
しかしながら、これらは、いずれも菌の接種及び発酵を伴うものである。したがって、用いたダイズスプラウト自体は、食品として従来のダイズスプラウト(いわゆる、もやし)としての食品の風味や食感など、食材としての特性は大きく変更されることになる。このため、こうして得たスプラウトからクメストロールなどのイソフラボノイドを抽出したり、加工食品とする場合にはともかく、従来と同様の食材として適用するには実用上問題があった。
そこで、本明細書は、より実用的なイソフラボノイド高度含有スプラウト、その生産方法等を提供する。
本発明者らは、イソフラボノイドをスプラウト中に高濃度に生成させる手法として種々の刺激を評価したところ、なかでも、細胞壁成分、キチン・キトサンがスプラウト中のクメストロール他、イソフラボノイドの生産の増強に有効であるとの知見を得た。また、こうした細胞壁成分の存在下による発芽は、発酵を伴うものでもなく、スプラウト自体の食材特性を変化させないという知見も得た。これらの知見に基づき、本明細書は以下の手段を提供する。
(1)スプラウトの生産方法であって、
細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程、
を備え、
細胞壁構成成分組成物又はキチン・キトサン組成物により、前記スプラウト中のイソフラボノイド量を増大させる、方法。
(2)前記細胞壁構成成分組成物は、酵母又は真菌の細胞壁構成成分を含む組成物であり、前記キチン・キトサン組成物は、甲殻類及び節足動物の外骨格構成成分又は真菌構成成分を含む組成物である、(1)に記載の方法。
(3)前記スプラウト生育工程は、前記細胞壁構成成分組成物及び/又は前記キチン・キトサン組成物を含有する水性媒体を、前記種子に対して供給する、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記スプラウト生育工程は発酵を伴わない工程である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記イソフラボノイドは、ダイゼイン、ダイゼインの配糖体、ゲニステイン、ゲニステインの配糖体及びクメストロールからなる群から選択される1又は2以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記イソフラボノイドは、クメストロールである、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記スプラウト中のクメストロールが2mg/100g(乾燥重量)以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)前記スプラウト中のクメストロールが4mg/100g(乾燥重量)以上である、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)前記マメ科植物は、マメ科ダイズ属に属する植物である、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)スプラウトであって、
クメストロールの含有量が2mg/100g(乾燥重量)以上である、スプラウト。
(11)クメストロールの含有量が4mg/100g(乾燥重量)以上である、(10)に記載のスプラウト。
(12)イソフラボノイドの生産方法であって、
細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程、
を備える、方法。
(13)前記イソフラボノイドは、クメストロールである、(12)に記載の方法。
(14)イソフラボノイド含有製品の生産方法であって、
細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程と、
前記スプラウト中のイソフラボノイドを利用してイソフラボノイド含有製品を生産する工程と、
を備える、方法。
(15)スプラウトにおけるイソフラボノイドの生産増強剤であって、
細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を含有する、増強剤。
実施例1におけるダイズ種子に対する酵母細胞壁構成成分組成物及びキチン・キトサンの添加効果を示す図である。 実施例2におけるダイズ種子に対する酵母細胞壁構成成分組成物及びキチン・キトサンの添加効果を示す図である。
本明細書の開示は、スプラウトにおけるイソフラボノイド生成増強に関する。具体的には、細胞壁構成成分及び/又はキチン・キトサンを、マメ科植物の種子の発芽から生育までの間において少なくとも一時的に存在させてスプラウトとするものである。本開示によれば、スプラウトにおけるクメストロールを含むイソフラボノイド増強作用を示す成分を見出したことにより、発酵を伴うことなく、高濃度にクメストロールを含むイソフラボノイド含有するスプラウトを簡易に生産することができる。
以上のことから、本開示は、スプラウトの生産方法、高濃度イソフラボノイド含有スプラウト、イソフラボノイドの生産方法、イソフラボノイド含有製品の生産方法、イソフラボノイド生産増強剤等として実施することができる。
特許文献1、2等は、菌の接種というストレス負荷により、クメストロールの生産量を増大しようとするものである。クメストロールは、植物の有する抵抗性成分であるファイトアレキシンの一種であるとされていることによる。
