JP2005523247A - 共通リンパ管内皮および血管内皮受容体−1(clever−1)およびその用途 - Google Patents

共通リンパ管内皮および血管内皮受容体−1(clever−1)およびその用途 Download PDF

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Abstract

新規タンパク質である共通リンパ管内皮および血管内皮受容体−1(CLEVER−1)が記載される。CLEVER−1は、血管およびリンパ管内皮細胞への白血球および悪性細胞の結合を媒介する。CLEVER−1は、リンパ節への流入およびリンパ節からの流出の両方を媒介することが報告された最初のタンパク質である。また、CLEVER−1結合の阻害剤を提供することにより、炎症の治療方法および悪性細胞の転移を防止する方法が提供される。

Description

本発明は、細胞接着タンパク質の分野にある。特に、本発明は、白血球および悪性細胞のリンパ系への流入を容易にし、またリンパ節からのそれらの流出を容易にする新規なタンパク質であるCLEVER−1の分野にある。
白血球は、炎症および免疫応答の主要な細胞成分である。白血球はリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、樹状突起細胞および顆粒球(好中球、好酸球および好塩基球)を含む。ハリソンズ プリンシプルズ オブ インターナル メディスン(HARRISON’SPRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE)、ファウシ エー エス(Fauci, A.S.)ら編、(第14版、1998)参照。リンパ球はB細胞およびT細胞で構成される。B細胞は体液性免疫を提供し、形質細胞の前駆体である。T細胞は細胞介在性免疫を提供する。組織において、単球はさらにマクロファージに分化する。炎症部位では、血中単球が炎症を起こした内皮に付着する。マクロファージはバクテリアなどの広範囲な外因性物質を認識し、捕縛する。顆粒球はまた、炎症において重要な役割を担っている。それらは細胞外バクテリアによる感染を除去するために必要である。免疫応答は、顆粒球の増殖、分化および移動に重要な役割を有する。
血管とリンパ組織とのあいだの絶え間のないリンパ球の循環は、免疫系の機能の基盤を形成する。しかしながら、そのようなリンパ球の循環が、偶然に少なくとも2つの病状:炎症および転移をも促進する。
リンパ球は血管内皮細胞に結合することによりリンパ組織に入る。内皮細胞へのリンパ球の付着は、両細胞種上の表面に発現した相補的な分子よって仲介されている。付着分子と血液から組織へのリンパ球の流入の機序とは、完全に特徴付けられているが、リンパ管を通した非リンパ組織およびリンパ組織からのリンパ球の退去(exit)を制御する機序は依然として不明である。
リンパ球の大部分は、高内皮性細静脈、すなわちHEVと呼ばれる特殊管(specialized vessels)を通ってリンパ節内に溢出する。残りの入ってくるリンパ球は、抗原と樹状突起細胞、マクロファージおよび顆粒球などの他の種類の造血細胞と一緒に、輸入リンパ管を通って節に入る。しかしながら、まず洞様毛細血管の(sinusoidal)内皮に浸透し、そののち輸出リンパ管に入ることにより、リンパ球のみが輸出リンパ管系を通って節を離れることができる。リンパ節の恒常性を維持するために、入ってくるリンパ球と出ていくリンパ球との数が良く釣り合っている必要がある。リンパ球の退去に関与する分子機序は知られていない。
正常なリンパ球の循環における根本的な重要性の存在に加えて、リンパ管も、拡散のためにこの種の管を使用する癌の約50%の転移細胞の播種を調節する。リンパ節は、特にカルシノーマの場合、しばしば転移を発展させる最初の器官となる。リンパ系の設計は、悪性腫瘍細胞が入るのを比較的容易にしており(Sleeman, J.P., Recent Results Cancer Res. 157: 55-81 (2000))、したがって、悪性腫瘍細胞のリンパ管からの流入および退去を妨げる化合物が強大な治療的可能性を有する。
リンパ球の循環を制御することの必要性を認識し、発明者らは、輸出リンパ管のタンパク質の研究を開始した。これらの研究は、新規タンパク質、共通リンパ内皮および血管内皮受容体−1(CLEVER−1)、すなわち全身性脈管構造とリンパ管との双方における内皮へのリンパ球(および悪性腫瘍細胞)の接着を仲介する結合タンパク質の発見に至った。発明者らは、CLEVER−1とそのリンパ球基質との相互作用を阻止することにより、熟練技術者は、同時に初めてその組織へのリンパ球流入およびその組織からのリンパ球の流出部位で、リンパ球の循環およびリンパ球の遊走(migration)、ならびに炎症などの関連症状を制御できることを発見した。発明者らは、CLEVER−1が、HEV様管への単球および顆粒球などの他の種類の白血球の結合も仲介するということも発見した。さらに、CLEVER−1と悪性腫瘍細胞との相互作用を阻害することにより、熟練技術者は初めて、CLEVER−1に結合する悪性細胞がリンパ管に取り込まれるのを防止することにより転移を制御し、したがってリンパ節への悪性腫瘍の拡張を防止することもできる。
したがって、第一の実施態様において、本発明は、CLEVER−1を含む細胞および亜細胞抽出物に関する。
その他の実施態様において、本発明は、精製または単離CLEVER−1に関する。
本発明はさらに、CLEVER−1介在性白血球(リンパ球、単球および顆粒球など)接着の阻害を必要とする対象においてCLEVER−1介在性白血球接着を阻害する方法を提供する。その方法は、CLEVER−1結合薬剤または可溶性CLEVER−1をその対象に投与することからなる。
本発明はまた、それを必要とする対象においてCLEVER−1介在性炎症を防止または軽減する方法を提供する。その方法は、CLEVER−1結合薬剤または可溶性CLEVER−1をその対象に投与することからなる。
本発明はまた、それを必要とする対象において悪性細胞のCLEVER−1介在性転移、特にリンパ節への転移を阻害する方法を提供する。その方法は、その対象におけるCLEVER−1とその転移する細胞との相互作用をCLEVER−1結合試薬で阻止すること、またはそのような対象に可溶性CLEVER−1を投与することからなる。
本発明はまた、CLEVER−1に結合する細胞を細胞の集団から抽出する方法を提供する。そのような方法は、細胞の集団をCLEVER−1含有製剤と混合し、CLEVER−1−細胞複合体を、集団中の残りの非結合細胞から分離して精製することからなる。そのような方法は、CLEVER−1結合細胞の小集団の質を高めるために使用され得る。
本発明はまた、CLEVER−1に結合する薬剤の同定方法を提供する。そのような方法は、物質が、CLEVER−1への結合に関して、白血球、悪性細胞、またはCLEVER−1抗体とうまく競合するかまたは競合しないかどうかを測定することからなる。
本発明はまた、CLEVER−1介在性細胞遊走を阻害することができる薬剤の同定方法を提供する。そのような方法は、そのような試薬の存在下で輸入リンパ管またはHEV内への、および/またはリンパ節からのリンパ球のCLEVER−1による往来(trafficking)を分析し、そしてそのような往来を阻害するその能力に基づいてそのような試薬を同定することからなる。もう1つの実施態様では、CLEVER−1による悪性細胞の往来が分析される。
本発明はまた、CLEVER−1結合を刺激する、たとえば免疫不全の宿主において白血球(リンパ球、単球および顆粒球など)の往来および免疫防衛系の機能を促進する方法を提供する。
用語「改善」は、作用の減少を意味する。病状または疾患を改善することは、その病状または疾患の症状の軽減を示す。
用語「調節する」は、文脈から示されるように、標的パラメーターの増加または減少のいずれかによって予測可能な方法で制御することを意味する。
用語「有効量」は、所望の効果を達成するのに充分な指示薬剤の量を意味する。
用語「炎症症状」は、対象における炎症応答、特にその対象における1つまたはそれ以上の部位での白血球の不都合な蓄積などを伴う生理学的または病理学的症状をいう。炎症症状は、超急性、急性、準急性または慢性であり得る。炎症症状は、炎症損傷の部位に局在化され得るか、または対象全体に拡散し得る。
用語「薬物」は、薬学的または生理学的薬剤、組成物、生物活性化合物、またはそれらの組合せであって、病気の診断、治療、鎮静、処置もしくは防止、または任意の他の医学目的で使用される。用語「薬物」は、広く解釈されることを意図し、化学組成物または生物学的活性という点で限定されない。
用語「本質的に汚染されていない」とは、所望の物質のインビトロまたはインビボ合成中に存在する不都合なまたは不必要な物質である物質を意味する。
用語「処置」または「処置すること」とは、望ましくない疾患の予防、改善(amelioration)、防止または治療などの目的での対象への薬剤の投与をいう。そういった処置は、必ずしも炎症などの疾患の完全な改善を必要とするものではなく、そのような処置はその疾患を、薬剤を投与される患者に有益な程度まで改善することで足りる。さらに、そのような処置は、医師(practitioner)に要求される場合、当業者に既知の他の従来の処置、たとえば炎症状態を軽減する代替処置と共に使用されてもよい。
「全身性脈管構造」は、動物またはヒトの体全体の血管の脈管網を意味する。
「リンパ系」は、リンパ、リンパ管およびリンパ節で構成される循環系の分化した部分を意味する。リンパ節は、リンパ収集管(lympho collecting vessels)の経路に沿って、また腸壁の孤立リンパ斑小節(isolated nodules of lymphatic patches)に局在する。さらに、扁桃腺、胸腺および脾臓などの分化したリンパ器官がある。Bリンパ球は、リンパ節の皮質小節の胚中心内でそれらの成熟の最終段階に入る。次に成熟するリンパ球は、それらが成熟すると、輸出リンパ管へ放出される前により密集して詰め込まれた外層に押し出される。口底に位置するリンパ節は、おとがい下リンパ節および下顎リンパ節と呼ばれる。浅頸リンパ節は首に位置する。浅肘リンパ節または滑車上(supratroclear)リンパ節は、肘の湾曲部の真上に位置する。腋窩リンパ節はわきの下および胸部の上側内の深部に集まっている。鼠径リンパ節は、鼠径部に位置する。「リンパ管」は、リンパを血液に戻す管を意味する。リンパはリンパ管を流れる透明な液体である。毛細血管を通って流れる血液から間質空間に染み出るプラズマから生じる。このプラズマのほとんどは回収され細胞または血管に吸収されるが、少量は吸収されない。リンパ管は、これらの過剰な液体を回収し、それが心臓に到達する前に静脈血に戻すドレーンとして作用する。リンパ節は、リンパをいくつかの異なるリンパ管から回収する濾過器として作用し、単輸出ドレーン管へ排出する前に洞と呼ばれる空間を通してリンパを「濾過する(percolate)」。
「輸入リンパ管」は、抗原がリンパ節に入る管を意味する。リンパ球は輸入リンパ管を経て、または高内皮性細静脈(HEV)を経てリンパ節に入ることができる。
「高内皮性細静脈」(HEV)は、内皮が単鱗状である代わりに柱状に単立方状である分化した皮質後毛細管小静脈を意味する。HEVは主にリンパ節の傍皮質(paracortex)に位置する。リンパ球はHEVを横切り、したがって漏出によりリンパ節へ「往来する(traffic)」、すなわちリンパ球はHEVの管腔表面にくっつき、そののち2つまたはそれ以上のHEV細胞のあいだの空間に割り込む。
「輸出リンパ管」は、リンパ小節(節)の排出をする管を意味する。
「リンパ球の循環」は、循環系およびリンパ系の全体に渡るリンパ球の持続的な移動を意味する。リンパ球はリンパ節を離れ、まずリンパを介して心臓に流れる静脈系に送達される。次にリンパ球は血流で体全体を循環する。ほとんどのリンパ球は、脾臓または他のリンパ節に再送達される。約10%が非リンパ系の器官に行く。活性化したことなないリンパ球は非リンパ系器官に入ることができない。
リンパ球の「往来(trafficking)」は、特定の場所へのリンパ球細胞の移動を意味する。リンパ節を除いて、循環しているリンパ球の往来は、リンパ球を炎症部位に蓄積させる。活性化したエフェクターリンパ球は、炎症領域に回帰する(home)傾向があり、結果として、炎症領域へ大量のリンパ球が流入する。炎症部位では、リンパ球が血管の内側を覆う内皮細胞に付着する。この付着は、リンパ球を炎症部位に局在化し、周囲組織へのその細胞の後の移出(管外遊出)を可能とする。
CLEVER−1の同定と精製
本発明の基礎は、全身性脈管構造ならびに輸出および輸入リンパ管における、新規分子、すなわち新規なタンパク質(本明細書中「共通リンパ管内皮および血管内皮受容体−1」と呼ぶ)の発見である。リンパ球、単球および顆粒球などの白血球、ならびに悪性細胞がこのタンパク質に特異的に結合することを見出した。このタンパク質は、結合した白血球および悪性細胞が全身性脈管壁を通ってリンパ節の中へ入るのを、そしてリンパ節から出るのを円滑にする受容体としても作用することも見出した。
リンパ球のリンパ管流出において役割を果たすタンパク質の探索のために、本発明者らはまず、ヒトリンパ節の単離輸出リンパ管から細胞遊走関連リンパ系構造体を同定した。これらの構造体は、モノクローナル抗体を生産するために使用された。ハイブリドーマはヒトリンパ節の凍結切片上で、酵素免疫染色法を用いてスクリーニングされた。
2つのハイブリドーマは、明らかに輸入および輸出リンパ系両方におけるリンパ管内皮とHEV上の血管内皮とを染色したが、一方他の構造体は染色しない抗体(3−266および3−372と示す)を産生した。これは、リンパ球遊走関連構造体と認められる抗体に対して予想されるパターンと一致している。3−266の細胞培養物(DSM ACC2519)および3−372の細胞培養物(DSM ACC2590)は、いずれも特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の条件の下、2001年8月21日に、DSMZDSM−ドイチェ・ザンルング・フォン・ミクロオルガニズメン・ウント・ツェルクルツレン・ゲーエムベーハー、D−38124 ブラウンシュヴァイク マシェロデル ヴェク 1bに寄託した。
免疫ブロッティングによる分子量測定において、両抗体は、約270〜300kDaの同じ大きさの分子と認められた。このことと同一の染色パターンとにより、これらの抗体は同じ抗原を認識すると考えられた。その抗原は共通リンパ管内皮および血管内皮受容体−1(CLEVER−1)と名付けられた。
CLEVER−1は、CLEVER−1含有リンパ節調製物から3−372抗体とのアフィニティークロマトグラフィーにより精製された。溶出された物質は、SDS−PAGE分析および銀染色に付された。特異的バンドを切り出し、還元し、アルキル化しそしてトリプシンで消化した。
トリプシンによる切断後、質量分析解析で27ペプチドを得た。それらのうちの21個(77%)は、スタビリンと同一の配列を有した。これらのペプチド配列は、全体で268アミノ酸(スタビリン−1の2570アミノ酸の10%)に及び、53と2301との間のアミノ酸にかかった(表1)。そのペプチドデータは、CLEVER−1が構造レベルでスタビリン−1とある程度の相同性を有するということを示唆する。文献中で見つけるられるスタビリン−1に関する機能的情報はない。
CLEVER−1のペプチド分析は、ICAM−1(細胞間接着分子)、ICAM−2、またはVAP−1(血管接着タンパク質)などの既知の内皮回帰関連分子(endothelial homing-associated molecules)のいずれとも有意な相同性は示さない。
CLEVER−1は、他の分子における接着機能に関連するいくつかの構造的モチーフを有する。それらは、CD44においてヒアルロナン結合のために重要なプロテオグリカン連結相同領域と、フィブロネクチンなどの特定の分子においてインテグリンリガンドとしての機能を果たすことで知られる2つのRGDモチーフとを含む。さらに、CLEVER−1は、プリオスチン、ファシクリンおよびトランスフォーミング成長因子−β−誘導遺伝子、big−h3などのいくつかの分子にも存在し、これらの全ケースにおいてこれらの分子の接着機能に不可欠である7つのファシクリングドメインを有する。興味深いことには、22個の上皮成長因子(EGF)繰り返し配列もCLEVER−1に見出される。この構造ドメインは、セレクチンファミリーのすべてのメンバーにも存在する。セレクチンのレクチンドメインはそれらのシアロムシン(sialomucin)リガンドとの一時的な相互作用に最も重要なものであるが、EGF繰り返し配列は、レクチンドメインと共に白血球と内皮との間の結合に機能的に寄与しているということが報告されている。CLEVER−1の構造的複雑さにもとづき、それは、いくつかのリガンド分子を有し、その性質が多機能的であることが分かった。
CLEVER−1はリンパ球の循環の過程に関与していることが発見された。CLEVER−1は、全身性脈管構造の内皮、特にHEV上に存在し、輸入および輸出リンパ系の両方の内皮上にも存在する。CLEVER−1は、タンパク質接着分子であり、特に細胞接着分子(CAM)であり、全身性脈管構造およびリンパ系におけるCLEVER−1へのリンパ球および悪性腫瘍細胞の接着を介在する。これらの部位は、リンパの往来における制御ポイントとして最も重要なものである。
CLEVER−1は、リンパ球および悪性細胞のリンパ節からの流出を容易にすることが同定された最初の分子である。さらに、CLEVER−1は、リンパ球および腫瘍細胞のリンパ節への流入ならびにリンパ球および腫瘍細胞のリンパ節からの退去の両方を制御するということが同定された最初の分子である。CLEVER−1は、単球および顆粒球などの他の白血球のHEV−様管への結合を仲介することも見出された。
「CLEVER−1介在性細胞結合」は、リンパ球、単球もしくは顆粒球などの白血球またはCLEVER−1結合悪性細胞のどちらかとのCLEVER−1の特異的結合を意味する。CLEVER−1介在性細胞結合は、可溶性型または粒子状型(たとえば、CLEVER−1が膜に結合している形で存在する場合)のCLEVER−1により生じる。
白血球のCLEVER−1介在性結合
本発明によれば、リンパ球、単球および顆粒球などの白血球の、全身性脈管構造、特にHEVの内皮への(すなわち内皮細胞への)接着、ならびに輸入および輸出リンパ管の内皮への接着は、これらの内皮細胞のCLEVER−1と白血球とのあいだの結合を阻止することにより阻止され得る。
全身性脈管構造において、内皮細胞CLEVER−1介在性リンパ球結合を阻害または防止するということは、リンパ球、特に活性化リンパ球がそのような部位に蓄積するのを阻害または防止し、したがってそのような部位での炎症を防止または減少させる。よって、本発明は、炎症の治療方法であって、リンパ球へのCLEVER−1介在性内皮細胞結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。
輸入リンパ管において、内皮細胞CLEVER−1へのリンパ球の結合を阻害または防止するということは、リンパ球が輸入リンパ管へ、つまりリンパ節へ入るのを阻害または防止することであろう。よって、本発明は、炎症の治療方法であって、輸入リンパ管、および特にリンパ節のHEVで、または炎症部位のHEV様管においてリンパ球へのCLEVER−1介在性内皮細胞結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、リンパ節へのリンパ球の往来を阻害する方法であって、リンパ球および他の白血球への輸入リンパ管のCLEVER−1介在性内皮細胞結合、および特にHEV結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。