これに対して、本開示では、種子に対して細胞壁構成成分やキチン・キトサンを供給することにより、クメストロールを含むイソイソフラボノイドの生産量を増大しようとするものであり、これらは必ずしもストレス負荷物とはいえない。また、各種ある外的ストレスのうち、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンによって、イソフラボノイドの生成量が増大することは当業者といえども想到しえなかったものである。以下、本開示の各種の実施形態について詳細に説明する。
(スプラウトの生産方法)
本開示のスプラウトの生産方法は、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程を備えることができる。本生産方法によれば、細胞壁構成成分組成物又はキチン・キトサンにより、スプラウト中のクメストロールを含むイソフラボノイド量を増大させることができる。
(スプラウト)
本明細書において、スプラウトとは、人為的に発芽させた新芽である。スプラウトには、暗所育成物と明所育成物とがあり、特に限定するものではない。
(イソフラボノイド)
本明細書において、イソフラボノイドは、少なくとも、ゲニステイン、ダイゼイン及びこれらの配糖体のほか、クメストロールを包含するものとする。イソフラボノイドは、好ましくはクメストロールである。
(マメ科食物の種子)
マメ科植物の種子におけるマメ科としては、特に限定するものではなく、任意のマメ科植物を用いることができる。例えば、ラッカセイ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属、エンドウ属、ソラマメ属、ミヤコグサ属、タナマメ属、ダイズ属、ササゲ属、バロケツス属、ササゲ属、ジャクソウ属、ウマゴヤシ属、クズ属等が挙げられる。より具体的には、ラッカセイ、ダイズ、ヒヨコマメ、エンドウ、ヒラマメ、ソラマメ、ウマゴヤシ(ムラサキウマゴヤシ)、インゲンマメ、ブルークローバー、西洋エビラハギ(メリロート)等が挙げられる。なかでも、ダイズが好ましい。
(細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物)
本生産方法では、細胞壁構成成分組成物及びキチン・キトサンのいずれか又は双方を用いることができる。細胞壁構成成分組成物としては、真核生物の細胞壁構成成分組成物である。真核生物としては、特に限定するものではないが、発酵食品等の製造に用いられているものであってもよい。典型的には、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)などのビール酵母を含む各種の酵母、アスペスギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(A. niger)等やキノコなどの真菌の細胞壁構成成分組成物が挙げられる。細胞壁構成成分組成物は、培養菌体の破砕物等として商業的に入手が可能である。
本明細書において、キチン・キトサン組成物におけるキチン・キトサンは、キチン及び/又はキトサンを意味している。キチンは、ポリ-β1-4-N-アセチルグルコサミン構造を含む多糖である。天然には、N−アセチルグルコサミンのほか、グルコサミンを含んでいる。分子量は様々でありうる。また、キトサンは、ポリ-β1-4-N-グルコサミンである。すなわち、キチン中のN−アセチルグルコサミンの全部又は一部の2位のアセトアミド基を脱アセチル化して第1級アミンに変換したものである。以上のことから、本明細書においては、キチン、キトサン及びこれらの混合物をキチン・キトサン組成物として総称するものとする。
キチン・キトサン組成物は、一般にカニやエビの甲殻類や昆虫を含む節足動物の外骨格(殻など)やその構成成分でもあるほか、キノコやカビなどの真菌の細胞壁構成成分でもある。
本生産方法のスプラウト育成工程は、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを、マメ科植物の種子の発芽及び生育において、少なくとも一時的に存在させて、スプラウトとする。
マメ科植物の種子の発芽や生育に関しては、従来こうしたスプラウトの生育に用いられている条件を適宜採用することができる。特に限定するものではないが、例えば、発芽は、種子の少なくとも一部を酸素又は空気と接触させて進めることができる。好ましくは暗所で行う。水の供給条件は、特に限定するものではないが、例えば、10℃以上20℃以下程度の水を適宜散水することができる。発芽のための温度条件は、特に限定するものではないが、10℃以上35℃以下程度とすることができる。なお、種子の発芽に先立って、種子を適宜殺菌等することが好ましい。
また、生育条件は、特に限定するものではないが、例えば、種子(発芽した種子)の少なくとも一部を酸素又は空気と接触させて進めることができる。好ましくは暗所で行う。水の供給条件は、特に限定するものではないが、例えば、10℃以上20℃以下程度の水を適宜散水することができる。生育のための温度条件は、特に限定するものではないが、10℃以上35℃以下程度とすることができる。
種子を発芽させてスプラウトにまで生育する工程は、概して、一連の工程として実施することができる。例えば、発芽からスプラウトまでを、種子に対して所定期間をおいて定期的に水を供給し、暗所で所定の温度で育成することができる。なお、育成日数は、マメ科植物の種類や得ようとするスプラウトの形態にもよるが、2日程度から14日程度となる。好ましくは5日以上8日以下である。