輸出リンパ管において、内皮細胞CLEVER−1へのリンパ球の結合を阻害または防止するということは、リンパ球がリンパ節から出て血液に入るのを阻害または防止することであろう。したがって、本発明は、炎症の治療方法であって、輸出リンパ管においてリンパ球へのCLEVER−1介在性内皮細胞結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、リンパ節の外へのリンパ球の往来を阻害する方法であって、リンパ球への輸出リンパ管CLEVER−1介在性内皮細胞結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。
したがって、リンパ球とのCLEVER−1結合は、望ましくないリンパ球の蓄積または往来により特徴付けられる疾患または症状を治療するための独自の3つに分かれたアプローチを示す。そのアプローチでは、熟練者が同じ薬剤を用いて、リンパ球のリンパ節への流入、リンパ節からのリンパ球の流出、および全身性脈管構造へのリンパ球の結合を標的にできる。
したがって、CLEVER−1とその役割の発見は、結果としてリンパ球へのCLEVER−1介在性細胞結合を阻害することによりリンパ球の遊走を制御する新規な方法をもたらす。よって、本発明は、CLEVER−1とリンパ球との結合を防止することにより、望ましくないCLEVER−1介在性リンパ球の往来を阻害し、そして有害なまたはそうでなくとも望ましくないリンパ球の遊走を阻止する方法を提供する。同様にして、本発明は、CLEVER−1とそのほかの白血球との結合を防止することにより、望ましくない白血球のCLEVER−1介在性結合を阻害する方法を提供する。
本発明はまた、たとえば、免疫不全の宿主においてリンパ球の往来および他の白血球の結合ならびに免疫防御システムの機能を容易にするためにCLEVER−1結合を刺激する方法を提供する。
悪性細胞へのCLEVER−1介在性細胞結合
癌細胞はしばしば悪性腫瘍から離れ、リンパ管へ入るので、癌細胞は移動しリンパ節に定着する。本発明によれば、悪性腫瘍細胞がリンパ節に定着する能力は、そのような悪性腫瘍細胞へのCLEVER−1の結合を阻害または防止することにより阻害または防止することができる。
用語「腫瘍」は、新生物、新形成の特徴である組織の塊を意味する。新形成は、第一に組織塊、新生物または腫瘍の形成により組織成長の他の形式と区別される。第二に新形成は、不可逆的な過程であるとみなされている。第三に新形成の組織は、形態学的にその由来組織に似ている傾向がある。第四に、新形成の組織は、機能的にその由来組織に似ている傾向がある。第五に、新生物は、正常な組織増殖および機能を制御する恒常性機序といくぶん独立して増殖し機能する。
新生物は、良性かまたは悪性であり得る。良性の新生物は、増殖し続ける個々の組織塊で構成されている。良性の新生物は、その増殖方法から隣接した組織を単純に押すであろう。
悪性疾患である悪性新生物の決定的な特徴は、浸潤および転移、すなわち新生物の離れた部位への広がりである。悪性新生物は、隣接組織を押しのけるというよりむしろ隣接組織中に増殖するであろう。用語「悪性新生物」「悪性腫瘍」および「癌」は同義である。
癌細胞は通常、小静脈、細静脈、毛細血管およびリンパ管などの壁の薄い管に侵入する。癌細胞のリンパ管を経たリンパ節への通過、血管を経た他の器官および構造体への通過、ならびにその後の癌細胞のそれら部位での定着および増殖は、「転移」と呼ばれる。リンパ節は一般的な転移部位である。
癌細胞は、たとえば腹膜液への播種−発散(shedding)によっても拡散され得る。その細胞は、その液によって、定着および癌増殖の新しい病巣を形成することができる腹膜表面上の離れた部位に運ばれることができる。
ほとんどの新生物は、4つのタイプ:上皮性、非上皮性、芽球腫および奇形腫のうちの1つである。悪性上皮性新生物は、カルシノーマと呼ばれる。アデノカルシノーマは、腺様構造が存在するカルシノーマである。カルシノーマは乳頭性または嚢胞性であり得る。良性の上皮性新生物は、通常アデノーマ、ポリープまたはパピローマである。
非上皮性腫瘍も良性かまたは悪性であり得る。それらは通常、組織のタイプを示す接頭語および接尾語によって指定される。接尾語−omaは通常良性を意味し、一方接尾語−sarcomaは悪性を意味する。しかしながら、いくつかの悪性新生物は伝統的に−omaで終わるように名付けられている。たとえばメラノーマ、ヘパトーマ、およびリンパ腫(lymphoma)である。
リンパ腫はリンパ球系の細胞から生じる悪性新生物である。芽球腫および奇形腫は、1つのタイプの組織のよりも多くのタイプを含有する。悪性奇形腫は、しばしばテラトカルシノーマ(奇形癌)と呼ばれる。
「白血病」は、骨髄および血液に存在する白血球の腫瘍である。「リンパ腫」はリンパ節および組織に存在する白血球の腫瘍である。
本発明によれば、CLEVER−1結合悪性細胞の、全身性脈管構造の内皮、特にHEVへの結合ならびに輸入および輸出リンパ管の内皮への結合は、その内皮細胞のCLEVER−1とその悪性細胞とのあいだの結合を阻害または防止することにより阻害または防止することができる。したがって、本発明は、癌の治療方法、特に転移の防止方法であって、内皮へのCLEVER−1介在性悪性細胞の結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。
全身性脈管構造において、CLEVER−1介在性細胞結合を阻害または防止することは、そのような部位でCLEVER−1結合悪性細胞の構築を阻害または防止し、したがってそのような悪性細胞の転移を減少または防止するであろう。したがって、本発明は癌の治療方法、特にCLEVER−1結合悪性細胞の転移の防止方法であって、全身性脈管構造において、CLEVER−1結合腫瘍細胞へのCLEVER−1介在性内皮細胞の結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、転移の阻害方法であって、全身性脈管構造においてそのような悪性細胞へのCLEVER−1介在性内皮細胞の結合を阻害または防止する薬剤の投与からなる方法を提供する。
輸入リンパ管においては、CLEVER−1結合悪性細胞が内皮細胞CLEVER−1に結合することを阻害または防止することは、そのようなCLEVER−1結合悪性細胞がリンパ節に入り、そして構築することを阻害または予防し、したがってそのような細胞のリンパ節への転移または体内の他の部位への転移を阻害または防止するであろう。このような関係において、転移する悪性細胞がたとえば血中に存在する条件などのマトリックスの支持なしでは長時間生存できないということは注目に値する。したがって、本発明は、癌の治療方法、特にCLEVER−1結合悪性細胞の転移を防止する方法であって、輸入リンパ管および全身性脈管構造のHEVでのCLEVER−1結合悪性細胞へのCLEVER−1介在性内皮細胞の結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、転移の阻害方法であって、そのような悪性細胞への、輸入リンパ管のCLEVER−1介在性内皮細胞の結合、および特にHEVの結合を阻害または防止する薬剤の投与からなる方法を提供する。
輸出リンパ管において、CLEVER−1結合悪性細胞が内皮細胞CLEVER−1へ結合するのを阻害または防止することは、そのCLEVER−1結合悪性細胞がリンパ節を離れるのを阻害し、したがってその細胞のリンパ節から体内の他の部位への転移を減少させるまたは防ぐであろう。したがって、本発明は、癌の治療方法、特にCLEVER−1結合悪性細胞の転移を防止する方法であって、輸出リンパ管でのCLEVER−1結合悪性細胞へのCLEVER−1介在性内皮細胞の結合を阻害または防止する薬剤を投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、転移の阻害方法であって、そのような悪性細胞への、輸出リンパ管のCLEVER−1介在性内皮細胞の結合を阻害または防止する薬剤の投与からなる方法を提供する。
したがって、CLEVER−1結合悪性細胞とのCLEVER−1の相互作用は、転移を阻害または防止するための独自の3つに分かれたアプローチを示す。そのアプローチにより熟練者はそのような悪性細胞をリンパ系へ流入およびリンパ系から流出するのを阻止するのみならず、血管内皮におけるそのような悪性細胞とCLEVER−1との結合を阻止できる。
CLEVER−1介在性細胞結合を阻止または阻害する薬剤
可溶性CLEVER−1およびCLEVER−1に対する抗体は、CLEVER−1介在性細胞結合を阻止または阻害するために宿主細胞に提供され得る。可溶性CLEVER−1は、リンパ球、単球もしくは顆粒球などの白血球または腫瘍細胞上のCLEVER−1結合部位を「被覆(coat)」するために使用され、したがって被覆された細胞がHEVまたは輸入もしくは輸出リンパ管上の生来のCLEVER−1と結合するのを防ぐ。
CLEVER−1抗体は、患者のCLEVER−1への白血球または悪性細胞の結合を防止するために患者の血管内皮またはリンパ管、特に輸入リンパ管上に存在するCLEVER−1を被覆するためにそれを必要とする患者に投与され得る。CLEVER−1抗体産生細胞は、CLEVER−1抗体の源を提供するために患者に直接投与され得る。
さらに、本発明は、細胞へのCLEVER−1の結合を阻害する薬剤を同定する方法であって、CLEVER−1の存在下に薬剤を細胞に供し、薬剤存在下で得られた細胞へのCLEVER−1の結合を、薬剤の非存在におけるCLEVER−1の結合と比較することにより同定する方法を提供する。同様に、本発明は、CLEVER−1の細胞への結合を刺激する薬剤を同定する方法であって、CLEVER−1の存在下に薬剤を細胞に供し、薬剤存在下で得られた細胞へのCLEVER−1の結合を、薬剤の非存在におけるCLEVER−1の結合と比較することにより同定する方法を提供する。
用語「抗体」は、広義の意味で使用され、それらが所望の生物学的活性を示すかぎり、特に単モノクローナル抗体(アゴニストおよびアンタゴニスト抗体など)、ポリクローナル抗体、ならびに抗体断片および単一鎖抗体(たとえば、Fab、F(ab’)2、Fv)を包含する。
抗体のパパイン消化により、それぞれに単抗原結合部位を有するFab断片と呼ばれる2つの個別の抗原結合断片と、残りの「Fc」断片とを産生する。Fc断片という名前は、その容易に結晶化する能力を反映している。ペプシン処置は2つの抗原結合部位を有し、さらに抗原を架橋できるF(ab’)2を生じる。
単一鎖「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインとの非共有結合の強固な二量体から構成されている。この構造では、各可変ドメインの3つのCDRsが、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するために相互作用する。合計で6つのCDRsが抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRsのみからなるFvの半分)でさえ、完全な結合部位よりも低い親和性ながら、抗原を認識し結合する能力を有する(Ladner et al., 米国特許第4,946,778号明細書およびBird, R.E. et al., Science, 242:423-426 (1988)参照)。
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同質の抗体の集団から得られる抗体を意味する。集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る予想可能な自然に発生する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的で、単一の抗原決定基に向けられている。さらに、通常、種々の決定基(エピトープ)に向けられた種々の抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製品と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらはハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンが混在しない点で有利である。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に同質な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示し、何らかの特別な方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるものではない。たとえば、本発明にしたがって使用され得るモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作ることができ、または組換えDNA法(たとえば、Cabilly et al., 米国特許第4,816,567号明細書)によって作ることができる。
免疫を与える抗原の製造、ならびにポリクローナルおよびモノクローナル抗体の産生は、本明細書に記載されたように、または他の適切な技術を用いて行なうことができる。多様な方法が記載されている(たとえば、Kohler et al., Nature 256:495-497 (1975), and Eur. J. Immunol. 6:511-519 (1976); Milstein et al., Nature 266:550-552 (1977); Koprowski et al., 米国特許第4,172,124号明細書; Harlow, E. and D. Lane, Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, N.Y., 1988); Current Protocols In Molecular Biology, Vol. 2 (Supplement 27, 1994), Asubel, F.M. et al., John Wiley & Sons, eds., New York, N.Y., Chapter 11, (1991))。通常、ハイブリドーマは、適切な不死化細胞株(たとえば、SP2/0などのミエローマ細胞株)を抗体産生細胞に融合することによって生産される。抗体産生細胞、好ましくは脾臓またはリンパ節の細胞は、目的の抗原で免疫された動物から得られる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択培地条件を使用して単離され、限界希釈法によってクローン化され得る。所望の結合特性を有する抗体を産生する細胞は、適切なアッセイ(たとえば、ELISA)により選択され得る。
用語「抗体」は、異なる種由来の部分を含む、キメラ、ヒト化または霊長類化(primatized)(CDR−グラフト)抗体、ならびにキメラまたはCDR−グラフト単一鎖抗体なども包含される。「キメラ」抗体(イムノグロブリン)は重鎖および/または軽鎖の部分をもち、この部分は、特別の種由来の抗体の対応する配列と同一もしくは相同であるか、または特別の抗体クラスもしくはサブクラスに属するが、それらが所望の生物学的活性を示す限り、鎖の残りの部分は、ほかの種由来の抗体の対応する配列と同一もしくは相同であるか、または他の抗体クラスもしくはサブクラス、ならびにその抗体の断片に属する(Cabilly et al., 米国特許第4,816,567号明細書; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。これらの抗体の様々な部分は、従来の技術により化学的に結合でき、またそれらは遺伝子工学技術を使用して連続したタンパク質として製造することができる。たとえば、Cabilly et al., 米国特許第4,816,567号明細書; Cabilly et al., 欧州特許出願0125023B1号明細書; Boss et al.,, 米国特許第4,816,397号明細書; Boss et al., 欧州特許出願0120694B1号明細書; Neuberger, M.S. et al., 国際特許出願第86/01533号パンフレット; Neuberger, M.S. et al., 欧州特許出願0194276B1号明細書; Winter, 米国特許第5,225,539号明細書; Winter, 欧州特許出願0239400B1号明細書; およびQueen et al., 米国特許第5,585,089号明細書、同第5,698,761号明細書、および同第5,698,762号明細書参照。また、霊長類化抗体に関してはNewman, R. et al., Biotechnology 10:1455-1460 (1992)参照。
「アゴニスト抗体」は、CLEVER−1に結合し、リンパ球(および悪性腫瘍細胞)の内皮への接着を促進することのできる抗体を意味する。「アンタゴニスト抗体」は、CLEVER−1に結合し、リンパ球(および悪性腫瘍細胞)の内皮への接着を阻害することのできる抗体を意味する。
抗イディオ型抗体も提供される。抗イディオ型抗体は、他の抗体の抗原結合部位と関連する抗原決定基を認識する。抗イディオ型抗体は、動物を二次抗体の産生に使用する場合は、同じ種、好ましくは同じ株の動物を免疫化することにより二次抗体に対して製造できる。たとえば、米国特許第4,699,880号明細書参照。
インビトロ接着アッセイとその診断用途
さらなる態様において、本発明は、CLEVER−1結合がHEVおよびリンパ管内皮に結合する白血球または悪性細胞の存在に対するアッセイに使用される接着アッセイに関する。静的アッセイと非静的アッセイとの両方が可能である。接着アッセイは実施例4に例示される。静的アッセイと非静的アッセイとの両方が、全身性脈管構造への白血球の結合を調べるのに使用され得る。
静的アッセイでは、組織切片は、所望の時間白血球または悪性細胞にさらされる。その暴露のあいだ調製品の連続的な攪拌や回転はない。静的アッセイは、白血球および悪性細胞のリンパ管内皮への、特に輸出リンパ管への結合能力を試験するのに好ましい。
非静的アッセイでは、CLEVER−1含有組織試料と白血球は、白血球がCLEVER−1に接着するために与えられるあいだ、規則的に回転される。非静的アッセイは、HEVのCLEVER−1への白血球および悪性細胞の結合を調べるのに好ましい。非静的アッセイは、全身性脈管構造への接着を模している。
もう1つの実施態様において、本発明は悪性腫瘍細胞の検出方法に関する。実施例1に詳細に説明するように、CLEVER−1抗体は、血管内皮およびリンパ管内皮への悪性腫瘍細胞の結合を減少する。これは、CLEVER−1がそれらの悪性腫瘍細胞の受容体であることを証明している。CLEVER−1タンパク質、またはその断片、またはCLEVER−1結合化合物(CLEVER−1に対する抗体(モノクローナルとポリクローナルとの両方)、CLEVER−1の抗原性断片に対する抗体(モノクローナルとポリクローナルとの両方)、抗原性ポリペプチド、低分子阻害剤もしくは薬剤を含むがそれらに限定されない)は、試料中の悪性腫瘍細胞の存在を検出するための定量アッセイおよび定性アッセイの両方で使用され得る。該試料は、ヒトまたは動物由来の組織または血液である。