細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンは、種子の発芽からスプラウトまでの育成工程において少なくとも一時的に育成中の種子に対して存在していればよい。育成工程において少なくとも一時的にこれらを存在させるとは、育成工程において、種子に対して一時的にのみこれらを供給する場合、育成工程中におい複数回断続的に供給する場合、継続して供給する場合等が含まれ、これらのいずれの態様であってもよい。
細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンは、種子に対してどのような態様で存在させてもよい。好ましくは、より均一に存在するように、種子に対して水分散液又は水溶解液として供給される。典型的には、種子に供給される水分の一部に含めることができる。
例えば、種子に対して、断続的に複数回にわたって散水して水分を供給して育成工程を実施する場合において、散水する水に細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを含ませてもよいし、散水用の水とは別個に、断続的に複数回にわたって細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを供給するようにしてもよい。この場合、種子に供給された細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンは、散水によって定期的に洗浄される点において好ましい。
育成工程において、種子に対する細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンの供給量や供給濃度は、クメストロールを含むイソフラボノイドの生成量や、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンの食材としてのスプラウトに対するその他の影響を考慮して適宜設定することができる。
本生産方法においては、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを種子に対して供給するが、発酵を伴うものではない。したがって、発酵特有の代謝物の生成もなく、しかも発酵による種子やスプラウトの変化も伴うものではない。
(スプラウト)
スプラウトの育成工程を実施することで、マメ科植物のスプラウトを得ることができる。本生産方法によって得られるスプラウトは、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンの存在によって、クメストロールを含むイソフラボノイドの含有量が増強されている。
本生産方法で得られるスプラウト(全体)は、例えば、スプラウト中のクメストロールが1mg/100g(乾燥重量)以上となりうる。より好ましくは、同クメストロールが2mg/100g(乾燥重量)以上であり、さらに好ましくは同クメストロールが3mg/100g(乾燥重量)以上であり、より好ましくは同クメストロールが4mg/100g(乾燥重量)以上であり、さらに好ましくは、同クメストロールが5mg/100g(乾燥重量)以上である。また、より好ましくは同クメストロールは、6mg/100g(乾燥重量)以上であり、8mg/100g(乾燥重量)以上である。
なお、乾燥重量あたりのスプラウト量は、得られたスプラウトを凍結乾燥等により乾燥し、当該乾燥粉末について、クメストロールを抽出して、例えば、周知の条件で高速液体クロマトグラフィー等を用いて、クメストロール標準品を用いて定量することで、取得することができる。
本生産方法で得られるスプラウト(全体)は、また、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を使用しない場合に比較してダイゼインが、120%〜130%(乾燥重量)又はそれ以上増大していることが好ましい。例えば、スプラウト中のダイゼインは、60mg/100g(乾燥重量)以上であることが好ましく、より好ましくは70mg/100g(乾燥重量)以上であり、さらに好ましくは80mg/100g(乾燥重量)以上である。
本生産方法で得られるスプラウト(全体)は、また、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を使用しない場合に比較してゲニステインが、110%〜120%(乾燥重量)又はそれ以上増大していることが好ましい。例えば、スプラウト中のゲニステインは、好ましくは60mg/100g(乾燥重量)以上であり、さらに好ましくは70mg/100g(乾燥重量)以上であり、なお好ましくは80mg/100g(乾燥重量)以上である。
本生産方法で得られるスプラウトは、発酵を伴っていないため、食材としてのスプラウトとしての有用性の低下が抑制又は回避されている。また、発酵特有の代謝物や発酵原料としての変化を伴っていないため、その後の加工等にも好都合である。
(スプラウトにおけるイソフラボノイド増強剤)
本開示のスプラウトにおけるイソフラボノイド増強剤は、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を含有することができる。上記したように、これらの成分は、スプラウトにおけるクメストロールを含むイソフラボノイドの生成を増強させることができる。本増強剤は、粉末剤、固形剤として供給されるものであってもよいし、また、水などの水性媒体に分散又は溶解した状態であってもよい。イソフラボノイドはクメストロールであることが好ましい。
(イソフラボノイドの生産方法)
本開示のイソフラボノイドの生産方法は、本開示のスプラウトの生産方法におけるスプラウト生育工程を備えることができる。この方法によれば、スプラウトが高濃度にクメストロールを含むイソフラボノイドを含有するために、イソフラボノイドを効率的に取得することができる。本方法においては、得られたスプラウトから必要に応じイソフラボノイドを抽出し、さらには、必要に応じて精製することができる。イソフラボノイドはクメストロールであることが好ましい。また、本開示のイソフラボノイドの製造方法は、クメストロールの生産方法としても実施できる。この方法によれば、スプラウトが高濃度にクメストロールを含有するために、クメストロールを効率的に取得することができる。本方法においては、得られたスプラウトから必要に応じクメストロールを抽出し、さらには、必要に応じて精製することができる。
(イソフラボノイド含有製品の生産方法)
本開示のイソフラボノイド含有製品の生産方法は、本開示のスプラウトの生産方法におけるスプラウト生育工程と、スプラウト中のクメストロールを含むイソフラボノイドを利用してイソフラボノイド含有製品を生産する工程と、を備えることができる。この方法によれば、高濃度にクメストロールを含むイソフラボノイドを含有するスプラウトを利用して、効率的にイソフラボノイド含有製品を得ることができる。イソフラボノイドはクメストロールであることが好ましい。
クメストロールを含むイソフラボノイド含有製品を得るには、種々の態様が可能である。例えば、スプラウト自体あるいはクメストロールを含むイソフラボノイドを含む画分を、栄養補助剤や各種製剤等とすることができる。例えば、スプラウトを乾燥等して、必要に応じて粉末、ペースト状、各種の製剤とすることもできる。さらに、スプラウトからのクメストロール抽出物やその他のイソフラボノイドの抽出物(いずれも粗抽出物であてってもよい。)を、粉末、ペースト、錠剤、エキス剤等の各種の製剤とすることができる。
また、例えば、スプラウト自体又はクメストロールを含む画分を用いて加工食品とすることができる。
本実施例では、ダイズのもやしの育成工程において、酵母細胞壁成分組成物及びキチン・キトサンを投与することによるクメストロール、ダイゼイン及びゲニステインの生成量の変化について評価した。
(1)ダイズ
本実施例では、種子として、極小萌用大豆BS5012を用いた。
(2)育成条件
(実施例)
(酵母細胞壁構成成分組成物)
上記種子1kgを容量約15Lのザル状栽培容器に充填して、3時間おきに13〜18℃の散水40Lをシャワー状に散布した。
散水後に酵素細胞璧溶液(豊作物語<緑>の活性剤)(アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製)を40倍に水で希釈した増強液を調製し、この増強液2Lを同様にシャワー状に散布した。増強剤の散布は、散水毎に行った。育成期間は7日とした。
(キチン・キトサン)
酵母細胞壁構成成分組成物と同様にして、通常の散水を行った。
散水後にキトサン溶液(キトクリアー;キトサンとして5%含有)(焼津水産化学工業株式会社製)を40倍に水で希釈した増強液を調製し、この増強液2Lを同様にシャワー状に散布した。増強剤の散布は、一日一回、上記散水後に行った。育成期間は7日とした。
(対照例)
上記種子360kgをもやし用栽培台車に充填して、3時間おきに13〜18℃の散水1700Lをシャワー状に散布した。育成期間は7日とした。なお、対照例における散水量は、実施例に対応するものである。
(3)クメストロール、ダイゼイン及びゲニステインの定量
育成期間後、実施例(細胞壁構成成分組成物及びキチン・キトサン組成物)及び対照例の栽培サンプルを凍結乾燥した。得られた乾燥粉末20mgを1N HCl 0.6mlに懸濁し、98-100℃で2時間インキュベートし、再度凍結乾燥した。この凍結乾燥粉末に80%エタノール 0.4mlを加え、1min激しく撹拌し、その後、15,000rpmで10分間遠心分離した。上澄みを0.45μフィルターでろ過し、このろ液について、以下の条件でHPLCを行い、イソフラボノイドを検出し、標準品を用いてイソフラボノイドを定量した。結果を図1に示す。なお、図1には、対照例と40倍希釈細胞壁構成成分組成物、40倍希釈キチン・キトサン組成物の結果を上段からこの順で示し、クメストロールについては、最下段にまとめて示す。
HPLC条件:
カラム:Mightysil RP-18 150mm×4.6mmφ(担体の粒径5μm)(関東化学)
カラム温度:40℃
検出波長: 260nm
移動相:A液 H2O:酢酸(100:0.1、v/v)、B液 アセトニトリル:酢酸(100:0.1、v/v)
グラジエント条件
初期状態〜7分:A液85%、B液15%の状態で保持
7分〜13分:13分の時点でA液70%となるようグラジエント
13分〜20分:A液70%、B液30%の状態で保持
20分〜25分:25分の時点でA液0%となるようグラジエント
25分〜:A液85%、B液15%の状態で保持
流量:移動相A、移動相Bの合計で1.0ml
試料注入量:10μl
図1に示すように、実施例については、いずれも、育成5日目にクメストロール量が最大となり、対照例に対して2〜2.5倍であった。すなわち、酵母細胞壁構成成分組成物の添加スプラウトでは、3mg/100g(乾燥重量)を超え、キチン・キトサン添加スプラウトでは。2.5mg/100g(乾燥重量)程度であった。また、得られたスプラウトは、食品としての特性は、いずれの場合においても、通常のダイズもやしと同等であった。これに対して対照例のクメストロールは、育成5日目においても、1mg/100g(乾燥重量)であり、その後やや上昇した。