CLEVER−1タンパク質、またはその断片、または前記CLEVER−1結合化合物は、固体支持マトリックス(マイクロタイタープレート、アガロースカラム、または磁気ビーズなどを含むがそれらに限定されない)に結合され得る。ついで前記試料を該固体支持マトリックスにさらし、該固体支持マトリックスに保持された細胞の割合を測定する。たとえば、正常で健康なヒトまたは動物である個体由来の試料では、統計的に予想される数の白血球がCLEVER−1に結合する。白血球および悪性腫瘍細胞の両方を含む試料は、検出可能で非常に多い数のCLEVER−1に結合する細胞を有するであろう。
好ましい実施態様では、治療、特に癌の治療を必要とする患者から採取された血液または組織試料が、インビトロ接着アッセイにおいてCLEVER−1結合細胞の源として使用される。そのような患者は、あらかじめ診断された悪性腫瘍を治療している患者、または悪性腫瘍を有すると疑われる患者、またはそのような悪性腫瘍が明らかに治療されているが悪性腫瘍の再発の監視が必要である患者である。好ましくは、そのような血液または組織試料は、そのような試料中にCLEVER−1へ結合する悪性細胞の存在について試験されている患者由来のものである。
本発明のインビトロアッセイで実験される血液または組織試料は、必要であれば、試料中に存在し得る任意のCLEVER−1結合細胞をさらに抽出し濃縮するために、本発明のインビトロ接着アッセイに使用する前に、本技術分野で既知の方法により処理され得る。
さらに、一旦インビトロ接着アッセイは完了すると、付着した細胞は、他の方法を用いて調べられ得る。たとえば、結合した細胞が固定される静的アッセイでは、付着細胞の腫瘍のタイプの診断であるモノクローナル抗体により認識される能力が行われ得る。
CLEVER−1含有リンパ管内皮への悪性細胞の結合の検出は、患者が、特にそのような悪性細胞の転移を防止するためにそのような悪性細胞の治療を必要としていることが示唆される。
本発明は、このような観点より、白血球および悪性腫瘍細胞の血管およびリンパ管内皮への接着を阻害できるアンタゴニスト(モノクローナルおよびポリクローナル抗体、ペプチド、タンパク質断片、低分子阻害剤、薬物およびその他の薬剤などであってこれらに限定されない)を同定するための新規で有効で簡便なアッセイを提供する。
たとえば、リンパ節切片のCLEVER−1含有試料は、薬剤と共におよび薬剤なしでインキュベートされ、結合したリンパ球および/または悪性細胞の数が測定された。アンタゴニストは、リンパ節切片(非競合アッセイ)と事前にインキュベートされるか、またはリンパ節切片にリンパ球を同時に添加した(競合アッセイ)。
そのようなスクリーンは、個々の患者に応じて抗転移治療をあつらえるために使用され、医師に該患者の血管内皮および/またはリンパ管内皮へのCLEVER−1悪性細胞の結合を阻害する最も良い能力を有するこれらの薬剤またはそれらの組み合わせを同定および選択させ、したがって該患者に対するそのような薬剤での治療の利益を最大化する。
さらに、そのようなインビトロアッセイは、医師に分裂した悪性細胞への有益な効果:、CLEVER−1含む内皮相互作用、を提供する薬剤を選択させ、にもかかわらず、可能ならば、そのような治療のCLEVER−1介在性白血球結合への効果を最大化する。
アンタゴニストは、悪性細胞またはリンパ球のリンパ節へのまたはリンパ節からの細胞遊走を阻害することができる。好ましい実施態様では、アンタゴニストはリンパ節への流入およびリンパ節からの流出の両方をそれぞれ阻害するであろう。したがって、悪性腫瘍細胞は、好ましくはリンパ節への流入およびそこでの定着を防止し、輸入リンパ管から独立した機序を経てリンパ節に流入するものはいずれも含まれ、したがって転移がゆっくりになる。
このアッセイは、さらに化学療法を必要とするヒトまたは動物である個体に投与される化学療法の処置の効率をモニターするために使用され得る。試料は、CLEVER−1またはその抗原性断片、またはCLEVER−1結合化合物に結合する悪性腫瘍細胞の存在に対する化学療法の前、療法中、後に分析され得る。
さらなる実施態様では、精製CLEVER−1タンパク質またはその断片は、白血球または悪性細胞の内皮細胞CLEVER−1に結合することのできるアンタゴニストの高容量スクリーニングが使用され得る。CLEVER−1タンパク質またはその断片は、結合され得る CLEVER−1タンパク質、またはその断片は、本技術分野で公知の標準的な方法により固体支持マトリックス(マイクロタイタープレート、アガロースカラム、または磁気ビーズなどを含むがそれらに限定されない)に結合され得る。抗体は、白血球非存在下または存在下のどちらかにおいて、CLEVER−1またはその断片との相互作用についてスクリーニングされ得る。白血球または悪性細胞は、たとえばビス−カルボキシエチル カルボキシフルオレセインまたはフルオレセインイソチオシアネートなどの蛍光色素で標識化でき、アンタゴニストの存在下または非存在下で結合した細胞の数を蛍光イメージャー(fluoroimager)により分析できる。
本発明のこの側面の高容量スクリーンアッセイは、白血球および悪性腫瘍細胞のCLEVER−1またはその断片への結合を阻害する分子についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングできる。精製CLEVER−1タンパク質またはその断片に対して強い親和性を示すアンタゴニストは、さらに前述のインビトロ接着アッセイを用いてスクリーニングできる。
本発明の方法においてCLEVER−1結合化合物として使用される抗体は、好ましくは、CLEVER−1またはその抗原性断片に対する特異性を有する抗体である。そのような抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。
もう1つの潜在的CLEVER−1アンタゴニストは、天然でまたは合成的に修飾されるCLEVER−1ポリペプチドのアナローグであるそのポリペプチドのペプチド誘導体である。そのアナローグは、生物学的機能を欠き、それでもなおそのポリペプチドのリガンドを認識し結合し、それにより該リガンドとCLEVER−1との相互作用を効果的に阻止する。ペプチド誘導体の例としては、小ペプチドまたはペプチド様分子などがあげられるがそれらに限定されるものではない。
もう1つの潜在的ヒトCLEVER−1アンタゴニストは、天然でまたは合成的に修飾されるリガンドポリペプチドのアナローグであるそのポリペプチドのペプチド誘導体である。そのアナローグは、生物学的機能を欠き、それでもなおCLEVER−1を認識し結合し、それによりCLEVER−1を効果的に阻止する。ペプチド誘導体の例としては、小ペプチドまたはペプチド様分子などがあげられるがそれらに限定されるものではない。
本発明は、ヒトまたは動物の体から採取された試料において、CLEVER−1を含有する細胞、すなわちCLEVER−1陽性細胞を検出するための診断方法に関する。そのような方法は、CLEVER−1に特異性を有するCLEVER−1結合化合物(モノクローナルおよびポリクローナル抗体を含むがそれらに限定されない)の使用に関与し得る。そのような化合物は、比色色素または放射活性分子などの物質で標識化でき、CLEVER−1を発現する細胞への化合物の結合を急速に容易に検出することが可能となる。
CLEVER−1アンタゴニストの治療的使用
もう1つの実施態様では、本発明は悪性カルシノーマの治療方法に関する。カルシノーマは最初に局部リンパ節へ転移するのが一般的である(Sleeman, J.P., Recent Results Cancer Res. 157:55-81 (2000))。本明細書に記載するように、CLEVER−1は、悪性腫瘍細胞のリンパ節への流入およびリンパ節からの流出に関与する。したがって、CLEVER−1への悪性腫瘍細胞の結合を阻害するアンタゴニスト(モノクローナルおよびポリクローナル抗体、ペプチド、低分子阻害剤、薬物などを含むがそれらに限定されない)、ならびに他の薬剤は、転移を減少させ、効果的な化学療法薬として役立つ。
もう1つの側面では、本発明は、皮膚炎、糖尿病、結合組織病(狼瘡、慢性関節リウマチ、変形性関節症など)、閉塞性および拘束性肺疾患(喘息、ARDS、サルコイドーシス、突発性肺線維症など)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、種々の腎炎、非ウイルス性肝炎、肝硬変、胆管炎、アテローム性動脈硬化症、脈管炎、甲状腺炎、多発性硬化症、筋炎、虚血再灌流障害、移植拒絶などの、白血球−内皮細胞接着反応が急性または慢性の炎症性疾患に関連している疾患の治療方法に関する。
アンタゴニストは、後期アレルギー反応(late phase allergic reactions)、慢性じんま疹、およびアトピー性皮膚炎などのヒスタミン介在性アレルギー反応および免疫性障害の治療にも用いることができる。アレルギー性喘息、鼻炎、および湿疹などのIgE介在性アレルギー反応も治療することができる。
アンタゴニストは、創傷領域への白血球の溢出を防止することにより慢性および急性の炎症の治療にも用いることができる。慢性および急性の炎症性肺疾患は、肺における単核食細胞の隔離(sequestration)と関連しているので、アンタゴニストは、正常な肺性マクロファージ集団を調節するためにも用いることもできる。
アンタゴニストは、患者の間接の滑液中への白血球の溢出を防止することにより慢性関節リウマチの治療にも用いることができる。単球の流入と活性化は、変性関節症および炎症性関節症の両方の病因において重要な役割を果たす。
アンタゴニストは、肺における好酸球の蓄積を防止することにより喘息およびアレルギーの治療にも用いることができる。アンタゴニストは、喘息の肺の目立った特徴である上皮下基底膜線維症の治療にも用いることができる。
アンタゴニストは、動脈壁における単球の浸潤を防止することによりアテローム性動脈硬化症を治療するためにも用いることができる。
アンタゴニストは、薬学的に許容し得る担体、たとえば後述するものと組合わせて用いることができる。
化合物の製剤化
CLEVER−1のアンタゴニストは、治療組成物として使用できる。CLEVER−1のアンタゴニストは、単回投与または複数回投与として投与できる。本発明のアンタゴニストは、単独の治療体制または他の治療薬との組み合わせのいずれかで投与できる。アンタゴニストは従来の治療法と組み合わせることができ、同時投与または連続投与が可能である。
そのような治療組成物は、CLEVER−1のアンタゴニスト単独で構成できるが、好ましくは、組成物は薬学的に許容し得る担体ビヒクルとの混合物に混ぜ込まれたCLEVER−1のアンタゴニストを含有するであろう。他のヒトタンパク質(たとえばヒト血清アルブミン)を含めて好適なビヒクルおよびそれらの処方は、たとえばレミントン(Remington):The Science and Practice of Pharmacy, Gennaro, Alfonso, 20th ed. (2000)に記載されている。そのような組成物を必要とする患者への効果的な投与に適している薬学的に許容し得る組成物を形成するためには、そのような組成物は有効量のCLEVER−1のアンタゴニストを適当な量の担体ビヒクルと共に含有するであろう。
CLEVER−1のアンタゴニストを含有する組成物は、患者の症状の重傷度ならびに患者の身長、体重、性別、年齢および病歴などの判定基準に依存して、経口、静脈内、筋肉内、または皮下で、適切な投薬量で投与できる。投与量は、本発明の化合物が、それを必要とする、ヒト患者に投与されるか、または獣医の設定で動物に投与されるかどうかにも依存するであろう。
非経口投与の目的で、CLEVER−1のアンタゴニストを含有する組成物は蒸留水に溶解されることが好ましく、pH値は約6〜8に調整することが好ましい。凍結乾燥工程を容易にし、好適な製品を得るために、ラクトースを溶液に添加することができる。好ましくは、ついで溶液をろ過し、滅菌し、バイアルに入れ、そして凍結乾燥する。好ましい実施態様では、本発明の化合物は、食事時またはそのすぐ後に経口で患者に投与される。これらの組成物におけるCLEVER−1のアンタゴニストの濃度は、経口か非経口かで、たとえば、10-12M〜10-3まで変化し得る。
付加的な製剤方法が作用の持続時間を制御するために採用することができる。放出制御製剤はCLEVER−1のアンタゴニストを複合化または吸着するためのポリマーの使用により達成される。制御された送達は、適切な巨大分子(たとえば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および硫酸プロタミンなど)、および巨大分子の濃度、ならびに放出を制御するための混合方法を選択することによって発揮される。もう1つの、放出制御製剤により作用持続時間を制御する可能性のある方法は、CLEVER−1のアンタゴニストを、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(酪酸)またはエチレンビニルアセテート共重合体などの高分子材料の粒子中に組み込むことである。あるいは、CLEVER−1アンタゴニストをこれらの高分子の粒子に組み込む代わりに、たとえば、それぞれ、コアセルベーション技術または界面重合化(たとえば、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(たとえば、リポソーム、アルブミンマイクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル、またはマクロエマルジョン)により、製造した微粒子にこれらの誘導体を取り込むことが可能である。そのような技術は、レミントン:The Science and Practice of Pharmacy, Gennaro, Alfonso, 20th ed. (2000)に記載されている。
以下の実施例は、本発明を説明するためのみの役目を果たし、決して本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
モノクローナル抗体の生産
Balb/cマウスを、1週間間隔で4回、実体顕微鏡下でヒトリンパ節から切り取られたリンパ管から作られた懸濁液を含む不完全フロイントアジュバントを用いて支脚皿に免疫した。懸濁液は、管をはさみで小片に切ることにより作成され、ついでリン酸緩衝生理食塩水中のその破片を、21q針を接続したシリンジ中に前後に引き込んだ。免疫マウス由来の膝窩リンパ節リンパ球を、ガラスホモジナイザーにより単離した。免疫したマウスの膝窩リンパ節リンパ球を、Sp2/0ミエローマ細胞と融合した。始めにハイブリドーマの上清をヒトリンパ節の凍結切片で酵素免疫染色を用いて試験した。試験条件は、2つのハイブリドーマにより産生された抗体3−266および3−372について同じであった。
酵素免疫染色は、説明されているように行なった(Salmi, Science 257: 1407-1409 (1992))。簡単に言うと、種々のヒト組織由来のアセトン固定化6μm凍結切片(リンパ節、盲腸、気管支、小脳、副睾丸、食道、心臓、小腸、大腸、腎臓、肝臓、肺、普通肌、乾癬肌、滑膜、精巣および扁桃腺)を、抗体3−266、3−372、または3G6(3−266および3−372に対して陰性のクラス適合対照抗体(マウスIgG1))で染色し、3,3−ジアミノベンジジンを基質として使用した。組織採取の手法は、フィンランドの法医学問題の地方および全国委員会により承認された。
2つのハイブリドーマは、輸入および輸出リンパ管系の両方においてリンパ管内皮を、そしてHEV上の血管内皮を明らかに染色し、一方他の構造体は染色しない抗体(3−266(DSM ACC2519)および3−372(DSM ACC2590))を産生した。リンパ管内皮の染色を図1に示す。図1は、モノクローナル抗体3−266および3−372が輸入および輸出リンパ管系とHEVの両方において内皮を認識するということを示す間接酵素免疫染色である。図1a〜1cは皮膚由来である。図1d〜1iはリンパ管由来である。図1a、1dおよび1gは、モノクローナル抗体3−266による染色を示し、図1b、1eおよび1hは、モノクローナル抗体3−372による染色を示し、そして図1c、1fおよび1iは、陰性対照抗体3G6による染色を示す。図1a、1bおよび1cにおいて、矢印は内皮を指し示し、矢じりは輸入リンパ管を指す。図1dおよび1eにおいて、矢印はリンパ節内のリンパ管(輸出リンパ管系に属するリンパ洞類)を指し示す。図1gおよび1hにおいて、矢印はHEVを指し示す。
CLEVER−1の分子量の測定
分子量の測定は免疫ブロット法により行なった。ヒトリンパ節を含有する1パーセントのNP−40溶解物を、5〜12.5%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を用いて分析した。SDS−PAGEは非還元条件で実施した。ゲル中の分子を、ニトロセルロース膜に一晩ブロットし、3−266、3−372または陰性対照抗体(3G6)で標識化した(Salmi, M. et al., J. Exp. Med. 183: 569-579 (1996))。ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスIgを二次試薬として使用した。検出は、製品(アマシャム(Amersham))の使用説明書にしたがって増強化学発光システムを用いて行なった。
両抗体は同じ大きさの分子を認識した(約270〜300kDa;図2)。このことと同一の染色パターンとにより、これらの抗体は同じ抗原を認識すると思われ、この抗原はCLEVER−1と名付けられた。
CLEVER−1の精製および分子的特徴付け
3−372抗体により認識された分子を、スミス ディー ジェイ(Smith, D.J.)ら、J. Exp. Med. 188: 17-27 (1998)に記載されているようにヒトリンパ節溶解物から一晩で精製した(溶解緩衝液:150mM NaCl、10mM トリス−塩基、pH7.2、1.5mM MgCl2、1% NP−40、1% アプロチニン、および1mM PMSF)。遠心分離ののち、溶解物上清を、無関係なmAbsおよび3−372(3mg/mlビーズ)を携えたCnBr活性化セファロースビーズを含む免疫アフィニティーカラムに連続して適用した。溶解緩衝液で洗浄後、3−372によって認識された抗原を50mMトリエチルアミンで溶出し、凍結し、続いて凍結乾燥した。そののち、溶出された物質を、SDS PAGE分析と銀染色に付した(O’Connell, K.L. and Stults, J.T., Electrophoresis 18:349-359 (1997))。記載されているように、特異的バンドを切り出し、還元し、アルキル化し、そしてトリプシン(プロメガ(Promega))で一晩+37℃で消化した(Shevchenko, A. et al., Anal. Chem. 68:850-855 (1996); O’Connell, K.L. and Stults, J.T., Electrophoresis 18:349-359 (1997))。そのペプチドを、リフレクトロン遅延引き出しモードで作動させたパーセプティブ バイオシステムズ ボイジャー(PerSeptive BioSystem Voyager)DE−PRO質量分析計で分析した。スペクトルの較正は、トリプシンの自己分解産物を使用することにより、または付加較正混合物2(パーセプティブ バイオシステムズ)により内部的に行なった。データベース検索は、カリフォルニア大学、サンフランシスコ質量分析施設のMS−フィットアルゴリズム(http://prospector.ucsf.edu/ ucsfhtml3.2/msfit.htm)により行なった。