また、図1に示すように、ダイゼインについては、対照例に対して約1.1〜.2倍程度であり、60mg/100g(乾燥重量)〜100mg/100g(乾燥重量)であった。さらに、ゲニステインについては、対照例に対して1.0〜1.2倍程度であり、60mg/100g(乾燥重量)〜90mg/100g(乾燥重量)であった。
なお、ダイゼインは、育成日数とともに増大する傾向にあったが、ゲニステインは、育成当初よりほぼ同程度含有量を示した。
以上のことから、細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物の添加によって、種子におけるクメストロールの生成を特異的に増進し、早期にクメストロールの生産量が増大するとともに、ダイゼインやゲニステインの生産を損なうことなく、これらを同等あるいは増大させることができることがわかった。また、こうした育成によっては、従来のスプラウトの食材特性を損なうことがないことがわかった。
本実施例では、酵母細胞壁構成成分組成物及びキチン・キトサン組成物の添加量の検討を行った。
本実施例では、実施例1の育成条件において、酵母細胞壁構成成分組成物の希釈倍率を500倍及びキチン・キトサンについては2.5倍にそれぞれ希釈倍率を変更し、クメストロールのみを定量した以外は、実施例1と同様に試験した。結果を、図2に示す。
図2に示すように、500倍希釈の酵母細胞壁構成成分組成物の添加ではクメストロール量は1.2倍の産生量を示し、ごく低濃度でも増強剤としての効果があることが示された。また食味等も通常の大豆もやしと変わらないものであった。
一方、2.5倍希釈のキチン・キトサン溶液投与ではクメストロール量は8倍の産生量(8mg/100g(乾燥重量))が得られ、さらなる高濃度での合成能が期待できることが示された。
以上のことから、広い濃度範囲で、細胞壁構成成分組成物及びキチン・キトサン組成物を種子に添加することで、クメストロールの生産を増強できることがわかった。

Claims (15)

  1. スプラウトの生産方法であって、
    細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサンを少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程、
    を備え、
    細胞壁構成成分組成物又はキチン・キトサン組成物により、前記スプラウト中のイソフラボノイド量を増大させる、方法。
  2. 前記細胞壁構成成分組成物は、酵母又は真菌の細胞壁構成成分を含む組成物であり、前記キチン・キトサン組成物は、甲殻類及び節足動物の外骨格構成成分又は真菌構成成分を含む組成物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記スプラウト生育工程は、前記細胞壁構成成分組成物及び/又は前記キチン・キトサン組成物を含有する水性媒体を、前記種子に対して供給する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記スプラウト生育工程は発酵を伴わない工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記イソフラボノイドは、ダイゼイン、ダイゼインの配糖体、ゲニステイン、ゲニステインの配糖体及びクメストロールからなる群から選択される1又は2以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記イソフラボノイドは、クメストロールである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記スプラウト中のクメストロールが2mg/100g(乾燥重量)以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記スプラウト中のクメストロールが4mg/100g(乾燥重量)以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記マメ科植物は、マメ科ダイズ属に属する植物である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. スプラウトであって、
    クメストロールの含有量が2mg/100g(乾燥重量)以上である、スプラウト。
  11. クメストロールの含有量が4mg/100g(乾燥重量)以上である、請求項10に記載のスプラウト。
  12. イソフラボノイドの生産方法であって、
    細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程、
    を備える、方法。
  13. 前記イソフラボノイドは、クメストロールである、請求項12に記載の方法。
  14. イソフラボノイド含有製品の生産方法であって、
    細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を少なくとも一時的に存在させて、マメ科植物の種子を発芽及び生育してスプラウトとするスプラウト生育工程と、
    前記スプラウト中のイソフラボノイドを利用してイソフラボノイド含有製品を生産する工程と、
    を備える、方法。
  15. スプラウトにおけるイソフラボノイドの生産増強剤であって、
    細胞壁構成成分組成物及び/又はキチン・キトサン組成物を含有する、増強剤。
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