トリプシンで切断後、質量分析計分析で27ペプチドを得た。それらのうちの21個(77%)は、2つのジーンバンクエントリー:AJ275213(スタビリン−1と呼ばれるcDNAクローンに対する寄託)およびD87433(細胞株KG−1から単離されたcDNAクローンKIAA0246)と同一のヌクレオチド配列を有した。そのペプチド配列は、全体で268アミノ酸(スタビリン−1の2570アミノ酸の10%)に及び、53と2301との間のアミノ酸にかかった。
次に、我々は、ペプチド配列、スタビリン−1のcDNAの5′末端とKIAA0246のcDNAの3′末端に基づきプライマーを設計し、それらを、のちに全長7879bpcDNA(配列番号:1)を複製するために一緒にライゲートするいくつかのRT−PCRフラグメントを作成するために使用した。全構築物の配列決定は、データバンクで入手可能な既存の3′末端KIAA0246配列と高い相同性を示した。しかしながら、スタビリン配列と比較した場合、4つのヌクレオチド相違を含有した。それらはすべて、アミノ酸レベルで変更を生じる。これら変更のうち2つは、HUGOプロジェクト(AC 006208)から入手可能なゲノム配列データと同一であるが、ゲノムクローンはこのcDNAの遺伝子の約半分しか網羅していないので2つの他の変更の性質はまだ決定されていない。
いくつかの異なるCLEVER−1cDNAクローンの配列決定は、分子の少なくとも2つの代替的なスプライスアイソフォーム(エクソン23(ヌクレオチド2377−2562)および27(ヌクレオチド2914−3009)により網羅される領域がスプライシングで除去され得る(spliced out))の存在を示した。我々は、それらのスプライス変異体の1つ(エクソン27を欠く)の存在をmRNAレベルでも確認できた(図7)が、ヒト末梢リンパ節ライブラリーからクローン化した2つ目のスプライス変異体(エクソン23を欠く)は、その系では見られなかった。これは、この形をコードするmRNAの低い存在度/回数を示唆する。
配列比較は、プロテイグリカン連結タンパク質様配列、上皮増殖因子様繰り返し配列および2つのRGDモチーフに対し有意な相同性を示し、CLEVER−1の接着特性と良く一致していた。
インビトロ接着アッセイ
最初に、リンパ節切片を3−266、3−372またはヒトHLA ABCに対する対照抗体(HB−95、ATCCおよび3G6(ニワトリT細胞に対する))とインキュベートし、次にフィコールグラジエント(ファルマシア)精製末梢血単核細胞または種々のヒト腫瘍細胞株(リンパ芽球細胞株、KCAおよびIBW4;バーキットリンパ腫CRL−1648;扁平上皮細胞の癌株NAおよびNU)をかぶせた。そののち、その切片を2つの異なるタイプのアッセイに付した。1.非静的アッセイ(HEVへの細胞の結合を好適に測定し、回転条件下で行なわれる(+7℃で30分間オービタルシェーカー上で60rpm))。2.静的アッセイ(細胞で覆ったその切片を15分間静止条件で静置、次いで60rpmで5分回転、そしてそののち再び7℃で回転なしで15分(静止条件は、リンパ管内皮への好適な結合に必要とされる。))。接着細胞を1%グルタルアルデヒドで固定した。HEVに結合したリンパ球および洞様(リンパ管)内皮に結合したリンパ球の数を、洞様管が容易に認識される暗視野証明法の下で単純盲検で計測した。阻害アッセイの結果は、対照結合の割合(対照mAbの存在下での、接着細胞の数/管を100%接着と定義する。)として表わした。
アッセイを、血流を擬似する非静止条件で行なった場合、HEVに結合するリンパ球は、3−266および3−372でそれぞれ43.6%および45.2%減少した(図3A)。リンパ球の出口の部位での条件を擬似するため、静止条件でアッセイを行なった。これらのアッセイでは、リンパ管内皮に結合するリンパ球は、3−266および3−372でそれぞれ46.4%および64%減少した(図3B)。これらのデータは、3−266および3−372により認識される分子が、実際リンパ球のHEVへの結合およびリンパ管内皮への結合の両方を仲介しているということを示唆している。
悪性細胞の転移におけるこの分子の役割を調べるために、3つのリンパ腫細胞株(CRL 1648、KCAおよびIBW4)ならびに2つの扁平上皮細胞腫瘍細胞株(NAおよびNU)を使用してアッセイを行なった。これらのアッセイについては、高い阻害能力のため、3−372抗体を選択した(図3)。これらの実験の結果は、明らかにCLEVER−1が、リンパ節内の入り口および出口部位の両方での内皮への悪性細胞の結合にも関与しているということを証明した(図4Aおよび3)。
CLEVER−1はHEV様管上の炎症部位で上方調整される。
慢性関節炎で滑膜切除術を受けた18人の患者由来の滑膜試料、乾癬(n=5)、苔癬(n=1)、菌状息肉腫(n=1)、紅皮症(n=2)、発疹(n=1)、毛包炎(n=3)の患者由来の皮膚試料、および15人の個人由来の正常な皮膚試料を、前述した酵素免疫法を用いてCLEVER−1の発現について調べた。正常な非リンパ系組織におけるように、CLEVER−1は、炎症を起こした滑膜ならびに正常および罹患皮膚試料の双方において輸入リンパ管に存在した。さらに、CLEVER−1発現は、炎症部位に現れ、炎症細胞のひどい浸潤に囲まれるHEV様管上で誘導された(図5)。表2は、炎症性浸潤の広がりと滑膜試料におけるCLEVER−1発現の上方調整との完全な相関関係を示す。同じ現象は皮膚試料においても観察された。すべての罹患皮膚試料は、CLEVER−1陽性HEV様管に含まれる炎症性浸潤を有した。これらの管は正常皮膚試料にはなかった。
CLEVER−1はまたHEV様管への単球および顆粒球の結合を仲介する。
末梢血由来のヒト単球を、プラスチック表面に+37℃で1時間それらを接着させることによりフィコールグラジエント(ファルマシア)単離単核細胞から精製した。顆粒球は、ヒト血液由来の白血球の豊富な軟膜からパーコールグラジエント(ファルマシア)遠心分離法を用いて精製した。それらの結合は、炎症を起こした滑膜でHEV様管に対して試験した。さらに、顆粒球の結合は、CLEVER−1を鮮やかに発現する扁桃腺HEVについて試験した。(たとえそれらがリンパ系の器官としていかなる炎症ももたないHEVを有しても、扁桃腺が除去される場合、それらは常に炎症の可変範囲を有する。)顆粒球および単球の両方は、炎症を起こした滑膜においてHEV−様管に効率的に結合し、そして顆粒球は、扁桃腺におけるHEVに熱心に接着する。これらの器官へのそれらの結合は、3−372および3−266を含有する抗体のプールによって有意に阻害されたが、対照抗体では阻害されなかった(図6)。
CLEVER−1はインビボでリンパ球の往来を制御する。
CLEVER−1がインビボで機能的な役割を有するということを確かめるために、まずウサギがインビボで内皮の表面にCLEVER−1を発現するということを3−372抗体の静脈注射により確認した。HEV上のCLEVER−1の存在は、犠牲死させたのち、凍結切片とFITC標識化抗マウスIgG二次抗体とを用い、インビボで5分間3−372抗体を循環させたのちに検出した(図8a)。この期間に、静脈内に投与された180kDaの免疫グロブリン分子が組織中に漏れたり拡散したりする可能性はない。これらの結果にもとづき、抗体3−372(およびクラス適合陰性対照抗体)を、キーホールリンペットヘモシアニンで支脚皿に免疫されたウサギに投与し、抗体処置が支脚皿に排出するリンパ節のサイズと細胞質に及ぼす効果を分析した。
CLEVER−1に対する抗体処置は、膝窩リンパ節のサイズを増加させるのを有意に防止した(図8c)。これは、CLEVER−1がインビボでリンパの通行に機能的な役割を有するということを示唆している。3−372抗体で処置したウサギは、組織切片を用いて分析した場合、リンパ洞に僅かにリンパ球を有する(図8d)ので、おそらく、HEVでのリンパ球の流入およびリンパ洞でのリンパ球の流出の両方でその効果を発揮する。静脈内に投与された3−372抗体は、3−372の最終投与の3日後の犠牲死で試験した場合、リンパ洞上のCLEVER−1に結合することが検出された。対照抗体を投与されたウサギでは何のシグナルも検出されなかった(データは示さない)。
本明細書において引用したすべての文献、たとえば、科学的出版物、特許および特許公報は、まるで、各個々の文献が、完全に参考文献として組み込まれることを具体的にそして別々に示唆したのと同じ範囲で、完全に参考文献として組み込まれる。引用された文献が、その文献の最初の頁のみを提供した場合、文献の残りの頁を含む完全な文献を意図する。
Figure 2005523247
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図1a〜1iは、モノクローナル抗体3−266および3−372が、輸入および輸出リンパ管系ならびにHEV上の両方の内皮を認識することを示す間接酵素免疫染色である。図1a〜1cは皮膚由来であり、図1d〜1iはリンパ節由来である。図1a、1dおよび1gはモノクローナル抗体3−266による染色を示し、図1b、1eおよび1hはモノクローナル抗体3−372による染色を示し、そして図1c、1fおよび1iは陰性対照抗体3G6による染色を示す。図1a、1bおよび1cにおいて、矢印は内皮を指し、矢じりは輸入リンパ管を指す。図1dおよび1eにおいて、矢印はリンパ節内のリンパ管(輸出リンパ管系に属するリンパ類洞(lymphatic sinosoids))を指す。図1gおよび1hにおいて、矢印はHEVを指す。 モノクローナル抗体3−266および3−372は、約270〜300kDaの分子を認識する。リンパ節溶解物中の分子はSDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロース膜にブロットし、そしてモノクローナル抗体3−266および3−372で、または陰性対照抗体(3G6)で標識化した。 CLEVER−1は、HEVおよびリンパ管の双方において内皮細胞へのリンパ球の結合に関与している。接着アッセイは、HEVへのリンパ球の結合(図3A)およびリンパ管内皮へのリンパ球の結合(図3B)を測定することにより行なった。切片はモノクローナル抗体3−266もしくは3−372、または陰性対照抗体、抗−HLA ABCもしくは3G6(「neg co」)と前培養し、その後切片を正常なリンパ球にかぶせた(overlay)。3〜4の独立した阻害実験の結果を最大結合の割合の平均±SEMとして示す。 CLEVER−1は、HEVおよびリンパ管の双方において内皮細胞への腫瘍細胞の結合に関与している。接着アッセイは、HEVへの種々の腫瘍細胞株の結合(図4A)およびリンパ管内皮への種々の腫瘍細胞株の結合(図4B)を測定することにより行なった。切片は3−372、または陰性対照抗体(抗−HLA ABC)と前培養し、その後切片を種々の腫瘍細胞:Nu、NA、IBW4、KCAおよびCRL 1648にかぶせた。3〜4の独立した阻害実験の結果を最大結合の割合の平均±SEMとして示す。 CLEVER−1は、炎症性細胞の浸潤と関連して炎症部位でHEV様管上に誘導される(図5a〜5c、滑膜;図5d〜5f、皮膚)。図5aは炎症性細胞のいかなる目立った浸潤もない炎症を起こした滑膜の線維型(fibrotic type)である。輸入リンパ管のみCLEVER−1を発現した(矢印)。図5b、CLEVER−1は、ひどいリンパ球浸潤内のHEV様管(破線で印をつけた)上で上方調節された。図5c、陰性対照抗体(3G6)による染色。図5d、正常な皮膚において、輸入リンパ管はCLEVER−1を発現したが(矢印)、炎症を起こした皮膚では、HEV様管(破線)もCLEVER−1を発現した(図5e)。陰性対照染色(図5f)。矢じりは表皮を指す(図5d〜5f)。 CLEVER−1は、炎症部位で単球および顆粒球のHEV様管への結合を仲介する。単球および顆粒球の炎症を起こした滑膜管への結合、および顆粒球の扁桃腺への結合におけるCLEVER−1の寄与は、スタンパー−ウドルフ(Stamper-Woodruff)型の結合アッセイを用いて調べた。3−372および3−266(pooled)は、被験器官におけるHEV様管への顆粒球および単球の結合を有意に阻害したが、クラス適合対照抗体(3G6)は阻害しなかった。4つの独立したアッセイの結果を最大結合の割合の平均(対照抗体存在下で=100%)±SEMとして示した。 CLEVER−1の分子的特徴付け。(a)抗体3−266および3−372は、免疫ブロッディングにおいて270〜300kDaの分子を認識する。3G6は、陰性対照抗体である。(b)より良い分離のための48時間のゲル実行において、CLEVER−1の少なくとも3つの異なるアイソフォームが見られ、ノイラミニダーゼおよびO−グリカンによる酵素消化は、CLEVER−1のシアログリコプロテインの性質を示す。(c)CLEVER−1の種々のアイソフォームの相対的寄与は、扁桃腺、リンパ節および滑膜で異なっている。(d)エクソン27を欠いた代替的スプライス型は、1.肺、2.脳、3.胎盤、4.心臓、5.肝臓、6.骨格筋、7.腎臓、8.膵臓、9.脾臓、10.胸腺、11.前立腺、12.精巣、13.卵巣、14.小腸、15.結腸(colon)、16.リンパ節に存在する。水の対照は陰性(レーン17)。上段のバンドは標準型を示し、下段はCLEVER−1のスプライス変異体である。 CLEVER−1はインビボで内皮の表面で発現し、その機能の阻害は、リンパ球の往来を阻止する。静脈内に投与された3−372抗体(a)は、5分の循環の後、リンパ節のHEVの表面上に局在化したが、陰性クラス適合対照抗体(b)は局在化しなかった。HEVはaにおいて矢印で指す。(c)抗−CLEVER抗体処置は、支脚皿を抜き取った(draining)リンパ節のサイズの増加を有意に阻害する。(3−372処置ウサギの1つのリンパ節は見られなかった)。(d)3−372処置動物のリンパ洞(sinusoids)は、対照処置ウサギ(e)より少ないリンパ球を含有する。 CLEVER−1のヌクレオチド配列(7879nt)。灰色の囲みは、翻訳開始コドン、翻訳終止コドン、2つのRGD、潜在的ポリアデニル化シグナルならびにジーンバンクエントリーAJ 2752213(スタビリン−1)と比較して異なる4つのヌクレオチド、すなわちヌクレオチド1131、2767、6629および6969である。下線は代替的にスプライされるエクソンに対応するヌクレオチドである。

Claims (27)

  1. 非還元条件下のSDS−PAGEで分子量270〜300kDを有し、(a)モノクローナル抗体、DSM ACC 2519;および(b)モノクローナル抗体、DSM ACC 2590からなる群より選択されるモノクローナル抗体により認識できる、精製リンパ管内皮糖タンパク質、CLEVER−1。
  2. (a)配列番号1の配列;(b)2377〜2562のヌクレオチドを欠く配列番号1の配列;および(c)2914〜3009のヌクレオチドを欠く配列番号1の配列からなる群より選択される核酸によりコードされる請求項1記載の糖タンパク質。
  3. CLEVER−1抗体。
  4. モノクローナル抗体3−266(DSM ACC 2519)である請求項3記載のCLEVER−1抗体。
  5. モノクローナル抗体3−372(DSM ACC 2590)である請求項3記載のCLEVER−1抗体。
  6. CLEVER−1を含有する無細胞製剤。
  7. 患者における炎症性疾患の診断法であって:
    (a)該患者由来の血液または組織試料を、インビトロで一定時間、該試料中に存在する場合に白血球の結合に充分な条件下でCLEVER−1に曝すこと;および
    (b)該血液または組織試料において該CLEVER−1に結合した白血球を検出すること
    からなる診断法。
  8. 患者における悪性細胞の検出方法であって、
    (a)該患者由来の血液または組織試料を、インビトロで一定時間、該試料中に存在する場合に悪性細胞の結合に充分な条件下でCLEVER−1に曝すこと;および
    (b)該血液または組織試料において該CLEVER−1に結合した悪性細胞があるかどうかを検出すること
    からなる方法。
  9. 前記CLEVER−1が固体支持体上にある請求項8記載の方法。
  10. 前記CLEVER−1がリンパ組織上に供される請求項8記載の方法。
  11. 前記CLEVER−1が内皮細胞の膜に存在する請求項8記載の方法。
  12. 前記CLEVER−1が可溶性型である請求項8記載の方法。
  13. 前記検出工程がイメージングにより行なわれる請求項8記載の方法。
  14. CLEVER−1の細胞への結合を阻害する薬剤の同定方法であって:
    (a)CLEVER−1の存在下で薬剤を細胞に供すること;および
    (b)(a)における細胞へのCLEVER−1の結合を該薬剤の非存在下でのCLEVER−1の結合と比較すること
    からなる方法。
  15. CLEVER−1の細胞への結合を刺激する薬剤の同定方法であって:
    (a)CLEVER−1の存在下で薬剤を細胞に供すること;および
    (b)(a)における細胞へのCLEVER−1の結合を該薬剤の非存在下でのCLEVER−1の結合と比較すること
    からなる方法。
  16. 試料から悪性細胞を除去する方法であって:
    (a)該悪性細胞を、インビトロで一定時間、該試料中に存在する場合に該悪性細胞の結合に充分な条件下でCLEVER−1に曝すこと;および
    (b)該CLEVER−1とそこに結合した悪性細胞を該試料から分離すること
    からなる方法。
  17. 炎症の治療を必要とする患者において炎症を治療する方法であって、該患者へのCLEVER−1介在性白血球結合を阻害する薬剤であって、
    (a)CLEVER−1抗体またはその断片;および
    (b)可溶性CLEVER−1またはその断片
    からなる群より選択される薬剤を投与することからなる方法。
  18. 転移の防止を必要とする患者において転移を防止する方法であって、該患者へのCLEVER−1介在性悪性細胞結合を阻害する薬剤であって、
    (a)CLEVER−1抗体またはその断片;および
    (b)可溶性CLEVER−1またはその断片
    からなる群より選択される薬剤を投与することからなる方法。
  19. 前記CLEVER−1介在性細胞結合が白血球の結合を阻害する請求項18記載の方法。
  20. 前記CLEVER−1介在性細胞結合がリンパ球の結合を阻害する請求項18記載の方法。
  21. 前記CLEVER−1介在性細胞結合が単球の結合を阻害する請求項18記載の方法。
  22. 前記CLEVER−1介在性細胞結合が顆粒球の結合を阻害する請求項18記載の方法。
  23. 前記CLEVER−1介在性細胞結合が悪性細胞の結合を阻害する請求項18記載の方法。
  24. 前記CLEVER−1結合薬剤が、CLEVER−1介在性細胞結合の阻害を必要とする患者に投与される請求項18記載の方法。
  25. 前記患者が炎症の治療を必要とする請求項24記載の方法。
  26. 前記患者が悪性腫瘍または予想悪性腫瘍の治療を必要とする請求項24記載の方法。
  27. CLEVER−1結合の刺激を必要とする患者においてCLEVER−1結合を刺激する方法であって、患者にCLEVER−1介在性白血球結合を刺激する薬剤を投与することからなる方法。
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